JP2010232265A - 蓄電デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓄電デバイスの品質および安全性を向上させる。
【解決手段】蓄電デバイスはジグザグ状に折り返されるセパレータ17を有する。セパレータ17には、電極ユニット12を収容するユニット収容部33と、リチウム極16を収容するリチウム収容部34とが交互に形成される。さらに、セパレータ17の幅方向の両端部37は折り返された状態で電極素子13の厚さ方向に閉じられる。これにより、リチウム極16はリチウム収容部34内に密閉されるため、リチウム極16から金属リチウムが脱落しても、蓄電デバイス内への金属リチウムの拡散が防止される。よって、蓄電デバイス内に拡散する金属リチウムが原因となる外装材の腐食およびショートを防止することが可能となる。
【選択図】図5

Description

本発明は、イオン供給源が組み込まれる蓄電デバイスおよびその製造方法に関する。
電気自動車やハイブリッド自動車等に搭載される蓄電デバイスとして、リチウムイオンキャパシタやリチウムイオン二次電池等がある。これら蓄電デバイスのエネルギー密度を向上させるため、蓄電デバイス内にイオン供給源としての金属リチウムを組み込むようにした蓄電デバイスが提案されている。この蓄電デバイスにおいては、金属リチウムが負極に対して電気化学的に接続され、金属リチウムから負極にリチウムイオンがドーピングされる(例えば、特許文献1参照)。この後に正負極間で充放電を実施することにより、不可逆容量を多く有する負極活物質を負極に用いた場合における蓄電デバイスの容量ロスの低減が可能となる。また、負極へのリチウムイオンのドーピングにより、蓄電デバイスの充電状態や放電状態における負極電位を低下させることが可能となる。すなわち、負極の平均電位の低下によって蓄電デバイスの平均電圧を高めることが可能となる結果、蓄電デバイスのエネルギー密度を向上させることが可能となる。
このように、リチウムイオンをドーピングする蓄電デバイスとして、金属リチウムを備えるリチウム極を分散配置させた蓄電デバイスが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この蓄電デバイスは、正極と負極を交互に積層させてなる複数の電極ユニットを有し、電極ユニット間および電極ユニット群の最外部に配置されるリチウム極を有している。このようにリチウム極を分散させて配置することにより、リチウムイオンのドーピング時間を短縮できるとしている。なお、特許文献2においては電極ユニットの最外部の両側をテープで止める方法が提案されている。また、セル外部に設けられるリード線を介して負極とリチウム極の端子を接続することにより、リチウム極から負極にリチウムイオンを効率良くドーピングさせる蓄電デバイスが提案されている(例えば、特許文献3参照)。さらに、セル外部に設けられる充放電試験機等の外部機器を介して負極とリチウム極の端子を接続することにより、リチウム極から負極にリチウムイオンを担持ムラなくドーピングさせる蓄電デバイスが提案されている(例えば、特許文献4参照)。さらに、特許文献3および特許文献4に記載された蓄電デバイスにおいては、ドーピング工程終了後もリチウム極に金属リチウムを残存させることにより、負極劣化時においては負極に対してリチウム極からリチウムイオンを再ドーピングさせることが可能である。さらに、特許文献3および特許文献4に記載された蓄電デバイスにおいては、リチウム極を参照極として用いることで正負極電位をモニターすることが可能である。
また、特許文献5においては、蓄電デバイス内に設けるリチウム極を保液材で覆うことで、リチウム極における金属リチウムのイオン化を容易にし、負極へのリチウムイオンのドーピング反応を良好に保つことができるとしている。さらに、副次的効果として、保液材が存在することによりリチウム箔のバリによる短絡を防止できるとしている。
特許第3485935号公報 国際公開第06/112068号パンフレット 特開2008−243888号公報 国際公開第04/059672号パンフレット 特開2008−130734号公報
しかしながら、単に蓄電デバイス内に金属リチウムを組み込むことは、金属リチウムの一部が脱落した場合に、蓄電デバイス内で金属リチウムを拡散させてしまうおそれがある。例えば、正極および負極共に貫通孔を有する集電体を使用し、電極ユニット上に設けたリチウム極から集電体を通過させてリチウムイオンを負極にドーピングさせる方法において、リチウム極と正極および負極との間にリチウムイオン透過性のないテープを用いて電極ユニットを固定する際、テープが金属リチウムの面積内に差し掛かると、リチウム極から負極へのリチウムイオンの移動がテープによって遮断される結果、マスキングされた様に金属リチウムがリチウム極に残存してしまう。このように残存する金属リチウムがリチウム極から脱落した場合には、金属リチウム片を蓄電デバイス内に拡散させてしまうおそれがある。また、プレドープ工程終了後にも金属リチウムが残存する構成である場合には、充放電サイクルにおいては残存した金属リチウムを基盤とする金属リチウムの析出が確認されている。この場合に、更なる充放電サイクルによって金属リチウムの析出が進行すると、析出した金属リチウムがリチウム極から脱落して、金属リチウム微粒子をセル内に拡散させてしまうおそれがある。このようにして金属リチウム片や金属リチウム微粒子が蓄電デバイス内に拡散すると、外装材の腐食や突発的な蓄電デバイスのショートを招いて、蓄電デバイスの品質および安全性を低下させる要因となっていた。さらに、金属リチウム片や微粒状の金属リチウムが蓄電デバイス内に拡散している状態で内部短絡や過充電等によって蓄電デバイスが開口するような異常事態が生じた場合には、前記金属リチウム片や微粒状の金属リチウムを大気中に飛散させてしまう。
上述した外装材の腐食や突発的な蓄電デバイスのショート等の課題は、特許文献5に記載の手段、具体的にはシート状の保液材を二つ折りにしてリチウム箔を挟み込む、2枚にしてリチウム箔の表面と裏面とを挟む、もしくは保液材を袋状にしてリチウム箔を挿入する、等の手段を用いることによっていくらか防止の期待が持てる。しかしながら、特許文献5に記載の手段では、リチウム極を覆う保液材に開口部を根本的に有している、すなわち、リチウム極から脱離した金属リチウム片や金属リチウム微粒子の逃げ場を有しているため、リチウム極から脱落した金属リチウム片や金属リチウム微粒子の蓄電デバイス内への拡散を完全には防止できず、上述した課題を解決することはできない。
本発明の目的は、蓄電デバイスの品質および安全性を向上させることにある。
本発明の蓄電デバイスは、捲回または積層された正極および負極を備える電極ユニットと、前記正極と前記負極との少なくともいずれか一方に接続されるイオン供給源とを備える蓄電デバイスであって、前記電極ユニットおよび前記イオン供給源は、それぞれ袋状のセパレータに収容されることを特徴とする。
本発明の蓄電デバイスは、前記電極ユニットを収容する前記袋状のセパレータの一端は開口され、前記イオン供給源を収容する前記袋状のセパレータの一端は開口され、前記電極ユニットを収容する前記袋状のセパレータの開口部と、前記イオン供給源を収容する前記袋状のセパレータの開口部とは、逆向きに配置されることを特徴とする。
本発明の蓄電デバイスは、帯状のセパレータを、前記電極ユニットと前記イオン供給源との間を仕切るように折り曲げ、前記電極ユニットを収容する第1収容部と前記イオン供給源を収容する第2収容部とを交互に形成し、前記帯状のセパレータの幅方向の両端部を閉じることにより、前記帯状のセパレータによって前記袋状のセパレータを構成することを特徴とする。
本発明の蓄電デバイスは、前記帯状のセパレータは、前記第1収容部と前記第2収容部とを形成する折り曲げ部と、前記折り曲げ部に連なって前記電極ユニットおよび前記イオン供給源を包むラップ部とを備えることを特徴とする。
本発明の蓄電デバイスは、前記第1収容部および前記第2収容部に設けられる開口部の少なくともいずれか一方は、前記ラップ部によって塞がれることを特徴とする。
本発明の蓄電デバイスは、前記帯状のセパレータの長手方向の一端部は前記ラップ部によって覆われることを特徴とする。
本発明の蓄電デバイスは、複数の前記イオン供給源が分散して配置されることを特徴とする。
本発明の蓄電デバイスは、前記正極は正極集電体および正極合材層を備え、前記負極は負極集電体および負極合材層を備え、前記正極集電体および前記負極集電体には複数の貫通孔が形成されることを特徴とする。
本発明の蓄電デバイスの製造方法は、捲回または積層された正極および負極を備える電極ユニットと、前記正極と前記負極との少なくともいずれか一方に接続されるイオン供給源とを備える蓄電デバイスの製造方法であって、一端が開口される袋状のセパレータに前記電極ユニットを収容し、一端が開口される袋状のセパレータに前記イオン供給源を収容し、前記電極ユニットを収容する前記袋状のセパレータの開口部と、前記イオン供給源を収容する前記袋状のセパレータの開口部とを、逆向きに配置することを特徴とする。
本発明によれば、電極ユニットおよびイオン供給源のそれぞれを袋状のセパレータに収容している。これにより、イオン供給源から微粒子等が脱落した場合であっても、蓄電デバイス内への微粒子等の拡散を防止することが可能となる。これにより、外装材の腐食や突発的に生じる蓄電デバイスのショートを防止することができ、蓄電デバイスの品質および安全性を向上させることが可能となる。
また、本発明によれば、複数のイオン供給源を分散させるように配置したので、正極および/または負極へのイオンのドーピング時間を短縮させることが可能となる。
本発明の一実施の形態である蓄電デバイスを示す斜視図である。 図1のA−A線に沿って蓄電デバイスの内部構造を概略的に示す断面図である。 図1のB−B線に沿って蓄電デバイスの内部構造を概略的に示す断面図である。 蓄電デバイスの内部構造を部分的に拡大して示す断面図である。 電極ユニット、リチウム極、セパレータの組立構造を示す分解斜視図である。 電極ユニットおよびリチウム極を巻くセパレータの封止位置を示す斜視図である。 (A)〜(C)は本発明の他の実施の形態である蓄電デバイスの内部構造を概略的に示す断面図である。 本発明の他の実施の形態である蓄電デバイスの内部構造を概略的に示す断面図である。 (A)は本発明の他の実施の形態である蓄電デバイスの内部構造を概略的に示す断面図である。(B)は電極ユニットおよびリチウム極を巻くセパレータの封止位置を示す斜視図である。 本発明の他の実施の形態である蓄電デバイスの内部構造を概略的に示す断面図である。 袋状のセパレータとこれに収容される電極ユニットとを示す説明図である。 袋状のセパレータとこれに収容されるリチウム極とを示す説明図である。 (A)〜(C)は袋状のセパレータに収容される電極ユニットとリチウム極との積層状態を示す分解斜視図である。 袋状のセパレータに収容される電極ユニットとリチウム極との積層状態を示す分解斜視図である。
図1は本発明の一実施の形態である蓄電デバイス10を示す斜視図である。図2は図1のA−A線に沿って蓄電デバイス10の内部構造を概略的に示す断面図である。図3は図1のB−B線に沿って蓄電デバイス10の内部構造を概略的に示す断面図である。図1〜図3に示すように、ラミネートフィルムを用いて構成される外装材11内には電極素子13が収容されている。電極素子13は2つの電極ユニット12を有している。この電極ユニット12は交互に積層される正極14と負極15とを有している。さらに、電極素子13はイオン供給源として3つのリチウム極16を有している。それぞれのリチウム極16は電極ユニット12に対向するように配置されている。また、電極素子13はジグザグ状に折り返される帯状のセパレータ17を有している。このセパレータ17は、電極ユニット12とリチウム極16との間を縫うように、すなわち電極ユニット12とリチウム極16との間を仕切るように折り曲げられている。なお、外装材11内には電解液が注入されている。電解液はリチウム塩を含む非プロトン性極性溶媒によって構成されている。
図4は蓄電デバイス10の内部構造を部分的に拡大して示す断面図である。図4に示すように、正極14は多数の貫通孔20aを備えた正極集電体20を有している。この正極集電体20上には正極合材層21が設けられている。また、図3に示すように、正極集電体20には凸状に伸びる端子接続部20bが設けられている。複数枚の端子接続部20bは重ねた状態で互いに接合されている。さらに、互いに接合された端子接続部20bには正極端子22が接合されている。図4に示すように、負極15は多数の貫通孔23aを備えた負極集電体23を有している。この負極集電体23上には負極合材層24が設けられている。また、図3に示すように、負極集電体23には凸状に伸びる端子接続部23bが設けられている。複数枚の端子接続部23bは重ねた状態で互いに接合されている。さらに、互いに接合された端子接続部23bには負極端子25が接合されている。なお、電極ユニット12を構成する正極14と負極15との間にはセパレータ26が挟み込まれている。
正極合材層21には正極活物質として活性炭が含まれている。この活性炭にはリチウムイオンやアニオンを可逆的にドーピング・脱ドーピングさせることが可能である。また、負極合材層24には負極活物質としてポリアセン系有機半導体(PAS)が含まれている。このPASにはリチウムイオンを可逆的にドーピング・脱ドーピングさせることが可能である。このように、正極活物質として活性炭を採用し、負極活物質としてPASを採用することにより、図示する蓄電デバイス10はリチウムイオンキャパシタとして機能することになる。
なお、本発明が適用される蓄電デバイス10としては、リチウムイオンキャパシタに限られることはなく、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタであっても良く、例えばマグネシウムイオン二次電池等の他の形式の電池やこれらとのハイブリッドキャパシタであっても良い。また、本明細書において、ドーピング(ドープ)とは、吸蔵、担持、吸着、挿入等を意味している。すなわち、ドープとは、正極活物質や負極活物質に対してアニオンやリチウムイオン等が入る状態を意味している。また、脱ドーピング(脱ドープ)とは、放出、脱離等を意味している。すなわち、脱ドープとは、正極活物質や負極活物質からアニオンやリチウムイオン等が出る状態を意味している。
前述したように、蓄電デバイス10内には、電極ユニット12に対向するリチウム極16が組み込まれている。このリチウム極16は、金属リチウム箔31が圧着されたリチウム極集電体30を有している。また、リチウム極集電体30は負極集電体23の端子接続部23bに接合されている。このように、負極15とリチウム極16とは電気的に接続されるようになっている。したがって、蓄電デバイス10内に電解液を注入することにより、リチウム極16から負極15に対してリチウムイオンがドープ(以下、プレドープという)されることになる。また、正極集電体20や負極集電体23にはイオン通過用の貫通孔20a,23aが形成されている。このため、金属リチウム箔31から放出されるリチウムイオンは、集電体20,23の貫通孔20a,23aを通過し、電極素子13の厚み方向に移動するようになっている。これにより、電極ユニット12内の全ての負極15に対してスムーズにリチウムイオンをプレドープすることが可能となる。また、電極素子13内に複数のリチウム極16が分散して配置されることから、リチウムイオンのドーピング時間を短縮することが可能となる。
このように、負極15にリチウムイオンをプレドープすることにより、負極電位を低下させることが可能となる。これにより、蓄電デバイス10のセル電圧を高めることが可能となる。また、負極15にリチウムイオンをプレドープすることにより、負極15の静電容量を高めることが可能となる。これにより、蓄電デバイス10の静電容量を高めることが可能となる。さらに、負極15の静電容量を高めることにより、正極14が作動する電位範囲(電位差)を拡大することができ、蓄電デバイス10のセル容量(放電容量)を高めることが可能となる。このように、蓄電デバイス10のセル電圧、セル容量、静電容量を高めることができるため、蓄電デバイス10のエネルギー密度を向上させることが可能となる。また、蓄電デバイス10の高容量化を図る観点から、正極14と負極15とを短絡させた後の正極電位が2.0V(vs.Li/Li)以下となるように、金属リチウム箔31の量を設定することが好ましい。
なお、図3に示すように、蓄電デバイス10内において、リチウム極集電体30は負極集電体23に接合されているが、これに限られることはなく、リチウム極集電体30にリチウム極端子を接合するとともに、このリチウム極端子をセル外に配置しても良い。この場合には、電解液を電極素子13の隅々にまで含浸させ、蓄電デバイス10の外装材11を閉じた後に、充放電試験機等の外部回路を通じてリチウム極端子と負極端子25とを接続する。これにより、リチウム極16近傍の負極15に対するダメージを軽減することができ、リチウムイオンをプレドープする際の担持ムラを抑制することができる。
また、図4に示すように、電極ユニット12の最外部に配置される負極15は、負極集電体23の一方面にのみ負極合材層24を備えている。これに限られることはなく、負極集電体23の両面に負極合材層24が設けられる負極15を、電極ユニット12の最外部に配置しても良い。しかしながら、両面に負極合材層24が設けられる負極15を、電極ユニット12の最外部に配置することは、正極合材層21に対向しない負極合材層24、すなわち充放電に寄与し難い負極合材層24を蓄電デバイス10に組み込むことになる。このことは、電解液量およびセル重量の増加や、蓄電デバイスの体積増加に伴うエネルギー密度の低下を招くだけでなく、蓄電デバイス10における正負極間の充放電バランスを崩す可能性があり、サイクル特性等に悪影響を及ぼすおそれがある。
一方、図4に示すように、片面に負極合材層24を備えた負極15を電極ユニット12の最外部に配置させるためには、両面に負極合材層24を備えた負極15を製造するだけでなく、片面に負極合材層24を備えた負極15を製造する必要がある。すなわち、2種類の負極15を製造する必要があるため、生産性を考えると好ましいことではない。また、電極ユニット12の積層過程においても、2種類の負極15を用いることから積層作業が複雑となり、生産性を考えると好ましいことではない。以上のことから、電極ユニット12の最外部に、片面に負極合材層24を備えた負極15を配置するか、あるいは両面に負極合材層24を有する負極15を配置するかについては、蓄電デバイス10の性能と生産性を考慮して適宜選択することが好ましい。
なお、両面に負極合材層24を備えた負極15を電極ユニット12の最外部に配置する構成例について述べたが、これに限られることはなく、両面に正極合材層21を備えた正極14を電極ユニット12の最外部に配置しても良い。このように、両面に電極合材層(正極合材層または負極合材層)を備える電極(正極または負極)を、電極ユニット12の最外部に配置する場合には、正極または負極のうち容量の大きな電極を最外部に配置することが好ましい。すなわち、蓄電デバイス10の容量は、正極または負極のうち容量の小さな電極によって支配されることになるが、この電極を電極ユニット12の内層に配置することにより、蓄電デバイス10の容量を支配する容量の小さな電極が有する容量を余すことなく利用することができ、蓄電デバイス10のエネルギー密度を向上させることが可能となる。
続いて、本発明の蓄電デバイス10の構成について詳細に説明する。図5は電極ユニット12、リチウム極16、セパレータ17の組立構造を示す分解斜視図である。図5に示すように、蓄電デバイス10を構成する帯状のセパレータ17は、正極14や負極15の幅寸法に応じた間隔で折り返されている。このようにジグザグ状に折り返されたセパレータ17の折り返し部(折り曲げ部)32には、一方側に開口部33aを備える第1収容部としてのユニット収容部33と、他方側に開口部34aを備える第2収容部としてのリチウム収容部34とが形成される。また、セパレータ17のユニット収容部33とリチウム収容部34とは交互に重なるように形成されている。このように、交互に重なるユニット収容部33とリチウム収容部34とについては、それぞれの未閉部つまり開口部33a,34aが逆向きとなるように配置されている。
また、それぞれのユニット収容部33には電極ユニット12が収容されており、それぞれのリチウム収容部34にはリチウム極16が収容されている。このように、ユニット収容部33は、電極ユニット12を収容する袋状のセパレータとして機能し、リチウム収容部34は、リチウム極16を収容する袋状のセパレータとして機能するようになっている。すなわち、帯状のセパレータ17を電極ユニット12とリチウム極16との間を仕切るように折り曲げることにより、帯状のセパレータ17によって、電極ユニット12を収容するユニット収容部(袋状のセパレータ)33と、リチウム極16を収容するリチウム収容部(袋状のセパレータ)34とが構成されることになる。
さらに、セパレータ17には折り返し部32に連なってラップ部35が設けられている。このラップ部35によって電極ユニット12やリチウム極16は包み込まれている。つまり、折り返し部32に連なるラップ部35により、ユニット収容部33の開口部33aとリチウム収容部34の開口部34aとは塞がれている。図2および図5に示すように、ラップ部35によって電極ユニット12やリチウム極16を包む際には、セパレータ17の長手方向の一端部36がラップ部35によって覆われている。このように、1枚のセパレータ17を用いて電極ユニット12やリチウム極16をまとめることにより、蓄電デバイス10を簡単に組み立てることが可能となる。
図6は電極ユニット12およびリチウム極16を巻くセパレータ17の封止位置を示す斜視図である。図6に一点鎖線αで示すように、ジグザグ状に折り返されたセパレータ17の幅方向の両端部37は電極素子13の厚み方向に閉じられる。セパレータ17の両端部37を閉じることにより、図3に示すように、ユニット収容部33とリチウム収容部34とを袋状に仕切ることが可能となる。セパレータ17の両端部37を閉じる手段としては、例えば粘着テープによるテープ止め、高分子接着剤による接着等が挙げられる。これらの手段を用いることにより、セパレータ17の両端部37を閉じることが可能である。なお、セパレータ17の材料にポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を含む場合には、上記手段に加えて熱融着処理によってセパレータ17の両端部37を閉じることが可能である。さらに、粘着テープによるテープ止め、高分子接着剤による接着、熱融着処理を組み合わせてセパレータ17の両端部37を閉じても良い。なお、正極集電体20および負極集電体23には凸状に伸びる端子接続部20b,23bが設けられている。この端子接続部23bに重なるセパレータ17の端部を閉じる手段としては、熱融着処理もしくは高分子接着剤による接着を用いることが好ましい。当該端部に熱融着処理もしくは高分子接着剤による接着処理を施すことにより、正極合材層21や負極合材層24に近い端子接続部20b,23bの表面に絶縁処理を施すことが可能となる。これにより、充放電サイクルに伴う端子接続部20b,23bへの金属リチウムの析出を抑制できる。
これまで説明したように、セパレータ17をジグザグ状に折り返して電極ユニット12およびリチウム極16を収容し、セパレータ17の幅方向の両端部37を閉じるようにしている。これにより、ユニット収容部33とリチウム収容部34とを袋状に形成することが可能となる。セパレータ17の幅方向の両端部37を閉じた場合、ユニット収容部33の開口部33aとリチウム収容部34の開口部34aとはそれぞれ反対向きに位置している。これにより、図4に示すように蓄電デバイス内において、ユニット収容部33とリチウム収容部34とは長い迂回経路で結ばれることになる。このため、リチウム収容部34から金属リチウムが脱落した場合であっても、脱離した金属リチウムがユニット収容部33の開口部に到達することを防止することが可能となる。
このように、電極ユニット12の正極14および負極15と、リチウム極16とが長い迂回経路で結ばれることになるため、リチウム極16から金属リチウム片や金属リチウム微粒子が脱落した場合であっても、電極ユニット12に向けての脱落金属リチウムの移動を防止することが可能となる。したがって、蓄電デバイス10内への脱落金属リチウムの拡散が原因となる突発的な蓄電デバイス10のショートを防止することができ、蓄電デバイス10の品質および安全性を向上させることが可能となる。
また、電極ユニット12およびリチウム極16は、セパレータ17の折り返し部32から延びるラップ部35によって包み込まれている。さらに、セパレータ17の長手方向の一端部36はラップ部35によって覆われている。このように、電極ユニット12およびリチウム極16をラップ部35によって包み込むことにより、製造時における電極ユニット12やリチウム極16の取り扱いが容易となる。さらに、セパレータ17の折り返し部32をラップ部35によって包み込むことにより、ユニット収容部33やリチウム収容部34を密閉することが可能となり、ユニット収容部33とリチウム収容部34との連絡経路Xを完全に閉ざすことができる。これにより、リチウム極16から脱落し得る金属リチウム片および金属リチウム微粒子のリチウム収容部34外への流出を確実に防止することができ、蓄電デバイス10の安全性や品質を向上させることが可能となる。
また、リチウム極16から脱落した金属リチウムを密閉されたリチウム収容部34内に金属リチウムを留めておくことが可能となるため、蓄電デバイス10が開口する事態が生じた際にも大気中への金属リチウムの飛散を防止し、異常時における蓄電デバイス10の安全性も高めることが可能となる。さらに、ユニット収容部33およびリチウム収容部34を袋状に形成することにより、正極14および負極15が積層される電極ユニット12の位置ずれや、リチウム極16の位置ずれを防止することが可能となる。これにより、蓄電デバイス10に振動等が作用した場合であっても、電極ユニット12の積層ずれによる正極14と負極15との接触を回避することができ、蓄電デバイス10の安全性を向上させることが可能となる。また、蓄電デバイス10に振動等が作用した場合であっても、正極14とリチウム極16との接触を回避することができ、蓄電デバイス10の安全性を向上させることが可能となる。
さらに、ジグザグ状に折り返されたセパレータ17の幅方向の両端部37を閉じることにより、リチウム収容部34を簡単に袋状に形成することができ、袋状のリチウム収容部34に対してリチウム極16を簡単に収容することが可能となる。すなわち、セパレータを袋状に形成する工程や、袋状のセパレータにリチウム極16を収容する工程を省くことが可能となる。このように、蓄電デバイス10の製造手順を簡素化することができ、蓄電デバイス10の製造コストを引き下げることが可能となる。
なお、前述の説明では、図3に示すように、2つの電極ユニット12の間にリチウム極16を挟み込むとともに、それぞれの電極ユニット12の最外部に対向させてリチウム極16を配置している。このように、電極素子13を2つの電極ユニット12と3つのリチウム極16とによって構成しているが、これに限られることはなく、電極素子を構成する電極ユニット12やリチウム極16の数量を変更しても良い。ここで、図7(A)〜(C)は本発明の他の実施の形態である蓄電デバイス40,50,60の内部構造を概略的に示す断面図である。なお、図3に示す部材と同様の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7(A)に示すように、2つの電極ユニット12の間に1つのリチウム極16を挟み込むことにより、蓄電デバイス40の電極素子40aを構成しても良い。また、図7(B)に示すように、2つのリチウム極16の間に1つの電極ユニット12を挟み込むことにより、蓄電デバイス50の電極素子50aを構成しても良い。また、図7(C)に示すように、1つの電極ユニット12と1つのリチウム極16とを重ねることにより、蓄電デバイス60の電極素子60aを構成しても良い。図7(A)〜(C)に示すように、蓄電デバイス40,50,60を構成する場合であっても、セパレータ41,51,61をジグザグ状に折り返してセパレータ41,51,61の幅方向の両端部を閉じることにより、ユニット収容部42,52,62やリチウム収容部43,53,63を袋状のセパレータとして形成することが可能となる。これにより、前述した蓄電デバイス10と同様に、リチウム極16から脱落し得る金属リチウムの蓄電デバイス40,50,60内への拡散を防止することができ、蓄電デバイス40,50,60の品質および安全性を高めることが可能となる。
また、図7(A)〜(C)に示すように、電極ユニット12およびリチウム極16は、セパレータ41,51,61の折り返し部44,54,64から延びるラップ部45,55,65によって包み込まれている。さらに、セパレータ41,51,61の長手方向の一端部36はラップ部45,55,65によって覆われている。このように、電極ユニット12およびリチウム極16をラップ部45,55,65によって包み込むことにより、製造時における電極ユニット12やリチウム極16の取り扱いが容易となる。さらに、セパレータ41,51,61の折り返し部44,54,64をラップ部45,55,65によって包み込むことにより、ユニット収容部33やリチウム収容部34を密閉することが可能となる。これにより、リチウム極16から脱落し得る金属リチウム片や金属リチウム微粒子のリチウム収容部34外への流出を確実に防止することができ、蓄電デバイス40,50,60の安全性や品質を向上させることが可能となる。
また、リチウム極16から脱落した金属リチウムを密閉されたリチウム収容部34内に金属リチウムを留めておくことが可能となるため、蓄電デバイス10が開口する事態が生じた際にも大気中への金属リチウムの飛散を防止し、異常時における蓄電デバイス10の安全性も高めることが可能となる。
なお、図7(A)〜(C)に示した電極素子40a,50a,60aを組み合わせて蓄電デバイスの電極素子を構成しても良い。例えば、蓄電デバイス40の電極素子40aを2つ設け、この電極素子40a間に蓄電デバイス50の電極素子50aを挟み込むことにより、蓄電デバイスの電極素子を構成しても良い。また、蓄電デバイス50の電極素子50aに蓄電デバイス60の電極素子60aを重ねることにより、蓄電デバイスの電極素子を構成しても良い。このように例示した構成を採用することで、蓄電デバイス内に複数のリチウム極16を分散配置させることが可能となり、この結果、蓄電デバイスの品質および安全性を確保したままリチウムイオンのプレドープ時間を短縮させることが可能となる。
また、前述した各蓄電デバイス10,40,50,60が備える電極ユニット12は、正極14と負極15とを交互に積層させた構成を有しているが、本発明の蓄電デバイスに適用される電極ユニットとしては、積層型の電極ユニットに限られるものではない。ここで、図8は本発明の他の実施の形態である蓄電デバイス70の内部構造を概略的に示す断面図である。なお、図3に示す部材と同様の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図8に示すように、蓄電デバイス70の電極素子71は、2つの電極ユニット72と3つのリチウム極16とによって構成されている。また、電極素子71を構成する電極ユニット72は、長尺状の正極73および負極74を巻き取ることで形成される捲回型の電極ユニットとなっている。なお、対向する正極73と負極74との間には図示しないセパレータが挟み込まれている。このように、捲回型の電極ユニット72を用いて蓄電デバイス70を構成する場合であっても、前述した蓄電デバイス10と同様に、リチウム極16から脱落し得る金属リチウムの蓄電デバイス70内への拡散を防止することができ、蓄電デバイス70の品質および安全性を高めることが可能となる。
ところで、前述の説明では、帯状のセパレータ17,41,51,61をジグザグ状に折り返すことにより、ユニット収容部33,42,52,62とリチウム収容部34,43,53,63とを形成しているが、これに限られることはなく、帯状のセパレータを巻くように折り曲げることにより、ユニット収容部とリチウム収容部とを形成しても良い。ここで、図9(A)は本発明の他の実施の形態である蓄電デバイス80の内部構造を概略的に示す断面図であり、図9(B)は電極ユニットおよびリチウム極を巻くセパレータの封止位置を示す斜視図である。なお、図3に示す部材と同様の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9(A)に示すように、蓄電デバイス80の電極素子81は、1つの電極ユニット12と2つのリチウム極16とによって構成されている。蓄電デバイス80が備える帯状のセパレータ82は、電極ユニット12とリチウム極16との間を仕切るように渦巻き状に折り曲げられている。また、図9(B)に一点鎖線αで示すように、帯状のセパレータ82の幅方向の両端部82aは、電極素子81の厚み方向に閉じられている。このように、帯状のセパレータ82を渦巻き状に巻いた場合であっても、帯状のセパレータ82によって、電極ユニット12を収容するユニット収容部(袋状のセパレータ)83と、リチウム極16を収容するリチウム収容部(袋状のセパレータ)84とが構成されることになる。これにより、前述した蓄電デバイス10と同様に、リチウム極16から脱落し得る金属リチウムの蓄電デバイス80内への拡散を防止することができ、蓄電デバイス80の品質および安全性を高めることが可能となる。
また、前述の説明では、帯状のセパレータ17,41,51,61,82を折り曲げることにより、ユニット収容部(袋状のセパレータ)33,42,52,62,83や、リチウム収容部(袋状のセパレータ)34,43,53,63,84が形成されているが、これに限られることはなく、電極ユニット12やリチウム極16とを収容する袋状のセパレータを個別に準備しても良い。
ここで、図10は本発明の他の実施の形態である蓄電デバイス90の内部構造を概略的に示す断面図である。また、図11は袋状のセパレータ92とこれに収容される電極ユニット12とを示す説明図であり、図12は袋状のセパレータ93とこれに収容されるリチウム極16とを示す説明図である。なお、図10〜図12において、図3に示す部材と同様の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図10に示すように、蓄電デバイス90の電極素子91は、1つの電極ユニット12と2つのリチウム極16とによって構成されている。電極ユニット12は袋状のセパレータ92に収容されており、リチウム極16は袋状のセパレータ93に収容されている。ここで、図11に示すように、電極ユニット12を収容する袋状のセパレータ92としては、筒状のセパレータ92aや二つ折りのセパレータ92bを用いて作製される。筒状のセパレータ92aを用いる場合には、筒状のセパレータ92aに電極ユニット12を収容して一点鎖線αで示す部位を閉じることにより、袋状のセパレータ92を作製することが可能となる。また、二つ折りのセパレータ92bを用いる場合には、電極ユニット12を二つ折りのセパレータ92bで挟み込んで一点鎖線αで示す部位を閉じることにより、袋状のセパレータ92を作製することが可能となる。なお、一点鎖線αで示した部位のみを閉じた場合には、一端に開口部92cを備える袋状のセパレータ92となるが、一点鎖線αに加えて破線βで示す部位を閉じることにより、開口部を持たない袋状のセパレータ92を作製することが可能となる。なお、図11に示す場合には、端子側を閉じることから、筒状や二つ折りのセパレータ92a,92bを用いているが、端子側を閉じる必要が無い場合には、予め袋状に形成されたセパレータを用いても良いことはいうまでもない。
また、図12に示すように、リチウム極16を収容する袋状のセパレータ93としては、予め袋状に形成されたセパレータを用いても良く、二つ折りのセパレータ93aを用いて作製しても良い。二つ折りのセパレータ93aを用いる場合には、リチウム極16を二つ折りのセパレータ93aで挟み込んで一点鎖線αで示す部位を閉じることにより、袋状のセパレータ93を作製することが可能となる。なお、一点鎖線αで示した部位のみを閉じた場合には、一端に開口部93cを備える袋状のセパレータ93となるが、一点鎖線αに加えて破線βで示す部位を閉じることにより、開口部を持たない袋状のセパレータ93が形成されることになる。なお、リチウム極16を収容する袋状のセパレータ93についても、筒状のセパレータを用いて作製しても良いことはいうまでもない。
このように、袋状のセパレータ92,93として、一端に開口部92c,93cを備える(3辺が閉じられた)袋状のセパレータ92,93や、開口部を持たない(4辺が閉じられた)袋状のセパレータ92,93が形成されることになる。ここで、図13(A)〜(C)に示すように、袋状のセパレータ92,93の少なくとも一方が、開口部を持たない袋状のセパレータ92,93である場合には、リチウム極16から脱落し得る金属リチウムによる内部短絡等を防止することができ、蓄電デバイス90の品質および安全性を十分に確保することが可能である。一方、図14に示すように、袋状のセパレータ92,93の双方が、一端に開口部92c,93cを備える袋状のセパレータ92,93である場合には、それぞれの開口部92c,93cが逆向きとなるように配置することが望ましい。このように、開口部92c,93cを逆向きに配置することにより、電極ユニット12とリチウム極16との間には長い迂回経路が設けられることになる。このため、リチウム極16から金属リチウムが脱落した場合であっても、脱離した金属リチウムが電極ユニット12まで到達することを防止することが可能となる。
以下、前述した蓄電デバイスの構成要素について下記の順に詳細に説明する。[A]正極、[B]負極、[C]正極集電体および負極集電体、[D]リチウム極、[E]セパレータ、[F]電解液、[G]外装材。
[A]正極
正極は、正極集電体とこれに一体となる正極合材層とを有している。蓄電デバイスをリチウムイオンキャパシタとして機能させる場合には、正極合材層に含まれる正極活物質として、リチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な物質を採用することが可能である。すなわち、リチウムイオンとアニオンとの少なくともいずれか一方を可逆的にドープ・脱ドープ可能な物質であれば特に限定されることはない。例えば、活性炭、導電性高分子、ポリアセン系物質等を用いることが可能である。
例えば、活性炭は、アルカリ賦活処理され、かつ比表面積600m/g以上を有する活性炭粒子から形成することが好ましい。活性炭の原料としては、フェノール樹脂、石油系ピッチ、石油系コークス、ヤシガラ、石炭系コークス等が使用される。フェノール樹脂や石炭系コークスは比表面積を高くできるという理由から好適である。これらの活性炭のアルカリ賦活処理に使用されるアルカリ活性化剤は、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物塩等が好ましい。中でも、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムが好適である。アルカリ賦活の方法は、例えば、炭化物と活性化剤を混合した後、不活性ガス気流中で加熱することにより行う方法が挙げられる。また、活性炭の原材料に予め活性化剤を担持させた後加熱して、炭化および賦活の工程を行う方法が挙げられる。さらに、炭化物を水蒸気などのガス賦活法で賦活した後、アルカリ活性化剤で表面処理する方法も挙げられる。このようなアルカリ賦活処理が施された活性炭は、洗浄によって残留灰分の除去およびpH調整を施した後に、ボールミル等の既知の粉砕機を用いて粉砕される。活性炭の粒度としては、一般的に使用される広い範囲のものを使用することが可能である。例えば、D50%が2μm以上であり、好ましくは2〜50μm、特に2〜20μmが最も好ましい。また、平均細孔径は1.5nm以上が好適である。比表面積は600〜3000m/gが好適である。中でも、1500m/g以上、特には1800〜2600m/gであるのが好適である。
また、蓄電デバイスをリチウムイオン二次電池として機能させる場合には、正極合材層に含まれる正極活物質として、ポリアニリン等の導電性高分子や、リチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な物質を採用することが可能である。例えば、正極活物質として五酸化バナジウム(V)やコバルト酸リチウム(LiCoO)を用いることが可能である。この他にも、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiFeO等のLi(x,y,zは正の数、Mは金属、2種以上の金属でもよい)の一般式で表されうるリチウム含有金属酸化物、あるいはコバルト、マンガン、バナジウム、チタン、ニッケル等の遷移金属酸化物または硫化物を用いることも可能である。特に、高電圧を求める場合には、金属リチウムに対して4V以上の電位を有するリチウム含有金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、リチウム含有コバルト酸化物、リチウム含有ニッケル酸化物、あるいはリチウム含有コバルト−ニッケル複合酸化物が特に好適である。また、安全性を求める場合には、高温環境下でもその構造中から酸素を放出し難い材料を用いることが好ましい。例えば、燐酸鉄リチウム、珪酸鉄リチウム、バナジウム酸化物等を挙げることができる。なお、上記にて例示した正極活物質は適宜用途に応じて単独で使用しても良く、複数種混合して使用しても良い。
前述した活性炭等の正極活物質は、粉末状、粒状、短繊維状等に形成される。この正極活物質とバインダーとを溶媒に分散させることで電極スラリーが形成される。そして、正極活物質を含有する電極スラリーを正極集電体に塗工して乾燥させることにより、正極集電体上に正極合材層が形成される。なお、正極活物質と混合されるバインダーとしては、例えばSBR等のゴム系バインダーやポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリレート等の熱可塑性樹脂、ポリビニルアルコールを用いることができる。溶媒としては、例えば、水やN−メチル−2−ピロリドンを用いることができる。また、正極合材層に対して、アセチレンブラック、グラファイト、ケッチェンブラック、カーボンブラック、金属粉末等の導電性材料を適宜加えるようにしても良い。
[B]負極
負極は、負極集電体とこれに一体となる負極合材層とを有している。負極合材層に含まれる負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープできるものであれば特に限定されることはない。例えば、錫、ケイ素等の合金系材料やケイ素化合物、錫酸化物、チタン酸リチウム、バナジウム酸化物等の酸化物や、グラファイト(黒鉛)、易黒鉛化性炭素やハードカーボン(難黒鉛化性炭素)等の種々の炭素材料、ポリアセン系物質を用いることが可能である。チタン酸リチウムは優れたサイクル特性を有するために負極活物質として好ましい。錫、錫酸化物、ケイ素、ケイ素酸化物、グラファイト等は高容量化を図ることができるため負極活物質として好ましい。また、芳香族系縮合ポリマーの熱処理物であるポリアセン系有機半導体(PAS)は、高容量化を図ることができるため負極活物質として好適である。このPASはポリアセン系骨格構造を有する。このPASの水素原子/炭素原子の原子数比(H/C)は0.05以上、0.50以下の範囲内であることが好ましい。PASのH/Cが0.50を超える場合には、芳香族系多環構造が充分に発達していないことから、リチウムイオンのドープ・脱ドープがスムーズに行われず、蓄電デバイスの充放電効率が低下するおそれがある。PASのH/Cが0.05未満の場合には、蓄電デバイスの容量が低下するおそれがある。なお、上記にて例示した負極活物質は適宜用途に応じて単独で使用しても良く、複数種混合して使用しても良い。
前述したPAS等の負極活物質は、粉末状、粒状、短繊維状等に形成される。この負極活物質とバインダーとを溶媒に分散させることで電極スラリーが形成される。そして、負極活物質を含有する電極スラリーを、負極集電体に塗工して乾燥させることにより、負極集電体上に負極合材層が形成される。なお、負極活物質と混合されるバインダーとしては、例えば、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリレート等の熱可塑性樹脂、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等のバインダーを用いることができる。これらの中でも少量の添加で高い接着性を発現できるためにSBRゴムバインダーを用いることが好ましい。また、負極合材層に対して、アセチレンブラック、グラファイト、膨張黒鉛、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、カーボンブラック、炭素繊維、金属粉末等の導電性材料を適宜加えるようにしても良い。
[C]正極集電体および負極集電体
正極集電体および負極集電体の材料としては、一般に電池や電気二重層キャパシタに提案されている種々の材料を用いることが可能である。例えば、正極集電体の材料として、アルミニウム、ステンレス鋼等を用いることができる。負極集電体の材料として、ステンレス鋼、銅、ニッケル等を用いることができる。また、正極集電体や負極集電体に貫通孔を形成する場合において、貫通孔の開口率としては通常40〜60%である。なお、リチウムイオンの移動を阻害しないものであれば、貫通孔の大きさ、個数、形状等について特に限定されることはない。
[D]リチウム極
リチウム極は、リチウム極集電体とこれに貼り付けられる金属リチウム箔とによって構成されているが、金属リチウム箔に代えてリチウム−アルミニウム合金等を用いても良い。また、金属リチウムを圧延した金属リチウム箔を用いるだけでなく、蒸着処理を施してリチウム極集電体上に金属リチウム層を形成しても良い。なお、リチウム極集電体の材料としては、一般的に正極集電体や負極集電体用として提案されている種々の材料を用いることが可能である。また、リチウム極を蓄電デバイスの最外部に配置する場合には、貫通孔を持たないリチウム極集電体を用いることが可能であるが、リチウム極集電体に貫通孔を形成しても良いことはいうまでもない。
[E]セパレータ
セパレータとしては、大きなイオン透過度(透気度)、所定の機械的強度、および電解液、正極活物質、負極活物質等に対する耐久性を有し、かつ連通気孔を有する絶縁性の多孔質体等を用いることができる。例えば、紙(セルロース)、ガラス繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンジフルオライド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン等からなる隙間を有する布、不織布あるいは微多孔体が用いられる。
また、セパレータを閉じる際には粘着テープや高分子接着剤を用いることが可能であるが、これら粘着テープや高分子接着剤についても電解液に対して溶解せず、かつ電解液、正極活物質、負極活物質等に対して化学的および電気化学的に安定であることが好ましい。粘着テープとしては、例えば、ポリイミド粘着テープ等が挙げられる。高分子接着剤として用いる高分子としては、熱可塑性を有する高分子が好ましく、具体的に挙げるならば、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルやポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。接着方法としては、例えば、高分子接着剤を溶剤に溶解してセパレータの縁部に塗付した後に、接着部を加圧しながら加熱あるいは減圧操作によって溶剤を除去することにより接着を行う方法、あるいは前記高分子接着剤を含むポリマーフィルムをセパレータの縁部に配置し、熱加圧することによって接着を行う方法等が挙げられる。特に、電極合材層に高分子接着剤が付着した場合においても電極の特性低下を抑制できるという理由から、リチウムイオン伝導性を有するポリフッ化ビニリデンやポリエチレンオキシドを用いることが好ましい。高分子接着剤を溶解する溶剤としては、沸点が200℃以下の有機溶媒を用いることが望ましい。用いる高分子接着剤との溶解性にもよるが、溶媒を具体的に挙げるならば、例えば、ジメチルホルムアミド、アセトン等を挙げることができる。有機溶媒の沸点が200℃を超えると、100℃程度の加熱では溶媒除去に要する時間が長くなるために好ましくない。また、200℃以上に加熱することはセパレータ接着部の近傍に金属リチウムが存在するために安全上好ましくない。以上の理由により、有機溶媒の沸点は200℃以下、さらには180℃以下が好ましい。
また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル等、例として挙げたこれらの材料をセパレータに含ませることによって、熱融着処理を施してセパレータを閉じることが可能である。セパレータの熱融着条件は加熱温度と加熱時間を適宜検討することで決定される。セパレータの加熱温度は、セパレータの溶融温度付近にすることが好ましい。具体的な溶融温度はセパレータの材質および構成により種々異なるが、例えば、発明者が所有するポリエチレンとポリプロピレンからなる微多孔性のセパレータは110℃付近で溶融する。したがって、上記セパレータを熱融着させる場合は、110℃前後の温度で加熱温度と加熱時間を変化させながらセパレータを融着し、その接着強度を確かめることで熱融着条件は決定される。加熱時間が短い、もしくは溶融温度が低いとセパレータの溶融が不十分となって接着不十分となるために好ましくない。また、加熱時間が長い、もしくは溶融温度が高いとセパレータにたわみが生じたり、電極合材面に接触する部位までセパレータが溶融して蓄電デバイスの抵抗上昇を招いたりするために好ましくない。
また、セパレータの透気度は5秒/100mL以上〜600秒/100mL以下であることが好ましい。透気度は100mLの空気が多孔質シートを透過するのに要した時間(秒)を意味する。透気度が600秒/100mLを超えるとセパレータにおいて高いリチウムイオン移動度を得ることが困難となり、リチウムイオンプレドープ速度に支障をきたすために好ましくない。透気度が5秒/100mL未満になると、セパレータの強度が不十分となるために好ましくない。より好ましいセパレータの透気度は30秒/100mL以上〜500秒/100mL以下である。
セパレータの気孔度は、30%以上〜90%以下であることが好ましい。セパレータの気孔度を30%未満にすると、セパレータの電解液の保持量が少なくなり蓄電デバイスの内部抵抗が増大するために好ましくない。また、セパレータの気孔度が90%以上を超えると、十分なセパレータ強度を得られないために好ましくない。セパレータの気孔度は35%以上〜80%以下がより好ましい。
セパレータの厚さは5μm以上〜100μm以下が好ましい。厚さが100μmを超えると、正負極間の距離が大きくなって内部抵抗が増大するために好ましくない。また、厚さが5μm未満になると、セパレータの強度が著しく低下して内部ショートが生じ易くなるために好ましくない。セパレータの厚さとしてより好ましいのは10μm以上〜30μm以下である。
また、蓄電デバイスの内部温度が仕様の上限温度以上に到達した場合にセパレータ構成成分の溶融によってセパレータの隙間が閉塞される特性(セパレータのシャットダウン機能)をセパレータに持たせることが蓄電デバイスの安全性のために好ましい。閉塞開始温度は蓄電デバイスの仕様にもよるが、通常90℃以上180℃以下である。耐熱性が高く、前記温度でセパレータが溶融し難いポリイミド等の材料をセパレータに使用している場合は、ポリエチレン等の前記温度で溶融可能な物質をセパレータに混合させることが好ましい。ここでいう混合とは、単なる複数の材質の混ぜ合わせだけでなく、材質の異なる2種以上のセパレータを積層したもの、セパレータの材質の共重合化等の意味を含む。なお、蓄電デバイスの内部温度が仕様上限温度を超えても熱収縮が小さいセパレータは蓄電デバイスの安全性の面においてより好ましい。
以上、例示したセパレータは適宜用途や仕様に応じて単独で使用しても良く、同一種のセパレータを重ねて使用しても良い。また、複数種のセパレータを重ねて使用しても良い。
[F]電解液
電解液としては、高電圧でも電気分解を起こさないという点、リチウムイオンが安定に存在できるという点から、リチウム塩を含む非プロトン性極性溶媒を用いることが好ましい。非プロトン性極性溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホラン等を単独あるいは混合した溶媒が挙げられる。充放電特性に寄与する比誘電率、蓄電デバイスの作動温度範囲に寄与する凝固点および沸点、そして安全性に寄与する引火点の観点からはプロピレンカーボネートを用いることが好ましい。しかし、負極の活物質に黒鉛を用いる場合においては、負極の電位が約0.8V(vs.Li/Li)においてプロピレンカーボネートは黒鉛上で分解してしまうために代替溶媒としてエチレンカーボネートを使用することが好ましい。エチレンカーボネートの融点は36℃であり、常温では固体である。このため、エチレンカーボネートを電解液の溶媒として用いる場合には、エチレンカーボネート以外の非プロトン性極性溶媒と混合させることが必須となる。さらに、エチレンカーボネートと併用する非プロトン性極性溶媒には、充放電特性および蓄電デバイスの作動温度範囲の観点から、ジエチルカーボネートやエチルメチルカーボネート等に代表される低粘度かつ凝固点の低い非プロトン性極性溶媒を選択することが好ましい。しかしながら、溶媒がジエチルカーボネート等の低粘度かつ凝固点の低い非プロトン性極性溶媒とエチレンカーボネートからなる電解液は、雰囲気温度が約−10℃以下になることでエチレンカーボネートの凝固にともなう急激なイオン伝導度の低下を引き起こすために低温特性が優れない。そのため、低温特性を改善するには電解液の溶媒に上述したプロピレンカーボネートを含むことが好ましく、負極の活物質および導電性材料に黒鉛を用いる場合にはプロピレンカーボネートの還元分解性が低い黒鉛を用いることが好ましい。
リチウム塩としては、例えば、LiClO、LiAsF、LiBF、LiPF、LIN(CSO)等が挙げられる。また、電解液中の電解質濃度は、電解液による内部抵抗を小さくするため、少なくとも0.1モル/L以上とすることが好ましい。更には、0.5〜1.5モル/Lの範囲内とすることが好ましい。また、リチウム塩は単独あるいは混合して使用しても良い。
なお、特性改善のための添加剤としてビニレンカーボネート(VC)、エチレンサルファイト(ES)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)およびこれらの誘導体を電解液に添加しても構わない。添加量としては0.01〜10体積%の範囲内にすることが好ましい。さらに蓄電デバイスの難燃化のための添加剤として、ホスファゼン化合物やその誘導体、フッ素化カルボン酸エステル、フッ素化リン酸エステル等の物質を電解液に添加しても構わない。難燃化のための添加剤としては、例えば、ホスライト(日本化学工業株式会社製)や(CFCHO)PO、(HCFCFCHO)CO等が挙げられる。
また、有機溶媒に代えてイオン性液体(イオン液体)を用いても良い。イオン性液体は各種カチオン種とアニオン種の組み合わせが提案されている。カチオン種としては、例えば、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム(PP13)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(EMI)、ジエチルメチル−2−メトキシエチルアンモニウム(DEME)等が挙げられる。また、アニオン種としては、ビス(フルオロスルフォニル)イミド(FSI)、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(TFSI)、PF 、BF 等が挙げられる。
[G]外装材
外装材としては、一般に電池に用いられている種々の材質を用いることができる。例えば、鉄やアルミニウム等の金属材料を使用しても良い。また、樹脂等のフィルム材料を使用しても良い。また、外装材の形状についても特に限定されることはない。円筒型や角型など用途に応じて適宜選択することが可能である。蓄電デバイスの小型化や軽量化の観点からは、アルミニウムのラミネートフィルムを用いたフィルム型の外装材を用いることが好ましい。一般的には、外側にナイロンフィルム、中心にアルミニウム箔、内側に変性ポリプロピレン等の接着層を有した3層ラミネートフィルムが用いられている。
以上、本発明を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、本発明の蓄電デバイス10,40,50,60,70,80,90の構造は、リチウムイオン二次電池やリチウムイオンキャパシタだけでなく、マグネシウムイオン二次電池等様々な形式の電池やこれらのハイブリッドキャパシタに適用することが可能である。
また、前述の説明では、負極15に対してリチウム極16を接続しているが、プレドープ時に負極15だけでなく正極14に対してリチウム極16を接続しても良い。正極14にリチウムイオンをプレドープすることによって、例えば、バナジウム酸化物等の元来材料中にリチウムを保有しない材料を正極材料として機能させることが可能となる。このように、負極15だけでなく正極14に対してもリチウムイオンをプレドープすることによって、負極材料および正極材料が有する材料起因の短所を克服できるため、用いる電極材料の選択肢を広げることが可能となる。加えて、電極材料へのリチウムイオンのプレドープによって、蓄電デバイスの電圧、容量等の特性を自由に設計可能となるため、多種多様な要求仕様に応じられる蓄電デバイスを提供することが可能となる。
10 蓄電デバイス
12 電極ユニット
14 正極
15 負極
16 リチウム極(イオン供給源)
17 セパレータ(帯状のセパレータ)
20 正極集電体
20a 貫通孔
21 正極合材層
23 負極集電体
23a 貫通孔
24 負極合材層
32 折り返し部(折り曲げ部)
33 ユニット収容部(第1収容部,袋状のセパレータ)
33a 開口部
34 リチウム収容部(第2収容部,袋状のセパレータ)
34a 開口部
35 ラップ部
36 一端部
37 両端部
40 蓄電デバイス
41 セパレータ(帯状のセパレータ)
42 ユニット収容部(第1収容部,袋状のセパレータ)
43 リチウム収容部(第2収容部,袋状のセパレータ)
44 折り返し部(折り曲げ部)
45 ラップ部
50 蓄電デバイス
51 セパレータ(帯状のセパレータ)
52 ユニット収容部(第1収容部,袋状のセパレータ)
53 リチウム収容部(第2収容部,袋状のセパレータ)
54 折り返し部(折り曲げ部)
55 ラップ部
60 蓄電デバイス
61 セパレータ(帯状のセパレータ)
62 ユニット収容部(第1収容部,袋状のセパレータ)
63 リチウム収容部(第2収容部,袋状のセパレータ)
64 折り返し部(折り曲げ部)
65 ラップ部
70 蓄電デバイス
72 電極ユニット
73 正極
74 負極
80 蓄電デバイス
81 電極素子
82 セパレータ(帯状のセパレータ)
82a 両端部
83 ユニット収容部(第1収容部,袋状のセパレータ)
84 リチウム収容部(第2収容部,袋状のセパレータ)
90 蓄電デバイス
92 袋状のセパレータ
92c 開口部
93 袋状のセパレータ
93c 開口部

Claims (9)

  1. 捲回または積層された正極および負極を備える電極ユニットと、前記正極と前記負極との少なくともいずれか一方に接続されるイオン供給源とを備える蓄電デバイスであって、
    前記電極ユニットおよび前記イオン供給源は、それぞれ袋状のセパレータに収容されることを特徴とする蓄電デバイス。
  2. 請求項1記載の蓄電デバイスにおいて、
    前記電極ユニットを収容する前記袋状のセパレータの一端は開口され、
    前記イオン供給源を収容する前記袋状のセパレータの一端は開口され、
    前記電極ユニットを収容する前記袋状のセパレータの開口部と、前記イオン供給源を収容する前記袋状のセパレータの開口部とは、逆向きに配置されることを特徴とする蓄電デバイス。
  3. 請求項1または2記載の蓄電デバイスにおいて、
    帯状のセパレータを、前記電極ユニットと前記イオン供給源との間を仕切るように折り曲げ、前記電極ユニットを収容する第1収容部と前記イオン供給源を収容する第2収容部とを交互に形成し、前記帯状のセパレータの幅方向の両端部を閉じることにより、前記帯状のセパレータによって前記袋状のセパレータを構成することを特徴とする蓄電デバイス。
  4. 請求項3記載の蓄電デバイスにおいて、
    前記帯状のセパレータは、前記第1収容部と前記第2収容部とを形成する折り曲げ部と、前記折り曲げ部に連なって前記電極ユニットおよび前記イオン供給源を包むラップ部とを備えることを特徴とする蓄電デバイス。
  5. 請求項3または4記載の蓄電デバイスにおいて、
    前記第1収容部および前記第2収容部に設けられる開口部の少なくともいずれか一方は、前記ラップ部によって塞がれることを特徴とする蓄電デバイス。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の蓄電デバイスにおいて、
    前記帯状のセパレータの長手方向の一端部は前記ラップ部によって覆われることを特徴とする蓄電デバイス。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄電デバイスにおいて、
    複数の前記イオン供給源が分散して配置されることを特徴とする蓄電デバイス。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄電デバイスにおいて、
    前記正極は正極集電体および正極合材層を備え、前記負極は負極集電体および負極合材層を備え、
    前記正極集電体および前記負極集電体には複数の貫通孔が形成されることを特徴とする蓄電デバイス。
  9. 捲回または積層された正極および負極を備える電極ユニットと、前記正極と前記負極との少なくともいずれか一方に接続されるイオン供給源とを備える蓄電デバイスの製造方法であって、
    一端が開口される袋状のセパレータに前記電極ユニットを収容し、
    一端が開口される袋状のセパレータに前記イオン供給源を収容し、
    前記電極ユニットを収容する前記袋状のセパレータの開口部と、前記イオン供給源を収容する前記袋状のセパレータの開口部とを、逆向きに配置することを特徴とする蓄電デバイスの製造方法。
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