JP2010228100A - 液滴吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電素子の劣化状態の度合いを段階的に把握することができる液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】劣化状態検出回路192により、アクチュエータ158に電圧が印加された際にアクチュエータ158に流れる電流の大きさが予め定められた複数の異なる閾値の何れかを超えたときに検出信号をローレベル信号からハイレベルに変えて出力する。
【選択図】図4
【解決手段】劣化状態検出回路192により、アクチュエータ158に電圧が印加された際にアクチュエータ158に流れる電流の大きさが予め定められた複数の異なる閾値の何れかを超えたときに検出信号をローレベル信号からハイレベルに変えて出力する。
【選択図】図4
Description
本発明は、液滴吐出装置に関する。
従来、インク吐出のための駆動素子として圧電素子を用いたインクジェット式プリンタでは、印刷ヘッドの複数のノズルに対応してそれぞれ設けられた複数個の圧電素子を選択的に駆動することにより、各圧電素子の電圧に基づいてノズルからインクを吐出させ、印刷用紙にインク滴を付着させることにより、印刷用紙にドットを形成して、印刷を行うようにしている。
印刷ヘッドを駆動させるヘッド駆動装置は、各圧電素子がインク滴を吐出する為のノズルに対応して設けられており、駆動波形発生回路から供給される駆動信号により駆動され、インク滴を吐出させるようになっている。このようなヘッド駆動装置は、例えば図10に示すように構成されている。
同図に示すように、ヘッド駆動装置は、インクジェット式プリンタの複数のノズルに対応してそれぞれ設けられた圧電素子と、各圧電素子の一方の電極に対して駆動信号を供給するための駆動波形発生回路と、駆動波形発生回路と圧電素子との間に設けられた電流増幅回路と、電流増幅回路と圧電素子との間に設けられたスイッチ回路と、を含んで構成されている。
電流増幅回路は、2つのトランジスタを含んで構成されており、一方のトランジスタは、コレクタが定電圧電源Vccに接続され、ベースが駆動波形発生回路の第1の出力端子に接続されると共に、エミッタがスイッチ回路の入力端子に接続されている。これにより、駆動波形発生回路からの駆動信号に基づいて導通して、定電圧電源Vccにより電荷をスイッチ回路を介して圧電素子に規定の電圧波形を伴いながら供給することができる。他方のトランジスタは、エミッタがスイッチ回路の入力端子に接続され、ベースが駆動波形発生回路の第2の出力端子に接続されると共に、コレクタがグランドに接続されている。これにより、駆動波形発生回路からの駆動信号に基づいて導通して、圧電素子をスイッチ回路を介して規定の電圧波形を伴いながら放電させることができる。スイッチ回路は、入力される制御信号に応じて、対応する圧電素子の駆動タイミングでオン状態又はオフ状態となり、駆動信号を圧電素子に出力する。
ところで、このように構成されたヘッド駆動装置において、圧電素子は、常時中間電位(グランドと定電圧電源との間の電圧)付近に充電されており、駆動波形発生回路からの規定の電圧波形を有する駆動信号に基づいて、放電の際にノズル内のインクに圧力が加わり、ノズルからインク滴を吐出するように構成されている。そして、圧電素子が経時等で劣化してくると、非駆動時(印刷を行わないとき)において、充電により圧電素子に蓄積された電荷が圧電素子の絶縁抵抗を通って放電し、圧電素子の電荷が低下してしまうことによりインクの吐出に影響を与えることがある。
そこで、一例として図11に示すように、各圧電素子のグランド側を例えば駆動信号の中間電位等のバイアス電圧に保持するようにしたヘッド駆動装置が開発された。
図11に示すヘッド駆動装置は、図10に示すヘッド駆動装置とほぼ同様の構成であり、圧電素子の他方の電極に対して、定電圧電源Vc1から抵抗器を介して充電されるコンデンサが接続されている。このような構成により、圧電素子がコンデンサの充電電圧により所定のバイアス電圧に保持されることになる。
また、図11に示すヘッド駆動装置は、抵抗器とコンデンサとの接続部に接続された異常電圧検出回路を備えており、該異常電圧検出回路によりコンデンサの充電電圧を検出して、コンデンサの充電電圧が所定電圧以上になったとき、ヘッド駆動装置の電源を落とすことにより、圧電素子のリーク電流によるコンデンサの破壊が防止されるようになっている。しかし、寿命にならないうちに、リーク電流によるコンデンサの充電により、コンデンサの充電電圧が所定電圧を超えると、ヘッド駆動装置の電源を落とすようにしていることから、まだ使用可能な圧電素子を寿命まで使い切ることができない、という問題点があった。
そこで、特許文献1には、図12に示すように、ヘッド駆動装置全体の動作を制御する制御部と、コンデンサの電荷をグランドに流す放電回路と、を更に備えたヘッド駆動装置が開示されている。
図12に示すヘッド駆動装置によれば、コンデンサの充電電圧がバイアス電圧より高い所定電圧以上になると、放電回路が動作して、コンデンサの電荷をグランドに流すことができ、この結果、圧電素子の経年変化等の劣化によるリーク電流の発生時に、該リーク電流によるコンデンサの充電電圧の上昇が抑制され、コンデンサの破壊を防止することができる。更に、圧電素子の劣化に起因して該圧電素子がショートした場合などに該圧電素子に過大電流が流れ、コンデンサの充電電圧が上記所定電圧よりも更に高い電圧になったときにヘッド駆動装置の動作を強制終了させることができる。
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、リーク電流によるコンデンサの充電電圧を1つの所定電圧のみの値で判定しており、圧電素子の劣化状態の度合いを段階的に把握することができないため、余裕をもって圧電素子を交換することができないばかりか、突然、画像記録動作が中断してしまう、という問題点があった。
本発明は上記問題点を解決するために成されたものであり、圧電素子の劣化状態の度合いを段階的に把握することができる液滴吐出装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の液滴吐出装置は、吐出口を備えた圧力室に対応して設けられると共に、駆動電圧が印加された際に変形して前記吐出口から液滴が吐出されるように前記圧力室の体積を変化させる圧電素子と、前記圧電素子に電圧が印加された際に前記圧電素子に流れる電流の大きさが予め定められた複数の異なる閾値の何れかを超えたときに信号を出力する信号出力手段と、を含んで構成されている。
請求項1記載の液滴吐出装置によれば、駆動電圧が印加された際に変形して吐出口から液滴が吐出されるように圧力室の体積を変化させる圧電素子が吐出口を備えた圧力室に対応して設けられる。
そして、本発明では、信号出力手段により、前記圧電素子に電圧が印加された際に前記圧電素子に流れる電流の大きさが予め定められた複数の異なる閾値の何れかを超えたときに信号が出力される。
このように、本発明によれば、圧電素子に電圧が印加された際に圧電素子に流れる電流の大きさが予め定められた複数の異なる閾値の何れかを超えたときに信号が出力されるので、圧電素子の劣化状態の度合いを段階的に把握することができる。
なお、請求項1に記載の液滴吐出装置は、請求項2記載の発明のように、前記信号出力手段から出力された信号の個数に応じて定めた異なる処理を実行する実行手段を更に含んで構成してもよい。これにより、圧電素子の劣化状態の度合いに応じた処理を実行することができる。
また、請求項2に記載の液滴吐出装置は、請求項3記載の発明のように、前記実行手段が、前記信号出力手段によって出力された信号の個数に基づいて前記圧電素子の劣化状態の度合いを推定する処理を実行してもよい。これにより、圧電素子の劣化状態の度合いを容易に推定することができる。
また、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の液滴吐出装置は、請求項4記載の発明のように、前記圧電素子に印加される電圧の大きさを増加させた際に、前記信号出力手段から信号が出力されたときの前記圧電素子に印加されている電圧の大きさに基づいて前記圧電素子の劣化状態の度合いを推定する推定手段を更に含んで構成してもよい。これにより、オンライン状態であるか否かに拘らず、圧電素子の劣化状態の度合いを把握することができる。
また、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の液滴吐出装置は、請求項5記載の発明のように、印加しても前記吐出口から液滴が吐出しない大きさの電圧をバイアス電圧として前記圧電素子に印加するバイアス電圧印加手段を更に含んで構成してもよい。これにより、圧電素子の電極間の電圧を低減することができる。
また、請求項5に記載の液滴吐出装置は、請求項6に記載の発明のように、前記バイアス電圧印加手段を、一方の電極がグランドに接続されると共に他方の電極が前記圧電素子に接続され、充電された状態で前記圧電素子に前記バイアス電圧を印加するコンデンサとしてもよい。これにより、駆動電圧が印加されていないときの圧電素子の電極間の電圧を保持することができる。
本発明によれば、圧電素子の劣化状態の度合いを段階的に把握することができる、という効果が得られる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、本発明を液滴としてインク滴を吐出して画像を記録するインクジェット記録装置に適用した場合について説明する。
[第1の実施形態]
図1には、本発明の液滴吐出装置の一実施形態を示すインクジェット記録装置の全体構成図が示されている。同図に示すように、インクジェット記録装置10には、記録媒体としての枚葉紙(以下、「用紙」という。)Pの搬送方向上流側に、用紙Pを給紙搬送する給紙搬送部12が設けられている。この給紙搬送部12の下流側には、用紙Pの搬送方向に沿って、用紙Pの記録面に処理液を塗布する処理液塗布部14、用紙Pの記録面に画像を記録する画像記録部16、記録面に形成された画像を乾燥させるインク乾燥部18、乾燥した画像を用紙Pに定着させる画像定着部20、画像が定着した用紙Pを排出する排出部21が設けられている。
給紙搬送部12には、用紙Pが積載される積載部22が設けられており、積載部22の上部には、該積載部22に積載された用紙Pを一枚ずつ給紙する給紙部24が設けられている。給紙部24の用紙Pの搬送方向下流側(以下、「用紙Pの搬送方向」を省略する場合もある。)には、複数のローラ26対を含んで構成された搬送部28が設けられている。給紙部24によって給紙された用紙Pは、複数のローラ26対を含んで構成された搬送部28を経て、処理液塗布部14へ搬送される。
処理液塗布部14では、処理液塗布ドラム30が回転可能に配設されている。この処理液塗布ドラム30には、用紙Pの先端部を挟持して用紙Pを保持する保持部材32が設けられており、該保持部材32を介して、処理液塗布ドラム30の表面に用紙Pを保持した状態で、処理液塗布ドラム30の回転によって該用紙Pを下流側へ搬送する。
なお、後述する中間搬送ドラム34、画像記録ドラム36、インク乾燥ドラム38及び定着ドラム40についても、処理液塗布ドラム30と同様に保持部材32が設けられている。そして、この保持部材32によって、上流側のドラムから下流側のドラムへの用紙Pの受け渡しが行われる。
処理液塗布ドラム30の上部には、処理液塗布ドラム30の周方向に沿って、処理液塗布装置42及び処理液乾燥装置44が配設されており、処理液塗布装置42によって、用紙Pの記録面に処理液が塗布され、処理液乾燥装置44によって、該処理液が乾燥する。
ここで、処理液はインクと反応して色材(顔料)を凝集し、色材(顔料)と溶媒を分離促進する効果を有している。処理液塗布装置42には、処理液が貯留している貯留部46が設けられており、グラビアローラ48の一部が処理液に浸されている。
このグラビアローラ48にはゴムローラ50が圧接して配置されており、該ゴムローラ50が用紙Pの記録面側に接触して処理液が塗布される。また、グラビアローラ48にはスキージ(図示省略)が接触しており、用紙Pの記録面に塗布する処理液塗布量を制御する。
処理液膜厚はヘッド打滴の液滴より十分小さいことが理想である。例えば2plの打滴量の場合、ヘッド打滴の液滴の平均直径は15.6μmであり、処理液膜厚が厚い場合、インクドットは用紙の記録面と接触することなく処理液内で浮遊する。2plの打滴量で着弾ドット径を30μm以上得るには処理液膜厚を3μm以下にすることが好ましい。
一方、処理液乾燥装置44には、熱風ノズル54及び赤外線ヒータ56(以下、「IRヒータ56」という。)が処理液塗布ドラム30の表面に近接して配設されている。この熱風ノズル54及びIRヒータ56により、処理液中の水などの溶媒を蒸発させ、固体もしくは薄膜処理液層を用紙の記録面側に形成する。処理液乾燥工程で処理液を薄層化することで、画像記録部16でインク打滴したドットが用紙表面と接触して必要なドット径が得られると共に、薄層化した処理液と反応し色材凝集して用紙表面に固定する作用が得られやすい。
このようにして、処理液塗布部14で記録面に処理液が塗布、乾燥された用紙Pは、処理液塗布部14と画像記録部16の間に設けられた中間搬送部58へ搬送される。
中間搬送部58には、中間搬送ドラム34が回転可能に設けられており、中間搬送ドラム34に設けられた保持部材32を介して、中間搬送ドラム34の表面に用紙Pを保持し、中間搬送ドラム34の回転によって該用紙Pを下流側へ搬送する。
画像記録部16には、画像記録ドラム36が回転可能に設けられており、画像記録ドラム36に設けられた保持部材32を介して、画像記録ドラム36の表面に用紙Pを保持し、画像記録ドラム36の回転によって該用紙Pを下流側へ搬送する。
画像記録ドラム36の上部には、画像記録ドラム36の表面に近接して、シングルパス方式のインクジェットラインヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)64で構成されたヘッドユニット66が配設されている。このヘッドユニット66では、少なくとも基本色であるYMCKのヘッド64が画像記録ドラム36の周方向に沿って配列され、処理液塗布部14で用紙の記録面に形成された処理液層上に各色の画像を記録する。
処理液はインク中に分散する色材(顔料)とラテックス粒子を処理液に凝集する効果を持たせ、用紙P上で色材流れなど発生しない凝集体を形成する。インクと処理液の反応の一例として、処理液内に酸を含有しPHダウンにより顔料分散を破壊し、凝集するメカニズムを用い色材滲み、各色インク間の混色、インク滴の着弾時の液合一による打滴干渉を回避する。
ヘッド64は、画像記録ドラム36に配置された回転速度を検出するエンコーダ(図示省略)に同期して打滴を行うことで、高精度に着弾位置を決定すると共に、画像記録ドラム36の振れ、回転軸68の精度、ドラム表面速度に依存せず、打滴ムラを低減することが可能となる。
ヘッドユニット66は、画像記録ドラム36の上部から退避可能とされており、ヘッド64のノズル面清掃や増粘インク排出などのメンテナンス動作は、該ヘッドユニット66を画像記録ドラム36の上部から退避させることで実施される。
インクジェット記録装置10は、YMCKのヘッド64の各々に供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部65を備えている。インク貯蔵/装填部65は、YMCKのヘッド64の各々に対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所定の管路を介してYMCKのヘッド64と連通されている。
画像記録部16において記録面に画像が記録された用紙Pは、画像記録ドラム36の回転によって、画像記録部16とインク乾燥部18の間に設けられた中間搬送部70へ搬送されるが、中間搬送部70については、中間搬送部58と構成が略同一であるため説明を省略する。
インク乾燥部18には、インク乾燥ドラム38が回転可能に設けられており、インク乾燥ドラム38の上部には、インク乾燥部18の表面に近接して、熱風ノズル72及びIRヒータ74が複数配設されている。
ここでは、一例として、上流側と下流側に熱風ノズル72が配置されるようにして、熱風ノズル72と平行配列された一対のIRヒータ74を交互に配置している。これ以外にも、上流側にIRヒータ74を多く配置して上流側で熱エネルギーを多く照射し水分の温度を上昇させ、下流側に熱風ノズル72を多く配置して飽和水蒸気を吹き飛ばすようにしても良い。
ここで、熱風ノズル72は、熱風の吹きつけ角度を用紙Pの後端側に傾けて配置するようにしている。これにより、熱風ノズル72による熱風の流れを一方向に集めることができ、また、インク乾燥ドラム38側へ用紙Pを押し付け、該インク乾燥ドラム38の表面に用紙Pを保持させた状態を維持することができる。
これらの熱風ノズル72及びIRヒータ74による温風によって、用紙Pにおける画像が記録された部分では、色材凝集作用により分離された溶媒が乾燥され、薄膜の画像層が形成される。
温風は用紙Pの搬送速度によっても異なるが、通常は50℃〜70℃に設定され、IRヒータ74の温度を200℃〜600℃に設定する事で、インク表面温度が50℃〜60℃になるよう設定されている。蒸発した溶媒はエアーと共に画像形成装置10の外部へ排出されるが、エアーは回収される。このエアーは、冷却器/ラジエータ等で冷却して液体として回収しても良い。
記録面の画像が乾燥した用紙Pは、インク乾燥ドラム38の回転によって、インク乾燥部18と画像定着部20の間に設けられた中間搬送部76へ搬送されるが、中間搬送部76については、中間搬送部58と構成が略同一であるため説明を省略する。
画像定着部20には、画像定着ドラム40が回転可能に設けられており、画像定着部20は、インク乾燥ドラム38上で形成された薄層の画像層内のラテックス粒子が加熱/加圧されて溶融し、用紙P上に固着定着する機能を有する。
画像定着ドラム40の上部には、画像定着ドラム40の表面に近接して、加熱ローラ78が配設されている。この加熱ローラ78は熱伝導率の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプが組み込まれており、該加熱ローラ78によって、ラテックスのTg温度以上の熱エネルギーが付与される。これにより、ラテックス粒子を溶融し、用紙上の凹凸に押し込み定着を行うと共に画像表面の凹凸をレベリングし光沢性を得ることを可能とする。
加熱ローラ78の下流側には、定着ローラ80が設けられている、この定着ローラ80は画像定着ドラム40の表面に圧接した状態で配置され、画像定着ドラム40との間でニップ力を得るようにしている。このため、定着ローラ80又は画像定着ドラム40のうち、少なくとも一方は表面に弾性層を持ち、用紙Pに対して均一なニップ幅を持つ構成とする。
以上のような工程により、記録面の画像が定着した用紙Pは、画像定着ドラム40の回転によって、画像定着部20の下流側に設けられた排出部21側へ搬送される。
なお、本実施形態では、画像定着部20について説明したが、インク乾燥部18で記録面に形成された画像を乾燥・定着させることができれば良いため、この画像定着部20は必ずしも必要ではない。
図2には、ヘッド64のノズル毎に設けられた液滴吐出素子(1つのノズル151に対応したインク室ユニット)153の立体的構成を示す断面図が示されている。同図に示すように、各圧力室152は供給口154を介して共通流路155と連通されている。共通流路155はインク供給源たるインクタンク(図示省略)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路155を介して各圧力室152に分配供給される。
圧力室152の一部の面(図2において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)156には個別電極157を備えたアクチュエータ158が接合されている。個別電極157と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ158が変形して圧力室152の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル151からインクが吐出される。インク吐出後、アクチュエータ158の変位が元に戻る際に、共通流路155から供給口154を通って新しいインクが圧力室152に再充填される。
従って、本実施形態に係るインクジェット記録装置10では、画像情報から生成されるドット配置データに応じて各ノズル151に対応したアクチュエータ158の駆動を制御することにより、ノズル151からインク滴を吐出させることができる。また、本実施形態に係るインクジェット記録装置10では、用紙Pを一定の速度で副走査方向に搬送しながら、その搬送速度に合わせて各ノズル151のインク吐出タイミングを制御することによって、用紙P上に所望の画像を記録することができる。
なお、本実施形態に係るインクジェット記録装置10では、アクチュエータ158として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電体を用いた圧電素子を用いているが、これに限らず、チタン酸バリウムやニオブ酸リチウムなどの圧電体を用いた圧電素子であってもよい。
図3は、インクジェット記録装置10の電気系の要部構成を示すブロック図である。同図に示すように、インクジェット記録装置10は、通信インタフェース176、システムコントローラ178、ROM(Read Only Memory)180、画像メモリ181、UI(ユーザ・インタフェース)パネル182、プリント制御部184、ヒータドライバ186、及びモータドライバ188を含んで構成されている。
システムコントローラ178には、通信インタフェース176、ROM180、画像メモリ181、UIパネル182、及びプリント制御部184が接続されている。
通信インタフェース176は、ユーザがインクジェット記録装置10に対して印刷の指示等を行うため等に用いられるホスト装置11とのインタフェース部である。通信インタフェース176にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインタフェースやセントロニクスなどのパラレルインタフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(図示省略)を搭載しても良い。
ホスト装置11から送出された用紙Pに記録すべき画像を示す画像情報は通信インタフェース176を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ181に記憶される。画像メモリ181は、通信インタフェース176を介して入力された画像信号を記憶する記憶手段であり、システムコントローラ178を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ181は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
UIパネル182は、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、ユーザがタッチパネルに触れることにより所望の情報や指示が入力される。
システムコントローラ178は、CPU(中央演算処理装置)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ178は、通信インタフェース176、ROM180、画像メモリ181、及びプリント制御部184の各部を制御し、UIパネル182への各種情報の表示、UIパネル182に対するユーザの操作指示内容の把握、ホスト装置11との間の通信制御、ROM180及び画像メモリ181の読み書き制御等を行うと共に、搬送系のモータ190を制御する制御信号を生成する。なお、プリント制御部184に対しては、制御信号の他に、画像メモリ181に記憶された画像情報を送信する。
また、ROM180には、システムコントローラ178が実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。ROM180は、書換不能な記憶手段であってもよいが、各種のデータを必要に応じて更新する場合は、EEPROMのような書換可能な記憶手段を用いることが好ましい。
画像メモリ181は、画像情報の一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びシステムコントローラ178の演算作業領域としても利用される。
プリント制御部184は、システムコントローラ178の制御に従い、システムコントローラ178から送信された画像情報から吐出制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理手段として機能するとともに、生成したインク吐出データに基づいてヘッド64の吐出駆動を制御するものであり、YMCKの各ヘッド64に対して1つずつ設けられている。
ヒータドライバ186は、システムコントローラ178からの指示に従って、処理液乾燥装置44、インク乾燥部18を構成している熱風ノズル72及びIRヒータ74、並びに加熱ローラ78に含まれるハロゲンランプを駆動するドライバ(駆動回路)である。
モータドライバ188は、システムコントローラ178からの指示に従って搬送系のモータ190を駆動するドライバである。
また、インクジェット記録装置10は、ヘッド64に含まれる各液滴吐出素子153毎に設けられたアクチュエータ158の各々の劣化状態を検出する劣化状態検出回路192を含んで構成されている。劣化状態検出回路192は、入力端子がヘッド64に、出力端子がシステムコントローラ178に各々接続されている。従って、システムコントローラ178は、劣化状態検出回路192の検出結果を把握することができる。
図4には、本実施形態に係るヘッド64及び劣化状態検出回路192の電気的構成を示す構成図が示されている。同図に示すように、ヘッド64は、デジタル・アナログ・コンバータ(以下、「DAC」とも言う。)194、駆動波形発生回路196、電流増幅回路198、スイッチ回路200、コンデンサ202、及び各液滴吐出素子153毎に設けられたアクチュエータ158を含んで構成されており、DAC194、駆動波形発生回路196、及び電流増幅回路198が直列に接続されている。また、電流増幅回路198には、スイッチ回路200を介してアクチュエータ158が接続されている。アクチュエータ158は、一方の電極がスイッチ回路200の対応する出力端子に接続され、他方の電極がコンデンサ202の一方の電極に接続されている。なお、コンデンサ202の他方の電極はグランドに接続されている。
プリント制御部184は、DAC194の入力端子に接続されており、アクチュエータ158に印加する電圧の基準となる電圧を示すデジタル信号(例えば、駆動波形を生成するための8ビットのデータ)を生成し、DAC194に出力する。DAC194は、プリント制御部184から入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して駆動波形発生回路196に出力する。
駆動波形発生回路196は、DAC194から入力されたアナログ信号の電圧を増幅することにより、アクチュエータ158を駆動させるための電圧波形を有する駆動信号を発生させるものである。
電流増幅回路198は、駆動波形発生回路196から入力された駆動信号を電流を増幅してスイッチ回路200を介してアクチュエータ158に出力するものであり、NPNトランジスタ198aとPNPトランジスタ198bとを含んで構成されている。NPNトランジスタ198aは、コレクタが第1の定電圧電源に、ベースが駆動波形発生回路196の一方の出力端子に、エミッタがスイッチ回路200の一方の入力端子に各々接続されている。これにより、NPNトランジスタ198aは、駆動波形発生回路196から入力された駆動信号に基づいて導通して、定電圧Vccにより電荷をスイッチ回路200を介してアクチュエータ158に規定の電圧波形を伴いながら供給する。
一方、PNPトランジスタ198bは、エミッタがスイッチ回路200の一方の入力端子に、ベースが駆動波形発生回路196の他方の出力端子に、コレクタがグランドに各々接続されている。これにより、PNPトランジスタ198bは、駆動波形発生回路196から入力された駆動信号に基づいて導通して、アクチュエータ158の電荷をスイッチ回路200を介して規定の電圧波形を伴いながら放電させる。
また、プリント制御部184は、スイッチ回路200の他方の入力端子に接続されており、各アクチュエータ158を制御する制御信号をアクチュエータ158毎に生成して、スイッチ回路200に出力する。スイッチ回路200は、制御信号が入力されることにより、対応するアクチュエータ158の駆動タイミングでオンされ、駆動信号をアクチュエータ158に出力する。なお、本実施形態に係るスイッチ回路200は、各アクチュエータ158をそれぞれオン、オフするための所謂トランスミッションゲートとして構成されている。
コンデンサ202は、例えば電界コンデンサであって、一方の電極が抵抗器R0を介して第2の定電圧電源に接続されている。第2の定電圧電源は、定電圧Vc1を抵抗器R0を介してコンデンサ202に印加して、コンデンサ202を充電する。これにより、アクチュエータ158の他方の電極に対して、所定のバイアス電圧、好ましくは駆動波形発生回路198から入力される駆動信号の中間電位にほぼ等しい電圧が印加されることになる。
劣化状態検出回路192は、各アクチュエータ158に対して1つずつ設けられており、第1検出回路204及び第2検出回路206を含んで構成されている。第1検出回路204は、抵抗器R1〜R3及びNPNトランジスタ204aを含んで構成されている。NPNトランジスタ204aは、コレクタが抵抗器R3を介して第1の定電圧電源に、ベースが抵抗器R1を介してアクチュエータ158の他方の電極に、エミッタがグランドに各々接続されている。また、NPNトランジスタ204aのベースと抵抗器R1との接続部は、抵抗器R2を介してグランドに接続されている。また、NPNトランジスタ204aのコレクタと抵抗器R3との接続部はシステムコントローラ178の入力端子に接続されている。
一方、第2検出回路206は、抵抗器R4〜R7及びNPNトランジスタ206aを含んで構成されている。NPNトランジスタ206aは、コレクタが抵抗器R7を介して第1の定電圧電源に、ベースが抵抗器R6,R4を介してアクチュエータ158の他方の電極に、エミッタがグランドに各々接続されている。また、抵抗器R4と抵抗器R6との接続部は、抵抗器R5を介してグランドに接続されている。また、NPNトランジスタ206aのコレクタと抵抗器R7との接続部はシステムコントローラ178に接続されている。
図5には、アクチュエータ158の等価回路を示す回路図が示されている。同図に示すように、アクチュエータ158は、絶縁抵抗器RPZTとコンデンサCPZTの等価回路で表すことができる。
ところで、アクチュエータ158の絶縁抵抗器RPZTの抵抗値は、一例として図6に示すように、インク滴の吐出回数の増加に従って徐々に減衰していく。本実施形態に係るアクチュエータ158は、新品のときの絶縁抵抗器RPZTの抵抗値が数百MΩであり、壊れかけているときの絶縁抵抗器RPZTの抵抗値が数百kΩであり、壊れたときの絶縁抵抗器RPZTの抵抗値が数kΩであることが劣化加速試験によって分かっている。
絶縁抵抗器RPZTの抵抗値が小さくなると、インク滴を吐出するにあたりアクチュエータ158に電圧が印加されると、電流が第1検出回路204及び第2検出回路206に流れる。このとき、絶縁抵抗器RPZTの抵抗値が数百kΩの場合には第1検出回路204からシステムコントローラ178に出力される検出信号A(図4を参照。)がローレベル信号(以下、「L信号」ともいう。)からハイレベル信号(以下、「H信号」ともいう。)に変わり、絶縁抵抗器RPZTの抵抗値が数kΩの場合には、更に、第2検出回路206からシステムコントローラ178に出力される検出信号B(図4を参照。)がL信号からH信号に変わる。
次に、本実施形態に係るインクジェット記録装置10の作用を説明する。
本実施形態に係るインクジェット記録装置10では、積載部22から給紙部24によって用紙Pが給紙され、搬送部28を経て、処理液塗布部14へ搬送される。処理液塗布部14では、用紙Pの記録面に処理液が塗布され、該処理液を乾燥させる。その後、該用紙Pは、中間搬送部58を経て、画像記録部16へ搬送され、画像記録ドラム36の表面に保持される。そして、画像記録部16では、画像情報に基づいてヘッド64のノズル151から用紙Pの記録面に対してインク滴が吐出される。これによって用紙Pの記録面には上記画像情報により示される画像が記録される。
画像記録部16において記録面に画像が記録された用紙Pは、中間搬送部70を経て、インク乾燥部18へ搬送される。インク乾燥部18では、用紙Pの記録面のインクに含まれる溶媒を乾燥させる。その後、該用紙Pは、中間搬送部76を経て、画像定着部20へ搬送される。画像定着部20では、用紙Pの記録面に記録された画像の定着処理が行われる。そして、記録面に画像が定着した用紙Pは、画像定着ドラム40の回転によって排出部21側へ搬送される。
ところで、ヘッド64の交換時期を決める上で、アクチュエータ158の劣化状態の度合いを把握することは重要である。
そこで、本実施形態に係るインクジェット記録装置10では、アクチュエータ158の劣化状態を推定する劣化状態推定処理が実行される。
ここで、図7を参照して上記劣化状態推定処理が実行される際のインクジェット記録装置10の作用を説明する。なお、図7は、画像記録を行う際にシステムコントローラ178によって実行される劣化状態推定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM180の所定領域に予め記憶されている。
同図のステップ300では、第1検出回路204から出力されるH信号の受信待ちを行った後、ステップ302へ移行し、第2検出回路206から出力されるH信号を受信したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ304へ移行し、上記ステップ300の処理を実行してから所定時間(上記ステップ300の処理を実行してから第2検出回路206により出力されるH信号を受信するまでに要する時間として、インクジェット記録装置10の実機による実験やインクジェット記録装置10の設計仕様に基づくコンピュータ・シミュレーション等によって予め得られた時間)経過したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ302へ戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ306へ移行し、アクチュエータ158が壊れかけていると推定した後、ステップ310へ移行する。
一方、ステップ302において肯定判定となった場合にはステップ308へ移行し、アクチュエータ158が壊れたと推定した後、ステップ310へ移行する。
ステップ310では、上記ステップ306又は上記ステップ308での推定結果をUIパネル182により表示した後、本劣化状態推定処理プログラムを終了する。また、本実施形態に係るインクジェット記録装置10では、上記ステップ310の処理にて、UIパネル182を用いて、アクチュエータ158の劣化状態の度合いを示す情報の可視表示を行っているが、これに限らず、スピーカ等の音声再生装置を用いて可聴表示を行ったり、印字することによる永久可視表示を行っても良い。また、上記可視表示、可聴表示及び永久可視表示の複数を組み合わせても良い。
以上詳細に説明したように、本第1の実施形態に係るインクジェット記録装置10によれば、吐出口(ここでは、ノズル151)を備えた圧力室152に対応して設けられると共に、駆動電圧が印加された際に変形して吐出口から液滴(ここでは、インク滴)が吐出されるように圧力室の体積を変化させる圧電素子(ここでは、アクチュエータ158)と、圧電素子に電圧が印加された際に圧電素子に流れる電流の大きさが予め定められた複数の異なる閾値(ここでは、検出信号AをL信号からH信号に変えるだけの電流の大きさ、及び検出信号BをL信号からH信号に変えるだけの電流の大きさ)の何れかを超えたときに信号を出力する信号出力手段(ここでは、劣化状態検出回路192)と、を備えているので、圧電素子の劣化状態を段階的に把握することができる。
また、本第1の実施形態に係るインクジェット記録装置10によれば、信号出力手段から出力された信号の個数に応じて定めた異なる処理を実行する実行手段(ここでは、システムコントローラ178)を更に備えているので、圧電素子の劣化状態の度合いに応じた処理を実行することができる。
また、本第1の実施形態に係るインクジェット記録装置10によれば、実行手段が信号出力手段によって出力された信号の個数に基づいて圧電素子の劣化状態の度合いを推定する処理を実行しているので、圧電素子の劣化状態の度合いを容易に推定することができる。
また、本第1の実施形態に係るインクジェット記録装置10によれば、印加しても吐出口から液滴が吐出しない大きさの電圧をバイアス電圧として圧電素子に印加するバイアス電圧印加手段(ここでは、コンデンサ202)を備えているので、圧電素子の電極間の電圧を低減することができる。
更に、本第1の実施形態にかかるインクジェット記録装置10によれば、バイアス電圧印加手段を、一方の電極がグランドに接続されると共に他方の電極が圧電素子に接続され、充電された状態で圧電素子にバイアス電圧を印加するコンデンサ202としたので、非画像記録時(駆動電圧が印加されていないとき)の圧電素子の電極間の電圧を保持することができる。
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、画像記録を行っているときにアクチュエータ158の劣化状態の度合いを推定する場合について説明したが、本第2の実施形態では、非画像記録時にアクチュエータ158の劣化状態を推定する場合について説明する。なお、本第2の実施形態では、インクジェット記録装置の構成が上記第1の実施形態に係るインクジェット記録装置10と構成が略同一であるため、同一の部材については同一の符号を付し、説明を省略し、上記第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図8を参照して本第2の実施形態に係る劣化状態推定処理が実行される際のインクジェット記録装置10の作用を説明する。なお、図8は、非画像記録時にアクチュエータ158の一方の電極とスイッチ回路200との接続部に所定電圧を印加した際にシステムコントローラ178によって実行される劣化状態推定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM180の所定領域に予め記憶されている。なお、ここでは、錯綜を回避するために、システムコントローラ178がアクチュエータ158の一方の電極とスイッチ回路200との接続部に印加される電圧を常時把握しているものとし、上記所定電圧としてアクチュエータ158の一方の電極とスイッチ回路200との接続部に30〜80Vの電圧を5Vずつ増加させて印加した場合について説明する。
同図のステップ400では、アクチュエータ158の一方の電極とスイッチ回路200との接続部に上記所定電圧が印加されるまで待機した後、ステップ402へ移行し、第1検出回路204から出力されるH信号を受信したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ404へ移行し、上記ステップ400の処理を実行してから所定時間(上記ステップ400の処理を実行してから第1検出回路204により出力されるH信号を受信するまでに要する時間として、インクジェット記録装置10の実機による実験やインクジェット記録装置10の設計仕様に基づくコンピュータ・シミュレーション等によって予め得られた時間)経過したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ402へ戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ414へ移行する。
一方、ステップ402において肯定判定となった場合にはステップ406へ移行し、第2検出回路206から出力されるH信号を受信したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ408へ移行し、上記ステップ402の処理を実行してから所定時間(上記ステップ402の処理を実行してから第2検出回路206により出力されるH信号を受信するまでに要する時間として、インクジェット記録装置10の実機による実験やインクジェット記録装置10の設計仕様に基づくコンピュータ・シミュレーション等によって予め得られた時間)経過したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ406へ戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ410へ移行し、アクチュエータ158が壊れかけていると推定した後、ステップ414へ移行する。
一方、ステップ406において肯定判定となった場合にはステップ412へ移行し、アクチュエータ158が壊れたと推定した後、ステップ414へ移行する。
ステップ414では、アクチュエータ158の一方の電極とスイッチ回路200との接続部に全ての上記所定電圧を印加したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ416へ移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ418へ移行する。
ステップ416では、第1検出回路204及び第2検出回路206の各々から出力されるH信号を受信したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ400へ戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ418へ移行する。
ステップ418では、上記ステップ410又は上記ステップ412での推定結果をUIパネル182により表示した後、本劣化状態推定処理プログラムを終了する。
本第2の実施形態に係るインクジェット記録装置10では、上記ステップ410及び上記ステップ412において、予めインクジェット記録装置10の実機による試験により得られたテーブル500,502(図9を参照。)を参照してアクチュエータ158の劣化状態の度合いを推定している。
テーブル500には、一例として図9(A)に示すように、インクジェット記録装置10に絶縁抵抗器RPZTの抵抗値が200kΩのアクチュエータ158を組み込み、該アクチュエータ158の一方の電極とスイッチ回路200との接続部に30〜80Vの電圧を5Vずつ増加させて印加したときの、検出信号A,B、NPNトランジスタ204aに印加される電圧値V1、及びNPNトランジスタ206aに印加される電圧値V2が対応付けられており、それぞれにアクチュエータ158の劣化の度合いを示す寿命レベルL0〜L10が割り振られている。また、テーブル502には、一例として図9(B)に示すように、インクジェット記録装置10に絶縁抵抗器RPZTの抵抗値が50kΩのアクチュエータ158を組み込み、該アクチュエータ158の一方の電極とスイッチ回路200との接続部に30〜80Vの電圧を5Vずつ増加させて印加したときの、検出信号A,B、及び電圧値V1,V2が対応付けられており、それぞれに寿命レベルL0〜L10が割り振られている。
従って、上記ステップ418の処理により、例えば、アクチュエータ158の一方の電極とスイッチ回路200との接続部に印加した電圧値毎に、該電圧値に対応する検出信号A,Bの状態を示す情報(H信号であるかL信号であるかを示す情報)と、該電圧値に対応する寿命レベルとを並べてUIパネル182に表示することによって、ユーザはアクチュエータ158の劣化状態の度合い(アクチュエータ158が壊れかけの状態であるか、壊れた状態であるか)を容易に把握することができる。
なお、UIパネル182の表示画面に表示させる他の情報形態としては、アクチュエータ158が壊れかけの状態であると推定された場合に、UIパネル182の表示画面に「ヘッドが壊れかけの状態です。」とのメッセージを表示させ、アクチュエータ158が壊れた状態であると推定された場合に、UIパネル182の表示画面に「ヘッドが壊れました。」とのメッセージを表示させる形態が例示できる。また、アクチュエータ158の劣化状態の度合いを表示画面にて図示することにより、ユーザに対してアクチュエータ158の劣化状態の度合いを認識させるようにしてもよい。このように、UIパネル182の表示画面に表示される情報形態は、アクチュエータ158の劣化状態の度合いの推定結果をユーザが認識し得る情報形態であれば如何なる形態であってもよい。
以上詳細に説明したように、本第2の実施形態に係るインクジェット記録装置10によれば、圧電素子(ここでは、アクチュエータ158)に印加される電圧の大きさを増加させた際に、劣化状態検出回路192からH信号が出力されたときの圧電素子に印加されている電圧に基づいて圧電素子の劣化状態の度合いを推定する推定手段(システムコントローラ178)を備えているので、非画像記録時に圧電素子の劣化状態の度合いを把握することができる。
以上、本発明を上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の主旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記各実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、また、上記各実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。上記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における状況に応じた組み合わせにより種々の発明を抽出できる。上記各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
例えば、上記各実施形態では、アクチュエータ158の劣化状態の度合いを「壊れかけの状態」及び「壊れた状態」の2段階で推定する場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、アクチュエータ158の劣化状態を3段階以上で推定してもよい。この場合、段階数に対応する数の検出信号が出力されるように段階数に対応する数の検出回路を設ける。例えば、アクチュエータ158の劣化状態の度合いを3段階で推定する場合、第1検出回路204からH信号を出力させるだけの電流の大きさよりも小さい電流がアクチュエータ158に流れた際にH信号をシステムコントローラ178に出力する第3検出回路を設ける。これにより、アクチュエータ158の劣化状態の度合いを「壊れかける前の状態」、「壊れかけの状態」、及び「壊れた状態」の3段階で推定することが可能となる。
また、上記各実施形態では、アクチュエータ158の劣化状態の度合いを表示する場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、劣化状態検出回路192から出力されるH信号の個数に応じてアクチュエータ158(またはヘッド64)の交換時期を表示するようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、検出信号A,Bをシステムコントローラ178に出力する場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数のインックジェット記録装置10の状態を管理するホストコンピュータに検出信号A,Bを出力するようにしてもよい。これにより、ホストコンピュータにて、各インクジェット記録装置10のヘッド64に含まれるアクチュエータ158の劣化状態の度合いを容易に把握することができる。
また、上記第2の実施形態では、インクジェット記録装置10がオンライン状態のときにアクチュエータ158の劣化状態の度合いを推定する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、オフライン状態であっても、アクチュエータ158の一方の電極とスイッチ回路200との接続部に印加する電圧を増加させながら劣化状態検出回路192から出力される検出信号A,Bをモニタリングすることによりアクチュエータ158の劣化状態の度合いを推定することが可能である。
その他、上記各実施形態で説明したインクジェット記録装置10の構成(図1〜4を参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。
また、上記各実施形態で説明したフローチャートの流れ(図7,8を参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりすることができることは言うまでもない。
10 インクジェット記録装置
151 ノズル(吐出口)
152 圧力室
158 アクチュエータ(圧電素子)
178 システムコントローラ(実行手段、推定手段)
192 劣化状態検出回路(信号出力手段)
202 コンデンサ(バイアス電圧印加手段)
151 ノズル(吐出口)
152 圧力室
158 アクチュエータ(圧電素子)
178 システムコントローラ(実行手段、推定手段)
192 劣化状態検出回路(信号出力手段)
202 コンデンサ(バイアス電圧印加手段)
Claims (6)
- 吐出口を備えた圧力室に対応して設けられると共に、駆動電圧が印加された際に変形して前記吐出口から液滴が吐出されるように前記圧力室の体積を変化させる圧電素子と、
前記圧電素子に電圧が印加された際に前記圧電素子に流れる電流の大きさが予め定められた複数の異なる閾値の何れかを超えたときに信号を出力する信号出力手段と、
を含む液滴吐出装置。 - 前記信号出力手段から出力された信号の個数に応じて定めた異なる処理を実行する実行手段を更に含む請求項1記載の液滴吐出装置。
- 前記実行手段は、前記信号出力手段によって出力された信号の個数に基づいて前記圧電素子の劣化状態の度合いを推定する処理を実行する請求項2記載の液滴吐出装置。
- 前記圧電素子に印加される電圧の大きさを増加させた際に、前記信号出力手段から信号が出力されたときの前記圧電素子に印加されている電圧の大きさに基づいて前記圧電素子の劣化状態の度合いを推定する推定手段を更に含む請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
- 印加しても前記吐出口から液滴が吐出しない大きさの電圧をバイアス電圧として前記圧電素子に印加するバイアス電圧印加手段を更に含む請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
- 前記バイアス電圧印加手段を、一方の電極がグランドに接続されると共に他方の電極が前記圧電素子に接続され、充電された状態で前記圧電素子に前記バイアス電圧を印加するコンデンサとした請求項5記載の液滴吐出装置。
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-
2009
- 2009-03-25 JP JP2009074921A patent/JP2010228100A/ja active Pending
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