JP2010217362A - ヒートローラの製造方法、及び該製造方法によって製造されたヒートローラを備えた定着装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】記録媒体に形成されたトナー画像を定着させるための定着装置4に用いられるヒートローラ40の製造方法であって、中空円筒形状の基材400の中空部内に、径方向に拡大及び縮小し得る網目状筒体403を、径を縮小させた状態で収容させた後、該網目状筒体の径を拡大させて前記基材の内周面に当該ヒートローラの発熱体402を固定させるようにしている。
【選択図】図2
Description
上記画像記録部を構成する感光体ドラムと転写ローラとのニップ部に搬送及び供給された用紙には、感光体ドラムの表面に形成されたトナー画像が転写される。トナー画像が転写された用紙は、定着装置でトナー画像が定着されて、排出部に排出される。
上記ヒートローラとしては、アルミニウムなどの中空円筒からなり、その内部にハロゲンランプなどの発熱体を収容し、該ハロゲンランプによって中空円筒を加熱する構成とされたものが知られている。
このようなハロゲンランプを収容したヒートローラでは、消費電力が比較的大きいという問題、及び電源投入後にヒートローラの外表面(外周面)が所定の温度(定着温度)となるまでのウォームアップタイムが長くなるという問題があった。
例えば、下記特許文献1では、金属パイプと、該金属パイプの内周面に配置された発熱体を備える耐熱絶縁層と、該耐熱絶縁層の内表面に装着された圧接体とからなる加熱定着ローラが提案されている。
上記圧接体は、上記金属パイプの内径より0〜30%大きい外径を有するゴム弾性パイプからなり、上記加熱定着ローラは、該ゴム弾性パイプによって、上記発熱体を備える耐熱絶縁層を、上記金属パイプの内周面に押し付け固着する構成とされている。
上記発熱シートは、上記抵抗発熱部材の外周面側(ローラ部材の内周面側)に絶縁部材を形成し、該絶縁部材の外周面側に、弾性を有するリン青銅からなる熱伝導体を設けた構成とされている。このロール状ヒータでは、発熱シートの熱伝導体の表面またはローラ部材の内周面に、粘性剤としてのシリコーングリースを塗布し、この粘性剤による粘性と、熱伝導体の弾性とを利用して、上記発熱シートを上記ローラ部材の内周面に密着させる構成とされている。
また、上記特許文献2に記載されたロール状ヒータでは、上記発熱シートは、上記粘性剤の粘性と、上記熱伝導体の弾性とによって、上記ローラ部材の内周面に密着された構成とされている。従って、機器の使用態様(定着温度や回転速度)などによって、上記ローラ部材と上記発熱シートとの間に位置ズレなどが発生することが考えられ、更なる改善が望まれていた。
或いは、前記網目状筒体を、バネ材料を網目状かつ筒状に形成した網目状バネ筒体とした構成においては、該網目状バネ筒体を電熱抵抗材料からなるものとしてもよい。この場合は、該網目状バネ筒体が前記基材の内周面に径を拡大させて固定化されることにより、前記発熱体を構成する。
また、基材の内周面に発熱体を固定する部材を、網目状筒体としているので、熱容量が比較的、小さくなり、発熱体からの熱が効率的に基材に伝熱され、該基材を加熱することができる。従って、当該ヒートローラのウォームアップタイムを短縮化することができる。
或いは、網目状筒体を、電熱抵抗材料からなるものとして、網目状筒体を発熱体として把握することも可能となる。これによれば、発熱体自体の熱容量を小さくすることができ、当該ヒートローラのウォームアップタイムを短縮化することができる。
すなわち、上記基材の内周面への発熱体の固定が、上記網目状バネ筒体の弾性復元力を利用してなされるので、基材の内周面と発熱体との密着性をより効果的に向上させることができるとともに、該発熱体をより強固に基材の内周面に固定させることができる。
すなわち、耐熱性チューブを膨張させて該網目状繊維筒体の径を拡大させて、その拡大状態を維持しながら加熱して網目状繊維筒体の熱硬化性耐熱樹脂を硬化させるようにしているので、基材の内周面と発熱体との密着性をより効果的に向上させることができる。
また、上記網目状繊維筒体は、例えば、基材を熱伝導性及び剛性を高めるために金属製のアルミニウムパイプ等とした場合には、該基材よりも熱膨張度が大きくなり、上記発熱体への通電により、該網目状繊維筒体が熱膨張し、その径が拡大する。これにより、該発熱体を基材の内周面により強固に固定させることができる。
すなわち、上記基材の内周面への面状発熱体の固定が、網目状筒体によってなされるので、熱容量が比較的、小さくなり、該面状発熱体からの熱が効率的に基材に伝熱され、該基材を加熱することができる。従って、当該ヒートローラのウォームアップタイムを短縮化することができる。
すなわち、発熱体自体が網目状の筒体からなるので、その熱容量を小さくすることができ、当該ヒートローラのウォームアップタイムを短縮化することができる。
また、該ヒートローラは、上述のように発熱体から基材への伝熱が効率的になされ、ウォームアップタイムを短縮することができるので、省エネルギー化(省電力化)が図れる。
図1〜図8は、第1実施形態に係る定着装置、及び該定着装置が備えるヒートローラの製造方法の一例を説明するための説明図である。
尚、以下の各実施形態の説明において示す上流側及び下流側は、それぞれ後記する用紙搬送路を搬送される用紙の搬送方向を基準として説明する。
また、網目状筒体を示す各図においては、該網目状筒体を模式的に示しており、後記するように、径が拡大、縮小された際におけるローラ軸方向に沿う長さの伸縮については、図示を省略している。
画像形成装置1の装置本体10は、用紙(記録媒体)を収容し、供給する用紙供給部2と、電子写真方式のプロセス部3及び定着装置4で構成された画像記録部と、記録後の記録済用紙の排出部5とが、この順序で高さ方向に積み重なるように構成されている。
尚、装置本体10の上部には、画像読取機能及び複写機能を実現するためのADF(オートドキュメントフィーダ)読取部及びFBS部(フラットベットスキャナ部)などを備えた画像読取装置の設置が可能とされている。
この用紙カセット20は、装置本体10に対して、抜差し可能とされている。また、用紙カセット20は、圧縮コイルバネ等によって常時上向きに弾力が付与された押上板23を備え、また、用紙の後端を規制し、搬送方向に向けて弾力が付与されるとともに用紙サイズに合わせて位置調整可能とされたエンドガイドなどを備えている。
上記用紙供給部2では、用紙カセット20に収納され堆積された用紙は、その前端部が、セパレートローラ22の周面に押し当てられる。セパレートローラ22が回転すれば、該セパレートローラ22と分離パッド21との協働作用によって、堆積された用紙がその最上層部より一枚ずつ分離され、後記する用紙搬送路6に向けて繰出される。
上記感光体ドラム30、帯電器31及びクリーニング装置35は、ドラムユニットとしてユニット化され、また上記現像器33は、現像器ユニットとしてユニット化され、両ユニットは、装置本体10に対して個々に、或いは結合された状態で着脱可能に装着される。
このプロセス部3の上流側近傍には、レジストローラ対61が設置されている。上記用紙カセット20から繰出された用紙は、レジストローラ対61によりレジストされて、上記感光体ドラム30と転写ローラ34とのニップ部に導入される。
感光体ドラム30は、図1の矢印方向に回転しながら、帯電器31によりその表面が一様にプラス(或いはマイナス)帯電され、画像情報に基づく光学画像が露光器32によって感光体ドラム30の表面に照射され、感光体ドラム30の表面には静電潜像が形成される。
転写ローラ34は、上記のように回転駆動されながら用紙をニップして搬送し、このニップ部の通過により感光体ドラム30の表面のトナー画像が用紙に転写される。トナー画像が転写された記録済用紙は、後記する定着装置4に導入され、加熱、加圧されて永久画像として定着された後、排出部5に至る。
転写ローラ34とのニップ部を経た感光体ドラム30の表面に付着、残留した残留トナーは、上記クリーニング装置35で回収されて、リサイクルトナーとして、現像器33に戻される。
上記一連の用紙の搬送は、用紙カセット20からの繰出し直後に略垂直(鉛直)に立ち上がり、定着装置4の下流側において、用紙カセット20からの繰出し方向とは略180度の方向にUターンするように形成された用紙搬送路6に沿ってなされる。
また、この現像器33から離間した位置には、トナーを収容するトナーボトル36と、該トナーボトル36からのトナーを一時的に貯留するトナーホッパ37とが設置されている。上記トナーボトル36に収容されたトナーは、トナーホッパ37を経て、スクリューコンベア(パイプスクリュー)38によって上記現像器33に供給される。
尚、現像器33としては、二成分現像剤を用いる方式のものに限らず、一成分方式、その他の方式のものも採用可能である。
上記排出ローラ対50を回転させることで、後記する定着装置4でトナー画像が定着された記録済用紙は、排出トレイ51に向けて排出される。
また、図1において、符号24は、用紙供給部2の一部を構成する手差供給部であり、装置本体10の側部に開閉自在に設けられた手差供給トレイ及び上記同様の用紙の分離繰出手段などを備えている。該手差供給部から供給された用紙は、手差搬送路を経て上記用紙搬送路6に合流される。
また、図1において符号60は、多段カセット方式としてのオプションカセット(不図示)を前記用紙カセット20の下に設置した場合に、そのオプションカセットからの用紙を搬送するための搬送路であり、該搬送路60は、上記用紙搬送路6の一部を構成する。
また、図1において、符号62は、定着装置4の下流側に設けられた切替ゲートであり、用紙搬送路6を経て上記のように片面に記録された記録済用紙を、上記排出ローラ対50を逆回転させて、両面記録のために反転搬送路7に誘導するためのものである。
定着装置4は、図2に示すように、上記プロセス部3(図1参照)の下流側に配設され、樹脂成型された定着装置ハウジング42内に、互いに押し当て状態とされたヒートローラ40とプレスローラ41とを備えている。
定着装置ハウジング42の上流側壁(図2における紙面下方)には、上記用紙搬送路6に沿って搬送されるトナー画像が転写された用紙を受入れる上流側開口421が設けられている。また、定着装置ハウジング42の下流側壁(図2における紙面上方)には、トナー画像が定着された記録済用紙を排出部5に向けて排出する下流側開口422が設けられている。
装置本体10に装着された状態で定着装置4は、図1に示すように、ヒートローラ40とプレスローラ41とのニップ部が用紙搬送路6に沿うように配置される。
剥離爪43は、その基端部が揺動自在に支持されており、ヒートローラ40の外周面に、その先端が接触するようにトーションバネなどにより常に弾力が付与されている。
また、定着装置ハウジング42には、ヒートローラ40の表面温度を計測するサーミスタ等の温度センサ44が設けられている。この温度センサ44から出力された計測温度に基づいて、ヒートローラ40の外周面が所定の定着温度に維持されるように、後記する面状発熱体402(抵抗発熱体142)への通電(ON/OFF)の制御がなされる。
尚、図示を省略しているが、定着装置ハウジング42には、後記するヒートローラ40の抵抗発熱体142への給電を行うための給電部が設けられている。
上記基材400は、図5に示すように、中空円筒形状とされたアルミニウムパイプからなる。
上記離型層401は、トナー或いは紙粉の付着を低減するためのもので、例えば、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニル共重合体等のフッ素系樹脂からなり、上記基材400の外周面に接着剤等で固着、或いは塗布形成されている。この離型層401の厚みは、30μm〜50μm程度としてもよい。
尚、上記基材400は、上記アルミニウムパイプに限らず、他の金属材からなるものとしてもよい。若しくは、電気絶縁性及び耐熱性を有する合成樹脂、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)等の合成樹脂、又はセラミックスなどを中空円筒状に形成した基材400としてもよい。
また、この耐熱絶縁層442に被覆されていない抵抗発熱体142の両端部に電極部が設けられ、上記給電部と導通されて、給電がなされる。
上記伝熱層342としては、高い熱伝導率を有する銅箔が挙げられ、10μm〜30μm程度の厚さとされている。尚、この伝熱層342としては、他のアルミニウム等の金属材としてもよく、或いは、窒化アルミニウム又は炭化ケイ素等のセラミックスとしてもよい。
上記耐熱絶縁層242及び耐熱絶縁被覆層442としては、電気絶縁性及び耐熱性を有する耐熱接着剤からなるものが挙げられ、例えば、ポリイミド系、フェノール系またはシリコーン系の接着剤により形成するようにしてもよい。該耐熱絶縁層242は、上記伝熱層342と抵抗発熱体142とを電気的に絶縁可能な程度の厚さとすればよく、例えば、10μm〜70μm程度の厚さとされている。上記耐熱絶縁被覆層442も同様、上記抵抗発熱体142と後記する網目状バネ筒体403とを電気的に絶縁可能な程度の厚さとすればよい。
上記抵抗発熱体142は、ステンレス或いはニッケルクロム等からなり、該抵抗発熱体142は、複数の線状に形成されたヒータパターンとされている。該抵抗発熱体142は、10μm〜70μm程度の厚さとされている。
このような構成により、面状発熱体402は、可撓性を有したシート状のヒータとなる。この面状発熱体402は、上記耐熱絶縁被覆層442が軸心側に向くように筒状に丸められ、上記基材400の内周面に添わせるようにして配置されて、後記する網目状バネ筒体403によって基材400の内周面に固定される。
尚、上記抵抗発熱体142を構成するヒータパターンの形成は、上記例に限らず、スパッタリング或いは蒸着、パターン印刷、ブラスト等により形成するようにしてもよい。
また、上記耐熱絶縁層242及び耐熱絶縁被覆層442としては、所定の定着温度に耐えられる耐熱性を有する他の接着剤からなるものとしてもよく、例えば、熱硬化型のエポキシ系、アクリル系等の接着剤により形成するようにしてもよい。
この網目状バネ筒体403は、例えば、薄板状とされた金属バネ材料を、打ち抜き加工、エッチング加工又はレーザー加工等によって網目状(メッシュ状)に形成し、該網目状の薄板を丸めて溶接又は接合して筒状に形成されている。若しくは、筒状とされた金属バネ材料からなる金属パイプを、上記同様の加工方法によって網目状に形成するようにしてもよい。
このような金属バネ材料で網目状かつ筒状に形成された網目状バネ筒体403は、無負荷の状態(外力が作用していない状態、自然状態)では、径が拡張(拡大)した状態(拡張状態)である(図3参照)。一方、径方向外方から内方への外力が加えられれば、径が収縮(縮小)される(図4参照)。また、このように収縮状態とされた網目状バネ筒体403に加えられた外力を除荷すれば、その弾性復元力によって該網目状バネ筒体403は、上記拡張状態に復帰する。つまり、該網目状バネ筒体403は、自己拡張機能(セルフエクスパンダブル機能)を備えている。
該網目状バネ筒体403は、図2及び図8に示すように、上記面状発熱体402が内周面に配された状態における基材400の中空部内において径が拡張されて、該面状発熱体402の内側面(軸心側の面)に添うように配置される。また、該網目状バネ筒体403は、当該網目状バネ筒体403の弾性復元力により、該面状発熱体402を基材400の内周面に押し付けるようにして、該面状発熱体402を基材400の内周面に固定している。
また、網目状バネ筒体403の弾性復元力を利用して面状発熱体402を基材400の内周面に固定するようにしているので、簡易な方法でありながら、例えば、接着剤等で固定するものと比べて、線膨張係数の差異による剥離等が生じる恐れがない。従って、面状発熱体402と基材400との密着性を向上させることができる。
また、該網目状バネ筒体403の網目の形状は、図例のような個々の開口部が菱形形状とされたものに限られず、個々の開口部がハニカム状の六角形状等とされたものとしてもよく、その他、種々の幾何学形状とされたものとしてもよい。
さらにまた、上記網目状バネ筒体403は、図8に示すように、上記基材400のローラ軸方向の全長に亘って配置された態様としているが、次のような態様としてもよい。例えば、該基材400のローラ軸方向の両端部に、後記するローラ軸部材などが嵌め入れられる場合には、該ローラ軸部材の嵌め代を残すように、該網目状バネ筒体403をローラ軸方向の中央側部位にのみ配置するような態様としてもよい。また、上記のように耐熱絶縁被覆層442が形成されていない部位の抵抗発熱体142及びその電極部に接触しないように、該網目状バネ筒体403をローラ軸方向の中央側部位にのみ配置するような態様としてもよい。
このヒートローラ40の回転駆動により、後記するプレスローラ41が従動回転して、ニップ部に導入された用紙がニップ搬送される。該ニップ部を用紙が通過する間に、転写されたトナー画像が加熱及び加圧により用紙に定着され、記録済用紙として上述の排出部5(図1参照)に向けて搬送される。
円筒状弾性部材411は、シリコーン、ウレタン等のゴム体あるいはスポンジ体からなり、プレスローラ軸410に接着剤等で固着されている。
上記離型層412は、円筒状弾性部材411の外周面に形成されており、用紙、トナー或いは紙粉の剥離性を高めるための例えば、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニル共重合体等のフッ素系樹脂チューブ等からなる。
尚、プレスローラ軸に適用される金属材料としては、SUM24LやS20Cなどの鉄鋼材にニッケル鍍金を施したものとしてもよい。また、離型層412の厚みは、30μm〜50μm程度としてもよい。
この弾性部材424により、プレスローラ41は、ヒートローラ40に向けて押し当て状態とされ、該プレスローラ41が上記ヒートローラ40に弾性的に接することで、ニップ部が形成される。
以上のように、本実施形態に係る定着装置4は、上記ヒートローラ40を備えているので、上述のように面状発熱体402と基材400の内周面との密着性が向上されることにより、定着ムラ或いは定着不良などを防止できる。また、該ヒートローラ40は、上述のように面状発熱体402から基材400への伝熱が効率的になされ、ウォームアップタイムを短縮することができるので、定着装置40の省エネルギー化(省電力化)を図ることができる。
また、弾性部材424としては、コイルバネに限らず、プレスローラ41をヒートローラ40に対して押し当て可能な押部材であればどのようなものでもよい。
さらに、図示を省略しているが、定着装置4は、ヒートローラ40とプレスローラ41とのニップ状態(接触状態)を解除するニップ解除機構を備えている。また、ヒートローラ40の表面に付着した紙粉やトナーを除去するクリーニングローラあるいはクリーニングブレードなどを備えている。
尚、図5〜図8では、上記離型層401の図示を省略している。
まず、図5に示す基材400の内周面に添わせるようにして、図6に示すように、上記面状発熱体402の伝熱層342(図2参照)が外周側となるように、該面状発熱体402を筒状に丸めて基材400の中空部内に配置する。
次いで、図7に示すように、拘束部材によって収縮状態が拘束された状態の固化網目状バネ筒体433を、上記面状発熱体402が配された基材400の中空部内に収容させる。
上記拘束部材は、比較的、低温で溶融、昇華する、或いは溶融するワックスが挙げられ、このワックスによって、収縮状態とされた上記網目状バネ筒体403(図4参照)を固化させることで、上記固化網目状バネ筒体433を形成するようにしている。
また、本実施形態では、上記網目状バネ筒体403の弾性復元力を利用して、上記面状発熱体402を基材400の内周面に固定するようにしているので、該面状発熱体402を強固に基材400の内周面に固定させることができる。
図9は、第2実施形態に係るヒートローラの製造方法を説明するための説明図であり、網目状筒体の径を収縮させた状態を示す概略縦断面図、図10は、同製造方法によって製造されたヒートローラの一例を模式的に示す一部拡大概略縦断面図である。
尚、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略或いは簡略に説明する。また、同様の工程についてもその説明を省略或いは簡略に説明する。
すなわち、該ヒートローラ140は、網目状バネ筒体404自体が当該ヒートローラ40の発熱体を構成している。
この網目状バネ筒体404は、上記バネ材料のうち、電熱抵抗材料で製されており、上記同様、網目状かつ筒状に形成されている。
また、本実施形態では、基材は、上記同様のアルミニウムパイプ400と、該アルミニウムパイプ400の内周面に形成された耐熱絶縁層141とから構成されている。この耐熱絶縁層141は、上記第1実施形態の耐熱絶縁層242(図2参照)と同様、電気絶縁性及び耐熱性を有する耐熱接着剤からなるものが挙げられ、例えば、ポリイミド系、フェノール系またはシリコーン系の接着剤により、上記同様、薄膜状に形成されている。
すなわち、本実施形態では、網目状バネ筒体404の収縮状態を拘束するための拘束部材として、図9に示すように、拘束糸8を用いている。
このように拘束糸8によって収縮状態が束縛された網目状筒体404を、上記第1実施形態と同様、上記基材の中空部内に収容させた後、該拘束糸8を解いて外すことにより、又は切除することにより、上記第1実施形態と同様、その拘束状態が解放される。この拘束状態の解放により、該網目状バネ筒体404は、上記第1実施形態と同様、弾性復元力によって径が拡張し、上記基材の中空部内において拡がり、その内周面に固定化されて、発熱体を構成する。
また、発熱体自体が網目状の筒体からなるので、その熱容量を小さくすることができ、当該ヒートローラ140のウォームアップタイムを短縮化することができる。
また、上記のように薄膜状に耐熱絶縁層141をアルミニウムパイプ400の内周面に形成する態様に代えて、薄シート状に形成された耐熱絶縁シートをアルミニウムパイプ400の内周面に配置するような態様としてもよい。
或いは、アルミニウムパイプ400の内周面に耐熱絶縁部を設ける態様に代えて、上記網目状バネ筒体404に、上記同様の耐熱絶縁樹脂をコーティングすることで、当該網目状バネ筒体404とアルミニウムパイプ400とを電気的に絶縁するようにしてもよい。
さらに、本実施形態に係る製造方法によって製造されたヒートローラ140を、上記第1実施形態において説明したヒートローラ40に代えて、上記定着装置4に設けるようにしてもよい。
さらにまた、上記第1実施形態及び第2実施形態では、網目状バネ筒体の収縮状態を拘束するための拘束部材として、ワックス及び拘束糸を例示しているが、これらに限られず、例えば、収縮状態の網目状バネ筒体を収容させるチューブ部材としてもよい。若しくは、複数のリング状部材或いはクリップ状部材などによって網目状バネ筒体の収縮状態を拘束するような態様としてもよい。
図11〜図14は、第3実施形態に係るヒートローラの製造方法、及び該製造方法によって製造されたヒートローラを説明するための説明図である。
尚、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略或いは簡略に説明する。また、同様の工程についてもその説明を省略或いは簡略に説明する。
また、図12〜図14では、上記離型層401の図示を省略している。
すなわち、図14に示すように、本実施形態に係る製造方法よって製造されたヒートローラ240は、面状発熱体402を基材400の内周面に固定するための固定部材として、網目状繊維筒体405を用いている。
該網目状繊維筒体405は、未硬化(半硬化、プリプレグ)の熱硬化性耐熱樹脂を含んだ耐熱繊維を、網目状かつ筒状にして形成されている。
上記網目状繊維筒体405は、後記するように、その径が拡大された状態における外径が、上記面状発熱体402が内周面に固定された状態における基材400の内径と略同径或いはやや大きく形成されている。また、径が縮小された状態における外径が、上記面状発熱体402が内周面に固定された状態における基材400の内径よりも小さくなるよう形成されている。
上記網目状繊維筒体405は、上記第1実施形態において説明した網目状バネ筒体403とは異なり、自己拡張機能を有しておらず、また、上記熱硬化性耐熱樹脂が未硬化の状態であるので、そのままでは、径の拡大状態を保持することができない。
従って、本実施形態では、図11に示すように、該網目状繊維筒体405の径を拡大させるために、媒体の導入により膨張し得る耐熱性チューブ9を用いるようにしている。
該耐熱性チューブ9は、例えば、耐熱性及び伸縮性のあるシリコーン系等の合成樹脂で製されており、気体又は液体等の媒体、若しくは発泡性材料等の媒体を導入することにより、膨張する構成とされている。
或いは、図12に示すように、縮小状態の網目状繊維筒体405を基材400の中空部内に収容させた後に、該網目状繊維筒体405内に、上記耐熱性チューブ9を挿入させるようにしてもよい。
この拡大状態を維持しながら加熱して、上記網目状繊維筒体405の熱硬化性耐熱樹脂を硬化させる。これにより、該網目状繊維筒体405は、径が拡大された状態、すなわち、該網目状繊維筒体405の外周面が面状発熱体402の内側面に密着した状態で硬化する。
該網目状繊維筒体405を硬化させた後、上記耐熱性チューブ9から媒体を除去し、該耐熱性チューブ9を網目状繊維筒体405から取り出すことにより、図14に示すように、ヒートローラ240が形成される。
また、該面状発熱体402を固定するための固定部材が、上記のように網目状の筒体からなる網目状繊維筒体405とされているので、該固定部材の熱容量を小さくすることができ、当該ヒートローラ240のウォームアップタイムを短縮化することができる。
さらに、上記網目状繊維筒体405は、アルミニウムパイプからなる基材400よりも熱膨張度が大きいので、上記面状発熱体402への通電により、該網目状繊維筒体405が熱膨張し、その径が拡大する。これにより、該面状発熱体402を基材400の内周面により強固に固定させることができる。
また、本実施形態に係る製造方法に用いた網目状繊維筒体405を、上記第1実施形態及び第2実施形態において説明した各ヒートローラ40,140が備える各網目状バネ筒体403,404の内側に更に設けるようにしてもよい。
8 拘束糸(拘束部材)
9 耐熱性チューブ
40,140,240 ヒートローラ
41 プレスローラ
141 耐熱絶縁層(基材)
400 アルミニウムパイプ(基材)、基材
402 面状発熱体(発熱体)
403 網目状バネ筒体(網目状筒体)
404 網目状バネ筒体(網目状筒体、発熱体)
405 網目状繊維筒体(網目状筒体)
Claims (6)
- 記録媒体に形成されたトナー画像を定着させるための定着装置に用いられるヒートローラの製造方法であって、
中空円筒形状の基材の中空部内に、径方向に拡大及び縮小し得る網目状筒体を、径を縮小させた状態で収容させた後、該網目状筒体の径を拡大させて前記基材の内周面に当該ヒートローラの発熱体を固定させることを特徴とするヒートローラの製造方法。 - 請求項1において、
前記網目状筒体は、バネ材料を網目状かつ筒状に形成した網目状バネ筒体からなり、
拘束部材によって該網目状バネ筒体の径の縮小状態を拘束させた状態で、前記基材の中空部内に収容させ、次いで、前記拘束部材による拘束状態を解放させて、弾性復元力により該網目状バネ筒体の径を拡大させることを特徴とするヒートローラの製造方法。 - 請求項1において、
前記網目状筒体は、未硬化の熱硬化性耐熱樹脂を含んだ耐熱繊維を網目状かつ筒状に形成した網目状繊維筒体からなり、
媒体の導入により膨張し得る耐熱性チューブを、該網目状繊維筒体内に挿入し、かつ、該網目状繊維筒体の径を縮小させた状態で、前記基材の中空部内に収容させ、次いで、前記耐熱性チューブを膨張させて該網目状繊維筒体の径を拡大させ、拡大状態を維持しながら加熱して前記熱硬化性耐熱樹脂を硬化させることを特徴とするヒートローラの製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記発熱体が面状発熱体からなり、該面状発熱体を、前記網目状筒体の径を拡大させることにより、前記基材の内周面に固定させることを特徴とするヒートローラの製造方法。 - 請求項2において、
前記網目状バネ筒体が電熱抵抗材料からなり、前記基材の内周面に径を拡大させて固定化されることにより、前記発熱体を構成することを特徴とするヒートローラの製造方法。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のヒートローラの製造方法によって製造されたヒートローラと、該ヒートローラに弾性的に接するプレスローラとを備えていることを特徴とする定着装置。
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