JP2010232509A - 光半導体および光半導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体層上に形成された光センサと、半導体層を透過した光を受光する光センサとの出力差をとることで特定波長帯域の光成分を検出する光半導体および光半導体の製造法を提供する。
【解決手段】デバイス10には絶縁層14上のシリコン半導体層16に第1のフォトダイオード20が設けられている。第1のフォトダイオード20は受光部21にて光L1を受光する。光L1は紫外線、可視光線、および赤外線など、光L1に含まれる種々の波長の光を受光する。絶縁層14の下に第2のフォトダイオード30が設けられている。絶縁層14の直下にN型不純物を低濃度に拡散させたN−層32が設けられ、N−層32中にイオン等を注入して形成された第2のP+領域34および第2のN+領域36が形成され、第2のフォトダイオード30とされている。シリコン半導体層16は第2のフォトダイオード30に光L1の紫外線に対するフィルタとして作用する。
【選択図】図3
【解決手段】デバイス10には絶縁層14上のシリコン半導体層16に第1のフォトダイオード20が設けられている。第1のフォトダイオード20は受光部21にて光L1を受光する。光L1は紫外線、可視光線、および赤外線など、光L1に含まれる種々の波長の光を受光する。絶縁層14の下に第2のフォトダイオード30が設けられている。絶縁層14の直下にN型不純物を低濃度に拡散させたN−層32が設けられ、N−層32中にイオン等を注入して形成された第2のP+領域34および第2のN+領域36が形成され、第2のフォトダイオード30とされている。シリコン半導体層16は第2のフォトダイオード30に光L1の紫外線に対するフィルタとして作用する。
【選択図】図3
Description
本発明は光半導体および光半導体の製造方法に関する。
紫外線は、波長400nm以下の紫外線領域の視認できない光のことをいうが、太陽光には、紫外線の他に可視光や赤外線が含まれているため、紫外線を検出するフォトダイオードには、紫外線のみを分離して検出することが求められる。
このため、一般にフォトダイオードの上面に紫外線のみを透過させる紫外線透過フィルタを設けて紫外線のみを分離し検出しているが、この紫外線透過フィルタは種々の原因による劣化によって紫外線の透過量が低下するため、従来のフォトダイオードは、シリコン基板上に埋込み酸化膜を挟んでシリコン半導体層を形成したSOI(Silicon On Insulator)構造の半導体ウェハのN型不純物を低濃度に拡散させたシリコン半導体層に、N型不純物を高濃度に拡散させ「E」字状の櫛型に形成したN+拡散層と、P型不純物を高濃度に拡散させ「π」字状の櫛型に形成したP+拡散層との櫛歯部を噛合わせ、これらを対向配置して横型のフォトダイオードを形成し、そのシリコン半導体層の厚さを150nm程度の厚さとして、可視光を通過させ、紫外線のみを吸収している(例えば、特許文献1参照)。
また、特定の波長帯域の光を検出する際、光センサの露光面にフィルタを設けるかわりに、分光特性の異なる2個の光センサを同一基板上に設け、両者の出力差をとることで被検出光のうち特定波長帯域の光成分を検出する構成が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上記特許文献1のような構成ではSOI構造の半導体ウェハの埋込み酸化膜上にシリコン半導体層を形成し、そのシリコン半導体層の厚さを150nm程度の厚さとして、可視光を通過させ、紫外線のみを吸収するフォトダイオードを形成しているため、シリコン半導体層と埋込み酸化膜との界面での反射の影響を避けることができず、波長400nm以下の紫外線領域の紫外線の総量を正確に検出することができないという問題がある。
これに対しては出願人が既に特開2008−235477等において提案しているように、シリコンの膜厚を3nm〜36nmの領域に抑えることで上記のサブピーク発生を防止することができる。
しかし上記特許文献のような構成では400nmより長い波長の光に対しても幾らかの光吸収を起こすという問題があった。光吸収が起こると、それは400nm以上の光にも感度を持つことを意味し、上記特許文献の構造で根本的な解決を図ることは難しい。
また特許文献2の構成では一枚の基板において同一面上に分光特性の異なる2個の光センサを設ける必要があるため、それぞれの光センサについて製造工程、素材を必要とするので工数やコストの増加が問題となる虞がある。
特開平7−162024号公報
特開平2−240527号公報
本発明は、半導体層に形成された光センサと、半導体層を透過した光を受光する光センサとの出力差をとることで特定波長帯域の光成分を検出する光半導体および光半導体の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の光半導体は、支持基板と、前記支持基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された厚さ3nm以上36nm以下のシリコン半導体層と、前記シリコン半導体層内に形成された第1の感光素子と、前記第1の感光素子が形成されていない前記絶縁層直下の前記シリコン基板中にN型不純物を低濃度に拡散させた低濃度拡散層と、前記低濃度拡散層内に設けられ、前記シリコン半導体層および前記絶縁層を透過した光を受光する第2の感光素子と、を備えたことを特徴とする。
上記の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、感光素子上に別途フィルタを設けず、シリコン半導体層をフィルタとして(絶縁層はUVの吸収特性を持たないため)単純な構成で2個の感光素子の出力差から特定波長帯域の光成分を検出することができる。
請求項2に記載の光半導体は、請求項1に記載の構成において、前記低濃度拡散層の深さは37nm未満であることを特徴とする。
上記の発明によれば、請求項1に規定するシリコン半導体層の厚さ範囲3nm以上36nm以下において、低濃度拡散層の深さを抑えることで第1の感光素子の出力が第2の感光素子の出力より大きく保つことができ、検出結果が常にプラスの範囲となるので正しく光量検出を行うことができる。
請求項3に記載の光半導体は、前記第2の感光素子の受光部面積は前記第1の感光素子の受光部面積の0.006%以上100%未満であり、前記低濃度拡散層の深さは725μm以下であることを特徴とする。
上記の発明によれば、第1の感光素子が第2の感光素子よりも受光面積が大きいとき、一般的に用いられる8インチウエハの厚さ(725μm)範囲内で検出結果が常にプラスの範囲となり、正しく光量検出を行うことができる。
請求項4に記載の光半導体の製造方法は、支持基板と、前記支持基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成されたシリコン半導体層と、からなる基板上に、前記絶縁層直下の前記支持基板にイオンを注入し、低濃度拡散層を形成する低濃度拡散層生成工程と、前記低濃度拡散層にイオンを注入し、第2のP型高濃度拡散領域および第2のN型高濃度拡散領域を形成し第2の半導体とする第2の感光素子形成工程と、平面視で前記第2の感光素子と重ならない前記シリコン半導体層にイオンを注入し、第1のP型高濃度拡散領域、第1のP型低濃度拡散領域および第1のN型高濃度拡散領域を形成し第1の感光素子とする第1の感光素子形成工程と、前記第1の感光素子を研磨する薄膜化工程と、前記シリコン半導体層および前記第1の感光素子上に層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜形成工程と、前記層間絶縁膜に表面から前記第1のP型高濃度拡散領域、前記第1のN型高濃度拡散領域、前記第2のP型高濃度拡散領域、および前記第2のN型高濃度拡散領域まで連通するコンタクトホールを形成するコンタクトホール形成工程と、前記コンタクトホールに導電材料を充填し、前記層間絶縁膜の表面に露出した電極を形成する電極形成工程と、を含むことを特徴とする。
上記の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、半導体層に形成された光センサと、半導体層を透過した光を受光する光センサとを備えた光半導体を効率よく製造することができる。
請求項5に記載の光半導体の製造方法は、前記低濃度拡散層生成工程と前記第2の感光素子形成工程の少なくとも一方の終了後に熱処理工程を行うことを特徴とする。
上記の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、イオン注入時のイオン衝突で生じる結晶構造ダメージを修復し所望の特性を得ることができる。
以上説明したように本発明は、半導体層に形成された光センサと、半導体層を透過した光を受光する光センサとの出力差をとることで特定波長帯域の光成分を検出する光半導体および光半導体の製造方法を提供する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る光半導体の一例を図1、図2に示す。なお、示されている寸法等の数値、あるいは素材などは例であり、実施に際してはこれらに何ら限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
本発明の第1実施形態に係る光半導体の一例を図1、図2に示す。なお、示されている寸法等の数値、あるいは素材などは例であり、実施に際してはこれらに何ら限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る光半導体であるデバイス10は、シリコン(Si)からなる支持基板12上に、酸化シリコン(SiO2)などからなる絶縁層14を挟んで薄い単結晶シリコンなどからなるシリコン半導体層16を形成した、いわゆるSOI構造の半導体ウェハ上に形成されている。
デバイス10には絶縁層14上に第1のフォトダイオード(PD1)20が設けられている。第1のフォトダイオード20は受光部21にて光L1を受光する。光L1は波長400nm未満の紫外線、波長400〜700nmの可視光線、および波長700nm以上の赤外線など、光L1に含まれる種々の波長の光を受光する。第1のフォトダイオード20は所謂PN型のダイオードであっても、他の形式であってもよい。
また絶縁層14を挟んで支持基板12上に設けられたシリコン半導体層16の厚さaは第1のフォトダイオード20の受光部21の厚さa’と等しく、光L1の紫外線(波長400nm未満)に対するフィルタとして作用する。
一方、第1のフォトダイオード20が設けられていない部分において絶縁層14の下に第2のフォトダイオード(PD2)30が設けられている。すなわち絶縁層14の直下にN型不純物を低濃度に拡散させたN−層(低濃度拡散層)32が設けられ、N−層32中にイオン等を注入して形成された第2のP+領域(P型不純物高濃度拡散領域)34および第2のN+領域(N型不純物高濃度拡散領域)36が形成され、第2のフォトダイオード(PD2)30とされている。
第2のフォトダイオード30はシリコン半導体層16を透過することで光L1より紫外線(波長400nm未満)の成分を吸収された光L2を受光する。絶縁層14を形成する酸化シリコン(SiO2)は一般的に紫外域に吸収をもたないため、このフィルタ効果には寄与しない。
デバイス10を含む回路は図2に示すような構成とされている。
図2に示すように、第1のフォトダイオード20が光L1を受光することで発生する光電流1と、第2のフォトダイオード30が波長400nm未満の紫外線を除去された光L2を受光することで発生する光電流2との差分をアンプ50で増幅し、出力52とすることで、デバイス10が受光した光L1に含まれる波長400nm未満の紫外線量を検出する構成とされている。
<第1実施形態の効果>
図1に示すようにフォトダイオード20に光L1を照射した際、光L1は以下に示すベールの法則に従いフォトダイオード20の中を吸収されながら進入していく。すなわち、
図1に示すようにフォトダイオード20に光L1を照射した際、光L1は以下に示すベールの法則に従いフォトダイオード20の中を吸収されながら進入していく。すなわち、
φ(x)=φ0exp(-αx)
φ(x):シリコン表面から深さx地点での光の強さ
φ0 :シリコン表面における光の強さ
α :シリコンの光吸収係数
x :シリコン表面からの距離
φ0 :シリコン表面における光の強さ
α :シリコンの光吸収係数
x :シリコン表面からの距離
さらにシリコン半導体素子に吸収される光の量となるは以下のとおり求められる。
シリコンの光吸収量=(1-φ0exp(−αx))×((hν−1.12)/hν)×光の照度
h:プランク定数
ν:照射する光の振動数
h:プランク定数
ν:照射する光の振動数
以上のことから第1のフォトダイオード20が吸収する光の量φ(a)は、以下の式で表される。
φ(a)=(1-φ0exp(-αa))×((hν-1.12)/hν)×光の照度
また第2のフォトダイオード30が吸収する光の量φ(b)は、以下の式で表される。
φ(b)=((1-φ0exp(-α(a+b)))-(1-φ0exp(-αa))×((hν-1.12)/hν)×光の照度
ここで、例としてシリコンの表面から深さ30nm進んだ時点で吸収される光の分光特性を図3に示す。図3に示されているように深さ30nmのシリコンは波長400nm近傍から短波長側の光に対しては極めて急峻なカットオフ特性を示す。
さらに高度42度の太陽光に相当するAM1.5の分光強度分布を図4に示す。日本において標準的な太陽光の一例として用いられるAM1.5の分光強度分布をもつ光を厚さ30nmのシリコンを透過させた際の分光吸収を図5に示す。発明者らは計算の結果、全吸収量において波長400nm以上の光(可視光)が占める率は約24%であるという知見を得た。
上記の構成とされたことにより、互いに受光部面積が等しい第1のフォトダイオード20と第2のフォトダイオード30には異なる分光強度分布の光、すなわち光L1と光L2とが照射されるような素子構造を持つ。
本実施形態ではそれぞれのフォトダイオードに異なる分光強度分布の光である光L1と光L2とを照射し、それぞれのフォトダイオードにおける光吸収量の差を取ることで結果として400nm以上の光による影響を受けにくく、紫外線領域の強度を正確に検出することのできる素子構造としている。
図1において第1のフォトダイオード20には紫外線、可視光を含む光L1が照射され第1のフォトダイオード20により吸収される。一方で第2のフォトダイオード30の上には第1のフォトダイオード20の受光部21と同じ厚さのシリコン半導体層16が形成されている。
この第2のフォトダイオード30の上に形成されるシリコン半導体層16には第1のフォトダイオード20は形成されておらず、上記のようにこのシリコン半導体層16により照射された光の400nm未満の波長の大部分が吸収される(UVフィルタ効果)。よって第2のフォトダイオード30には400nm未満の波長が相当量、吸収された後の光L2が照射される。その結果、第2のフォトダイオード30に吸収される光L2は第1のフォトダイオード20に吸収される光L1と比較して400nm以上の可視光が占める割合が大きくなる。
また下記のように第2のフォトダイオード30が形成されるN−層32の深さを調整することにより可視光、赤外光領域の光(波長400nm以上の光)が第2のフォトダイオード30に吸収され過ぎないように調整することができる。
図6にはシリコン半導体層16の膜厚が30nmで、第1のフォトダイオード20と第2のフォトダイオード30の受光部面積が等しい時にN−層32の深さを変えた時の両者の光の吸収量の差分の計算結果を示す。
第2のフォトダイオード30の形成されるN−層32の深さを深くするにつれ、波長400nm以上の可視光領域で、図6中の矢印のように光の吸収量が減少することを発明者らは模擬実験(シミュレーション)により確認している。
例としてN−層32の深さが30nmの時は全体の光の吸収量に占める400nm以上の光の吸収量は約3.3%まで減少した。一方でN−層の深さを深くし過ぎると第2のフォトダイオード30における可視光、赤外光(波長400nm以上の光)の吸収量が増加して第1のフォトダイオード20での可視光、赤外光の吸収量を上回り、両者の差をとると結果としてマイナスの(第1のフォトダイオード20<第2のフォトダイオード30)吸収量となり、正しく紫外線領域の強度を検出できなくなる虞がある。
本実施形態に用いたシリコン等の素材は膜厚が厚くなるほど、より多くの長波長の光を吸収することがわかっている。そのためN−層32の深さはシリコン半導体層16の膜厚が厚くなるにつれ厚くする必要が生じる。
前述のようにシリコン半導体層16と絶縁層14(埋込み酸化膜)との界面での反射の影響によるサブピークの発生を避けるため、本実施形態においてはシリコン半導体層16の厚さを3〜36nmに限定している。
すなわちシリコン半導体層16の厚さは最大で36nmとなる。厚さ36nmのシリコン半導体層16を用いた際、第1のフォトダイオード20と第2のフォトダイオード30の面積が等しい時、両者の光吸収量の差が始めてマイナスとなる波長は計算の結果、λ=572nmの時であることが模擬実験(シミュレーション)でわかっている。
図10にはλ=572nmの光を用いてN−層32の深さを変化させた時の、第1のフォトダイオード20と第2のフォトダイオード30の光吸収量の差の計算結果が示されている。
図10に示すように、N−層32の深さが37nm以上となると第2のフォトダイオード30の光吸収量が第1のフォトダイオード20のそれを超えてしまい、正しい検出を行うことができない。よってN−層32の深さは最大でも37nm未満とする必要がある。
またシリコン半導体層16の膜厚が36nmのとき、第1のフォトダイオード20単体では光吸収量全体に占める400nm以上の光の吸収量は約26.4%であるが、仮にN−層32を1nm形成すると400nm以上の光の吸収量は約26%へと0.4%減少する。(N−層32の深さが36nmの時は約4.4%へ減少する。)以上のことからシリコン半導体層16の膜厚が36nmの時のN−層32の深さは37nm未満とすればよいことがわかる。
一方、シリコン半導体層16の膜厚が最も薄い3nmにおいては第1のフォトダイオード20単体では光吸収量全体に占める400nm以上の光の吸収量は約11.1%であり、N−層32が仮に1nm形成されると400nm以上の光の吸収量の割合は約10.3%へと減少する。よって、シリコン半導体層16の膜厚が3nmの時にも本構成で同様の効果が得られることを発明者らは確認した。よってシリコン半導体層16の膜厚が3nm以上36nm以下の範囲で問題なく上記の条件を適用可能である。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る光半導体の一例を図7、図8に示す。なお、示されている寸法等の数値、あるいは素材などは例であり、実施に際してはこれらに何ら限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る点は第1実施形態と同様である。
本発明の第2実施形態に係る光半導体の一例を図7、図8に示す。なお、示されている寸法等の数値、あるいは素材などは例であり、実施に際してはこれらに何ら限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る点は第1実施形態と同様である。
図7に示すように、本発明の第2実施形態に係る光半導体であるデバイス110は、シリコン(Si)からなる支持基板12上に、酸化シリコン(SiO2)などからなる絶縁層14を挟んで薄い単結晶シリコンなどからなるシリコン半導体層16を形成した、いわゆるSOI構造の半導体ウェハ上に形成されている点は第1実施形態と同様である。
デバイス110には絶縁層14上に第1のフォトダイオード(第1のフォトダイオード120)120が設けられている。第1のフォトダイオード120は受光部121にて光L1を受光する。光L1は波長400nm未満の紫外線、波長400〜700nmの可視光線、および波長700nm以上の赤外線など、光L1に含まれる種々の波長の光を受光する。第1のフォトダイオード120は所謂PN型のダイオードであっても、他の形式であってもよい。
また絶縁層14を挟んで支持基板12上に設けられたシリコン半導体層16の厚さaは第1実施形態と同様、第1のフォトダイオード120の受光部21の厚さa’と等しく、光L1の紫外線(波長400nm未満)に対するフィルタとして作用する。
一方、第1のフォトダイオード120が設けられていない部分において絶縁層14の下に第2のフォトダイオード(PD2)130が設けられている。すなわち絶縁層14の直下にN型不純物を低濃度に拡散させたN−層(低濃度拡散層)132が設けられ、N−層132中にイオン等を注入して形成された第2のP+領域(P型不純物高濃度拡散領域)134および第2のN+領域(N型不純物高濃度拡散領域)136が形成され、第2のフォトダイオード(第2のフォトダイオード30)130とされている。
第2のフォトダイオード130はシリコン半導体層16を透過することで光L1より紫外線(波長400nm未満)の成分を吸収された光L2を受光する点は第1実施形態と同様である。また、第2のフォトダイオード130は第1のフォトダイオード120と比較して受光面積が小さく、両者の受光面積の比率はSで表される。
デバイス110を含む回路は図8に示すような構成とされている。
図8に示すように、第1のフォトダイオード120が光L1を受光することで発生する光電流1と、第2のフォトダイオード130が波長400nm未満の紫外線の大部分が吸収された光L2を受光することで発生する光電流2との差分をアンプ50で増幅し、出力52とすることで、デバイス110が受光した光L1に含まれる波長400nm未満の紫外線量を検出する構成である点は第1実施形態と同様であるが、第2のフォトダイオード130は第1のフォトダイオード120と比較して受光面積が小さいため、両者の面積比Sが光電流1と光電流2の差に影響する構成とされている。
<第2実施形態の効果>
第1実施形態と同様、フォトダイオード120に光L1を照射した際、光L1はベールの法則に従いフォトダイオード120の中を吸収されながら進入していく。すなわち、シリコン半導体素子に吸収される光の量となるは以下のとおり求められる。
第1実施形態と同様、フォトダイオード120に光L1を照射した際、光L1はベールの法則に従いフォトダイオード120の中を吸収されながら進入していく。すなわち、シリコン半導体素子に吸収される光の量となるは以下のとおり求められる。
シリコンの光吸収量=(1-φ0exp(−αx))×((hν−1.12)/hν)×光の照度
h:プランク定数
ν:照射する光の振動数
h:プランク定数
ν:照射する光の振動数
以上のことから第1のフォトダイオード120が吸収する光の量φ(a)は、以下の式で表される。
φ(a)=(1-φ0exp(-αa))×((hν-1.12)/hν)×光の照度
また第2のフォトダイオード130が吸収する光の量φ(b)は、以下の式で表される。
φ(b)=((1-φ0exp(-α(a+b)))-(1-φ0exp(-αa))×((hν-1.12)/hν)×光の照度×s
ここでSは前述のように第2のフォトダイオード130と第1のフォトダイオード120との受光面積の比を示す。
シリコン半導体層16の膜厚を36nmとしたとき、第2のフォトダイオード130の受光部面積が第1のフォトダイオード120の受光部面積の5%であり、N−層132の深さを変えた時の、第1のフォトダイオード120と第2のフォトダイオード130の光の吸収量の差分(光電流1−光電流2)の計算結果を図9に示す。
図9に示されるように、第2のフォトダイオード130のN−層132の深さを深くするにつれ、図中の矢印の方向に波長400nm以上(可視光、赤外光)で光の吸収量が減少することを発明者らは確認した。
N−層132の深さが720nmの時は全体の光の吸収量に占める400nm以上の光の吸収量は約16.6%まで減少した。(第1のフォトダイオード120単体の時の400nm以上の光の吸収量は約26.4%である。)
本実施形態は第1のフォトダイオード120と第2のフォトダイオード130の受光部面積が等しい第1実施形態と比較して、400nm以上の光の吸収量の減少量は少なくなっているため検出時に得られる光電流の差は小さいが、第2のフォトダイオード130の受光部面積を小さくすることでチップサイズを小さく出来るという利点がある。
一方でN−層132の深さを深くし過ぎると第2のフォトダイオード130における可視光、赤外光の吸収量が増加して、第1のフォトダイオード120の可視光、赤外光の吸収量を上回り、両者の差をとると結果としてマイナスの吸収量となり正しく光量を検出できなくなる虞がある。
すなわち第2のフォトダイオード130の面積はN−層132の深さに応じて縮小できるが、素材であるシリコンウエハ(一般的には8インチサイズ)の厚さに収める必要がある。第2のフォトダイオード130の面積を減少させた時に両者の差をとり、結果としてマイナスの吸収量にならないようなN−層132の最大深さを図13に示す。
本発明等の用途に一般に用いられている8インチウエハの厚さは725μmである。よって、図11に示すようにN−層132の最大深さがウエハ厚(725μm)未満の範囲に収まるのは、第2のフォトダイオード130の受光面積が第1のフォトダイオード120の受光面積に対して0.006%以上の時となることがわかる。
以上の点から第2のフォトダイオード130の受光面積は第1のフォトダイオード120の受光面積の0.006%以上100%未満となり、この時のN−層132の最大深さは一般的な8インチウエハ厚と等しい725μm未満となる。
N−層132の深さと、第1のフォトダイオード120の受光面積と第2のフォトダイオード130の受光面積の比が上記の範囲に収まっていれば本実施形態のデバイス110は正しく紫外線領域の光量を検出することができる。
<製造工程例>
図12〜図14には本発明に係る光半導体の一例であるデバイスの形成過程の一例が示されている。なお、示されている材料および数値は例であり、実施に際してはこれらに何ら限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
図12〜図14には本発明に係る光半導体の一例であるデバイスの形成過程の一例が示されている。なお、示されている材料および数値は例であり、実施に際してはこれらに何ら限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
まず図12(A)に示すように、シリコン(Si)からなる支持基板12上に、酸化シリコン(SiO2)などからなる絶縁層14を挟んで薄い単結晶シリコンなどからなるシリコン半導体層16を形成した、いわゆるSOI構造の半導体ウェハを用意する。
支持基板12中に、数十kev〜数Mev程度の電圧でN型不純物(燐イオンなど)を低濃度で注入する。このときイオン注入により絶縁層14の下にN−層(低濃度拡散層)32が形成されるように電圧を調整する。またこのとき必要に応じてアニールのため加熱処理を行ってもよい。
次いで図12(B)に示すようにN−層32中に硼素イオンなどのP型不純物、燐イオンなどのN型不純物を数十kev〜数Mev程度の電圧で高濃度で注入する。これによりN−層32中にP+領域(P型不純物高濃度拡散領域)34、N+領域(N型不純物高濃度拡散領域)36が形成され、第2のフォトダイオード30となる。このとき必要に応じてアニールのため加熱処理を行ってもよい。
さらに図12(C)に示すように、表層のシリコン半導体層16中に硼素イオンなどのP型不純物を高濃度で数十kev程度の電圧で注入し、隣接する箇所に同じく低濃度でP型不純物を数十kev程度の電圧で注入する。さらに隣接する箇所に燐イオンなどのN型不純物を数十kev程度の電圧で注入する。
これによりシリコン半導体層16中にP+領域(P型不純物高濃度拡散領域)22、P−領域(P型不純物低濃度拡散領域)24、N+領域(N型不純物高濃度拡散領域)26が形成され、第1のフォトダイオード20となる。
次いで図13(A)に示すように第1のフォトダイオード20をエッチング等により所望の厚さまで薄膜化する。
同時に、第2のフォトダイオード30上のシリコン半導体層16を研磨しする。これにより第2のフォトダイオード30上のシリコン半導体層16の厚さを第1のフォトダイオード20と同等の厚さまで薄膜化する。
さらに図13(B)に示すようにシリコン半導体層16、第1のフォトダイオード20上をカバーするように層間絶縁膜60を形成する。
次いで図13(C)に示すようにP+領域22、P−領域24上に、これと連通するように層間絶縁膜60をエッチング等で貫通してコンタクトホール62を形成する。同様に
P+領域34、N+領域36上にこれと連通するように層間絶縁膜60、シリコン半導体層16、絶縁層14をエッチング等で貫通してコンタクトホール62を形成する。
最後に図14に示すように、CVD法やスパッタ法等を用いてコンタクトホール62内に導電材料を埋め込んでコンタクトプラグ64を形成し、上端を平面処理化して層間絶縁膜60の上面に露出させる。
これらの工程により、図1に示すようにシリコン半導体層16に設けられた第1のフォトダイオード20と、絶縁層14の下に設けられた第2のフォトダイオード30とを備えた光半導体の構造とすることができる。
<まとめ>
以上、本発明の実施例について記述したが、本発明は上記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
以上、本発明の実施例について記述したが、本発明は上記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
すなわち、上記の実施形態においては二つのフォトダイオードを用いて紫外線量を検出する光半導体の構成とされているが、これに限定されず例えば他の波長領域の光検出に用いられる構成とされていてもよいし、あるいは三つ以上の感光部を備えた構成とされていてもよい。
10 デバイス(光半導体)
12 支持基板
14 絶縁層
16 シリコン半導体層
20 フォトダイオード(第1のフォトダイオード)
21 受光部
30 フォトダイオード(第2のフォトダイオード)
60 層間絶縁膜
62 コンタクトホール
64 コンタクトプラグ
110 デバイス(光半導体)
120 フォトダイオード(第1のフォトダイオード)
121 受光部
130 フォトダイオード(第2のフォトダイオード)
L1 光
L2 光
12 支持基板
14 絶縁層
16 シリコン半導体層
20 フォトダイオード(第1のフォトダイオード)
21 受光部
30 フォトダイオード(第2のフォトダイオード)
60 層間絶縁膜
62 コンタクトホール
64 コンタクトプラグ
110 デバイス(光半導体)
120 フォトダイオード(第1のフォトダイオード)
121 受光部
130 フォトダイオード(第2のフォトダイオード)
L1 光
L2 光
Claims (5)
- 支持基板と、
前記支持基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された厚さ3nm以上36nm以下のシリコン半導体層と、
前記シリコン半導体層内に形成された第1の感光素子と、
前記第1の感光素子が形成されていない前記絶縁層直下の前記シリコン基板中にN型不純物を低濃度に拡散させた低濃度拡散層と、
前記低濃度拡散層内に設けられ、前記シリコン半導体層および前記絶縁層を透過した光を受光する第2の感光素子と、
を備えた光半導体。 - 前記低濃度拡散層の深さは37nm未満であることを特徴とする請求項1に記載の光半導体。
- 前記第2の感光素子の受光部面積は前記第1の感光素子の受光部面積の0.006%以上100%未満であり、
前記低濃度拡散層の深さは725μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光半導体。 - 支持基板と、
前記支持基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成されたシリコン半導体層と、からなる基板上に、
前記絶縁層直下の前記支持基板にイオンを注入し、低濃度拡散層を形成する低濃度拡散層生成工程と、
前記低濃度拡散層にイオンを注入し、第2のP型高濃度拡散領域および第2のN型高濃度拡散領域を形成し第2の半導体とする第2の感光素子形成工程と、
平面視で前記第2の感光素子と重ならない前記シリコン半導体層にイオンを注入し、第1のP型高濃度拡散領域、第1のP型低濃度拡散領域および第1のN型高濃度拡散領域を形成し第1の感光素子とする第1の感光素子形成工程と、
前記第1の感光素子を研磨する薄膜化工程と、
前記シリコン半導体層および前記第1の感光素子上に層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜形成工程と、
前記層間絶縁膜に表面から前記第1のP型高濃度拡散領域、前記第1のN型高濃度拡散領域、前記第2のP型高濃度拡散領域、および前記第2のN型高濃度拡散領域まで連通するコンタクトホールを形成するコンタクトホール形成工程と、
前記コンタクトホールに導電材料を充填し、前記層間絶縁膜の表面に露出した電極を形成する電極形成工程と、を含むことを特徴とする光半導体の製造方法。 - 前記低濃度拡散層生成工程と前記第2の感光素子形成工程の少なくとも一方の終了後に熱処理工程を行うことを特徴とする請求項4に記載の光半導体の製造方法。
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- 2009-03-27 JP JP2009079768A patent/JP2010232509A/ja active Pending
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