JP2010227997A - 金属材料の熱間押出製管用ガラス潤滑剤およびそれを用いた熱間押出製管方法 - Google Patents

金属材料の熱間押出製管用ガラス潤滑剤およびそれを用いた熱間押出製管方法 Download PDF

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圭司 松本
Kazumune Shimoda
一宗 下田
Yasuyoshi Hidaka
康善 日高
Kosuke Murakami
浩亮 村上
Junpei Tajima
淳平 田嶋
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Abstract

【課題】ガラスの剥離性を改善し、熱間押出管の酸洗肌荒れや酸洗コスト低減するとともに、押込み疵や焼付き等の欠陥を抑制する熱間押出製管用ガラス潤滑剤を提供する。
【解決手段】アルカリ金属酸化物の合計量が12〜30質量%であり、Al23、CaOおよびMgOの1種または2種以上の合計量が20〜40質量%であるケイ酸ガラス潤滑剤で構成されることを特徴とする金属材料の熱間押出製管用ガラス潤滑剤である。ただし、アルカリ金属酸化物の合計量のうち1/3以上をK2Oとし、Al23、CaOおよびMgOの1種または2種以上の合計量のうち1/4以上をAl23とする。この熱間押出製管用ガラス潤滑剤は、さらに25質量%以下のB23を含むケイ酸ガラス潤滑剤で構成するのが望ましく、熱間押出で加工される金属材料の外面潤滑剤として用いるのが好適である。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属材料の熱間押出しに適用できる熱間押出製管用ガラス潤滑剤、およびこの潤滑剤を用いる金属材料の熱間押出製管方法に関するものである。
別に記載がない限り、本願明細書における用語の定義は次の通りである。
「質量%」:潤滑剤に含まれる各成分の質量百分率を表す。
「金属材料」:炭素鋼、Cr合金、Cr−Ni合金およびNi基合金などの材料をいう。
一般に、Crを含有する合金鋼、ステンレス鋼および耐熱合金などからなる継目無管は、潤滑剤にガラスを用いたユジーン・セジュルネ法に代表される熱間押出製管法によって製造されることが多い。また、このユジーン・セジュルネ法に代表される熱間押出製管法では、炭素鋼からなる継目無管も製造される。
上記の熱間押出製管法における潤滑剤であるガラスの供給は、一般に、被加工材である中空丸ビレット(以下、単に「ビレット」という)を押出加工温度(通常、1000〜1250℃)に加熱した後に行われる。
具体的には、押出プレスのコンテナ内面とビレット外面との潤滑を行う外面ガラス(外面潤滑剤)の供給は、押出加工温度に加熱したビレットを粉末ガラスが散布されたテーブル上で転動させ、ビレット外面に転写させてガラスを被覆することにより行われる。
押出プレスのマンドレル外面とビレット内面との潤滑を行う内面ガラス(内面潤滑剤)の供給は、ターニングローラ上で回転中または上記のテーブル上で転動中のビレットの孔内に、半円筒状のスプーンを用いて粉末ガラスを挿入塗布してビレット内面にガラスを被覆することにより行われる。
さらに、押出プレスのダイス内面とビレットの先端面および外面との潤滑を行う正面ガラス(正面潤滑剤)の供給は、水ガラスなどの適宜なバインダーを用いて粉末ガラスを中空円盤状に成形したガラスディスクをダイスの入側面に固定装着することにより行われる。
上述した各ガラスのうち、通常、正面ガラスと内面ガラスには、押出加工温度の1000〜1250℃で適正な粘度(101.5〜104ポアズ)を有することから、SiO2−Na2O−CaO系の窓ガラスやSiO2−Al23−B23系の無アルカリガラスが多用される。
また、外面ガラスには、被覆後のハンドリング中に被覆したガラスが剥離、脱落するのを防ぐ観点から、ビレット表面に対する付着性に優れるものがよいとされ、同加工温度の1000〜1250℃での特性が100〜101.5ポアズという粘度の低いSiO2−Na2O−B23系のガラスが多用される。
熱間押出法による金属材料の加工において、潤滑剤の性能が被加工材の品質性状に影響を及ぼすことから、従来から、ガラス潤滑剤について多くの提案がなされている。例えば、特許文献1には、熱間押出し時の焼付きを防止するため、押出加工の温度域における粘度が105ポアズ以下の粉末ガラスに固体潤滑粉末を配合し、バインダーを加えて成形したガラスディスクを正面潤滑剤として使用する熱間押出製管方法が開示されている。
特許文献2には、特定組成を有し、低粘度によるガラス層の破損による焼付き、または高粘度での潤滑不足による焼付きを防止するため、押出加工の温度域での適正粘度を300〜3000ポアズとする熱間押出用のガラス潤滑剤が開示されている。
また、特許文献3には、押出加工比が30%以上となる高加工度での押出加工において、スケール起因の押込み疵や焼付きを防止するため、ビレット表面に耐火性物質を塗布し、加熱時に生成または生成付着したビレット表面のスケールをこの耐火性物質中に溶融させ、その上に押出加工の温度域における粘度が101.5〜104ポアズであるガラス潤滑剤を塗布して加工する金属材料の熱間押出方法が開示されている。
さらに、特許文献4には、正面潤滑剤の粘度を103ポアズ以上とすることで外面への縦じわの形成を防止するとともに、外面潤滑剤の粘度を10ポアズ以下として摩擦係数を低下させて外面すじ疵の発生を防止することにより、特にフェライト系ステンレス鋼管や二相ステンレス鋼管の外面欠陥の発生を抑制する熱間押出製管方法が開示されている。
上記特許文献1〜4で提案されたガラス潤滑剤を用いること、さらにこれらを用いた熱間押出製管方法を採用することにより、熱間押出加工にともなう押込み疵や焼付き等の外面欠陥の発生を抑制することができ、所期の効果を発揮することが可能になる。
特開平06−170437号公報 特開平11−92169号公報 特開平11−123443号公報 特開2004−174536号公報」
通常、熱間で押出加工された金属材料は、水冷された後、沸硝酸の酸洗およびショットブラストによって残存するガラスを除去する。このとき、管表面に残存するガラスは、水冷により大部分が熱衝撃により剥離され、さらに沸硝酸の酸洗により剥離されなかった残り部分も完全に溶解し除去される。
しかし、水冷で剥離されずに残存するガラスを酸洗するには時間を要し、またガラスが残存する部分は管表面の一部であるため、他の大部分は過酸洗の状態となり表面に肌荒れを発生し、歩留りを悪化させる等の問題を生じる。このため、沸硝酸による酸洗時間を短縮し、管表面に発生する肌荒れを抑制するには、水冷によりガラスを全て除去し、残存するガラスをなくすのが望ましい。
一方、熱間押出製管法で潤滑として用いられたガラスは、コンテナ、マンドレル等の製管工具にも付着する。ここで、コンテナは押出加工前のビレットを挿入する容器であり、ビレット外面と接触し外面ガラスが付着する。また、マンドレルはビレット内面に挿入される棒状の工具であり、ビレット内面と接触し内面ガラスが付着する。
製管工具に付着したガラスは、冷却されて固化し、コンテナ内面およびマンドレル表面の工具表面に堆積する。そして、工具表面に堆積した固体ガラスは、熱間押出の加工中に剥がれて押込み疵の原因ともなる。このため、工具表面に付着したガラスは、熱間押出終了毎に放水や除去治具により除去する必要がある。
前述の通り、従来から提案されているガラス潤滑剤は、いずれも潤滑剤の粘度に着目して、熱間押出加工にともなう押込み疵や焼付き等の外面欠陥の発生を抑制することを課題としているが、ガラス潤滑剤そのものの除去性について検討がなされていない。
本発明は、このような金属材料の熱間押出方法におけるガラス潤滑剤の新たな課題に鑑みてなされたものであり、熱間押出された金属材料に残存するガラスおよび工具表面に付着するガラスの剥離性を改善し、優れた除去性能を発揮することができる熱間押出用ガラス潤滑剤、およびこれを用いる金属材料の熱間押出製管方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、金属材料の熱間押出に際し、種々のガラス潤滑剤を用いて剥離性の比較検討を行い、次の知見を得た。
ガラス潤滑剤の剥離性には、ガラスによる金属材料表面の酸化現象が大きく影響している。例えば、鋼材を熱間押出する場合に、溶融した高温のガラスが鋼表面に接触すると、ガラス中の酸素が鋼表面を酸化して酸化鉄を生成する。酸化鉄はガラスと共晶反応を起こし、酸化鉄がガラス中に溶融する。
このとき、鋼と接触しているガラス界面は高い鉄元素濃度となり、鋼表面との親和性が高くなり、密着性が高まる。この密着性は酸化性(鋼を酸化させる力)の強いガラスほど高くなる。
ガラスの酸化性は、ガラス中に含まれる酸化成分(酸化させる成分)と還元成分(還元させる成分)の比率による。酸化成分としてはアルカリ金属の酸化物が挙げられ、還元成分としてはAl23またはアルカリ土類金属の酸化物CaO、MgOが挙げられる。
ガラス潤滑剤の剥離性向上させる(すなわち、密着性を低下させる)には、アルカリ金属の酸化物は極力少なくするのが望ましい。
しかし、ケイ酸塩系ガラスにおいて、アルカリ金属の酸化物は粘度を低下させる役割を発揮するため、アルカリ金属の酸化物を添加しなければガラスの粘度が高くなり過ぎ、熱間押出用ガラス潤滑剤として機能しなくなる。
アルカリ金属の酸化物として、K2OおよびNa2Oが挙げられる。これらのうちで、Na2Oは酸化能が高く、K2OはNa2Oに比べ酸化能は低い。一方、K2OとNa2Oは、粘度を低減する作用は同等である。さらに言えば、コスト面ではK2OはNa2Oに比べ割高である。
したがって、アルカリ金属の酸化物としてK2Oの含有を所定割合以上に確保することにより、低粘度のケイ酸ガラスであっても、酸化性を抑制し、工具表面および材料表面からの剥離性に優れたガラス潤滑剤を得ることができる。
還元成分としてAl23またはアルカリ土類金属の酸化物CaO、MgOが挙げられるが、特にAl23が良好な還元性を発揮する。したがって、還元成分としてAl23の含有を所定割合以上に確保することにより、還元作用を有効に発揮させることができる。
通常、ガラス中に溶融した鉄酸化物は濃度勾配を持ち、鋼とガラスの界面が最も濃度が高く、ガラス内部に行くにしたがって濃度が低くなっていく。この場合に、B23は、鉄酸化物をガラス中に均一に溶融させる作用を発揮する。
したがって、ガラス潤滑剤にB23を含有させることにより、鉄酸化物の濃度勾配をなくし、結果的に鋼とガラスの界面の鉄元素濃度を下げる効果を有する。これにより、鋼表面との親和性を低下させ、密着性を低減することができる。
本発明は、上述した知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)〜(3)の熱間押出用ガラス潤滑剤、および(4)〜(6)の金属材料の熱間押出製管方法を要旨としている。
(1)アルカリ金属酸化物の合計量が12〜30質量%であり、Al23、CaOおよびMgOの1種または2種以上の合計量が20〜40質量%であるケイ酸ガラス潤滑剤で構成されることを特徴とする金属材料の熱間押出製管用ガラス潤滑剤である。
ただし、アルカリ金属酸化物の合計量のうち1/3以上をK2Oとし、Al23、CaOおよびMgOの1種または2種以上の合計量のうち1/4以上をAl23とする。
(2)上記(1)の熱間押出製管用ガラス潤滑剤は、さらに25質量%以下のB23を含むケイ酸ガラス潤滑剤で構成するのが望ましい。
(3)上記(1)、(2)の熱間押出製管用ガラス潤滑剤は、熱間押出で加工される金属材料の外面潤滑剤として用いられるのが望ましい。同ガラス潤滑剤は、Crを15質量%以上含有する金属材料の熱間押出加工に用いられるのが一層望ましい。
(4)上記(1)、(2)の熱間押出製管用ガラス潤滑剤を熱間押出で加工される金属材料の潤滑剤として用いることを特徴とする金属材料の熱間押出製管方法である。
(5)上記(4)の熱間押出製管方法は、当該熱間押出製管用ガラス潤滑剤を金属材料の外面潤滑剤として用いることが望ましく、Crを15質量%以上含有する金属材料の熱間押出加工に用いることが一層望ましい。
本発明の熱間押出製管用ガラス潤滑剤は、次の顕著な効果を有する。
(1)熱間押出加工の潤滑性に優れる。
(2)熱間押出された金属材料に残存するガラスの剥離性を改善し、酸洗肌荒れや酸洗コスト低減する。
(3)熱間押出に用いられる工具表面に付着するガラスの剥離性を改善し、押込み疵や焼付き等の欠陥を抑制する。
本発明の熱間押出製管用ガラス潤滑剤の優れた特性は、本発明の熱間押出製管方法に適用することにより充分に発揮することができる。
[ガラス潤滑剤の組成]
本発明の熱間押出製管用ガラス潤滑剤は、アルカリ金属酸化物の合計量が12〜30質量%であり、Al23、CaOおよびMgOの1種または2種以上の合計量が20〜40質量%であるケイ酸ガラス潤滑剤で構成されることを特徴とする。ただし、前記アルカリ金属酸化物の合計量のうち1/3以上をK2Oとし、Al23、CaOおよびMgOの1種または2種以上の合計量のうち1/4以上をAl23とする必要がある。
本発明の熱間押出製管用ガラス潤滑剤は、熱間押出加工に優れた潤滑性を発揮することを目的とするものであり、押出加工時に適正な粘度に調整されていなければならない。このため、押出加工温度の1000℃〜1250℃における粘度は100〜104ポアズにする必要がある。
本発明の熱間押出製管用ガラス潤滑剤は、このような粘度範囲を前提として、剥離性に優れたガラス潤滑剤組成を実現したものであり、SiO2を主成分とするケイ酸ガラス潤滑剤で構成される。ケイ酸ガラスの組成を上記に限定したのは、次の理由による。
アルカリ金属酸化物の合計量:12〜30質量%
アルカリ金属酸化物は酸化成分であり、ガラスの粘度を低下させる作用を発揮する。アルカリ金属酸化物の合計量が30質量%を超えると、潤滑剤の粘度が低下し過ぎるとともに、Al23、CaOまたはMgOを含有させても酸化能が高く、潤滑剤の剥離性が十分でなくなる。一方、12質量%未満では、潤滑剤の粘度が高くなり過ぎ、押出加工温度域(1000℃〜1250℃)において100〜104ポアズの適正粘度を得られないことがある。
アルカリ金属の酸化物としてK2OおよびNa2Oが挙げられ、アルカリ金属酸化物の合計量のうち1/3以上をK2Oとする必要がある。K2OとNa2Oは粘度の低減作用は同等であるが、K2OはNa2Oに比べ酸化能は低い。したがって、K2Oの含有量を1/3以上確保することにより、低粘度のケイ酸ガラスであっても、酸化性を抑制し優れた剥離性を得ることができる。
Al23、CaOおよびMgOの1種または2種以上の合計量:20〜40質量%
Al23、並びにアルカリ土類金属の酸化物のCaOおよびMgOは還元成分である。Al23、CaOおよびMgOの1種または2種以上の合計量が20質量%未満では、アルカリ金属酸化物の合計量を15〜30質量にコントロールしても、材料表面とガラスの界面での酸化が進み、潤滑剤の剥離性が十分でない。
一方、同合計量が40質量%を超えると、材料表面における還元性能が飽和し効果の改善がみられないとともに、主成分であるSiO2量が相対的に少なくなり、潤滑剤の粘度が低くなり過ぎることがある。
Al23、CaOおよびMgOのなかでは、特にAl23が良好な還元性を発揮することから、Al23、CaOおよびMgOの1種または2種以上の合計量のうち1/4以上をAl23とする必要がある。
23:25質量%以下
23は必須の含有成分ではないが、鉄酸化物をガラス中に均一に溶融させる作用を発揮する。前述の通り、ガラス中に溶融した鉄酸化物は濃度勾配を示し、材料およびガラス界面において最も濃度が高く、ガラス内部に行くにしたがって濃度が低くなる。B23は鉄酸化物をガラス中に均一に溶融させるので、結果的に材料とガラスの界面における鉄元素濃度を下げる効果を有する。
したがって、ケイ酸ガラス潤滑剤の剥離性を向上させるには、B23の含有が望ましい。
材料とガラスの界面での鉄元素濃度を下げる効果を十分に得るには、B23を8質量%以上含有させるのが好ましい。さらに好ましくは15質量%以上である。一方、25質量%を超えると、材料表面の酸化をむしろ促進させることになるため、上限を25質量%とした。
[外面潤滑剤への適用]
本発明の熱間押出製管用ガラス潤滑剤は、熱間押出時の優れた潤滑性を確保するため、正面潤滑剤、外面潤滑剤、または内面潤滑剤としていずれにも使用することができる。
正面潤滑剤は、粉末状にしたものに水ガラスなどのバインダーを少量加え、型に嵌めるなどしてドーナツ状に成形し、常温から200℃位までの環境下で充分乾燥し、ドーナツ状のディスクガラスとして用いられ、加熱された被加工材とダイスの間にセットされる。このため、正面潤滑剤はビレットの保有熱により少しずつ軟化、溶融して、被加工材の外周面に塗布された外面潤滑剤の粉末ガラスとともにダイスと被加工材の外周面との潤滑剤として作用する。
外面潤滑剤は、粉末ガラスとして使用する。通常、粉末ガラスを敷き詰めたテーブル上を加熱されたビレットを転動、転写させて、外表面を被覆する。このため、外面潤滑剤は、ビレットとコンテナ内面との潤滑剤およびダイスと被加工材の外周面との潤滑剤として作用する。
内面潤滑剤は、粉末ガラスとして使用し、加熱されたビレットに設けられた内孔に投入される。このため、内面潤滑剤は被加工材の内周面に塗布され、マンドレルと被加工材の内周面との潤滑剤として作用する。
熱間押出に際し、コンテナ内面に付着するガラスは、ビレット外表面に塗布された外面潤滑剤である。したがって、本発明の熱間押出製管用ガラス潤滑剤は、コンテナ内面に付着したガラスの剥離性を向上させるために、外面潤滑剤として用いるのが望ましい。
[金属材料への適用鋼種]
本発明の熱間押出製管用ガラス潤滑剤は、炭素鋼、Cr合金、Cr−Ni合金などの他、Ni基合金等の金属材料を対象にすることができる。これらの金属材料は1000℃〜1250℃の高温に加熱されると多少なりともスケールが生成することから、熱間押出後の脱ガラス処理においてスケールごとガラスを剥離できることから、比較的、剥離性を確保し易くなる。
ところが、Crを15質量%以上含有するCr合金、Cr−Ni合金、Ni基合金等の金属材料は、炭素鋼に比べ、材料とガラスの界面での密着性が高いため、本発明の熱間押出製管用ガラス潤滑剤を使用することにより、潤滑剤の剥離性の向上に顕著な効果を発揮することができる。
[金属材料の熱間押出製管方法]
本発明の熱間押出製管方法は、上記組成のケイ酸ガラス潤滑剤で構成される熱間押出製管用ガラス潤滑剤を熱間押出で加工される金属材料の潤滑剤として用いることを特徴とする。
本発明の熱間押出製管方法を適用することにより、熱間押出加工において優れた潤滑性能が確保できるだけでなく、熱間押出された金属材料に残存するガラスの剥離性を改善し、酸洗肌荒れや酸洗コスト低減するとともに、工具表面に付着するガラスの剥離性を改善し、押込み疵や焼付き等の欠陥を抑制できる。これにより、最適なユジーン・セジュルネ法による熱間押出製管法を構成することになる。
(実施例1)
表1に示す組成からなる8種の粉末ガラス(粒径:約180μm)を準備し、ガラスの剥離性を調査した。準備した粉末ガラスは、本発明例としてガラスA〜F、比較例としてガラスG、Hに区分される。鋼種SUS304のブロック状試験片(20mm×20mm×20mm)を準備し、その試験表面に各粉末ガラス2gをまぶし、大気雰囲気下の加熱炉(温度:1250℃)で1時間加熱した後、ブロック状試験片を取出し、直ちに水槽中に浸漬し急冷した。
得られたブロック状試験片の試験表面を観察し、試験表面の全体に対するガラスが剥離した面積の割合を剥離面積率として測定した。ここで、剥離面積率が80%以上を合格と評価した。
Figure 2010227997
剥離面積率の測定結果を表1に示す。表1の結果から、本発明例のガラスA〜Fは、いずれも剥離面積率が80%を超え剥離性が良好であることが分る。これに比べ、比較例のG〜Hは、剥離面積が44%〜52%と低く不芳である。
(実施例2)
鋼種SUS304およびCr−Ni合金(25質量%Cr−35質量%Ni)を用いて熱間押出製管を行い、製管後における管外面のガラス剥離状態および表面状況を調査した。
外面潤滑剤として、前記表1に示す本発明例のガラスFおよび比較例のガラスGの粉末ガラスを用い、加熱されたビレット外面に粉末のまま塗布した。使用した粉末ガラスの平均粒径は約180μmであった。
正面潤滑剤および内面潤滑剤として、市販の粉末ガラスを用いた。その特性は下記の通りである。
粘度:1200℃で1000ポアズ
組成:SiO2(73質量%)、Na2O(13質量%)、Al23(2質量%)、
CaO(8質量%)およびMgO(4質量%)
正面潤滑剤は、上記の市販ガラスに水ガラス3号を5質量%加えてディスク状に成形して用いた。
鋼種SUS304の熱間押出製管では、下記の製管スケジュールとした。
ビレット寸法:外径174mm×内径44mm×長さ800mm、先端に20R加工
ビレット加熱温度:1250℃
押出管寸法:外径47mm×内径41mm(×肉厚3mm)×長さ40,000mm
得られた押出管を3つに切断し、冷却床にて水をシャワー方式で散布し、管を常温まで冷却した。その後、管表面のガラス剥離状況、加工疵などを観察した。
鋼種Cr−Ni合金の熱間押出製管では、下記の製管スケジュールとした。
ビレット寸法:外径330mm×内径206mm×長さ1100mm、
先端に20R加工
ビレット加熱温度:1250℃
押出管寸法:外径223mm×内径195mm(×肉厚14mm)×長さ5300mm
得られた押出管を冷却床にて水をシャワー方式で散布して管を常温まで冷却した。その後、管表面のガラス剥離状況、加工疵などを観察した。
Figure 2010227997
表2に調査結果を示す。表2の「ガラス剥離状況」の評価欄の記号の意味は次の通りである。
○:良。完全に剥離したことを示す。
△:可。一部ガラスが剥離していない部位(残存面積で10%未満)があったことを示
す。
×:不可。ガラスが剥離してない部位が広範囲に存在(残存面積で10%以上)すること
を示す。
また、表2の「管表面状況」の評価欄の記号の意味は次の通りである。
○:良。
△:不可。コンテナ付着ガラスによる筋疵があったことを示す。
×:不可。焼き付きがあったことを示す。
鋼種SUS304の熱間押出製管では、表2に示すように、本発明例のガラスFを用いることにより、押出製管後の管外表面にはガラスは残存しておらず、剥離性が良好であることが分る。また、焼き付きなどの欠陥も発生していなかった。これに対し、比較例のガラスGを用いることにより、押出製管後の管外表面に面積にして10%以上ものガラスが付着している部位が確認された。さらに、管外表面に筋疵の発生があった。
この筋疵は、コンテナ内表面に付着したガラス潤滑剤は毎押出し後にコンテナ内面に放水した後、金属ブラシで除去するが、ガラス潤滑剤の剥離性が悪いため、内面に付着したガラスの一部が残存したコンテナを用いて熱間押出し製管を行ったため発生した疵である。
鋼種Cr−Ni合金の熱間押出製管では、表2に示すように、本発明例のガラスFを用いることにより、押出製管後の管外表面にはガラスは残存しておらず、剥離性が良好であることが分る。また、焼き付きや象肌などの欠陥も発生していなかった。これに対し、比較例のガラスGを用いることにより、押出製管後の管外表面に面積にして10%以上ものガラスが付着している部位が確認された。さらに、管外表面に筋疵の発生があった。
本発明の熱間押出製管用ガラス潤滑剤は、次の顕著な効果を有することから、管材等の金属材料の熱間押出加工方法の潤滑剤として広く適用できる。
(1)熱間押出加工の潤滑性に優れる。
(2)熱間押出された金属材料に残存するガラスの剥離性を改善し、酸洗肌荒れや酸洗コスト低減する。
(3)熱間押出に用いられる工具表面に付着するガラスの剥離性を改善し、押込み疵や焼付き等の欠陥を抑制する。

Claims (7)

  1. アルカリ金属酸化物の合計量が12〜30質量%であり、Al23、CaOおよびMgOの1種または2種以上の合計量が20〜40質量%であるケイ酸ガラス潤滑剤で構成されることを特徴とする金属材料の熱間押出製管用ガラス潤滑剤。
    ただし、アルカリ金属酸化物の合計量のうち1/3以上をK2Oとし、Al23、CaOおよびMgOの1種または2種以上の合計量のうち1/4以上をAl23とする
  2. さらに25質量%以下のB23を含むケイ酸ガラス潤滑剤で構成されることを特徴とする請求項1に記載の金属材料の熱間押出製管用ガラス潤滑剤。
  3. 当該熱間押出製管用ガラス潤滑剤が、熱間押出で加工される金属材料の外面潤滑剤として用いられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の金属材料の熱間押出製管用ガラス潤滑剤。
  4. Crを15質量%以上含有する金属材料の熱間押出加工に用いられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の金属材料の熱間押出製管用潤滑剤。
  5. 請求項1または2に記載の熱間押出製管用ガラス潤滑剤を熱間押出で加工される金属材料の潤滑剤として用いることを特徴とする金属材料の熱間押出製管方法。
  6. 当該熱間押出製管用ガラス潤滑剤を、金属材料の外面潤滑剤として用い熱間押出加工を行うことを特徴とする請求項5に記載の金属材料の熱間押出製管方法。
  7. 前記金属材料がCrを15質量%以上含有する被加工材であることを特徴とする請求項5または6に記載の金属材料の熱間押出製管方法。
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