JP2010228990A - 結晶成長装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】3.Aでは、サーボモータを有するアクチュエータMA1及びMA3(MA3は見えない)が、同じ下降量だけシャフト31及び33を下方向に移動させ、サーボモータを有するアクチュエータMA2及びMA4(MA4は見えない)が、同じ上昇量だけシャフト32及び34を上方向に移動させた場合を示している。外部容器はその基準面C0’の法線であるz’軸が図の左方向に傾いている。3.Bでは逆の状態となりz’軸が図の右方向に傾いている。z’軸が傾斜すべきφ面を連続して移動させることで、外部容器が、z’軸の回りを回転すること無くその傾斜方向を滑らかに移動させることができる。内蔵された反応容器(坩堝)の傾斜方向も追随し、板状の種結晶を覆うナトリウム/ガリウム溶液は、種結晶に対して常に移動することになる。
【選択図】図3
Description
このような高温高圧下における、ナトリウム/ガリウム溶液の攪拌方法としては、特許文献5及び6等に示される通り、ナトリウム/ガリウム溶液を入れた坩堝を配置した高圧容器の回転や、外部容器の揺動が知られている。
即ち、本発明は、結晶性の良い、高品質なIII族窒化物系化合物半導体結晶を得られる結晶成長装置を提供することを目的とする。
請求項2に係る発明は、複数個の支持点は4個であり、当該4個の支持点を上下運動させる4つの手段は、各々、数値制御可能なサーボモータとそれに連動して上下運動するボールねじとを有することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、反応容器に設けた基準面の法線方向を鉛直方向に対して一定角度に保ったまま、基準面の傾斜方向を回転させることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、反応容器に設けた基準面の法線方向を鉛直方向に対して一定角度に保ったまま、基準面の傾斜方向を回動させることを特徴とする。
以下、まず本発明における「反応容器に傾斜状態の所望の変化を連続して生じさせる」について図1と数式を用いて説明する。
反応容器と共に揺動される面であって構造体に固定された基準面を、支持される構造体の揺動中に動かない点(不動点)を含むようにとる。n個の支持点を、当該基準面が水平である場合に不動点を中心とする半径rの円周上に配置する。n個の支持点の1つを基準支持点とし、他の支持点を、それと不動点を結ぶ線分と基準支持点と不動点を結ぶ線分との角度ψnで示す。基準支持点の角度ψ1は、ψ1=0である。基準面の法線ベクトルと鉛直上向きベクトルの成す角をθとすると、各支持点に、−rsinθcos(ωt−ψn)の上下運動を加えると、基準面の法線方向は、鉛直方向に対して角度θを保ったまま、鉛直方向の回りを回ることになる。即ち、基準面は傾斜角度θを保ったまま、傾斜する向きφ=ωtを変える回転を行う。
構造体重心は不動点であるものとしてそこに原点Oをとり、床等の外部に固定された固定座標系としてO−xyzを、構造体と共に動く、構造体に固定された座標系としてO−x’y’z’をとる。簡単のため基準面を単位円で囲まれた単位円板とし、水平状態である固定座標系のxy平面内の単位円をC0、構造体と共に動く座標系のx’y’平面内の単位円をC0’とする。
単位円C0上の点P(cosφ,sinφ,0)を考え、固定座標系のz軸と点Pを含む面をφ面と呼ぶことにする。固定座標系のz軸と、構造体と共に動く座標系のz’軸とが、いずれもφ面内にあって角度θを成すとする。z’軸の単位ベクトルは、固定座標系においては(sinθcosφ,sinθsinφ,cosθ)である。この時、単位円C0’の円周上に角POP’がθとなる点P’を考えることができる。この時、単位円C0’とz’軸は、単位円C0と法線であるz軸を、それぞれ、φ面内でθ傾けた関係であることがわかる。
P’の座標は固定座標系において(cosθcosφ,cosθsinφ,−sinθ)である。
今、θを固定してφを変化させると、P’は(0,0,−sinθ)を中心とし、xy平面に平行な半径cosθの円C1の円周を移動する。また、単位円C0’と円C1は点P’で共通の接線を有する。
次に単位円C0’の円周上で、線分OP’と−φの角度を成す点の固定座標系における座標(x,y,z)を求める。単位円C0’の任意の点(x,y,z)は、半径1の球面の方程式と、ベクトル(x,y,z)とz’軸の単位ベクトルとの内積を0とする関係を満たす。また、ベクトル(x,y,z)とベクトルOP’との内積がcosφである。これらの条件は次のように示される。
なおx’軸方向の単位ベクトルの終点は、原点Oを中心とする半径1の球面と、座標((1+cosθ)/2,0,0)を通りz軸に平行な直線を中心軸とし、半径が(1−cosθ)/2の円柱面との交線であるアラビア数字の8の字を描く。y’軸方向の単位ベクトルの終点は、中心軸が座標(0,(1+cosθ)/2,0)を通る他は全く同様である。
基準面を支持する支持点を(−1,0,sinθcosωt)、(0,−1,sinθsinωt)とした場合も全く同様である。以上の4点を支持点とする場合が、4点支持の一例である。
簡単な考察により、支持点が単位円上であれば、同様である。
φをωt−ψnと置き換えれば、基準面の各支持点での運動が一律に記載できる。
一方上下運動のz方向成分は、既に述べた半径rでの−rsinθcos(ωt−ψn)で完全に一致する。
即ち、例えば1ton又はそれ以上となる圧力容器であっても、傾斜角度の安定化、重心高さの安定化、4つのサーボモータの同期制御が可能となる。
ボールネジは重量物の上下運動に対応できるものが入手可能となっており、数値制御により同期して4つのサーボモータを運転することにより、滑らかな、連続的な速度変化を実現し、圧力容器の滑らかな回転又は回動が実現できる。例えばボールねじに替えて油圧ピストンにより同様に行った場合には、4つの支持点の同期制御が困難で、ガタガタした揺動となった。
傾斜する向き(図1でφ面)は、一方向に回転させても良く、1周或いは数週毎にその回転方向を反転させる回動としても良い。
この固定部は、例えばI字ビームを組み合わせて、枠状に組み上げると良い。
例えば実際の装置としては、外枠が1700×1700×2800mm、圧力容器は直径700mm、高さ1300mmのSUS製で重量が1トン。ボールねじのロッドストロークは10cm乃至1m、ロッドの移動速度は最大150mm/秒、傾斜角度は最大20度、4つのサーボモータの制御は同期させ、且つロッド位置及び移動速度を滑らかに制御するために1個の数値制御装置でプログラム制御すると良い。
自在継ぎ手は、ジョイントが3つの回転自由度を持つものが理想であるが、1トンもの重量がかかるので困難である。そこでリンクの上下端の2箇所が各々1つの回転自由度を有するジョイントとなっており、ボルト径よりも大きな内径を有するボルト受けを用いると良い。この時、例えばボルト外周に銅ブッシュを設け、焼付け防止をはかると良い。このようにすると固着が防止でき、異音が無くなり、スムーズな揺動が可能になる。
この他、ボールねじとサーボモータの間でX、Yの自由度を設けると良い。
加熱手段を用いるとフラックス中に熱勾配が生じ、フラックスが熱対流を起こすので、これも攪拌の一助となる。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。
図2.Aのように枠状筐体部10の上部方形枠101の4隅に、各々サーボモータを有するアクチュエータMA1、MA2、MA3及びMA4を配置する。図2.Aの平面図では、外部容器20の蓋部21が見える。軸対称の外部容器20の不動点をOとし、基準面C0を考える。基準面C0の外周は、サーボモータを有するアクチュエータMA1、MA2、MA3及びMA4の回転軸を通るものとする。
サーボモータを有するアクチュエータMA1には、ボールねじを介して上下運動させるためのシャフト31、自在継ぎ手部411、継ぎ手51及び自在継ぎ手部412を介して、基台60に固定された支持シャフト61が上下運動可能となっている。この際、自在継ぎ手部411、継ぎ手51及び自在継ぎ手部412が存在するので、基台60から相対的位置の変わらない自在継ぎ手部412(支持シャフト61の上端)は、自在継ぎ手部411から見て、xyz方向の全方位の角度の自由度が保証される。
全く同様に、サーボモータを有するアクチュエータMA2には、ボールねじを介して上下運動させるためのシャフト32、自在継ぎ手部421、継ぎ手52及び自在継ぎ手部422を介して、基台60に固定された支持シャフト62が上下運動可能となっている。
サーボモータを有するアクチュエータMA3及びMA4にも、ボールねじを介して上下運動させるためのシャフト33及び34、自在継ぎ手部431及び441、継ぎ手53及び54並びに自在継ぎ手部432及び442を介して、基台60に固定された支持シャフト63及び64が上下運動可能となっている。これらは図2.Bでは見えない位置になっている。
こうして基台60に、固定具261、262及び263並びに264(264のみ図2.Bでは見えない位置)により外部容器20を固定する。
まず、図3.Aは、サーボモータを有するアクチュエータMA1及びMA3(MA3は図3.Aでは見えない)が、同じ下降量だけシャフト31及び33を下方向に移動させ、サーボモータを有するアクチュエータMA2及びMA4(MA4は図3.Aでは見えない)が、同じ上昇量だけシャフト32及び34を上方向に移動させた場合を示している。外部容器20はその基準面C0’の法線であるz’軸が図の左方向に傾いていることがわかる。外部容器20は傾斜しているが、z’軸の回りに回転しているわけではない。
この際、外部容器20の傾斜に合わせて、外部容器20に内蔵された高圧容器、さらにはその内部の反応容器(坩堝)が傾斜するならば、例えば板状の種結晶は反応容器(坩堝)が傾斜するのに合わせて傾斜する。一方、種結晶を覆うように反応容器(坩堝)内に配置されているナトリウム/ガリウム溶液は、その最上面が水平面を保つので、結局ナトリウム/ガリウム溶液は、種結晶に対して常に移動していることになる。
この際、種結晶が板状であれば、最も結晶成長の早い面を上向きとしてナトリウム/ガリウム溶液と接触させると良い。種結晶の傾斜方向が変わり、且つナトリウム/ガリウム溶液は種結晶の上面を常に移動することになる。
これは、種結晶を覆うナトリウム/ガリウム溶液を極めて低速度で攪拌しているのと同じ状態をもたらす。これにより、本発明の結晶成長装置100を用いてIII族窒化物系化合物半導体をフラックス成長させると、極めて高品質なIII族窒化物系化合物半導体結晶を得ることができる。
実際に次の通り、結晶成長を行った。
まず、反応容器(坩堝)の底に、GaN自立基板をGa極性面を上にして水平に配置した。次に、30gのナトリウム(Na)と30gのガリウム(Ga)と80mgの炭素(C)と50mgのゲルマニウム(Ge)を入れ、その反応容器(坩堝)を結晶成長装置の反応室(ステンレス容器)の中に配置してから、該反応室の中のガスを排気する。すなわち、ガリウムのモル量に対するゲルマニウムのモル量の比は、0.16mol%、ナトリウムのモル量に対する炭素のモル量の比は、0.51mol%とした。
ただし、これらの作業を空気中で行うとNaがすぐに酸化してしまうため、基板や原材料を反応容器にセットする作業は、Arガスなどの不活性ガスで満たされたグローブボックス内で実施する。また、この坩堝中には必要に応じて、例えばアルカリ土類金属等の前述の任意の添加物を予め投入しておいても良い。
この際、ロッドの移動速度は最大12mm/秒、この時サーボモータの回転数は350rpm、ロッドのストロークは300mmとして傾斜角度θ=10度を実現した。4つのサーボモータは制御装置によりプログラム制御し、確実に同期させて滑らかな回転を実現した。
以上の各工程を実行することによって、高品質の半導体単結晶(成長したGaN単結晶)を低コストで製造することができる。この半導体単結晶は、種結晶であるGaN自立基板10と略同等の面積で、c軸方向の厚さは約2mmであり、透明度が高く、結晶性も良好であった。GaNの増量は11.4gであり、膜厚分布は、最低膜厚に対する最高膜厚が8%増であった。
この半導体結晶の抵抗率は、0.02Ω・cmであった。また、電子濃度は、1.5×1018/cm3であった。
本実施例においては、重心がぶれることなく、安全、滑らかで、自在な揺動ができるようになった。この装置で育成することで、いわゆるマクロ欠陥がほとんどない、極めて良好なn型GaN自立基板が得られた。膜厚分布も良好であり、Geもn型GaN自立基板全体に均一にドーピングされ、電気的特性の面内均一性が向上した。
実施例1と同様に、875℃、4.3MPaで傾斜角度10度を保ったまま、周期1分で1周ごとに回転方向を反転させる揺動を200時間継続して育成を行った。GaNの増量は23.8gであり、膜厚分布は、最低膜厚に対する最高膜厚が11%増であった。また、電気的特性の面内分布が実施例1に比較して向上した。
実施例1と同様に、875℃、4.0MPaで傾斜角度10度を保ったまま、周期4.6rpmでの回転揺動を200時間継続して育成を行った。GaNの増量は23.7gであり、膜厚分布は、最低膜厚に対する最高膜厚が14%増であった。
比較のため、揺動をしないで、外部容器20を傾斜させずに反応を行った。
即ち、875℃、4.3MPaで実施例1の外部装置20の水平を保ったまま、回転揺動無しで200時間継続して育成を行った。GaNの増量は検出されず、育成が生じなかった。
〔比較例2〕
図1で、構造体に固定されたz’軸を、固定座標系のxz平面内で揺動させるような揺動により、反応を行った。
即ち、図2.Aでサーボモータを有するアクチュエータMA4及びMA2を固定して、構造体に固定されたy’軸を固定座標系のy軸に固定し、y’軸回りの揺動を行った。アクチュエータMA1及びMA3は、周期1分で上下運動をさせた。z軸の最大傾斜角は10度とした。
得られた結晶には面内に約5%のマクロ欠陥が存在し、膜厚分布は20%であり、電気特性の面内分布も実施例1に比較して悪化した。
〔その他〕
その他、ボールネジを油圧ピストンに置き換えると、位置安定性が悪く、構造体の重心がぶれ、スムーズに揺動できなかった。自在継ぎ手を簡易なものに置き換えると異音が発生し、発熱し、滑らかな揺動ができなかった。数値制御による滑らかな速度制御を行わないと、タイムラグが発生し、多角形の回転運動となり、角頂点で一旦停止した。
上記全実施例において、結晶原料である窒素(N)を含有するガスとしては、窒素ガス(N2)、アンモニアガス(NH3)、またはこれらのガスの混合ガスなどを用いることができる。また、所望の半導体結晶を構成するIII族窒化物系化合物半導体の上記の組成式においては、上記のIII族元素(Al,Ga,In)の内の少なくとも一部をボロン(B)やタリウム(Tl)等で置換したり、或いは、窒素(N)の少なくとも一部をリン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)などで置換したりすることもできる。
20:外部容器
31、32、33、34:シャフト
411、412、421、422、431、432、441、442:自在継ぎ手部
51、52、53、54:継ぎ手
60:基台
61、62、63、64:支持シャフト
C0:基準面(単位円)の初期位置
C0’;揺動中の基準面(単位円)
Claims (4)
- 反応容器を内蔵した高圧容器、又はそれを更に内蔵した外部容器の揺動装置を用いるIII族窒化物系化合物半導体のフラックス法による結晶成長装置において、
前記揺動装置は、複数個の支持点により前記高圧容器又はそれを内蔵した外部容器を保持可能であって、
前記複数個の支持点を個々に上下運動させる複数個の手段を有し、
前記反応容器に傾斜状態の所望の変化を連続して生じさせることを特徴とする結晶成長装置。 - 前記複数個の支持点は4個であり、当該4個の支持点を上下運動させる4つの前記手段は、各々、数値制御可能なサーボモータとそれに連動して上下運動するボールねじを有することを特徴とする請求項1に記載の結晶成長装置。
- 前記反応容器に設けた基準面の法線方向を鉛直方向に対して一定角度に保ったまま、前記基準面の傾斜方向を回転させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の結晶成長装置。
- 前記反応容器に設けた基準面の法線方向を鉛直方向に対して一定角度に保ったまま、前記基準面の傾斜方向を回動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の結晶成長装置。
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