構造1及び構造2では、ブッシュがドライブプレートの外周部に配置されるため、ブッシュの摺動部の速度が大きく、ブッシュの摩耗が厳しくなることが考えられる。また、ブッシュが外周部に配置されていると、ブッシュの径方向の寸法が大きくなり、寸法精度を確保することが困難である。また、ブッシュが外周部に配置されていると、ブッシュ自体の寸法が大きくなり、体積が大きく、材料の使用量が大きくなり、コストが高くなる。また、ブッシュが外周部に配置されていると、ブッシュが変形し易く、回転時の遠心力の影響が大きくなる。また、構造1では、ブッシュをフライホイールに摺動させる構成となっているため、エンジンからフライホイールに伝達された熱により、ブッシュの溶解、劣化等の弊害を受ける。また、構造2では、ダンパーカバーにブッシュを保持(取付、固定)する必要があるため、別の部材が必要になり、部品点数が増大するおそれがある。
構造3及び構造4では、クランクシャフトの先端部の凹部にベアリングを配置しているため、ドライブプレートやドリブンプレートを支持するためにドライブプレート支持部、ドリブンプレート支持部材、リベット等のような追加部材が必要になり、装置のコストが高くなるおそれがある。また、軸受けにベアリングを用いると、装置のコストが高くなるおそれがある。また、従動側入力軸(モータの回転軸)は、通常、ハウジングによりベアリングで2点支持されているところ、構造4では、従動側入力軸が、間接的に、クランクシャフトの先端部の凹部に配置されたベアリングに支持されると、従動側入力軸がベアリングによって3点支持された状態となり、いずれか1点のベアリングにこじれの力が発生し、偏摩耗によって寿命が短縮するおそれがある。また、ハブと従動側入力軸とはスプライン係合しており、係合部分に、通常、グリスが塗布されているところ、構造3では、回転時の遠心力によりハブから飛散したグリスがドライブプレート支持部材によってガイドされてブッシュ(23)の摺動部に流入し、ブッシュのヒステリシス機能が低下し、騒音振動特性が悪化するおそれがある。
本発明の第1の課題は、軸受部の小径化、及びコスト低減を図りつつ、偏芯を低減、抑制できるトルク変動吸収装置を提供することである。
本発明の第2の課題は、ヒステリシス部の特性を安定化しつつ、偏芯を低減、抑制できるトルク変動吸収装置を提供することである。
本発明の第3の課題は、出力側の回転軸を支持するベアリングの寿命の短縮を抑制しつつ、偏芯を低減、抑制できるトルク変動吸収装置を提供することである。
本発明の第1の視点においては、トルク変動吸収装置において、固定部材によって第1回転軸に固定されるフライホイールと、第2回転軸に連結されるとともに、弾性力によって前記第1回転軸と前記第2回転軸との間に生ずる変動トルクを吸収するダンパ部と、前記フライホイールと前記ダンパ部の間の動力伝達経路上に配設されるとともに、前記変動トルクが所定値を超えたときにすべりを生ずるリミッタ部と、を備え、前記第1回転軸と前記リミッタ部との間の動力伝達経路上において前記第1回転軸と一体回転する所定の部材は、回転中心と直交する方向への前記ダンパ部の移動を規制するガイド部を有し、前記ガイド部は、前記固定部材よりも内周側に配されることを特徴とする。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記所定の部材は、前記第1回転軸であることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記所定の部材は、前記フライホイールであることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記所定の部材は、前記リミッタ部の入力側の部品であることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記リミッタ部の入力側の部品は、前記固定部材の頭部よりも大きな径の穴部を有することが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記固定部材の頭部の一部又は全部は、前記穴部に挿嵌されることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記リミッタ部の入力側の部品は、前記固定部材を迂回した凹部を有することが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記第1回転軸に固定されるガイド部材を備え、前記所定の部材は、前記ガイド部材であることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記第1回転軸は、前記ダンパ部に向かって延在した円筒状の延在部を有し、前記ガイド部材は、前記延在部の外周又は内周に装着されることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記フライホイールに固定されるガイド部材を備え、前記所定の部材は、前記ガイド部材であることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ガイド部材は、前記フライホイールとともに、前記第1回転軸と同心となるように、前記固定部材によって前記第1回転軸に固定されていることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ガイド部材は、弾性体よりなることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ガイド部材は、前記ガイド部においてスリット又は孔を有することが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ガイド部材は、前記所定の部材の回転中心と直交する方向への前記ダンパ部の移動に対して抵抗力を発生させながら所定量の変位を許容することが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ダンパ部は、前記リミッタ部に連結されたプレート部材と、前記第2回転軸に連結されたハブ部材と、前記プレート部材と前記ハブ部材との間に生ずる変動トルクを吸収する弾性部材と、を備え、前記ガイド部は、回転中心と直交する方向への前記プレート部材及び前記ハブ部材の一方又は両方の部材の移動を規制することが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ガイド部と、前記プレート部材及び前記ハブ部材の一方又は両方の部材との間に介在されるブッシュを備えることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ブッシュは、弾性体よりなることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ガイド部と前記ブッシュとの間に配設されるとともに、前記ガイド部よりも低弾性な他の弾性体を備えることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、摩擦力により変動トルクを吸収するヒステリシス部を備え、
前記ヒステリシス部は、前記プレート部材と前記ハブ部材との間に介在されるスラスト部材を備え、前記スラスト部材は、前記ブッシュを兼ねることが好ましい。
本発明の第2の視点においては、トルク変動吸収装置において、固定部材によって第1回転軸に固定されるフライホイールと、第2回転軸に連結されるとともに、弾性力によって前記第1回転軸と前記第2回転軸との間に生ずる変動トルクを吸収するダンパ部と、前記フライホイールと前記ダンパ部との間の動力伝達経路上に配設されるとともに、前記変動トルクが所定値を超えたときにすべりを生ずるリミッタ部と、を備え、前記ダンパ部と前記第2回転軸との間の動力伝達経路上における所定の部材は、回転中心と直交する方向への前記第1回転軸又は前記フライホイールの移動を規制するガイド部を有し、前記ガイド部は、前記固定部材よりも内周側に配されること。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記所定の部材は、前記ダンパ部の出力側の部品、及び前記第2回転軸以外の部品であるとともに、回転中心と直交する方向への前記ダンパ部の出力側の部品の移動を規制することが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ダンパ部は、前記リミッタ部に連結されたプレート部材と、前記第2回転軸に連結されたハブ部材と、前記プレート部材と前記ハブ部材との間に生ずる変動トルクを吸収する弾性部材と、を備え、前記所定の部材は、前記プレート部材であることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、ヒステリシストルクによって前記第1回転軸と前記第2回転軸との間に生ずる変動トルクを吸収するヒステリシス部を備え、前記ダンパ部は、前記リミッタ部に連結されたプレート部材と、前記第2回転軸に連結されたハブ部材と、前記プレート部材と前記ハブ部材との間に生ずる変動トルクを吸収する弾性部材と、を備え、前記ヒステリシス部は、前記プレート部材と前記ハブ部材との間に介在し、かつ、少なくとも前記ハブ部材に対してスライド可能なスラスト部材を備え、前記所定の部材は、前記スラスト部材であることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記第1回転軸は、前記ダンパ部に向かって延在した円筒状の延在部を有し、前記ガイド部は、前記延在部と前記ハブ部材との間に介在していることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ガイド部は、外周面において先端部から前記延在部と対向しなくなる部位まで連続した溝部を有することが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記第1回転軸は、前記ダンパ部に向かって延在した円筒状の延在部を有し、前記第2回転軸は、前記第1回転軸に向かって延在した他の延在部を有し、前記ガイド部は、前記延在部と前記他の延在部との間に介在していることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ダンパ部は、前記リミッタ部に連結されたプレート部材と、前記第2回転軸に連結されたハブ部材と、前記プレート部材と前記ハブ部材との間に生ずる変動トルクを吸収する弾性部材と、を備えるとともに、前記ハブ部材の内周にガイド部材が装着されており、前記所定の部材は、前記ガイド部材であることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記所定の部材は、弾性体よりなることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記所定の部材は、前記ガイド部にて、回転中心と直交する方向への前記第1回転軸又は前記フライホイールの移動に対して抵抗力を発生させながら所定量の変位を許容することが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ガイド部と、前記第1回転軸又は前記フライホイールとの間に介在されるブッシュを備えることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ブッシュは、弾性体よりなることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ガイド部と前記ブッシュとの間に配設されるとともに、前記ガイド部よりも低弾性な他の弾性体を備えることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ガイド部は、円筒状に構成されるとともに、貫通穴部を有することが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記貫通穴部は、内周から外周に行くに従い前記ダンパ部から離れるように傾いていることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ガイド部は、内周面において周方向に形成された溝部を有し、前記貫通穴部は、前記溝部が形成された領域に形成されることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ガイド部は、前記貫通穴部よりも前記ダンパ部側の部位において前記ダンパ部から前記フライホイールに向けて径が広がるテーパ部又は段差部を有することが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記ダンパ部は、前記リミッタ部に連結されたプレート部材と、前記第2回転軸に連結されたハブ部材と、前記プレート部材と前記ハブ部材との間に生ずる変動トルクを吸収する弾性部材と、を備え、前記ハブ部材は、円筒状のハブ部を有し、前記ハブ部は、内周側で前記第2回転軸に対して回転不能に係合し、前記第1回転軸側の開口を塞ぐ蓋部材が装着されていることが好ましい。
本発明の前記トルク変動吸収装置において、前記蓋部材の軸方向の寸法は、前記第1回転軸と前記ハブ部との間の軸方向の隙間よりも大きいことが好ましい。
本発明によれば、ガイド部によってダンパ部における所定の部品の径方向への移動が規制されるので、第1回転軸及び第2回転軸の軸受けへの偏芯荷重を低減、抑制できる。また、軸受部となるガイド部が固定部材よりも内周側に配されるので、軸受部の小径化を図ることができる。また、ガイド部を設けるのに追加部品(リベット等)が不要であり、又は、ガイド部が小径で材料使用量が少なく、ベアリングを用いないので、装置の製造コストを低減させることができる。また、ガイド部にテーパ部、貫通穴部等を設けることで、ハブグリスをヒステリシス部から離れるようにガイドすることができるので、ヒステリシス部の特性を安定化させることができる。ガイド部に弾性体を用いたり、孔又はスリットを設けて所定量の変位を許容することで、出力側の第2回転軸を支持するベアリングの寿命の短縮を抑制させることができる。
本発明の実施形態1に係るトルク変動吸収装置では、固定部材(図1の8)によって第1回転軸(図1の6)に固定されるフライホイール(図1の5)と、第2回転軸(図1の7)に連結されるとともに、弾性力によって前記第1回転軸と前記第2回転軸との間に生ずる変動トルクを吸収するダンパ部(図1の3)と、前記フライホイールと前記ダンパ部の間の動力伝達経路に配設されるとともに、前記変動トルクが所定値を超えたときにすべりを生ずるリミッタ部(図1の2)と、を備え、前記第1回転軸と前記リミッタ部との間の動力伝達経路上において前記第1回転軸と一体回転する所定の部材(図1ではフライホイール5)は、回転中心と直交する方向への前記ダンパ部の移動を規制するガイド部(図1の5a)を有し、前記ガイド部は、前記固定部材よりも内周側に配される。
本発明の実施形態2に係るトルク変動吸収装置では、固定部材(図8の8)によって第1回転軸(図8の6)に固定されるフライホイール(図7の5)と、第2回転軸(図8の7)に連結されるとともに、弾性力によって前記第1回転軸と前記第2回転軸との間に生ずる変動トルクを吸収するダンパ部(図1の3に相当)と、前記フライホイールと前記ダンパ部の間の動力伝達経路に配設されるとともに、前記変動トルクが所定値を超えたときにすべりを生ずるリミッタ部(図1の2に相当)と、を備え、前記ダンパ部から前記第2回転軸の動力伝達経路における所定の部材(図8ではサイドプレート17)は、回転中心と直交する方向への前記第1回転軸又は前記フライホイール(図8ではフライホイール5)の移動を規制するガイド部(図8の17c)を有し、前記ガイド部は、前記固定部材よりも内周側に配される。
本発明の実施例1に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施例1に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した径方向の部分断面図である。図2は、本発明の実施例1に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した図1の軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例1に係るトルク変動吸収装置1は、例えば、エンジン側回転軸6とモータ側回転軸7(変速機側回転軸)との間の動力伝達経路に設けられており、エンジン側回転軸6とモータ側回転軸7の捩れによる変動トルクを吸収(抑制)する装置である。トルク変動吸収装置1は、捩れ緩衝機能を有し、弾性力(バネ力)によって変動トルクを吸収するダンパ部3と、摩擦等によるヒステリシストルクによって変動トルクを吸収(抑制)するヒステリシス部4と、回転軸の捩れがダンパ部3やヒステリシス部4で吸収できなくなったときにすべりを生ずるリミッタ部2と、を有する。ダンパ部3は、動力伝達経路上において、ヒステリシス部4と並列に配設されている。リミッタ部2は、動力伝達経路上において、ダンパ部3及びヒステリシス部4と直列に配設されている。トルク変動吸収装置1は、特に、エンジンとモータとの間で共振振動を起こすハイブリッド車両に適用することができる。
トルク変動吸収装置1は、フライホイール5のガイド部5aによってサイドプレート17及びハブ部材25の偏芯が規制されるよう構成されている。トルク変動吸収装置1は、構成部材として、フライホイール5と、ボルト9と、サポートプレート10と、カバープレート11と、皿ばね12と、プレッシャプレート13と、ライニングプレート14と、摩擦材15、16と、サイドプレート17と、サイドプレート18と、リベット19と、コイルスプリング20と、シート部材21と、スラスト部材22と、スラスト部材23と、皿ばね24と、ハブ部材25と、を有する。
フライホイール5は、エンジン側回転軸6の延在部6aの外周にて軸心調整して配された環状の部材である。フライホイール5は、内周部分にて、エンジン側回転軸6にボルト8によって取付固定されている。フライホイール5は、外周端部近傍のダンパ部3側の面から突出した円筒部に、ボルト9によってサポートプレート10及びカバープレート11が取付固定されている。フライホイール5は、ボルト8よりも内周側の部位(小径部位)からハブ部材25側に延在した円筒状のガイド部5aを有する。ガイド部5aは、先端部近傍の部分にて、サイドプレート17の内周端面と、ハブ部材25のハブ部25aの外周面との間に配されており、サイドプレート17及びハブ部25aに接しており、サイドプレート17及びハブ部材25を回転可能に支持し、サイドプレート17及びハブ部材25の偏芯を規制する。ガイド部5aは、中間部分において、外周に行くに従いサイドプレート17から離れるように傾斜した(径が大きくなった)テーパ部5b(段差部でも可)を有する。テーパ部5bは、ハブ部25aとモータ側回転軸7のスプライン係合部分に塗布されたグリスが遠心力により飛散したときに、当該グリスをヒステリシス部4から離すように作用する。ガイド部5aは、末端部近傍の大径部分において、貫通した1個以上の貫通穴部5cを有する。貫通穴部5cは、テーパ部5bでガイドされた内周側のグリスを外周側に排出するための穴である。貫通穴部5cは、テーパ部5bに形成してもよい。テーパ部5b及び貫通穴部5cによってヒステリシス部4にグリスを寄せ付けないようにすることで、ヒステリシス機能が安定化され、騒音振動特性が安定化される。
サポートプレート10は、フライホイール5とカバープレート11との間に配設された環状の部材であり、リミッタ部2の構成部材である。サポートプレート10は、外周部分にてカバープレート11と合わさってボルト9によってフライホイール5に取付固定されている。サポートプレート10は、内周部分にてカバープレート11と離間している。サポートプレート10は、皿ばね12と圧接している。
カバープレート11は、サポートプレート10のフライホイール5側の反対側(図1の右側)に配設された環状の部材であり、リミッタ部2の構成部材である。カバープレート11は、外周部分にてサポートプレート10と合わさってボルト9によってフライホイール5に取付固定される。カバープレート11は、内周部分にてサポートプレート10と離間している。カバープレート11は、プレッシャプレート13を相対回転不能かつ軸方向移動可能に支持するための穴部11aを有する。穴部11aには、プレッシャプレート13の凸部13aが相対回転不能かつ軸方向移動可能に挿入されている。カバープレート11は、内周部分のすべり面にて摩擦材16とスライド可能に圧接している。
皿ばね12は、サポートプレート10とプレッシャプレート13との間に配された皿状のばねであり、リミッタ部2の構成部材である。皿ばね12は、プレッシャプレート13を摩擦材15側に付勢する。
プレッシャプレート13は、皿ばね12と摩擦材15との間に配された環状の部材であり、リミッタ部2の構成部材である。プレッシャプレート13は、カバープレート11に対して相対回転不能かつ軸方向移動可能に支持されるようにするための凸部13aを有する。凸部13aは、カバープレート11の穴部11aに相対回転不能かつ軸方向移動可能に挿入されている。プレッシャプレート13は、皿ばね12によって摩擦材15側に付勢されており、すべり面にて摩擦材15とスライド可能に圧接している。
ライニングプレート14は、カバープレート11とプレッシャプレート13との間における摩擦材15、16間に配された環状の部材であり、リミッタ部2の構成部材である。ライニングプレート14は、内周部分にて、サイドプレート17とサイドプレート18との間に挟み込まれており、サイドプレート17及びサイドプレート18とともにリベット19によって固定されている。ライニングプレート14は、外周部分にて、リベット、接着剤等によって摩擦材15、16が取付固定されている。
摩擦材15は、リミッタ部2の構成部材であり、ライニングプレート14とプレッシャプレート13との間に配されている。摩擦材15は、環状に構成されている。摩擦材15は、リベット、接着剤等によってライニングプレート14に取付固定されている。摩擦材15は、プレッシャプレート13とスライド可能に圧接している。
摩擦材16は、リミッタ部2の構成部材であり、ライニングプレート14とカバープレート11との間に配されている。摩擦材16は、環状に構成されている。摩擦材16は、リベット、接着剤等によってライニングプレート14に取付固定されている。摩擦材16は、カバープレート11とスライド可能に圧接している。
サイドプレート17は、ハブ部材25のフランジ部25bのエンジン側(図1の左側)に配設された環状の部材であり、ダンパ部3及びヒステリシス部4の構成部材である。サイドプレート17は、外周端部近傍の部分にて、リベット19によってライニングプレート14及びサイドプレート18と一体固定されている。サイドプレート17は、中間部分のダンパ部3にて、コイルスプリング20及びシート部材21を収容するための窓部17aを有し、当該窓部17aの周方向端面がシート部材21と接離可能に接している。サイドプレート17は、ダンパ部3より内周側のヒステリシス部4にて、スラスト部材22の凸部22aを挿入するための穴部17bを有する。穴部17bは、サイドプレート17に対してスラスト部材22を回り止めするためのものである。サイドプレート17は、内周端面にて、フライホイール5のガイド部5aの外周面と相対回転可能に当接しており、偏芯が規制されている。
サイドプレート18は、ハブ部材25のフランジ部25bのモータ側(図1の右側)に配設された環状の部材であり、ダンパ部3及びヒステリシス部4の構成部材である。サイドプレート18は、外周端部近傍の部分にて、リベット19によってライニングプレート14及びサイドプレート17と一体固定されている。サイドプレート18は、中間部分のダンパ部3にて、コイルスプリング20及びシート部材21を収容するための窓部18aを有し、当該窓部18aの周方向端面がシート部材21と接離可能に接している。サイドプレート18は、ダンパ部3より内周側のヒステリシス部4にて、皿ばね24を支持する。サイドプレート18は、内周端面にて、スラスト部材23を介してハブ部材25(ハブ部25a)に相対回転可能に支持されている。
リベット19は、ライニングプレート14、サイドプレート17、及びサイドプレート18を一体固定するための部材である。
コイルスプリング20は、ダンパ部3の構成部品であり、サイドプレート17、18及びハブ部材25(フランジ部25b)に形成された窓部17a、18a、25cに収容され、両端に配設されたシート部材21と接している。コイルスプリング20は、サイドプレート17、18とハブ部材25とが相対回転したときに収縮し、サイドプレート17、18とハブ部材25の回転差によるショックを吸収する。コイルスプリング20には、ストレート形状、又はストレート形状のスプリングを曲げて組み付けしたものを用いることができるが、広い捩りを実現するために、周方向に沿って曲ったアークスプリングを用いることができる。
シート部材21は、ダンパ部3の構成部品であり、サイドプレート17、18及びハブ部材25(フランジ部25b)に形成された窓部17a、18a、25cに収容され、当該窓部17a、18a、25cの周方向の端面とコイルスプリング20の端部との間に配されている。シート部材21には、コイルスプリング20の摩耗を低減するために、樹脂を用いることができる。
スラスト部材22は、ヒステリシス部4の構成部品であり、サイドプレート17とハブ部材25との間に配された環状の部材である。スラスト部材22は、サイドプレート17とフランジ部25bとの間に配されており、フランジ部25bとスライド可能に圧接している。スラスト部材22は、サイドプレート17の穴部17bに挿入される凸部22aを有する。凸部22aは、スラスト部材22をサイドプレート17に対して回り止めするためのものである。
スラスト部材23は、ヒステリシス部4の構成部品であり、サイドプレート18とハブ部材25との間に配された環状の部材である。スラスト部材23は、軸方向において、皿ばね24とフランジ部25bとの間に配されており、皿ばね24によってフランジ部25b側に付勢されており、フランジ部25bとスライド可能に圧接している。スラスト部材23は、径方向において、サイドプレート18とハブ部25aとの間にも介在しており、サイドプレート18をハブ部25aに相対回転可能に支持するための滑り軸受(ブッシュ)となる。
皿ばね24は、ヒステリシス部4の構成部品であり、スラスト部材23とサイドプレート18との間に配され、スラスト部材23をフランジ部25b側に付勢する皿状のばねである。
ハブ部材25は、ダンパ部3及びヒステリシス部4からの回転動力をモータ側に向けて出力する部材であり、ダンパ部3及びヒステリシス部4の構成部材である。ハブ部材25は、ハブ部25aの外周の所定の部位から延在したフランジ部25bを有する。ハブ部25aは、内周面にてモータ側回転軸7とスプライン係合する。ハブ部25aは、外周面のうち軸方向両側の端部の近傍に溝部25d、25eを有する。溝部25d、25eは、ハブ部25aとモータ側回転軸7のスプライン係合部分に塗布されたグリスが遠心力により軸方向両側の端部に流れ出してきたときに、ヒステリシス部4に流れ込まないようにするためのものである。溝部25d、25eに流れ込もうとしたグリスは、遠心力によって外周側に飛散する。ハブ部25aは、外周面のうち溝部25dとフランジ部25bの間の面にて、フライホイール5のガイド部5aの内周面と当接し、ガイド部5aに対して回転可能に支持され、ガイド部5aによって偏芯が規制されている。ハブ部25aは、外周面のうち溝部25eとフランジ部25bの間の面にて、スラスト部材23を介してサイドプレート18を相対回転可能に支持している。フランジ部25bは、外周のダンパ部3にて、コイルスプリング20、及びシート部材21を収容するための窓部25cを有し、当該窓部25cの周方向端面がシート部材21と接離可能に接している。フランジ部25bは、ダンパ部3より内周側のヒステリシス部4の軸方向の面にて、スラスト部材22、23によってスライド可能に挟持されている。
実施例1によれば、フライホイール5の小径部位に形成されたガイド部5aによってサイドプレート17及びハブ部材25を回転可能に支持することにより、軸受部の小径化を図ることができ、エンジン側回転軸6及びモータ側回転軸7の軸受けへの偏芯荷重を低減、抑制させることができ、リミッタ部2のトルク半径が安定し、リミットトルクが安定する。また、ガイド部5aを設けるのに追加部品が不要なので、装置の組立てコストを低減させることができる。また、ガイド部5aが小径部位に形成されているので、寸法精度を出すことができ、軸受部のコンパクト化、コスト低減が可能である。ガイド部5aが小径化されることで、相手材との差回転、遠心力に関しての影響が低減される。また、ガイド部5aによってサイドプレート17及びハブ部材25を支持する部分は、フライホイール5の本体から離れた位置なので、熱の影響は問題とならない。さらに、テーパ部5b及び貫通穴部5cによってヒステリシス部4にグリスを寄せ付けないようにすることで、ヒステリシス機能を安定化させることができ、騒音振動特性を安定化させることができる。
本発明の実施例2に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図3は、本発明の実施例2に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例2では、実施例1におけるフライホイール(図2の5)のガイド部(図2の5a)の代わりに、フライホイール5とは別体のガイド部材27を設けたものである。その他の構成は、実施例1と同様である。
ガイド部材27は、エンジン側回転軸6の延在部6aの外周にて軸心調整してエンジン側回転軸6と同心となるように配された環状の部材である。ガイド部材27は、フライホイール5とともに、ボルト8によってエンジン側回転軸6に取付固定されている。なお、ガイド部材27は、ボルト8による取付固定だけでなく、エンジン側回転軸6の延在部6aへの圧入やカシメでの取付固定でもよく、延在部6a又はフライホイール5との溶接での取付固定でもよい。ガイド部材27は、ボルト8よりも内周側の部位(小径部位)からハブ部材25側に延在した円筒状のガイド部27aを有する。ガイド部27aは、先端部近傍の部分にて、サイドプレート17の内周端面と、ハブ部材25のハブ部25aの外周面との間に配されており、サイドプレート17及びハブ部25aに接しており、サイドプレート17及びハブ部材25を回転可能に支持し、サイドプレート17及びハブ部材25の偏芯を規制する。ガイド部27aは、中間部分において、外周に行くに従いサイドプレート17から離れるように傾斜した(径が大きくなった)テーパ部27b(段差部でも可)を有する。テーパ部27bは、ハブ部25aとモータ側回転軸7のスプライン係合部分に塗布されたグリスが遠心力により飛散したときに、当該グリスをヒステリシス部4から離すように作用する。ガイド部27aは、末端部近傍の大径部分において、貫通した1個以上の貫通穴部27cを有する。貫通穴部27cは、テーパ部27bでガイドされた内周側のグリスを外周側に排出するための穴である。貫通穴部27cは、テーパ部27bに形成してもよい。テーパ部27b及び貫通穴部27cによってヒステリシス部4にグリスを寄せ付けないようにすることで、ヒステリシス機能が安定化され、騒音振動特性が安定化される。ガイド部材27は、ガイド部27aでの微小変位を許容するために、金属、樹脂、カーボンファイバー等の弾性体を用いることが好ましい。ガイド部材27は、ガイド部27aでの変位量を調節するために、スリット又は孔を形成してもよい。
実施例2によれば、実施例1と同様に、軸受部の小径化を図ることができ、装置の偏芯を低減、抑制させることができ、寸法精度を出すことができ、軸受部のコンパクト化が可能であり、熱の影響は問題とならず、ヒステリシス機能を安定化させることができ、騒音振動特性を安定化させることができる。また、ガイド部材27がフライホイール5とともに軸心調整してエンジン側回転軸6に取付固定されるので、ガイド部材27だけのために、新たな軸心調整が不要である。また、ガイド部材27に弾性体を用いることで、ベアリングよりもコストが有利である。ガイド部材27に形成されるスリット又は孔の形状や数を調整することで、ガイド部材27の弾性率を調整することができる。また、ガイド部材27が抵抗力を発生させながら微小変位を許容することで、偏芯を低減、抑制するとともに、モータ側回転軸7の3点支持によるこじれを抑制することができ、装置の寿命を短縮させることはない。さらに、ガイド部材27がフライホイール5とともにボルト8によってエンジン側回転軸6に取付固定されることで、コストの増加を抑制することが可能である。
本発明の実施例3に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図4は、本発明の実施例3に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例3は、実施例2(図3参照)の変形例であり、ガイド部材27のガイド部27aの内周面を、ハブ部材25のハブ部25aの外周面と離間させ、ガイド部27aの外周面と、サイドプレート17の内周端面との間に、ブッシュとなるスラスト部材29を介在させている。ガイド部27aは、スラスト部材29を介してサイドプレート17の偏芯を規制するとともに、スラスト部材29、サイドプレート17、18(17と18はリベットにより連結)、スラスト部材23を介してハブ部材25の偏芯を規制する。その他の構成は、実施例2と同様である。
なお、スラスト部材29は、ヒステリシス部4の構成部品であり、サイドプレート17とハブ部材25との間に配された環状の部材である。スラスト部材29は、軸方向において、サイドプレート17とフランジ部25bとの間に配されており、フランジ部25bとスライド可能に圧接している。スラスト部材29は、サイドプレート17の内周端部に形成された凹部に挿入される回り止め部29aを有する。回り止め部29aは、スラスト部材29をサイドプレート17に対して回り止めするためのものである。
実施例3によれば、実施例2と同様な効果を奏する。
本発明の実施例4に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図5は、本発明の実施例4に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例4は、実施例3(図4参照)の変形例であり、ガイド部材27のガイド部27aの外周面を、スラスト部材29の内周面と離間させ、ガイド部27aの内周面を、ハブ部材25のハブ部25aの外周面と回転可能に当接させている。ガイド部27aは、ハブ部材25の偏芯を規制するとともに、ハブ部材25、スラスト部材23、サイドプレート17を介してサイドプレート18(17と18はリベットにより連結)の偏芯を規制する。その他の構成は、実施例3と同様である。
実施例4によれば、実施例3(実施例2)と同様な効果を奏する。
本発明の実施例5に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図6は、本発明の実施例5に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例5は、実施例2(図3参照)の変形例であり、ガイド部材27のガイド部27aの先端部近傍の部分の両面に、ガイド部材27の材質と異なる金属又は樹脂よりなるブッシュ31を形成し、ガイド部27aの外周面とサイドプレート17の内周端面との間にブッシュ31を介在させ、ガイド部27aの内周面とハブ部材25のハブ部25aの外周面との間にブッシュ31を介在させている。ブッシュ31は、サイドプレート17及びハブ部25aと相対回転可能に接している。その他の構成は、実施例2と同様である。
実施例5によれば、実施例2と同様な効果を奏するとともに、ガイド部27aの摺動部分にブッシュ31を設けることで、コストの増加を抑制することができる。
本発明の実施例6に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図7は、本発明の実施例6に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例6は、実施例4(図5参照)の変形例であり、ガイド部材27のガイド部27aの先端部近傍の部分の内周面に、ゴム等(ガイド部27aよりも低弾性なもの)よりなる弾性体34を介して金属又は樹脂よりなるブッシュ33を形成している。ブッシュ33は、ハブ部25aと相対回転可能に接している。ガイド部27aは、スラスト部材29の内周面と離間している。弾性体34は、ガイド部27a及びブッシュ33と接着している。その他の構成は、実施例4と同様である。
実施例6によれば、実施例4(実施例2)と同様な効果を奏するとともに、ガイド部27aとブッシュ33の間に弾性体34が介在することで、ハブ部材25が弾性支持されて、ハブ部材25の偏芯を低減、抑制するとともに、モータ側回転軸7の3点支持によるこじれを抑制することができ、装置の寿命を短縮させることはない。
本発明の実施例7に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図8は、本発明の実施例7に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例7では、実施例1におけるフライホイール(図2の5)のガイド部(図2の5a)の代わりに、サイドプレート17にガイド部17cを設けたものである。ガイド部17cの先端部は、フライホイール5においてボルト8よりも内周側に形成された段差凹部5d(エンジン側回転軸6の延在部6aの内周でも可)に挿入されており、段差凹部5dの径方向の壁面と当接し、フライホイール5に回転可能に支持されている。これにより、サイドプレート17の偏芯を規制する。ガイド部17cは、貫通した1個以上の貫通穴部17dを有する。貫通穴部17dは、ハブ部25aとモータ側回転軸7のスプライン係合部分に塗布されたグリスが遠心力により飛散したときに、ガイド部17cの内周側に集まったグリスを外周側に排出するための穴である。サイドプレート17とハブ部材25との軸方向及び径方向の間には、スラスト部材36が介在している。その他の構成は、実施例1と同様である。
実施例7によれば、実施例1と同様に、軸受部の小径化を図ることができ、装置の偏芯を低減、抑制させることができ、寸法精度を出すことができ、軸受部のコンパクト化が可能であり、熱の影響は問題とならず、ヒステリシス機能を安定化させることができ、騒音振動特性を安定化させることができる。
本発明の実施例8に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図9は、本発明の実施例8に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例8では、実施例1におけるフライホイール(図2の5)のガイド部(図2の5a)の代わりに、エンジン側回転軸6にガイド部6bを設けたものである。エンジン側回転軸6は、ボルト8よりも内周側の部位(小径部位)からハブ部材25側に延在した円筒状のガイド部6bを有する。ガイド部6bは、先端部近傍の部分にて、サイドプレート17の内周端面と、ハブ部材25のハブ部25aの外周面との間に配されており、サイドプレート17及びハブ部25aに接しており、サイドプレート17及びハブ部材25を回転可能に支持し、サイドプレート17及びハブ部材25の偏芯を規制する。ガイド部6bは、中間部分の内周面において、円周方向に形成された溝部6dを有する。ガイド部6bは、溝部6dが形成された領域において、貫通した1個以上の貫通穴部6cを有する。貫通穴部6cは、遠心力によって飛散して溝部6dに集まったグリスを外周側に排出するための穴である。貫通穴部6cによってヒステリシス部4にグリスを寄せ付けないようにすることで、ヒステリシス機能が安定化され、騒音振動特性が安定化される。その他の構成は、実施例1と同様である。
実施例8によれば、実施例1と同様に、軸受部の小径化を図ることができ、装置の偏芯を低減、抑制させることができ、寸法精度を出すことができ、軸受部のコンパクト化が可能であり、熱の影響は問題とならず、ヒステリシス機能を安定化させることができ、騒音振動特性を安定化させることができる。
本発明の実施例9に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図10は、本発明の実施例9に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例9では、実施例8におけるエンジン側回転軸(図9の6)のガイド部(図9の6b)の代わりに、ガイド部材38を用いたものである。その他の構成は、実施例8と同様である。
ガイド部材38は、ボルト8より内周側のエンジン側回転軸6の延在部6a(小径部分)に装着された円筒状の部材である。ガイド部材38は、ハブ部材25側の部分に円筒状のガイド部38aを有する。ガイド部38aは、サイドプレート17の内周端面と、ハブ部材25のハブ部25aの外周面との間に配されており、サイドプレート17及びハブ部25aに接しており、サイドプレート17及びハブ部材25を回転可能に支持し、サイドプレート17及びハブ部材25の偏芯を規制する。ガイド部材38は、中間部分において、外周に行くに従いサイドプレート17から離れるように傾斜した(径が大きくなった)テーパ部38b(段差部でも可)を有する。テーパ部38bは、ハブ部25aとモータ側回転軸7のスプライン係合部分に塗布されたグリスが遠心力により飛散したときに、当該グリスをヒステリシス部4から離すように作用する。ガイド部材38は、フライホイール5側の大径部分において、貫通した1個以上の貫通穴部38cを有する。貫通穴部38cは、テーパ部38bでガイドされた内周側のグリスを外周側に排出するための穴である。貫通穴部38cは、テーパ部38bに形成してもよい。テーパ部38b及び貫通穴部38cによってヒステリシス部4にグリスを寄せ付けないようにすることで、ヒステリシス機能が安定化され、騒音振動特性が安定化される。ガイド部材38は、貫通穴部38cよりもフライホイール5側の部分において、エンジン側回転軸6の延在部6aに装着するための装着部38dを有する。装着部38dは、延在部6aの外周側に装着されている。ガイド部材38は、ガイド部38aでの微小変位を許容するために、金属、樹脂、カーボンファイバー等の弾性体を用いることが好ましい。ガイド部材38は、ガイド部38aでの変位量を調節するために、スリット又は孔を形成してもよい。
実施例9によれば、実施例8と同様に、軸受部の小径化を図ることができ、装置の偏芯を低減、抑制させることができ、寸法精度を出すことができ、軸受部のコンパクト化が可能であり、熱の影響は問題とならず、ヒステリシス機能を安定化させることができ、騒音振動特性を安定化させることができる。ガイド部材38が軸心調整されたエンジン側回転軸6の延在部6aに装着されるので、ガイド部材38だけのために、新たな軸心調整が不要である。また、ガイド部材38に弾性体を用いることで、ベアリングよりもコストが有利である。ガイド部材38に形成されるスリット又は孔の形状や数を調整することで、ガイド部材38の弾性率を調整することができる。また、ガイド部材38が抵抗力を発生させながら微小変位を許容することで、偏芯を低減、抑制するとともに、モータ側回転軸7の3点支持によるこじれを抑制することができ、装置の寿命を短縮させることはない。さらに、ガイド部材38がエンジン側回転軸6の延在部6aに装着されることで、コストの増加を抑制することが可能である。
本発明の実施例10に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図11は、本発明の実施例10に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例10では、実施例9(図10参照)と同様なガイド部材38の装着部38dを、エンジン側回転軸6の延在部6aの内周側に装着したものである。その他の構成は、実施例9と同様である。
実施例10によれば、実施例9と同様な効果を奏する。
本発明の実施例11に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図12は、本発明の実施例11に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例11は、実施例9(図10参照)の変形例であり、ガイド部材38のガイド部38aの内周面を、ハブ部材25のハブ部25aの外周面と離間させ、ガイド部38aの外周面と、サイドプレート17の内周端面との間に、ブッシュとなるスラスト部材29を介在させている。ガイド部38aは、スラスト部材29を介してサイドプレート17の偏芯を規制するとともに、スラスト部材29、サイドプレート17、18(17と18はリベットにより連結)、スラスト部材23を介してハブ部材25の偏芯を規制する。その他の構成は、実施例9と同様である。
なお、スラスト部材29は、ヒステリシス部4の構成部品であり、サイドプレート17とハブ部材25との間に配された環状の部材である。スラスト部材29は、軸方向において、サイドプレート17とフランジ部25bとの間に配されており、フランジ部25bとスライド可能に圧接している。スラスト部材29は、サイドプレート17の内周端部に形成された凹部に挿入される回り止め部29aを有する。回り止め部29aは、スラスト部材29をサイドプレート17に対して回り止めするためのものである。
実施例11によれば、実施例9と同様な効果を奏する。
本発明の実施例12に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図13は、本発明の実施例12に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例12は、実施例11(図12参照)の変形例であり、ガイド部材38の装着部38dをエンジン側回転軸6の延在部6aの内周側に装着させ、ガイド部材38のガイド部38aの外周面を、スラスト部材29の内周面と離間させ、ガイド部38aの内周面を、ハブ部材25のハブ部25aの外周面と回転可能に当接させている。ガイド部38aは、ハブ部材25の偏芯を規制するとともに、ハブ部材25、スラスト部材23、サイドプレート17を介してサイドプレート18(17と18はリベットにより連結)の偏芯を規制する。その他の構成は、実施例11と同様である。
実施例12によれば、実施例11(実施例9)と同様な効果を奏する。
本発明の実施例13に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図14は、本発明の実施例13に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例13は、実施例11(図12参照)の変形例であり、ガイド部材38のガイド部38aの先端部近傍の部分の両側に、スラスト部材40を配置したものである。つまり、ガイド部38aの外周面とサイドプレート17の内周端面との間にスラスト部材40の一部を介在させ、ガイド部38aの内周面とハブ部材25のハブ部25aの外周面との間にスラスト部材40の一部を介在させている。スラスト部材40は、ブッシュとして機能し、ハブ部25a及びガイド部38aと相対回転可能に接している。その他の構成は、実施例2と同様である。
なお、スラスト部材40は、ヒステリシス部4の構成部品であり、サイドプレート17とハブ部材25との間に配された環状の部材である。スラスト部材40は、軸方向において、サイドプレート17とフランジ部25bとの間に配されており、フランジ部25bとスライド可能に圧接している。スラスト部材40は、サイドプレート17の内周端部に形成された凹部に挿入される回り止め部40aを有する。回り止め部40aは、スラスト部材40をサイドプレート17に対して回り止めするためのものである。
実施例13によれば、実施例11(実施例9)と同様な効果を奏する。
本発明の実施例14に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図15は、本発明の実施例14に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例14では、実施例8におけるエンジン側回転軸(図9の6)のガイド部(図9の6b)の代わりに、スラスト部材42にガイド部42bを設けたものである。スラスト部材42は、ヒステリシス部4の構成部品であり、サイドプレート17とハブ部材25との間に配された環状の部材である。スラスト部材42は、サイドプレート17とフランジ部25bとの間に配されており、フランジ部25bとスライド可能に圧接している。スラスト部材42は、サイドプレート17の穴部17bに挿入される凸部42aを有する。凸部42aは、スラスト部材42をサイドプレート17に対して回り止めするためのものである。スラスト部材42は、サイドプレート17とハブ部25aとの間にも配されており、ハブ部25aと相対回転可能に接している。スラスト部材42は、サイドプレート17とハブ部25aとの間の部分からエンジン側回転軸6側に延在したガイド部42bを有する。ガイド部42bは、ハブ部25aに形成された溝部25dを覆っていない。ガイド部42bの先端部は、エンジン側回転軸6の延在部6aの内周面とハブ部25aとの間に介在し、延在部6aと相対回転可能に接している。ガイド部42bは、外周面に1個以上の溝部42cを有する。溝部42cは、遠心力によって飛散して延在部6aで受けたグリスを外周側に排出するためのものである。その他の構成は、実施例8と同様である。
実施例14によれば、実施例8と同様に、軸受部の小径化を図ることができ、装置の偏芯を低減、抑制させることができ、寸法精度を出すことができ、軸受部のコンパクト化が可能であり、熱の影響は問題とならない。また、エンジン側回転軸6の延在部6aの内周に集まったグリスを溝部42cを通じて外周側に排出することで、ヒステリシス部4にグリスを寄せ付けず、ヒステリシス機能が安定化され、騒音振動特性が安定化される。また、成型しやすいスラスト部材42とガイド部42bとが一体化されることで、部品点数の増加を抑制することができ、コストを低減させることができる。
本発明の実施例15に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図16は、本発明の実施例15に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例15は、実施例14(図15参照)の変形例であり、スラスト部材44のガイド部44bにグリス排出用の貫通穴部44c及び溝部44dを形成したものである。スラスト部材44は、ヒステリシス部4の構成部品であり、サイドプレート17とハブ部材25との間に配された環状の部材である。スラスト部材44は、軸方向において、サイドプレート17とフランジ部25bとの間に配されており、フランジ部25bとスライド可能に圧接している。スラスト部材44は、サイドプレート17の内周端部に形成された凹部に挿入される回り止め部44aを有する。回り止め部44aは、スラスト部材44をサイドプレート17に対して回り止めするためのものである。スラスト部材44は、サイドプレート17とハブ部25aとの間にも配されており、ハブ部25aと相対回転可能に接している。スラスト部材44は、サイドプレート17とハブ部25aとの間の部分からエンジン側回転軸6側に延在したガイド部44bを有する。ガイド部44bは、ハブ部25aに形成された溝部25dを覆っている。ガイド部44bの先端部は、エンジン側回転軸6の延在部6aの内周面とハブ部25aとの間に介在し、ハブ部25aのエンジン側回転軸6側の端面よりもエンジン側回転軸6側まで延在している。ガイド部44bは、延在部6aと相対回転可能に接している。ガイド部44bは、内周面のうち溝部25dよりもフランジ部25b側の部位であって延在部6aに覆われていない部位において、円周方向に形成された溝部44dを有する。ガイド部44bは、溝部44dが形成された領域において、貫通した1個以上の貫通穴部44cを有する。貫通穴部44cは、遠心力によって飛散してハブ部25aとガイド部44bの界面を伝って溝部44dに集まったグリスを外周側に排出するための穴である。貫通穴部44c及び溝部44dによってヒステリシス部4にグリスを寄せ付けないようにすることで、ヒステリシス機能が安定化され、騒音振動特性が安定化される。その他の構成は、実施例14と同様である。
実施例15によれば、実施例14と同様に、軸受部の小径化を図ることができ、装置の偏芯を低減、抑制させることができ、寸法精度を出すことができ、軸受部のコンパクト化が可能であり、熱の影響は問題とならない。また、遠心力によって飛散してハブ部25aとガイド部44bの界面を伝って溝部44dに集まったグリスを貫通穴部44cを通じて外周側に排出することで、ヒステリシス部4にグリスを寄せ付けず、ヒステリシス機能が安定化され、騒音振動特性が安定化される。また、成型しやすいスラスト部材44とガイド部44bとが一体化されることで、部品点数の増加を抑制することができ、コストを低減させることができる。
本発明の実施例16に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図17は、本発明の実施例16に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例16は、実施例15(図16参照)の変形例であり、スラスト部材44のガイド部44bをエンジン側回転軸6の延在部6aの外周側に回転可能に当接させたものである。ガイド部44bは、中間部分において、外周に行くに従いサイドプレート17から離れるように傾斜した(径が大きくなった)テーパ部44e(段差部でも可)を有する。テーパ部44eは、ハブ部25aとモータ側回転軸7のスプライン係合部分に塗布されたグリスが遠心力により飛散したときに、当該グリスをヒステリシス部4から離すように作用する。ガイド部44bは、先端部の大径部分において、貫通した1個以上の貫通穴部44cを有する。貫通穴部44cは、テーパ部44eでガイドされた内周側のグリスを外周側に排出するための穴である。貫通穴部44cは、テーパ部44eに形成してもよい。テーパ部44e及び貫通穴部44cによってヒステリシス部4にグリスを寄せ付けないようにすることで、ヒステリシス機能が安定化され、騒音振動特性が安定化される。その他の構成は、実施例15と同様である。
実施例16によれば、実施例15(実施例9)と同様に、軸受部の小径化を図ることができ、装置の偏芯を低減、抑制させることができ、寸法精度を出すことができ、軸受部のコンパクト化が可能であり、熱の影響は問題とならない。また、遠心力によって飛散したグリスを貫通穴部44cを通じて外周側に排出することで、ヒステリシス部4にグリスを寄せ付けず、ヒステリシス機能が安定化され、騒音振動特性が安定化される。また、成型しやすいスラスト部材44とガイド部44bとが一体化されることで、部品点数の増加を抑制することができ、コストを低減させることができる。
本発明の実施例17に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図18は、本発明の実施例17に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例17は、実施例12(図13参照)の変形例であり、ガイド部材38の装着部38dをエンジン側回転軸6の延在部6aの外周側に装着させ、ガイド部材38のガイド部38aの外周面を、スラスト部材29の内周面と離間させ、ガイド部38aの内周面に、ゴム等よりなる弾性体34を介して金属又は樹脂よりなるブッシュ33を形成している。ブッシュ33は、ハブ部25aと相対回転可能に接している。弾性体34は、ガイド部38a及びブッシュ33と接着している。その他の構成は、実施例12と同様である。
実施例17によれば、実施例12(実施例9)と同様な効果を奏するとともに、ガイド部38aとブッシュ33の間に弾性体34が介在することで、ハブ部材25が弾性支持されて、ハブ部材25の偏芯を低減、抑制するとともに、モータ側回転軸7の3点支持によるこじれを抑制することができ、装置の寿命を短縮させることはない。
本発明の実施例18に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図19は、本発明の実施例18に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例18では、実施例1におけるフライホイール(図2の5)のガイド部(図2の5a)の代わりに、サポートプレート10にガイド部10cを設けたものである。サポートプレート10は、フライホイール5とカバープレート11との間に配設された環状の部材であり、リミッタ部2の構成部材である。サポートプレート10は、外周部分にてカバープレート11と合わさってボルト9によってフライホイール5に取付固定されている。サポートプレート10は、内周部分にてカバープレート11と離間している。サポートプレート10は、皿ばね12と圧接している。サポートプレート10は、内周側に延在した内周延在部10aを有する。内周延在部10aは、装置全体の軸長増加を抑制するため、ボルト8と対応する位置にボルト8の頭部よりも大きな径の穴部10bを有する。内周延在部10aは、内周端部にてフランジ部25b側に延在した円筒状のガイド部10cを有する。ガイド部10cは、先端部近傍の部分にて、スラスト部材22の円筒部22bの内周面と、ハブ部材25のハブ部25aの外周面との間に配されており、スラスト部材22の円筒部22bに接しており、ハブ部25aと離間しており、スラスト部材22を介してサイドプレート17を回転可能に支持し、スラスト部材22を介してサイドプレート17の偏芯を規制する。ガイド部10cは、末端部近傍の部分において、貫通した1個以上の貫通穴部10dを有する。貫通穴部10dは、内周側のグリスを外周側に排出するための穴である。貫通穴部10dは、内周から外周に行くに従いダンパ部3(ヒステリシス部4)から離れるように傾いている。貫通穴部10dによってヒステリシス部4にグリスを寄せ付けないようにすることで、ヒステリシス機能が安定化され、騒音振動特性が安定化される。サポートプレート10は、ガイド部10cでの微小変位を許容するために、金属、樹脂、カーボンファイバー等の弾性体を用いることが好ましい。サポートプレート10は、内周延在部10aの所定の部分において凹凸状に形成された凹凸部10fを有する。凹凸部10fは、ガイド部10cでスラスト部材22を介してサイドプレート17を支持する際に抵抗力を発生しながら所定量の変位(偏芯)を許容して、芯出しするためのものである。凹凸部10fは、サポートプレート10が金属よりなる場合にはプレス成型により形成することができ、サポートプレート10が樹脂、カーボンファイバーよりなる場合は成型時に形成される。
なお、スラスト部材22は、サイドプレート17とフランジ部25bとの間に配されており、フランジ部25bとスライド可能に圧接している。スラスト部材22は、サイドプレート17の穴部17bに挿入される凸部22aを有する。凸部22aは、スラスト部材22をサイドプレート17に対して回り止めするためのものである。スラスト部材22は、サイドプレート17の内周端部に形成された円筒部17eとサポートプレート10のガイド部10cとの間に介在する円筒部22bを有する。円筒部22bは、サポートプレート10のガイド部10cとスライド可能に接している。スラスト部材22の内周端部は、ハブ部材25のハブ部25aの外周面とスライド可能に接している。その他の構成は、実施例1と同様である。
実施例18によれば、実施例1と同様に、軸受部の小径化を図ることができ、装置の偏芯を低減、抑制させることができ、寸法精度を出すことができ、軸受部のコンパクト化が可能であり、熱の影響は問題とならず、ヒステリシス機能を安定化させることができ、騒音振動特性を安定化させることができる。また、サポートプレート10に弾性体を用いることで、ベアリングよりもコストが有利である。また、サポートプレート10が抵抗力を発生させながら微小変位を許容することで、偏芯を低減、抑制するとともに、モータ側回転軸7の3点支持によるこじれを抑制することができ、装置の寿命を短縮させることはない。
本発明の実施例19に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図20は、本発明の実施例19に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例19は、実施例18の変形例であり、サポートプレート10にガイド部10cを設けている点は同様であるが、ボルト8取り付け用の穴部(図19の10b)の代わりにボルト8を迂回した凹部10eを形成し、グリス排出用の貫通穴部(図19の10d)を廃止したものである。サポートプレート10は、内周側に延在した内周延在部10aを有する。内周延在部10aは、装置全体の軸長増加を抑制するため、ボルト8と対応する位置にボルト8を迂回した凹部10eを有する。内周延在部10aは、内周端部にてフランジ部25b側に延在した円筒状のガイド部10cを有する。ガイド部10cは、先端部近傍の部分にて、サイドプレート17の内周端面と、ハブ部材25のハブ部25aの外周面との間に配されており、サイドプレート17及びハブ部25aに接しており、サイドプレート17及びハブ部材25を回転可能に支持し、サイドプレート17及びハブ部材25の偏芯を規制する。サポートプレート10は、ガイド部10cでの微小変位を許容するために、金属、樹脂、カーボンファイバー等の弾性体を用いることが好ましい。その他の構成は、実施例18と同様である。
実施例19によれば、実施例18と同様な効果を奏するとともに、サポートプレート10の内周延在部10aがヒステリシス部4を覆うことで、ヒステリシス部4へのグリス等の異物の浸入を防止することができる。
本発明の実施例20に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図21は、本発明の実施例20に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例20は、実施例15(図16参照)の変形例であり、スラスト部材44のガイド部44bにグリス排出用の貫通穴部44c及び溝部44dを形成した点は実施例15と同様であるが、モータ側回転軸7のエンジン側回転軸6側の端面から延在した延在部7aを設け、ガイド部44bの先端部を、エンジン側回転軸6の延在部6aと、モータ側回転軸7の延在部7aとの間に介在させたものである。
スラスト部材44は、ヒステリシス部4の構成部品であり、サイドプレート17とハブ部材25との間に配された環状の部材である。スラスト部材44は、軸方向において、サイドプレート17とフランジ部25bとの間に配されており、フランジ部25bとスライド可能に圧接している。スラスト部材44は、サイドプレート17の内周端部に形成された凹部に挿入される回り止め部44aを有する。回り止め部44aは、スラスト部材44をサイドプレート17に対して回り止めするためのものである。スラスト部材44は、サイドプレート17とハブ部25aとの間にも配されており、ハブ部25aと相対回転可能に接している。スラスト部材44は、サイドプレート17とハブ部25aとの間の部分からエンジン側回転軸6側に延在したガイド部44bを有する。ガイド部44bは、ハブ部25aに形成された溝部25dを覆っている。ガイド部44bの先端部は、延在部6aの先端と、ハブ部25aの軸方向の端面との間を通り、エンジン側回転軸6の延在部6aの内周面と、モータ側回転軸7の延在部7aとの間に介在している。ガイド部44bは、延在部6a、7aと相対回転可能に接している。ガイド部44bは、内周面のうち溝部25dよりもフランジ部25b側の部位において、円周方向に形成された溝部44dを有する。ガイド部44bは、溝部44dが形成された領域において、貫通した1個以上の貫通穴部44cを有する。貫通穴部44cは、遠心力によって飛散してハブ部25aとガイド部44bの界面を伝って溝部44dに集まったグリスを外周側に排出するための穴である。貫通穴部44c及び溝部44dによってヒステリシス部4にグリスを寄せ付けないようにすることで、ヒステリシス機能が安定化され、騒音振動特性が安定化される。その他の構成は、実施例15と同様である。
実施例20によれば、実施例15(実施例9)と同様に、軸受部の小径化を図ることができ、装置の偏芯を低減、抑制させることができ、寸法精度を出すことができ、軸受部のコンパクト化が可能であり、熱の影響は問題とならず、ヒステリシス機能が安定化され、騒音振動特性が安定化される。また、スラスト部材44によってエンジン側回転軸6とモータ側回転軸7の偏芯を規制できる。
本発明の実施例21に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図22は、本発明の実施例21に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例21では、実施例1におけるフライホイール(図2の5)のガイド部(図2の5a)の代わりに、ハブ部材25に装着されるガイド部材46を用いたものである。ハブ部材25は、ハブ部25aにおける内周面のうちエンジン側回転軸6近傍の部分に段差凹部25fを有する。段差凹部25fには、ガイド部材46が装着されている。ガイド部材46は、エンジン側回転軸6側に延在しており、エンジン側回転軸6の延在部6aの内周に配されている。ガイド部材46は、エンジン側回転軸6とハブ部25aの微小変位を許容するために、金属、樹脂、カーボンファイバー等の弾性体を用いることが好ましい。ガイド部材46と延在部6aの間には、ブッシュ47が介在している。ブッシュ47は、ガイド部材46に接着されており、延在部6aとスライド可能に接している。なお、スラスト部材29は、サイドプレート17に回り止めされており、フランジ部25bとスライド可能に圧接しており、ハブ部25aと回転可能に接している。モータ側回転軸7は、ハブ部25aとスプライン係合し、エンジン側回転軸6側の先端部がガイド部材46と離間している。その他の構成は、実施例1と同様である。
実施例21によれば、実施例1と同様に、軸受部の小径化を図ることができ、装置の偏芯を低減、抑制させることができ、寸法精度を出すことができ、軸受部のコンパクト化が可能であり、熱の影響は問題とならず、ヒステリシス機能を安定化させることができ、騒音振動特性を安定化させることができる。また、ガイド部材46に弾性体を用いることで、ベアリングよりもコストが有利である。さらに、ガイド部材46が抵抗力を発生させながら微小変位を許容することで、偏芯を低減、抑制するとともに、モータ側回転軸7の3点支持によるこじれを抑制することができ、装置の寿命を短縮させることはない。
本発明の実施例22に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図23は、本発明の実施例22に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例22は、実施例20(図21参照)の変形例であり、スラスト部材44のガイド部44bにグリス排出用の貫通穴部44c及び溝部44dを形成した点は実施例15と同様であるが、モータ側回転軸7のエンジン側回転軸6側の端面に延在部(図21の7a)を設けず、ガイド部44bの先端部をエンジン側回転軸6の延在部6aの内周に配置し、ガイド部44bの外周面に、ゴム等よりなる弾性体34を介して金属又は樹脂よりなるブッシュ33を形成している。ブッシュ33は、延在部6aと相対回転可能に接している。弾性体34は、ガイド部44b及びブッシュ33と接着している。その他の構成は、実施例20と同様である。
実施例22によれば、実施例20と同様に、軸受部の小径化を図ることができ、装置の偏芯を低減、抑制させることができ、寸法精度を出すことができ、軸受部のコンパクト化が可能であり、熱の影響は問題とならず、ヒステリシス機能が安定化され、騒音振動特性が安定化される。また、ガイド部44bとブッシュ33の間に弾性体34が介在することで、ハブ部材25が弾性支持されて、ハブ部材25の偏芯を低減、抑制するとともに、モータ側回転軸7の3点支持によるこじれを抑制することができ、装置の寿命を短縮させることはない。
本発明の実施例23に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図24は、本発明の実施例23に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例23は、実施例1の変形例であり、ハブ部25aとモータ側回転軸7のスプライン係合部分に塗布されたグリスを封止する蓋部材49を設けたものである。ハブ部材25のハブ部25aにおける内周面のうちエンジン側回転軸6近傍の部分に段差凹部25fを有する。段差凹部25fには、蓋部材49が装着されている。蓋部材49は、ハブ部25aのエンジン側回転軸6側の開口を塞ぐ。エンジン側回転軸6とハブ部25aとの間の軸方向の隙間は、蓋部材49がハブ部25aに対して軸方向に移動したとしても、蓋部材49がハブ部25aから完全に外れないように設定されている。つまり、蓋部材49の軸方向の寸法は、エンジン側回転軸6とハブ部25aとの間の軸方向の隙間よりも大きく設定されている。蓋部材49は、金属、樹脂、カーボンファイバー等の弾性体よりなる。なお、蓋部材49を有することで、ハブ部25aにおいてグリス切り用の溝部25dが不要であり、フライホイール5のガイド部5aにおいてグリス排出用の貫通穴部(図2の5cに相当)も不要である。その他の構成は、実施例1と同様である。
実施例23によれば、実施例1と同様な効果を奏するとともに、蓋部材49によって、ハブ部25aとモータ側回転軸7のスプライン係合部分に塗布されたグリスを封止することにより、ヒステリシス部4へのグリス流入が防止され、ヒステリシス機能が安定化され、騒音振動特性が安定化される。
本発明の実施例24に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図25は、本発明の実施例24に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例24は、実施例1の変形例であり、ハブ部25aとモータ側回転軸7のスプライン係合部分に塗布されたグリスを封止する蓋部材50を設けたものである。ハブ部材25におけるハブ部25aのエンジン側回転軸6近傍の外周部分に蓋部材50が装着されている。蓋部材50は、ハブ部25aのエンジン側回転軸6側の開口を塞ぐ。エンジン側回転軸6とハブ部25aとの間の軸方向の隙間は、蓋部材50がハブ部25aに対して軸方向に移動したとしても、蓋部材50がハブ部25aから完全に外れないように設定されている。つまり、蓋部材50の軸方向の寸法は、エンジン側回転軸6とハブ部25aとの間の軸方向の隙間よりも大きく設定されている。蓋部材50は、金属、樹脂、カーボンファイバー等の弾性体よりなる。なお、蓋部材50を有することで、ハブ部25aにおいてグリス切り用の溝部(図2の25dに相当)が不要であり、フライホイール5のガイド部5aにおいてグリス排出用の貫通穴部(図2の5cに相当)も不要である。その他の構成は、実施例1と同様である。
実施例24によれば、実施例1と同様な効果を奏するとともに、蓋部材50によって、ハブ部25aとモータ側回転軸7のスプライン係合部分に塗布されたグリスを封止することにより、ヒステリシス部4へのグリス流入が防止され、ヒステリシス機能が安定化され、騒音振動特性が安定化される。
本発明の実施例25に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図26は、本発明の実施例25に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。図27は、本発明の実施例25に係るトルク変動吸収装置の変形例の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。
実施例25は、実施例7(図8参照)の変形例であり、サイドプレート17のガイド部17cの先端部をフライホイール5ではなくエンジン側回転軸6の延在部6aの内周に挿入したものである(図26参照)。ガイド部17cは、エンジン側回転軸6の延在部6aの内周面と当接し、エンジン側回転軸6に回転可能に支持されている。これにより、サイドプレート17の偏芯を規制する。ガイド部17cは、貫通した1個以上の貫通穴部17dを有する。貫通穴部17dは、ハブ部25aとモータ側回転軸7のスプライン係合部分に塗布されたグリスが遠心力により飛散したときに、ガイド部17cの内周側に集まったグリスを外周側に排出するための穴である。サイドプレート17とハブ部材25との軸方向及び径方向の間には、スラスト部材36が介在している。その他の構成は、実施例7と同様である。
なお、図26ではガイド部17cはエンジン側回転軸6の延在部6aの内周面と当接しているが、図27のように、ガイド部17cの外周面と延在部6aの内周面との間に、弾性体よりなるブッシュ(ブッシュ部材51のブッシュ部51b)を介在させてもよい。ブッシュ部51bは、サイドプレート17のガイド部17cをエンジン側回転軸6の延在部6aに相対回転可能に支持するためのものである。ブッシュ部材51は、ブッシュ部51bの一端にてガイド部17cの開口を塞ぐ蓋部51aを有し、ブッシュ部51bの他端にて外周に延在したフランジ部51cを有する。フランジ部51cは、ブッシュ部材51がガイド部17cから抜け落ちるのを防止するためのものであり、エンジン側回転軸6の延在部6aの先端部とガイド部17cの段差部(サイドプレート17の本体でも可)との間に配されている。
実施例25によれば、実施例7と同様に、軸受部の小径化を図ることができ、装置の偏芯を低減、抑制させることができ、寸法精度を出すことができ、軸受部のコンパクト化が可能であり、熱の影響は問題とならず、ヒステリシス機能を安定化させることができ、騒音振動特性を安定化させることができる。
本発明の実施例26に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図28は、本発明の実施例26に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。図29は、本発明の実施例26に係るトルク変動吸収装置におけるガイド部材の構成を模式的に示した(A)側面図、及び、(B)正面図である。図30は、本発明の実施例26に係るトルク変動吸収装置におけるガイド部材の変形例の構成を模式的に示した側面図である。
実施例26は、実施例2(図3参照)の変形例であり、ガイド部材27のガイド部27aの所定の部位にスリット27dを形成したものである(図28、図29参照)。スリット27dは、ガイド部材27が抵抗力を発生させながらサイドプレート17又はハブ部材25の微小変位を許容するために、ガイド部27aで撓むようにするためのものである。その他の構成は、実施例2と同様である。
なお、図29ではガイド部27aにスリット27dを形成しているが、図30のように、ガイド部27aに円形又は楕円形の孔27eを形成してもよい。また、このようなスリット27dや孔27eは、他の実施例において適用することも可能である。
実施例26によれば、実施例2と同様に、軸受部の小径化を図ることができ、装置の偏芯を低減、抑制させることができ、寸法精度を出すことができ、軸受部のコンパクト化が可能であり、熱の影響は問題とならず、ヒステリシス機能を安定化させることができ、騒音振動特性を安定化させることができる。また、ガイド部材27に弾性体を用いることで、ベアリングよりもコストが有利である。ガイド部材27に形成されるスリット又は孔の形状や数を調整することで、ガイド部材27の弾性率を調整することができる。また、ガイド部材27が抵抗力を発生させながら微小変位を許容することで、偏芯を低減、抑制するとともに、モータ側回転軸7の3点支持によるこじれを抑制することができ、装置の寿命を短縮させることはない。
本発明の実施例27に係るトルク変動吸収装置について図面を用いて説明する。図31は、本発明の実施例27に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した軸心付近の拡大部分断面図である。図32は、本発明の実施例27に係るトルク変動吸収装置の構成を模式的に示した図31のX−X´間の断面図である。図33は、本発明の実施例27に係るトルク変動吸収装置における弾性部材の荷重特性を模式的に示したグラフである。
実施例27は、実施例11(図12参照)の変形例であり、ガイド部38aとハブ部25aとの間の隙間に弾性部材52を介在させたものである(図31参照)。弾性部材52は、抵抗力を発生させながらハブ部材25の微小変位を許容するためのものである。弾性部材52は、ブッシュとして機能する。弾性部材52は、板ばねを環状に形成したものであり、ガイド部38a及びハブ部25aに対して交互に当接するように周方向において波状に形成されている(図32参照)。弾性部材52の厚さをdとし、ガイド部38aとハブ部25aとの間の間隔をDとすると、ガイド部38aに対して許容されるハブ部25aの微小変位はD−dである。弾性部材52の荷重特性は、図33のようになり、一般的な弾性部材の荷重特性(荷重と変位量が比例関係)と比較して、荷重が低い領域で変位率が大きく、荷重が高い領域で変位率が小さく、D−dに達すると変位しなくなる。その他の構成は実施例11と同様である。なお、このような弾性部材52は、他の実施例において適用することが可能である。
実施例27によれば、実施例11(実施例9)と同様な効果を奏するとともに、弾性部材52によって抵抗力を発生させながらハブ部材25の微小変位を許容することで、偏芯を低減、抑制するとともに、モータ側回転軸7の3点支持によるこじれを抑制することができ、装置の寿命を短縮させることはない。
本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施例ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。