JP2010215588A - カルバミン酸エステルの製造方法 - Google Patents

カルバミン酸エステルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010215588A
JP2010215588A JP2009066120A JP2009066120A JP2010215588A JP 2010215588 A JP2010215588 A JP 2010215588A JP 2009066120 A JP2009066120 A JP 2009066120A JP 2009066120 A JP2009066120 A JP 2009066120A JP 2010215588 A JP2010215588 A JP 2010215588A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
isomer
reaction
ester
group
amine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2009066120A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaaki Shinohata
雅亮 篠畑
Nobutoshi Miyake
信寿 三宅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority to JP2009066120A priority Critical patent/JP2010215588A/ja
Publication of JP2010215588A publication Critical patent/JP2010215588A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】 炭酸エステルとアミンとを塩基性触媒存在下で反応させてカルバミン酸エステルを製造するに際し、塩基性触媒の使用量を低減させても収率よく製造することが可能なカルバミン酸エステルの製造方法を提供する。
【解決手段】 塩基性触媒存在下における炭酸エステルとアミンとの反応による、カルバミン酸エステルの製造方法であって、前記反応の際に生成するアルコールを反応系から除去しながら行なう、製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、カルバミン酸エステルの製造方法に関する。
カルバミン酸エステル(ウレタン)は、ポリウレタンフォーム、表面コーティング、エラストマー、塗料、接着剤等に広く用いられている、工業的に非常に有用な化合物である。また、カルバミン酸エステルは、ホスゲンを使用せずにイソシアネートを製造するための原料としても有用である。
イソシアネートの主な工業的製造法は、アミンとホスゲンとの反応(ホスゲン法)であり、全世界の生産量のほぼ全量がホスゲン法により生産されている。しかしながら、ホスゲン法は多くの問題がある(特許文献1、特許文献2参照)。
第1に、原料としてホスゲンを大量に使用することである。ホスゲンは極めて毒性が高く、従業者への暴露を防ぐためにその取扱いには特別の注意を要し、廃棄物を除外するための特別の装置も必要である。
第2に、ホスゲン法においては、腐食性の高い塩化水素が大量に副生するため、該塩化水素を除外するためのプロセスが必要となる上、製造されたイソシアネートには多くの場合加水分解性塩素が含有されることになり、ホスゲン法で製造されたイソシアネートを使用した場合に、ポリウレタン製品の耐候性、耐熱性に悪影響を及ぼす場合がある。
このような背景から、ホスゲンを使用しないイソシアネートの製造方法が望まれている。ホスゲンを使用しないイソシアネートの製造方法の一つとして、カルバミン酸エステルの熱分解による方法が提案されている。カルバミン酸エステルの熱分解によってイソシアネートとヒドロキシ化合物が得られることは古くから知られている(例えば、非特許文献1参照)。その基本反応は下記一般式によって例示される。
Figure 2010215588

[式中、Rは、x価の有機残基を表し、R’は、1価の有機残基を表し、xは、1以上の整数を表す。]
このように、カルバミン酸エステルは、工業的に有用な化合物である。カルバミン酸エステルの製造方法として、これまで様々な方法が提案されている。
特許文献3の記載によれば、脂肪族ジウレタンおよび/または脂環式ジウレタンおよび/または脂肪族ポリウレタンおよび/または脂環式ポリウレタンは、脂肪族第1級ジアミンおよび/または脂環式第1級ジアミンおよび/または脂肪族第1級ポリアミンおよび/または脂環式第1級ポリアミンをO−アルキルカルバメートと、アルコールの存在下にアミンのNH基:カルバメート:アルコールの比1:0.8〜10:0.25〜50で160℃〜300℃で、触媒の存在下または不存在下で反応させ、かつ必要に応じて生じるアンモニアを除去することによって得られる。
また、特許文献4の記載によると、アリールジウレタンおよび/またはアリールポリウレタンは、芳香族第1級アミンおよび/または芳香族第1級ポリアミンをO−アルキルカルバメートと、触媒の存在下または不存在下、ならびに、尿素およびアルコールの存在下または不存在下で反応させ、アリールジウレタンおよび/またはアリールポリウレタンを生じさせ、生じるアンモニアを必要に応じて除去する方法によって製造される。
他の刊行物には、カルボニル含有化合物、例えば、N−置換カルバメートおよび/またはジアルキルカーボネート、またはモノ置換尿素もしくはジ置換尿素またはモノ置換ポリ尿素もしくはジ置換ポリ尿素による、尿素および/またはジアミンの部分的置換に関する記載がある(特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9参照)。特許文献10には、(環式)脂肪族ポリアミンを尿素および芳香族ヒドロキシ化合物と反応させることにより脂肪族O−アリールウレタンを製造する方法が記載されている。
また、特許文献11によると、アミンと炭酸ジメチルとから、カルバミン酸エステルを製造する方法が開示されている。該方法は、ルイス酸触媒、鉛、チタンあるいはジルコニウム系触媒、アルカリ触媒等の存在下、アミンと炭酸ジメチルを反応させるものである。
このように、アミンと炭酸エステルとの反応によりカルバミン酸エステルを製造する方法は様々な方法が開示されているが、ルイス酸触媒を使用する方法として、次のような方法が提示されている。
特許文献12には、ルイス酸触媒を使用する芳香族アミンと炭酸エステルの反応において、反応系中に存在するアルコールを、反応中に生成するアルコールの総量に対して10〜40モル%の範囲内に維持するウレタンの製造方法が開示されている。
また、特許文献13には、炭酸エステルと芳香族アミンとを酸触媒存在下で反応させる際に、分子内にヒドロキシル基を有しない溶媒を反応系に添加する方法が開示されている。
一方、塩基性触媒を使用する方法として、特許文献14には、アミンと炭酸エステルとをアルカリ金属アルコラートないしアルカリ土類金属アルコラート存在下で反応させてカルバミン酸エステルを含有する粗反応液を製造する方法が開示されている。
特開昭59−48452号公報 特開2004−262831号公報 米国特許第4497963号公報 米国特許第4290970号公報 米国特許第4388238号公報 米国特許第4430505号公報 米国特許第4480110号公報 米国特許第4596678号公報 米国特許第4596679号公報 欧州特許出願公開第0320235号公報 米国特許第4395565号公報 特開平11−1462号公報 特開2003−201275号公報 特開平6−72982号公報
Berchte der Deutechen Chemischen Gesellschaft,第3巻,653頁,1870年
特許文献12または特許文献13に開示された方法は、反応系中へアルコールが蓄積することによる、ウレタン生成反応速度の低下及びウレタン生成反応と競合する副反応によるウレタンの収率低下、を抑制する効果があるとされている。しかしながら、それでもなお、触媒がアミンに対して10mol%使用されており、カルバミン酸エステルから触媒を除去する工程が大きな負担となっている。
特許文献14に開示された方法においては、前記粗反応液を用いてイソシアネートを製造しようとすると、該粗反応液に含有される触媒によって副反応が生起してしまう。そのため、該粗反応液に含有される触媒をイオン交換樹脂等によって中和する工程を経てから、イソシアネートの製造に使用する必要があった。この中和工程の負担を軽減するために、可能な限り少ない触媒量でカルバミン酸エステルを製造する方法の開発が必要であった。
本発明の目的は、炭酸エステルとアミンとを塩基性触媒存在下で反応させてカルバミン酸エステルを製造するに際し、塩基性触媒の使用量を低減させても収率よく製造することが可能なカルバミン酸エステルの製造方法を提供することにある。
そこで、本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討を重ねた結果、炭酸エステルとアミンとを塩基性触媒存在下で反応させてカルバミン酸エステルを製造する方法であって、反応の際に生成するアルコールを反応系から除去しながらおこなうことを特徴とするカルバミン酸エステルの製造方法により解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
[1]塩基性触媒存在下における炭酸エステルとアミンとの反応による、カルバミン酸エステルの製造方法であって、前記反応の際に生成するアルコールを反応系から除去しながら行なう、製造方法、
[2]前記アルコールの反応液中の濃度を、0.001〜20wt%の範囲に維持して行う、[1]に記載の製造方法、
[3]前記アルコールを蒸留により反応系から除去しながら行なう、[1]又は[2]に記載の製造方法、
[4]前記炭酸エステルが、下記一般式(1)で表される化合物である、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法、
Figure 2010215588

[式中、Rは炭素数1〜10の脂肪族基を示す。]
[5]前記アルコールが、下記一般式(2)で表される化合物である、[4]記載の製造方法、
OH (2)
[式中、Rは前記と同義である。]
[6]前記塩基性触媒が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコラートである、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法、
[7]前記塩基性触媒が、下記一般式(3)で表される化合物である、[6]に記載の製造方法、
OM (3)
[式中、Rは炭素数1〜10の脂肪族基を示す。Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を示す。]
[8]前記アミンが、下記一般式(4)で表される化合物である[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法、
Figure 2010215588

[式中、Rは、炭素数1〜20のn価の脂肪族基又は炭素数6〜20のn価の芳香族基である。ここで、該脂肪族基及び芳香族基は酸素原子を含んでいてもよい。また、nは、2〜10の整数である。]
[9]前記一般式(4)におけるnが2である、[8]に記載の製造方法、
を提供する。
本発明の方法により、炭酸エステルとアミン化合物とを塩基性触媒存在下で反応させてカルバミン酸エステルを製造するに際し、塩基性触媒の使用量を低減させても収率よくカルバミン酸エステルを製造することができる。また、これにより、イソシアネート製造に用いる粗反応液中の触媒の中和作業にかかる負荷を低減することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態において使用される炭酸エステルについて、特に制限はないが、上記一般式(1)で表される炭酸エステルが好ましい。
上記一般式(1)におけるRとしては、該基を構成する炭素の数が1〜10のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(各異性体)、ブチル基(各異性体)、ペンチル基(各異性体)、ヘキシル基(各異性体)、ヘプチル基(各異性体)、オクチル基(各異性体)、ノニル基(各異性体)、デシル基(各異性体)を挙げることができるが、中でも、Rが炭素数2〜6のアルキル基である炭酸エステル、すなわち、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル(各異性体)、炭酸ジブチル(各異性体)、炭酸ジペンチル(各異性体)、炭酸ジヘキシル(各異性体)が好ましい。
該炭酸エステルは、公知の方法により製造することができるが、好ましくは、スズ−酸素−炭素結合を有する有機スズ化合物と二酸化炭素を反応させて炭酸エステルを製造する。
本実施の形態において使用されるアミンについて、特に制限はないが、上記一般式(4)で表されるアミンが好ましい。
上記一般式(4)で表されるアミンのうち、好ましくはnが2以上のポリアミンであり、さらに好ましくはnが2のジアミンである。
このようなポリアミンの例としては、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(各異性体)、シクロヘキサンジアミン(各異性体)、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(各異性体)等の脂肪族ジアミン;フェニレンジアミン(各異性体)、トルエンジアミン(各異性体)4,4’−メチレンジアニリン等の芳香族ジアミンを挙げることができる。中でもヘキサメチレンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(各異性体)、シクロヘキサンジアミン(各異性体)、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(各異性体)等の脂肪族ジアミンが好ましく、更に、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンがより好ましい。
該炭酸エステルと該アミンとの反応における塩基性触媒としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコラートが好ましく使用される。該塩基性触媒におけるアルカリ金属、アルカリ土類金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムを例示することができる。一方、該塩基性触媒のアルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルキル基に酸素原子が付加したアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基(各異性体)、ペンチルオキシ基(各異性体)、ヘキシルオキシ基(各異性体)、ヘプチルオキシ基(各異性体)、オクチルオキシ基(各異性体)、ノニルオキシ基(各異性体)、デシルオキシ基(各異性体)を挙げることができる。中でも、該アルコキシ基が、当該反応に用いられる炭酸エステルと同一のR基により、RO(Rは上記で定義した基であり、Oは酸素原子を表す)で表されるものであることが好ましい。
該炭酸エステルと該アミンとの反応条件は,当該反応に用いられる具体的な化合物によって異なるが,該アミンのアミノ基に対して該炭酸エステルを化学量論比で、2〜1000倍の範囲とすることができる。反応速度を高め、反応を早期に完結させるためには、該炭酸エステルは該アミンのアミノ基に対して化学量論比で過剰量となるのが好ましいが、反応器の大きさを考慮すれば、好ましくは2〜100倍の範囲、さらに好ましくは、2.5〜30倍の範囲である。
反応温度は、通常、常温(20℃)〜300℃の範囲であり、反応速度を高めるためには高温が好ましいが、一方で、高温では好ましくない反応も起こる場合があるので、好ましくは50℃〜150℃の範囲である。反応温度を一定にするために、上記反応器に公知の冷却装置、加熱装置を設置してもよい。また、反応圧力は、用いる化合物の種類や反応温度によって異なるが、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよく、通常20〜1×10Paの範囲で行われる。
反応時間(連続法の場合は滞留時間)に、特に制限はなく、通常0.001〜50時間、好ましくは0.01〜10時間、より好ましくは0.1〜5時間である。また、反応液を採取し、例えば、液体クロマトグラフィーによってカルバミン酸アルキルが所望量生成していることを確認して反応を終了することもできる。
本実施の形態においては、必ずしも反応溶媒を使用する必要はないが、反応操作を容易にする等の目的で適当な不活性溶媒、例えば、ヘキサン(各異性体)、ヘプタン(各異性体)、オクタン(各異性体)、ノナン(各異性体)、デカン(各異性体)等のアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン(各異性体)、エチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン(各異性体)、ジブチルベンゼン(各異性体)、ナフタレン等の芳香族炭化水素およびアルキル置換芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(各異性体)、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン(各異性体)、クロロナフタレン、ブロモナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロナフタレン等のハロゲンもしくはニトロ基によって置換された芳香族化合物類;ジフェニル、置換ジフェニル、ジフェニルメタン、ターフェニル、アントラセン、ジベンジルトルエン(各異性体)等の多環炭化水素化合物類;シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類;ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ベンジルブチルフタレート等のエステル類;ジフェニルエーテル、ジフェニルスルフィド等のエーテル類およびチオエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等のスルホキシド類等を反応溶媒として好適に使用することができる。これらの溶媒は単独でも2種類以上の混合物として使用することもできる。また、アミンのアミノ基に対して過剰量使用される炭酸エステルも、該反応における溶媒として好適に使用できる。
上記一般式(1)で表される炭酸エステルを用いた反応においては、下記一般式(2)で表されるアルコールが生成する。
OH (2)
[式中、Rは、上記で定義した基である。]
本実施の形態の方法は、塩基性触媒存在下における炭酸エステルとアミンとの反応において生成するアルコールを、反応系より除去しながら反応を行なうことを特徴としている。
驚くべきことに、本発明者らは、当該反応において生成するアルコールが該塩基性触媒の活性を低下させ、カルバミン酸エステルの生成速度を低下させるだけでなく、カルバミン酸エステルの収率を低下させる場合があることを見出した。詳細な機構については明らかではないが、本発明者らは、カルバミン酸エステル生成反応経路中に、活性種とアルコールとの平衡反応が存在しているためではないかと推測している。
したがって、本実施の形態では、該炭酸エステルとアミンとの反応において生成するアルコールを、反応系から除去しながら反応をおこなう。反応系からアルコールを除去する方法としては、蒸留分離、膜分離等の公知の方法を用い、アルコールを反応液から分離することで達成できる。このうち、蒸留分離による方法が簡便であり好ましい。このような観点から、反応は減圧下でおこなわれることが好ましい。
上記の方法により、反応液中のアルコール濃度を、好ましくは20wt%以下、より好ましくは10wt%以下、さらに好ましくは5wt%以下にする。
一方で、本発明者らは、驚くべきことに、反応系中に存在する少量のアルコールが該塩基性触媒の活性を向上させる効果を奏することを見出した。このような効果を発現する機構については明らかではないが、本発明者らは、反応系中に存在する少量のアルコールが、該塩基性触媒の助触媒的な働きをし、アミンのアミノ基の求核性を向上させるのではないかと推測している。このような観点から、反応液中のアルコール濃度は、好ましくは、0.001wt%以上、より好ましくは0.003wt%以上、さらに好ましくは0.01wt%以上にする。
反応液中のアルコール濃度は、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、NMR等、公知の分析方法によって定量することができ、いずれを使用してもよい。
反応器は、公知の槽型反応器、塔型反応器、蒸留塔、および、これらの反応器を組み合わせた反応器を使用することができる。反応器およびラインの材質は、出発物質や反応物質に悪影響を及ぼさなければ、公知のどのようなものであってもよいが、SUS304やSUS316,SUS316L等が安価であり、好ましく使用できる。
以上に示した方法によって得られるカルバミン酸エステルは、下記一般式で表される化合物である。
Figure 2010215588

[式中、RおよびR、各々、上記で定義した基であり、nは、2〜10の整数である。]
このようなカルバミン酸エステルとしては、例えば、N,N’−ヘキサンジイル−ジカルバミン酸−ジメチルエステル、N,N’−ヘキサンジイル−ジカルバミン酸−ジエチルエステル、N,N’−ヘキサンジイル−ジカルバミン酸−ジブチルエステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ジカルバミン酸−ジペンチルエステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ジカルバミン酸−ジヘキシルエステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ジカルバミン酸−ジオクチルエステル(各異性体)、ジメチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート、ジエチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート、ジプロピル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジブチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジペンチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジヘキシル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジヘプチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジオクチル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、3−(メトキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸メチルエステル、3−(エトキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸エチルエステル、3−(プロピルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸プロピルエステル(各異性体)、3−(ブチルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸ブチルエステル(各異性体)、3−(ペンチルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸ペンチルエステル(各異性体)、3−(ヘキシルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸ヘキシルエステル(各異性体)、3−(ヘプチルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸ヘプチルエステル(各異性体)、3−(オクチルオキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸オクチルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸−ジメチルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸−ジエチルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸−ジプロピルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸−ジブチルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸−ジペンチルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸−ジヘキシルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸−ジヘプチルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸−ジオクチルエステル(各異性体)、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ジカルバミン酸−ジメチルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ジカルバミン酸−ジエチルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ジカルバミン酸−ジプロピルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ジカルバミン酸−ジブチルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ジカルバミン酸−ジペンチルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ジカルバミン酸−ジヘキシルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ジカルバミン酸−ジヘプチルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ジカルバミン酸−ジオクチルエステル等のカルバミン酸エステルを挙げることができる。
これらのカルバミン酸エステルは、イソシアネートの製造に有用な化合物であり、該カルバミン酸エステルより製造されるイソシアネートは、ポリウレタンフォーム、塗料、接着剤等の製造原料として好適に使用することができることから、本発明は、産業上極めて重要である。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[分析方法]
1)液体クロマトグラフィー分析方法
装置:日本国、島津社製 LC−10ATシステム
カラム:日本国、東ソー社製 Silica−60カラム 2本直列に接続
展開溶媒:ヘキサン/テトラヒドロフラン=80/20(体積比)の混合液
溶媒流量:2mL/分
カラム温度:35℃
検出器:R.I.(屈折率計)
(1)液体クロマトグラフィー分析サンプル
サンプルを約0.1g秤量し、テトラヒドロフラン(日本国、和光純薬工業社製、脱水)を約1gと内部標準物質としてビスフェノールA(日本国、和光純薬工業社製、一級)を約0.02g加えて均一に混合した溶液を、液体クロマトグラフィー分析のサンプルとした。
(2)定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
2)ガスクロマトグラフィー分析方法
装置:日本国、島津社製 GC−2010
カラム:米国、アジレントテクノロジーズ社製 DB−1
長さ30m、内径0.250mm、膜厚1.00μm
カラム温度:50℃で5分間保持後、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温
200℃で5分間保持後、昇温速度10℃/分で300℃まで昇温
検出器:FID
(1)ガスクロマトグラフィー分析サンプル
サンプルを約0.05g秤量し、トルエン(日本国、和光純薬工業社製、脱水)を約1gと内部標準物質としてジフェニルエーテル(日本国、和光純薬工業社製、特級)を約0.02g加えて均一に混合した溶液を、ガスクロマトグラフィー分析のサンプルとした。
(2)定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
(実施例1)
容量5Lの4つ口フラスコに炭酸ビス(3−メチルブチル)1537g(7.6mol)とヘキサメチレンジアミン(米国、Aldrich社製)220.8g(1.9mol)を入れ、撹拌子を入れ、留出液受器と連結した還流冷却器付き分留頭、および温度計を取り付け、該フラスコ内を真空−窒素置換した。該フラスコを、80℃に加熱したオイルバスに浸漬し、ナトリウムメトキシド(米国、Aldrich社製、25%メタノール溶液)1.0g(0.0185mol:アミンに対して0.5mol%)をシリンジで添加し、直ちに系内を2kPaに減圧した。6時間後、反応液をサンプリングしてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、ヘキサメチレンジアミンが検出されなかった。
該溶液を、液体クロマトグラフィーで分析した結果、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを36.7wt%含有していた。
(比較例1)
容量5Lの4つ口フラスコに炭酸ビス(3−メチルブチル)1245g(6.2mol)とヘキサメチレンジアミン179g(1.5mol)を入れ、撹拌子を入れ、留出液受器と連結した還流冷却器付き分留頭、および温度計を取り付け、該フラスコ内を真空−窒素置換した。該フラスコを、80℃に加熱したオイルバスに浸漬し、ナトリウムメトキシド(米国、Aldrich社製、25%メタノール溶液)1.0g(0.0185mol:アミンに対して0.5mol%)をシリンジで添加し、系内を大気圧窒素雰囲気下に保ったまま反応をおこなった。6時間後、反応液をサンプリングしてガスクロマトグラフィー分析をおこなったところ、ヘキサメチレンジアミンが検出された。
該溶液を、液体クロマトグラフィーで分析した結果、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ビス(3−メチルブチル)エステルを13.8wt%含有していた
本発明のカルバミン酸エステルの製造方法は、少量の塩基性触媒でカルバミン酸エステルを製造することができるため、触媒使用量を低減できる上、該カルバミン酸エステルからの触媒除去にかかる負担を軽減することができる。したがって、本発明の製造方法は産業上大いに有用であり商業的価値が高い。

Claims (9)

  1. 塩基性触媒存在下における炭酸エステルとアミンとの反応による、カルバミン酸エステルの製造方法であって、
    前記反応の際に生成するアルコールを反応系から除去しながら行なう、製造方法。
  2. 前記アルコールの反応液中の濃度を、0.001〜20wt%の範囲に維持して行う、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記アルコールを蒸留により反応系から除去しながら行なう、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記炭酸エステルが、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項1〜3いずれか一項に記載の製造方法。
    Figure 2010215588

    [式中、Rは炭素数1〜10の脂肪族基を示す。]
  5. 前記アルコールが、下記一般式(2)で表される化合物である、請求項4記載の製造方法。
    OH (2)
    [式中、Rは前記と同義である。]
  6. 前記塩基性触媒が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコラートである、請求項1〜5いずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記塩基性触媒が、下記一般式(3)で表される化合物である、請求項6に記載の製造方法。
    OM (3)
    [式中、Rは炭素数1〜10の脂肪族基を示す。Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を示す。]
  8. 前記アミンが、下記一般式(4)で表される化合物である請求項1〜7いずれか一項に記載の製造方法。
    Figure 2010215588

    [式中、Rは、炭素数1〜20のn価の脂肪族基又は炭素数6〜20のn価の芳香族基である。ここで、該脂肪族基及び芳香族基は酸素原子を含んでいてもよい。また、nは、2〜10の整数である。]
  9. 前記一般式(4)におけるnが2である、請求項8に記載の製造方法。
JP2009066120A 2009-03-18 2009-03-18 カルバミン酸エステルの製造方法 Withdrawn JP2010215588A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009066120A JP2010215588A (ja) 2009-03-18 2009-03-18 カルバミン酸エステルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009066120A JP2010215588A (ja) 2009-03-18 2009-03-18 カルバミン酸エステルの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010215588A true JP2010215588A (ja) 2010-09-30

Family

ID=42974823

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009066120A Withdrawn JP2010215588A (ja) 2009-03-18 2009-03-18 カルバミン酸エステルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010215588A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012046734A1 (ja) * 2010-10-04 2012-04-12 旭化成ケミカルズ株式会社 分離方法及びイソシアネートの製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012046734A1 (ja) * 2010-10-04 2012-04-12 旭化成ケミカルズ株式会社 分離方法及びイソシアネートの製造方法
CN103140473A (zh) * 2010-10-04 2013-06-05 旭化成化学株式会社 分离方法和异氰酸酯的制造方法
JP5612115B2 (ja) * 2010-10-04 2014-10-22 旭化成ケミカルズ株式会社 分離方法及びイソシアネートの製造方法
US9884810B2 (en) 2010-10-04 2018-02-06 Asahi Kasei Chemicals Corporation Separation method and method for producing isocyanate
US11192853B2 (en) 2010-10-04 2021-12-07 Asahi Kasei Chemicals Corporation Separation method and method for producing isocyanate

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10654796B2 (en) Method for preparing aliphatic isocyanate
JP6140768B2 (ja) カルボニル化合物の製造方法
TWI441805B (zh) A method for producing an isocyanate using a composition containing a amine formate and an aromatic hydroxy compound, and a method for producing and treating a mixture of a ketamine formate
BRPI0822695B1 (pt) processo para produzir um isocianato
JP6270180B2 (ja) カルバミン酸エステルの製造方法
US7122697B2 (en) Method for producing carbamates and method for producing isocyanates
US6683204B1 (en) Method for producing monoisocyanates and oligoisocyanates
JP2010215588A (ja) カルバミン酸エステルの製造方法
JP6757468B2 (ja) イソシアネートの製造方法
JP2010215584A (ja) カルバミン酸エステルの製造方法
CN112020493B (zh) 氨基甲酸酯的制造方法和异氰酸酯的制造方法
TW201900606A (zh) 異氰酸酯的製造方法
JP2010215589A (ja) カルバミン酸エステルの製造方法
JP2022180170A (ja) カルバメートの製造方法
JP2008127293A (ja) カルバミン酸エステル化合物
JP7458058B2 (ja) カルバミン酸エステルの製造方法
TWI408120B (zh) A process for producing isocyanates using diaryl carbonates
JP5753380B2 (ja) ウレイド基を有する化合物の製造方法
JP2010215590A (ja) ウレイド基を有する化合物の製造方法
JP6140405B2 (ja) N−置換カルバミン酸エステルの製造方法
JP2004262831A (ja) 芳香族ウレタン溶液の保存方法

Legal Events

Date Code Title Description
A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20100901