JP2010222972A - 内燃機関のegr制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】高圧EGR装置及び低圧EGR装置を備える内燃機関において、燃料添加前後での吸気の酸素濃度の変動をより確実に抑制する。
【解決手段】低圧EGR通路の接続部より上流側の排気に燃料添加が行われる場合に、当該燃料添加に伴って低圧EGRガスの空燃比に現れる変化を予測し、当該予測値に基づいて、当該空燃比の変化した低圧EGRガスが吸気通路に流入した場合の吸気の酸素濃度が目標酸素濃度よりリーンになるように、低圧EGRガス量を制御する。前記燃料添加に伴って変化した低圧EGRガスの空燃比の空燃比センサによる測定値が得られた後、前記目標酸素濃度よりリーンに制御された吸気と高圧EGRガスとが合流した場合の吸気の酸素濃度が前記目標酸素濃度に一致するように、当該測定値に基づいて、高圧EGRガス量を制御する。
【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関のEGR制御システムに関する。
PMフィルタの再生処理や吸蔵還元型NOx触媒の還元処理において、排気に燃料を添加することにより排気の空燃比をリッチに変化させる場合があるが、EGR装置を備えた内燃機関においてこのような排気への燃料添加が行われると、EGR装置によって吸気通路に再循環する排気の空燃比がリッチに変化することになるので、吸気の酸素濃度に変動をもたらし、燃焼変動や排気悪化の原因となる場合がある。
この問題に対し、排気への燃料添加時のEGR装置によって吸気通路に再循環する排気中の二酸化炭素の増加を予測し、この予測に基づいて、排気への燃料添加前後で吸気の酸素濃度が変動しないようにEGRガス量を減量するEGR制御を行う技術が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
特開2008−208723号公報 特開2008−175079号公報 特開2008−196371号公報 特開2008−208801号公報
上記の問題に対し、排気通路に空燃比センサを備えて燃料添加後の排気の空燃比の変動を測定し、その測定値に基づいて燃料添加前後で吸気の酸素濃度が変動しないようにEGR制御を行うことも考えられる。こうすれば予測に基づくEGR制御よりも確実に吸気の酸素濃度の変動を抑制できることが期待される。
しかしながら、EGR弁と空燃比センサとの位置関係によっては、空燃比センサによる測定値が得られるよりも先に、当該空燃比の変動した排気がEGR弁に到達してしまう場合があり、この場合、空燃比センサによる測定値に基づくEGR制御を行うことは困難である。
また、高圧EGR装置及び低圧EGR装置の2系統のEGR装置を備えたEGRシステムにおいては、燃料添加が行われる位置によって吸気の空燃比への影響の仕方が異なる場合があるので、これを考慮して高圧EGR装置及び低圧EGR装置を制御する必要がある。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、高圧EGR装置及び低圧EGR装置を備える内燃機関において、燃料添加前後での吸気の酸素濃度の変動をより確実に抑制する技術を提供することを目的とする。
この目的を達成するための本発明に係る内燃機関のEGR制御システムは、
内燃機関の排気通路に設けられたタービン及び前記内燃機関の吸気通路に設けられたコンプレッサを有する過給機と、
前記タービンより上流側の排気通路と前記コンプレッサより下流側の吸気通路とを連通する高圧EGR通路と、
前記タービンより下流側の排気通路と前記コンプレッサより上流側の吸気通路とを連通する低圧EGR通路と、
前記高圧EGR通路から前記吸気通路に流入する排気の流量を調節する高圧EGRガス量調節手段と、
前記低圧EGR通路から前記吸気通路に流入する排気の流量を調節する低圧EGRガス量調節手段と、
排気の所定の特性を測定する測定手段と、
前記排気通路における前記低圧EGR通路の接続部より上流且つ前記測定手段より上流の排気の前記特性を変化させる変化手段と、
前記低圧EGR通路を介した排気の再循環が行われる条件下で、前記変化手段により前記排気の特性に変化がもたらされた場合に、
(1)当該排気の特性の変化に起因して前記低圧EGRガス量調節手段を通過する排気の特性に生じる変化を推定し、当該推定値に基づいて、当該特性の変化した排気が前記低圧EGR通路から前記吸気通路に流入して吸気に合流した場合の吸気の酸素濃度が、前記内燃機関に吸入される吸気の酸素濃度の目標値よりリーンになるように、前記低圧EGRガス量調節手段を制御し、
(2)前記排気の特性の変化が前記測定手段によって測定された後、当該測定値に基づいて、前記目標値よりリーンの酸素濃度に制御された前記吸気が前記高圧EGR通路から前記吸気通路に流入する排気と合流した場合の吸気の酸素濃度が、前記目標値になるように、前記高圧EGRガス量調節手段を制御する
制御手段と、
を備えることを特徴とする。
低圧EGR通路を介した排気の再循環が行われる条件下で、変化手段によって排気の特性が変化させられると、低圧EGR通路から吸気通路に流入する排気(以下、「低圧EGRガス」という)の特性が変化するので、吸気の酸素濃度に変動が生じる可能性がある。
本発明では、まず、当該低圧EGRガスの特性の変化を推定し、その推定値に基づいて、吸気の酸素濃度が目標値よりリーンになるように低圧EGRガス量を制御する。そして、当該低圧EGRガスの特性の変化が測定されてから、その測定値に基づいて、目標値よりリーンに制御された酸素濃度をリッチ側に調整して目標値に一致させるように高圧EGRガス量を制御する。
低圧EGRガス量の制御は推定値に基づいて行われるため、高精度で吸気の酸素濃度を制御することができない場合もあり得るが、高圧EGRガス量の制御は測定値に基づいて行われるため、高精度で吸気の酸素濃度を制御することができる。
本発明では、まず、吸気通路の上流側において、推定値に基づく低圧EGRガス量の制御が行われ、その後、吸気通路の下流側において、測定値に基づく高圧EGRガス量の制御が行われる。従って、低圧EGRガス量の制御による吸気の酸素濃度の制御精度にかかわらず、最終的に内燃機関に吸入される吸気の酸素濃度を精度良く目標値に一致させることができる。
また、高圧EGRガス量の制御による吸気の酸素濃度の調整については、高圧EGRガス量を増加させることによって吸気の酸素濃度をリッチ側へ調整することは可能である。しかしながら、高圧EGRガス量を減少させると、高圧EGR通路の接続部より上流側の吸気通路から流入する新気及び低圧EGRガスの混合ガスの流量が増加するため、吸気の酸素濃度をリーン側へ調整することは難しい場合がある。
本発明では、まず、吸気の酸素濃度を目標値よりリーン側にする低圧EGRガス量の制御が行われ、その状態から吸気の酸素濃度を目標値に一致させるための高圧EGRガス量の制御が行われるので、高圧EGRガス量の制御による吸気の酸素濃度の調整方向は常にリッチ側への調整となる。従って、高圧EGRガス量の制御による吸気の酸素濃度の調整を確実に行うことができる。
このように、本発明のEGR制御システムによれば、低圧EGR通路を介した排気の再循環が行われる条件下で、変化手段によって排気の特性が変化させられた場合においても、低圧EGRガス量の制御及び高圧EGRガス量の制御によって吸気の酸素濃度を好適に目標値に一致させることができる。よって、変化手段による排気の特性の変化に起因して吸気の酸素濃度に変動が生じることを好適に抑制することが可能となる。
本発明において、前記制御手段は、前記排気の特性の変化が前記測定手段によって測定されてから、当該特性の変化した排気が前記低圧EGRガス量調節手段に到達するまでの時間差(以下、「排気還流遅れ」という)が、負値又は所定の閾値より短い非負値である場合に、上述した前記低圧EGRガス量調節手段及び前記高圧EGRガス量調節手段の制御を行うようにしても良い。
ここで、排気還流遅れが負であるとは、排気の特性の変化が測定手段によって測定されるより先に、当該特性の変化した排気が低圧EGRガス量調節手段に到達することを意味する。排気還流遅れが負である場合には、測定手段による測定値に基づいて低圧EGRガス量の制御を行うことはできない。
また、排気還流遅れが非負であっても、排気の特性の変化が測定手段によって測定された後、当該測定値に基づいて低圧EGRガス量の制御を行うために必要な時間を確保することができない場合には、やはり測定値に基づいて低圧EGRガス量の制御を行うことはできない。
「低圧EGRガス量を制御するために必要な時間」とは、低圧EGRガス量を所定の目標値に一致させるべく低圧EGRガス量調節手段の制御を開始してから、実際に低圧EGRガス量がその目標値に一致するまでに要する応答遅れに基づく時間である。還流遅れが応答遅れより短い場合、測定手段による測定値に基づいて低圧EGRガス量の目標値を設定しても、実際の低圧EGRガス量が当該目標値に一致するより先に、当該特性の変化した排気が低圧EGRガス量調節手段を通過してしまう。そのため、測定手段による測定値に基づいた低圧EGRガス量の制御は成り立たない。排気還流遅れは、内燃機関の回転数が速くなるほど短くなる傾向がある。上記「所定の閾値」とは、還流遅れが応答遅れより短くなるか否かを判定するための内燃機関の回転数の基準値である。
このように、排気還流遅れが負又は閾値より短い非負値である場合においても、本発明によれば、まず、排気の特性の変化の推定値に基づく低圧EGRガス量の制御が行われるので、排気還流遅れの値に依らず低圧EGRガス量の制御を開始することができる。そして、測定手段による測定値が得られた後に、当該測定値に基づく高精度の高圧EGRガス量の制御により、前記推定値に基づく低圧EGRガス量の制御によって目標値よりリーン側に制御された酸素濃度をリッチ側に調整して目標値に一致させる制御が行われるので、推定値の推定精度が低い場合でも、吸気の酸素濃度の変動を確実に抑制することができる。
本発明において、前記制御手段は、前記排気の特性の変化が前記測定手段によって測定されてから、前記目標値よりリーンの酸素濃度に制御された前記吸気が前記吸気通路にお
ける前記高圧EGR通路の接続部に到達するまでの時間差(以下、「吸気還流遅れ」という)が、所定値以上である場合に、上述した前記低圧EGRガス量調節手段及び前記高圧EGRガス量調節手段の制御を行うようにしても良い。
上述したように、本発明においては、測定手段による測定値が得られた後、当該測定値に基づいて高圧EGRガス量の制御が行われる。すなわち、測定値に基づいて高圧EGRガス量の目標値が設定され、高圧EGRガス量が当該目標値になるように高圧EGRガス量調節手段の制御が開始される。上記低圧EGRガス量の制御に係る応答遅れと同様に、高圧EGRガス量の制御にも応答遅れがある。つまり、高圧EGRガス量が目標値となるように高圧EGRガス量調節手段の制御が開始されてから、実際の高圧EGRガス量が当該目標値になるまでに遅れがある。
吸気還流遅れがこの高圧EGRガス量の制御に係る応答遅れより短い場合、実際の高圧EGRガスが、目標値よりリーンに制御された吸気の酸素濃度をリッチ側に調整して目標値に一致させることができるように設定される目標の高圧EGRガス量に一致する前に、当該目標値よりリーンの酸素濃度の吸気が高圧EGR通路の接続部を通過することになる。そのため、当該目標値よりリーンの酸素濃度の吸気が内燃機関に吸入される。
上記「所定値」とは、吸気還流遅れが高圧EGRガス量の制御に係る応答遅れより短くなるか否かを判定するための基準値である。
吸気還流遅れが所定値以上の場合に限って本発明に係る高圧EGRガス量調節手段及び低圧EGRガス量調節手段の制御を行うようにすれば、目標値よりリーンの吸気が内燃機関に吸入されることを抑制できる。
パティキュレートフィルタの再生処理や吸蔵還元型NOx触媒の還元処理等の排気浄化処理において、排気に燃料を添加したりリッチ空燃比で燃焼させたりすることによって、排気の空燃比をリッチ化させる制御が行われる場合があるが、本発明は、低圧EGR通路を介した排気の再循環が行われる条件下で、このような排気のリッチ化制御が行われる場合に好適に適用することができる。
具体的には、本発明において、
前記測定手段は、排気の空燃比を測定する空燃比測定手段を有し、
前記変化手段は、前記排気通路における前記低圧EGR通路の接続部より上流且つ前記空燃比測定手段より上流の排気に燃料を供給する燃料供給手段を有し、
前記制御手段は、前記低圧EGR通路を介した排気の再循環が行われる条件下で、前記燃料供給手段により前記排気に燃料が供給された場合に、
(1)当該排気への燃料供給に伴って生じる前記低圧EGRガス量調節手段を通過する排気の空燃比の変化を推定値、当該推定値に基づいて、当該空燃比の変化した排気が前記低圧EGR通路から前記吸気通路に流入して吸気に合流した場合の吸気の酸素濃度が、前記内燃機関に吸入される吸気の酸素濃度の目標値よりリーンになるように、前記低圧EGRガス量調節手段を制御し、
(2)前記空燃比の変化が前記空燃比測定手段により測定された後、当該測定値に基づいて、前記目標値よりリーンの酸素濃度に制御された前記吸気が前記高圧EGR通路から前記吸気通路に流入する排気と合流した場合の吸気の酸素濃度が、前記目標値になるように、前記高圧EGRガス量調節手段を制御する
ようにしても良い。
これにより、低圧EGR通路を介した排気の再循環が行われている時に、排気への燃料供給が行われた場合においても、それに起因して吸気の酸素濃度が変動することを好適に
抑制することができる。また、上述したように、排気への燃料供給によりリッチ化した排気が空燃比測定手段に到達するよりも先に低圧EGRガス量調節手段に到達する場合や、リッチ化した排気が空燃比測定手段に到達してから低圧EGRガス量調節手段に到達するまでの時間差が閾値より短い場合においても、空燃比測定手段による測定値に基づいて、精度良く吸気の酸素濃度の変動を抑制することができる。
上記構成において、前記制御手段は、前記燃料供給手段により燃料が供給される位置が、前記排気通路における前記高圧EGR通路の接続部より上流側であるか下流側であるかに応じて、前記低圧EGRガス量調節手段の制御に係る目標値を変更するようにしても良い。
高圧EGR通路の接続部より上流側の排気通路に燃料が供給される場合としては、例えば、リッチ空燃比で燃焼が行われる場合や、ポスト噴射により気筒内に燃料が供給される場合を例示できる。一方、高圧EGR通路の接続部より下流側の排気通路に燃料が供給される場合としては、例えば、高圧EGR通路の接続部より下流側の排気通路に設けられた燃料添加弁から排気に燃料が添加される場合を例示できる。
高圧EGR通路の接続部より上流側の排気通路に燃料が供給される場合、リッチ空燃比の排気は高圧EGR通路及び低圧EGR通路の両方を介して吸気通路に流入する。一方、高圧EGR通路の接続部より下流側の排気通路に燃料が供給される場合、リッチ空燃比の排気は低圧EGR通路のみを介して吸気通路に流入する。従って、リッチ空燃比の排気が吸気通路に流入した場合の吸気の酸素濃度の変動を抑制するための空気量の目標値は、高圧EGR通路の接続部より上流側の排気通路に燃料が供給される場合の方が、高圧EGR通路の接続部より下流側の排気通路に燃料が供給される場合よりも、多くなる。
この点を考慮して、燃料供給手段により排気に燃料が供給される位置に応じて低圧EGRガス量調節手段の制御に係る目標値を変更するようにすれば、排気への燃料供給に起因する吸気の酸素濃度の変動をより確実に抑制することが可能となる。
具体的には、前記制御手段は、前記燃料供給手段により前記排気通路における前記高圧EGR通路の接続部より上流側の排気に燃料が供給される場合、該接続部より下流側の排気に燃料が供給される場合よりも、前記吸気通路に流入する空気量が多くなるように、前記低圧EGRガス量調節手段の制御に係る目標値を定めると良い。
本発明により、高圧EGR装置及び低圧EGR装置を備える内燃機関において、燃料添加前後での吸気の酸素濃度の変動をより確実に抑制することが可能になる。
実施例1に係るEGR制御システムを適用するエンジンとその吸気系及び排気系の概略構成を示した平面図である。 実施例1に係るEGR制御システムにおけるエンジンの運転条件に基づく高圧EGR及び低圧EGRの切り替え制御マップを示す図である。 実施例1に係るEGR制御システムにおいて、低圧EGR通路を介した排気の再循環が行われる運転条件下で、燃料添加弁により排気に燃料添加を行う場合の、(A)燃料添加指令値、(B)燃料添加弁付近の排気の空燃比、(C)空燃比センサ付近の排気の空燃比(空燃比センサによる排気の空燃比の測定値)、(D)低圧EGR弁付近の排気の空燃比の推定値、(E)目標低圧EGRガス量の算出値、(F)低圧EGRガス量、(G)低圧EGR通路の合流部付近の吸気の酸素濃度、(H)目標高圧EGRガス量の算出値、(I)高圧EGRガス量、(J)高圧EGR通路の合流部付近の吸気の酸素濃度、それぞれの時間変化の一例を示すタイムチャートである。 実施例1に係るEGR制御システムにおけるリッチスパイク対応制御のフローチャートである。 実施例2に係るEGR制御システムにおけるリッチスパイク対応制御のフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
実施例1に係る内燃機関のEGR制御システムを説明する。図1は、本実施例に係る内燃機関のEGR制御システムを適用する内燃機関とその吸気系及び排気系の概略構成を模式的に示す図である。図1においてエンジン1は4つの気筒2を備え、各気筒2には気筒内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁29が備えられている。エンジン1には、エンジン1のクランクシャフトの回転角度を測定するクランク角度センサ22と、図示しないアクセルペダルの踏み込み量を測定するアクセル開度センサ27と、が備えられている。各気筒2は吸気マニホールド5及び排気マニホールド6に連通している。
吸気マニホールド5には吸気通路3が接続されている。吸気通路3には、排気マニホールド6内の排気の一部を高温高圧で吸気通路3に導く高圧EGR通路9が接続されている。本実施例においては、高圧EGR通路9が、本発明における「高圧EGR通路」に相当する。高圧EGR通路9の接続部より上流側の吸気通路3には、吸気通路3の流路面積を変更可能な第1スロットル弁23が備えられている。第1スロットル弁23より上流側の吸気通路3には、吸気を冷却するインタークーラ11が備えられている。インタークーラ11より上流側の吸気通路3には、過給機のコンプレッサ7が備えられている。コンプレッサ7より上流側の吸気通路3には、排気通路4内の排気の一部を低温低圧で吸気通路3に導く低圧EGR通路12が接続されている。本実施例においては、低圧EGR通路12が、本発明における「低圧EGR通路」に相当する。低圧EGR通路12の接続部より上流側の吸気通路3には、吸気通路3の流路面積を変更可能な第2スロットル弁24が備えられている。第2スロットル弁24より上流側の吸気通路3には、吸気通路3に流入する空気量を測定するエアフローメータ25が備えられている。エアフローメータ25より上流側の吸気通路3には、空気中の異物を取り除くエアクリーナ26が備えられている。
排気マニホールド6には上述した高圧EGR通路9が接続されており、排気マニホールド6と吸気通路3とを連通している。排気マニホールド6には排気通路4が接続されている。排気通路4には、排気中に燃料を添加する燃料添加弁21が備えられている。燃料添加弁21の設置位置より下流側の排気通路4には、過給機のタービン8が備えられている。タービン8より下流側の排気通路4には、排気浄化装置17が備えられている。排気浄化装置17は、排気中の微粒子物質(PM)を捕集するフィルタ18及び吸蔵還元型NOx触媒19を有する。排気浄化装置17より下流側の排気通路4における分岐部30において、上述した低圧EGR通路12が排気通路4から分岐している。
高圧EGR通路9には、高圧EGR通路9の流路面積を変更する高圧EGR弁10が備えられている。高圧EGR弁10の開度を変更することによって、高圧EGR通路9を介して吸気通路3に再循環する排気(以下、「高圧EGRガス」という)の流量を調節することができる。本実施例の高圧EGR弁10は、本発明の「高圧EGRガス量調節手段」に相当する。また、低圧EGR通路12には、低圧EGR通路12の流路面積を変更する低圧EGR弁14が備えられている。低圧EGR弁14の開度を変更することによって、
低圧EGR通路12を介して吸気通路3に再循環する排気(以下、「低圧EGRガス」という)の流量を調節することができる。本実施例の低圧EGR弁14は、本発明の「低圧EGRガス量調節手段」に相当する。低圧EGR弁より上流側(すなわち、排気通路4側)の低圧EGR通路12には、低圧EGRガスを冷却する低圧EGRクーラ13が備えられている。
排気浄化装置17について、排気浄化処理が行われる。すなわち、フィルタ18に捕集されたPMの量が所定の基準量に達したと判定されたときに、燃料添加弁21から排気中に燃料を添加することによって、フィルタ18に捕集されたPMを酸化除去する処理を行う。また、NOx触媒19に吸蔵されたNOxの量が所定の基準量に達したと判定されたときに、燃料添加弁21から排気中に燃料を添加することによって、NOx触媒19に吸蔵されたNOxをNOx触媒19から放出させて還元浄化する処理を行う。また、NOx触媒19に吸蔵された硫黄の量が所定の基準量に達したと判定されたときに、燃料添加弁21から排気中に燃料を添加することによって、NOx触媒19に吸蔵された硫黄を除去する処理を行う。
なお、排気浄化処理において排気浄化触媒17より上流の排気に燃料を供給する手段としては、燃料添加弁21による燃料添加の他に、燃料噴射弁29によってポスト噴射を行ってもよい。ポスト噴射とは主たる燃料噴射の後に燃焼に関与しないタイミングで行う少量の副噴射である。或いは、燃料噴射弁29からのメイン噴射の噴射量を増量して、リッチ空燃比での燃焼を行うようにしても良い。
排気浄化処理において排気に供給する燃料量を制御するために、本実施例のシステムでは排気通路4における低圧EGR通路12の分岐部30より下流側に空燃比センサ20を備えている。本実施例の空燃比センサ20は、本発明の「測定手段」に相当する。すなわち、本実施例は、本発明の「排気の所定の特性」を特に「排気の空燃比」とした実施例である。空燃比センサ20による排気の空燃比の測定値に基づいて、排気浄化処理を好適に実行するために必要な燃料が正確に排気に供給されるように、燃料添加弁21による燃料添加や燃料噴射弁29によるポスト噴射を制御する。
エンジン1にはエンジン1の運転を制御するコンピュータであるECU28が併設されている。ECU28には、上述したクランク角度センサ22、エアフローメータ25、空燃比センサ20、アクセル開度センサ27が接続されており、これら各センサによる測定データがECU28に入力される。また、ECU28には、上述した燃料噴射弁29、高圧EGR弁10、第1スロットル弁23、低圧EGR弁14、第2スロットル弁24、燃料添加弁21が接続されており、これら各機器の動作がECU28からの指令により制御される。ECU28はCPU、メモリ、入出力インターフェース等を備えた既知の構成を有し、接続された上記各センサから入力される測定データからエンジン1の運転状態や運転者の要求を取得し、それに基づいて上記各機器の制御目標値を算出し、各機器の動作を制御する。
本実施例のEGR制御システムでは、高圧EGR通路9及び低圧EGR通路12の2系統のEGR通路を介した排気の再循環を行うことができる。高圧EGR通路9を介した排気の再循環と、低圧EGR通路12を介した排気の再循環とは、エンジン1の運転条件に応じて切り替えられる。図2はエンジン1の運転条件(ここでは機関回転数及び機関負荷)に応じて定められる、高圧EGR通路9を介した排気の再循環及び低圧EGR通路12を介した排気の再循環の切り替え制御マップの概念図である。
図2に示すように、低負荷低回転の運転領域(図2で「HPL」と表示された領域)では、高圧EGR通路9を介した排気の再循環が行われ、それより負荷及び/又は回転数の
高い運転領域(図2で「HPL+LPL」と表示された領域)では高圧EGR通路9及び低圧EGR通路12を併用して排気の再循環が行われ、それよりさらに負荷及び/又は回転数の高い運転領域(図2で「LPL」と表示された領域)では低圧EGR通路12を介した排気の再循環が行われる。各領域において高圧EGRガス量及び低圧EGRガス量の目標値が設定され、高圧EGRガス量及び低圧EGRガス量が当該目標値となるように、高圧EGR弁10及び低圧EGR弁14の開度制御が行われる。
本実施例では、エンジン1の運転状態が、図2のHPL+LPLと表示された領域又はLPLと表示された領域に属している場合が、本発明における「低圧EGR通路を介した排気の再循環が行われる条件下」である場合に相当する。
燃料添加弁21から排気中に燃料が添加されると、添加された燃料と排気中の酸素との化学反応が進行し、排気中の酸素が消費されるため、排気の空燃比が変動する。低圧EGR通路12を介して排気の再循環が行われる運転条件下で燃料添加弁21による排気への燃料添加が行われると、空燃比の変動した排気が低圧EGR通路12を介して吸気通路3に再循環することになるので、エンジン1の吸気の酸素濃度が変動し、燃焼変動や排気悪化を招く虞がある。すなわち、本実施例の燃料添加弁21及び排気浄化処理の要請に応じて燃料添加弁21から排気へ燃料添加を行わせるECU28は、本発明における「変化手段」に相当する。
この問題に対して、燃料添加に起因して吸気の酸素濃度が変動することを、EGR制御によって抑制する技術が提案されている。このような制御を以下「リッチスパイク対応制御」と称する。例えば、燃料添加に伴って低圧EGRガスの空燃比に生じる変化を予測し、吸気の酸素濃度が変動しないように低圧EGRガス量を減量することにより、燃焼変動や排気悪化を抑制することを図る技術が知られている。しかしながら、添加燃料が排気浄化装置17においてどのように反応をするかを正確に予測することは難しいため、予測に基づく低圧EGRガス量の制御によっては、吸気の酸素濃度の変動を確実に抑制できない虞がある。
これに対し、本実施例のシステムのように、排気浄化装置17より下流側の排気通路4に空燃比センサ20が備えられている場合には、燃料添加に伴って低圧EGRガスの空燃比に生じる変化を、空燃比センサ20による排気の空燃比の測定値に基づいて正確に取得することができる。この空燃比センサ20による測定値に基づいて、吸気の酸素濃度が変動しないように低圧EGRガス量を制御すれば、燃料添加前後で吸気の酸素濃度が変動することをより確実に抑制することができる。
しかしながら、燃料添加弁21からの燃料添加に伴う排気の空燃比の変化が空燃比センサ20によって測定されるより先に、当該燃料添加に伴う変化がその空燃比に生じている低圧EGRガスが低圧EGR弁14を通過してしまう場合には、空燃比センサ20による測定値に基づいて低圧EGRガス量を制御することはできない。空燃比センサ20と低圧EGR弁14との搭載位置の関係や、排気通路4や低圧EGR通路12の通路容積等のハードウェア諸元によっては、このような状況が起こり得る。
この場合、燃料添加に起因する吸気の酸素濃度の変動を抑制するための低圧EGRガス量の制御を、空燃比センサ20による測定値に基づいて行うことができないため、燃料添加に起因する吸気の酸素濃度の変動を確実に抑制することが困難になるという問題があった。
そこで、本実施例のリッチスパイク対応制御では、まず、燃料添加に伴って低圧EGRガスの空燃比に生じる変化を予測し、当該予測に基づく低圧EGRガス量の制御を行う。
そして、燃料添加に伴う排気の空燃比の変化が空燃比センサ20によって測定された後、当該測定値に基づく高圧EGRガス量の制御を行う。この場合、低圧EGRガス量の制御は予測に基づく制御であるため、上記のように高精度の制御ができない場合もあり得るが、高圧EGRガス量の制御は測定値に基づく制御であるため、高精度の制御をすることができる。
この低圧EGRガス量の制御では、吸気の酸素濃度(低圧EGR通路12の合流部31における吸気の酸素濃度)が本来の目標値よりリーン側になるように制御する。そして、高圧EGRガス量の制御において、当該目標値よりリーンの酸素濃度をリッチ側に調整し目標値に一致させるように制御する。上記のように、高圧EGRガス量の制御による吸気の酸素濃度の制御は高精度で行うことが可能なため、このような高圧EGRガス量の制御により、吸気の酸素濃度(高圧EGR通路9の合流部32における吸気の酸素濃度)を本来の目標値に精度良く制御することができる。従って、燃料添加に起因して吸気の酸素濃度が変動することを確実に抑制することが可能となる。
このように、本実施例のリッチスパイク対応制御は、低圧EGRガスが吸気通路3に流入するタイミングと高圧EGRガスが吸気通路3に流入するタイミングとの時間差を利用して、予測値に基づく低圧EGRガス量制御と測定値に基づく高圧EGRガス量制御との2段階の制御を行うことを特徴とする。このようなリッチスパイク対応制御を行うことにより、空燃比センサ20による測定値に基づいて低圧EGRガス量の制御を行うことができないシステムにおいても、燃料添加に起因する吸気の酸素濃度の変動を確実に抑制することが可能となる。
本実施例のリッチスパイク対応制御について、図3に基づいて説明する。図3は、低圧EGR通路12を介した排気の再循環が行われる運転条件下で、燃料添加弁21により排気に燃料添加を行う場合の、(A)燃料添加指令値、(B)燃料添加弁21付近の排気の空燃比、(C)空燃比センサ20付近の排気の空燃比(空燃比センサ20による排気の空燃比の測定値)、(D)低圧EGR弁14付近の排気の空燃比の推定値、(E)目標低圧EGRガス量の算出値、(F)低圧EGRガス量、(G)低圧EGR通路12の合流部31付近の吸気の酸素濃度、(H)目標高圧EGRガス量の算出値、(I)高圧EGRガス量、(J)高圧EGR通路9の合流部32付近の吸気の酸素濃度、それぞれの時間変化の一例を示すタイムチャートである。
図3(A)に示すように、時刻t1において、燃料添加弁21から排気に燃料添加が行われたとする。この燃料添加に伴って、図3(B)に示すように、燃料添加弁21付近の排気の空燃比がリッチ空燃比A/Fvに変化する。このリッチ空燃比の排気は、排気通路4を流れ、排気浄化装置17を通過し、分岐部30から低圧EGR通路12に流入し、図3(D)に示すように、時刻t2において低圧EGR弁14に到達する。一方、このリッチ空燃比の排気は、排気通路4を流れ、排気浄化装置17及び分岐部30を通過して、図3(C)に示すように、時刻t3において空燃比センサ20に到達する。そして、空燃比センサ20により、燃料添加に伴ってリッチ化した排気の排気浄化装置17通過後の空燃比の測定値A/Fmが得られる。この排気浄化装置17通過後の排気の空燃比A/Fmは、燃料添加に伴って空燃比の変化した低圧EGRガスの空燃比と略等しいと考えられる。従って、この測定値A/Fmに基づけば、吸気の酸素濃度の変動を抑制することが可能な低圧EGRガス量の目標値を精度良く求めることができる。
しかしながら、図3(C)及び(D)に示すように、空燃比センサ20による測定値が得られるタイミングt3よりも先のタイミングt2において、燃料添加に伴って空燃比の変化した低圧EGRガスが低圧EGR弁14に到達してしまうため、空燃比センサ20による測定値A/Fmに基づいて低圧EGRガス量の目標値を求めることはできない。
そこで、本実施例のリッチスパイク対応制御では、燃料添加の実施時に、当該燃料添加に伴う空燃比の変化が低圧EGR弁14付近の低圧EGRガスに現れるタイミングt2の予測値と、当該燃料添加に伴って変化する低圧EGR弁14付近の低圧EGRガスの空燃比の予測値A/Feと、を燃料添加の実施時のエンジン1の運転状態と燃料添加弁21による燃料添加の実施態様(添加量、添加時間、添加パターン等)と、に基づいて算出する。
そして、この予測値A/Feの空燃比の低圧EGRガスが吸気通路3に流入し、合流部31より上流の吸気通路3から流入する新気と合流した場合に、該合流部31における吸気の酸素濃度が、エンジン1に吸入される吸気の酸素濃度(吸気マニホールド5における吸気の酸素濃度)の目標値Rsよりもリーンの酸素濃度Rlになるような、低圧EGRガス量の目標値GLPLlを算出する。図3(E)の実線の曲線GLPLlは、このようにして算出された低圧EGRガス量の目標値を表している。
なお、図3(E)において、破線で示した曲線GLPLSは、同じ条件で合流部31における吸気の酸素濃度が目標値R0になるように算出した場合の低圧EGRガス量を表している。従来のリッチスパイク対応制御では、このように予測値に基づいて吸気の酸素濃度が目標値R0になるように低圧EGRガス量の目標値GLPLsを求め、この目標値に応じた低圧EGRガス量制御を行うことによって、吸気の酸素濃度の変動を抑制することを図っていた。しかしながら、この予測値を精度良く求めることは上述したように困難であり、低圧EGRガス量を目標値GLPLsに制御しても吸気の酸素濃度を精度良く目標値R0に制御することができない可能性があった。
次に、低圧EGRガス量が、前記予測したタイミングt2において目標値GLPLlに一致するように、低圧EGR弁14の制御を行う。具体的には、前記予測したタイミングt2よりも、低圧EGR弁14の開度制御による低圧EGRガス量制御の応答遅れΔtLPLに相当する時間だけ早いタイミング(t2−ΔtLPL)において、図3(F)の破線VLPLlに示すような低圧EGR弁14の開度制御を開始する。ここで、「応答遅れΔtLPL」は、低圧EGRガス量を目標値GLPLlに変化させるべく低圧EGR弁14に対する開度制御を開始してから、実際に低圧EGRガス量が当該目標値GLPLlに一致するまでの遅れ時間である。なお、図3(F)は低圧EGRガス量を表すグラフであるが、タイムチャートが煩雑になることを避けるために低圧EGR弁14の開度変化VLPLlを重ねて示した。開度変化のグラフVLPLlを見る場合には、図3(F)の縦軸の上側は開弁側を表し、下側は閉弁側を表すものとする。
低圧EGR弁14の開度を破線VLPLlのように変化させることにより、図3(F)の実線の曲線GLPLlに示すように、タイミングt2において低圧EGRガス量が目標値GLPLlに変化する。これにより、吸気通路3に流入する低圧EGRガス量が減少するので、図3(G)に示すように、時刻t2において、低圧EGR通路12の合流部31における吸気の酸素濃度が、エンジン1に吸入される吸気の酸素濃度の目標値Rsよりもリーンの酸素濃度Rl’になる。
ここで、合流部31において実現される吸気の酸素濃度は、上記のように低圧EGRガスの空燃比の予測値A/Feに基づく低圧EGRガス量制御の結果として実現される酸素濃度であり、当該予測値A/Feの誤差によっては、想定した目標の酸素濃度Rlからずれている場合もある。その意味で、実際に合流部31において実現された酸素濃度を想定した目標の酸素濃度と区別するために、符号をRl’と表記した。
後述するように、本実施例のリッチスパイク対応制御では、この後、予測値ではなく測
定値に基づく高圧EGRガス量制御により、精密な吸気の酸素濃度の制御が行われるので、合流部31において実際に実現される吸気の酸素濃度Rl’が想定した目標値Rlから多少ずれていたとしても、エンジン1に吸入される吸気の酸素濃度の目標値Rsよりリーンという条件さえ満たしていれば問題はない。合流部31における酸素濃度Rl’が、目標値Rsよりリーンという条件を満たす必要がある理由については後述する。低圧EGRガスの空燃比の予測値A/Feに含まれる誤差によらず、合流部31において実際に実現される吸気の酸素濃度Rl’が確実に目標酸素濃度Rsよりリーンになるように、低圧EGRガス量制御に係る吸気の酸素濃度の目標値Rlは、目標酸素濃度Rsから一定以上離れたリーンの値とすることが好ましい。
なお、タイミングt2は、燃料添加に伴って空燃比がリッチ側に変化した低圧EGRガスが低圧EGR弁14に到達するタイミングであって、当該リッチ空燃比の低圧EGRガスが吸気通路3に流入するタイミングは、低圧EGR弁14から合流部31までの低圧EGR通路12の経路を低圧EGRガスが流通する時間だけ、t2より後であるが、ここでは簡単のためこのずれを無視してタイミングチャートを描いている。
以上のような低圧EGRガス量制御の結果、燃料添加に伴って空燃比のリッチ化した低圧EGRガスが吸気通路3に流入する段階で、吸気の酸素濃度が本来の目標酸素濃度Rsよりリーンの酸素濃度Rl’に制御された。
この後、時刻t3において、図3(C)に示したように、燃料添加に伴ってリッチ化した排気が排気浄化装置17を通過して空燃比センサ20に到達し、燃料添加に伴ってリッチ化した排気の排気浄化装置17通過後の空燃比の測定値A/Fmが得られる。
この測定値A/Fmに基づいて、上記低圧EGRガス量制御において、低圧EGRガス量を目標値GLPLlに減量することによって合流部31において実現された実際の吸気の酸素濃度Rl’(或いは実際の酸素濃度Rl’と想定した酸素濃度Rlとの誤差)を算出する。そして、当該目標値よりリーンの酸素濃度Rl’の吸気と、高圧EGR通路9から吸気通路3に流入する高圧EGRガスと、が合流するタイミングt4の予測値と、当該酸素濃度Rl’の吸気と高圧EGRガスとが合流した場合に、合流部32における吸気の酸素濃度が目標酸素濃度Rsになるような、高圧EGRガス量の目標値GHPLsを算出する。図3(H)の曲線GHPLsは、このようにして測定値A/Fmの取得時に算出された高圧EGRガス量の目標値を表している。なお、目標高圧EGRガス量GHPLsの算出に当たって必要となる高圧EGRガスの空燃比は、エンジン1の運転状態等から算出する。
そして、高圧EGRガス量が、前記予測したタイミングt4において目標値GHPLsに一致するように、高圧EGR弁10の制御を行う。具体的には、前記予測したタイミングt4よりも、高圧EGR弁10の開度制御による高圧EGRガス量制御の応答遅れΔtHPLに相当する時間だけ早いタイミング(t4−ΔtHPL)において、図3(I)の破線VHPLsに示すような高圧EGR弁10の開度制御を開始する。ここで、「応答遅れΔtHPL」は、高圧EGRガス量を目標値GHPLsに変化させるべく高圧EGR弁10に対する開度制御を開始してから、実際に高圧EGRガス量が当該目標値GHPLsに一致するまでの遅れ時間である。なお、図3(I)は高圧EGRガス量を表すグラフであるが、タイムチャートが煩雑になることを避けるために高圧EGR弁10の開度変化VHPLsを重ねて示した。開度変化のグラフVHPLsを見る場合には、図3(I)の縦軸の上側は開弁側を表し、下側は閉弁側を表すものとする。
高圧EGR弁10の開度を破線VHPLsのように変化させることにより、図3(I)の実線の曲線GHPLsに示すように、タイミングt4において高圧EGRガス量が目標
値GHPLsに変化する。これにより、吸気通路3に流入する高圧EGRガス量が増加するので、図3(J)に示すように、時刻t4において、高圧EGR通路9の合流部32における吸気の酸素濃度が、上記低圧EGRガス量制御の結果実現された酸素濃度Rl’からリッチ側に調整され、目標酸素濃度Rsに一致する。
ここで、合流部32において実現される吸気の酸素濃度は、上記のように低圧EGRガスの空燃比の測定値A/Fmに基づく高圧EGRガス量制御の結果として実現される酸素濃度であり、目標酸素濃度Rsに精度良く一致させることが可能である。この点、低圧EGRガスの空燃比の予測値A/Feに基づく低圧EGRガス量制御の結果として実現される合流部31における吸気の酸素濃度Rl’が、目標値Rlに対して誤差を含む可能性があった場合と異なる。
以上のような高圧EGRガス量制御の結果、図3(J)に示すように、燃料添加に起因して吸気の酸素濃度に変動が生じることを確実に抑制することが可能となる。
上記高圧EGRガス量制御で説明したように、高圧EGRガス量を増量することによって、合流部32における吸気の酸素濃度をリッチ側へ調整することができる。逆に、高圧EGRガス量を減量した場合、それに伴って低圧EGRガス量と空気量が増加するので、高圧EGRガス量の減量分がそのまま吸気の酸素濃度のリーン側への変化にはつながらない場合がある。つまり、高圧EGRガス量制御による吸気の酸素濃度の調整方向は、リッチ側への調整は可能であるが、リーン側への調整は難しい場合がある。
この点を考慮して、本実施例のリッチスパイク対応制御では、初めに行われる低圧EGRガス量制御において、合流部31における吸気の酸素濃度が必ず目標酸素濃度Rsよりリーンになるようにすることにより、その後に行われる高圧EGRガス量制御による吸気の酸素濃度の調整方向がリッチ側への調整に限定されるようにした。これにより、低圧EGRガス量制御及び高圧EGRガス量制御の2段階の制御による吸気の酸素濃度の制御を確実に実行できるようした。
本実施例のリッチスパイク対応制御について、図4のフローチャートに基づいて説明する。図4のフローチャートで表される処理は、エンジン1の稼働中、ECU28によって所定間隔で繰り返し実行される。
ステップS101において、ECU28は、エンジン1の運転状態を取得する。ここでは、ECU28はクランク角度センサ22によるクランク角度の測定値とアクセル開度センサ27によるアクセルペダルの踏み込み量とに基づいて、エンジン1の回転数及び負荷を算出する。
ステップS102において、ECU28は、排気に燃料添加を行う条件が成立しているか否かを判定する。上述したように、フィルタ18に捕集されたPMの量が上述した基準量に達したか否か、NOx触媒19に吸蔵されたNOxの量が上述した基準量に達したか否か、NOx触媒19に吸蔵された硫黄の量が上述した基準量に達したか否か、フィルタ18に担持される触媒やNOx触媒19を活性化させるべき条件が成立しているか否か等を判定する。ステップS102において排気燃料添加の実行条件が成立していると判定された場合(Yes)、ECU28はステップS103の処理に進む。ステップS102において排気燃料添加の実行条件が成立していないと判定された場合(No)、ECU28はこのフローチャートのルーチンを一旦抜ける。
ステップS103において、ECU28は、低圧EGR通路12を介した排気の再循環が行われる条件が成立しているかを判定する。低圧EGR通路12を介した排気の再循環
が行われる条件については、ステップS101で取得したエンジン1の運転状態と、図2に示したEGR制御マップとを参照して判定する。ステップS103において、低圧EGR通路12を介した排気の再循環の実行条件が成立していると判定された場合(Yes)、ECU28はステップS104の処理に進む。一方、ステップS103において、低圧EGR通路12を介した排気の再循環の実行条件が成立していないと判定された場合(No)、燃料添加に伴ってリッチ化した排気が低圧EGR通路12を介して吸気通路3に流入しないため、リッチスパイク対応制御を行う必要はない。よってこの場合ECU28はステップS110の処理に進み、リッチスパイク対応制御を行うことなく、通常の排気燃料添加を行う。
ステップS104において、ECU28は、燃料添加に伴ってリッチ化した排気が低圧EGR弁14に到達するタイミングt2と、当該リッチ化した排気が低圧EGR弁14に到達した時の空燃比の予測値A/Feを算出し、低圧EGR通路12の合流部31における吸気の酸素濃度の目標値Rl(エンジン1に吸入される吸気の酸素濃度の目標値Rsよりリーンの酸素濃度)を算出し、当該予測した空燃比A/Feの低圧EGRガスが吸気通路3に流入した場合の合流部31における酸素濃度が当該目標値Rlになるための低圧EGRガス量の目標値GLPLlを算出する。
ステップS105において、ECU28は、燃料添加弁21から排気への燃料添加を開始する(時刻t1)。
ステップS106において、ECU28は、ステップS104で予測したタイミングt2より低圧EGRガス量制御に係る応答遅れΔtLPLだけ早いタイミング(時刻t2−ΔtLPL)において、ステップS104で算出した目標低圧EGRガス量GLPLlに対応する低圧EGR弁14の開度制御を開始する。
ステップS107において、ECU28は、空燃比センサ20による排気の空燃比の測定値A/Fmを取得する(時刻t3)。
ステップS108において、ECU28は、ステップS107で取得した排気の空燃比の測定値A/Fmに基づいて、合流部32における吸気の酸素濃度を目標酸素濃度Rsに一致させるための高圧EGRガス量の目標値GHPLsを算出し、ステップS106の低圧EGRガス量制御の結果目標酸素濃度Rsよりリーンの酸素濃度に制御された吸気が合流部32に到達するタイミングt4を予測する。
ステップS109において、ECU28は、ステップS108で予測したタイミングt4より高圧EGRガス量制御に係る応答遅れΔtHPLだけ早いタイミング(時刻t4−ΔtHPL)において、ステップS108で算出した目標高圧EGRガス量GHPLsに対応する高圧EGR弁10の開度制御を開始する。
以上説明したフローチャートで表されるリッチスパイク対応制御を実行することにより、燃料添加に伴ってリッチ化した排気が空燃比センサ20に到達するよりも先に低圧EGR弁14に到達してしまう構成を有するEGRシステムにおいても、燃料添加に起因して吸気の酸素濃度が変動することを確実に抑制することが可能となる。本実施例では、以上説明したフローチャートの処理を実行するECU28が、本発明における「制御手段」に相当する。
なお、以上説明した実施例では、燃料添加に伴ってリッチ化した排気が空燃比センサ20に到達するよりも先に低圧EGR弁14に到達してしまう構成を有するシステムにおいて本実施例に係るリッチスパイク対応制御を実行した場合について説明したが、燃料添加
に伴ってリッチ化した排気が空燃比センサ20に到達した後に低圧EGR弁14に到達する構成のシステムにおいても、本実施例に係るリッチスパイク対応制御を適用することによって、吸気の酸素濃度の変動を好適に抑制することができるようになる場合がある。
例えば、燃料添加に伴ってリッチ化した排気が空燃比センサ20に到達してその空燃比の測定値が得られてから、当該排気が低圧EGR弁14に到達するまでの遅れ時間(以下、「排気還流遅れ」という)が、上述した低圧EGRガス量制御に係る応答遅れΔtLPLより短い場合、空燃比センサ20による測定値に基づいて低圧EGRガス量を制御することはできない。これは、空燃比センサ20によって得られた測定値に基づいて低圧EGRガス量の目標値を設定し、当該目標値に対応した低圧EGR弁14の開度制御を即座開始したとしても、実際の低圧EGRガス量が当該目標値に一致するより先に、当該リッチ化した排気が低圧EGR弁14を通過してしまうからである。還流遅れが応答遅れより短くなる条件としては、エンジン1の運転状態が高回転数である場合を例示できる。
このような場合にも、本実施例に係るリッチスパイク対応制御によれば、空燃比センサ20による測定値に基づいた高精度の吸気酸素濃度の制御を行うことができるので、燃料添加に起因する吸気酸素濃度の変動を確実に抑制することが可能となる。
なお、空燃比センサ20が分岐部30より上流側の排気通路4に設置される場合であっても、還流遅れが応答遅れより短くなり得る。従って、図1に示したEGRシステムの構成のみならず、排気浄化装置17と分岐部30の間に空燃比センサが設けられた構成のEGRシステムにおいて、還流遅れが応答遅れより短くなる場合についても、本実施例に係るリッチスパイク対応制御を適用することにより、燃料添加に起因する吸気の酸素濃度の変動を確実に抑制できるようになる。
また、排気還流遅れが応答遅れ以上である場合には、空燃比センサ20による測定値に基づいて低圧EGRガス量を制御することができるので、本実施例に係るリッチスパイク対応制御によらなくても、空燃比センサ20による測定値に基づいた高精度の吸気酸素濃度の制御を行うことはできるが、本実施例に係るリッチスパイク対応制御を実行することも可能である。
実施例1では、燃料添加弁21によって排気に燃料を添加する場合について説明したが、上述した各種排気浄化処理のために排気に燃料を供給する手段としては、他にも、燃料噴射弁29にポスト噴射を行わせる方法や、通常時よりリッチ空燃比で燃焼が行われるように燃料噴射弁29によるメイン噴射を制御する方法もある。実施例1に係るリッチスパイク対応制御は、排気の空燃比をリッチ化させる手段としていずれの燃料供給方法が採られる場合でも、或いはエンジン1の運転条件等に応じてこれらの燃料供給方法が切り替えられる場合でも、好適に適用することが可能である。
但し、図1に示すように、燃料添加弁21から排気に燃料が添加される場合には、燃料添加は高圧EGR通路9の接続部よりも下流側の排気通路4においてなされるので、燃料添加に伴ってリッチ化した排気は高圧EGR通路9を介して吸気通路3に流入することはない。一方、ポスト噴射やリッチ燃焼により排気に燃料が供給される場合には、排気通路4及び排気マニホールド6を含めた排気系の最上流において燃料供給が行われることになるので、燃料供給に伴ってリッチ化した排気が高圧EGR通路9及び低圧EGR通路12の両方を介して吸気通路3に流入する。
このことから、燃料添加弁21から排気に燃料が添加される場合に吸気の酸素濃度が変動しないようにするために必要な空気量は、ポスト噴射やリッチ燃焼によって排気に燃料
が供給される場合に吸気の酸素濃度が変動しないようにするために必要な空気量よりも、少なくて良い。
具体的には、本実施例では、燃料添加弁21からの排気への燃料添加に対応して行われるリッチスパイク対応制御における目標空気量Ga1を、数1のように求める。
Figure 2010222972
一方、ポスト噴射やリッチ燃焼による排気への燃料供給に対応して行われるリッチスパイク対応制御における目標空気量Ga2を、数2のように求める。
Figure 2010222972
数1及び数2において、Gcylは排気への燃料供給が行われる時の筒内ガス量、Gaは新気量、Gfは燃料量、EGRhplは高圧EGRガスのEGR率、A/Fセンサ値は空燃比センサ20による測定値である。
数1の第2項は、燃料添加に伴うリッチ空燃比の排気が高圧EGR通路9を介して吸気通路3に流入しないことを考慮して、ポスト噴射やリッチ燃焼に対応するリッチスパイク対応制御の目標空気量Ga2から減算される分を表す。従って、Ga1<Ga2の大小関係が成り立つ。
このように、本実施例では、排気への燃料供給が、高圧EGR通路9の接続部より上流側の排気に対して行われるか下流側の排気に対して行われるかに応じて、当該排気への燃料供給に対応して行われるリッチスパイク対応制御における目標空気量を切り替えるようにした。これにより、より正確に吸気の酸素濃度の変動を抑制することが可能となる。
なお、実施例1のリッチスパイク対応制御に本実施例を適用する場合には、低圧EGRガス量の制御において、吸気通路3における低圧EGR通路12の合流部31における吸気の酸素濃度を目標酸素濃度Rsよりリーンにするための目標低圧EGRガス量GLPLlの算出において、上記の目標空気量が用いられる。従って、燃料添加弁21からの排気への燃料添加に対応して実施例1のリッチスパイク対応制御を行う場合の目標低圧EGRガス量GLPLl1は、ポスト噴射やリッチ燃焼による排気への燃料供給に対応して実施例1のリッチスパイク対応制御を行う場合の目標低圧EGRガス量GLPLl2よりも、多くなる(GLPLl1>GLPLl2)。
ここで、本実施例に係る目標空気量の算出式の切り替え制御を実施例1に係るリッチスパイク対応制御に組み込んだ場合の処理フローについて、図5のフローチャートに基づいて説明する。
図5のフローチャートにおいて、ステップS101及びステップS102の処理は、図4で説明したステップS101及びステップS102の処理と同一であるから、説明を省略する。
本実施例では、ステップS102において肯定判定された場合(排気に燃料添加を行う条件が成立していると判定された場合)、ECU28は、ステップS201の処理に進む。
ステップS201において、ECU28は、排気への燃料添加を、燃料添加弁21から排気へ燃料を添加するか、燃料噴射弁29からポスト噴射を行うか、燃料噴射弁29からのメイン噴射を増量してリッチ空燃比での燃焼を行うか、のいずれによって実行するか決定する。これは、エンジン1の運転条件や、ステップS102において肯定判定される原因となった排気浄化処理の要請の内容に基づいて決定する。
次に、ECU28はステップS103の処理に進む。ステップS103の処理は、図4で説明したステップS103の処理と同一であるから、説明を省略する。
本実施例では、ステップS103で肯定判定された場合(低圧EGR実行条件が成立していると判定された場合)、ECU28は、ステップS202の処理に進む。ステップS103で否定判定された場合(低圧EGR実行条件が成立していないと判定された場合)は、図4に基づいて説明したように、ECU28は、ステップS110の処理に進む。
ステップS202において、ECU28は、高圧EGR通路9を介した排気の再循環が行われる条件が成立しているかを判定する。高圧EGR通路9を介した排気の再循環が行われる条件については、ステップS101で取得したエンジン1の運転状態と、図2に示したEGR制御マップとを参照して判定する。ステップS202において、高圧EGR通路9を介した排気の再循環の実行条件が成立していると判定された場合(Yes)、ECU28はステップS203の処理に進む。一方、ステップS202において、高圧EGR通路9を介した排気の再循環の実行条件が成立していないと判定された場合(No)、ECU28は図4のステップS104の処理に進む。
ステップS203において、ECU28は、燃料供給位置が高圧EGR通路9の接続部より下流側であるか否かを判定する。ステップS201において、燃料添加弁21から排気に燃料添加を行うことが決定された場合に、ステップS203において肯定判定がなされ、ECU28はステップS204の処理に進む。一方、ステップS201において、ポスト噴射又はリッチ燃焼を行うことが決定された場合に、ステップS203において否定判定がなされ、ECU28はステップS205の処理に進む。
ステップS204において、ECU28は、図4のステップS104以降のリッチスパイク対応制御において用いられる目標空気量の算出式として数1の式を選択する。
ステップS205において、ECU28は、図4のステップS104以降のリッチスパイク対応制御において用いられる目標空気量の算出式として数2の式を選択する。
ステップS204又はステップS205の処理を実行した後、ECU28は、図4のステップS104以降の処理を実行する。
本実施例では、以上説明したフローチャート及び図4のフローチャートの処理を実行するECU28が、本発明における「制御手段」に相当する。
なお、本実施例は、高圧EGR通路及び低圧EGR通路の2系統のEGR通路を有し、排気通路における高圧EGR通路の接続部よりも上流の排気に燃料を供給する手段と、下流の排気に燃料を供給する手段と、の2種類の燃料供給手段を有し、燃料供給時の吸気の酸素濃度の変動を抑制すべくリッチスパイク対応制御を行うシステムであれば、実施例1で例示したEGRシステムに限らず、どのようなシステムのリッチスパイク対応制御に対しても適用することができる。
上記各実施例は、本発明を説明するための具体例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を加えることができる。例えば、上記実施例では、排気への燃料供給によって排気の空燃比がリッチに変化する場合に、それに起因して吸気の酸素濃度が変動することを抑制するべく行うEGR制御に本発明を適用した例であるが、吸気の酸素濃度に変動を与え得る排気の特性の変化であれば、排気の酸素濃度、圧力、温度の変化等、空燃比のリッチ化に限らない。その場合、本発明の測定手段としては、空燃比センサの他、酸素濃度センサ、圧力センサ、温度センサ等を用いることができる。また、排気の空燃比の変化は、排気浄化処理に伴う排気への燃料供給によってもたらされるもの以外であっても良い。例えば、エンジン1の加速等の過渡運転に伴って排気の空燃比が変化する場合に、それに起因して吸気の酸素濃度が変動しないように行うEGR制御に本発明を適用することもできる。
1 エンジン
2 気筒
3 吸気通路
4 排気通路
5 吸気マニホールド
6 排気マニホールド
7 コンプレッサ
8 タービン
9 高圧EGR通路
10 高圧EGR弁
11 インタークーラ
12 低圧EGR通路
13 低圧EGRクーラ
14 低圧EGR弁
17 排気浄化装置
18 フィルタ
19 吸蔵還元型NOx触媒
20 空燃比センサ
21 燃料添加弁
22 クランク角度センサ
23 第1スロットル弁
24 第2スロットル弁
25 エアフローメータ
26 エアクリーナ
27 アクセル開度センサ
28 ECU
29 燃料噴射弁
30 分岐部
31 合流部
32 合流部

Claims (7)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられたタービン及び前記内燃機関の吸気通路に設けられたコンプレッサを有する過給機と、
    前記タービンより上流側の排気通路と前記コンプレッサより下流側の吸気通路とを連通する高圧EGR通路と、
    前記タービンより下流側の排気通路と前記コンプレッサより上流側の吸気通路とを連通する低圧EGR通路と、
    前記高圧EGR通路から前記吸気通路に流入する排気の流量を調節する高圧EGRガス量調節手段と、
    前記低圧EGR通路から前記吸気通路に流入する排気の流量を調節する低圧EGRガス量調節手段と、
    排気の所定の特性を測定する測定手段と、
    前記排気通路における前記低圧EGR通路の接続部より上流且つ前記測定手段より上流の排気の前記特性を変化させる変化手段と、
    前記低圧EGR通路を介した排気の再循環が行われる条件下で、前記変化手段により前記排気の特性に変化がもたらされた場合に、
    (1)当該排気の特性の変化に起因して前記低圧EGRガス量調節手段を通過する排気の特性に生じる変化を推定し、当該推定値に基づいて、当該特性の変化した排気が前記低圧EGR通路から前記吸気通路に流入して吸気に合流した場合の吸気の酸素濃度が、前記内燃機関に吸入される吸気の酸素濃度の目標値よりリーンになるように、低圧EGRガス量調節手段を制御し、
    (2)前記排気の特性の変化が前記測定手段によって測定された後、当該測定値に基づいて、前記目標値よりリーンの酸素濃度に制御された前記吸気が前記高圧EGR通路から前記吸気通路に流入する排気と合流した場合の吸気の酸素濃度が、前記目標値になるように、前記高圧EGRガス量調節手段を制御する
    制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
  2. 請求項1において、
    前記制御手段は、前記排気の特性の変化が前記測定手段によって測定されてから、当該特性の変化した排気が前記低圧EGRガス量調節手段に到達するまでの時間差が、負値又は所定の閾値より短い非負値である場合に、前記低圧EGRガス量調節手段及び前記高圧EGRガス量調節手段の制御を行うことを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
  3. 請求項1において、
    前記制御手段は、前記排気の特性の変化が前記測定手段によって測定されてから、前記目標値よりリーンの酸素濃度に制御された前記吸気が前記吸気通路における前記高圧EGR通路の接続部に到達するまでの時間差が、所定値以上である場合に、前記低圧EGRガス量調節手段及び前記高圧EGRガス量調節手段の制御を行うことを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    前記測定手段は、排気の空燃比を測定する空燃比測定手段を有し、
    前記変化手段は、前記排気通路における前記低圧EGR通路の接続部より上流且つ前記空燃比測定手段より上流の排気に燃料を供給する燃料供給手段を有し、
    前記制御手段は、前記低圧EGR通路を介した排気の再循環が行われる条件下で、前記燃料供給手段により前記排気に燃料が供給された場合に、
    (1)当該排気への燃料供給に伴って生じる前記低圧EGRガス量調節手段を通過する排気の空燃比の変化を推定値、当該推定値に基づいて、当該空燃比の変化した排気が前記
    低圧EGR通路から前記吸気通路に流入して吸気に合流した場合の吸気の酸素濃度が、前記内燃機関に吸入される吸気の酸素濃度の目標値よりリーンになるように、前記低圧EGRガス量調節手段を制御し、
    (2)前記空燃比の変化が前記空燃比測定手段により測定された後、当該測定値に基づいて、前記目標値よりリーンの酸素濃度に制御された前記吸気が前記高圧EGR通路から前記吸気通路に流入する排気と合流した場合の吸気の酸素濃度が、前記目標値になるように、前記高圧EGRガス量調節手段を制御することを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
  5. 請求項4において、
    前記制御手段は、前記燃料供給手段により燃料が供給される位置が、前記排気通路における前記高圧EGR通路の接続部より上流側であるか下流側であるかに応じて、前記低圧EGRガス量調節手段の制御に係る目標値を変更することを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
  6. 内燃機関の排気通路に設けられたタービン及び前記内燃機関の吸気通路に設けられたコンプレッサを有する過給機と、
    前記タービンより上流側の排気通路と前記コンプレッサより下流側の吸気通路とを連通する高圧EGR通路と、
    前記タービンより下流側の排気通路と前記コンプレッサより上流側の吸気通路とを連通する低圧EGR通路と、
    前記高圧EGR通路から前記吸気通路に流入する排気の流量を調節する高圧EGRガス量調節手段と、
    前記低圧EGR通路から前記吸気通路に流入する排気の流量を調節する低圧EGRガス量調節手段と、
    排気の空燃比を測定する空燃比測定手段と、
    前記排気通路における前記低圧EGR通路の接続部より上流且つ前記空燃比測定手段より上流の排気に燃料を供給する燃料供給手段と、
    前記低圧EGR通路を介した排気の再循環が行われる条件下で、前記燃料供給手段により前記排気に燃料が供給された場合に、当該排気への燃料供給に起因して吸気の酸素濃度が変動しないように、前記低圧EGRガス量調節手段を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記燃料供給手段により燃料が供給される位置が、前記排気通路における前記高圧EGR通路の接続部より上流側であるか下流側であるかに応じて、前記低圧EGRガス量調節手段の制御に係る目標値を変更することを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
  7. 請求項5又は6において、
    前記制御手段は、前記燃料供給手段により、前記排気通路における前記高圧EGR通路の接続部より上流側の排気に燃料が供給される場合、該接続部より下流側の排気に燃料が供給される場合よりも、前記吸気通路に流入する空気量が多くなるように、前記低圧EGRガス量調節手段の制御に係る目標値を定めることを特徴とする内燃機関のEGR制御システム。
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