JP2010223064A - 車両用内燃機関の吸気制御装置 - Google Patents

車両用内燃機関の吸気制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】車両のマスターバックのブレーキ負圧を確保しつつ、燃費を改善する。
【解決手段】V型内燃機関1のバンク1L,1R毎の吸気系を独立して配設し、マスターバック9内のブレーキ負圧が所定値未満に低下したときに、一方のバンク1Rの吸気バルブ105のリフト量を可変リフト機構102によって大きく維持し、電子スロットル5Rの絞り制御によって吸気負圧を増大させ、負圧配管8を介してマスターバック9の負圧室9aに導いてブレーキ負圧を確保し、他方のバンク1Lでは、電子スロットル5Rの開度を大きく維持し、吸気バルブ105のリフト量を可変リフト機構102によって可変に制御することによって燃費の良い運転を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用内燃機関の制動系の負圧倍力装置(マスターバック)に導かれる吸気負圧の生成を制御する装置に関する。なお、負圧とは、絶対圧力が大気圧より小さい圧力であり、本明細書で負圧が大きいとは、絶対圧力が小さく大気圧との差圧が大きいときをいい、負圧が小さいとは、絶対圧力が大きく大気圧との差圧が小さいときをいう。
特許文献1には、吸気バルブ用の可変リフト機構を備えた車両用内燃機関では、ブレーキ操作を予測して吸気バルブのリフト量を増大することにより、マスターバックに導かれる吸気負圧を増大させてブレーキ負圧を確保することが開示されている。
特開2007−218200号公報
上記特許文献1のものでは、ブレーキ負圧確保時に全気筒の吸気バルブのリフト量を増大して吸気負圧を増大させているため、ポンピングロス及びフリクションの増大による燃費の悪化が大きく、また、ブレーキ負圧確保時と、それ以外の通常制御時との切り換え時のトルクショックが増大するなどの問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、ブレーキ負圧を確保しつつ、燃費を改善すると共に、制御切換時のトルクショックを低減することを目的とする。
そのため、請求項に係る発明では、吸気バルブ用の可変リフト機構を備えた吸気系を、複数の気筒群毎に独立して配設し、車両制動系の負圧倍力装置に導く吸気負圧を、特定の気筒群の吸気系で優先して発生させるようにした。
上記発明によると、特定の気筒群の吸気系で優先して発生させた吸気負圧を車両制動系の負圧倍力装置に導いてブレーキ踏力低減を確保しつつ、他の気筒群では通常の吸気圧で運転することができるため燃費を改善でき、また、ブレーキ負圧確保時と通常制御時とで可変リフト機構の操作の切換を前記特定の気筒群で行えば済むので、切換時のトルクショックを低減できる。
本発明の実施形態にかかる吸気制御装置を備えた車両用内燃機関のシステムを示す図である。 図1の内燃機関を制御する制御ユニットとして電子コントロールユニットの構成を示すブロック図である。 図1の内燃機関に備えられる吸気バルブの可変リフト機構を示す斜視図である。 前記可変リフト機構の側面断面図である。 同上内燃機関に備えられる排気バルブの可変リフト機構を示す斜視図である。 同上排気バルブの可変リフト機構の2段階に切り換えられるリフト状態を示す断面図である。 同上内燃機関の第1実施形態におけるブレーキ負圧生成制御を示すフローチャートである。 同上内燃機関の各運転状態における制御の切換を示すマップである。 同上ブレーキ負圧生成制御におけるブレーキ負圧とブレーキ踏力の関係を示す線図である。 同上内燃機関の第2実施形態におけるブレーキ負圧生成制御を示すフローチャートである。 同上ブレーキ負圧生成制御の一部を変更した実施形態のフローチャートの、該変更部分を示す図である。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本願発明に係る吸気制御装置が適用される車両用内燃機関の実施形態を示す。
図1に示す内燃機関1は、第1バンク(第1気筒群)1L,第2バンク(第2気筒群)1Rを備える車両用のV型6気筒機関であり、両バンク1L,1Rは、それぞれ3つの気筒から構成される。
また、内燃機関1の各気筒には、2つの吸気バルブ105及び排気ポートを開閉する2つの排気バルブ106が設けられている。
各バンク1L,1Rには、前記吸気バルブ105のバルブリフト量及びバルブ作動角を連続的に可変とする可変リフト機構101L,101Rを備えている。
前記可変リフト機構101L,101Rは、別個のアクチュエータにより独立に駆動される。また、少なくとも後述する減筒運転時に運転を休止するバンク(例えば、本実施形態では第2バンク1R)の可変リフト機構(101R)は、後述する第1、第2実施形態の制御を行う場合は、ブレーキ負圧確保時以外での運転休止時のポンピングロス及び吸気バルブ105駆動のフリクション低減のため、リフトしない零リフトまでリフト量を減少できるように構成されている。
一方、第2バンク1Rには、排気バルブ106を、通常運転(非減筒運転)時は第1バンク1Lの排気バルブ106と同一のリフト特性で駆動し、減筒運転時に運転を休止するときはポンピングロス及び排気バルブ106駆動のフリクション低減のため、零リフトとするようにリフトを2段階に切り換える可変リフト機構102を備えている。また、排気バルブも吸気バルブと同様の可変リフト機構を設けてバルブリフト量及びバルブ作動角を連続的に可変に制御する場合は、該可変リフト機構を零リフトまでリフト量を減少させる構成とすればよい。
第1バンク1Lの排気バルブ106は、排気カムシャフト103により固定されたリフト特性で駆動される。
この他、図示しないが、吸気バルブ105及び排気バルブ106の少なくとも一方のバルブタイミングを可変とする可変バルブタイミング機構を各バンクに備えていてもよい。
前記第1バンク1Lの吸気ポートには第1吸気マニホールド2Lが接続され、前記第2バンク1Rの吸気ポートには第2吸気マニホールド2Rが接続される。
前記第1吸気マニホールド2Lと、第2吸気マニホールド2Rとは、独立に切り離されて設けられ、各上流のダクト部には、エアクリーナ3L,3R、エアフローセンサ4L,4R、及び電子制御スロットル5L,5Rが配設され、各吸気ポートには、燃料噴射弁21L,21Rが配設されている。
したがって、前記可変リフト機構101L,101Rを含む各バンク1L,1Rの吸気系は、独立して設けられ、バンク毎に独立した吸気制御を行うことができる。
また、後述する吸気負圧生成制御を行う第2吸気マニホールド2Rの集合部には、吸気圧を検出する吸気圧センサ6が配設されている。
内燃機関1は、上述したように所定の条件で減筒運転が行われ、該減筒運転時には、第2バンク1Rの運転が休止される。そして、前記減筒運転時に運転が休止される第2バンク1R側の第2吸気マニホールド2Rの集合部は、逆止弁7を介装した負圧配管8を介して車両制動系の負圧倍力装置(マスターバック)9の負圧室9aに接続され、第2吸気マニホールド2Rの負圧を、負圧配管8を介して負圧室に吸気負圧を導くようになっている。前記負圧室9aには、該負圧室9a内の負圧を検出するブレーキ負圧センサ10が装着されている。
前記第1バンク1Lの排気ポートには第1排気マニホールド11Lが接続され、前記第2バンク1Rの排気ポートには第2排気マニホールド11Rが接続される。
前記第1排気マニホールド11L及び第2排気マニホールド11Rの各集合部より下流側のダクト部には、第1マニホールド触媒12L及び第2マニホールド触媒12Rが介装されている。
また、前記第2排気マニホールド11Rのダクト部には、前記第2マニホールド触媒12Rをバイパスしてバイパス通路13が接続され、かつ、該バイパス通路13の上流側端部に、前記第2マニホールド触媒12Rを通る主通路と前記バイパス通路13とを選択的に開通させる通路切換弁14が配設されている。
前記通路切換弁14は、電磁石などのアクチュエータによって動作し、例えば、通電オフ状態では、スプリングによる付勢力によってバイパス通路13を遮蔽し、第2マニホールド触媒12Rを通る主通路を開放する位置を保持し、通電ON状態では、前記スプリングによる付勢力に抗するトルクが発生し、バイパス通路13を開放し、前記主通路を遮蔽する位置に弁体を駆動する。但し、通電のON・OFFに対する弁体位置を上記の特性に限定するものではなく、逆の特性であっても良い。
前記第1排気マニホールド11L及び第2排気マニホールド11Rの各下流端同士は、合流してメイン排気ダクト15に接続され、該メイン排気ダクト15には、メイン触媒(床下触媒)16が介装されている。
前記第1マニホールド触媒12L,第2マニホールド触媒12R及びメイン触媒(床下触媒)15は、排気ガス中の有害成分(NOx,CO,HC)を酸化・還元する三元触媒であり、本実施形態における排気浄化装置(触媒コンバータ)である。
前記吸気系の可変リフト機構101L,100R、排気系の可変リフト機構102、電子制御スロットル5L,5R、燃料噴射弁21L,21Rなどは、マイクロコンピュータを内蔵する電子コントロールユニット(ECU)201によって制御される。
図2は、前記電子コントロールユニット(制御ユニット)201を含む内燃機関1の制御システムを示すブロック図である。
前記電子コントロールユニット201は、CPU202、ROM203、RAM204、バックアップRAM205、及び、I/Oインターフェイス206がバスライン207を介して互いに接続されるマイクロコンピュータを中心として構成され、更に、前記I/Oインターフェイス206に接続される駆動回路208及びA/D変換器209などの周辺回路が内蔵されている。
前記I/Oインターフェイス206の入力ポートには、内燃機関1のクランクシャフトの回転に応じて出力信号POSを発生するクランク角センサ301、スタータモータへの通電をスイッチングするスタータスイッチ302、内燃機関1が搭載される車両の走行速度(車速)VSPを検出する車速センサ303などが接続されている。
更に、前記I/Oインターフェイス206の入力ポートには、上記A/D変換器209を介して、内燃機関1の吸入空気流量QAを検出するバンク1L,1R毎の前記エアフローセンサ4L,4R、内燃機関1の冷却水温度TWを検出する水温センサ51、車両の運転者が操作するブレーキペダルの開度BRを検出するブレーキセンサ52、同じくアクセルペダルの開度ACCを検出するアクセルセンサ53、バンク1L,1R毎の可変リフト機構101L,101Rの制御量CSをそれぞれ検出する角度センサ5L,54R、前記ブレーキ負圧センサ10、前記第2バンク1Rの吸気圧を検出する吸気圧センサ6、バンク1L,1R毎の前記電子制御スロットル5L,5Rのスロットル開度TVOを検出するスロットルセンサ55L,55Rなどが、上記A/D変換器29を介して接続されている。
一方、前記I/Oインターフェイス206の出力ポートには、前記通路切換弁14、前記吸気バルブ105用の可変リフト機構101L,101R、前記排気バルブ106用の可変リフト機構102、前記減筒運転時にバンク1L,1R別に制御される燃料噴射弁21L,21R等が、駆動回路208を介して接続されており、また、各気筒に設けられる点火プラグにそれぞれ直付けされるパワートランジスタ内蔵のイグニッションコイルを備えた点火モジュール56が接続されている。
前記CPU202では、ROM203に記憶されている制御プログラムに従って、I/Oインターフェイス206を介して入力されるセンサ・スイッチ類からの検出信号等を処理し、RAM204に格納される各種データ、及び、バックアップRAM205に格納されている各種学習値データ,ROM203に記憶されている固定データ等に基づき、燃料噴射量、点火時期、目標バルブリフト量等を演算し、燃料噴射制御、点火時期制御、吸気バルブ105及び排気バルブ106(第2バンク1R)の開特性の制御を行うと共に、後で詳細に説明するように、ブレーキ負圧確保時の吸気負圧生成制御を、減筒運転と組み合わせて行う。
図3は、前記吸気バルブ105のバルブリフト量及びバルブ作動角を連続的に可変とする可変リフト機構101の構造を示す斜視図である。
この図3において、吸気バルブ105の上方に、図外のクランクシャフトによって回転駆動される吸気カムシャフト150が気筒列方向に沿って回転可能に支持されている。
前記吸気カムシャフト150には、吸気バルブ105のバルブリフタ105aに当接して吸気バルブ105を開閉駆動する揺動カム151が相対回転可能に外嵌されている。
前記吸気カムシャフト150と揺動カム151との間に、吸気バルブ105のバルブ作動角及びバルブリフト量を連続的に変更するための可変リフト機構101(101L,101R)が設けられている。
前記可変リフト機構101は、図3及び図4に示すように、吸気カムシャフト150に偏心して固定的に設けられる円形の駆動カム152と、この駆動カム152に相対回転可能に外嵌するリング状リンク153と、吸気カムシャフト150と略平行に気筒列方向へ延びる制御軸154と、この制御軸154に偏心して固定的に設けられた円形の制御カム155と、この制御カム155に相対回転可能に外嵌すると共に、一端がリング状リンク153の先端に連結されたロッカアーム156と、このロッカアーム156の他端と揺動カム151とに連結されたロッド状リンク157と、を有している。
前記制御軸154は、モータ158等のアクチュエータによりギヤ列159を介して所定の制御範囲内で回転駆動される。
上記の構成により、クランクシャフトに連動して吸気カムシャフト150が回転すると、駆動カム152を介してリング状リンク153がほぼ並進移動すると共に、ロッカアーム156が制御カム155の軸心周りに揺動し、ロッド状リンク157を介して揺動カム151が揺動して吸気バルブ105が開閉駆動される。
また、前記モータ158を駆動制御して制御軸154の回転角度を変化させることにより、ロッカアーム156の揺動中心となる制御カム155の軸心位置が変化して揺動カム151の姿勢が変化する。
これにより、吸気バルブ105のバルブ作動角の中心位相が略一定のままで、吸気バルブ105のバルブ作動角及びバルブリフト量が連続的に増減変化する。
尚、バルブ作動角及びバルブリフト量が連続的に変化すると同時に、バルブ作動角の中心位相が変化するように構成した可変リフト機構101であってもよい。
前記電子コントロールユニット201には、前記制御軸154の回転角を検出する角度センサ47からの検出信号が入力され、目標のリフト量に対応する目標角度位置に前記制御軸154を回動させるべく、前記角度センサ54(54L,54R)の検出結果に基づいて前記モータ158の通電制御デューティをフィードバック制御する。
尚、前記制御軸154を回転駆動するアクチュエータとして、モータ158(電動アクチュエータ)に代えて、油圧アクチュエータなどを用いることができる。
尚、吸気バルブ105のバルブ作動角・バルブリフト量を連続的に可変とするための可変リフト機構は、上記の図3,図4に示したものに限定されない。
例えば、吸気バルブ105として、電磁力でバルブを直接的に開閉駆動する電磁駆動弁を用いることができる。
次に、前記第2バンク1Rの排気バルブ106のリフト量を通常運転時の高リフト量と、零リフト量との2段階に切り換える可変リフト機構102について説明する。
該可変リフト機構102は、例えば特開平10−8935号公報に記載されているものと同様な構造であって、簡単に説明すれば、図5及び図6に示すように、排気カムシャフト30に気筒毎に設けられた高リフトカム31と、該高リフトカム31の両側に設けられて、零リフト用の円筒カム32,32と、ロッカシャフト33に揺動自在に支持されて、前記両円筒カム32,32に対応した位置に配置され、各先端部の下端が前記2つの排気バルブ106のステムエンドに当接した一体的なメインロッカアーム34と、高リフトカム31に対応した位置に設けられて、ロストモーション可能なサブロッカアーム35と、該サブロッカアーム35の下部に設けられたロストモーション機構36と、メインロッカアーム34に固定された支軸37に揺動自在に支持されて、前記サブロッカアーム35の下端部に係脱することにより該サブロッカアーム35とメインロッカアーム34とを同期連動させ、あるいは連動を解除するレバー部材38と、該レバー部材38を係脱作動させる油圧プランジャ39及びリターンスプリング40とを備えている。
前記油圧プランジャ39は、外周側に形成された油室41にロッカシャフト32内やサブロッカアーム内に形成された油圧通路41a、41bを介してオイルポンプ46から油圧が供給されて後退移動すると共に、内部に弾装されたコイルスプリング42のばね力によって進出移動するようになっている。
また、電磁式の切換制御弁43によって油圧通路41a、41bとドレン通路44あるいはオイルポンプ46の吐出油圧との導通が切り換えられるようになっている。また、前記切換制御弁43は、前記コントローラ22から出力された制御電流によって切換作動するようになっている。
以下、この可変リフト機構102の作動を簡単に説明すると、通常に排気バルブ106を高リフトカムで駆動させる場合は、前記電子コントロールユニット201が、切換制御弁43への通電を遮断し、これにより、油圧通路41a、41bは、ドレン通路44に導通されるので油圧が低下する。
したがって、図6(B)に示すように、油圧プランジャ39が、コイルスプリング42のばね力によって進出移動して、レバー部材38をリターンスプリング40のばね力に抗して反時計方向へ回動させて、レバー部材38の先端部が高速カム31のベースサークル時にサブロッカアーム35の先端側の下端顎部に係合し、サブロッカアーム35とメインロッカアーム34を連動させる。
これにより、メインロッカアーム34が、高速カム31のカムプロフィールにしたがって揺動することから、各排気弁5,5は高リフト量に切り換え制御される。
一方、後述するように減筒運転でブレーキ負圧確保の要求がないときに、零リフトに切り換える場合は、前記電子コントロールユニット201が、切換制御弁43を作動し、これにより、オイルポンプ46の吐出油圧が油室41内に供給されて、図6(A)に示すように、油圧プランジャ39がコイルスプリング42のばね力に抗して後退移動する。その結果、レバー部材38は、リターンスプリング40のばね力によって反対方向へ回動してサブロッカアーム35とメインロッカアーム34との連結を解除し、これにより、サブロッカアーム35は、ロストモーション状態になる。このため、メインロッカアーム34は、高速カム31のリフト力を受けずに、円筒カム30、30に摺接しているだけとなり、排気バルブ106のリフト量は、零リフトとなる。
次に、本第1実施形態において、第2バンク1Rでなされるブレーキ負圧確保用の吸気負圧生成を含む制御のフローを示す。
ステップS101では、減筒運転(第2バンク1Rの運転休止)中であるか否かを判定する。
前記減筒運転の判定は、図8にハッチングで示す減筒運転領域であるか否かを判定して行う。すなわち、減筒運転は、燃費向上のため内燃機関の低回転・低負荷(トルク)領域及び減速時に実行するが、アイドル運転状態では減筒運転を行うと機関振動が増大するので減筒運転を禁止する。
前記減筒運転時には、第2バンク1Rの各気筒の燃料噴射弁21Rの燃料噴射を停止すると共に点火を停止して、該第2バンク1Rの運転停止を停止し、第1バンク1Lのみで運転を行う。これにより、運転気筒の運転負荷を高めて燃費を改善することができる。第1バンク1L側は、電子制御スロットル5Lの開度を大(例えば全開)とし、可変リフト機構101Lによる吸気バルブ105のリフト量及び作動角の制御によって吸入空気量を制御しており、該制御により、ポンピングロスが低減されて、より燃費が改善される。
ステップS101で減筒運転中と判定されたときは、ステップS102へ進み、ブレーキ負圧センサ10で検出されたマスターバック9の負圧室9a内のブレーキ負圧BPが所定値BP0未満(絶対圧が所定値より大)であるかを判定する。ここで、前記所定値BP0は、図9に示すようにブレーキ負圧が減少して(大気圧に近づいて)運転者のブレーキ操作に要するブレーキ踏力が増大しはじめる点より、所定量小さい値、例えば−350mmHgに設定されており、これにより、早めにブレーキ負圧を増大させて、常に安定したブレーキ負圧を得ることができる。なお、図9は、横軸を絶対圧力で示してあり、負圧が減少する(大気圧に近づく)方向が原点から離れる方向(図示右方向)である
ブレーキ負圧BPが所定値BP0未満と判定されたときは、ステップS103へ進み、ブレーキ負圧BPを、運転休止されている第2バンク1Rの吸気負圧の増大によって確保する制御を、以下のように行う。
第2バンク1Rの可変リフト機構101Rによる吸気バルブ105の目標リフト量ILaを高リフト量ILHに設定する。該高リフト量ILHは、例えば、可変リフト機構を有さず、スロットルバルブで吸入空気量を制御する機関における吸気バルブのリフト量と同等の大きい値に設定する。
上記のように吸気バルブ105のリフト量を大きくした上で、第2バンク1Rの目標吸気負圧PBaを、ブレーキ負圧を余裕のある大きさとなるまで増大(絶対圧を減少)させる値PBah(例えば、−500mmHg)に設定する。なお、この値PBahは、オイル上がりを発生する負圧よりは小さい値に設定されている。
これにより、前記電子制御スロットル5Rが、第2バンク1R内の吸気負圧PBを、前記目標負圧PBahに収束させるように絞り制御される。
かかる制御によれば、ブレーキ負圧として供給される吸気負圧を、一方のバンク(特定の気筒群、本実施形態では第2バンク1R)の吸気系で優先的に発生させ、他方のバンク(第1バンク1L)の吸気系は、吸気負圧が小さい燃費の良い通常運転を継続して行うため、燃費を改善できる。
また、特に、減筒運転時にトルクを発生させる必要のない運転休止側のバンク(第2バンク1R)で吸気負圧を生成するため、大きな吸気負圧を速やかに生成してブレーキ負圧を確保することができ、マスターバック9によるブレーキ踏力低減機能を発揮することができる。
ステップS104では、前記通路切換弁14を駆動して、バイパス通路13を開通させる。これにより、第2排気マニホールド11R内の排気はバイパス通路13に流れ、運転停止中の低温な排気によるマニホールド触媒12Rの冷却が抑制されて、触媒活性低下を抑制できる。
一方、ステップS102で、ブレーキ負圧BPが所定値BP0以上と判定したとき、つまり、ブレーキ負圧BPを増大させる必要がないと判定したときは、減筒運転による燃費向上効果を十分発揮させる制御を行う。
このため、ステップS105では、第2バンク1Rの可変リフト機構101Rによる吸気バルブ105の目標リフト量ILaを零リフトに設定すると共に、可変リフト機構102による排気バルブ106の目標リフト量ELaも零リフトに設定する。なお、略リフト量が零、又は零まで下がらない機構で可能な範囲のほぼ最低リフトに設定してもよい。
このようにして、本実施形態では、吸気バルブ105及び排気バルブ106が共に零リフトに制御されることにより、シリンダが閉塞されて第2バンク1Rでの吸・排気の輸送が抑制されてポンピングロスを十分に抑制できると共に、吸気バルブ105駆動のフリクショントルクも十分に低減できるので、燃費改善をより促進することができる。
ステップS106では、上記のように第2バンク1Rでの吸・排気の輸送が抑制されて非燃焼低温ガスによる第2マニホールド触媒12Rの冷却が抑制されるので、通路切換弁14の通電を停止してバイパス通路13を閉じ、電力消費を低減する。
また、ステップS101で減筒運転中でないと判定されたときは、ステップS107へ進み、アイドル運転状態であるかを判定する。
アイドル運転状態と判定されたときは、ステップS108へ進み、ブレーキ負圧BPが前記所定値BP0未満であるかを判定する。
所定値BP0未満と判定されたときは、ステップS109へ進み、両バンク1L,1Rの発生トルクを同等に維持しつつ、第2バンク1Rの吸気負圧を増大させてブレーキ負圧を確保する制御を、以下のように行う。
第2バンク1Rの吸気バルブ105の目標リフト量ILaは、減筒運転時と同じく、スロットルバルブで吸入空気量制御するときと同等の高リフト量ILHに設定する。
この状態で、電子制御スロットル5Rの絞り制御によって、第1バンク1Lでのアイドル状態における発生トルクと、同等の発生トルクが得られるように吸入空気量を制御する。なお、第1バンク1Rでは、電子制御スロットル5Lの開度を大(例えば全開)に維持し、吸気バルブ105のリフト量を小さくして吸入空気量をアイドル運転に見合った少量に制御している。
バンク間のトルクを同等とするため、詳細には、第2バンク1Rでは第1バンク1Lの吸入空気量に対し、吸気負圧を大きくすることによるロス(ポンピングロスのバンク間差分+カムフリクションのバンク間差分)分だけ、吸入空気量を増大補正して設定すればよい。
このように、本実施形態では、非減筒運転(全気筒運転)時にも、ブレーキ負圧を確保するときは、一方のバンク(第2バンク1R)の吸気系で優先的に発生させ、他方のバンク(第1バンク1L)の吸気系は、吸気負圧が小さい燃費の良い通常運転を継続して行うため、全気筒でブレーキ負圧生成用に吸気負圧を大きくする従来例に比較して燃費を改善できる。
また、アイドル運転状態で減筒運転を行うと運転気筒が偏るため振動が増大するが、本実施形態では、両バンク1L,1Rの発生トルクを同等とするように制御するため、振動も抑制できる。
また、ステップS107でアイドル運転状態でないと判定されたとき、または、ステップS108でブレーキ負圧BPが所定値BP0以上と判定されたときは、ステップS110へ進み、第1バンク1Lと同様に制御する。すなわち、電子制御スロットル5Rの開度を大(例えば全開)とし、可変リフト機構101Rによる吸気バルブ105の目標リフト量を第1バンク1L側と同様に設定して吸入空気量を制御して、できるだけ燃費向上効果を高めるようにする。
ステップS109,110を経た後は、ステップS106へ進んで通路切換弁14への通電を停止してバイパス通路13を閉じる。非減筒運転時は、燃焼排気を第2マニホールド触媒12Rに導いて触媒活性を促進することができる。
以上のように、本実施形態によれば、特定のバンク(第2バンク1R)の吸気系で、車両制動系の負圧倍力装置に導く吸気負圧を優先して発生させ、他のバンク(第1バンク1L)では、吸気負圧の小さい燃費の良い運転を継続することで燃費を向上できると共に、該ブレーキ負圧を確保する運転と、それ以外の通常運転との切換時に、特定のバンクの制御を切り換えるだけで済むため、全気筒同時に制御を切り換える従来方式に比較してトルクショックを抑制できる。
上記第1実施形態では、減筒運転中でブレーキ負圧が所定値以上のときは、目標吸気負圧を一律に大きい値(例えば−500mmHg)に設定したが、直ぐに大きなブレーキ負圧を必要としない場合には、まだ余裕があるので、より小さい目標吸気負圧とすることができる。
図10は、第2バンク1Rでなされる上記に応じたブレーキ負圧確保用の吸気負圧生成制御を含む第2の実施形態のフローを示す。
図7に示した第1実施形態と相違する部分を説明すると、減筒運転中にステップS102でブレーキ負圧BPが所定値BP0未満と判定されたときは、ステップS121へ進み、アクセルOFF(アクセルペダルを離した状態)、又は、ブレーキON(ブレーキペダルを踏み込んだ状態)であるかを判定する。
ステップS121でYESと判定されたとき、つまり大きなブレーキ負圧を速やかに要する場合は、ステップS104へ進んで、第1実施形態同様に、吸気バルブ105の目標リフト量ILaは、高リフト量ILHに設定し、かつ、第2バンク1Rの目標吸気負圧BPaを大きい値(例えば−500mmHg)に設定する。
一方、ステップS121で、アクセルON(アクセルペダルを踏み込んだ状態)で、かつ、ブレーキOFF(ブレーキペダルを離した状態)と判定されたときは、ステップS122へ進み、吸気バルブ105の目標リフト量ILaは高リフト量ILHに設定するが、第2バンク1Rの目標吸気負圧BPaは、ステップS104より小さい値(例えば−350mmHg)に設定する。
このように、ブレーキ負圧増大の要求はあるが、直ぐに制動に供されない状態では、目標吸気負圧BPaを小さく設定することにより、燃費を向上できる。
以上の実施形態では、減筒運転中でブレーキ負圧BPが所定値未満BP0のとき、図7、図10のステップS105で、第2バンク1Rの吸気バルブ105、排気バルブ106共に零リフトとして吸気輸送を抑制し、カムフリクションも低減してできるだけ燃費向上を高めることができる。一方、吸気を流通させるが流通抵抗を小さくしてポンピングロスを低減し、燃費向上を図ることもできる。
図11は、上記にしたがって図7、図10のステップS105の制御に代わりに、ステップS131で上記ポンピングロスを低減する制御を行う実施形態を示す。本実施形態では、第2バンク1Rの排気バルブ106を、第1バンク1Lの排気バルブ106と同様、排気カムシャフトにより一定の高リフト量特性で駆動する構成とする。
ステップS131で、第2バンク1Rの吸気バルブ105の目標リフト量ILaを固定リフト制御方式同様の高リフト量ILHに設定し、かつ、電子制御スロットル5Rを開(全開)とする。このようにすれば、電子制御スロットル5R、吸気バルブ105、排気バルブ106のそれぞれの開口面積が大きく制御されるので、吸気流通抵抗が小さくなってポンピングロスを低減でき、燃費を向上できる。
また、本実施形態では、上記のように、第2バンク1Rの排気バルブ106のリフト量を固定するため、可変リフト機構が不要となるので、コストを低減できる。なお、吸気バルブ105のリフト量を大きくすると駆動フリクションは増大するので、ポンピングロスと駆動フリクションとの合計が最小となるようにリフト量を設定する構成としてもよい。
また、以上の実施形態では、一方のバンク(第2バンク1R)のみブレーキ負圧を生成する構成を示したが、該バンクのブレーキ負圧機能に支障を生じた場合のフェールセーフ用として、他方のバンクでも同様のブレーキ負圧生成が可能な構成の実施形態とすることもできる。
例えば、逆止弁7を介装した負圧配管8を第1マニホールド2Lの集合部と、マスターバック9の負圧室9aとの間に並列に接続し、吸気圧センサ6を第1マニホールド2Lの集合部にも設けて構成する。
第2バンク1Rのブレーキ負圧生成機能に支障を生じたときは、第1バンク1L側で上記第2バンク1R側で行ったのと同様のブレーキ負圧確保用の吸気負圧生成制御(ステップS103及びステップS109の第2バンク1Rの側制御)を行うことで、負圧配管8を介してマスターバック9の負圧室9aに吸気負圧を供給し、ブレーキ負圧を確保できる。バイパス通路13及び通路切換弁14を第1バンク1L側に設けて、ブレーキ負圧生成時には、バイパス通路4を開とする制御を行う構成としてもよいが、フェールセーフ用に一時的に使用する場合は、これらを省略してコスト低減を図るようにしてもよい。
また、正常時でもブレーキ負圧を生成するバンクを周期的に切り換える構成の実施形態とすることもできる。この実施形態では、両バンクのブレーキ負圧生成機構の他、バイパス通路13及び通路切換弁14を第1バンク1L側に設けて、両バンクで同様の制御を周期的に切り換えて行う構成とすればよい。このようにすれば、バンク毎の性能の経時変化を均等化できる。
また、以上の実施形態では、減筒運転を行うものに適用したものを示し、減筒運転時に運転休止する気筒群でブレーキ負圧を生成することにより、より大きな吸気負圧を得られる特長を有するが、減筒運転を行わない内燃機関に適用しても良好な効果が得られる。
例えば、アイドル時を除く低回転・低負荷領域(図8の減筒運転領域と同様の領域など)でブレーキ負圧を確保するときに、一部のバンク(気筒群)で吸気バルブのリフト量を大きくしつつスロットルの絞り制御によって、所望のブレーキ負圧を確保する一方、他のバンク(気筒群)ではスロットル開度を大(例えば全開)とし、吸気バルブのリフト量で吸入空気量を制御する。この場合も、両バンクのトルクが均等化するような制御とすれば、ブレーキ負圧生成制御時と通常制御時との切換時のトルクショックや機関振動を抑制できる。
また、V型内燃機関以外の3以上のバンクを備えた内燃機関、もしくは直列型内燃機関においても、複数の気筒群毎に吸気系を独立して配設し、特定の気筒群を優先させてブレーキ負圧を生成する構成としてもよく、同様の効果が得られる。
更に、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項2、請求項3のいずれか1つに記載の車両用内燃機関の吸気制御装置において、
内燃機関の前記減筒運転時、運転休止される気筒群に接続された排気通路に介装された触媒をバイパスする通路と、
前記バイパス通路と、前記触媒を経由する主通路と、を選択的に開とする通路切換弁と、
前記減筒運転時、前記バイパス通路を開とするように前記通路切換弁を制御する通路切換制御手段と、
を更に含んで構成されることを特徴とする。
このようにすれば、運転停止中の低温な排気による触媒の冷却が抑制されて、触媒活性低下を抑制できる。
(ロ)請求項2、請求項3及び(イ)のいずれか1つに記載の車両用内燃機関の吸気制御装置において、
前記減筒運転時に運転休止される気筒群の吸気バルブ及び排気バルブのリフト量を、それぞれ可変リフト機構によって零リフトに制御可能な構成とし、
前記減筒運転制御手段は、減筒運転時で、前記車両制動系の負圧倍力装置に導く吸気負圧を生成する制御を行わないときは、前記運転休止される気筒群の吸気バルブ及び排気バルブのリフト量を、零リフトに制御することを特徴とする。
このようにすれば、ブレーキ負圧確保用の吸気負圧を生成する必要がない減筒運転時には、運転休止気筒のポンピングロス、吸・排気バルブ駆動のフリクションを十分に低減して燃費を改善できる。
(ハ)請求項2、請求項3、(イ)及び(ロ)のいずれか1つに記載の車両用内燃機関の吸気制御装置において、
前記吸気負圧生成制御手段は、減筒運転時で、前記車両制動系の負圧倍力装置に導く吸気負圧を生成する制御を行うときに、制動時または制動操作が速やかに要求される運転時は、それ以外の運転時より吸気負圧を大きく制御することを特徴とする。
このようにすれば、制動時または制動操作が速やかに要求される運転時は、大きな吸気負圧が生成されてブレーキ負圧を十分に確保できる一方、それ以外のまだ余裕がある場合は、吸気負圧を小さめに制御して燃費を改善できる。
(ニ)請求項1〜請求項3、(イ)〜(ハ)のいずれか1つに記載の車両用内燃機関の吸気制御装置において、
前記吸気負圧生成制御手段によって前記車両制動系の負圧倍力装置に導く吸気負圧を生成する制御を行わないときは、前記特定の気筒群は、前記吸気バルブ用の可変リフト機構を含む吸気制御を他の気筒群と同等に行うことを特徴とする。
このようにすれば、ブレーキ負圧を確保する制御を要しないときは、特定の気筒群も他の気筒群と同様に燃費の良い運転を行うことができ、燃費が改善される。
1…内燃機関、1L…第1バンク(第1気筒群)、1R…第2バンク(第2気筒群)、2L,2R…吸気マニホールド、3L,3R…排気ダクト、4L,4R…エアフローセンサ、5L,5R…電子制御スロットル、6…吸気圧センサ、7…逆止弁、8…負圧配管、9マスターバック、9a…負圧室、10…ブレーキ負圧センサ、11L,11R…排気マニホールド、12L,12R…マニホールド触媒、13…バイパス通路、14…通路切換弁、101L,101R…吸気バルブ用の可変リフト機構、102…排気バルブ用の可変リフト機構、105…吸気バルブ、106…排気バルブ、21L,21R…燃料噴射弁

Claims (3)

  1. 車両用内燃機関の吸気バルブ用の可変リフト機構を備えた吸気系を、複数の気筒群毎に独立して配設すると共に、
    車両制動系の負圧倍力装置に導く吸気負圧を、特定の気筒群の吸気系で優先して発生させる吸気負圧生成制御手段を配設したことを特徴とする車両用内燃機関の吸気制御装置。
  2. 前記内燃機関の一部気筒の運転を休止させ、残りの気筒の運転を継続させる減筒運転を行わせる減筒運転制御手段を含み、
    前記吸気負圧生成制御手段は、前記減筒運転時、前記特定の気筒群の気筒を優先して運転を休止させる請求項1に記載の車両用内燃機関の吸気制御装置。
  3. 前記減筒運転制御手段は、前記内燃機関のアイドル運転時は前記減筒運転を禁止し、前記吸気負圧生成制御手段は、アイドル運転時に吸気負圧の生成が要求されている場合は、前記特定の気筒群で優先して吸気負圧を生成させる請求項2に記載の車両用内燃機関の吸気制御装置。
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