JP2010215339A - レジスト・スキュー調整機構と画像形成装置 - Google Patents

レジスト・スキュー調整機構と画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】レジストローラ対に用紙が突き当たる度に発生していた耳障りな衝突音を解消しつつ、搬送効率を下げることなくレジストー・スキュー調整を行う。
【解決手段】用紙先端が停止すべきレジスト基準位置の直前のレジスト調整位置で用紙幅方向の両端付近にそれぞれ配されたレジスト・スキュー検出手段と、当該レジスト・スキュー検出手段の通紙方向上流側に配された用紙検出手段と、当該用紙検出手段の更に通紙方向上流側で用紙幅方向に少なくとも2つ配された、用紙位置補正ローラと、当該用紙位置補正ローラを制御する制御手段とを有するレジスト・スキュー調整機構であって、上記用紙位置補正ローラがそれぞれ独立に駆動されるローラであり、上記レジスト・スキュー検出手段夫々による用紙先端の検知位置に応じてスキュー量を算出し、算出されたスキュー量に応じて各用紙位置補正ローラの停止タイミングをずらすことによってレジスト基準位置で先端を揃えるように用紙を停止させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタあるいはこれら機能を兼ね備えた複合機等の画像形成装置の給紙搬送装置に関し、詳しくは、記録材たる用紙を画像形成部に送る際に発生する騒音を減少したレジスト・スキュー調整機構に関するものである。
画像形成装置において、従来、用紙の搬送を起因とした騒音が発生し、問題になっている。特に高速で紙を搬送する機械ほど、用紙搬送を起因とした騒音が大きい。用紙搬送を起因とした騒音については、主に、紙と搬送ガイド板が摺動するときの音や、用紙がレジストローラに突き当たって、たるみを発生させて紙の先端位置を整える時に発生する音が大きいと考えられる。
レジスト調整機構は、搬送されてきた用紙を止まっているレジストローラ対のニップに突き当て、たるみを作ることでその斜行を補正し、所定タイミングで停止レジストローラ対を再駆動することで、作像部の画像、例えば感光体上の顕像とタイミングを合わせて用紙を送り出すものである。
レジストローラ対の構成としては、金属ローラとゴムローラの組み合わせが一般的である。用紙は始めにレジストローラ対のニップ近傍の金属ローラ部分に衝突させ、用紙先端を金属ローラ上を滑らせながらレジストローラ対のニップに進入、突き当てるのが一般的である。用紙をレジストローラ対のニップを狙って直接送り込むのではなく、始めに摩擦係数が小さい金属ローラを狙って衝突させているのは、ニップ狙いだと、部品の公差や、用紙先端のカール具合、周辺の温度・湿度による用紙の腰の変化等の影響で、用紙が始めにゴムローラに衝突してしまう場合があるためである。ゴムローラは摩擦係数が大きいため、紙が当たってもよく滑らず、用紙先端がニップに到達しなかったり、用紙先端が折れるという不具合を発生する。レジストローラ対の両方を金属ローラにする場合、摩擦係数が小さいために用紙を搬送する時に滑ってしまってまともに搬送できないため、レジストローラ対の片方を摩擦係数が大きいゴムローラとするのが一般的である。
このようなレジスト調整機構の一構成例を、図9〜14を参照して説明する。
用紙は、図9に矢印で示すように下方から送り込まれ、搬送ローラ対3,4により搬送され、図10に示すように、レジストローラ対50の金属ローラ51に衝突する。ここで、金属ローラ51は表面の平滑性がよく摩擦係数が小さいのに対して、相手方のローラ52はゴムローラであり、用紙搬送性を高めるために摩擦係数が大きい。その後、図11に示すように、レジストローラ対50のニップに突入する。搬送ローラ対3,4は、用紙PがセンサS2を通過後に所定量だけ当該用紙を送り込むように制御され、これにより、図12に示すように、用紙Pが撓んでスキュー(斜行)が補正される。そして、不図示の作像部の画像とタイミングを合わせるようにレジストローラ対50が駆動され、図13に示すように、再び用紙Pが搬送される。
図14は、このレジスト調整機構における、用紙が搬送ローラ対3,4の下流直後のセンサS1を通過した信号をトリガとして騒音を計測した用紙搬送音の時間軸分析結果を示すグラフである。このグラフの縦軸は音圧レベルであり、横軸は、用紙先端がセンサS1を通過した時点からの時間である。このグラフによって、センサーS1通過後の時間と、用紙搬送速度、センサーS1からレジストローラ対50までの距離より、搬送経路上のどの場所で騒音が発生しているかを分析できる。その結果、ピークAは用紙がレジストローラ対の金属ローラ51に衝突したときの音圧レベル、ピークBは用紙がレジストローラニップ部に衝突した時の音圧レベルであることが分かった。ピークA,B部を合わせてレジスト衝突音Cとする。
このグラフから分かるように、ピークAの、用紙がレジストローラ対の金属ローラ51に衝突したときの音圧レベルの方が、レジストローラニップ部で発生する音圧レベルよりも小さいが、それ以外のあまり騒音が発生していない時間帯では60dB(A)程度であるのに対し、用紙が金属ローラ51に衝突した時は80dB(A)程度あり、非常にレベルが高い。さらに、用紙がレジストローラ対のニップに衝突した時は87dB(A)程度あり、一段とレベルが高くなっている。このように、用紙がレジストローラ対50に衝突する時は短時間に2度の衝撃的な音圧レベルが発生することが分かった。この騒音は、用紙1枚通紙するごとに発生するので、装置稼動時の全体的な音圧レベルの上昇となり、また、聴感的にも聞き分けられて不快である。
レジスト調整機構におけるレジストローラ対に何ら加工が施されていないと、上記のような問題があるので、用紙がレジストローラに衝突する際の衝突音の低減を図るための提案が過去になされている。例えば特許文献1では、一対のレジストローラに弾性体からなる大径部を軸方向の少なくとも2ヶ所にレジストローラを一周するように形成することが提案されている。その結果、搬送されてきた用紙はまず弾性体大径部に当接して衝撃音が抑えられ、その後に用紙がレジストローラに当接する。しかしながら、この場合、弾性体が両方のレジストローラに設置されているため抵抗となり、用紙がレジストローラニップに到達しない可能性がある。そうすると、レジストやスキュー補正ができないか不完全になるという不具合を発生する。
また特許文献2では、レジストローラ対の上流側に弾性ローラ対(スポンジローラ)を設け、用紙の強い腰と中間搬送力によるレジストローラ対への当接力を低減するためのクッションとし、用紙の当接時の衝撃を吸収し、突音の発生を防止する。特許文献2に開示された構成では、静音化効果はあるが、用紙のたるみ形成が弾性ローラを起点とすることになってしまい、レジストローラニップ部へ用紙のたるみ形成が作用しないため、レジストローラ対の本来の機能である、用紙の斜行補正と用紙の先端位置調整を狙い通りに行うことができない。
特許文献3に係る提案は、プレレジスト動作後に用紙先端を停止させることなく動的に用紙の斜行補正を行う場合であっても、用紙への高精度な書き込み位置と、生産性を両立できるようにすることを目的に、転写位置に対して用紙の斜行を補正しつつ当該用紙を送り込む斜行補正ユニットと、当該斜行補正ユニットよりも用紙搬送方向上流側に設けられ、上記転写位置における用紙の搬送速度αよりも速い搬送速度βから搬送速度αまで減速させるタイミングを変化させることで、先行する用紙S1の後端と後続する次の用紙S2の先端の間隔を制御する紙間制御ユニットと、を有するというものである。用紙を停止させないので、高効率であり、用紙先端とレジストローラとのレジスト衝突音も発生しないが、画像書き込み位置シフト装置が必要となり、その分コストアップとなる。
本発明は、レジストローラ対に用紙が突き当たる度に発生していた耳障りな衝突音の問題を解消しつつ、搬送効率を下げることなくレジストー・スキュー調整を行うことを課題とする。
上記課題は、レジストローラ対を有さないレジスト・スキュー調整機構において、用紙先端が停止すべきレジスト基準位置の直前のレジスト調整位置で用紙幅方向の両端付近にそれぞれ配されたレジスト・スキュー検出手段と、当該レジスト・スキュー検出手段の通紙方向上流側に配された用紙検出手段と、当該用紙検出手段の更に通紙方向上流側で用紙幅方向に少なくとも2つ配された、用紙位置補正ローラと、当該用紙位置補正ローラを制御する制御手段とを有し、上記用紙位置補正ローラがそれぞれ独立に駆動されるローラであり、上記レジスト・スキュー検出手段夫々による用紙先端の検知位置に応じてスキュー量を算出し、算出されたスキュー量に応じて各用紙位置補正ローラの停止タイミングをずらすことによってレジスト基準位置で先端を揃えるように用紙を停止させることによって、解決される。
上記用紙検出手段により用紙先端が検出された段階で用紙搬送手段の搬送速度を減速させるのが、好適である。レジスト基準位置で用紙を停止後、レジスト・スキュー検出手段により、レジスト位置ずれ、またはスキューが検出された場合に、用紙位置補正ローラにより、上記レジスト位置ずれまたはスキューを補正するのが、一層効果的である。
レジスト基準位置とレジスト調整位置を含むレジスト領域に、用紙吸引搬送手段を配し、当該用紙吸引搬送手段は、レジスト・スキュー手段による用紙の検出に際して、用紙が浮き上がらないように用紙を吸引搬送するようになっているのが、目的に一層適っている。用紙吸引搬送手段の吸引力を可変とし、レジスト・スキュー調整機構の通紙方向上流側に設けられた用紙厚さ検出手段により検出された用紙の厚さに応じて上記吸引力を調整するようになっていれば、好都合である。また用紙吸引搬送手段の吸引力を可変とし、別途設けられた用紙厚さ設定手段による厚さ設定時は、上記吸引力を低下させ若しくは零としても、好ましい。上記用紙厚さ設定手段による厚さ設定を行わない場合は、デフォルト設定で上記吸引力を設定すればよい。
本発明によれば、用紙先端が停止すべきレジスト基準位置の直前のレジスト調整位置で用紙幅方向の両端付近にそれぞれ配されたレジスト・スキュー検出手段と、当該レジスト・スキュー検出手段の通紙方向上流側に配された用紙検出手段と、当該用紙検出手段の更に通紙方向上流側で用紙幅方向に少なくとも2つ配された、用紙位置補正ローラと、当該用紙位置補正ローラを制御する制御手段とを有し、レジストローラ対を有さないレジスト・スキュー調整機構において、上記用紙位置補正ローラがそれぞれ独立に駆動されるローラであり、上記レジスト・スキュー検出手段夫々による用紙先端の検知位置に応じてスキュー量を算出し、算出されたスキュー量に応じて各用紙位置補正ローラの停止タイミングをずらすことによってレジスト基準位置で先端を揃えるように用紙を停止させることによって、従来のレジスト・スキュー調整では必然的に伴っていたレジストローラ対に用紙が突き当たる度に発生していた衝突音を発生させず静音化を実現しつつ、搬送効率を下げることなくレジストー・スキュー調整を行うことができる。
上記用紙検出手段により用紙先端が検出された段階で用紙搬送手段の搬送速度を減速させれば、レジストのための正確な用紙停止が容易である。レジスト基準位置で用紙を停止後、レジスト・スキュー検出手段により、レジスト位置ずれ、またはスキューが検出された場合に、用紙位置補正ローラにより、上記レジスト位置ずれまたはスキューを補正すれば、精度の良い通紙方向のレジストとスキュー補正が実現する。
レジスト基準位置とレジスト調整位置を含むレジスト領域に、用紙吸引搬送手段を配し、当該用紙吸引搬送手段は、レジスト・スキュー手段による用紙の検出に際して、用紙が浮き上がらないように用紙を吸引搬送するようになっていれば、精度良くレジスト・スキュー量を検出可能である。用紙吸引搬送手段の吸引力を可変とし、レジスト・スキュー調整機構の通紙方向上流側に設けられた用紙厚さ検出手段により検出された用紙の厚さに応じて上記吸引力を調整するようになっていれば、紙厚に拘らずレジスト・スキュー補正に適した吸引力を得ることができる。また用紙吸引搬送手段の吸引力を可変とし、別途設けられた用紙厚さ設定手段による厚さ設定時は、上記吸引力を低下させ若しくは零としても、同様にレジスト・スキュー補正に適した吸引力を得ることができる。上記用紙厚さ設定手段による厚さ設定を行わない場合は、デフォルト設定で上記吸引力を設定すれば、使用の度に紙厚設定する煩わしさを改善できる。
レジスト調整機構の構成を示すものであり、図1aは上面図、図1bは側面図である。 レジスト・スキュー検出センサの斜視図である。 用紙がスキュー補正されてレジスト位置に停止した状態を示す図である。 紙厚検出手段の構成を示す側方概念図である。 実施形態に係る制御ブロック図である。 実施形態に係る動作フローである。 別の実施形態に係る動作フローである。 本発明に係る画像形成装置の一例を示す断面構成図である。 従来のレジスト調整機構の一例を示す模式図である。 用紙がレジストローラ対の金属ローラに突き当たった様子を示す模式図である。 用紙がレジストローラ対のニップに突き当たった様子を示す模式図である。 用紙が撓んでスキューが補正される様子を示す模式図である。 レジストローラ対から用紙が送り出される様子を示す模式図である。 従来のレジスト調整機構の一例における騒音を示すグラフである。
図1は本発明の一実施形態に係るレジスト調整機構20の構成を示すものであり、図1aは上面図、図1bは側面図である。認識を容易にするため、図1aでは上側のガイド部材36を省略している。用紙21は、ガイド部材22,36の間を搬送され、レジスト調整機構20に搬送されてくる。図1は、用紙21が搬送途中でスキューしている状態である。
ガイド部材36には、通紙方向(用紙搬送方向)に直交する用紙幅方向の中央領域に位置する記録材検出センサ28が配置され、用紙21が搬送されてきた場合の先端/後端を検出する。記録材検出センサ28は例えば反射型フォトセンサである。また用紙の縦方向レジスト位置には、第1レジスト・スキュー検出センサ29、第2レジスト・スキュー検出センサ30が同じくガイド部材36に配置され、レジスト・スキュー量を検出する。図2にレジスト・スキュー検出センサ29,30の例を示す。これはリニアセンサーアレーを採用したものである。実施例では7つの素子37が並んでおり、これら素子37を通紙方向に並べることで、そのどこまで用紙が到達したか、言い換えれば、用紙がどの素子までを遮るか、によって用紙の位置を検出する。素子数は自由に設定できる。レジスト位置は、第1レジスト・スキュー検出センサ29、第2レジスト・スキュー検出センサ30の何番目の素子と、設定しておく。その位置を目標に、用紙を止めるような制御を行う。
ガイド部材22に隣接した通紙方向下流側には、穴開きのエンドレス吸着ベルト23、これを巻回するベルトローラ24、吸着ベルト内周に配された吸着ファン26、ケーシング27で構成された吸着ベルトユニット35が、レジスト位置をカバーして存する。ベルトローラ24は、M3ベルトモータ25によって駆動される。穴開きの吸着ベルト23は、平滑性の良いものを採用することが望ましい。レジスト位置の範囲に穴開きの吸着ベルト23を採用しているのは、吸気ファン26により用紙21をベルト上に吸着させながらレジスト位置へ送り込むことで、用紙21が反ったりうねったりすることを防止するためである。レジスト位置で用紙21が反ったりうねったりしていると、第1レジスト・スキュー検出センサ29、第2レジスト・スキュー検出センサ30による用紙の位置検出結果の精度が悪くなり、用紙21を目標位置に停止させたり、その後のレジスト・スキュー補正の機能が低下する。よって、用紙21を吸着しながらレジスト位置(目標位置)に送り込み、用紙21の反りやうねりの無い状態で第1レジスト・スキュー検出センサ29、第2レジスト・スキュー検出センサ30によって用紙21の先端位置を検出することで、精度良く用紙21の先端を目標位置で停止できる。また、その後のレジスト・スキュー補正も微調整程度でよく、また精度良く補正が可能となる。
レジスト・スキュー補正を行うために、ガイド部材22の上には、通紙方向において同位置で、通紙予定用紙の用紙幅方向両端近傍位置に、レジスト・スキュー補正ローラ31,32が設置されている。搬送ローラの役目も担うこれらレジスト・スキュー補正ローラ31,32は独立に駆動可能である。レジスト・スキュー補正ローラ31はM1レジスト・スキュー補正モータ33により、またレジスト・スキュー補正ローラ32はM2レジスト・スキュー補正モータ34により、それぞれ駆動される。なおレジスト・スキュー補正ローラ31,32には、ゴムローラのように表面の摩擦係数が高く、搬送力の高いものが使用されている。
図1において、用紙21の先端が記録材検出センサ28に検出されると、M1レジスト・スキュー補正モータ33、M2レジスト・スキュー補正モータ34およびM3吸着ベルトモータ25は同期して減速を開始する。つまり、用紙21が減速しながらレジスト位置に向かって停止していく。
本例においては、図1aに示されるように、若干傾いて搬送される用紙21は、先にレジスト・スキュー検出センサ30に検出され、その後わずかに遅れてレジスト・スキュー検出センサ29に検出される。スキュー量は、用紙21がレジスト・スキュー検出センサ29に検出された時、レジスト・スキュー検出センサ30の何番目の素子まで用紙21の先端が達しているかによって認識される。即ち、レジスト・スキュー検出センサ29,30の遮られている素子の差分がスキュー量ということになる。
先にレジスト・スキュー検出センサを遮った側にあるレジスト・スキュー補正モータ(図示の例ではM2)が目標位置で止まり(その際、M3ベルトモータ25も同時に停止)、もう一方のレジスト・スキュー補正モータ(図示の例ではM1)はレジスト・スキュー検出センサ29,30の遮られている素子の差分だけ後に停止する制御を行う。図3は、用紙21がスキュー補正されてレジスト位置に停止した状態を示している。
ちなみに、レジスト・スキュー補正ローラ31,32を時間差をつけて停止させたり、スキューやレジストを補正する場合、吸引力があまり強すぎると位置調整や補正の時に抵抗になって、補正できない可能性がある。特に薄い用紙ほど補正時に用紙が撓む可能性があり、その場合は精度良く補正できないことになる。つまりレジスト・スキュー補正ローラを駆動してスキューを補正しようとしても、用紙が強く吸着され過ぎていると、その部分の紙は動かず、レジスト・スキュー補正ローラ近傍で用紙が撓んで膨れ上がる不具合が発生することになる。このような事態を防止するために、用紙の厚さに応じて吸引力を調整する。予めどの程度の吸着力が適しているかを確認しておき、それに応じた回転数で吸気ファン26を回転させる。このようにすることで、効率良く位置調整やレジスト・スキューの補正が可能である。
図4は紙厚検出手段46の構成を示すもので、この紙厚検出手段46は、用紙搬送経路中のレジスト調整機構より上流側で不図示の給紙センサより下流側の任意位置に設けられている(図8,9に例示的に示した)。紙厚検出手段46には、通紙方向に直交する方向で変位する摺接部材たる可動ローラ(第1回転部材)43aと固定ローラ(第2回転部材)43bが対向するように設けられており、可動ローラ43aと固定ローラ43bの間に用紙が通紙されるようになっている。可動ローラ43aは回動レバー(回動部材)44の先端部(Q点)に取り付けられており、この回動レバー44は、回動支点44a(支点P)が用紙搬送装置の所定個所に回動自在に取り付けられ、回動支点44a(P点)を中心に実線で示す位置と破線で示す位置の間で回動するようになっている。また回動レバー44の基端部(R点)にはライン型のCCD等からなる厚さ検出センサ(回動位置検出部材)42が設けられており、この厚さ検出センサ42によって回動レバー44の基端部の位置を検出するようになっている。
用紙の厚さを検出する場合、用紙が可動ローラ43aおよび固定ローラ43bの間に通紙されたときに、用紙の厚さに応じて可動ローラ43aが上方に移動するのに伴って回動レバー44が回動支点44aを中心に回動し、回動レバー44の基端部の位置を厚さ検出センサ42によって検出することによって、用紙の厚さを検出する。また可動ローラ43aにはプランジャマグネット(第2近接・離隔手段)45が取り付けられており、このプランジャマグネット45は演算装置71によって駆動されるようになっている。
本例の制御ブロック図である図5において、演算装置71は、CPU(central processing unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成されており、記録材検出センサ28、第1レジスト・スキュー検出センサ29、第2レジスト・スキュー検出センサ30、紙厚検出手段の上流側に設けられた給紙センサ41、および紙厚検出センサ46からの各検出情報に基づいて、レジスト・スキュー補正モータ駆動制御回路73、ファンモータ駆動制御回路74、吸着ベルトモータ駆動制御回路75、プランジャマグネット45を制御することにより、関係するローラ、ファン等の回転や停止位置制御を行うようになっている。また、操作パネル72により各種モード選択や給紙のスタート等の指示が可能である。紙厚検出センサ46や吸着ファン26、M3吸着ベルトモータ25等の動作は後述する。このようにすれば、従来のように、用紙の先端をレジストローラ対に衝突させること無く、レジスト・スキューを補正できるので、衝撃的な紙先端の衝突音を発生させることがない。
具体的に演算装置71を介した制御を説明すると、演算装置71は給紙センサ41の検出情報に基づいてプランジャマグネット45を駆動するようになっており、演算装置71は給紙センサ41が用紙先端を検出するまではプランジャを励磁して上方に移動させることにより、可動ローラ43aを上方に移動させる。給紙センサ41が用紙先端を検出すると、演算装置71はプランジャの励磁を停止する。このとき、プランジャマグネット45はバネによってプランジャを下方に移動させて可動ローラ43aを下方に移動させるようになっている。可動ローラ43aが下方に移動すると、プランジャはフリーの状態になり、可動ローラ43aは用紙の厚さに応じて上方に移動する。
本例では、可動ローラ43a、固定ローラ43b、回動レバー44、厚さ検出センサ42およびプランジャマグネット45が厚さ検出手段46を構成している。また、用紙の厚さは薄いので回動レバー44のPQ間長さとPR間長さを選択することにより、可動ローラ43aの変位を厚さ検出センサ42の検出に最適となるレバー比を選択することができる。例えば、Q点の変化量をR点で10倍にする場合はPR/PQ=10になるようにレバーのPQ間長さとPR間長さを設定すれば良い。このように構成上必要な倍率になるようにレバー比を構成する。なお、記録紙Pの厚さを検出する構成としては、これに限られず、レーザ光を用いて直接検出したり、用紙に電圧を印可して電流値を測定するようにしても良い。
図6は本例における動作フローである。この動作フローは演算装置71によって行われる制御プログラムである。まず、用紙搬送が開始され、給紙センサ41が用紙21を検出すると、紙厚検出手段46(厚さ検出センサ42)によって紙厚を測定する(ステップ1)。既述のように、用紙の厚さの測定にあたっては、プランジャマグネット45をオンからオフに切り換えることにより可動ローラ43aを下方に移動させる。用紙21は可動ローラ43aに摺接して用紙の厚さに応じて可動ローラ43aを上昇させるため、回動レバー44の支点44aを中心にして図4での反時計回転方向に回動して先端部(Q点)が上方に移動するとともに基端部(R点)が下方に移動し、厚さ検出センサ42によって回動レバー44の基端部の位置を検出することで、紙厚を検出する、という動作を行っている。
紙厚を検出すると、演算装置71はレジスト・スキュー補正時の吸着ファン26の回転量を決定する。そして、まずは吸着ファン26をデフォルトの設定回転数で稼動する。その後、M1レジスト・スキュー補正モータ33、M2レジスト・スキュー補正モータ34、M3吸着ベルトモータ25が回転する。さらに用紙21が搬送され、記録材検出センサ28によって用紙21の先端が検出される(ステップ2)と、M1レジスト・スキュー補正モータ33、M2レジスト・スキュー補正モータ34、M3吸着ベルトモータ25が同時に減速を開始する。さらに吸着ファン26は用紙設定厚さに応じた回転に変化する。厚さに応じて吸着ファンをどの程度の回転数にするかは、予め適正な回転数が求められており、それにしたがって回転制御を行う。
次に、レジスト・スキュー検出センサ29またはレジスト・スキュー検出センサ30のどちらかが用紙の先端を検出する(ステップ3)と、計測が始まり、もう一方のセンサに用紙の先端が検出された時の素子数(の差)がスキュー量と言うことになる。
その後、先に用紙21先端が到達したレジスト・スキュー検出センサ側のレジスト・スキュー補正モータがレジスト位置で停止する。吸着ベルトモータ25もこのレジスト・スキュー補正モータと同期して停止する。最後に、後で用紙21先端が到達したレジスト・スキュー検出センサ側のレジスト・スキュー補正モータを、検出された素子数の差だけ多く稼動してレジスト位置で停止させる。
M1レジスト・スキュー補正モータ33、M2レジスト・スキュー補正モータ34、M3吸着ベルトモータ25が停止後、用紙21の先端位置と、レジスト・スキュー検出センサ29,30に設定してあるレジスト位置(目標位置)のズレ量を検出し、ずれているなら目標位置に用紙21の先端が行くようにM1レジスト・スキュー補正モータ33、M2レジスト・スキュー補正モータ34を動作させる(ステップ4)。ずれていない場合は、このような補正は行わない。
その後はタイミング調整後に、再びM1レジスト・スキュー補正モータ33、M2レジスト・スキュー補正モータ34、M3吸着ベルトモータ25が同時に回転し、用紙21を後の行程に搬送する。この時、ベルト吸着ファン26は通常回転で、用紙21を吸着して固定しながら搬送する。このようにすれば、スキュー無しのまま次行程に用紙を搬送することができる。
用紙21の後端が記録材検出センサ28により検出される(ステップ5)と、M1レジスト・スキュー補正モータ33、M2レジスト・スキュー補正モータ34、M3吸着ベルトモータ25が所定回転後に停止する。連続通紙の場合は、プログラムは最初に戻り、同様の動作を繰り返す。連続ではない場合は終了する(ステップ6)。
上記の例では、用紙の厚さを紙厚検出手段46によって自動的に検出しているが、用紙の厚さを操作パネル72からオペレータが手動で設定しても良い。具体的には、図5に示すように、操作パネル(厚さ設定手段)72によって用紙の厚さ(薄紙・普通紙・厚紙等)を入力したり、用紙の種類(A4、A5等)、記録紙トレイ等を選択するようにしても良い。
演算装置71は、内部に格納された情報テーブルに用紙の厚さと吸着ファン26の回転数を関連付けて記憶しており、操作パネル71によって設定された用紙の厚さ情報とこの情報テーブルに記憶された用紙の厚さの情報から最適に決定された回転数になるようにファンモータ駆動制御回路74により吸着ファン26を駆動する。
図7は、この場合の動作フローである。この動作フローは演算装置71によって行われる制御プログラムである。このプログラムは用紙21の厚さが設定されているかどうかで動作が異なる。
まず、用紙21の厚さが設定されている場合を説明する。設定厚さにより、レジスト・スキューを補正するときの吸着ファン26の回転量が決定される。そして、まずは用紙搬送時とスキュー量測定時のファン回転数で吸着ファンを駆動開始する。次に、M1レジスト・スキュー補正モータ33、M2レジスト・スキュー補正モータ34、M3吸着ベルトモータ25が回転する。その後は用紙21が記録材検知センサ28を抜けてM1レジスト・スキュー補正モータ33、M2レジスト・スキュー補正モータ34、M3吸着ベルトモータ25が所定回転後に停止するまで、図6と同様の動作を行う。そして連続通紙の場合は、プログラムは最初に戻り、同様の動作を繰り返す。連続ではない場合は終了する。このようにすれば、予め紙の厚さをオペレータが設定するので、用紙の厚さ検出センサが不要になり、安価な構成で用紙の衝突音の静音化と用紙のレジスト、スキュー補正を行うことができる。
用紙21の厚さが設定されているかどうかで動作を異ならせることで、用紙21の厚さが設定されている場合を上に説明した。しかしながら、毎回、用紙21の厚さを設定するのは煩わしいものがある。そこで、用紙21の厚さを設定せずに装置をスタートさせた場合、デフォルトで最も日常的に使用する用紙の厚さの場合に最適な吸着ファン26の回転数を設定しておけば、この煩わしさは解決できる。図7のフローチャートで、最初の判断の部分で用紙厚さを設定したかどうかで、設定していない場合はデフォルトの吸着ファン26の回転数でレジスト・スキュー補正を行う設定としている。
最後に、本発明に係るレジスト調整機構を備える画像形成装置の一例を、図8を参照して説明する。画像形成部101を挟んで下方に給紙部102が配置され、上方に原稿を読み取る読取部103が配置されている。給紙部102は各段に給紙トレイ121を備えている。画像形成部101の左側には排紙収納部104が形成され、画像形成された用紙が排紙収納される。
画像形成部101には作像ユニット106が配置され、像担持体である感光体161の周囲には、感光体表面に帯電処理を行う帯電器162,感光体表面に形成された静電潜像を可視化する現像装置163および感光体に残留するトナーを除去回収するクリーニング装置164等が配置されている。また、作像ユニット106の上方には、画像情報を感光体表面にレーザー光で照射する露光装置107が配設されている。そして、感光体161の下には、感光体161上に作像されたトナー像を用紙に転写する転写装置151が配置されている。その転写装置151の側方には、用紙上に転写されたトナーを、一対のローラ間を通過して熱と圧力を加えることによってトナー像を定着処理する定着装置152が配置されている。定着装置152を通過した用紙は排紙ローラ153により排紙収納部104に排紙される。
給紙部102においては、給紙トレイ121に未使用の用紙が収容されており、回動可能に支持された底板124が最上紙を、ピックアップローラ125が当接可能な位置まで上昇させる。給紙ローラ126の回転により、最上紙は給紙トレイ121から送り出され、搬送ローラ対3,4によりレジスト調整機構20へと搬送される。レジスト調整機構20は用紙の搬送を一時止め、感光体161表面のトナー像と用紙先端との位置関係が所定の位置になるよう、タイミングをとって回転が開始するよう、制御される。
読取部103では、コンタクトガラス131上に載置される原稿の読み取り走査を行うために、原稿照明用光源とミラーより成る読取走行体132,133が往復移動する。この読取走行体132,133により走査された画像情報は、レンズ134の後方に設置されているCCD135に画像信号として読み込まれる。この読み込まれた画像信号は、画像処理部(図示せず)によってデジタル化され画像処理される。画像形成部101では、画像処理部によって処理された画像信号に基づいて、露光装置107内のレーザダイオード(図示せず)の発光により感光体161の表面に静電潜像が形成される。LDからの光信号は、公知のポリゴンミラーやレンズを介して感光体に至る。読取部103の上方には、原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送装置130が取り付けられている。
なお、両面印刷時は、定着後の用紙が分岐部191にて分岐され、反転両面部109で用紙が反転されてレジスト調整機構20まで搬送され、レジスト調整機構20で用紙のスキューが補正され、裏面画像形成動作に至る。
本例の画像形成装置100は、上記のように原稿を読み取りデジタル化して用紙に複写する、所謂デジタルコピー機としての機能の他に、図示せぬ制御部により原稿の画像情報を遠隔地と授受するファクシミリの機能や、コンピュータが扱う画像情報を用紙上に印刷する所謂プリンタの機能を有する複合機である。
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば画像形成装置の構成も任意でありモノクロ装置に限らず、3色又は4色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機でも良い。カラー画像形成装置の場合、タンデム型や一つの感光体の周囲に複数の現像装置を配置したものや、リボルバ型現像装置を用いる構成も可能である。
20 レジスト調整機構
21 用紙
22 ガイド部材
23 吸着ベルト
24 ベルトローラ
25 M3ベルトモータ
26 吸着ファン
27 ケーシング
28 記録材検出センサ
29,30 レジスト・スキュー検出センサ
31,32 レジスト・スキュー補正ローラ
33 M1レジスト・スキュー補正センサ
34 M2レジスト・スキュー補正センサ
35 吸着ベルトユニット
36 ガイド部材
特開平9−30688 特開平9−86729 特開2006−69784

Claims (8)

  1. レジスト・スキューのため停止させたシート状記録材を所定タイミングで送り出すレジスト・スキュー調整機構であって、
    記録材先端が停止すべきレジスト基準位置の直前のレジスト調整位置で記録材幅方向の両端付近にそれぞれ配されたレジスト・スキュー検出手段と、
    当該レジスト・スキュー検出手段の通紙方向上流側に配された記録材検出手段と、
    当該記録材検出手段の更に通紙方向上流側で記録材幅方向に少なくとも2つ配された、記録材位置補正ローラと、
    当該記録材位置補正ローラを制御する制御手段と
    を有し、上記記録材位置補正ローラはそれぞれ独立に駆動されるローラであり、上記レジスト・スキュー検出手段夫々による記録材先端の検知位置に応じてスキュー量を算出し、算出されたスキュー量に応じて各記録材位置補正ローラの停止タイミングをずらすことによってレジスト基準位置で先端を揃えるように記録材を停止させることを特徴とする、レジスト・スキュー調整機構。
  2. 上記記録材検出手段により記録材先端が検出された段階で記録材搬送手段の搬送速度を減速させることを特徴とする、請求項1に記載のレジスト・スキュー調整機構。
  3. レジスト基準位置で記録材を停止後、レジスト・スキュー検出手段により、レジスト位置ずれ、またはスキューが検出された場合に、記録材位置補正ローラにより、上記レジスト位置ずれまたはスキューを補正することを特徴とする、請求項1または2に記載のレジスト・スキュー調整機構。
  4. レジスト基準位置とレジスト調整位置を含むレジスト領域に、記録材吸引搬送手段を配し、当該記録材吸引搬送手段は、レジスト・スキュー手段による記録材の検出に際して、記録材が浮き上がらないように記録材を吸引搬送することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレジスト・スキュー調整機構。
  5. 記録材吸引搬送手段の吸引力を可変とし、レジスト・スキュー調整機構の通紙方向上流側に設けられた記録材厚さ検出手段により検出された記録材の厚さに応じて上記吸引力を調整することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレジスト・スキュー調整機構。
  6. 記録材吸引搬送手段の吸引力を可変とし、別途設けられた記録材厚さ設定手段による厚さ設定時は、上記吸引力を低下させ若しくは零とすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレジスト・スキュー調整機構。
  7. 上記記録材厚さ設定手段による厚さ設定を行わない場合は、デフォルト設定で上記吸引力を設定することを特徴とする、請求項6に記載のレジスト・スキュー調整機構。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のレジスト・スキュー調整機構を備えた画像形成装置。
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