JP2010214986A - サスペンション構造、及びトー角変化調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ステアリングナックル5の上方に、運転者のステアリング操作に応じて回動するトップブリッジ22を配設し、ストラット31の上端をトップブリッジ22に連結すると共に、ストラット31の下端をステアリングナックル5に連結する。軸方向に伸縮可能なトーコントロールロッド41を、ストラット31の側方に設けると共に、車体の側面視で、トーコントロールロッド41の軸線が、ストラット31の軸線に対して傾斜するように、トーコントロールロッド41を配置する。また、ロールステア軸Arに対して、トーコントロールロッド41の下端側を接近又は離間させる方向にだけ揺動可能となるように、トーコントロールロッド41の上端を支持する。
【選択図】図1
Description
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例では、タイロッドが省略されることで、ロールステアやコンプライアンスステアの自由度が制限されてしまう。
本発明の課題は、ステアリングナックルに連結されるタイロッドを省略した構造において、トーコントロールの自由度を高めることである。
《構成》
図1は、正面側から見たサスペンション構造である。
図2は、左側面から見たサスペンション構造である。
図3は、サスペンション構造の参考図である。
本実施形態は、操向輪のサスペンション構造であって、特に電気自動車で用いる駆動用の電動モータをステアリングナックルに一体化させたものである。
車輪1は、タイヤ2と、タイヤ2を外周に嵌め込んだホイール3と、を備える。
ステアリングナックル5の車体内側には、インナーロータ型の駆動モータ6を固定し、その出力軸7が車体外側に突出している。駆動モータ6のロータと出力軸7との間には、遊星減速機8を介装する。
ステアリングナックル5の下端は、ロアアーム15で支持する。ロアアーム15の基端は、ブッシュ16を介して揺動可能な状態で車体17に支持し、ロアアーム15の先端では、ロアピボット18を介してステアリングナックル5を支持する。このロアピボット18により、ステアリングナックル5における少なくとも車体上下軸周りの回動が可能となる。ステアリングナックル5の回動支持点、つまりロアピボット18の位置については、後述する。
トップブリッジ22の下面には、車体の平面視で、上端支持軸21から車体前後方向に離間した位置に、運転者のステアリング操作に応じて車体左右方向に進退するタイロッド26を、ボールジョイント27を介して連結する。
トップブリッジ22とステアリングナックル5との間には、ストラット31とトーコントロールロッド41とを並列に介装する。これらストラット31とトーコントロールロッド41とのレイアウトについては、後述する。
トップブリッジ22の回動中心点と、ステアリングナックル5の回動中心点とを結ぶ線がキングピン軸Akであり、ストラット31の上端連結点と、ステアリングナックル5の回動中心点とを結ぶ線がロールステア軸Arである。
ここで、ステアリングナックル5の回動支持点について説明する。
ストラット31の軸線に対して、ステアリングナックル5の回動支持点を、径方向に離間させている。具体的には、車体後側、及び車体内側に離間させる。
車体の正面視では、ストラット31をキングピン軸Akよりも車体外側に配置し、トーコントロールロッド41をキングピン軸Akよりも車体内側に配置する。車体の正面視では、ストラット31の軸線とトーコントロールロッド41の軸線とは略平行である。
車体の側面視では、ストラット31の上端連結点よりもトーコントロールロッド41の上端支持点の方を車体前側に配置し、ストラット31の下端連結点よりもトーコントロールロッド41の下端支持点の方向を車体後側に配置する。すなわち、車体の側面視では、トーコントロールロッド41の軸線の上方が、ストラット31の軸線に対して車体前側に傾斜している。また、車体の平面視では、トーコントロールロッド41の軸線が、ロールステア軸Arの径方向と略直交する。
先ず、車輪の操向について説明する。
運転者のステアリング操作は、タイロッド26の直線運動となる。このタイロッド26の先端を、トップブリッジ22における上端支持軸21よりも車体後側に連結しているので、タイロッド26の直線運動に応じて、上端支持軸21を中心にトップブリッジ22が回動することになる。このトップブリッジ22の回動は、ストラット31及びトーコントロールロッド41を介してステアリングナックル5に伝達されるので、キングピン軸Akの周りにステアリングナックル5が回動し、車輪1が操向される。
このように、ステアリングナックル5にタイロッド26を連結する構造ではないので、ステアリングナックル5に駆動モータ6を一体化させるインホイールモータ構造のためのスペースを確保することができる。
図4は、右輪におけるロールステアの説明図である。
ここでは、トップブリッジ22の回動中心点をPU、ストラット31の上端連結点をSU、トーコントロールロッド41の上端支持点をTU、サスペンションがストロークしていないときのトーコントロールロッド41の下端支持点をSとする。一方、フルバウンドしたときのトーコントロールロッド41の下端支持点をB、フルリバウンドしたときのトーコントロールロッド41の下端支持点をRとする。また、ステアリングナックル5の回動中心点をPLとする。
一方、サスペンションのリバウンドストロークは、ストラット31及びトーコントロールロッド41の伸長によって実現する。車体の側面視では、トーコントロールロッド41の軸線の上方が、ストラット31の軸線に対して車体前側に傾斜しているので、トーコントロールロッド41だけに注目すると、その下端支持点が、点Sから点Rへ、つまり車体後側へと変位しようとする。
これにより、運転者のステアリング操作に応じた車輪1の操向とは独立して、リバウンドストローク時のトー角を、トーイン方向に変化させることができる。
なお、バウンドストローク時にトーアウト方向に変化し、リバウンドストローク時にトーイン方向に変化する設定では、旋回走行時に、旋回外輪がトーアウト方向に変化し、旋回内輪がトーイン方向に変化することになる。すなわち、車輪1の転舵角を切り戻す作用があるので、ステア特性をアンダーステア傾向に設定することができる。
図5は、右輪におけるコンプライアンスステアの説明図である。
ここでは、トップブリッジ22の回動中心点をPU、ストラット31の上端連結点をSU、ステアリングナックル5の回動中心点をPLとする。
先ず、旋回走行時には、旋回外輪のタイヤ接地点に旋回内側への横力が入力されることで、ブッシュ16が弾性変形し、ステアリングナックル5の回動中心点が、点PLSへと変位する。
上記のように、横力コンプライアンスステアでは、ストラット31に対するステアリングナックル5の回動支持点の位置と、その径方向の距離、並びにブッシュ16の弾性係数などに応じて定まる。したがって、ストラット31やロアピボット18のレイアウト、及びブッシュ16の弾性係数を調整することで、コンプライアンスステアを調整することができる。
勿論、旋回走行時に、旋回外輪をトーイン方向に変化させ、旋回内輪をトーアウト方向に変化させることで、ステア特性をオーバーステア傾向に設定してもよい。例えば、ストラット31の軸線に対して、ステアリングナックル5の回動支持点(ロアピボット18の位置)を、車体前側に配置すればよい。
この点PLから点PLBへの変位が、ステアリングナックル5に対してストラット31の軸線周りのモーメントとして作用する。これにより、ストラット31の上端側と下端側とが軸周りに相対変位し、ステアリングナックル5がトーイン方向に変位する。このとき、トーコントロールロッド41の上端支持点を中心にした揺動、及び下端支持点を中心にした球面運動と、によってステアリングナックル5の変位が許容される。
これにより、運転者のステアリング操作に応じた車輪1の操向とは独立して、左右の両輪で、車体後側への力が入力されたときのトー角を、トーイン方向に変化させることができる。
なお、ブレーキング時に、左右の両輪がトーイン方向に変化すると、車両の直進安定性が向上する。
勿論、ブレーキング時に、左右の両輪をトーアウト方向に変化させてもよい。例えば、ストラット31の軸線に対して、ステアリングナックル5の回動支持点(ロアピボット18の位置)を、車体外側に配置すればよい。
以上より、ステアリングナックル5が「ステアリングナックル」に対応し、ロアアーム15が「サスペンションアーム」に対応し、トップブリッジ22が「回動部材」に対応し、ストラット31が「ストラット」に対応する。また、トーコントロールロッド41が「トーコントロール部材」に対応し、タイロッド26が「ステアリング部材」に対応し、アッパブラケット45が「上端支持部材」に対応し、ボールジョイント44が「下端支持部材」に対応する。
前記トーコントロール部材は、車体の側面視で、当該トーコントロール部材の軸線が、前記ストラットの軸線に対して傾斜するように配設され、
前記上端支持部材は、前記回動支持部材に連結され、前記ストラットの上端連結点と前記ステアリングナックルの回動支持点とを結ぶロールステア軸に対して、当該トーコントロール部材の下端側を接近又は離間させる方向にだけ揺動可能となるように、当該トーコントロール部材の上端を支持し、
前記下端支持部材は、前記ステアリングナックルに連結され、枢動可能な状態で当該トーコントロール部材の下端を支持する。
このように、ストラットの軸線とトーコントロール部材の軸線とが非平行なので、双方が軸方向に伸縮するときに、ステアリングナックルをロールステア軸周りに変位させることができる。このように、ステアリングナックルに連結されるタイロッドを省略した構造であっても、トーコントロールの自由度を高めることができる。
これにより、トーコントロール部材の伸縮に応じて下端支持点が変位する際に、この変位エネルギを、ロールステア軸周りのモーメントへと効率よく変換することができる。したがって、効率よくトー角変化を実現できる。
これにより、バウンドストローク時のトー角を、トーアウト方向に変化させることができ、リバウンドストローク時のトー角を、トーイン方向に変化させることができる。したがって、旋回走行時に、旋回外輪がトーアウト方向に変化し、旋回内輪がトーイン方向に変化するので、ステア特性をアンダーステア傾向に設定することができる。
これにより、車輪に横力や前後力が入力されるときに、ステアリングナックルをストラットの軸線周りに変位させることができる。このように、ステアリングナックルに連結されるタイロッドを省略した構造であっても、トーコントロールの自由度を高めることができる。
これにより、車輪に横力が入力されるときに、ステアリングナックルをストラットの軸線周りに変位させることができる。
(6)前記ストラットの軸線に対して、前記ステアリングナックルの回動支持点を、車体内側に離間させる。
これにより、車輪に前後力が入力されるときに、ステアリングナックルをストラットの軸線周りに変位させることができる。
このように、ストラットの軸線とトーコントロール部材の軸線とが非平行なので、双方が軸方向に伸縮するときに、ステアリングナックルをロールステア軸周りに変位させることができる。このように、ステアリングナックルに連結されるタイロッドを省略した構造であっても、トーコントロールの自由度を高めることができる。
《構成》
図6は、第二実施形態を示すサスペンション構造である。
本実施形態では、上端支持軸21に径方向に突出する突出部21aを設け、この突出部21aに、ボールジョイント27を介してタイロッド26を連結したものである。
《作用》
運転者のステアリング操作は、タイロッド26の直線運動となる。このタイロッド26の先端を、上端支持軸21よりも車体後側の突出部21aに連結しているので、タイロッド26の直線運動に応じて、上端支持軸21を中心にトップブリッジ22が回動することになる。このトップブリッジ22の回動は、ストラット31及びトーコントロールロッド41を介してステアリングナックル5に伝達されるので、キングピン軸Akの周りにステアリングナックル5が回動し、車輪1が操向される。
このように、ステアリングナックル5にタイロッド26を連結する構造ではないので、ステアリングナックル5に駆動モータ6を一体化させるインホイールモータ構造のためのスペースを確保することができる。
《構成》
図7は、第三実施形態を示すサスペンション構造である。
本実施形態では、上端支持軸21に交差歯車機構21bを設け、この交差歯車機構21bに対して、運転者のステアリング操作に応じた回転を伝達するものである。例えば、特開2007−22159号公報に記載されたような回転伝達機構を採用する。
運転者のステアリング操作は、交差歯車機構21bを介して上端支持軸21に伝達されるので、上端支持軸21を中心にトップブリッジ22が回動することになる。このトップブリッジ22の回動は、ストラット31及びトーコントロールロッド41を介してステアリングナックル5に伝達されるので、キングピン軸Akの周りにステアリングナックル5が回動し、車輪1が操向される。
このように、ステアリングナックル5にタイロッド26を連結する構造ではないので、ステアリングナックル5に駆動モータ6を一体化させるインホイールモータ構造のためのスペースを確保することができる。
また、機械的ギヤ比を可変にしたり、最大転舵角を拡大したりすることができる。
5 ステアリングナックル
6 駆動モータ
15 ロアアーム
16 ブッシュ
18 ロアピボット
21 上端支持軸
22 トップブリッジ
26 タイロッド
27 ボールジョイント
31 ストラット
41 トーコントロールロッド
44 ボールジョイント
45 アッパブラケット
Ak キングピン軸
Ar ロールステア軸
PU トップブリッジ22の回動中心点
SU ストラット31の上端連結点
TU トーコントロールロッド41の上端支持点
S トーコントロールロッド41の下端支持点
B フルバウンド時のトーコントロールロッド41の下端支持点
R フルリバウンド時のトーコントロールロッド41の下端支持点
PL ステアリングナックル5の回動中心点
Claims (7)
- 車輪を軸支したステアリングナックルと、基端が揺動可能な状態で車体に支持され、先端で前記ステアリングナックルを回動可能に支持するサスペンションアームと、前記ステアリングナックルの上方において、車両上下方向に延在する軸周りに回動可能な状態で車体に支持された回動部材と、上端が前記回動部材に連結されると共に、下端が前記ステアリングナックルに連結され、軸方向に伸縮可能で、且つ上端側と下端側とが軸周りに相対変位可能なストラットと、該ストラットの側方で、上端が上端支持部材を介して前記回動部材に支持されると共に、下端が下端支持部材を介して前記ステアリングナックルに支持され、軸方向に伸縮可能なトーコントロール部材と、運転者のステアリング操作に応じて前記回動部材を回動させるステアリング部材と、を備え、
前記トーコントロール部材は、車体の側面視で、当該トーコントロール部材の軸線が、前記ストラットの軸線に対して傾斜するように配設され、
前記上端支持部材は、前記トーコントロール部材の下端が、該トーコントロール部材の上端に対して、前記ストラットの上端と前記回動部材との連結点と、前記ステアリングナックルと前記サスペンションアームとの回動支持点とを結ぶロールステア軸に対して、接近又は離間させる方向にだけ揺動可能となるように、当該トーコントロール部材の上端を前記回動支持部材に支持し、
前記下端支持部材は、前記ステアリングナックルに連結され、枢動可能な状態で当該トーコントロール部材の下端を支持することを特徴とするサスペンション構造。 - 前記トーコントロール部材は、車体の平面視で、当該トーコントロール部材の軸線が、前記ロールステア軸の径方向と交差するように配設されることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション構造。
- 前記トーコントロール部材は、前記ストラットよりも車体左右方向の内側に配設されると共に、車体の側面視で、当該トーコントロール部材の軸線の上方が、前記ストラットの軸線に対して車体前側に傾斜するように配設されることを特徴とする請求項1又は2に記載のサスペンション構造。
- 前記ストラットの軸線に対して、前記ステアリングナックルの回動支持点を、径方向に離間させることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のサスペンション構造。
- 前記ストラットの軸線に対して、前記ステアリングナックルの回動支持点を、車体後側に離間させることを特徴とする請求項4に記載のサスペンション構造。
- 前記ストラットの軸線に対して、前記ステアリングナックルの回動支持点を、車体内側に離間させることを特徴とする請求項4又は5に記載のサスペンション構造。
- 車輪をステアリングナックルによって軸支し、基端が揺動可能な状態で車体に支持されたサスペンションアームの先端で前記ステアリングナックを回動可能に支持し、運転者のステアリング操作に応じて回動可能な回動部材を前記ステアリングナックルの上方で車体に支持し、軸方向に伸縮可能で且つ上端側と下端側とが軸周りに相対変位可能なストラットの上端を前記回動部材に連結すると共に、当該ストラットの下端を前記ステアリングナックルに連結し、
軸方向に伸縮可能なトーコントロール部材を前記ストラットの側方に設け、車体の側面視で、前記トーコントロール部材の軸線を、前記ストラットの軸線に対して傾斜させ、前記ストラットの上端連結点と前記ステアリングナックルの回動支持点とを結ぶロールステア軸に対して、前記トーコントロール部材の下端側が接近又は離間する方向にだけ揺動可能となるように、当該トーコントロール部材の上端を前記回動部材に支持すると共に、前記トーコントロール部材の下端を、枢動可能な状態で前記ステアリングナックルに支持することを特徴とするトー角変化調整方法。
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