以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の工作機械の全体構成を表す側面図である。図1において、工作機械1は、XY軸移動装置(特に図示せず)と、Z軸移動装置(上下移動機構)5と、主軸駆動装置20と、自動工具交換装置(工具交換機構)2等から構成している。XY軸移動装置は、ワークを保持したテーブル135を直交するX方向とY方向とに移動するものである。テーブル135は、X軸モータ131(図13参照)及びY軸モータ132(図13参照)によって移動する。Z軸移動装置5は、主軸22(主軸ヘッド6)を上下移動するものである。主軸駆動装置20は、主軸22を回転駆動する。自動工具交換装置2は、工具ホルダ75(後述の図2、図7参照)を自動的に主軸22に受け渡す。工作機械1は、これら複数の移動機構及び駆動機構の動作をそれぞれ数値制御する制御部9を一体的に設けている。
自動工具交換装置2は、垂直なコラム3と、フレーム4と、主軸ヘッド6及び工具マガジン(回転型マガジン)8等を備えている。フレーム4は、コラム3から前方に延び、工具マガジンを支持する。主軸ヘッド6は、Z軸移動装置5によりZ軸方向に往復移動する。工具マガジン8は、マガジン支持台7を介してフレーム4に回転可能に支持されている。
工作機械1は、クーラント液を貯留する貯留槽134を背面側に設けている。工作機械1は、貯留タンク86を内部に有している。貯留タンク86は、貯留槽134から第1ポンプ83(図10参照)で吸引したクーラント液を、洗浄液として貯留する。
図2はZ軸移動装置5およびその周辺の構成を詳細に表す縦断面図である。図2において、コラム3は、ガイドレール11を鉛直方向に備える。ガイドレール11は、一対の摺動コマ12を介して主軸ヘッド6を上下(Z軸)方向に昇降自在に取付けている。コラム3は、回転自在なボールねじ14をガイドレール11に沿って平行に備えている。ボールねじ14は、主軸ヘッド6の背面に固定したナット13にねじ込みながら挿通している。ボールねじ14は、コラム3の上部に配設したZ軸モータ11の駆動で、正逆の両方向に回転する。主軸ヘッド6は、Z軸モータ11の駆動で、ボールねじ14及びナット13を介して、ガイドレール11に沿って上下方向に移動する。
主軸ヘッド6は、その内部に主軸22を回転自在に鉛直方向に備えている。主軸22は、主軸ヘッド6の上部に配設した主軸モータ23にカップリング24を介して連結している。主軸22は、主軸モータ23で回転駆動する。主軸22は、その下端部に工具装着部(工具係合部)21を有する。
工具装着部21は、図示する例で先端に切削工具(工具)74を装着した工具ホルダ75におけるテーパ係合部75aを嵌挿可能になっている。主軸22は、工具装着部21の上方にホルダ挟持部25を有する。主軸22は、ホルダ挟持部25の上方にドローバー26を有する。ドローバー26は、バネを備えており、常にはホルダ挟持部25が工具装着部21に装着した工具ホルダ75の先端部に設けたプルスタッド75bをクランプするように作用する。ホルダ挟持部25は、ドローバー26を押圧することで、プルスタッド75bのクランプを解除し、工具ホルダ75の取外しが可能となる。
主軸ヘッド6は、ドローバー26を押圧又は押圧の解除をするクランクレバー28を備えている。支軸27は、略L字形のクランクレバー28を揺動自在に支持している。このクランクレバー28は、水平向きに一体形成された短尺レバー28aと、鉛直向きに一体形成された長尺レバー28bとで構成している。短尺レバー28aの先端部は、ドローバー26に直交的に突設したピン29と係合可能になっている。
長尺レバー28bは、傾斜面を形成した板カム30を固定している。その板カム30は、Z軸モータ15に配設したカムフォロア31と係合離脱可能になっている。引張コイルバネ32は、長尺レバー28bと主軸ヘッド6との間に介装し、クランクレバー28を常に図中の時計方向に付勢している。引張コイルバネ32は、短尺レバー28aによるピン29の押圧を解除している。
主軸ヘッド6が上昇すると、その上昇過程においてクランクレバー28に設けた板カム30は、固定位置にあるカムフォロア31と係合する。該係合は、クランクレバー28に支軸27を中心とする図中の反時計方向の動きを付与する。それ故、短尺レバー28aは、ピン29を下方に押圧し、ドローバー26を介してホルダ挟持部25を付勢し、工具ホルダ75のプルスタッド75bに対するクランプを解除する。
次に図2〜図5を参照して工具マガジン8について説明する。マガジン支持台7は、主軸ヘッド6の工具交換領域と隣接して斜め左前方に指向する支持軸35を支持している。この支持軸35は、鍔付円筒状のマガジンベース36を軸受け37を介して回転自在に支持している。マガジンベース36は、複数個(本実施形態の例では21個)のグリップアーム38を放射状に且つ周方向等間隔で揺動自在に支持している。グリップアーム38は、先端部に工具保持部38Aを有する。なお、図4、図5、図6においては、図示の煩雑を避けるためにグリップアーム38を周方向に10個設けたマガジンベース36を示しているが、本実施形態では後述する洗浄液噴出開始時期を特定する上でマガジンベース36の周方向に21個のグリップアーム38を設けた構成であるものとして説明する。
マガジンベース36は、支持軸35を中心とする割り出し円板39をボルト40により固定している。ローラ形状のカムフォロア41は、割り出し円板39の一側面にグリップアーム38の配設位置に対応させて複数設けている。
次に、図2,図6を参照して工具マガジン8の駆動系について説明する。マガジン支持台7は、マガジンモータ46を支持するケーシング45を前方に固定している。マガジンモータ46の駆動軸46aは、カップリング48を介して連結軸47が連結している。ベベルギヤ49は、連結軸47の下端部に固定している。ベベルギヤ49は、軸受け50が回転可能に支持した回転軸51に固着したベベルギヤ52と噛合する。前述した構成に基づき、マガジンモータ46は、回転軸51を回転する。
回転軸51は、その中央部にバレルカム53を設けている。バレルカム53は、外周面に直線部と所要の曲線とを描いたカム溝53aを有している。カム溝53aは、割り出し円板39に放射配置した各カムフォロア41と順次嵌合可能になっている。割り出し円板39は、バレルカム53の回転に基づき、間欠的に割り出し回転する。
次に、図2〜図4を参照してグリップアーム38について説明する。マガジンベース36は、支持軸35を中心とする円周方向に、所要の中心角で複数個(図示する例では煩雑防止のため10個とする)のクレビス56を固定している。各クレビス56は、支持軸57を介して棒状のグリップアーム38を揺動自在に支持している。
図4に示すように、グリップアーム38の外周側端部には、工具ホルダ75を挟持する非開閉式の二股部38aが形成されている。二股部38aは、工具ホルダ75の外径部に周設したV溝75eを挟持可能な寸法に設定している。二股部38aの各内部には、グリップアーム38の長さ方向と直交する方向に行止り穴38bがそれぞれ穿設されている。
各行止り穴38bには、コイルバネ59により付勢される保持ピン60が後退可能にそれぞれ収納され、各保持ピン60の先端部は2股部の内方に臨んでいる。即ち、二股部38a及び1対の保持ピン60等で工具保持部38Aが構成され、これら複数の工具保持部38Aはマガジンベース36の外周上に配置されている。
従って、工具ホルダ75のV溝75eをグリップアーム38の二股部38aに位置合わせして押し込むことで、1対の保持ピン60はV溝75eに嵌挿する。1対の保持ピン60は、コイルバネ59のバネ力で両側から工具ホルダ75を挟持した状態で工具ホルダ75を保持する。二股部38aの各外端部は、保持ピン60の中心を回転中心とする第1カムフォロア61をそれぞれ回転可能に設けている。
図3に示すように、グリップアーム38の内径側の端部は、行止り穴38cを穿設している。この行止り穴38cは、コイルバネ62と共に鋼球63を保持する。鋼球63の一部は、行止り穴38cの開口から突出している。マガジンベース36のボス部36aは、グリップ支持カラー64を外挿している。グリップ支持カラー64は、その縦断面が円弧状に形成した案内面64aを外周に周設している。案内面64aは、グリップアーム38に設けた鋼球63が弾力的に接触可能になっている。
案内面64aは、そのマガジンベース36側にノッチ溝64bを周設している。ノッチ溝64bは、割り出し待機状態にある各グリップアーム38の鋼球63が係合することで、グリップアーム38を保持する。
図3に示すように、グリップアーム38は、支持軸57に近接した位置にローラ形状に形成した第2カムフォロア65を回転自在に支持している。第2カムフォロア65は、可動カム体66(図2参照)に形成した斜面状の可動カム面に対応的に接触可能になっている。
図1に示すように、傾斜させた傘状の前側カバー70は、複数のグリップアーム38の前側を覆う。板状の後側カバー71は、マガジンベース36の後側を覆う。前側カバー70及び後側カバー71は、切削工具74による切削加工に際して発生する切り屑がマガジンベース36の内部に進入するのを防止している。
工具交換時に、主軸ヘッド6がZ軸原点位置(後述の図9,図11参照)に移動すると、工具マガジン8の最下端に位置するグリップアーム38は使用済みの切削工具74を取付けた工具ホルダ75を保持する。その後、主軸ヘッド6が工具交換位置であるATC原点位置(図9,図11参照)まで鉛直方向に上昇する間に、クランクレバー28は、ドローバー26を押圧して工具ホルダ75のプルスタッド75bに対するクランプを解除する。主軸22に装着していた工具ホルダ75は、グリップアーム38が保持しているので、主軸ヘッド6の工具装着部21から抜き取られる。
次に、マガジンモータ46の回転駆動によりマガジンベース36が回転し、次の切削作業で使用する切削工具74を取付けた工具ホルダ75を保持したグリップアーム38が、主軸ヘッド6の工具装着部21の直下に移動して位置決めされる。このマガジンベース36の回転によるグリップアーム38の位置決め移動を割り出し動作という。その後、主軸ヘッド6は、鉛直方向に下降移動するので、新たに割り出された工具ホルダ75が主軸ヘッド6の工具装着部21に嵌挿されて、工具交換が完了する。主軸ヘッド6の下降中、クランクレバー28は、引張コイルバネ32のバネ力によってドローバー26の押圧を中断する。それ故、ホルダ挟持部25は、工具装着部21に嵌挿した工具ホルダ75をクランプする。
次に、図7を参照して工具ホルダ75について説明する。図7に示すように、工具ホルダ75は、その本体部であるテーパ係合部75aと、そのテーパ係合部75aの一端部に一体形成したプルスタッド75bと、テーパ係合部75aの他端部に一体形成した鍔状部75cと、この鍔状部75cに一体形成し、切削工具74(図示する例では穴開けドリル)を装着する為のコレットチャック75d等からなっている。ただし、鍔状部75cは、グリップアーム38で保持するための環状のV溝75eを有するとともに、1対のキー溝75fが凹設している。
図8に示すように、グリップアーム38の二股部38aの基端部には、工具ホルダ75を装着した際に、そのキー溝75fに係合する小型の板部材からなるキー部材42が固着している。このキー部材42の先端部は、二股部38aの基端部から部分的に突出し、工具ホルダ75のキー溝75fに係合可能になっている。
図9は、工具交換時における主軸22及び工具マガジン8の周囲を拡大して示す縦断面図である。この図9に示す状態では、主軸ヘッド6は、上記Z軸モータ15(図2参照)の回転駆動により最も上昇した位置に移動している。グリップアーム38が保持した工具ホルダ75は、主軸ヘッド6の下端面より下方に位置している。この状態では、主軸ヘッド6の下端面が、工具ホルダ75の上端部(プルスタッド75b)と十分離間している。それ故、工具マガジン8は、工具ホルダ75が主軸22に干渉接触することなく自由に割り出し動作を行うことができる。このような状態における主軸ヘッド6の下端面の位置をATC原点(交換基準位置)という。
図示する状態から、上記Z軸モータ15の駆動により主軸22を下降させ、主軸ヘッド6の下端面を工具ホルダ75の鍔状部75cの上端面に一致させることで、工具ホルダ75を主軸22に装着させることができる。この際には、上述したように主軸22の内部でホルダ挟持部25は、工具ホルダ75のプルスタッド75bをクランプする。このような状態における主軸ヘッド6の下端面の位置をZ軸原点(加工基準位置)という。
主軸ヘッド6は、その下端面且つ工具装着部21の開口部分の周囲に複数の洗浄ノズル81を設けている。複数の洗浄ノズル81は、洗浄液回路82(洗浄機構;後述の図10参照)から供給される洗浄液を上記工具装着部21の開口部分より少し下方(図示する状態におけるテーパ係合部75aの位置)に向けて噴出する。
図10は、上記洗浄液回路82の構成を概念的に示す図である。図10において、洗浄液も兼ねているクーラント液は、貯留槽134から第1ポンプ83によって吸引後、クーラント供給通路84に吐出して切削箇所に送られる。クーラント供給通路84から分岐した分岐通路85が貯留タンク86の下端部に接続している。分岐通路85を通過したクーラント液は、洗浄液として貯留タンク86に貯留される。
分岐通路85は、洗浄液に混入した異物を除去するためのフィルタ部87と、フィルタ部87と貯留タンク86との間に設けた貯留タンク86方向への流れのみを許容する逆止弁88とを配置している。
貯留タンク86の下端部と洗浄ノズル81とを接続する洗浄液ホース89は、第1切替バルブ90を有している。第1切替バルブ90は、洗浄液ホース89の通路を閉鎖する閉弁位置と洗浄ノズル81方向への流通を可能とする開弁位置とに切替え可能としている。第1切替バルブ90は、通常、閉弁位置となるよう付勢手段によって付勢している。
貯留タンク86の上下方向中間領域には、工作機械1の加工室に開口して貯留タンク86内の圧力を抜く、いわゆる脱圧用の排気通路91を設けている。排気通路91には、通路を遮断する閉弁位置と加工室方向への流通を可能とする開弁位置とに切替え可能な第2切替バルブ92が設置されている。第2切替バルブ92は、通常、開弁位置となるよう付勢手段によって付勢している。
本実施形態の例では、洗浄液の加圧に工場のエア源93を用いている。工場のエア源93は、十分な吐出圧を得ることができるので、別途洗浄液を加圧するエアコンプレッサ等を必要としない。エア源93には、第1〜第3エア通路94,95,96の一端がそれぞれ接続されている。
第1エア通路94の他端は、第1電磁弁97に接続している。第1電磁弁97は、後述する第1位置と第2位置とに電気的に切替え可能となっている。第1位置は、第1電磁弁97の下流方向のエア供給を禁止するとともに第1電磁弁97下流の圧力をサイレンサ98を介して大気解放する。第2位置は、第1電磁弁97の下流方向へエアを供給する。
第1電磁弁97は、オフ状態で第1位置となるよう付勢手段によって付勢されている。第1電磁弁97下流には、第1切替バルブ90と後述する第3切替バルブ99とにエア源93からのエアを供給可能な第4エア通路100を接続している。
第2エア通路95の他端は、第2電磁弁101に接続している。第2電磁弁101は、後述する第1位置と第2位置とに電気的に切替え可能となっている。第1位置は、第2電磁弁101の下流方向のエア供給を禁止するとともに第2電磁弁101下流の圧力をサイレンサ102を介して大気解放する。第2位置は、第2電磁弁101下流方向へエアを供給する。
第2電磁弁101は、オフ状態で第1位置となるよう付勢手段によって付勢している。第2電磁弁101の下流には、第2切替バルブ92にエア源93からのエアを供給可能な第5エア通路103が接続している。
第3エア通路96の他端は、貯留タンク86の上端部分に接続している。第3エア通路96は、可変絞り弁104と、第3切替バルブ99と、貯留タンク86方向のエア供給のみを許容する逆止弁105とを備えている。第3切替バルブ99は、通路を遮断する閉弁位置と逆止弁を介して貯留タンク86方向のエア供給を可能とする開弁位置とに切替え可能となっている。第3切替バルブ99は、通常、閉弁位置となるよう付勢手段によって付勢している。
貯留タンク86は、下端部から所定高さの位置に液面センサ136を備えている。この液面センサ136の取付け高さは、洗浄液の残量が前記高さ以上のとき、標準的な洗浄工程を1回、例えば、5秒間の噴射を行っても洗浄液の噴射途切れが発生しない位置に設置している。
制御部9は、前述した第1電磁弁97、第2電磁弁101を第1位置と第2位置とに切替制御する。洗浄ノズル81から洗浄液を噴出する際には、制御部9は、第1電磁弁97をオン操作(いわゆる第2位置に作動)すると共に、第2電磁弁101をオン操作(いわゆる第2位置に作動)する。第1電磁弁97が第2位置となる結果、エア源93のエアは、第1電磁弁97を通過して第4エア通路100に流れる。第4エア通路100の第1切替バルブ90側に流れたエアは、第1切替バルブ90の付勢手段を圧縮し、第1切替バルブ90を開弁位置に切り替える。第4エア通路100の第3切替バルブ99側に流れたエアは、第3切替バルブ99の付勢手段を圧縮し、第3切替バルブ99を開弁位置に切り替える。エア源93の加圧エアは、可変絞り弁104と第3切替バルブ99と逆止弁105とを通過して貯留タンク86内に供給される。
第2電磁弁101が第2位置となる結果、エア源93のエアは第2電磁弁101を通過して第5エア通路103に流れる。第5エア通路103に流れたエアは、第2切替バルブ92の付勢手段を圧縮し、第2切替バルブ92を閉弁位置に切り替える。第2切替バルブ92は、排気通路91を閉鎖する。その結果、貯留タンク86内に供給したエア源93のエアは、貯留タンク86内の洗浄液を加圧する。貯留タンク86に貯留した洗浄液は、エアの圧力によって勢いよく洗浄ノズル81から噴出する。制御部9は、液面センサ136が貯留タンク86に貯留した洗浄液の残量が前記高さ以上ではないことを、所定回数検出した場合、フィルタ部87に目詰まりが発生していることを操作者に知らせる。
以上のように構成した本実施形態の工作機械1が備える洗浄液回路82においては、洗浄バルブ81への洗浄液の供給と停止を切り替える第1切替バルブ90がエア源93からのエアを用いたいわゆるパイロット方式により作動制御される。それ故、制御部9が第1電磁弁97及び第2電磁弁101をオン操作しても、実際に洗浄液が洗浄ノズル81から噴出されるまでの間に所定の応答遅れ(以下、洗浄液噴出タイムラグという)が生じる。
図11は、本実施形態の工作機械1における工具交換の工程と、洗浄液の噴出との関係を説明する図である。
図11においては、工具交換の工程中における4つのタイミングで上記図9に対応する主軸22及び工具マガジン8の周囲拡大図を示している。最も左の位置に示す時期(A)は、主軸ヘッド6の下端面がZ軸原点に位置して工具交換を開始するタイミングの状態を示している。上記図8に示すように、工具保持部38Aの保持ピン60が突出して工具ホルダ75のV溝75eに入り込み、工具保持部38Aが完全に工具ホルダ75を保持している状態となっている。
時期(A)の隣の時期(B)は、時期(A)の状態からZ軸モータ15の駆動により主軸ヘッド6が上昇して、その下端面がZ軸原点からATC原点まで上昇する工程(1)を経た状態である。この間、ホルダ挟持部25は、クランクレバー28の操作に基づいて、工具ホルダ75のクランプを解除する。
時期(B)の隣の時期(C)は、工具マガジン8を旋回して次に使用する工具を主軸ヘッド6の下方に配置する割り出し動作の工程(2)を経た状態である。
図示する工程(2)の例では、主軸ヘッド6から外した工具(例えば穴開けドリル)を備えた工具ホルダ75Aを、次に使用する工具(例えばフライス)を備えた工具ホルダ75Bに交換する例を示している。この例においては、工具マガジン8の割り出し動作は、最も上方に位置する工具ホルダ75Bを主軸ヘッド6下方の割り出し位置まで移動させるために工具マガジン8を半周分旋回させている。なお、この割り出し動作における工具マガジン8の旋回は正転と逆転の両方向で可能であり、通常は旋回量の少ない方向で旋回させる。
最も右に示す時期(D)は、割り出し動作が完了した時期(C)から、Z軸モータ15の駆動により主軸ヘッド6が下降して、その下端面がATC原点からZ軸原点まで下降する工程(3)を経た状態となる。割り出し位置(つまり主軸ヘッド6の下方位置)のグリップアーム38は、時期(A)と同様に工具保持部38Aが完全に工具ホルダ75を保持している。
これら工程(1)〜工程(3)を経た時期(A)〜時期(D)の変化は自動的に連続して行われるものである。このうち時期(C)から時期(D)の間(つまり工程(3)の間)に、テーパ係合部75aに付着した切粉を除去する必要がある。工程(3)は、次に使用する工具ホルダ75Bが割り出し位置に配置した状態で、テーパ係合部75aが露出している。この時期(C)から時期(D)の間(つまり工程(3)の間)が、洗浄液噴出必須期間となる。
主軸22のZ軸方向の位置は、Z軸モータ15に連動したロータリエンコーダ(特に図示せず)等によりリアルタイムで検出することができる。時期(A)と時期(D)、時期(B)と時期(C)のそれぞれの組み合わせで主軸22のZ軸方向の位置が同じとなっているが、それまでの主軸22の移動方向(つまりZ軸方向位置の変化の様子)及び各工程(1)〜(4)の動作の流れから、制御部9は各時期(A)〜(D)を正確に検出できる。
図12は、マガジン旋回ピッチ数に対応して噴出開始時期を記憶する噴出開始時期テーブルの一例を概念的に表す図を示している。
制御部9が備える適宜の記憶装置(相関記憶手段;例えば後述のRAM113)は、噴出開始時期テーブルを記憶保持している。噴出開始時期テーブルは、上記図11に示した工程(2)の割り出し動作において工具マガジン8の必要旋回量をピッチ数(グリップアーム38単位の旋回量)で表したマガジン旋回ピッチ数(回転型マガジンの移動量)と、洗浄ノズル81に対し洗浄液の供給を開始するのに適切となる噴出開始時期(供給開始時期)との相関情報である。図示する例では、工具マガジン8に21個のグリップアーム38が設けられているとする本実施形態に用いる噴出開始時期テーブルを示しており、マガジン旋回ピッチ数の最高値は半周旋回分の「10」となる。
「1」〜「10」の値で設定したマガジン旋回ピッチ数のうち、本実施形態では「4」を第1基準値に設定し、「7」を第2基準値に設定している。第1基準値の「4」より小さいマガジン旋回ピッチ数「1」〜「3」は、対応する噴出開始時期を時期(A)に設定している。時期(A)は、主軸ヘッド6の下端面がZ軸原点に位置して工具交換を開始するタイミングである。第1基準値の「4」以上で第2基準値の「7」以下となるマガジン旋回ピッチ数「4」〜「7」は、対応する噴出開始時期を時期(B)に設定している。時期(B)は、主軸ヘッド6の下端面がATC原点まで上昇したタイミングである。第7基準値の「7」より大きいマガジン旋回ピッチ数「8」〜「10」は、対応する噴出開始時期を時期(C)に設定している。時期(C)は、工具マガジン8の旋回による割り出し動作が終了したタイミングである。
次に、工作機械1の電気的構成について説明する。図13に示すように、前述の制御部9は、制御回路110と、各種駆動回路121〜128を有している。制御回路110は、後述するROM112に記憶した制御プログラム(後述の図14参照)等を実行することで、工作機械1の加工動作及び工具交換動作等を制御するものである。制御回路110は、CPU111、ROM112及びRAM113からなるマイクロコンピュータと、入力インターフェース114、及び出力インターフェース115を基本に構成している。RAM113は、前述した噴出開始時期テーブルの他に、工作機械1に所望の加工を施すための加工プログラムを記憶保持している。加工プログラムは、複数の動作ブロックからなり、操作者が後述する操作パネルを介して作成する。
入力インターフェース114は、工作機械1の前面に設けた操作パネル(図示略)のキーボード130が電気的に接続している。出力インターフェース115は、X軸モータ131を駆動する駆動回路121と、Y軸モータ132を駆動する駆動回路122と、Z軸モータ15を駆動する駆動回路123と、主軸モータ23を駆動する駆動回路124と、マガジンモータ46を駆動する駆動回路125と、第1ポンプ83を駆動する駆動回路126と、操作パネルのCRT133を駆動するための駆動回路127と、第1・第2電磁弁97,101を駆動するための駆動回路128とが各々電気的に接続している。X軸モータ131は、テーブル135のX軸方向の位置を検出するエンコーダ131aを備えている。エンコーダ131aは、入力インターフェース114に接続している。Y軸モータ132は、テーブル135のY軸方向の位置を検出するエンコーダ132aを備えている。エンコーダ132aは、入力インターフェース114に接続している。Z軸モータ15は、主軸ヘッド6のZ軸方向の位置を検出するエンコーダ6aを備えている。エンコーダ6aは、入力インターフェース114に接続している。
図14は、制御部9が実行する制御手順を表すフローチャートである。このフローは、工作機械1の電源投入後、操作者が所望の加工プログラムを前記操作パネルから選択した後、前記操作パネルの起動キー(図示省略)を押した際に開始する。
図14において、まず、ステップS5では、CPU111は、制御回路110のRAM113に記憶してある加工プログラムを構成する動作ブロックを1つ読み込む。この動作ブロックの読み込みは、あらかじめ指定した順番で読み込む。
次にステップS10へ移り、CPU111は、上記ステップS5で読み込んだ動作ブロックの指示内容が加工終了であるか否かを判定する。読み込んだ動作ブロックの指示内容が加工終了である場合(ステップS10でYes)、CPU111は、この制御を終了する。指示内容が加工終了でない場合(ステップS10でNo)、CPU111は、制御を次のステップS15へ移す。
ステップS15では、CPU111は、上記ステップS5で読み込んだ動作ブロックの指示内容が工具交換を指示するものであるか否かを判定する。指示内容が工具交換でない場合(ステップS15でNo)、CPU111は、ステップS20で当該動作ブロックの指示内容に従った動作制御を実行した後、ステップS5に戻って同様の手順を繰り返す。読み込んだ動作ブロックの指示内容が工具交換である場合(ステップS15でYes)、CPU111は、制御を次のステップS25へ移す。
ステップS25では、CPU111は、工具交換の動作ブロックの指示内容から次に使用する工具を特定し、工具マガジン8のその時点における次の工具の周方向位置から主軸ヘッド6下方の割り出し位置まで工具マガジン8を旋回して割り出し動作を行うのに必要なマガジン旋回ピッチ数を算出する。
次にCPU111は、上記ステップS25で算出したマガジン旋回ピッチ数に対応する適切な噴出開始時期を、上記図12に示した噴出開始時期テーブルから取得して(ステップS30)、次のステップS35へ制御を移す。
ステップS35では、CPU111は、工具交換の動作を開始する。具体的には、CPU111は、Z軸モータ15及びマガジンモータ46を制御して、前記工程(1)〜工程(3)の動作をマルチタスク処理にて自動的に連続して実行させる。この工具交換の動作を自動的に行わせている間に、CPU111は、処理を次のステップS40へ移す。
ステップS40では、CPU111は、上記ステップS30で取得した噴出開始時期に到達したか否かを判定し、まだ噴出開始時期に到達していない場合(ステップS40でNo)、同じ判定を繰り返してループ待機する。噴出開始時期に到達した場合(ステップS40でYes)、CPU111は、第1電磁弁97及び第2電磁弁101にオン操作の制御信号を出力して(ステップS45)、ステップS50へ処理を移す。ステップS45の処理は、洗浄ノズル81に洗浄液の供給を開始するものである。噴出開始時期に到達したか否かは、Z軸モータ6のエンコーダ6aから得た主軸ヘッド6の位置と、マガジンモータ46を既に駆動しかた否かで判断する。時期(A)と時期(D)は、主軸ヘッド6の位置が同じであるが、時期(A)では、マガジンモータ46を駆動する前であり、時期(D)では、マガジンモータ46を駆動した後となる。同様に、CPU111は、時期(B)と時期(C)とを区別できる。
CPU111は、噴出停止時期に到達したか否か、つまり主軸ヘッド6の下端面がZ軸原点まで下降して洗浄液の噴出が不要となったか否かを判定する(ステップS50)。CPU111は、噴出停止時期に到達していない場合(ステップS50でNo)、同じ判定を繰り返してループ待機する。噴出停止時期に到達した場合(ステップS50でYes)、CPU111は、第1電磁弁97及び第2電磁弁101にオフ操作の制御信号を出力して洗浄液の噴出を停止する(ステップS55)。なおこの時点では同時に、主軸22が工具ホルダ75を完全に保持している時期(D)の状態となっている。
次にステップS60へ移り、CPU111は、主軸22が加工待機位置に到達したか否かを判定する。加工待機位置では、この時点の割り出し位置にあるグリップアーム38は、回動して主軸ヘッド6から離間し、工具ホルダ75は、工具保持部38Aから離れる。加工待機位置は、通常、Z軸原点よりも下方の位置である。まだ主軸22が加工待機位置に到達していない場合(ステップS60でNo)、CPU111は、同じ判定を繰り返してループ待機する。加工待機位置に到達した場合(ステップS60でYes)、CPU111は、処理をステップS5に移し同様の手順を繰り返す。
以上の制御を行うことにより、工具交換動作においてマガジン旋回ピッチ数が「8」〜「10」の比較的多い場合、つまり工具マガジン8が旋回する割り出し動作に必要な時間が比較的長い場合には、遅めの時期(C)に噴出開始動作を行わせることができる。これにより、上述した洗浄液噴出必須期間内に洗浄液の噴出を確実に行えると共に、マガジン旋回ピッチ数が「1」〜「7」の場合よりも洗浄液の噴出時間を短縮し、必要以上に早く噴出することによる洗浄液の無駄な消費を防止することができる。
マガジン旋回ピッチ数が「1」〜「3」の比較的少ない場合、つまり工具マガジン8が旋回する割り出し動作に必要な時間が比較的短い場合には、早めの時期(A)に噴出開始動作を行わせることができる。割り出し動作に必要な時間が短いため、早めに噴出を開始しても洗浄液の無駄な消費を抑制できる。工程(1)及び工程(2)の間に上述した洗浄液噴出タイムラグを経過させることができるため、洗浄液噴出必須期間の開始時期である時期(C)になる前に洗浄液を噴出することができる。すなわち、洗浄液噴出タイムラグを考慮したタイミングで洗浄液の噴出を行うことができる。
マガジン旋回ピッチ数が「4」〜「7」の場合、つまり割り出し動作に必要な時間が中程度である場合には、早めの時期(B)に噴出開始動作を行わせることができる。割り出し動作に必要な時間が中程度であるため、早めに噴出を開始しても洗浄液の無駄な消費を抑制できる。工程(2)の間に上述した洗浄液噴出タイムラグを経過させることができるため、上記マガジン旋回ピッチ数が「1」〜「3」の場合と同様に、洗浄液噴出タイムラグを考慮したタイミングで洗浄液の噴出を行うことができる。
尚、マガジンモータ46、連結軸47、カップリング48、ベベルギヤ49,50、回転軸51、及びバレルカム53等が、マガジン駆動手段を構成する。第1ポンプ83、第1切替バルブ90、第2切替バルブ92、第3切替バルブ99、エア源93、第1電磁弁97、及び第2電磁弁101が、洗浄液供給手段を構成する。上記図14のフローチャートにおけるステップS25の手順を実行するCPU111が移動量算出手段として機能し、ステップS30の手順を実行するCPU111が供給時期決定手段として機能する。
以上説明したように、本実施形態の工作機械1は、新たに装着する工具を保持した工具ホルダ75Bの周方向位置に応じ、工具交換時における工具マガジン8の割り出し動作に必要な移動量であるマガジン旋回ピッチ数を算出する。このマガジン旋回ピッチ数に基づき、洗浄液の供給を開始する噴出開始時期を決定する。その噴出開始時期になったら、第1ポンプ83、第1切替バルブ90、第2切替バルブ92、第3切替バルブ99、エア源93、第1電磁弁97、及び第2電磁弁101が洗浄ノズル81への洗浄液の供給を開始する。
新たに装着する工具74を保持した工具ホルダ75Bの周方向位置が工具を受け渡すための割り出し位置から遠い場合には、工具マガジン8の旋回移動量が大きく回転駆動時間が長くなるから、噴出開始時期を遅めに決定する。新たに装着する工具74を保持した工具ホルダ75Bの周方向位置が工具を受け渡すための割り出し位置から近い場合には、工具マガジン8の旋回移動量が小さく回転駆動時間が短くなることから、噴出開始時期を早めに決定する。工具交換時に、新たな工具74を取り付けた工具ホルダ75Bがいずれの位置であっても、当該工具ホルダ75Bを主軸22へ取り付ける直前の適切なタイミングで、洗浄液を噴出させることができる。この結果、洗浄液の無駄な消費を防ぐことができる。エアや電力の無駄な消費を防止できる。洗浄液の循環量を低減できるので、洗浄液自体の劣化を抑制することができる。
この実施形態では特に、マガジン旋回ピッチ数と噴出開始時期とを予め相関として記憶させておき、その相関を参照して、ステップS30の手順が洗浄液の供給を開始する噴出開始時期を決定する。これにより、大まかなパターン分けを予め行っておき、そのパターン分けに基づき、簡便な手法で洗浄液の供給開始制御を容易に行うことができる。
この実施形態では特に、マガジン旋回ピッチ数が「1」〜「3」であって工具マガジン8の旋回移動量が小さい場合は回転駆動時間が短いことから、主軸ヘッド6がZ軸原点からATC原点へ移動し始める時期(A)で、早めに洗浄ノズル81への洗浄液の供給を開始する。これにより、新たな工具74を主軸22へ取り付けるより前に確実に洗浄液を噴出させることができる。マガジン旋回ピッチ数が「8」〜「10」であって工具マガジン8の旋回移動量が大きい場合は回転駆動時間が長いことから、主軸ヘッド6がATC原点からZ軸原点へと戻り始める時期(C)で、洗浄ノズル81への洗浄液の供給を開始する。これにより、必要以上に早く洗浄液を噴出することによる無駄を防止できる。マガジン旋回ピッチ数が「4」〜「7」であって工具マガジン8の旋回移動量が中程度であるときは、上記2つの場合の中間の、工具マガジン8が回転駆動を開始する時期(B)で、洗浄ノズル81への洗浄液の供給を開始する。
以上のようにして、新たな工具74を取り付けた工具ホルダ75Bがいずれの位置であっても、当該工具を主軸22へ取り付ける直前の適切なタイミングで確実に洗浄液を噴出させることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
(1)工程中に噴出開始時期を指定する場合
上記実施形態の工作機械1では、割り出し動作に必要なマガジン旋回ピッチ数に対応して適切とされる3つの時期(A)〜(C)のいずれかのタイミングで洗浄液の供給を開始する。それ故、洗浄液噴出タイムラグ等を考慮した場合、洗浄液噴出必須期間の開始時期である時期(C)そのもののタイミングで、必ずしも実際に洗浄ノズル81から洗浄液の噴出を開始させることができるとは限らない。本変形例はこれに対応し、時期(C)のタイミングで実際に洗浄ノズル81から洗浄液の噴出を開始させるよう、主軸22を上昇させる工程(1)の間や、割り出し動作の工程(2)の途中に噴出開始時期を指定するものである。
図15は、本変形例の工作機械1における工具交換の工程と、噴出開始時期の算出内容を説明する図であり、上記実施形態における図11に対応する図である。
この図15において、時期(A)から時期(B)へ移行するための工程(1)に要する時間は、Z軸モータ15の駆動により主軸ヘッド6を上昇させてその下端面をZ軸原点からATC原点まで上昇させるのに必要なZ軸移動時間Ztとなる。時期(B)から時期(C)へ移行するための工程(2)に要する時間は、工具マガジン8の割り出し動作に要する時間、つまり1つのピッチ分だけ工具マガジン8を旋回するのに必要な時間Ptと、算出されたマガジン旋回ピッチ数Pnとの積であるマガジン旋回時間Mt(=Pt×Pn)となる。
これにより、工具交換動作を開始する時期(A)から計時を開始して、Z軸移動時間Ztとマガジン旋回時間Mtの合計時間(=Zt+Mt)だけ経過した時点で時期(C)となる。この時期(C)に到達した時点で実際に洗浄ノズル81から洗浄液の噴出を開始させるためには、前述した洗浄液噴出タイムラグCt(噴出時間差Ct)だけ遡ったタイミングで第1電磁弁97及び第2電磁弁101にオン操作を行う制御信号(供給開始指示信号)を出力すればよい。つまり、時期(A)から計時を開始して(Zt+Mt)−Ctだけ経過した時点で第1電磁弁97及び第2電磁弁101をオン操作することにより、時期(C)に到達した時点で実際に洗浄ノズル81から洗浄液の噴出を開始させることができる。
この場合には、あらかじめ上記のZ軸移動時間Ztと洗浄液噴出タイムラグCtをそれぞれ確定しておき、上記実施形態における図14のフローチャートのステップS30の手順でマガジン旋回ピッチ数(ステップS25で算出済み)に基づくマガジン旋回時間Mtを算出し、それを用いて(Zt+Mt)−Ctの時間を算出する。ステップS35の時点(基準時)で工具交換の動作を開始する際に計時を開始し、ステップS40でその計時が(Zt+Mt)−Ctを経過したか否かを判定すればよい。以上によって、噴出開始時期テーブルを参照せずに、時期(C)に到達した時点で実際に洗浄ノズル81から洗浄液の噴出を開始させることができる。
以上において、マガジン旋回時間Mtが、回転型マガジンの回転駆動時間Mtに相当し、Z軸移動時間Ztが、主軸ヘッドが加工基準位置から交換基準位置へ移動する所要時間Ztに相当する。また、変形例に記載したステップS30の手順が、回転時間算出手段として機能する。
以上説明したように、本変形例においては、上記マガジン旋回時間Mtを算出し、Z軸移動時間Ztと併せて主軸ヘッド6の移動開始時から工具マガジン8の回転終了時までの経過時間としてZt+Mtを算出する。Z軸原点からATC原点への主軸ヘッド6の移動開始時(つまり時期(A))を基準とし、ZtにMtを加えさらに洗浄液噴出タイムラグCtを差し引いた時間Zt+Mt−Ctを、洗浄液の供給タイミングである噴出開始時期として決定する。上記の基準時からZt+Mt−Ctの経過を待って第1電磁弁97及び第2電磁弁101に対しオン操作を行うための制御信号を出力することにより、工具マガジン8の回転が終了した時期(C)のタイミングで、確実に洗浄ノズル81から洗浄液を噴出させることができる。
なお、洗浄液の噴出を停止させる動作タイミングに対しても同様の手法で設定してもよい。つまり、時期(C)から時期(D)へ移行するための工程(3)に要する時間をZ軸戻り移動時間Rtとして算出し、時期(A)から計時して(Zt+Mt+Rt)−Ctだけ経過した時点で第1電磁弁97をオフ操作する制御信号を出力することで、時期(D)のタイミングで洗浄ノズル81からの実際の洗浄液の噴出を停止させることができる。