JP2010226905A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トランスでの偏磁の発生を防止する。
【解決手段】交流電源ACの交流を整流器RF1で直流に変換し、この直流をインバータINVで交流に変換し、トランスTFで変圧し、トランスTFの出力を整流器RF2で直流に整流してから、バッテリーBに充電をする。トランスTFの一次側に交流リアクトルACLを並列に接続し、ACLに流れる電流値・正負極性を電流検出器CSで検出して検出信号dを出力し、検出信号dを積分した積分信号s(sd)を求める。積分信号s(sd)が発生すると直流分電圧が発生したことを検出でき、インバータパルス発生器3は、直流分電圧を減少させるように、インバータINVの各スイッチング素子に供給する導通パルス信号の幅を調整する。
【選択図】図1

Description

本発明は電力変換装置に関するものであり、例えば、インバータとトランスを含む充電器として適用するものであり、トランスにおける偏磁の発生を防止することができるように工夫したものである。
バッテリーフォークリフトには、バッテリーが搭載されており、このバッテリーを充電するために充電器が使用される。
バッテリーフォークリフトに搭載したバッテリーを充電するために、従来使用されてきた充電器では、バッテリーと交流電源とをトランスにより絶縁し、交流電源の電圧をトランスにより所定の電圧に降圧し、降圧した交流を整流器により整流し、整流した直流をバッテリーに供給して充電をするという、簡単な構成の物が多かった。
また、最近では、バッテリーフォークリフトに搭載したバッテリーを充電するための充電器として、交流電源の交流電圧を整流器で直流に変換し、更に単相インバータで高周波の交流電圧に変換してトランスで絶縁し、トランスから出力される交流を別の整流器で再び直流に変換する方式が採用されている。
この方式では、単相インバータで高周波の交流電圧を作っているため、絶縁を目的として使用するトランスを小さくすることができると共に、インバータのパルスの幅を変えることで任意の電圧を作ることができる、という利点がある。
実開平4−72888
ところで、交流電源側の整流器と、インバータと、トランスと、負荷(バッテリー)側の整流器を組み合わせたタイプの充電器では、トランスの偏磁が問題になる。
ここで、図4を参照して、上記のような、交流電源側の整流器と、インバータと、トランスと、負荷(バッテリー)側の整流器を組み合わせたタイプの充電器の回路構成と、その問題点である偏磁について説明する。
図4において、ACは三相の交流電源、RF1は交流を直流に変換するためのダイオードブリッジ(整流器)、C1はダイオードブリッジRF1により全波整流された直流電圧を平滑するためのコンデンサである。
INVは、4個の半導体素子(例えばFET、IGBT等)を単相ブリッジ接続、即ち、H状に接続して所謂「Hブリッジ」として構成した単相のインバータである。
TFはインバータINVの出力側に接続したトランス、RF2はトランスTFの出力を直流に変換する整流器、DCLは電流を平滑するリアクトル、C2は電圧を平滑するコンデンサであり、Bは負荷となるバッテリーである。
単相のインバータINVは、u相アーム、x相アーム、v相アーム、y相アームを有しており、u相アームとx相アームが直列接続され、v相アームとy相アームが直列接続されて、Hブリッジが構成されている。
u相アームにはダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子Tuが配置され、x相アームにはダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子Txが配置され、v相アームにはダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子Tvが配置され、y相アームにはダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子Tyが配置されている。各スイッチング素子Tu,Tx,Tv,Tyは、FETやIGBTなどのスイッチング素子である。
このインバータINVでは、スイッチング素子Tv、Txがオフ状態のときにスイッチング素子Tu,Tyがオン状態になる第1のモードと、スイッチング素子Tu、Tyがオフ状態のときにスイッチング素子Tv,Txがオン状態になる第2のモードとを、交互に発生させることにより、トランスTFの一次側の端子に対して、図5に示すような、方形波の交流の電圧を印加する。
ここで問題となるのがトランスTFの偏磁である。
トランスの鉄心の磁束は良く知られているように、式(1)で表される。
Figure 2010226905
ここで、式(1)において、Φは磁束、Bは磁束密度、Sは鉄心の断面積、Vは電圧、Eは電圧、nは巻き数、fは周波数、Tは周期(=1/f)である。
式(1)から、磁束は電圧Eと時間Tの積、所謂ET積に比例する。ET積が大きくなれば磁束は大きくなるが鉄心には固有の飽和磁束密度Bsがあり、磁束は図6のB−H曲線で示すように飽和磁束密度以上に増えることはできない。
したがって、同じ電圧であっても、周波数が低くなればET積が大きくなり鉄心は飽和する。また、電圧と周波数が一定であっても、交番電圧の一周期間での正側と負側の電圧が異なっていても、時間と共に鉄心は飽和する。
例えば図6を用いて説明すると、正負の電圧が同じであれば磁束はB−H曲線の0点を中心に正負に同じ割合で変化しているが、正側の電圧がV+ΔVで、負側の電圧がV−ΔVであるときには、磁束の中心(B−Hカーブの中心)はΔVTだけ正方向に移動する。
次の周期では、磁束の中心は、更にΔVTだけ正方向に移動する。このようしてΔVが積分され、やがては飽和してしまう。
このように磁束の中心が一方に移動することを偏磁と呼ぶ。
なお、トランスに流れる1次電流は、励磁電流と負荷電流とのベクトル和に相当する電流であるが、偏磁に関係するのは、励磁電流だけである。
この偏磁が発生する状態を、図4の回路について説明する。
トランスTRに印加する電圧の正負の値が同じであれば偏磁は生じないが、実際の回路ではFETやIGBTなどのスイッチング素子Tu,Tx,Tv、Tyのオン・オフのスイッチング時間のバラツキや、スイッチング素子Tu,Tx,Tv、Tyに電流が流れた時の順電圧降下、VFのバラツキなどでトランスTRに印加される電圧に正と負で僅かに差が生じる。
ET積が飽和磁束に達するとトランスとしての働きができなくなり、一次側に過電流が流れる。一般の交流(商用電源)は正負の電圧が同じなので電圧のアンバランスによる偏磁はないが、インバータの場合は上述のようなアンバランスが発生する。このアンバランスは正または負のどちらかに発生するため、所謂直流分電圧となる。直流のET積は時間Tが無限大であるため、ほんの僅かのアンバランスでも時間の経過ととともに積分されそのうち飽和磁束密度に達する。
上記の偏磁の問題を解決する方法として、トランスの一次側にコンデンサを直列接続し、ET積をバランスさせる方法がある。
しかしこの方法では、コンデンサの定数により、偏磁抑制効果が異なるため、完全な対策とはならない。また、コンデンサには負荷に相当する電流が流れるため、コンデンサを大きくしないとコンデンサの電圧が高くなりその分トランスの電圧が小さくなるという欠点がある。更に、負荷電流の大きさによってもトランスの電圧が変わる欠点がある。
偏磁の問題を解決する他の方法として、トランスと並列に本来のトランスよりも先に飽和する検出トランスを設け、検出トランスの飽和電流を検出してから補正する方法がある(特許文献1参照)。
しかしこの方法では、検出トランスが必要であるため、二次側にダミー抵抗などの負荷を繋ぐため損失が大きくなる。また、本来のトランスより早く飽和することが必要であるが、かといって早く飽和したのでは不必要な補正をすることになることから、検出トランスの飽和の管理を細かくすることが必要になり、製作条件が制約されるという問題がある。
本発明は、上記従来技術に鑑み、構造が簡単でありながら、確実に偏磁の発生を防止することができる電力変換装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の構成は、
交流を直流に整流する第1の整流器と、
スイッチング素子を備えたu相,x相,v相,y相の各アームをHブリッジとして構成しており、第1の整流器で整流した直流を交流に変換する単相のインバータと、
前記インバータの出力側に接続したトランスと、
前記トランスの出力を直流に変換する第2の整流器と、
インバータパルス発生器とを有し、
前記インバータパルス発生器から前記インバータに供給する導通パルス信号を制御することにより、u相アームのスイッチング素子及びy相アームのスイッチング素子が導通状態となりv相アームのスイッチング素子及びx相アームのスイッチング素子が遮断状態となる第1のモードと、v相アームのスイッチング素子及びx相アームのスイッチング素子が導通状態となりu相アームのスイッチング素子及びy相アームのスイッチング素子が遮断状態となる第2のモードとを交互に発生させる電力変換装置において、
前記トランスの一次側に並列に接続された交流リアクトルと、
前記交流リアクトルに流れる電流の値とこの電流の流れ方向を示す正負極性を検出して、検出信号を出力する電流検出器と、
前記電流検出器から出力される検出信号を積分して積分信号を求める積分手段とを備えると共に、
前記インバータパルス発生器は、前記積分信号が発生したときにその積分信号の正負極性から、第1のモードまたは第2のモードのどちらのモードにおいて直流分電流が流れているかを判定すると共に、その積分信号の値を小さくするため、直流分電流が流れているモードにおいて導通状態となるスイッチング素子の導通期間を、もう一方のモードにおいて導通状態となるスイッチング素子の導通期間よりも短くするように、前記インバータに供給する導通パルスの幅を制御することを特徴とする。
また本発明の構成は、前記交流リアクトルは、コアにコイルを巻いて構成され、2mHから6mHのインダクタンスを有していることを特徴とする。
本発明によれば、簡単な構造でありながら、確実に偏磁の発生を防止することができる。特に、交流リアクトルは、トランスの一次側に並列に接続されているため、交流リアクトルにはトランスの励磁電流に相当する電流が流れ、トランスの負荷電流に相当する電流は流れないので、小型の交流リアクトルを採用することができ、装置の小型化に寄与する。
直流分を検出するためにトランスを用いた場合には二次側の巻線が必要になるが、本発明では、交流リアクトルを採用したため、二次側の巻線は不要であり、またダミー抵抗も必要はない。このため本発明では、損失が少なくなる。
特許文献1に示す発明では、トランスよりも早く飽和する検出トランスを設け、この検出トランスが飽和しかかったことを検出してスイッチング素子の導通幅の補正をしている。
一方、本発明では積分器を用いて直流分を常時検出して補正をしているため、検出リアクトルが飽和しなくても、磁束の中心が零からずれて直流分が発生したことを検出することができ、早期に偏磁の発生を防止することができる。また、検出リアクトルをトランスよりも早く飽和させる必要はないし、全く飽和しなくてもよい。
本発明の実施例1に係る電力変換装置の回路構成を示す回路図。 偏磁のために出力電圧が移動していく状態を示す特性図。 本発明の実施例2に係る電力変換装置の回路構成の要部を示す回路図。 従来の電力変換装置の回路構成を示す回路図。 トランスの一次側の電圧波形を示す特性図。 トランスにおけるB−Hカーブを示す特性図。
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の実施例にかかる、電力変換装置を示す回路構成図である。この電力変換装置は、例えば、バッテリーフォークリフトに搭載したバッテリーに対して、充電をする充電装置として使用されるものである。
図1において、ACは三相の交流電源、RF1は交流を直流に変換するためのダイオードブリッジ(整流器)、C1はダイオードブリッジRF1により全波整流された直流電圧を平滑するためのコンデンサである。
INVは、4個の半導体素子(例えばFET、IGBT等)を単相ブリッジ接続、即ち、H状に接続して所謂「Hブリッジ」として構成した単相のインバータである。
TFはインバータINVの出力側に接続したトランス、RF2はトランスTFの出力を直流に変換する整流器、DCLは電流を平滑するリアクトル、C2は電圧を平滑するコンデンサであり、Bは負荷となるバッテリーである。
単相のインバータINVは、u相アーム、x相アーム、v相アーム、y相アームを有しており、u相アームとx相アームが直列接続され、v相アームとy相アームが直列接続されて、Hブリッジが構成されている。
u相アームにはダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子Tuが配置され、x相アームにはダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子Txが配置され、v相アームにはダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子Tvが配置され、y相アームにはダイオードが逆並列接続されたスイッチング素子Tyが配置されている。各スイッチング素子Tu,Tx,Tv,Tyは、FETやIGBTなどのスイッチング素子である。
このインバータINVでは、スイッチング素子Tv、Txがオフ状態のときにスイッチング素子Tu,Tyがオン状態になる第1のモードと、スイッチング素子Tu、Tyがオフ状態のときにスイッチング素子Tv,Txがオン状態になる第2のモードとを、交互に発生させることにより、トランスTFの一次側の端子に対して、図5に示すような、方形波の交流の電圧を印加する。
ここまでの構成は、図4に示す従来技術と同一である。
更に本実施例では、交流リアクトルACLがトランスTFと並列に接続されている。つまり、単相のインバータINVから見て、交流リアクトルACLとトランスTFの一次側とが並列接続されている。
交流リアクトルACLは、トランスTFの一次側と並列に接続されているため、交流リアクトルACLには、トランスの負荷電流に相当する電流は流れず、トランスの励磁電流に対応する電流が流れる。
電流検出器CSは、直流から交流までの電流を検出できる検出器であり、交流リアクトルACLに流れる電流を検出し、検出した電流の値と電流の流れ方向(正負極性)を示す検出信号(電圧信号)dを出力する。
積分回路1は、検出信号dを積分し、積分した演算値を積分信号sとして出力する。この積分信号sは、検出信号dを積分したものであるため、交流リアクトルACLに流れる電流のうち直流分を表すことになる。
アナログ信号である積分信号sは、A/D変換器2によりデジタル信号である積分信号sdに変換され、インバータパルス発生器3に入力される。
インバータパルス発生器3は、インバータINVの各スイッチング素子Tu,Tx,Tv,Tyをオン・オフ制御するための導通パルス信号を発生するものである。
導通パルス信号(スイッチング素子オン信号)をスイッチング素子Tu,Tx,Tv,Tyに供給するとスイッチング素子Tu,Tx,Tv,Tyが導通状態となり、導通パルス信号のパルス幅を変更すると、スイッチング素子Tu,Tx,Tv,Tyの導通期間が変更され、スイッチング素子Tu,Tx,Tv,Tyへの導通パルス信号の供給を停止するとスイッチング素子Tu,Tx,Tv,Tyが遮断状態となる。
そして、インバータパルス発生器3は、トランスTFでの偏磁の発生を防止するように、積分信号sdの状況に応じて、スイッチング素子Tu,Tx,Tv,Tyのオン・オフ状態を制御する。この制御手法については、後述する。
交流リアクトルACLは、トランスと同じように、コア(鉄心やフェライト)にコイルを巻き、2mHから6mHのインダクタンスを構成する。交流リアクトルACLは、コアにコイルを巻いて構成しているので、トランスと同じように飽和磁束以上では飽和する。交流リアクトルACLは、飽和するとトランスと同様に、インダクタンスが急に減少して過大な電流が流れる。
なお特許文献1の技術では、トランスよりも早く飽和する検出トランスが必要であるが、ここで使用する交流リアクトルACLは、トランスTFより少し早く飽和してもよいし、飽和しなくてもよい。
ここで動作を説明する。
まず、電流の流れ方向及び電圧の向きを規定するために、変圧器TFの一次側の端子のうち、u相アーム及びx相アームに接続されている端子をt1、v相アーム及びy相アームに接続されている端子をt2とする。
インバータパルス発生器3からスイッチング素子Tu,Tyに導通パルス信号を供給し、
スイッチング素子Tv、Txに導通パルス信号を供給しないときには、スイッチング素子Tu,Tyがオン状態になると共に、スイッチング素子Tv、Txがオフ状態となり、端子t1から変圧器TFに電流が流入し、端子t2から電流が流出する。
このモードを「第1のモード」とする。
インバータパルス発生器3からスイッチング素子Tv、Txに導通パルス信号を供給し、
スイッチング素子Tu,Tyに導通パルス信号を供給しないときには、スイッチング素子Tv、Txがオン状態になると共に、スイッチング素子Tu,Tyがオフ状態となり、端子t2から変圧器TFに電流が流入し、端子t1から電流が流出する。
このモードを「第2のモード」とする。
上記の第1のモードと第2のモードが、交互に繰り返されるように、インバータパルス発生器3から各スイッチング素子Tu,Tx,Tv,Tyへの導通パルス信号の供給が制御されている。
第1のモードの時に、インバータINVから出力される電圧に直流分電圧が含まれていたとすると、即ち第1のモードの時の電圧が第2のモードの時の電圧よりも大きくなっている結果この第1のモードに直流分電圧が含まれていたとすると、端子t1側が高圧で端子t2側が低圧となる直流分電圧ΔV(図1参照)が発生し、端子t1側から端子t2側に向かって流れる直流分電流が、交流リアクトルACL及びトランスTFに流れる。このとき端子t1側から端子t2側に向かって流れる直流分電流のうち、交流リアクトルACLに流れる直流分電流をΔI(図1参照)とする。
なお、端子t1側が高圧で端子t2側が低圧となる直流分電圧ΔV(図1参照)は、第1のモードの時の電圧から、第2のモードの時の電圧を減算した電圧に相当する。換言すると、第1のモードの時に直流分電圧ΔVが発生するということは、第1のモードの時の電圧が第2のモードの時の電圧よりも大きいことを意味する。
第1のモードと第2のモードは交互に繰り返されるが、上記の直流分電流ΔIは時間の経過と共に(第1のモードと第2のモードが繰り返される動作が進行していくと共に)積分されていき、図2に示すように、インバータINVから出力される交流の中心が、正方向に移動していく。このまま放置しておくと、トランスTFが飽和してしまう。
電流検出器CSは、交流リアクトルACLに流れる電流の電流値に比例し、且つ、電流の流れ方向(正負極性)と同じ極性(正負極性)の検出信号dを出力し、積分回路1は検出信号dを積分して積分信号sを出力する。積分回路1はローパスフィルタの機能を果たすので、積分信号sは、直流分電流ΔIを積分したものに相当する。
積分回路1の特性にもよるが、第1のモードの状態で図1に示すような方向に流れる直流分電流ΔIが流れると、検出信号dが正極性となるので、積分信号sは負極性の値となる。
また、第2のモードの状態において、図1に示すのと逆方向の電圧極性となっている直流分電圧ΔVが発生して、図1に示すのと逆方向に流れる直流分電流ΔIが流れると、検出信号dが負極性となるので、積分信号sは正極性の値となる。
極性が負または正となった積分信号sは、A/D変換器2によりデジタル信号の積分信号sdに変換されて、インバータパルス発生器3に入力される。
インバータパルス発生器3は、積分信号sdの正負極性を基に、直流分電流ΔIの流れ方向を判定する。
この例では、積分信号sdの正負極性が負である場合には、第1のモードにおいて直流分電流ΔIが端子t1側から端子t2側に向かって流れていると判定し、積分信号sdの正負極性が正である場合には、第2のモードにおいて直流分電流ΔIが端子t2側から端子t1側に向かって流れていると判定する。
そして、インバータパルス発生器3は、第1のモードにおいて直流分電流ΔIが端子t1側から端子t2側に向かって流れていると判定したときには、スイッチング素子Tv,Txの導通期間に対して、スイッチング素子Tu,Tyの導通期間を短くするように、導通パルス信号の幅を制御する。
具体的には、
(1)スイッチング素子Tv,Txの導通期間を予め決めた長さの基準導通期間にしておき、スイッチング素子Tu,Tyの導通期間を前記基準導通期間よりも短くしたり、または、
(2)スイッチング素子Tu,Tyの導通期間を予め決めた長さの基準導通期間にしておき、スイッチング素子Tv,Txの導通期間を前記基準導通期間よりも長くしたりする。
一方、図1に示すのとは逆方向特性の直流分電圧ΔV、直流分電流ΔIが発生した場合には、インバータパルス発生器3は、第2のモードにおいて直流分電流ΔIが端子t2側から端子t1側に向かって流れていると判定し、スイッチング素子Tu,Tyの導通期間に対して、スイッチング素子Tv,Txの導通期間を短くするように、導通パルス信号の幅を制御する。
具体的には、
(3)スイッチング素子Tu,Tyの導通期間を予め決めた長さの基準導通期間にしておき、スイッチング素子Tv,Txの導通期間を前記基準導通期間よりも短くしたり、または、
(4)スイッチング素子Tv,Txの導通期間を予め決めた長さの基準導通期間にしておき、スイッチング素子Tu,Tyの導通期間を前記基準導通期間よりも長くしたりする。
このようにスイッチング素子Tu,Tx,Tv,Tyの導通期間を制御することにより、直流分電圧ΔV及び直流分電流ΔIの発生を抑制する動作をすることにより、トランスTRの偏磁の発生を防止することができる。
ここで、上記実施例1における実際の回路の要部を、図3を参照して、実施例2として説明する。
積分器A1の時定数Taは、Ta=R1×C1として設定している。この時定数Taは、直流分成分を取り出すため、インバータINVのインバータ周期の50〜100倍となるように設定している。
抵抗R2,R3、スイッチSW1,SW2、出力端子AOは、電流検出器CSのオフセット調整用の部材であり、ゲイン(R3/R1)が100倍程度になるように抵抗値を選んでいる。
ツェナーダイオードZ1,Z2は、積分器A1の出力が±5V以上にならないようにするためのリミッタとして機能する。
加算器A2は、インバータパルス発生器3として機能するCPUの入力端子AIの規定値が5Vであるため、積分器A1の出力が+5V〜−5Vのときに0〜5Vに変換するものである。
このため、抵抗R4と抵抗R5は、抵抗R6の2倍の抵抗値であり、加算器A2のゲインを1/2としている。
次に動作について説明する。
インバータINVの運転前にCPUからの指令で、スイッチSW1を開、スイッチWS2を閉にする。積分器A1の出力は、電流検出器CSの零点のズレの電圧を100倍に増幅したものとなる。例えば、電流検出器CSの零点のズレが0.02Vのときには、積分器A1の出力は3.5Vになる。
加算器A2に零点のズレが無いと仮定すると、加算器A2の出力は、積分器A1の出力が0のときに2.5Vになるので、電流検出器CSの零点がズレていることがわかる。
そこでCPUの出力端子AOからオフセット電圧を、抵抗R2を介して積分器A1に与え、積分器A1の出力が2.5Vになるように調整する。
以上で電流検出器CSのオフセットが完了する。
次に加算器A2のオフセットを行う。
スイッチSW1を閉じると積分器A1の出力は零になる。このとき積分器A1の入力は2.5Vのはずであるが、加算器A2の零点がズレていると、例えば0.1Vズレていると、積分器A1の入力は2.6Vになる。このときCPUは、加算器A2が0.1Vズレていると判断し、2.6Vのとき積分器A1の出力が零と判断しオフセットが完了する。
次にインバータINVが運転したと同時、つまりスイッチング素子Tu,Tx,Tv,Tyのオンオフが開始したと同時に、スイッチSW1,SW2を開にして積分を開始する。
電流検出器CSにより、図中で矢印で示す方向の直流分が含まれていると検出したときには、積分器A1の出力は負方向に振れていく。
このまま放置しスイッチング素子Tu,Tx,Tv,Tyの導通幅を補正しないと−5Vまで振れていくが、実際は、積分器A1の出力が少しでも負に移動した時点でCPUが、矢印方向の直流分が含まれている事を判断し、スイッチング素子Tu,Tyの導通幅を狭くする。
これにより、電流検出器CSが検出した矢印方向の直流分電流は減少し、偏磁を防ぐことができる。
インバータINVのスイッチング素子の導通幅の最大補正幅は次のように求める。
補正幅が大き過ぎると過補償になりかえって偏磁を発生させる原因になるので、適正にすることが必要である。
インバータINVの出力の正負の電圧がズレる原因としては
(a)CPUからスイッチング素子までの信号時間のバラツキ、
(b)スイッチング素子のオンオフ時間のバラツキ、
(c)スイッチング素子のオン電圧のバラツキ、
がある。
使用部品により異なるが、一般的には上記(a)は0.1μs、上記(b)は0.2μs、上記(c)は0.5V程度である。
例えばインバータINVの周波数が20kHz(周期50μs)でインバータINVの直流電圧が300Vとすると、上記(c)の0.5Vは0.5V×50μs/300V=0.08μsの時間のバラツキに相当する。
したがって、合計のバラツキは(a)+(b)+(c)=0.38μsとなる。
このようにして、パルス幅(導通幅)の最大補正量は±0.38μsとしている。
なお上記実施例1,2においては、積分手段をアナログ回路で構成しているが、電流検出器CSが出力する検出信号dをA/D変換してマイクロコンピュータに取り込み、ソフトウエアにより積分するようにしてもよい。
本発明の電力変換装置は、バッテリーフォークリフトに搭載しているバッテリーに対して充電をする充電器の他に、他の用途の充電器や、更に、交流電力を直流電力に変換して出力するためインバータと変圧器を有している各種の電力変換装置として利用することにより、トランスの偏磁の発生を防止することができる。
1 積分回路
2 A/D変換器
3 インバータパルス発生器
AC 交流電源
RF1 整流器
C1 コンデンサ
INV インバータ
TF トランス
RF2 整流器
DCL リアクトル
C2 コンデンサ
B バッテリー
ACL 交流リアクトル
CS 電流検出器
d 検出信号
s、sd 積分信号
ΔV 直流分電圧
ΔI 直流分電流

Claims (2)

  1. 交流を直流に整流する第1の整流器と、
    スイッチング素子を備えたu相,x相,v相,y相の各アームをHブリッジとして構成しており、第1の整流器で整流した直流を交流に変換する単相のインバータと、
    前記インバータの出力側に接続したトランスと、
    前記トランスの出力を直流に変換する第2の整流器と、
    インバータパルス発生器とを有し、
    前記インバータパルス発生器から前記インバータに供給する導通パルス信号を制御することにより、u相アームのスイッチング素子及びy相アームのスイッチング素子が導通状態となりv相アームのスイッチング素子及びx相アームのスイッチング素子が遮断状態となる第1のモードと、v相アームのスイッチング素子及びx相アームのスイッチング素子が導通状態となりu相アームのスイッチング素子及びy相アームのスイッチング素子が遮断状態となる第2のモードとを交互に発生させる電力変換装置において、
    前記トランスの一次側に並列に接続された交流リアクトルと、
    前記交流リアクトルに流れる電流の値とこの電流の流れ方向を示す正負極性を検出して、検出信号を出力する電流検出器と、
    前記電流検出器から出力される検出信号を積分して積分信号を求める積分手段とを備えると共に、
    前記インバータパルス発生器は、前記積分信号が発生したときにその積分信号の正負極性から、第1のモードまたは第2のモードのどちらのモードにおいて直流分電流が流れているかを判定すると共に、その積分信号の値を小さくするため、直流分電流が流れているモードにおいて導通状態となるスイッチング素子の導通期間を、もう一方のモードにおいて導通状態となるスイッチング素子の導通期間よりも短くするように、前記インバータに供給する導通パルスの幅を制御することを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記交流リアクトルは、コアにコイルを巻いて構成され、2mHから6mHのインダクタンスを有していることを特徴とする電力変換装置。
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