以下、本発明に係る遊技機の最良の実施の形態を図面に基づき詳しく説明する。本発明は、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機、パチスロ機等の遊技機に適用できるが、このうち、パチンコ遊技機に適用される場合について説明する。図1は本発明に係るパチンコ遊技機の斜視図である。パチンコ遊技機Pは縦長長方形状の金属製の機枠1を有し、該機枠1の前面に一側を軸着され自在に開閉する遊技盤取付枠2が配設される。該遊技盤取付枠2には、その前側から遊技盤4が着脱自在に配置される。また、遊技盤4の下方であって遊技盤取付枠2の前面に打球発射機構(図示せず。)が設けられる。
前記遊技盤4の前面に、渦巻き状に敷設された内・外側ガイドレール6a,6bにより囲われるようにして遊技部4aが形成される。該遊技部4aには、中央上部に文字、数字等の図柄を変動表示する電子ディスプレー7を備えた大型の変動表示装置8が装着される。また、その下方に、第一・第二始動入賞口9a,9bがそれぞれ上下に位置して配設される。第一始動入賞口9aは、遊技部4aに打ち込まれた遊技球であるパチンコ球が入賞することにより該パチンコ球を電気的に検出する。第二始動入賞口9bは左右に起立または逆ハの字状に傾動する一対の開閉翼10,10を有し、同じく遊技部4aに打ち込まれた遊技球が、変動表示装置8の一側に配置される通過チャッカー11を通過して検出されかつその検出によって発生するくじに当たると、一対の開閉翼10,10が短い時間1回開くようになっている。そして、その間に遊技球としてのパチンコ球が入賞すると、該パチンコ球を電気的に検出する。これら第一・第二始動入賞口9a,9bに入賞したパチンコ球が電気的に検出されると、前記電子ディスプレー7の図柄が変動を開始する。
前記第一・第二始動入賞口9a,9bの下方に、開閉扉12aが前側へ傾動して一度に多くの入賞球を発生させる大型の大入賞口12が配設される。なお、前記第一・第二始動入賞口9a,9bに入賞して検出されかつその検出によって発生するくじに当たると、前記電子ディスプレー7に特定の当り図柄が表示されて大当りが発生し、前記開閉扉12aが所定時間(例えば約30秒または大入賞口12が10個の入賞球を検出するまで)開放し、これが連続して所定回数(例えば15回)繰り返される。遊技部4aの下部であって第一・第二始動入賞口9a,9bの両側に、普通入賞口13,13が設けられている。14は内側ガイドレール6aの中央下部に設けられ、遊技部4aに打ち込まれるも入賞球となり得なかったパチンコ球をパチンコ遊技機Pの外部へ排出するためのアウト球口である。
遊技盤取付枠2の前面に、遊技盤4の遊技部4aが臨む透窓16が開設された前面枠17が配設される。該前面枠17は、遊技盤取付枠2の前面一側に軸着され自在に開閉するようになっている。また、該前面枠17はその横幅が遊技盤取付枠2の横幅と同じ寸法を有し、透窓16にはガラス板または合成樹脂板からなる透明板18が装着される。また、前面枠17の下部に、賞球又は貸し球としてのパチンコ球を貯留し前記打球発射機構の発射部へ供給するための球受皿19が装着されている。その一側で前面枠17の前面に、打球発射機構から発射されるパチンコ球の打球力を調整するための打球力調整ハンドル20が設けられる。
次に、施錠装置について説明する。図2に示すように遊技盤取付枠2における開放側の外側面に遊技盤取付枠の施錠装置21が組み付けられ、前面枠17の開放側の後面に前面枠の施錠装置22が組み付けられている。これら施錠装置21,22は金属製であって、前後方向で互いにほぼ対向位置することになる。また、機枠1における開放側の側板1a内面に、その上下部に位置して側面コ字型の掛止片15,15が一体にかつ水平に突設されている。これは、遊技盤取付枠の施錠装置21における後記する後向係止片43,47を掛け止めさせるためのものである。
図3、図4に示すように遊技盤取付枠の施錠装置21は、遊技盤取付枠2における開放側の外側面に固着される平断面角筒状の上下に長い鉛直固定枠23と、該鉛直固定枠23内に収納され前面枠17に施錠する一対の上・下部前面枠施錠杆24a,24bと、同じく鉛直固定枠23内に収納され機枠1に施錠する一対の上・下部取付枠施錠杆25a,25bと、同じく鉛直固定枠23内に収納されこれら上・下部前面枠施錠杆24a,24bと上・下部取付枠施錠杆25a,25bをそれぞれ動作させる作動杆26と、同じく鉛直固定枠23内に収納され上・下部前面枠施錠杆24a,24bと上・下部取付枠施錠杆25a,25bを手動で作動させる手操作杆27と、からなる。なお、鉛直固定枠23は、更に内側の内枠カバー23aと外側の外枠カバー23bとの二部材により形成される。そして、外枠カバー23b側から上・下部前面枠施錠杆24a,24b、作動杆26、上・下部取付枠施錠杆25a,25b、手操作杆27の順で配置される。
上部前面枠施錠杆24aは、前端縁の上・下部に前方へ水平に突設され先端に下側を向く鉤状の前向係止片28,28が設けられ、上・下部に縦長孔29a,29bが開設されると共に両縦長孔29a,29bにそれぞれ内・外枠カバー23a,23b間に差し渡された水平な一対の上部ガイドピン30a,30bが挿通され、これら上部ガイドピン30a,30bに沿って上下動するようになっている。また、中寄り位置にバネ通孔31が開設され、下端部に掛止孔32が開設されている。下部前面枠施錠杆24bは、前端縁の下部のみに前方へ水平に突設され先端に下側を向く前向係止片33が設けられ、上下端部に縦長孔34a,34bが開設されると共に両縦長孔34a,34bにそれぞれ内・外枠カバー23a,23b間に差し渡された水平な一対の下部ガイドピン35a,35bが挿通され、これら下部ガイドピン35a,35bに沿って上下動する。また、同じく中寄りの上下位置に掛止孔36とバネ通孔37が開設されている。
作動杆26には、前端縁における中央より少し下位置に前方へ水平に突出する係合突起38が設けられる。また、作動杆26の上端と下端から少し中央より位置にそれぞれ内枠カバー23a側へ突出する内曲片39a,39bが設けられ、作動杆26の下端と上端から少し中央より位置にそれぞれ外枠カバー23b側へ突出する外曲片40a,40bが設けられている。両内曲片39a,39bはそれぞれ上・下部取付枠施錠杆25a,25bを作動させるためのものであり、両外曲片40a,40bは上・下部前面枠施錠杆24a,24bを作動させるためのものである。更に、作動杆26には、上端の内曲片39aとその下方の外曲片40a及び下端の外曲片40bとその上方の内曲片39bの間にそれぞれ縦長孔41a,41bが開設され、これら縦長孔41a,41bに両上部ガイドピン30a,30bのうちの下に位置する上部ガイドピン30bと両下部ガイドピン35a,35bのうちの上に位置する下部ガイドピン35aがそれぞれ挿通される。これにより、作動杆26がこれら上部ガイドピン30bと下部ガイドピン35aに沿って上下動する。
上部取付枠施錠杆25aは、後端縁の上部に後方へ水平に突設され先端に上側を向く鉤状の後向係止片43が設けられ、上下端部に縦長孔44a,44bが開設されると共に両縦長孔44a,44bにそれぞれ一対の前記上部ガイドピン30a,30bが挿通される。そして、上部取付枠施錠杆25aがこれら上部ガイドピン30a,30bに沿って上下動する。また、中央よりの上下位置にバネ通孔45と掛止孔46がそれぞれ開設されている。下部取付枠施錠杆25bは、後端縁の下部に後方へ水平に突設され先端に上側を向く後向係止片47が設けられる。下部取付枠施錠杆25bの上下端部に縦長孔48a,48bが開設されると共に、両縦長孔48a,48bにそれぞれ前記両下部ガイドピン35a,35bが挿通される。これにより、下部取付枠施錠杆25bがこれら下部ガイドピン35a,35bに沿って上下動する。また、下部取付枠施錠杆25bの中央にバネ通孔49が開設されている。
手操作杆27は、後端縁の下部に後方へ突設する手動摘み50が設けられている。また、手操作杆27の上端部と中央より少し下方位置に連結孔51a,51bが開設される。上の連結孔51aに前記作動杆26における上端の内曲片39aが嵌入し、下の連結孔51bに作動杆26における下の内曲片39bが嵌入して、作動杆26と共に手操作杆27が連動するようにしている。手操作杆27の上下部にもそれぞれ縦長孔52a,52bが開設され、上部の縦長孔52aに前記両上部ガイドピン30a,30bのうちの下の上部ガイドピン30bが挿通され、下部の縦長孔52bに前記両下部ガイドピン35a,35bのうちの上の下部ガイドピン35aが挿通される。これにより、手操作杆27が上・下部ガイドピン30b,35aに沿って上下動することになる。
そして、上・下部前面枠施錠杆24a,24b、作動杆26、上・下部取付枠施錠杆25a,25b、手操作杆27をこの順で外枠カバー23b側へ重ね合わせ、反対側に内枠カバー23aを重ねて互いに挟むようにして一体に組み付ける。この際、上部前面枠施錠杆24aにおけるバネ通孔31の上端と上部取付枠施錠杆25aにおけるバネ通孔45の下端との間に、引っ張りコイルバネ53が介装される。同様に、下部前面枠施錠杆24bにおけるバネ通孔37の上端と下部取付枠施錠杆25bにおけるバネ通孔49の下端との間にも、引っ張りコイルバネ53が介装される。これにより、上・下部前面枠施錠杆24a,24bは引っ張りコイルバネ53の弾性力によって常に下方へ付勢され、上・下部取付枠施錠杆25a,25bは常に上方へ付勢されている。また、上・下部前面枠施錠杆24a,24bにおける各前向係止片28,28,33が、鉛直固定枠23の前面に開設された第1開口54から前方へ突出している。作動杆26の係合突起38も、鉛直固定枠23の前面に開設された第2開口55から前方へ突出している。一方、上・下部取付枠施錠杆25a,25bにおける各後向係止片43,47は、鉛直固定枠23の後面に開設された第3開口56から後方へ突出しており、手操作杆27における手動摘み50も鉛直固定枠23の後面に開設された第4開口57から後方へ突出している。
更に、作動杆26における上端縁の内曲片39aが上部取付枠施錠杆25aにおける掛止孔46の下端に当接し、下の内曲片39bが下部取付枠施錠杆25bの上端縁に当接するようになっている。これにより、作動杆26の下動と共に上・下部取付枠施錠杆25a,25bが、引っ張りコイルバネ53の付勢に抗して下動する。因みに、作動杆26が上動しても各内曲片39a,39bは前記同じ個所に当接することはないので、上・下部取付枠施錠杆25a,25bが上動することはない。また、作動杆26における上の外曲片40aが上部前面枠施錠杆24aにおける掛止孔32の上端に当接し、下端縁の外曲片40bが下部前面枠施錠杆24bにおける掛止孔36の上端に当接するようになっている。これにより、作動杆26の上動と共に上・下部前面枠施錠杆24a,24bが、引っ張りコイルバネ53の付勢に抗して上動する。因みに、作動杆26が下動しても各外曲片40a,40bは前記同じ個所に当接することはないので、上・下部前面枠施錠杆24a,24bが下動することはない。手操作杆27は作動杆26と連結されているので、手操作杆27は作動杆26と同じ動作を行う。
図2、図5に示すように前面枠の施錠装置22は、前面枠17の後面の開放側に固着される縦長の鉛直固定プレート58を備えている。そして、該鉛直固定プレート58における上部と中央部と下部とに位置させて、それぞれ後方へ突出する平面コ字形の屈曲凸部59が設けられ、該各屈曲凸部59の後面に前記上・下部前面枠施錠杆24a,24bの各前向係止片28,28,33が係止し得る係止孔60が開設されている。また、鉛直固定プレート58の下部の前側には、シリンダー錠61が内装される錠箱83が配置固定される。該錠箱83については後で説明する。シリンダー錠61は前端面の鍵穴62が前面枠17の前側に露出する錠本体61aと該錠本体61aの後端部に固着される取付片部61bとからなり、該取付片部61bを前面枠17の後面にあてがって螺子63で固着される。更に、シリンダー錠61の錠軸64が錠本体61aの後方へ突出しており、該錠軸64の後端に上下の両端部を上・下カム片65a,65bとした略C形のカム部材65が固着され、両上・下カム片65a,65bは外側すなわち前面枠17の外周縁側を向いている。
鉛直固定プレート58の下部であってシリンダー錠61の一側外周縁側に、該鉛直固定プレート58に沿って上下方向に摺動する可動部材66が配置される。該可動部材66は平断面がクランク状をなし、前面枠17の後面と平行な鉛直固定プレート58の底面に接する上部平板部67aに上下方向に長い上部ガイド孔68が開設され、該上部ガイド孔68に鉛直固定プレート58に植設したガイドピン69が挿通される。また、鉛直固定プレート58の底面に接する下部平板部67bにも、上下方向に長い第1下部ガイド孔70が開設される。該下部平板部67bの後面には第1下部ガイド孔70を覆うようにして補助板71が重ねられ、該補助板71にも第1下部ガイド孔70と連通する第2下部ガイド孔72が開設される。そして、これら第1・第2下部ガイド孔70,72に、鉛直固定プレート58に植設したガイドピン73が挿通される。これにより、可動部材66が上下のガイドピン69,73に沿って上下方向に摺動することになる。
補助板71にあっては、その上端一側に上フック74が設けられ、これと対応してその下方の鉛直固定プレート58に下フック75が設けられ、これら上・下フック74,75間に引っ張りコイルバネ76が張設される。また、補助板71の他側に上フック77が設けられ、これと対応してその下方の可動部材66に下フック78が設けられ、これら上・下フック77,78間にも引っ張りコイルバネ79が張設される。また、可動部材66における上・下部平板部67a,67bと直交する起立板部67cに、前記錠軸64の後端に固着されたカム部材65の上・下カム片65a,65bと対向位置して該上・下カム片65a,65bがそれぞれ錠軸64の回動と共に突入し係合し得る上・下係合凹部80a,80bが設けられる。更に、その後方であって可動部材66における上・下部平板部67a,67bと平行をなす後側板部67dに、連結用切欠部81が設けられる。該連結用切欠部81には、前記遊技盤取付枠の施錠装置21における作動杆26から前方へ突出した係合突起38の先端部が挿入される。
図8(イ)(ロ)に示すように、前記錠箱83は縦長直方体形状をなし、その前後端面84a,84bが共に開放される。錠箱83の前端面84aが前面枠17の前側に露出している。そして、錠箱83内に鍵穴62を前側にして前記シリンダー錠61すなわち錠本体61aが挿通され、該錠本体61aが該錠箱83内を前後方向に摺動することになる。この場合、該錠本体61aの外周形状が錠箱83の内周形状とほぼ同じになっている。錠本体61aの下面中央に、前後方向に沿って下方へ突出する突条部87が設けられる。該突条部87は錠箱83の底壁83aの中央に前後方向に沿って開設された縦溝88から下方へ突出しており、その長手方向に沿った両側面にラック歯部89,89が形成される。
前記錠箱83の下方に可逆回転モータ86が配設される。該可逆回転モータ86は、その上面から平行に2本の回転軸99,99が突設され、各回転軸99の先端にシリンダー錠61の錠本体61a下面の突条部87の両側面に形成されたラック歯部89,89に噛合するピニオン歯車100が取着される。図示は省略するが、前記2本の回転軸99,99のうち一方が駆動軸で他方が従動軸となっており、両者間には中間歯車が介在される。そこで、例えば可逆回転モータ86が正転して錠本体61aが前方へ摺動し前端位置で停止したときは、図6実線に示すように鍵穴62が前側に露出しており、また、シリンダー錠61の錠軸64後端部に設けられたカム部材65の上・下カム片65a,65bがそれぞれ可動部材66の上・下係合凹部80a,80bに対向位置している。よって、この状態で錠軸64を回動させれば、そのカム部材65の上カム片65a又は下カム片65bが上係合凹部80a又は下係合凹部80bに係合して可動部材66が上・下動することになる。一方、可逆回転モータ86が逆転して図6鎖線に示すように錠本体61aが後方へ摺動し後端位置に停止したときは、鍵穴62が錠箱83の内側に入ると共にシリンダー錠61の錠軸64後端部に設けられたカム部材65の上・下カム片65a,65bが、それぞれ可動部材66の上・下係合凹部80a,80bとは前後方向で外れ係合し得ないようになっている。よって、この状態で錠軸64を回動させそのカム部材65を回動させても、可動部材66が上・下動することはない。
シリンダー錠61の錠本体61aが錠箱83の前端位置に停止しているとき、パチンコ遊技機Pの前側からシリンダー錠61の鍵穴62に鍵82を差し込み、図7に示すように該鍵穴62を正面から見て時計回り方向イに鍵82を回動させると、錠軸64後端のカム部材65が同方向へ回動し、該カム部材65の上カム片65aが可動部材66における上係合凹部80aに係合して該可動部材66を下動させる。これにより、連結用切欠部81に挿入された係合突起38と共に遊技盤取付枠の施錠装置21における作動杆26が引っ張りコイルバネ53の付勢に抗して下動する。該作動杆26が下動すると、機枠1の各掛止片15から後向係止片43,47が外れて該機枠1に対し前面枠17と共に遊技盤取付枠2が開錠される。また、図7に示すように前記鍵82をその鍵穴62を正面から見て反時計回り方向ロに回動させると、錠軸64後端のカム部材65が同方向へ回動し該カム部材65の下カム片65bが可動部材66における下係合凹部80bに係合して該可動部材66を上動させる。これにより、連結用切欠部81に挿入された係合突起38と共に遊技盤取付枠の施錠装置21における作動杆26が引っ張りコイルバネ53の付勢に抗して上動する。該作動杆26が上動すると、上・下係合凹部80a,80bから前向係止片28,28,33が外れて遊技盤取付枠2に対して前面枠17が開錠される。
前面枠17を前側へ撓ませて行なわれる不正行為を防止するため、図5に示すように前面枠17後面の下部中央に撓み防止板93が配置される。該撓み防止板93は、支軸94によりほぼ中央部で前面枠17に軸着され、該前面枠17の後面に沿って自在に回動するようになっている。そして、常には鉛直方向に対して傾斜しており、上端部に切欠凹部95が設けられる。また、撓み防止板93の下端部と前面枠17の後面との間に引っ張りコイルバネ96が張設され、撓み防止板93の下端部側を常に下方へ付勢するようにしている。下端部側が下方へ付勢され停止している状態では、上端部の切欠凹部95が上昇して遊技盤取付枠2の下部前面に一体に設けた金属製の係留杆97に係合する。すなわち、該係留杆97の下面には凹溝97aが設けられ、撓み防止部材93の切欠凹部95が凹溝97aに係合することになる。
前記撓み防止板93における下端部の上端縁にプッシュプルワイヤ98の一端が接続される。該プッシュプルワイヤ98の他端は前記下動部材66に接続されている。そこで、可動部材66の上動と共にプッシュプルワイヤ98が可動部材66側へ引かれると、撓み防止板93の下端部側が前記引っ張りコイルバネ96の付勢に抗して上方へ回動し、係留杆97の凹溝97aから撓み防止板93の切欠凹部95が外れることになる。よって、前面枠17が閉じられた状態では、撓み防止板93における上端部の切欠凹部95が遊技盤取付枠2の下部前面に突設された係留杆97の凹溝97aに係合しており、この状態では、前面枠17の前側への撓みが防止されるので、これによる不正が防止される。一方、パチンコホールの従業員が鍵82をシリンダー錠61に差し込み反時計回り方向へ回動させ前面枠17を正常に開放するときは、図5鎖線に示すように可動部材66の上動動作と共にプッシュプルワイヤ98を介して撓み防止板93の下端部が上方へ回動し、係留杆97の凹溝97aと切欠凹部95との係合が外れる。このようにして、前面枠17の開放動作を支障なく行なえるようにしている。
本発明に係るパチンコ遊技機Pは上記構成からなり、次に作用を説明する。まず、パチンコ遊技機Pがパチンコホールに設置されている常態では、機枠1の開放側の側板1aの内側面に設けられた掛止片15に遊技盤取付枠の施錠装置21における後向係止片43,47が係合し、遊技盤取付枠2が機枠1に施錠される。また、遊技盤取付枠の施錠装置21における前向係止片28,28,33が前面枠の施錠装置22における鉛直固定プレート58の係止孔60に係合して、前面枠17が遊技盤取付枠2に施錠されている。そして、可逆回転モータ86はパチンコホールの中央コンピュータからの出力により作動(この場合は、モータが逆転する。)し、図6鎖線、図9(イ)(ロ)に示すように鍵箱83におけるシリンダー錠61の錠本体61aが後端位置にある。この状態では、シリンダー錠61における錠軸64の後端部のカム部材65が、可動部材66における上・下係合凹部80a,80bと前後方向で外れている。このため、錠軸64を回動させカム部材65により可動部材66を上下動させて前面枠17または遊技盤取付枠2を開放させようとしても不可能である。また、鍵穴62に鍵82を差し込み引っ掛けたままシリンダー錠61を前端位置へ引き出そうとしても、可逆回転モータ86が消磁して回転することはないので、シリンダー錠61の錠本体61aが摺動することもない。よって、遊技盤取付枠2及び前面枠17はいずれも正常な状態で開放できない。
これに対し、例えばパチンコ遊技機Pで球詰まりが生じ、パチンコホールの従業員がその状態を解消すべく前面枠17を開放するときは、ホールコンピュータからの出力により前記可逆回転モータ86が作動(この場合は、モータが正転する。)する。これにより、各ピニオン100が回転してシリンダー錠61の錠本体61aが前方へ摺動して前端位置で停止する。図6実線、図8(イ)(ロ)に示すようにシリンダー錠61が前端位置に停止した状態では、錠軸64後端部のカム部材65における上・下カム片65a,65bが共に可動部材66における上・下係合凹部80a,80bと対向位置する。すなわち、カム部材65が回動することにより、上・下カム片65a,65bが上・下係合凹部80a,80bに係合することになる。そこで、従業員は該鍵穴62に鍵82を差し込み、図7に示すように該鍵穴62を前側から見て反時計方向ロに回動させる。これにより、錠軸64後端のカム部材65が同じく反時計方向へ回動し、前面枠の施錠装置22における可動部材66が上動する。同時に、遊技盤取付枠の施錠装置21における作動杆26が引っ張りコイルバネ53の付勢に抗して上動する。更に、作動杆26の上下部に設けられた外当板40a,40bが、それぞれ上・下部前面枠施錠杆24a,24bを引っ張りコイルバネ53の付勢に抗して上動させる。そして、上・下部前面枠施錠杆24a,24bの前向係止片28,28,33が上昇して鉛直固定プレート58の係止孔60との係合が外れ、前面枠17を開放することができるようになる。
逆に、開放された前面枠17を閉じる場合は、前面枠17を遊技盤取付枠2側へ押し付ける。これにより、前記前向係止片28,28,33がそれぞれ各係止孔60に上側から自動的に係合し、前面枠17が遊技盤取付枠2に施錠され閉じることになる。また、ホールコンピュータから出力して可逆回転モータ86を作動(この場合は、モータが逆転する。)する。これにより、シリンダー錠61の錠本体61aが後端位置に摺動する。なお、図示は省略するが、ホールコンピュータからの出力を受けるまでもなく、例えば可逆回転モータ86の駆動軸99にクラッチを設け、ホールの係員が該クラッチを外して錠本体61aを自由にし、指で該錠本体61aを後端位置に押し込むことができるようにしても良い。押し込んだ後は再び前記クラッチが噛み合うことになる。
このように本発明は、シリンダー錠61の錠本体61aが鍵箱83の後端位置にあるときカム部材65と可動部材66との係合が前後方向で外れており、シリンダー錠61の錠本体61aが前端位置にあるときは、カム部材65と可動部材66とが係合するようになっている。よって、前面枠17を閉めた状態で錠本体61aを後端位置に後退させて停止しておけば、たとえシリンダー錠61の鍵穴62に正規の鍵82を模した合鍵を差し込んで前面枠17を開けようとしても、錠軸64のカム部材65は空転するのみで前面枠17を開錠させて開放することは不可能となる。これにより、正規の鍵82を模した合鍵による不正行為が未然に防止される。
図10、図11はシリンダー錠の他の実施の形態を示すもので、図10(イ)(ロ)は閉塞板を用いた前端位置にあるシリンダー錠部位の前側・後側から見た斜視図、図11(イ)(ロ)は同後端位置にあるシリンダー錠部位の前側・後側から見た斜視図である。これらは、本実施の形態と構成が似ているので、同一部位は同一番号を附すことにより詳しい説明は省略する。この実施の形態にあっては、シリンダー錠61の錠本体61aの前面であってその上部の一側隅角部に、支軸90により軸着され鍵穴62を覆うための閉塞板91が配置される。該閉塞板91は正面略扇形状をなし、図10(イ)(ロ)に示すようにシリンダー錠61が前方へ摺動してその前面が錠箱83の前端面と合致した前端位置で停止したときは、閉塞板91が支軸90を中心としてシリンダー錠61の前面に沿って自在に回動するようになっており、指先で閉塞板91を回動させることによって鍵穴62を開けることができる。また、図11(イ)(ロ)に示すようにシリンダー錠61が後方へ摺動してその前面が錠箱83内に入った後端位置で停止したときは、閉塞板91の両側端面が錠箱83の天壁92a内面と一側壁92b内面とによりその回動動作が規制され、これにより鍵穴62が塞がれるようになる。このように、錠箱83の後端位置にあるシリンダー錠61の鍵穴62を閉塞板91で開放不能に塞ぐようにすれば、鍵穴62にすら合鍵を差し入れることができなくなるので、該合鍵による不正行為の防止効果が更に向上する。
図12、図13もシリンダー錠の他の実施の形態を示すもので、図12(イ)(ロ)は他の閉塞板を用いた後端位置にあるシリンダー錠部位の前側・後側から見た斜視図、(ハ)は図12(イ)における側面断面図、図13(イ)(ロ)は同前端位置にあるシリンダー錠部位の前側・後側から見た斜視図である。これらも、本実施の形態と構成が似ているので、同一部位は同一番号を附すことにより詳しい説明は省略する。この実施の形態にあっては、鍵箱83における前端に、起立したとき錠箱83の前面を覆う閉塞板102が設けられる。該閉塞板102は下端部の両側に支軸101,101が水平に突設され、両側壁92b,92cに回動自在に支持される支軸101,101を中心として前後方向へ自在に回動し得るようになっている。該閉塞板102を閉めたときの自由端面であるその上端面には、その長手方向に沿って断面V型の係合溝103が凹設される。これに対し、錠箱83における閉塞板102の自由端側である天壁92aには、前後方向に沿ってかつ前端が天壁92aの前端に達する平行な二本のスリット(図示せず。)が開設され、両スリットで挟まれる部分に後端部を中心として前端が上下に撓む弾性係止片105が設けられる。該弾性係止片105には、その下面の自由な前端部に前記閉塞板102の上端面に設けられた係合溝103に嵌る断面山形の係合凸部106が設けられる。また、該係合凸部106よりも後端部寄りであって所定位置に、該係合凸部106よりも高さの低い断面山形の作動凸部107が設けられる。作動凸部107における弾性係止片105の前端からの距離やその高さ寸法は、シリンダー錠61が前方へ摺動するのに伴いその上面が作動凸部107を上方へ押したとき、閉塞板102の係合溝103から弾性係止片105の係合凸部106が抜け出て係合が外れる範囲で設定される。
そこで、図12(イ)(ロ)に示すようにシリンダー錠61の錠本体61aが鍵箱83の後端位置に停止しているとき、カム部材65と可動部材66との係合は前後方向で外れており、しかも、係合溝103に弾性係止片の係合凸部106が嵌入し、かつ閉塞板102が回動不能であって錠箱83の前端面を覆っている。よって、たとえシリンダー錠61の鍵穴62に正規の鍵82を模した合鍵を差し込んで前面枠17を開けようとしても、錠箱83の前面が閉塞板102により塞がれるので、鍵穴62にすら前記合鍵を差し入れることができず、該合鍵による不正行為の防止効果が更に向上する。
また、例えば正規に前面枠17を開放する場合、可逆回転モータ86が駆動してシリンダー錠61が前端位置に摺動するとき、図12(ハ)に示すように該シリンダー錠61の上面が作動凸部107を上方へ押し弾性係止片105を後端部を中心としてその弾性に抗して上方へ撓ませ、係合溝103から係合凸部106が抜ける。よって、シリンダー錠61が前端位置に停止したときには、すでに閉塞板102が自由に回動できる状態になっており、該閉塞板102を回動させ鍵穴62を開いて該鍵穴62に鍵82が差し込めることになる。
図14乃至図16もシリンダー錠の他の実施の形態を示すもので、図14(イ)(ロ)は他の閉塞板を用いた後端位置にあるシリンダー錠部位の前側・後側から見た斜視図、図15は図14(イ)の一部拡大平面斜視図、図16(イ)(ロ)は同前端位置にあるシリンダー錠部位の前側・後側から見た斜視図である。これらも、本実施の形態と構成が似ているので、同一部位は同一番号を附すことにより詳しい説明は省略する。この実施の形態にあっては、閉塞板108がシリンダー錠61の前端位置への摺動と共に自動的にスライドして鍵穴62が開くようにしたものである。すなわち、シリンダー錠61の錠本体61a上面に前後方向に沿ってラック歯部109が形成される。これに対し、錠箱83の天壁92aに透孔110が開設されると共に該透孔110内に前後方向と直交する後部支軸111が回転自在に横架され、該後部支軸111の一側に前記ラック歯部109と噛合するピニオン歯車112が固着される。また、該後部支軸111の他側に第一従動プーリ113が固着される。一方、天壁92aの上面前端にその前端に沿って複数の軸受部114が突設され、該各軸受部114に支持されて後部支軸111と平行な前部支軸115が回転自在に設けられる。そして、該前部支軸115の一側に第二従動歯車116が固着され、他側に第二従動プーリ117が固着されている。前記第一従動プーリ113と第二従動プーリ117との間には無端状ベルト118が巻回され、第一従動プーリ113から第二従動プーリ117へ動力が伝達されるようになっている。シリンダー錠61の錠本体61aの前端には、その両側に上下方向に延びかつ解放面が互いに内側を向く摺動溝119が設けられ、該摺動溝119,119にシリンダー錠61前面の鍵穴62を覆う閉塞板108が入り込んでいる。これにより、閉塞板108は摺動溝119に沿って上下動する。閉塞板108の後面に、前記第二従動歯車116と対応位置しかつ上下方向に沿って第二従動歯車116が噛合するラック歯部120が形成されている。
そこで、図14(イ)(ロ)に示すようにシリンダー錠61が鍵箱83の後端位置に停止しているとき、カム部材65と可動部材66との係合が前後方向で外れており、しかも、閉塞板108は下動してシリンダー錠61の鍵穴62を覆っている。よって、この状態では、たとえシリンダー錠61の鍵穴62に正規の鍵82を模した合鍵を差し込んで前面枠17を開けようとしても、鍵穴62にすら前記合鍵を差し入れることができなくなるので、該合鍵による不正行為の防止効果が更に向上する。
また、正規に前面枠17を開放する場合には、図16(イ)(ロ)に示すように可逆回転モータ86が駆動してシリンダー錠61が前端位置に摺動するとき、その摺動動作と共にラック歯部109が移動し、これに伴いピニオン歯車112、第一従動プーリ113、第二従動プーリ117、第二駆動歯車116が回転して動力が伝達され、最終的に閉塞板108が自動的に上動して鍵穴62を開ける。これにより、該鍵穴62に鍵82が差し込めることになる。
本発明にあっては、シリンダー錠61を前面枠17側に設けた説明をしたが、他にシリンダー錠61を遊技盤取付枠2側に設けても本発明は十分に達成できることは勿論である。