JP2010234715A - 光学フィルムの製造方法、光学フィルム及び光学フィルムの製造装置 - Google Patents

光学フィルムの製造方法、光学フィルム及び光学フィルムの製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】長手方向の縦シワや歪の発生を抑制する。
【解決手段】熱可塑性樹脂Rから薄膜状のフィルムFを成形する製膜工程の後であって、成形されたフィルムFを長手方向へ延伸する延伸工程の前に、フィルムFの幅手方向両端から全幅の10%の幅の範囲内であって当該範囲の平均膜厚t以下の膜厚であるフィルム部分Hの少なくとも一部を、80≦T≦Tg+50[℃]を満たす温度Tに加熱する加熱工程を行う(但し、Tg:前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度[℃])。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学フィルムの製造方法、光学フィルム及び光学フィルムの製造装置に関する。
従来、光学特性を有する光学フィルムの製造方法として、熱溶融された熱可塑性樹脂から薄膜状のフィルムを成形する製膜工程の後、当該フィルムを長手方向へ延伸する延伸工程を経ることで、所望の厚さと光学特性を有する光学フィルムを形成する方法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
上記の製膜工程では、一般に、薄膜状に押し出した熱可塑性樹脂をキャストローラ等で冷却して長尺のフィルムを成形する溶融流延法や、溶媒に溶かした熱可塑性樹脂をベルトドラム等にキャストしてから溶媒を蒸発させて長尺のフィルムを成形する溶液流延法が用いられる。なかでも、溶融流延法は、溶液流延法に比べて破断しにくいフィルムを成形することができ、延伸工程での高速延伸や一層の薄膜化が可能となっている。
また、延伸工程では、一般に、製膜工程で成形されたフィルムを、周速の遅いローラから周速の速いローラへ向かうよう複数のローラで搬送しつつ、これらローラ間で加熱することにより、当該フィルムを搬送方向へ延伸するようになっている。
特許公開2003−315551号公報 特許公開2008−302581公報 特許公開2008−296478公報
しかしながら、上記の方法では、以下のように、フィルムに長手方向の縦シワや歪が発生してしまう場合がある。
上記の製膜工程において、熱可塑性樹脂を薄膜状に押し出す際、この熱可塑性樹脂に幅手中心方向へ引っ張る力が作用し、両端が厚くなったフィルムが成形される(ネックイン現象)。そして、この両端の厚いフィルムが複数のガイドローラ等で搬送されることによって両端の膜厚部に搬送張力が集中する結果、フィルムに幅手中心方向へ引っ張る力(フィルムの幅を狭める力)が作用して応力が生じるため、長手方向の縦シワや目視では確認できない程度の微小な歪が発生することが判明した。
更に、延伸工程において当該フィルムを搬送方向へ延伸すると、上記の縦シワや歪が強調されてしまう。特に、より薄膜に延伸した場合や高速で延伸した場合には、微小な縦シワや歪が発生しやすい。
上記の縦シワや歪は目視ではほとんど観察されないものの、光学フィルムとして用いられた場合には光学特性に影響を及ぼし、特に、液晶等の保護フィルムや、光学位相差の補償用又は視野拡大用等の光学フィルムを製造する場合には、これらの機能や性能に無視できない影響を及ぼしてしまうことが分かった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、長手方向の縦シワや歪の発生を抑制することのできる光学フィルムの製造方法、光学フィルムの製造装置及びそれによる光学フィルムの提供を課題とする。
本発明の第1の側面によれば、熱可塑性樹脂から薄膜状のフィルムを成形する製膜工程と、成形されたフィルムを長手方向へ延伸する延伸工程とを備える光学フィルムの製造方法において、
前記製膜工程の後であって前記延伸工程の前に、
前記フィルムの幅手方向両端から全幅の10%の幅の範囲内であって当該範囲の平均膜厚以下の膜厚であるフィルム部分の少なくとも一部を、以下の(1)式を満たす温度Tに加熱する加熱工程を備えることを特徴とする。
80≦T≦Tg+50 [℃] (1)
(但し、Tg:前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度[℃])
この光学フィルムの製造方法においては、
前記加熱工程の後であって前記延伸工程の前に、
前記加熱工程で加熱された前記フィルム部分の前記少なくとも一部を、前記フィルムの長手方向に切断して除去する切断工程を備えることが好ましい。
また、この光学フィルムの製造方法においては、
前記熱可塑性樹脂は、セルロースアシレートであることが好ましい。
本発明の第2の側面によれば、光学フィルムにおいて、
本発明の光学フィルムの製造方法によって製造されることを特徴とする。
本発明の第3の側面によれば、熱可塑性樹脂から薄膜状のフィルムを成形する製膜手段と、成形された前記フィルムを長手方向に延伸する延伸手段とを備える光学フィルムの製造装置において、
前記製膜手段で成形された後であって前記延伸手段で延伸される前の前記フィルムに対し、当該フィルムの幅手方向両端から全幅の10%の幅の範囲内であって当該範囲の平均膜厚以下の膜厚であるフィルム部分の少なくとも一部を、以下の(1)式を満たす温度Tに加熱する加熱手段を備えることを特徴とする。
80≦T≦Tg+50 [℃] (1)
(但し、Tg:前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度[℃])
本発明によれば、長手方向へ延伸される前のフィルムに対し、当該フィルムの幅手方向両端から所定の範囲内の少なくとも一部を加熱するので、長手方向の縦シワや歪が延伸によって強調される前に、幅手方向内側よりも強い搬送張力が作用している部分を熱変形させて、縦シワや歪の原因となる応力を効果的に緩和させることができる。
この際、フィルムの幅手方向両端から全幅の10%の幅の範囲内の少なくとも一部を加熱すればよく、フィルム全体を加熱する必要がないので、フィルム全体が加熱されて搬送張力による不要な延伸や光学特性の変化を生じさせたり、上記範囲外のフィルム内側に縦シワや歪が生じて完成品である光学フィルムの有効幅を減らしたりすることがない。
また、上記範囲の平均膜厚以下の膜厚となるフィルム部分の少なくとも一部だけを加熱するので、つまりは、最も厚く形成されて最も強く搬送張力が作用するフィルムの最端部は加熱しない。これにより、当該最端部が加熱されてフィルムが部分的に延伸することによる当該フィルムの破断を防止することができる。
また、上記フィルム部分の少なくとも一部を80≦T≦Tg+50[℃](Tg:熱可塑性樹脂のガラス転移温度[℃])を満たす温度Tに加熱するので、加熱箇所の溶融を防止しつつ十分に熱変形させて、縦シワや歪の原因となる応力を確実に緩和させることができる。
以上により、長手方向の縦シワや歪の発生を抑制することができる。
本発明に係る光学フィルムの製造装置の全体構成図である。 縦延伸機の全体構成図である。 フィルムの膜厚分布を示すグラフである。 加熱工程で加熱されるフィルム部分を説明するためのグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[1 光学フィルムの製造装置]
まず、本発明に係る光学フィルムの製造装置(以下、製造装置という)1について説明する。
図1は、製造装置1の全体構成図であり、図2は、後述する縦延伸機4の全体構成図である。
製造装置1は、熱可塑性樹脂Rから光学特性を有する光学フィルムMを形成する装置であり、本実施形態においては、液晶表示装置の偏光板に用いる保護フィルムとしての光学フィルムMを形成するものである。
具体的には、図1に示すように、製造装置1は、熱可塑性樹脂Rから薄膜状のフィルムFを成形する製膜部2と、成形されたフィルムFを加熱する加熱部3と、成形され加熱されたフィルムFを長手方向に延伸する縦延伸機4と、延伸されて光学フィルムMとなったフィルムFを巻き取る巻取り部5とを備えている。
このうち、製膜部2には、熱可塑性樹脂Rを所定温度で溶融して押し出す一軸押出機21と、押出された熱可塑性樹脂Rを送出するギヤポンプ22と、送出された熱可塑性樹脂Rを濾すフィルター23と、溶融された熱可塑性樹脂Rを所定形状のスリットから押し出して薄膜状に成形するTダイ24と、Tダイ24から押し出された薄膜状の熱可塑性樹脂Rを冷却しつつ送る弾性タッチローラ25及びキャストローラ26と、この熱可塑性樹脂Rを更に冷却しつつ送る引取りローラ27,27とが設けられている。製膜部2では、これらの構成により、熱可塑性樹脂Rが薄膜状に冷却固化されてフィルムFとして成形される。
加熱部3には、製膜部2で成形されたフィルムFの厚さを計測するインライン膜厚計31と、フィルムFを加熱するヒートガン32と、フィルムFの幅手方向の端部を切断して除去するロータリーカッター33と、端部を切断されたフィルムFを送るフィードローラ34と、各部のフィルムFを支持する従動ローラである複数のガイドローラ35とが設けられている。
ここで、ヒートガン32は、フィルムFを熱風で加熱する工業用ドライヤであり、図示は省略するが、フィルムFの幅手方向の各端部近傍に1つずつ配設されている。また、ヒートガン32は、フィルムFの幅手方向両端から全幅の10%の幅の範囲内であって当該範囲の平均膜厚以下の膜厚となるフィルム部分の少なくとも一部を、以下の(1)式を満たす温度Tに加熱できるように構成されている。
80≦T≦Tg+50 [℃] (1)
但し、Tgは熱可塑性樹脂Rのガラス転移温度[℃]である。
縦延伸機4は、図2に示すように、フィルムFをこの順番に張架可能に並設された第1〜第9ローラ41〜49と、第6ローラ46と第7ローラ47との間に張架されたフィルムFを加熱するIR(Infrared Rays:赤外線)ヒータ40と、第1ローラ41に入るフィルムFと第9ローラ49から出るフィルムFとをそれぞれ支持するガイドローラ35とを備えている。このうち、第1〜第9ローラ41〜49は、張架されたフィルムFの温度を変えられるよう周面の温度を加熱可能に構成されているとともに、それぞれ独立した回転速度で駆動できるよう速度可変に構成されている。
巻取り部5には、図1に示すように、縦延伸機4で所定の厚さに延伸されて光学フィルムMとなったフィルムFを支持するガイドローラ35と、このガイドローラ35から送られる光学フィルムMを巻き取るワインダー51とが設けられている。
また、製造装置1は、図示しない制御部を更に備えており、この制御部により、各種ローラの回転速度や各部の温度等が制御されるほか、後述する平均膜厚tの算出やヒートガン32の出力調整が行われるように構成されている。
[2 熱可塑性樹脂]
続いて、光学フィルムM(フィルムF)の材料である熱可塑性樹脂Rについて説明する。
熱可塑性樹脂Rは、本実施形態においては、セルロースアシレートである。
[2.1 セルロースアシレート]
セルロースアシレートは、その優れた光学特性や成形容易性から、光学フィルムM作製用の熱可塑性樹脂Rとして好適に用いられる。
セルロースアシレート原料のセルロースとしては、特に限定はされないが、綿花リンター、木材パルプやケフナ等がある。またこれらから得られた原料セルロースを任意の割合で混合して使用してもよい。セルロースアシレートは、アセチル基または炭素原子数が3〜22のアシル基を有するセルロースアシレートであることが好ましい。炭素原子数3〜22のアシル基の例には、プロピオニル(C25CO−)、n−ブチリル(C37CO−)、イソブチリル、バレリル(C49CO−)、イソバレリル、sec−バレリル、tert−バレリル、オクタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル及びオレオロイルが含まれる。プロピオニル及びブチリルが好ましい。セルロースアシレートとしては、セルロースアセテートが好ましく、セルローストリアセテートが特に好ましい。アシル基のアシル化剤が酸無水物や酸クロライドである場合、反応溶媒としての有機溶媒は、有機酸(例、酢酸)やメチレンクロライドが使用される。セルロースアシレートは、セルロースの水酸基の置換度が2.6〜3.0であることが好ましい。セルロースアシレートの重合度(粘度平均)は、200〜700であることが好ましく、250〜550であることが特に好ましい。これらのセルロースアシレートは、ダイセル化学工業(株)、コートルズ社、ヘキスト社、イーストマンコダック社により市販されている。写真用グレードのセルロースアシレートが好ましく用いられる。セルロースアシレートの含水率は、2質量%以下であることが好ましい。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を酢酸または他の酸によりエステル化したポリマーである。アシル置換度は、2位、3位及び6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(100%のエステル化は、1.00)を意味する。
本実施形態で用いるセルロースアシレートは、2位、3位のアシル置換度の合計が1.70〜1.95であり、かつ6位のアシル置換度が0.88以上であるセルロースアシレートと、2位、3位のアシル置換度の合計が1.70〜1.95であり、かつ6位のアシル置換度が0.88未満であるセルロースアシレートとをブレンドすることにより得られる。2位、3位のアシル置換度の合計が1.70以下の場合、フィルムが吸湿しやすくなり、加水分解を受けやすくなるためフィルムの耐久性が低下する。また、湿度等による寸法変化も大きくなる。逆に、1.95を越すとセルロースアシレートの有機性が上がるため溶媒との親和性が増大し、ドープの粘度が上昇してしまう。従って、2位、3位のアシル置換度の合計は、1.70〜1.95であることが好ましく、1.75〜1.88であることがさらに好ましい。
ところで6位の水酸基が2位、3位の水酸基と異なり一級水酸基であるため、水酸基の水素結合が極めて起こりやすいことが分かってきた。従って6位のアシル置換度を0.88以上とすることにより、溶剤への溶解性は著しく向上し、流延適性上好ましいドープを得ることが可能となる。6位のアシル置換度の範囲は、合成適正等を考慮すると0.88〜0.99が好ましく、0.89〜0.98がさらに好ましい。しかしながら、6位のアシル置換度を向上させると膜強度が低下するという問題があり、その両立が困難であった。また、アシル置換度が0.88よりも小さくなると溶剤への溶解性が著しく低下するため好ましくない。
さらに、2位、3位のアシル置換度の合計が1.70〜1.95であり、かつ6位のアシル置換度が0.88以上であるセルロースアシレートからなるフィルムF、または2位、3位のアシル置換度の合計が1.70〜1.95であり、かつ6位のアシル置換度が0.88未満であるセルロースアシレートからなるフィルムF上に薄膜を形成した光学フィルムMではロール状態での保管中に皺や凹み等の平面性の劣化が起こりやすい、更には、形成した金属酸化物層にクラックが入りやすく、膜厚むらが生じやすいという問題があった。
これらの問題はセルロースアシレートをブレンドすることにより解決できることが判明した。また、6位のアシル置換度が0.88以上のセルロースアシレートは膜強度の観点からアシル置換基の炭素数は小さい方が望ましく、全てアセチル基であるほうが好ましい。なお、特開平11−5851号公報には2位、3位、6位のアセチル置換基の合計が2.67以上であり、2位、3位のアセチル置換基の合計が1.97以下のセルロースアセテートが記載されているが、このうち2位と3位の合計が1.90を超える範囲は光学フィルムの光学適性から好ましい範囲を記載したものであり、流延適性からは本実施形態に記載されている範囲の方がより好ましい。
セルロースアシレートの合成方法の基本的な原理は、木材化学180〜190頁(右田他、共立出版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法は、無水酢酸−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法である。具体的には、木材パルプ等のセルロース原料を適当量の有機酸で前処理した後、予め冷却したアシル化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位及び6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。上記アシル化混液は、一般に、溶媒としての有機酸、エステル化剤としての無水有機酸及び触媒としての硫酸を含む。無水有機酸は、これと反応するセルロース及び系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰の無水有機酸の加水分解及びエステル化触媒の一部の中和のために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩または酸化物)の水溶液を添加する。次に、得られた完全セルロースアシレートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、50〜90℃に保つことにより、ケン化熟成し、所望のアシル置換度及び重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは、中和することなく、水または希硫酸中にセルロースアシレート溶液を投入(あるいは、セルロースアシレート溶液中に、水または希硫酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄及び安定化処理によりセルロースアシレートを得る。
通常のセルロースアシレートの合成方法では、2位または3位のアシル置換度の方が、6位のアシル置換度よりも高い値になる。そのため、2位、3位のアシル置換度の合計が1.95以下とし、かつ6位のアシル置換度を0.88以上とするためには、前記の反応条件を特別に調節する必要がある。具体的な反応条件としては、硫酸触媒の量を減らし、アシル化反応の時間を長くすることが好ましい。硫酸触媒が多いと、アシル化反応の進行が速くなるが、触媒量に応じてセルロースとの間に硫酸エステルが生成し、反応終了時に遊離して残存水酸基を生じる。硫酸エステルは、反応性が高い6位により多く生成する。そのため、硫酸触媒が多いと6位のアシル置換度が小さくなる。従って、本実施形態で用いるセルロースアシレートを合成するためには、可能な限り硫酸触媒の量を削減し、それにより低下した反応速度を補うため、反応時間を延長する必要がある。
[2.2 可塑剤]
本実施形態の熱可塑性樹脂Rに添加する可塑剤としては、下記の可塑剤が挙げられる。
多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤、多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤はセルロースエステルと親和性が高く好ましい。
多価アルコールエステル系の一つであるエチレングリコールエステル系の可塑剤:具体的には、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジブチレート等のエチレングリコールアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジシクロプロピルカルボキシレート、エチレングリコールジシクロヘキルカルボキシレート等のエチレングリコールシクロアルキルエステル系の可塑剤、エチレングリコールジベンゾエート、エチレングリコールジ4−メチルベンゾエート等のエチレングリコールアリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。更にエチレングリコール部も置換されていてもよく、エチレングリコールエステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
多価アルコールエステル系の一つであるグリセリンエステル系の可塑剤:具体的にはトリアセチン、トリブチリン、グリセリンジアセテートカプリレート、グリセリンオレートプロピオネート等のグリセリンアルキルエステル、グリセリントリシクロプロピルカルボキシレート、グリセリントリシクロヘキシルカルボキシレート等のグリセリンシクロアルキルエステル、グリセリントリベンゾエート、グリセリン4−メチルベンゾエート等のグリセリンアリールエステル、ジグリセリンテトラアセチレート、ジグリセリンテトラプロピオネート、ジグリセリンアセテートトリカプリレート、ジグリセリンテトララウレート、等のジグリセリンアルキルエステル、ジグリセリンテトラシクロブチルカルボキシレート、ジグリセリンテトラシクロペンチルカルボキシレート等のジグリセリンシクロアルキルエステル、ジグリセリンテトラベンゾエート、ジグリセリン3−メチルベンゾエート等のジグリセリンアリールエステル等が挙げられる。これらアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。更にグリセリン、ジグリセリン部も置換されていてもよく、グリセリンエステル、ジグリセリンエステルの部分構造がポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
その他の多価アルコールエステル系の可塑剤としては、具体的には特開2003−12823号公報の段落[0030]〜[0033]記載の多価アルコールエステル系可塑剤が挙げられる。これに含まれるアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基は、同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキレート基、シクロアルキルカルボキシレート基、アリレート基のミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。更に多価アルコール部も置換されていてもよく、多価アルコールの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
上記多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤の中では、アルキル多価アルコールアリールエステルが好ましく、具体的には上記のエチレングリコールジベンゾエート、グリセリントリベンゾエート、ジグリセリンテトラベンゾエート、特開2003−12823号公報の段落32記載例示化合物16が挙げられる。
多価カルボン酸エステル系の一つであるジカルボン酸エステル系の可塑剤:具体的には、ジドデシルマロネート(C1)、ジオクチルアジペート(C4)、ジブチルセバケート(C8)等のアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロペンチルサクシネート、ジシクロヘキシルアジーペート等のアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルサクシネート、ジ4−メチルフェニルグルタレート等のアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジヘキシル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート、ジデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロヘキシル−1,2−シクロブタンジカルボキシレート、ジシクロプロピル−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニル−1,1−シクロプロピルジカルボキシレート、ジ2−ナフチル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート等のシクロアルキルジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、ジシクロプロピルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のアリールジカルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、ジフェニルフタレート、ジ4−メチルフェニルフタレート等のアリールジカルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また一置換でもよく、これらの置換基は更に置換されていてもよい。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。更にフタル酸の芳香環も置換されていてよく、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でもよい。またフタル酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
その他の多価カルボン酸エステル系の可塑剤としては、具体的にはトリドデシルトリカルバレート、トリブチル−meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロヘキシルトリカルバレート、トリシクロプロピル−2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボキシレート、テトラ3−メチルフェニルテトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボキシレート等のアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、テトラヘキシル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、テトラブチル−1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、テトラシクロプロピル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボキシレート、トリシクロヘキシル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤、トリフェニル−1,3,5−シクロヘキシルトリカルボキシレート、ヘキサ4−メチルフェニル−1,2,3,4,5,6−シクロヘキシルヘキサカルボキシレート等のシクロアルキル多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤、トリドデシルベンゼン−1,2,4−トリカルボキシレート、テトラオクチルベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アルキルエステル系の可塑剤、トリシクロペンチルベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、テトラシクロヘキシルベンゼン−1,2,3,5−テトラカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸シクロアルキルエステル系の可塑剤トリフェニルベンゼン−1,3,5−テトラカルトキシレート、ヘキサ4−メチルフェニルベンゼン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボキシレート等のアリール多価カルボン酸アリールエステル系の可塑剤が挙げられる。これらアルコキシ基、シクロアルコキシ基は、同一でもあっても異なっていてもよく、また1置換でもよく、これらの置換基は更に置換されていてもよい。アルキル基、シクロアルキル基はミックスでもよく、またこれら置換基同志が共有結合で結合していてもよい。更にフタル酸の芳香環も置換されていてよく、ダイマー、トリマー、テトラマー等の多量体でもよい。またフタル酸エステルの部分構造がポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへペンダントされていてもよく、酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。
上記多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤の中では、ジアルキルカルボン酸アルキルエステルが好ましく、具体的には上記のジオクチルアジペート、トリデシルトリカルバレートが挙げられる。
更にリン酸エステル系可塑剤、炭水化物エステル系可塑剤、ポリマー可塑剤等が挙げられる。
リン酸エステル系の可塑剤:具体的には、トリアセチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸アルキルエステル、トリシクロベンチルホスフェート、シクロヘキシルホスフェート等のリン酸シクロアルキルエステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリナフチルホスフェート、トリキシリルオスフェート、トリスオルト−ビフェニルホスフェート等のリン酸アリールエステルが挙げられる。これらの置換基は同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
またエチレンビス(ジメチルホスフェート)、ブチレンビス(ジエチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアルキルホスフェート)、エチレンビス(ジフェニルホスフェート)、プロピレンビス(ジナフチルホスフェート)等のアルキレンビス(ジアリールホスフェート)、フェニレンビス(ジブチルホスフェート)、ビフェニレンビス(ジオクチルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアルキルホスフェート)、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、ナフチレンビス(ジトルイルホスフェート)等のアリーレンビス(ジアリールホスフェート)等のリン酸エステルが挙げられる。これらの置換基は同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
更にリン酸エステルの部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にペンダントされていてもよく、また酸化防止剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。上記化合物の中では、リン酸アリールエステル、アリーレンビス(ジアリールホスフェート)が好ましく、具体的にはトリフェニルホスフェート、フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)が好ましい。
次に、炭水化物エステル系可塑剤について説明する。炭水化物とは、糖類がピラノース又はフラノース(6員環又は5員環)の形態で存在する単糖類、二糖類又は三糖類を意味する。炭水化物の非限定的例としては、グルコース、サッカロース、ラクトース、セロビオース、マンノース、キシロース、リボース、ガラクトース、アラビノース、フルクトース、ソルボース、セロトリオース及びラフィノースなどが挙げられる。炭水化物エステルとは、炭水化物の水酸基とカルボン酸が脱水縮合してエステル化合物を形成したものを指し、詳しくは、炭水化物の脂肪族カルボン酸エステル、或いは芳香族カルボン酸エステルを意味する。脂肪族カルボン酸として、例えば酢酸、プロピオン酸等を挙げることができ、芳香族カルボン酸として、例えば安息香酸、トルイル酸、アニス酸等を挙げることができる。炭水化物は、その種類に応じた水酸基の数を有するが、水酸基の一部とカルボン酸が反応してエステル化合物を形成しても、水酸基の全部とカルボン酸が反応してエステル化合物を形成してもよい。本実施形態においては、水酸基の全部とカルボン酸が反応してエステル化合物を形成するのが好ましい。
炭水化物エステル系可塑剤として、具体的には、グルコースペンタアセテート、グルコースペンタプロピオネート、グルコースペンタブチレート、サッカロースオクタアセテート、サッカロースオクタベンゾエート等を好ましく挙げることができ、この内、サッカロースオクタアセテートがより好ましい。
ポリマー可塑剤:具体的には、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルとメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの共重合体(例えば、共重合比1:99〜99:1の間の任意の比率)等のアクリル系ポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドン等のビニル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア等が挙げられる。数平均分子量は1,000〜500,000程度が好ましく、特に好ましくは、5000〜200000である。1000以下では揮発性に問題が生じ、500000を超えると可塑化能力が低下し、セルロースエステルフィルムの機械的性質に悪影響を及ぼす。これらポリマー可塑剤は1種の繰り返し単位からなる単独重合体でも、複数の繰り返し構造体を有する共重合体でもよい。また、上記ポリマーを2種以上併用して用いてもよい。
なお、本実施形態におけるセルロースアシレートは、着色すると光学用途として影響を与えるため、好ましくは黄色度(イエローインデックス、YI)が3.0以下、より好ましくは1.0以下である。黄色度はJIS−K7103に基づいて測定することができる。
可塑剤は、前述のセルロースエステル同様に、製造時から持ち越される、或いは保存中に発生する残留酸、無機塩、有機低分子等の不純物を除去する事が好ましく、より好ましくは純度99%以上である。残留酸、及び水としては、0.01〜100ppmであることが好ましく、セルロース樹脂を溶融製膜する上で、熱劣化を抑制でき、製膜安定性、フィルムFの光学物性、機械物性が向上する。
[2.3 酸化防止剤]
セルロースエステルは、溶融製膜が行われるような高温環境下では熱だけでなく酸素によっても分解が促進されるため、本実施形態のセルロースアシレートにおいては安定化剤として酸化防止剤を使用することが好ましい。
本実施形態において有用な酸化防止剤としては、酸素による溶融成形材料の劣化を抑制する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でも有用な酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物、耐熱加工安定剤、酸素スカベンジャー等が挙げられ、これらの中でも、特にフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、ラクトン系化合物が好ましい。
ヒンダードアミン化合物(HALS)としては、例えば、米国特許第4,619,956号明細書の第5〜11欄及び米国特許第4,839,405号明細書の第3〜5欄に記載されているように、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、またはそれらの酸付加塩もしくはそれらと金属化合物との錯体が好ましい。市販品としては、LA52(旭電化社製)を挙げることができる。
ラクトン系化合物としては、特開平7−233160号、特開平7−247278号記載の化合物が好ましい。
これらの安定剤は、それぞれ1種或いは2種以上組み合わせて用いることができ、その配合量は本実施形態の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、セルロースエステル100質量部に対して、通常0.001〜10.0質量部、好ましくは0.01〜5.0質量部、更に好ましくは、0.1〜3.0質量部である。
これらの化合物を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、溶融成形時の熱や熱酸化劣化等による成形体の着色や強度低下を防止できる。
酸化防止剤の添加量は、セルロースエステル100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜3質量部である。
[2.4 酸掃去剤]
酸掃去剤とは製造時から持ち込まれるセルロースエステル中に残留する酸(プロトン酸)をトラップする役割を担う剤である。また、セルロースエステルを溶融するとポリマー中の水分と熱により側鎖の加水分解が促進され、CAPならば酢酸やプロピオン酸が生成される。酸と化学的に結合できればよく、エポキシ、3級アミン、エーテル構造等を有する化合物が挙げられるが、これに限定されるものでない。
具体的には、米国特許第4,137,201号明細書に記載されている酸掃去剤としてのエポキシ化合物を含んでなるのが好ましい。このような酸掃去剤としてのエポキシ化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8〜40モルのエチレンオキシドなどの縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテルなど、金属エポキシ化合物(例えば、塩化ビニルポリマー組成物において、及び塩化ビニルポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(即ち、4,4′−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、2〜22この炭素原子の脂肪酸の4〜2個程度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)など)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリドなど(例えば、エポキシ化大豆油などの組成物によって代表され、例示され得る、エポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらは時としてエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している))が含まれる。
[2.5 紫外線吸収剤]
紫外線吸収剤としては、偏光子や表示装置の紫外線に対する劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤(フェニルサリシレート、p−tert−ブチルサリシレート等)あるいはベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン等)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−ドデシル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(1−メチル−1−フェニルエチル)−5′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェニル)ベンゾトリアゾール等)、シアノアクリレート系紫外線吸収剤(2′−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3−(3′,4′−メチレンジオキシフェニル)−アクリレート等)、トリアジン系紫外線吸収剤、あるいは特開昭58−185677号、同59−149350号記載の化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
本実施形態の紫外線吸収剤としては、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やトリアジン系紫外線吸収剤が好ましく、分光吸収スペクトルがより適切なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。
本実施形態の紫外線吸収剤と共に特に好ましく用いられる従来公知のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ビス化したものであってもよく、例えば、6,6′−メチレンビス(2−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル))−4−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)フェノール、6,6′−メチレンビス(2−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル))−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール等が挙げられる。
また、本実施形態においては、従来公知の紫外線吸収性ポリマーと組み合わせて用いることもできる。従来公知の紫外線吸収性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、RUVA−93(大塚化学社製)を単独重合させたポリマー及びRUVA−93と他のモノマーとを共重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、RUVA−93とメチルメタクリレートを3:7の比(質量比)で共重合させたPUVA−30M、5:5の比(質量比)で共重合させたPUVA−50M等が挙げられる。更に、特開2003−113317号公報に記載のポリマー等が挙げられる。
また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)360、チヌビン(TINUVIN)900、チヌビン(TINUVIN)928(いずれもチバ−スペシャルティ−ケミカルズ社製)、LA−31(旭電化社製)、RUVA−100(大塚化学社製)を用いることもできる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態においては、紫外線吸収剤は0.1〜20質量%添加することが好ましく、更に0.5〜10質量%添加することが好ましく、更に1〜5質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
[2.6 粘度低下剤]
本実施形態において、溶融粘度を低減する目的として、水素結合性溶媒を添加する事ができる。水素結合性溶媒とは、J.N.イスラエルアチビリ著、「分子間力と表面力」(近藤保、大島広行訳、マグロウヒル出版、1991年)に記載されるように、電気的に陰性な原子(酸素、窒素、フッ素、塩素)と電気的に陰性な原子と共有結合した水素原子間に生ずる、水素原子媒介「結合」を生ずることができるような有機溶媒、すなわち、結合モーメントが大きく、かつ水素を含む結合、例えば、O−H(酸素水素結合)、N−H(窒素水素結合)、F−H(フッ素水素結合)を含むことで近接した分子同士が配列できるような有機溶媒をいう。これらは、セルロース樹脂の分子間水素結合よりもセルロースとの間で強い水素結合を形成する能力を有するもので、本実施形態で行う溶融流延法においては、用いるセルロース樹脂単独のガラス転移温度よりも、水素結合性溶媒の添加によりセルロース樹脂組成物の溶融温度を低下する事ができる、または同じ溶融温度においてセルロース樹脂よりも水素結合性溶媒を含むセルロース樹脂組成物の溶融粘度を低下する事ができる。
水素結合性溶媒としては、例えば、アルコール類:例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、ドデカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、グリセリン等、ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン等、カルボン酸類:例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等、エーテル類:例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等、ピロリドン類:例えば、N−メチルピロリドン等、アミン類:例えば、トリメチルアミン、ピリジン等、等を例示することができる。これら水素結合性溶媒は、単独で、又は2種以上混合して用いることができる。これらのうちでも、アルコール、ケトン、エーテル類が好ましく、特にメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、オクタノール、ドデカノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン、テトラヒドロフランが好ましい。さらに、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン、テトラヒドロフランのような水溶性溶媒が特に好ましい。ここで水溶性とは、水100gに対する溶解度が10g以上のものをいう。
[2.7 リタデーション制御剤]
本実施形態のフィルムFにおいて配向膜を形成して液晶層を設け、フィルムFと液晶層由来のリタデーションを複合化して光学補償能を付与した偏光板加工を行ってもよい。リタデーションを制御するために添加する化合物は、欧州特許第911,656A2号明細書に記載されているような、二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物をリタデーション制御剤として使用することもできる。また2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に不飽和ヘテロ環である。中でも1,3,5−トリアジン環を有する化合物が特に好ましい。
[2.8 マット剤]
本実施形態のセルロースアシレートには、滑り性を付与するためにマット剤等の微粒子を添加することができ、微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。マット剤はできるだけ微粒子のものが好ましく、微粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることができる。中でも、二酸化ケイ素がフィルムFのヘイズを低くできるので好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムFのヘイズを低下できるため好ましい。
表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどが挙げられる。微粒子の平均粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れる。また、微粒子の二次粒子の平均粒径は0.05〜1.0μmの範囲である。好ましい微粒子の二次粒子の平均粒径は5〜50nmが好ましく、更に好ましくは7〜14nmである。これらの微粒子は、フィルムF表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させる為に好ましく用いられる。微粒子のセルロースエステル中の含有量はセルロースエステルに対して0.005〜0.3質量%が好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子としては、日本アエロジル(株)製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600等を挙げることができ、好ましくはアエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812である。これらの微粒子は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することができる。この場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えば、アエロジル200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲で使用できる。
上記マット剤として用いられるフィルムF中の微粒子の存在は、別の目的としてフィルムFの強度向上のために用いることもできる。また、フィルムF中の上記微粒子の存在は、本実施形態のセルロースアシレートを構成するセルロースエステル自身の配向性を向上させることも可能である。
[2.9 高分子材料]
本実施形態のセルロースアシレートにはセルロースエステル以外の高分子材料やオリゴマーを適宜選択して混合してもよい。前述の高分子材料やオリゴマーはセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、フィルムFにしたときの透過率が80%以上、更に好ましくは90%以上、更に好ましくは92%以上であることが好ましい。セルロースエステル以外の高分子材料やオリゴマーの少なくとも1種以上を混合する目的は、加熱溶融時の粘度制御や製膜後のフィルム物性を向上させるために行う意味を含んでいる。
[3 光学フィルムの製造方法]
続いて、本発明に係る光学フィルムMの製造方法について説明する。
まず、製膜部2で熱可塑性樹脂Rから薄膜状のフィルムFを成形する(製膜工程)。
本実施形態の製膜工程においては、溶融流延法を用いてフィルムFを成形する。具体的には、最初に、ペレット状の熱可塑性樹脂Rを一軸押出機21で溶融する。そして、溶融された熱可塑性樹脂Rをギヤポンプ22で送出し、フィルター23を介してTダイ24のスリットから押し出して薄膜状に成形する。この薄膜状の熱可塑性樹脂Rを所定温度の弾性タッチローラ25及びキャストローラ26の間に押し出すことで冷却しつつ引取りローラ27,27へ送り、引取りローラ27,27で更に冷却しつつ加熱部3へ送る。こうして、熱可塑性樹脂Rが薄膜状に冷却固化されることにより、フィルムFが成形される。
次に、成形されたフィルムFを加熱部3で加熱する(加熱工程)。
この加熱工程では、最初に、インライン膜厚計31でフィルムFの膜厚を計測する。これにより、例えば図3に示すような、幅手方向両端が内側に比べて厚く形成された膜厚が計測される。なお、このように幅手方向両端の膜厚が厚くなるのは、熱可塑性樹脂RをTダイ24のスリットから押し出す際に、熱可塑性樹脂Rに幅手中心方向へ引っ張る力が作用することに起因する、いわゆるネックイン現象によるものである。
そして、膜厚の計測されたフィルムFをヒートガン32で加熱する。このとき、図4に示すように、図示しない制御部により、膜厚の計測結果に基づいてフィルムFの幅手方向両端から全幅の10%の幅の範囲における平均膜厚tが算出され、この範囲内であって平均膜厚t以下の膜厚となるフィルム部分Hの少なくとも一部を加熱するようヒートガン32がセットされる。同時に、加熱されるフィルム部分Hの少なくとも一部の温度Tが、80≦T≦Tg+50[℃](Tg:熱可塑性樹脂のガラス転移温度[℃])となるようにヒートガン32の出力が調整される。
この加熱は、フィルムFの両端に生じる応力を熱変形により緩和するためのものである。詳細に説明すると、上述のネックイン現象によって膜厚が厚く形成されたフィルムFの両端には、複数のローラでの搬送時に搬送張力が集中する結果、フィルムFを幅手中心方向に引っ張る力(フィルムFの幅を狭める力)が作用して応力が生じる。上記の加熱は、この応力を緩和するためのものである。これにより、この応力に起因する長手方向(搬送方向)の縦シワや、目視では確認できない微小な歪の発生を抑制することができる。この効果は、上記の応力発生要因から、未延伸状態のフィルムFを長く搬送する工程において、より顕著に作用する。
また、この加熱は、後述の延伸工程の前に行うことで上記の縦シワや歪の発生を効果的に抑制することができる。これは、延伸工程におけるフィルムFの長手方向への延伸によって縦シワや歪が強調されるためである。更には、この加熱は、弾性タッチローラ25,キャストローラ26及び引取りローラ27,27による熱可塑性樹脂Rの冷却固化の直後に行うことが望ましい。
また、この加熱によるフィルムFの温度Tは、80℃未満であると、フィルムFの熱変形が少なく、応力を緩和する効果が不十分であり、Tg+50℃よりも高いと、フィルムFの加熱箇所が溶融して、フィルムFがローラに付着したり搬送方向に破断したりする恐れがある。したがって、この温度Tを80≦T≦Tg+50[℃]とすることで、加熱箇所の溶融を防止しつつフィルムFを十分に熱変形させることができる。但し、この温度Tは、80≦T≦Tg+30[℃]であるのがより好ましく、100≦T≦Tg+10[℃]であるのが更に好ましい。
次に、加熱されたフィルム部分Hの少なくとも一部を切断して除去する(切断工程)。
より詳しくは、フィルム部分Hのうちの加熱された部分からフィルムFの最端部までを、加熱部3のロータリーカッター33でフィルムFの長手方向に切断することによって除去する。この切断工程でフィルムFの両端部を除去することにより、以降の搬送による当該両端部での応力の発生を防止できることから、縦シワや歪の発生をより確実に抑制することができる。なお、この切断工程では、フィルム部分Hのうちの加熱された部分のみを除去してもよいし、フィルム部分H全体を除去してもよい。また、この切断工程を行わなくともよい。
次に、成形され加熱されたフィルムFを縦延伸機4で長手方向に延伸する(延伸工程)。
この延伸工程では、IRヒータ40でフィルムFを加熱しつつ、順番に徐々に周速が早くなるよう駆動された第1〜第9ローラ41〜49でフィルムFを搬送することにより、当該フィルムFを長手方向(搬送方向)へ延伸する。このとき、IRヒータ40によってフィルムFが加熱される第6ローラ46と第7ローラ47との間で最も周速の差が大きくなるように、第1〜第9ローラ41〜49が駆動される。
次に、延伸されて光学フィルムMとなったフィルムFを、巻取り部5のワインダー51で巻き取る。
こうして、ワインダー51に巻き取られたロール状態の光学フィルムMが完成する。
以上の光学フィルムMの製造方法によれば、長手方向へ延伸される前のフィルムFに対し、当該フィルムFの幅手方向両端から所定の範囲内の少なくとも一部を加熱するので、長手方向の縦シワや歪が延伸によって強調される前に、幅手方向内側よりも強い搬送張力が作用している部分を熱変形させて、縦シワや歪の原因となる応力を効果的に緩和させることができる。
この際、フィルムFの幅手方向両端から全幅の10%の幅の範囲内の少なくとも一部だけを加熱するので、フィルムF全体が加熱されて搬送張力による不要な延伸や光学特性の変化を生じさせたり、上記範囲外のフィルムF内側に縦シワや歪が生じて完成品である光学フィルムMの有効幅を減らしたりすることがない。
また、上記範囲の平均膜厚t以下の膜厚となるフィルム部分Hの少なくとも一部だけを加熱するので、つまりは、最も厚く形成されて最も強く搬送張力が作用するフィルムFの最端部は加熱しない。これにより、当該最端部が加熱されてフィルムFが部分的に延伸することによる当該フィルムFの破断を防止することができる。
また、上記フィルム部分Hの少なくとも一部を80≦T≦Tg+50[℃](Tg:熱可塑性樹脂Rのガラス転移温度[℃])を満たす温度Tに加熱するので、加熱箇所の溶融を防止しつつ十分に熱変形させて、縦シワや歪の原因となる応力を確実に緩和させることができる。
以上により、長手方向の縦シワや歪の発生を抑制することができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。
例えば、上記実施形態では、製膜工程において溶融流延法を用いることとしたが、溶液流延法を用いることとしてもよい。
また、延伸工程においてフィルムFを長手方向(搬送方向)のみに延伸することとしたが、縦延伸機4の後流にテンターを設け、当該テンターによりフィルムFを幅手方向に延伸することとしてもよい。
また、インライン膜厚計31は、接触式と非接触式とのいずれの形式であってもよいが、ライン中での計測が容易な点から、レーザーやX線を利用した非接触式のものとするのが好ましい。
また、ヒートガン32は、フィルムFを熱風で加熱するものでなくともよく、ヒートローラ等の接触しながら加熱するものや、IRヒータ等の照射により加熱するものであってもよい。
また、ロータリーカッター33は、回転式のものでなくともよく、片刃のカッター等の固定式のものとしてもよい。
以下に、実施例を挙げることにより、本発明をさらに具体的に説明する。
(1)サンプルの作製
本発明の実施例及び比較例として、以下の条件により、光学フィルムMのサンプルを作製した。
(1.1)実施例1
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂Rとして、下記処方の原材料を充分に混合して乾燥させ、二軸押出機において240℃でストランド状に溶融押し出しした後、常温の純水にて冷却固化させ、カッターで断裁して直径φ1〜2mm、長さ2〜3mmのペレット状のものを成形した。
<熱可塑性樹脂の原材料>
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル化度0.15、プロピオニル化度2.63、全アシル置換度2.78、数平均分子量55800(数平均重合度DPn=177)、質量平均分子量13900(質量平均重合度DPw=440)、残存硫酸量61ppm(S硫黄量21ppm)、マグネシウム含有量20ppm、カルシウム含有量7ppm、ナトリウム含有量1ppm、カリウム含有量1ppm、鉄含有量2ppm):100質量部、
安定剤(スミライザーGP:住友化学株式会社製):0.1質量部、
安定剤(アデカスタブAO−60:旭電化工業株式会社製):0.3質量部、
紫外線吸収剤(アデカスタブLA−31:旭電化工業株式会社製):1.1質量部。
<製膜工程>
上記ペレット状の熱可塑性樹脂Rを乾燥風にて含水率100ppm以下に乾燥後、一軸押出機21にて250℃で溶融した。この熱可塑性樹脂Rをギヤポンプ22で送出し、フィルター23を介してTダイ24のスリット(間隔1mm、幅1500mm)から、それぞれ120℃に保熱した弾性タッチローラ25とキャストローラ26との間に押し出した。そして、この熱可塑性樹脂Rを搬送方向順に100℃と80℃とに保熱された2つの引取りローラ27,27に通過させることによって、全幅が約1400mmのフィルムFを成形した。このとき、一軸押出機21からの熱可塑性樹脂Rの押し出し量は220kg/hr、各ローラの巻き取り速度(周速)は20m/minとした。
<加熱工程>
上記フィルムFの膜厚をレーザー式のインライン膜厚計31で計測した。得られた膜厚分布は、フィルムF最端部の膜厚が約200μmであり、両端から全幅の10%の範囲の平均膜厚tが、OS側で129μm、DS側で126μmであった。また、上記の範囲よりも幅手方向内側の膜厚は112〜116μmであった。なお、OS側とは、フィルムFを搬送方向に見たときの左側(図1の奥側)を指し、DS側とは、同じく右側(図1の手前側)を指す。
上記の膜厚の計測結果より、平均膜厚t以下のフィルム部分Hとして、OS側は50〜140mmの範囲、DS側は1260〜1360mmの範囲を加熱することとした。そして、この各範囲内であって、OS側は60mmの位置、DS側は1340mmの位置を、それぞれ110℃となるよう送風口がφ30mmのヒートガン32で加熱した。なお、上記の範囲及び位置の数値は、いずれもOS側のフィルム端からの距離である。また、熱可塑性樹脂Rのガラス転移温度Tgは135℃である。
<延伸工程>
縦延伸機4において、第1ローラ41の周速(フィルムFの進入速度)を20m/min、第9ローラ49の周速(フィルムFの送出速度)を40m/minとし(2倍延伸)、IRヒータ40でフィルムFを200℃に加熱して延伸した。このとき、第1〜第6ローラ41〜46の周面は、それぞれ60,70,80,90,120,120℃に保温し、第7〜第9ローラ47〜49の周面は、それぞれ120,90,70℃に保温した。
以上の条件で作製された光学フィルムMを「実施例1」のサンプルとした。
(1.2)実施例2
実施例1の加熱工程の後にフィルム部分Hをロータリーカッター33で切断して除去する切断工程を行った。この切断工程後のフィルムFを実施例1と同様に延伸したものを「実施例2」のサンプルとした。
(1.3)比較例
実施例1の加熱工程を行わなかったものを「比較例」のサンプルとした。
(2)サンプルの評価
作製した各サンプルについて、以下の3つの評価方法により、光学フィルムMの長手方向の先頭部分、中心部分、後尾部分の3箇所における縦シワの発生を評価したところ、以下の表1に示す結果となった。
(2.1)透過光による評価
白色のスクリーン、サンプル及びメタルハライドランプを、この順番に1m、0.5mの間隔を空けて配置し、サンプルから透過されるメタルハライドランプの透過光をスクリーン上に拡大して照射させ、目視で確認することにより、縦シワの発生を評価した。縦シワの発生が確認できない場合には、同種のサンプルを2枚重ねて同様に評価した。評価の基準は以下の通りである。
◎:サンプルを2枚重ねても縦シワが確認できない。
○:サンプルを2枚重ねると微かに縦シワ状のムラが確認できる。
△:サンプル1枚でも微かに縦シワ状のムラが確認できる。
(2.2)反射光による評価
昼光色の蛍光灯下において、サンプルで反射される当該蛍光灯の反射光を目視で確認することにより、縦シワの発生を評価した。評価の基準は以下の通りである。
◎:全く縦シワが確認できない。
○:微かに縦シワ状のムラが確認できるが、この縦シワの位置は特定できない。
△:微かに縦シワ状のムラが確認でき、この縦シワの位置が特定できる。
(2.3)光漏れによる評価
サンプルを2枚の偏光板(偏光方向は互いに垂直)で挟み、シャーカステン上で光漏れを確認することにより、縦シワの発生を評価した。なお、光漏れの確認は、フィルムFを回転させたときの、漏れる光が最も少ない角度で行った。評価の基準は以下の通りである。
◎:光漏れが確認できない。
○:微かに縦シワ状の光漏れが確認できるが、この縦シワの位置は特定できない。
△:微かに縦シワ状の光漏れが確認でき、この縦シワの位置が特定できる。
Figure 2010234715
(3)まとめ
表1の実施例1と比較例との結果から、加熱工程を行うことにより、直接の目視では確認が困難な微小な縦シワ(歪)の発生を抑制できていることが分かる。また、実施例1と実施例2との結果から、フィルム部分Hを除去することにより、縦シワの発生を更に抑制できていることが分かる。
1 製造装置(光学フィルムの製造装置)
2 製膜部(製膜手段)
4 縦延伸機(延伸手段)
32 ヒートガン(加熱手段)
F フィルム
H フィルム部分
M 光学フィルム
R 熱可塑性樹脂
T 温度
Tg 熱可塑性樹脂のガラス転移温度
t 平均膜厚

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂から薄膜状のフィルムを成形する製膜工程と、成形されたフィルムを長手方向へ延伸する延伸工程とを備える光学フィルムの製造方法において、
    前記製膜工程の後であって前記延伸工程の前に、
    前記フィルムの幅手方向両端から全幅の10%の幅の範囲内であって当該範囲の平均膜厚以下の膜厚であるフィルム部分の少なくとも一部を、以下の(1)式を満たす温度Tに加熱する加熱工程を備えることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
    80≦T≦Tg+50 [℃] (1)
    (但し、Tg:前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度[℃])
  2. 請求項1に記載の光学フィルムの製造方法において、
    前記加熱工程の後であって前記延伸工程の前に、
    前記加熱工程で加熱された前記フィルム部分の前記少なくとも一部を、前記フィルムの長手方向に切断して除去する切断工程を備えることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の光学フィルムの製造方法において、
    前記熱可塑性樹脂は、セルロースアシレートであることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法によって製造されることを特徴とする光学フィルム。
  5. 熱可塑性樹脂から薄膜状のフィルムを成形する製膜手段と、成形された前記フィルムを長手方向に延伸する延伸手段とを備える光学フィルムの製造装置において、
    前記製膜手段で成形された後であって前記延伸手段で延伸される前の前記フィルムに対し、当該フィルムの幅手方向両端から全幅の10%の幅の範囲内であって当該範囲の平均膜厚以下の膜厚であるフィルム部分の少なくとも一部を、以下の(1)式を満たす温度Tに加熱する加熱手段を備えることを特徴とする光学フィルムの製造装置。
    80≦T≦Tg+50 [℃] (1)
    (但し、Tg:前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度[℃])
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