JP2010232554A - 熱電変換材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い機械的特性と高い熱電特性を同時に持つ実用に耐え得る熱電変換材料を、工業的に低コストで製造し得る熱電変換材料の製造方法を提供すること。
【解決手段】Bi、Sb、Te及びSeの内の2つ以上の元素を含む熱電変換材料の製造において、酸素濃度が500ppm以下の金属原料を所定の配合比で混合した混合物を、不活性雰囲気中で溶解して溶製材を作製し、該溶製材を粉砕して、平均粒子径が2〜10μm、酸素含有量が4000ppm以下の微粉末とし、不活性雰囲気中で該微粉末を焼結することにより、熱電変換材料を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱を直接電気に変換する熱電変換材料に関するものである。熱電変換材料を用いて製造される熱電モジュールは、特に自動車や各種製造プラント、発電プラント、ゴミ焼却施設などの排熱等の未利用エネルギーを効率良く電気に変換するもので、本技術により省エネルギーに寄与するとともに、昨今問題となっている二酸化炭素の排出を抑制する効果を有するものである。
Bi−Te系熱電変換材料は、へき開面を持つ脆性材料である。特に、一方向凝固によってC軸方向に成長方向を揃えた単結晶は凝固方向によって平行に割れが発生しやすいという欠点を持つ(非特許文献1参照)。しかし、C軸を一方向に揃えることにより、電気的性能(出力因子)は向上する(非特許文献2参照)。そこで、単結晶材料の機械的強度を克服する手段として反応焼結を利用したPIES法が開発されている(非特許文献3参照)が、実用的な特性を得るまでには至っていない。ホットプレス法は多結晶材料を作製するため、へき開によるクラックが入りにくく、機械的強度に関しては単結晶に比べ有利であると考えられる。このように、機械的強度は粉末焼結体にすることにより改善することができるが、熱電特性は低下する傾向を示す。しかし、ゼーベック係数及び電気伝導度は材料の組成やドーパントの量を変えることによって改善できる(非特許文献2参照)。P型の熱電変換材料について、その微構造と熱電特性の相関について示されている。つまり、約10μmの結晶粒子で構成された、均一組織を有する熱電変換材料は、性能指数が高い(非特許文献4参照)。また、微粉砕工程における雰囲気酸素濃度を所定濃度以下に制御し、性能指数Zの良好な熱電半導体の製造方法の報告もある(特許文献1参照)。組織中の平均結晶粒径、酸素含有量を規制し、作製したBi−Te系熱電材料は高い性能指数を有するとの報告もされている(特許文献2参照)。
上述のBi−Te系熱電変換材料は主に冷却用途に利用されてきた。冷却用熱電変換モジュール(ペルチェモジュール)においては、使用環境温度が180℃以下の比較的低温であるため、温度差による熱電変換材料にかかる応力は微小なものである。ところが、各種製造プラントなどの排熱等の未利用エネルギー発電用途の熱電変換モジュールには、使用環境温度が180℃より高温下で使用されるため、温度差による熱電変換材料にかかる応力は大きくなり、高い機械的特性と高い性能指数を同時に持つ実用に耐え得る熱電変換材料が必要となる。また、実用的な発電には多くの熱電変換モジュールが必要となるため、工業的に有利な製造方法も必要となる。
特許第3552390号公報 特開2001−250990号公報
F.D.Roise, B.Abeles and R.V.Jensen, J. Phys. Chem. Solid,10 (1959),191. 上村欣一、西田勲夫:熱電半導体とその応用、日刊工業新聞社、(1988) 時合健生、上杉隆、河本邦仁,J. Ceram. Soc. Japan, 103(1995)109 N.Miyashita, T.Yano, R.Tsukuda and I.Yashima : J. Ceram. Soc. Japan, 111,(6), 2003, p386-390
しかしながら、特許文献1においては、微粉砕工程における雰囲気酸素濃度を所定濃度以下に制御する方法は、グローブボックス内で粉砕する方法であり、工業的でない。また、得られた熱電変換材料の機械的特性に関する記述はない。特許文献2においては、組織中の平均結晶粒径、酸素含有量を規制する方法は、原料を液体急冷法により薄膜状にし、これを粉砕し、得られた粉砕粉をさらに水素ガスで還元した粉末をホットプレス等で焼結する方法であり、工程数が多く、工業的でない。また、同様に、得られた熱電変換材料の機械的特性に関する記述はない。
したがって、これらの方法では、作製したBi−Te系熱電材料は高い性能指数を有するものの、工業的に不利な方法でコストがかかり、機械的特性も不明であるため、発電用途の熱電変換モジュールには使用が困難である。つまり、発電用途の熱電変換モジュールを作製する場合、熱電変換モジュールを構成する熱電変換材料(素子)の強度が低いと、大きな温度差等による熱応力により、割れなどの不具合を生じ、電極と熱電変換材料(素子)が分離する。これは、熱電変換モジュールの直列回路の断線につながり、熱電変換モジュールが機能しなくなる。また、実用的な発電量を得るには多くの熱電変換モジュールが必要であり、コストのかかる方法では発電コストの上昇につながり発電用熱電変換システムの実用化を阻害する。
従って、本発明は、発電用途の熱電変換モジュールを作製する場合、熱電変換材料としての高い性能が期待できる、即ち、高い機械的特性と高い熱電特性を同時に持つ実用に耐え得る熱電変換材料を、工業的に低コストで製造し得る熱電変換材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、種々検討した結果、工業的に有利な方法でBi−Te系熱電変換材料の焼結原料の平均粒子径、酸素含有量を規制することにより、上記目的を達成できることを見出した。本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、下記の熱電変換材料の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、Bi、Sb、Te及びSeの内の2つ以上の元素を含む熱電変換材料の製造において、酸素濃度が500ppm以下の金属原料を所定の配合比で混合した混合物を、不活性雰囲気中で溶解して溶製材を作製し、該溶製材を粉砕して、平均粒子径が2〜10μm、酸素含有量が4000ppm以下の微粉末とし、該微粉末を不活性雰囲気中で焼結することを特徴とする熱電変換材料の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、前記混合物の溶解を、アルゴンもしくは窒素雰囲気中または真空中で、該混合物の融点より100℃以上高く且つTeの沸点より低い温度で、黒鉛坩堝を用いて行うことを特徴とする前記の熱電変換材料の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、前記溶製材の粉砕を、ロールミルあるいはオリエントミルにより溶製材を粗粉砕して、平均粒子径3mm以下の粗粉末とした後、該粗粉末をアルゴンもしくは窒素雰囲気中でジェットミルにより微粉砕することにより行うことを特徴とする前記熱電変換材料の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、前記微粉末の焼結を、アルゴンもしくは窒素雰囲気中または真空中でホットプレスまたはHIPにより行う前記熱電変換材料の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、得られる熱電変換材料が、平均粒子径が15μm以下で、3点曲げ強度が80MPa以上の熱電変換材料である前記熱電変換材料の製造方法が提供される。
本発明の熱電変換材料の製造方法は、焼結原料の平均粒子径及び酸素含有量を規制している。このため、発電用途の熱電変換モジュールを作製する場合、高い機械的特性と高い熱電特性を同時に持つ実用に耐え得る熱電変換材料を得ることができる。
また、本発明の熱電変換材料の製造方法によれば、工業的に有利な工程で、高い機械的特性と高い熱電特性を同時に持つ実用に耐え得る熱電変換材料を作製できる。
実施例1と比較例1、2で得られたBi−Te系熱電変換材料の光学顕微鏡写真を示す図である。 実施例1、2、3と比較例1、2で得られたBi−Te系熱電変換材料の3点曲げ強度を示す図である。 実施例1、2、3と比較例1、2で得られたN型のBi−Te系熱電変換材料の出力因子(パワーファクター)を示す図である。 実施例1、2、3と比較例1、2で得られたP型のBi−Te系熱電変換材料の出力因子(パワーファクター)を示す図である。
以下、本発明の熱電変換材料の製造方法を工程順に説明する。
溶解工程
Bi、Sb、Te及びSeの内の2つ以上の金属原料を所定の配合比で秤量する。P型の熱電変換材料としては、Bi、Sb、Teからなる合金が好ましく、N型の熱電変換材料としては、Bi、Teからなる合金あるいはBi、Te、Seからなる合金が好ましい。それぞれの金属原料の酸素濃度は500ppm以下、さらに好ましくは、350ppm以下であることが好ましい。金属原料の酸素濃度が500ppmより高くなると、得られる微粉末の酸素含有量が高くなり、本発明の効果が得られない。これらの金属原料を所定の配合比で混合した混合物の溶解は、黒鉛坩堝を用いて行うことが好ましい。上記混合物を黒鉛坩堝に仕込み、不活性雰囲気中で、好ましくはアルゴンもしくは窒素雰囲気中または真空中で溶融し、溶製材を作製する。溶解温度は、上記混合物の融点より100℃以上高く且つTeの沸点より低い温度であることが好ましく、上記混合物の融点より120℃以上高く且つTeの沸点より100℃以上低い温度であることが好ましい。Teの沸点としては、文献により988℃から991℃と幅がある。また、溶解保持時間は3時間以上であることが好ましい。これらの条件より、低温あるいは保持時間が短いと均一な溶解状態が得られず、作製された溶製材中の各元素の分布が不均一になり、得られる焼結体の熱電特性に悪影響を及ぼすことがある。また、溶解温度がTeの沸点より高い温度では、金属原料としてTeを用いた場合、Teが沸騰してしまい、得られる溶製材中のTeの濃度の減少や、沸騰による蒸発で、溶解炉にダメージを与えるため好ましくない。
粉砕工程
上記溶製材を、好ましくはロールミルあるいはオリエントミルにより粗粉砕して、平均粒子径3mm以下、さらに好ましくは、1.5mm以下の粗粉末とする。平均粒子径が3mmより大きくなると微粉砕工程の時間がかかるとともに歩留まりも低下する。好ましくは、オリエントミルで行った方が、粒子径の小さい粗粉末が得られるため、微粉砕工程の短時間化ができる。
上記粗粉末を、好ましくはアルゴンもしくは窒素雰囲気中でジェットミルにより微粉砕する。本発明の熱電変換材料の焼結原料となる微粉末は、平均粒子径が2〜10μm、好ましくは3〜7μm、酸素含有量が4000ppm以下、好ましくは3000ppm以下であることが好ましい。微粉砕工程の雰囲気が大気中では、大気中の酸素により酸素含有量が4000ppm以下に押さえることが困難になる。また、平均粒子径が2μm未満では粉末の表面積が大きくなって酸化しやすくなり、酸素含有量を4000ppm以下にすることが困難になる。また、平均粒子径が10μmより大きくなると焼結時に十分な緻密化ができなくなり、熱電特性や機械的特性に悪影響を及ぼす。酸素含有量が4000ppmより高くなると焼結体中に酸化物の不純物相が生成したり、焼結時に異常な粒成長の原因となり、同様に熱電特性や機械的特性に悪影響を及ぼす。
焼結工程
得られた微粉末を、不活性雰囲気中で、好ましくはアルゴンもしくは窒素雰囲気中または真空中で、ホットプレスまたはHIPにより焼結する。HIPの場合、あらかじめ、CIP処理により圧粉体を成形しておくことが好ましい。CIP処理の方法としては、得られた微粉末をゴム型に入れてCIPする方法が好ましい。CIPの圧力は、100〜200MPaが好ましく、保持時間は10分以上が好ましい。得られた成形体をアルミニウムあるいは、チタンを用いて、カプセリングを行い、これをHIP処理する。ホットプレスまたはHIPの条件としては、微細な粒子径からなる緻密体を得るため、加圧力は、1〜100MPaが好ましく、10〜80MPaがより好ましく、20〜60MPaが最も好ましい。1MPa未満では緻密化が十分に達成できず、100MPaより高くしても熱電特性や機械的特性への効果はなく、焼結工程の時間が長くなるため好ましくない。また、温度は、400〜500℃が好ましい。400℃未満では緻密化が十分に達成できず、500℃より高くなると焼結時の粒成長が助長され、平均粒子径が大きくなり、熱電特性や機械的特性に悪影響を及ぼす。上記の焼結条件により、平均粒子径が15μm以下で、3点曲げ強度が80MPa以上であり、且つ優れた熱電特性を示す熱電変換材料が得られる。
次に本発明をさらに具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
まず、N型の熱電変換材料の原料として、原子比でBi2Te3(融点:585℃)となるように、Bi(純度99.99%、酸素濃度125ppm)、Te(純度99.99%、酸素濃度150ppm)の各金属原料を秤量した。P型の熱電変換材料の原料としては、原子比で(Bi0.15Sb0.852Te3(融点:約615℃)となるように、Bi(純度99.99%、酸素濃度125ppm)、Sb(純度99.9%、酸素濃度155ppm)、Te(純度99.99%、酸素濃度150ppm)の各金属原料を秤量した。これらの金属原料の混合物を黒鉛坩堝にそれぞれ仕込み、N型用の混合物は窒素雰囲気中750℃で3時間溶解し、P型用の混合物は窒素雰囲気中775℃で3時間溶解し、N型用及びP型用の溶製材をそれぞれ作製した。このN型用及びP型用それぞれの溶製材をオリエントミルにより粗粉砕して、平均粒子径2.0mmの粗粉末を得た。これを窒素雰囲気中でジェットミルにより微粉砕し、N型用及びP型用それぞれのBi−Te系熱電変換材料の焼結原料(微粉末)を得た。この際、ジェットミルのノズル圧力は、0.6MPaとした。
上記焼結原料の平均粒子径と酸素含有量の測定を行った。N型用の焼結原料の平均粒子径は3.4μmで、酸素含有量が3550ppmであった。P型の焼結原料の平均粒子径は4.0μmで、酸素含有量が3590ppmであった。
上記焼結原料を黒鉛型にそれぞれ充填し、アルゴン雰囲気中、30MPaの加圧下、N型用の焼結原料は410℃で1時間35分、P型用の焼結原料は490℃で1時間35分ホットプレスし、N型及びP型それぞれのBi−Te系熱電変換材料を得た。
実施例2
まず、N型の熱電変換材料の原料として、原子比でBi2Te3となるように、Bi(純度99.99%、酸素濃度125ppm)、Te(純度99.99%、酸素濃度150ppm)の各金属原料を秤量した。P型の熱電変換材料の原料としては、原子比で(Bi0.15Sb0.852Te3となるように、Bi(純度99.99%、酸素濃度125ppm)、Sb(純度99.9%、酸素濃度155ppm)、Te(純度99.99%、酸素濃度150ppm)の各金属原料を秤量した。これらの金属原料の混合物の溶解工程及びオリエントミルによる粗粉砕工程は実施例1と同一工程とした。粗粉末の微粉砕工程は、ジェットミルのノズル圧力を0.7MPaとした以外は、実施例1の微粉砕工程と同様に行い、N型用及びP型用それぞれのBi−Te系熱電変換材料の焼結原料を得た。
上記焼結原料の平均粒子径と酸素含有量の測定を行った。N型用の焼結原料の平均粒子径は2.1μmで、酸素含有量が3950ppmであった。P型用の焼結原料の平均粒子径は2.7μmで、酸素含有量が3880ppmであった。
上記焼結原料の焼結を実施例1と同一工程により行い、N型及びP型それぞれのBi−Te系熱電変換材料を得た。
実施例3
まず、N型の熱電変換材料の原料として、原子比でBi2Te3となるように、Bi(純度99.99%、酸素濃度125ppm)、Te(純度99.99%、酸素濃度150ppm)の各金属原料を秤量した。P型の熱電変換材料の原料としては、原子比で(Bi0.15Sb0.852Te3となるように、Bi(純度99.99%、酸素濃度125ppm)、Sb(純度99.9%、酸素濃度155ppm)、Te(純度99.99%、酸素濃度150ppm)の各金属原料を秤量した。これらの金属原料の混合物の溶解工程は実施例1と同一工程とした。得られたN型用及びP型用それぞれの溶製材をロールミルにより粗粉砕して、平均粒子径2.8mmの粗粉末を得た。これを実施例1と同じ条件でジェットミルにより微粉砕し、N型用及びP型用それぞれのBi−Te系熱電変換材料の焼結原料を得た。
上記焼結原料の平均粒子径と酸素含有量の測定を行った。N型用の焼結原料の平均粒子径は9.5μmで、酸素含有量が2760ppmであった。P型用の焼結原料の平均粒子径は9.7μmで、酸素含有量が2630ppmであった。
上記焼結原料の焼結を実施例1と同一工程により行い、N型及びP型それぞれのBi−Te系熱電変換材料を得た。
比較例1
まず、N型の熱電変換材料の原料として、原子比でBi2Te3となるように、Bi(純度99.99%、酸素濃度195ppm)、Te(純度99.99%、酸素濃度707ppm)の各金属原料を秤量した。P型の熱電変換材料の原料としては、原子比で(Bi0.15Sb0.852Te3となるように、Bi(純度99.99%、酸素濃度195ppm)、Sb(純度99.9%、酸素濃度265ppm)、Te(純度99.99%、酸素濃度707ppm)の各金属原料を秤量した。これらの金属原料の混合物の溶解工程及びオリエントミルによる粗粉砕工程は実施例1と同一工程とした。粗粉末の微粉砕を大気中アトライタミルにより行い、N型用及びP型用それぞれのBi−Te系熱電変換材料の焼結原料を得た。
上記焼結原料の平均粒子径と酸素含有量の測定を行った。N型用の焼結原料の平均粒子径は1.6μmで、酸素含有量が4740ppmであった。P型用の焼結原料の平均粒子径は1.8μmで、酸素含有量が4570ppmであった。このように、比較例1で得られた焼結原料は、実施例1で得られた焼結原料と比較して平均粒子径は小さく、酸素含有量は高い値となった。これは、微粉砕を大気中で粉砕能力の高い方法で行ったため、微粉化による表面積の増大と、大気中の酸素により粉末表面が酸化されたためと考えられる。
上記焼結原料の焼結を実施例1と同一工程により行い、N型及びP型それぞれのBi−Te系熱電変換材料を得た。
比較例2
まず、N型の熱電変換材料の原料として、原子比でBi2Te3となるように、Bi(純度99.99%、酸素濃度195ppm)、Te(純度99.99%、酸素濃度707ppm)の各金属原料を秤量した。P型の熱電変換材料の原料としては、原子比で(Bi0.15Sb0.852Te3となるように、Bi(純度99.99%、酸素濃度195ppm)、Sb(純度99.9%、酸素濃度265ppm)、Te(純度99.99%、酸素濃度707ppm)の各金属原料を秤量した。これらの金属原料の混合物の溶解工程及びオリエントミルによる粗粉砕工程は実施例1と同一工程とした。粗粉末の微粉砕をボールミルにより行い、N型用及びP型用それぞれのBi−Te系熱電変換材料の焼結原料を得た。
上記焼結原料の平均粒子径と酸素含有量の測定を行った。N型用の焼結原料の平均粒子径は15.1μmで、酸素含有量が3720ppmであった。P型用の焼結原料の平均粒子径は15.7μmで、酸素含有量が3780ppmであった。このように、比較例2で得られた焼結原料は、実施例1で得られた焼結原料と比較して平均粒子径は高い値となった。これは、微粉砕工程をボールミルにより行ったため、十分に微粉化されなかったためと考えられる。
上記焼結原料の焼結を実施例1と同一工程により行い、N型及びP型それぞれのBi−Te系熱電変換材料を得た。
実施例1、実施例2、実施例3と比較例1、比較例2で得られた熱電変換材料を以下の方法で評価した。
得られたそれぞれの熱電変換材料を切断し、樹脂に埋め込み研磨後、この研磨試料を光学顕微鏡により観察した。その光学顕微鏡写真を図1に示す。実施例1、実施例2及び実施例3の熱電変換材料は、ほぼ同一の組織を呈していたため、実施例1のみ示した。図1より、実施例1においては、N型、P型ともに微細な粒子からなる緻密な組織であることがわかる。一方、比較例1においては、板状の粗大な粒子が分散する組織となっている。これは、微粉体中の酸素量が多く、これが焼結時に異常な粒成長の原因となったと考えられる。また、比較例2においては、多くのポアと板状の粗大な粒子が分散する組織となっている。これは、焼結原料の平均粒子径が約15μmと大きいため、緻密化しにくく、これが焼結時の多くのポアと異常な粒成長の原因となったと考えられる。これらの熱電変換材料を形成する粒子の平均粒子径をコード法により測定した結果を表1に示す。実施例1、実施例2、実施例3ではいずれも15μm以下であるが、比較例1および比較例2では20μm以上の大きな値となった。
得られたそれぞれの熱電変換材料から4W×3t×20L(mm)の3点曲げ試験片を切り出し、3点曲げ試験を各4本行った。この結果、実施例1では、N型は平均92MPa、P型は平均88MPa、実施例2では、N型は平均96MPa、P型は平均93MPa、実施例3では、N型は平均85MPa、P型は平均83MPaの高い値を得たが、比較例1では、N型は平均58MPa、P型は平均57MPa、比較例2では、平均48MPa、P型は平均47MPaの低い値となった(図2参照)。これは、図1に示すように実施例1、実施例2、実施例3では微細で均一な組織のため、高い曲げ強度を有しているが、比較例1では粗大な板状粒子が欠陥となり、比較例2では黒くみられるポアと粗大な板状粒子が欠陥となり、低い曲げ強度になったと考えられる。
得られたそれぞれの熱電変換材料から3W×1.5t×20L(mm)の試験片を切り出し、ゼーベック係数、電気伝導度を測定し、出力因子(パワーファクター)を算出した。図3にN型についての結果、図4にP型についての結果示す。これから、N型、P型ともに実施例1、実施例2、実施例3の方が比較例1、比較例2と比べて優れた値を示しており、これから、実施例1、実施例2、実施例3の熱電変換材料は高い曲げ強度を有し、優れた熱電特性を有する熱電変換材料であることがわかる。

Claims (5)

  1. Bi、Sb、Te及びSeの内の2つ以上の元素を含む熱電変換材料の製造において、酸素濃度が500ppm以下の金属原料を所定の配合比で混合した混合物を、不活性雰囲気中で溶解して溶製材を作製し、該溶製材を粉砕して、平均粒子径が2〜10μm、酸素含有量が4000ppm以下の微粉末とし、不活性雰囲気中で該微粉末を焼結することを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
  2. 前記混合物の溶解を、アルゴンもしくは窒素雰囲気中または真空中で、該混合物の融点より100℃以上高く且つTeの沸点より低い温度で、黒鉛坩堝を用いて行うことを特徴とする請求項1記載の熱電変換材料の製造方法。
  3. 前記溶製材の粉砕を、ロールミルあるいはオリエントミルにより溶製材を粗粉砕して、平均粒子径3mm以下の粗粉末とした後、該粗粉末をアルゴンもしくは窒素雰囲気中でジェットミルにより微粉砕することにより行うことを特徴とする請求項1または2記載の熱電変換材料の製造方法。
  4. 前記微粉末の焼結を、アルゴンもしくは窒素雰囲気中または真空中で、ホットプレスまたはHIPにより行うことを特徴とする請求項1、2または3記載の熱電変換材料の製造方法。
  5. 得られる熱電変換材料が、平均粒子径が15μm以下で、3点曲げ強度が80MPa以上の熱電変換材料であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の熱電変換材料の製造方法。
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