JP2010234715A - 光学フィルムの製造方法、光学フィルム及び光学フィルムの製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂Rから薄膜状のフィルムFを成形する製膜工程の後であって、成形されたフィルムFを長手方向へ延伸する延伸工程の前に、フィルムFの幅手方向両端から全幅の10%の幅の範囲内であって当該範囲の平均膜厚t以下の膜厚であるフィルム部分Hの少なくとも一部を、80≦T≦Tg+50[℃]を満たす温度Tに加熱する加熱工程を行う(但し、Tg:前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度[℃])。
【選択図】図1
Description
上記の製膜工程において、熱可塑性樹脂を薄膜状に押し出す際、この熱可塑性樹脂に幅手中心方向へ引っ張る力が作用し、両端が厚くなったフィルムが成形される(ネックイン現象)。そして、この両端の厚いフィルムが複数のガイドローラ等で搬送されることによって両端の膜厚部に搬送張力が集中する結果、フィルムに幅手中心方向へ引っ張る力(フィルムの幅を狭める力)が作用して応力が生じるため、長手方向の縦シワや目視では確認できない程度の微小な歪が発生することが判明した。
前記製膜工程の後であって前記延伸工程の前に、
前記フィルムの幅手方向両端から全幅の10%の幅の範囲内であって当該範囲の平均膜厚以下の膜厚であるフィルム部分の少なくとも一部を、以下の(1)式を満たす温度Tに加熱する加熱工程を備えることを特徴とする。
80≦T≦Tg+50 [℃] (1)
(但し、Tg:前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度[℃])
前記加熱工程の後であって前記延伸工程の前に、
前記加熱工程で加熱された前記フィルム部分の前記少なくとも一部を、前記フィルムの長手方向に切断して除去する切断工程を備えることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂は、セルロースアシレートであることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法によって製造されることを特徴とする。
前記製膜手段で成形された後であって前記延伸手段で延伸される前の前記フィルムに対し、当該フィルムの幅手方向両端から全幅の10%の幅の範囲内であって当該範囲の平均膜厚以下の膜厚であるフィルム部分の少なくとも一部を、以下の(1)式を満たす温度Tに加熱する加熱手段を備えることを特徴とする。
80≦T≦Tg+50 [℃] (1)
(但し、Tg:前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度[℃])
この際、フィルムの幅手方向両端から全幅の10%の幅の範囲内の少なくとも一部を加熱すればよく、フィルム全体を加熱する必要がないので、フィルム全体が加熱されて搬送張力による不要な延伸や光学特性の変化を生じさせたり、上記範囲外のフィルム内側に縦シワや歪が生じて完成品である光学フィルムの有効幅を減らしたりすることがない。
また、上記範囲の平均膜厚以下の膜厚となるフィルム部分の少なくとも一部だけを加熱するので、つまりは、最も厚く形成されて最も強く搬送張力が作用するフィルムの最端部は加熱しない。これにより、当該最端部が加熱されてフィルムが部分的に延伸することによる当該フィルムの破断を防止することができる。
また、上記フィルム部分の少なくとも一部を80≦T≦Tg+50[℃](Tg:熱可塑性樹脂のガラス転移温度[℃])を満たす温度Tに加熱するので、加熱箇所の溶融を防止しつつ十分に熱変形させて、縦シワや歪の原因となる応力を確実に緩和させることができる。
以上により、長手方向の縦シワや歪の発生を抑制することができる。
まず、本発明に係る光学フィルムの製造装置(以下、製造装置という)1について説明する。
図1は、製造装置1の全体構成図であり、図2は、後述する縦延伸機4の全体構成図である。
80≦T≦Tg+50 [℃] (1)
但し、Tgは熱可塑性樹脂Rのガラス転移温度[℃]である。
続いて、光学フィルムM(フィルムF)の材料である熱可塑性樹脂Rについて説明する。
熱可塑性樹脂Rは、本実施形態においては、セルロースアシレートである。
セルロースアシレートは、その優れた光学特性や成形容易性から、光学フィルムM作製用の熱可塑性樹脂Rとして好適に用いられる。
セルロースアシレート原料のセルロースとしては、特に限定はされないが、綿花リンター、木材パルプやケフナ等がある。またこれらから得られた原料セルロースを任意の割合で混合して使用してもよい。セルロースアシレートは、アセチル基または炭素原子数が3〜22のアシル基を有するセルロースアシレートであることが好ましい。炭素原子数3〜22のアシル基の例には、プロピオニル(C2H5CO−)、n−ブチリル(C3H7CO−)、イソブチリル、バレリル(C4H9CO−)、イソバレリル、sec−バレリル、tert−バレリル、オクタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル及びオレオロイルが含まれる。プロピオニル及びブチリルが好ましい。セルロースアシレートとしては、セルロースアセテートが好ましく、セルローストリアセテートが特に好ましい。アシル基のアシル化剤が酸無水物や酸クロライドである場合、反応溶媒としての有機溶媒は、有機酸(例、酢酸)やメチレンクロライドが使用される。セルロースアシレートは、セルロースの水酸基の置換度が2.6〜3.0であることが好ましい。セルロースアシレートの重合度(粘度平均)は、200〜700であることが好ましく、250〜550であることが特に好ましい。これらのセルロースアシレートは、ダイセル化学工業(株)、コートルズ社、ヘキスト社、イーストマンコダック社により市販されている。写真用グレードのセルロースアシレートが好ましく用いられる。セルロースアシレートの含水率は、2質量%以下であることが好ましい。
本実施形態の熱可塑性樹脂Rに添加する可塑剤としては、下記の可塑剤が挙げられる。
多価アルコールと1価のカルボン酸からなるエステル系可塑剤、多価カルボン酸と1価のアルコールからなるエステル系可塑剤はセルロースエステルと親和性が高く好ましい。
リン酸エステル系の可塑剤:具体的には、トリアセチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸アルキルエステル、トリシクロベンチルホスフェート、シクロヘキシルホスフェート等のリン酸シクロアルキルエステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリナフチルホスフェート、トリキシリルオスフェート、トリスオルト−ビフェニルホスフェート等のリン酸アリールエステルが挙げられる。これらの置換基は同一でもあっても異なっていてもよく、更に置換されていてもよい。またアルキル基、シクロアルキル基、アリール基のミックスでもよく、また置換基同志が共有結合で結合していてもよい。
セルロースエステルは、溶融製膜が行われるような高温環境下では熱だけでなく酸素によっても分解が促進されるため、本実施形態のセルロースアシレートにおいては安定化剤として酸化防止剤を使用することが好ましい。
本実施形態において有用な酸化防止剤としては、酸素による溶融成形材料の劣化を抑制する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でも有用な酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物、耐熱加工安定剤、酸素スカベンジャー等が挙げられ、これらの中でも、特にフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、ラクトン系化合物が好ましい。
ラクトン系化合物としては、特開平7−233160号、特開平7−247278号記載の化合物が好ましい。
酸化防止剤の添加量は、セルロースエステル100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部、更に好ましくは0.1〜3質量部である。
酸掃去剤とは製造時から持ち込まれるセルロースエステル中に残留する酸(プロトン酸)をトラップする役割を担う剤である。また、セルロースエステルを溶融するとポリマー中の水分と熱により側鎖の加水分解が促進され、CAPならば酢酸やプロピオン酸が生成される。酸と化学的に結合できればよく、エポキシ、3級アミン、エーテル構造等を有する化合物が挙げられるが、これに限定されるものでない。
紫外線吸収剤としては、偏光子や表示装置の紫外線に対する劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤(フェニルサリシレート、p−tert−ブチルサリシレート等)あるいはベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン等)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−ドデシル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(1−メチル−1−フェニルエチル)−5′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−(1−メチル−1−フェニルエチル)−フェニル)ベンゾトリアゾール等)、シアノアクリレート系紫外線吸収剤(2′−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3−(3′,4′−メチレンジオキシフェニル)−アクリレート等)、トリアジン系紫外線吸収剤、あるいは特開昭58−185677号、同59−149350号記載の化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
本実施形態において、溶融粘度を低減する目的として、水素結合性溶媒を添加する事ができる。水素結合性溶媒とは、J.N.イスラエルアチビリ著、「分子間力と表面力」(近藤保、大島広行訳、マグロウヒル出版、1991年)に記載されるように、電気的に陰性な原子(酸素、窒素、フッ素、塩素)と電気的に陰性な原子と共有結合した水素原子間に生ずる、水素原子媒介「結合」を生ずることができるような有機溶媒、すなわち、結合モーメントが大きく、かつ水素を含む結合、例えば、O−H(酸素水素結合)、N−H(窒素水素結合)、F−H(フッ素水素結合)を含むことで近接した分子同士が配列できるような有機溶媒をいう。これらは、セルロース樹脂の分子間水素結合よりもセルロースとの間で強い水素結合を形成する能力を有するもので、本実施形態で行う溶融流延法においては、用いるセルロース樹脂単独のガラス転移温度よりも、水素結合性溶媒の添加によりセルロース樹脂組成物の溶融温度を低下する事ができる、または同じ溶融温度においてセルロース樹脂よりも水素結合性溶媒を含むセルロース樹脂組成物の溶融粘度を低下する事ができる。
本実施形態のフィルムFにおいて配向膜を形成して液晶層を設け、フィルムFと液晶層由来のリタデーションを複合化して光学補償能を付与した偏光板加工を行ってもよい。リタデーションを制御するために添加する化合物は、欧州特許第911,656A2号明細書に記載されているような、二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物をリタデーション制御剤として使用することもできる。また2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に不飽和ヘテロ環である。中でも1,3,5−トリアジン環を有する化合物が特に好ましい。
本実施形態のセルロースアシレートには、滑り性を付与するためにマット剤等の微粒子を添加することができ、微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。マット剤はできるだけ微粒子のものが好ましく、微粒子としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることができる。中でも、二酸化ケイ素がフィルムFのヘイズを低くできるので好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムFのヘイズを低下できるため好ましい。
本実施形態のセルロースアシレートにはセルロースエステル以外の高分子材料やオリゴマーを適宜選択して混合してもよい。前述の高分子材料やオリゴマーはセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、フィルムFにしたときの透過率が80%以上、更に好ましくは90%以上、更に好ましくは92%以上であることが好ましい。セルロースエステル以外の高分子材料やオリゴマーの少なくとも1種以上を混合する目的は、加熱溶融時の粘度制御や製膜後のフィルム物性を向上させるために行う意味を含んでいる。
続いて、本発明に係る光学フィルムMの製造方法について説明する。
本実施形態の製膜工程においては、溶融流延法を用いてフィルムFを成形する。具体的には、最初に、ペレット状の熱可塑性樹脂Rを一軸押出機21で溶融する。そして、溶融された熱可塑性樹脂Rをギヤポンプ22で送出し、フィルター23を介してTダイ24のスリットから押し出して薄膜状に成形する。この薄膜状の熱可塑性樹脂Rを所定温度の弾性タッチローラ25及びキャストローラ26の間に押し出すことで冷却しつつ引取りローラ27,27へ送り、引取りローラ27,27で更に冷却しつつ加熱部3へ送る。こうして、熱可塑性樹脂Rが薄膜状に冷却固化されることにより、フィルムFが成形される。
この加熱工程では、最初に、インライン膜厚計31でフィルムFの膜厚を計測する。これにより、例えば図3に示すような、幅手方向両端が内側に比べて厚く形成された膜厚が計測される。なお、このように幅手方向両端の膜厚が厚くなるのは、熱可塑性樹脂RをTダイ24のスリットから押し出す際に、熱可塑性樹脂Rに幅手中心方向へ引っ張る力が作用することに起因する、いわゆるネックイン現象によるものである。
より詳しくは、フィルム部分Hのうちの加熱された部分からフィルムFの最端部までを、加熱部3のロータリーカッター33でフィルムFの長手方向に切断することによって除去する。この切断工程でフィルムFの両端部を除去することにより、以降の搬送による当該両端部での応力の発生を防止できることから、縦シワや歪の発生をより確実に抑制することができる。なお、この切断工程では、フィルム部分Hのうちの加熱された部分のみを除去してもよいし、フィルム部分H全体を除去してもよい。また、この切断工程を行わなくともよい。
この延伸工程では、IRヒータ40でフィルムFを加熱しつつ、順番に徐々に周速が早くなるよう駆動された第1〜第9ローラ41〜49でフィルムFを搬送することにより、当該フィルムFを長手方向(搬送方向)へ延伸する。このとき、IRヒータ40によってフィルムFが加熱される第6ローラ46と第7ローラ47との間で最も周速の差が大きくなるように、第1〜第9ローラ41〜49が駆動される。
こうして、ワインダー51に巻き取られたロール状態の光学フィルムMが完成する。
この際、フィルムFの幅手方向両端から全幅の10%の幅の範囲内の少なくとも一部だけを加熱するので、フィルムF全体が加熱されて搬送張力による不要な延伸や光学特性の変化を生じさせたり、上記範囲外のフィルムF内側に縦シワや歪が生じて完成品である光学フィルムMの有効幅を減らしたりすることがない。
また、上記範囲の平均膜厚t以下の膜厚となるフィルム部分Hの少なくとも一部だけを加熱するので、つまりは、最も厚く形成されて最も強く搬送張力が作用するフィルムFの最端部は加熱しない。これにより、当該最端部が加熱されてフィルムFが部分的に延伸することによる当該フィルムFの破断を防止することができる。
また、上記フィルム部分Hの少なくとも一部を80≦T≦Tg+50[℃](Tg:熱可塑性樹脂Rのガラス転移温度[℃])を満たす温度Tに加熱するので、加熱箇所の溶融を防止しつつ十分に熱変形させて、縦シワや歪の原因となる応力を確実に緩和させることができる。
以上により、長手方向の縦シワや歪の発生を抑制することができる。
また、延伸工程においてフィルムFを長手方向(搬送方向)のみに延伸することとしたが、縦延伸機4の後流にテンターを設け、当該テンターによりフィルムFを幅手方向に延伸することとしてもよい。
また、ヒートガン32は、フィルムFを熱風で加熱するものでなくともよく、ヒートローラ等の接触しながら加熱するものや、IRヒータ等の照射により加熱するものであってもよい。
また、ロータリーカッター33は、回転式のものでなくともよく、片刃のカッター等の固定式のものとしてもよい。
本発明の実施例及び比較例として、以下の条件により、光学フィルムMのサンプルを作製した。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂Rとして、下記処方の原材料を充分に混合して乾燥させ、二軸押出機において240℃でストランド状に溶融押し出しした後、常温の純水にて冷却固化させ、カッターで断裁して直径φ1〜2mm、長さ2〜3mmのペレット状のものを成形した。
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル化度0.15、プロピオニル化度2.63、全アシル置換度2.78、数平均分子量55800(数平均重合度DPn=177)、質量平均分子量13900(質量平均重合度DPw=440)、残存硫酸量61ppm(S硫黄量21ppm)、マグネシウム含有量20ppm、カルシウム含有量7ppm、ナトリウム含有量1ppm、カリウム含有量1ppm、鉄含有量2ppm):100質量部、
安定剤(スミライザーGP:住友化学株式会社製):0.1質量部、
安定剤(アデカスタブAO−60:旭電化工業株式会社製):0.3質量部、
紫外線吸収剤(アデカスタブLA−31:旭電化工業株式会社製):1.1質量部。
上記ペレット状の熱可塑性樹脂Rを乾燥風にて含水率100ppm以下に乾燥後、一軸押出機21にて250℃で溶融した。この熱可塑性樹脂Rをギヤポンプ22で送出し、フィルター23を介してTダイ24のスリット(間隔1mm、幅1500mm)から、それぞれ120℃に保熱した弾性タッチローラ25とキャストローラ26との間に押し出した。そして、この熱可塑性樹脂Rを搬送方向順に100℃と80℃とに保熱された2つの引取りローラ27,27に通過させることによって、全幅が約1400mmのフィルムFを成形した。このとき、一軸押出機21からの熱可塑性樹脂Rの押し出し量は220kg/hr、各ローラの巻き取り速度(周速)は20m/minとした。
上記フィルムFの膜厚をレーザー式のインライン膜厚計31で計測した。得られた膜厚分布は、フィルムF最端部の膜厚が約200μmであり、両端から全幅の10%の範囲の平均膜厚tが、OS側で129μm、DS側で126μmであった。また、上記の範囲よりも幅手方向内側の膜厚は112〜116μmであった。なお、OS側とは、フィルムFを搬送方向に見たときの左側(図1の奥側)を指し、DS側とは、同じく右側(図1の手前側)を指す。
縦延伸機4において、第1ローラ41の周速(フィルムFの進入速度)を20m/min、第9ローラ49の周速(フィルムFの送出速度)を40m/minとし(2倍延伸)、IRヒータ40でフィルムFを200℃に加熱して延伸した。このとき、第1〜第6ローラ41〜46の周面は、それぞれ60,70,80,90,120,120℃に保温し、第7〜第9ローラ47〜49の周面は、それぞれ120,90,70℃に保温した。
以上の条件で作製された光学フィルムMを「実施例1」のサンプルとした。
実施例1の加熱工程の後にフィルム部分Hをロータリーカッター33で切断して除去する切断工程を行った。この切断工程後のフィルムFを実施例1と同様に延伸したものを「実施例2」のサンプルとした。
実施例1の加熱工程を行わなかったものを「比較例」のサンプルとした。
作製した各サンプルについて、以下の3つの評価方法により、光学フィルムMの長手方向の先頭部分、中心部分、後尾部分の3箇所における縦シワの発生を評価したところ、以下の表1に示す結果となった。
白色のスクリーン、サンプル及びメタルハライドランプを、この順番に1m、0.5mの間隔を空けて配置し、サンプルから透過されるメタルハライドランプの透過光をスクリーン上に拡大して照射させ、目視で確認することにより、縦シワの発生を評価した。縦シワの発生が確認できない場合には、同種のサンプルを2枚重ねて同様に評価した。評価の基準は以下の通りである。
○:サンプルを2枚重ねると微かに縦シワ状のムラが確認できる。
△:サンプル1枚でも微かに縦シワ状のムラが確認できる。
昼光色の蛍光灯下において、サンプルで反射される当該蛍光灯の反射光を目視で確認することにより、縦シワの発生を評価した。評価の基準は以下の通りである。
○:微かに縦シワ状のムラが確認できるが、この縦シワの位置は特定できない。
△:微かに縦シワ状のムラが確認でき、この縦シワの位置が特定できる。
サンプルを2枚の偏光板(偏光方向は互いに垂直)で挟み、シャーカステン上で光漏れを確認することにより、縦シワの発生を評価した。なお、光漏れの確認は、フィルムFを回転させたときの、漏れる光が最も少ない角度で行った。評価の基準は以下の通りである。
○:微かに縦シワ状の光漏れが確認できるが、この縦シワの位置は特定できない。
△:微かに縦シワ状の光漏れが確認でき、この縦シワの位置が特定できる。
表1の実施例1と比較例との結果から、加熱工程を行うことにより、直接の目視では確認が困難な微小な縦シワ(歪)の発生を抑制できていることが分かる。また、実施例1と実施例2との結果から、フィルム部分Hを除去することにより、縦シワの発生を更に抑制できていることが分かる。
2 製膜部(製膜手段)
4 縦延伸機(延伸手段)
32 ヒートガン(加熱手段)
F フィルム
H フィルム部分
M 光学フィルム
R 熱可塑性樹脂
T 温度
Tg 熱可塑性樹脂のガラス転移温度
t 平均膜厚
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂から薄膜状のフィルムを成形する製膜工程と、成形されたフィルムを長手方向へ延伸する延伸工程とを備える光学フィルムの製造方法において、
前記製膜工程の後であって前記延伸工程の前に、
前記フィルムの幅手方向両端から全幅の10%の幅の範囲内であって当該範囲の平均膜厚以下の膜厚であるフィルム部分の少なくとも一部を、以下の(1)式を満たす温度Tに加熱する加熱工程を備えることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
80≦T≦Tg+50 [℃] (1)
(但し、Tg:前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度[℃]) - 請求項1に記載の光学フィルムの製造方法において、
前記加熱工程の後であって前記延伸工程の前に、
前記加熱工程で加熱された前記フィルム部分の前記少なくとも一部を、前記フィルムの長手方向に切断して除去する切断工程を備えることを特徴とする光学フィルムの製造方法。 - 請求項1又は2に記載の光学フィルムの製造方法において、
前記熱可塑性樹脂は、セルロースアシレートであることを特徴とする光学フィルムの製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法によって製造されることを特徴とする光学フィルム。
- 熱可塑性樹脂から薄膜状のフィルムを成形する製膜手段と、成形された前記フィルムを長手方向に延伸する延伸手段とを備える光学フィルムの製造装置において、
前記製膜手段で成形された後であって前記延伸手段で延伸される前の前記フィルムに対し、当該フィルムの幅手方向両端から全幅の10%の幅の範囲内であって当該範囲の平均膜厚以下の膜厚であるフィルム部分の少なくとも一部を、以下の(1)式を満たす温度Tに加熱する加熱手段を備えることを特徴とする光学フィルムの製造装置。
80≦T≦Tg+50 [℃] (1)
(但し、Tg:前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度[℃])
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