JP2013163401A - 駆動ユニット - Google Patents

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靖之 松田
Daisuke Gunji
大輔 郡司
Shuhei Soma
周平 相馬
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Abstract

【課題】高さを低くすることができる駆動ユニットを提供すること。
【解決手段】車両の車輪102を駆動する駆動ユニット100であって、車輪102に連結されたインホイールモータ(電動車両駆動装置)10と、前記インホイールモータ10と車両の車体と連結させるサスペンション部104と、を有する。サスペンション部102は、インホイールモータ10の回転軸に直交する面において、操舵軸に対してオフセットして配置されたショックアブソーバ120と、ショックアブソーバ120とインホイールモータ10とを連結させるショックアブソーバ取付部121と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電動車両を駆動する駆動ユニットに関する。
電動車両駆動装置のうち、特にホイールを直接駆動するものをインホイールモータという。ここでいうインホイールモータとは、電動車両が備えるホイールの近傍に設けられる駆動装置である。なお、インホイールモータは、必ずしもホイールの内部に収納されていなくてもよい。インホイールモータは、ホイールの内部又はホイール近傍に配置される必要がある。しかしながら、ホイールの内部やホイール近傍は、比較的狭い空間である。よって、インホイールモータは、小型化が要求される。
インホイールモータには、減速機構を備える方式のものと、減速機構を備えないダイレクトドライブ方式のものとがある。減速機構を備える方式のインホイールモータは、電動車両の発進時や登坂時(坂道を登る時)に、電動車両を駆動するために十分な回転力を確保しやすい。しかしながら、減速機構を備える方式のインホイールモータは、減速機構を介して回転力をホイールに伝えるため、減速機構での摩擦損失が生じる。減速機構を備えるインホイールモータは、モータの出力軸の回転速度がホイールの回転速度よりも常に速い。よって、減速機構を備える方式のインホイールモータは、特に、電動車両が高速で走行する時に、減速機構での摩擦損失によってエネルギーの損失が増大する。
一方、ダイレクトドライブ方式のインホイールモータは、減速機構を介さずに回転力をホイールに伝えるため、エネルギーの損失を低減できる。しかしながら、ダイレクトドライブ方式のインホイールモータは、減速機構によって回転力を増幅できない。これにより、ダイレクトドライブ方式のインホイールモータは、電動車両の発進時や登坂時に、電動車両を駆動するために十分な回転力を確保しにくい。電動車両を駆動するために十分な回転力を確保するための技術として、例えば、特許文献1には、インホイールモータではないが、遊星歯車機構を含む減速機構と、2つのモータとを備える技術が記載されている。
特開2005−081932号公報
特許文献1に記載されている技術は、動力循環経路を有する。特許文献1に記載されている技術は、動力循環経路内で回転力をまず電力に変換し、その電力を再度回転力に変換している。したがって、特許文献1に記載されている技術は、動力循環経路に発電機及びモータを含む必要がある。しかしながら、上述のように、インホイールモータは、電動車両駆動装置の小型化が要求されており、発電機及びモータを設置するためのスペースをホイール近傍に確保することが困難である。また、特許文献1に記載されている技術は、動力を電力に変換し、さらに電力を動力に変換する。このため、特許文献1に記載されている技術は、エネルギーの変換時にエネルギーの損失が生じる。
ここで、駆動装置としてインホイールモータは、車輪に装着され、かつ、サスペンション部で支持され、車両の車体に固定される。インホイールモータと当該インホイールモータを車体に対して支持するサスペンションとを備える駆動ユニットは、インホイールモータで車輪を回転させることで、車両を駆動する。ここで、インホイールモータを備える駆動ユニットは、インホイールモータが大きいため、高さが高くなってしまう。駆動ユニットの高さが高くなると、車両の車高(地上高)が高くなってしまう。これに対して、駆動ユニットは、サスペンションの高さを低くすることで、高さを低くすることができるが、サスペンションとしての能力が低下し、衝撃の吸収力が低下してしまう。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、インホイールモータを備える駆動ユニットにおいて、高さを低くすることができる駆動ユニットを提供することを目的とする。
本発明は、車両の車輪を駆動する駆動ユニットであって、前記車輪に連結されたインホイールモータと、前記インホイールモータと、前記車両の車体と連結させるサスペンション部と、を有し、前記サスペンション部は、前記インホイールモータの回転軸に直交する面において、操舵軸に対してオフセットして配置されたショックアブソーバと、前記ショックアブソーバと前記インホイールモータとを連結させるショックアブソーバ取付部と、を有することを特徴とする。
上記構成により、ショックアブソーバの鉛直方向上側の位置をより低くすることができ、装置全体の高さを低くすることができる。これにより、車両に装着した場合も、車両の車高が高くなることを抑制することができる。
本発明において、前記ショックアブソーバ取付部は、前記インホイールモータの回転軸に直交する面において、鉛直方向に対して傾斜して配置されたことが好ましい。これにより、車両に装着した場合も、車両の車高が高くなることを抑制することができる。
本発明において、前記インホイールモータの外周面に配置され、前記インホイールモータと接続された端子箱をさらに有し、前記ショックアブソーバ取付部は、前記インホイールモータの回転軸に直交する面において、前記操舵軸を分割線として前記端子箱の反対側の領域に配置されていることが好ましい。これにより、ショックアブソーバ及びショックアブソーバ取付部が端子箱に影響を与えることを抑制することができる。また、インホイールモータの周囲に各部を効率よく配置することがでできる。
本発明において、前記インホイールモータは、ハブベアリングが固定された筐体を有し、前記ショックアブソーバ取付部は、前記ハブベアリングが固定された筐体に連結されていることが好ましい。これにより、インホイールモータのロータやステータやトランスミッション(動力を伝達する機構)に車両重量及び路面入力による外力が伝達されることを抑制することができ、装置の耐久性を高くすることができる。
本発明において、前記ショックアブソーバ取付部は、前記インホイールモータの回転軸よりも、車両前方側に配置されていることが好ましい。これにより、端子箱を車両後方側に配置することができ、走行時に飛び石等が各種配線に当たることを抑制でき、各種配線を保護することができる。
本発明において、前記インホイールモータは、第1モータと、第2モータと、前記第1モータと連結される第1サンギアと、前記第1サンギアと噛み合う第1ピニオンギアと、前記第1ピニオンギアが自転できるように、かつ、前記第1ピニオンギアが前記第1サンギアを中心に公転できるように前記第1ピニオンギアを保持する第1キャリアと、前記第1キャリアの回転を規制できるクラッチ装置と、前記第1ピニオンギアと噛み合い、かつ、前記第2モータと連結される第1リングギアと、前記第1モータと連結される第2サンギアと、前記第2サンギアと噛み合う第2ピニオンギアと、前記第2ピニオンギアと噛み合う第3ピニオンギアと、前記第2ピニオンギア及び前記第3ピニオンギアがそれぞれ自転できるように、かつ、前記第2ピニオンギア及び前記第3ピニオンギアが前記第2サンギアを中心に公転できるように前記第2ピニオンギア及び前記第3ピニオンギアを保持するとともに、前記第1リングギアと連結される第2キャリアと、前記第3ピニオンギアと噛み合う第2リングギアと、前記第2リングギアと連結される第3サンギアと、前記第3サンギアと噛み合う第4ピニオンギアと、前記第4ピニオンギアが自転できるように、かつ、前記第4ピニオンギアが前記第3サンギアを中心に公転できるように前記第4ピニオンギアを保持するとともに、電動車両の車輪と連結される第3キャリアと、前記第4ピニオンギアと噛み合い、かつ、静止系に固定される第3リングギアと、を含むことが好ましい。
上記構成により、第1変速状態及び第2変速状態の2つの変速状態を実現できる。第1変速状態では、第1モータ及び第2モータが作動し、かつクラッチ装置は係合状態である。第1変速状態で、このインホイールモータは、第2キャリアから第1リングギアに回転力の一部が戻り、さらに第1リングギアに伝わった回転力が第1サンギアを介して第2サンギアに伝わる。すなわち、このインホイールモータは、回転力が循環する。このような構造により、このインホイールモータは、より大きな変速比を実現できる。すなわち、このインホイールモータは、第1変速状態の時に、第1モータが出力する回転力よりも大きな回転力をホイールに伝達できる。
第2変速状態では、第1モータ及び第2モータは作動し、かつクラッチ装置は非係合状態である。このインホイールモータは、第2変速状態の際、第2モータの角速度が変化することで、変速比を連続的に変更できる。このようにすることで、このインホイールモータは、第1モータの角速度と、出力軸となる第2リングギアの角速度との差を低減できるので、摩擦損失を低減でき、結果としてエネルギーの損失を低減できる。
また、このインホイールモータは、第3サンギアと、第4ピニオンギアと、第3キャリアと、第3リングギアと、を含む減速機構を有する。このインホイールモータは、減速機構により、第1モータ及び第2モータの回転力を増幅することができるので、第1モータ及び第2モータに要求される回転力を低減できる。その結果、第1モータ及び第2モータの小型化及び軽量化をすることができるので、このインホイールモータを小型化及び軽量化することができる。
本発明において、前記インホイールモータは、第1モータと、第2モータと、前記第1モータと連結される第1サンギアと、前記第1サンギアと噛み合う第1ピニオンギアと、前記第1ピニオンギアが自転できるように、かつ、前記第1ピニオンギアが前記第1サンギアを中心に公転できるように前記第1ピニオンギアを保持する第1キャリアと、前記第1ピニオンギアと噛み合う第1リングギアと、前記第1モータと連結される第2サンギアと、前記第2サンギアと噛み合う第2ピニオンギアと、前記第2ピニオンギアと噛み合う第3ピニオンギアと、前記第2ピニオンギア及び前記第3ピニオンギアがそれぞれ自転できるように、かつ、前記第2ピニオンギア及び前記第3ピニオンギアが前記第2サンギアを中心に公転できるように前記第2ピニオンギア及び前記第3ピニオンギアを保持する第2キャリアと、前記第2キャリアの回転を規制できるクラッチ装置と、前記第3ピニオンギアと噛み合い、かつ、前記第1キャリアと連結され、かつ、前記第2モータと連結される第2リングギアと、前記第1リングギアと連結される第3サンギアと、前記第3サンギアと噛み合う第4ピニオンギアと、前記第4ピニオンギアが自転できるように、かつ、前記第4ピニオンギアが前記第3サンギアを中心に公転できるように前記第4ピニオンギアを保持するとともに、電動車両の車輪と連結される第3キャリアと、前記第4ピニオンギアと噛み合い、かつ、静止系に固定される第3リングギアと、を含むことが好ましい。
上記構成により、第1変速状態及び第2変速状態の2つの変速状態を実現できる。第1変速状態では、第1モータ及び第2モータが作動し、かつクラッチ装置は係合状態である。第1変速状態で、このインホイールモータは、第2キャリアから第1リングギアに回転力の一部が戻り、さらに第1リングギアに伝わった回転力が第1サンギアを介して第2サンギアに伝わる。すなわち、このインホイールモータは、回転力が循環する。このような構造により、このインホイールモータは、より大きな変速比を実現できる。すなわち、このインホイールモータは、第1変速状態の時に、第1モータが出力する回転力よりも大きな回転力をホイールに伝達できる。
第2変速状態では、第1モータ及び第2モータは作動し、かつクラッチ装置は非係合状態である。このインホイールモータは、第2変速状態の際、第2モータの角速度が変化することで、変速比を連続的に変更できる。このようにすることで、このインホイールモータは、第1モータの角速度と、出力軸となる第2リングギアの角速度との差を低減できるので、摩擦損失を低減でき、結果としてエネルギーの損失を低減できる。
また、このインホイールモータは、第3サンギアと、第4ピニオンギアと、第3キャリアと、第3リングギアと、を含む減速機構を有する。このインホイールモータは、減速機構により、第1モータ及び第2モータの回転力を増幅することができるので、第1モータ及び第2モータに要求される回転力を低減できる。その結果、第1モータ及び第2モータの小型化及び軽量化をすることができるので、このインホイールモータを小型化及び軽量化することができる。
本発明において、前記クラッチ装置は、第1部材と、前記第1部材に対して回転できる第2部材と、前記第2部材に第1方向の回転力が作用すると前記第1部材と前記第2部材との間で回転力を伝達し、前記第2部材に前記第1方向とは逆の第2方向の回転力が作用すると前記第1部材と前記第2部材との間で回転力を伝達しない係合部材と、を含むワンウェイクラッチ装置であることが好ましい。
ワンウェイクラッチ装置は、第2部材に作用する回転力の方向が切り替えられることで、係合状態と非係合状態とを切り替えできる。よって、ワンウェイクラッチ装置は、ピストンを移動させるための機構や、電磁アクチュエータを必要としない。これにより、本発明に係るインホイールモータは、部品点数を低減でき、かつ、自身(クラッチ装置)を小型化できる。また、ワンウェイクラッチ装置は、ピストンを移動させるための機構や、電磁アクチュエータを作動させるためのエネルギーが不要となる。
本発明において、前記第1モータが、前記インホイールモータが搭載される電動車両を前進させる向きに回転し、かつ前記第2モータが駆動されていない場合に係合する向きに配置されることが好ましい。このようにすれば、第1変速状態を、いわゆるローギアとし、第2変速状態を、いわゆるハイギアとすることができる。
本発明において、前記クラッチ装置は、スプラグ式ワンウェイクラッチであることが好ましい。スプラグ式ワンウェイクラッチは、摩擦係合部材としてスプラグが用いられているので、円に類似した底面を持つカムの数よりも多数のスプラグをクラッチ装置に配置することができる。その結果、クラッチ装置と同一の取り付け寸法を持つカムクラッチ装置のトルク容量よりも、クラッチ装置のトルク容量を大きくすることができる。
本発明において、前記サスペンション部は、ストラット式サスペンションであることが好ましい。サスペンション部をストラット式サスペンションとすることで、装置構成を簡単にすることができる。
本発明は、高さが低い駆動ユニットを提供することができる。
図1は、本実施形態の電動車両駆動ユニットの構成を示す側面図である。 図2は、本実施形態の電動車両駆動ユニットの構成を示す上面図である。 図3は、本実施形態の電動車両駆動ユニットの構成を示す後面図である。 図4は、図1のA−A線断面図である。 図5は、本実施形態の電動車両駆動ユニットの構成を示す斜視図である。 図6は、本実施形態の電動車両駆動ユニットを説明する説明図である。 図7は、本実施形態の電動車両駆動装置の構成を示す図である。 図8は、本実施形態に係る電動車両駆動装置が第1変速状態にある場合に、回転力が伝わる経路を示す説明図である。 図9は、本実施形態に係る電動車両駆動装置が第2変速状態にある場合に、回転力が伝わる経路を示す説明図である。 図10は、本実施形態のクラッチ装置を示す説明図である。 図11は、本実施形態のクラッチ装置のカムを拡大して示す説明図である。 図12は、本実施形態に係る電動車両駆動装置の内部構造を示す図である。 図13は、車両を走行させるモータに要求される回転力(トルク)と角速度(回転速度)との関係を示す図である。 図14は、本実施形態の変形例に係る電動車両駆動装置の構成を示す説明図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
図1は、本実施形態の電動車両駆動ユニットの構成を示す側面図である。図2は、本実施形態の電動車両駆動ユニットの構成を示す上面図である。図3は、本実施形態の電動車両駆動ユニットの構成を示す後面図である。図4は、図1のA−A線断面図である。図5は、本実施形態の電動車両駆動ユニットの構成を示す斜視図である。図1から図5に示す電動車両駆動ユニット(以下、単に「駆動ユニット」という。)100は、電動車両駆動装置10と、サスペンション部104と、ブレーキ106(図5参照)と、を有する。電動車両駆動装置10は、インホイールモータであり、車輪102に装着される。車輪102は、路面と設置するタイヤ112と、タイヤ112に装着されたホイール114とを有する。電動車両駆動装置10は、ロータとステータとを有し、ロータがホイール114に装着される。電動車両駆動装置10は、ホイール114を回転させることで、タイヤ112を回転させる。電動車両駆動装置10の構成については、後述する。
また、電動車両駆動装置10は、外周に2つの端子箱(電源端子ボックス)130、132が固定されている。端子箱130、132は、電動車両駆動装置10の各部の配線が接続されている。また、端子箱130、132は、車体の各部から伸びた配線と接続されている。このように、端子箱130、132は、電動車両駆動装置10の各部と車体の各部とを電気的に接続する。例えば、配線としては、電線、信号線等がある。
サスペンション部104は、ショックアブソーバ120と、ショックアブソーバ取付部121と、ロワアーム122と、を有する。サスペンション部104は、いわゆるストラット式サスペンションである。サスペンション部104は、電動車両駆動装置10と車両の車体との間に配置されており、車体と電動車両駆動装置10とを接続している。駆動ユニット100は、サスペンション部104が電動車両駆動装置10を車体に接続させることで、車両に対して支持され、車輪102と車体が接続される。
ショックアブソーバ120は、ダンパーであり、シリンダ120aとピストンロッド120bとを有する。シリンダ120aは、電動車両駆動装置10側に配置され、ショックアブソーバ取付部121により、電動車両駆動装置10に固定されている。ピストンロッド120bは、シリンダ120aの軸方向に摺動可能な状態で挿入されている。ピストンロッド120bは、シリンダ120aから遠い側の端部が車体に直接または他の部材を介して固定される。ショックアブソーバ120は、シリンダ120aに対してピストンロッド120bが軸方向に移動する際に生じる抵抗により、車輪102から車体または車体から車輪102に伝達する力を減衰する。
なお、サスペンション部104は、さらにばねを備えていてもよい。ばねは、一方の端部がシリンダ120aの車体側の端部に接続され、他方の端部がピストンロッド120bの車体側の端部に接続される位置や、ピストンロッド120bと車体との間となる位置に配置すればよい。
ショックアブソーバ取付部(以下、単に取付部ともいう。)121は、ショックアブソーバ120を電動車両駆動装置10に取り付ける機構である。取付部121は、電動車両駆動装置10に固定されており、ショックアブソーバ120のシリンダ120aのピストンロッド120aから遠い側を固定している。また、取付部121は、電動車両駆動装置10のハブベアリングを固定している筐体(ナックルに相当する機能を持つ部材)に固定されている。
ロワアーム122は、一方の端部が電動車両駆動装置10に連結され、他方の端部が車体に連結されている。ロワアーム122は、電動車両駆動装置10の鉛直方向下側(路面側)の面に配置されている。ロワアーム122は、電動車両駆動装置10を車体に対して支持することで電動車両駆動装置10の車軸の位置決めする。なお、ロワアーム122は、ナックルを介して電動車両駆動装置10と連結する。
ブレーキ106は、ブレーキディスク140とブレーキキャリパ142とを有する。ブレーキディスク140は、電動車両駆動装置10のロータに連結されている。ブレーキディスク140は、電動車両駆動装置10のロータや車輪102とともに回転する。ブレーキキャリパ142は、電動車両駆動装置10のステータに連結されている。ブレーキキャリパ142は、ブレーキディスク140の一部を挟み込む位置に配置されており、ブレーキキャリパ142は、ブレーキディスク140と接触する状態と接触しない状態とを切り換えることができ、ブレーキディスク140と接触する状態とすることで、ブレーキディスク140の回転を減速させる方向の力を作用させる。ブレーキ106は、ステータに接続されたブレーキキャリパ142と、ロータに接続されたブレーキディスク140とを接触させ、ブレーキディスク140の回転を減速させることで、駆動ユニット100の回転を減速させる。これにより、ブレーキ106は、駆動ユニット100の駆動力を低減させる制動動作を実行することができる。
次に、駆動ユニット100の各部の配置構成について説明する。駆動ユニット100は、図1及び図3に示すように、電動車両駆動装置10が転舵軸(Steering Axis)Staを回転軸として回転する。ショックアブソーバ120は、軸Saが転舵軸Sta対して所定角度傾斜している。なお、軸Saは、シリンダ120aとピストンロッド120bとの中心軸(摺動方向)である。本実施形態では、電動車両駆動装置10の回転軸に直交する面における軸Saと転舵軸Staとのなす角θ1が16.2[deg]となる。また、電動車両駆動装置10の回転軸と鉛直方向とを含む面における軸Saと転舵軸Staとのなす角θ2が16.2[deg]となる。また、本実施形態では、タイヤのキャンバー角度θcが+2[deg]となる。さらに、車輪102の幅方向の中心を結んだ中心線と転舵軸Staとのなす角θ3が12[deg]となる。ここで、転舵軸Staと接地面Gl(Ground level)との交点は、接地面Glと車輪102の幅方向の中心を結んだ中心線との交点よりも車輪外側となる。なお、角度は一例であり、本実施形態に限定されない。
駆動ユニット100は、電動車両駆動装置10の鉛直方向の真上からオフセットした位置に設け、本実施形態では、電動車両駆動装置10の鉛直方向の真上よりも車両の進行方向の前方側となる面に取付部121を設けることで、ショックアブソーバ120の軸Saを転舵軸Staに対してオフセットすることができる。また、駆動ユニット100は、インホイールモータの回転軸に直交する面において、操舵軸を分割線として、取付部121と、端子箱130、132とが、異なる領域に配置されている。
図6は、本実施形態の電動車両駆動ユニットを説明する説明図である。駆動ユニット100は、以上のように、電動車両駆動装置10の筐体の鉛直方向真上からオフセットした位置、具体的には、操舵軸に対してオフセットした位置に取付部121を配置する。これにより、図6に示すようにショックアブソーバ120を、電動車両駆動装置10の筐体の鉛直方向真上に配置したショックアブソーバ220よりも、ショックアブソーバ120の鉛直方向上側の端部を距離α分、鉛直方向下側に配置することができる。これにより、駆動ユニット100は、ショックアブソーバ120の長さを維持したまま、全体の高さを低くすることができる。駆動ユニット100は、ショックアブソーバ120の長さを維持したショックアブソーバ120の維持することができる。以上より、駆動ユニット100は、外周径が大きくなるインホイールモータを備える駆動ユニットとした場合でも、車高が高くなることを抑制することができる。
駆動ユニット100は、電動車両駆動装置10の回転軸に直交する面において、取付部121を、操舵軸を分割線として端子箱130、132の反対側の領域に配置する。これにより、ショックアブソーバ120及び取付部121が端子箱130、132に影響を与えることを抑制することができる。また、電動車両駆動装置10の周囲に各部を効率よく配置することができる。
駆動ユニット100は、電動車両駆動装置10の回転軸よりも、車両前方側に取付部121を配置している。つまり、取付部121及びショックアブソーバ120を電動車両駆動装置10の車両前方側に配置している。これにより、端子箱130、132を車両後方側に配置することができ、走行時に飛び石等が各種配線に当たることを抑制でき、各種配線を保護することができる。
取付部121は、電動車両駆動装置10のハブベアリングを固定している筐体(ナックルに相当する機能を持つ部材)に固定されていることが好ましい。つまり、取付部121は、ロワアーム122が連結される部材と同じ部材に固定されることが好ましい。なお、電動車両駆動装置10の筐体の構造については後述する。インホイールモータのロータやステータやトランスミッション(動力を伝達する機構)に車両重量及び路面入力による外力が伝達されることを抑制することができ、装置の耐久性を高くすることができる。
また、駆動ユニット100は、サスペンション部104が、電動車両駆動装置10の鉛直方向上側をショックアブソーバ120で支持し、電動車両駆動装置10の鉛直方向下側をロワアーム122で支持するストラット式サスペンションである。このように、サスペンション部104をストラット式サスペンションとすることで、装置構成を簡単にすることができる。なお、駆動ユニット100は、ロワアーム122を2本設ける構成としてもよい。
次に、電動車両駆動装置10について説明する。図7は、本実施形態の電動車両駆動装置の構成を示す図である。インホイールモータである電動車両駆動装置10は、ケーシングGと、第1モータ11と、第2モータ12と、変速機構13と、減速機構40と、ホイール軸受50とを含む。ケーシングGは、第1モータ11と、第2モータ12と、変速機構13と、減速機構40とを収納する。
第1モータ11は、第1回転力TAを出力できる。第2モータ12は、第2回転力TBを出力できる。変速機構13は、第1モータ11と連結される。このような構造により、変速機構13は、第1モータ11が作動すると、第1モータ11から第1回転力TAが伝えられる(入力される)。また、変速機構13は、第2モータ12と連結される。このような構造により、変速機構13は、第2モータ12が作動すると、第2回転力TBが伝えられる(入力される)。ここでいうモータの作動とは、第1モータ11(第2モータ12)に電力が供給されて第1モータ11(第2モータ12)の入出力軸が回転することをいう。
変速機構13は、減速比(変速機構13への入力回転速度ωiと出力回転速度ωoとの比ωi/ωo)を変更できる。変速機構13は、第1遊星歯車機構20と、第2遊星歯車機構30と、クラッチ装置60とを含む。第1遊星歯車機構20は、シングルピニオン式の遊星歯車機構である。第1遊星歯車機構20は、第1サンギア21と、第1ピニオンギア22と、第1キャリア23と、第1リングギア24とを含む。第2遊星歯車機構30は、ダブルピニオン式の遊星歯車機構である。第2遊星歯車機構30は、第2サンギア31と、第2ピニオンギア32aと、第3ピニオンギア32bと、第2キャリア33と、第2リングギア34とを含む。
第1サンギア21は、回転軸Rを中心に回転(自転)できるようにケーシングG内に支持される。第1サンギア21は、第1モータ11と連結される。このような構造により、第1サンギア21は、第1モータ11が作動すると、第1回転力TAが伝えられる。そして、第1サンギア21は、第1モータ11が作動すると、回転軸Rを中心に回転する。第1ピニオンギア22は、第1サンギア21と噛み合う。第1キャリア23は、第1ピニオンギア22が第1ピニオン回転軸Rp1を中心に回転(自転)できるように第1ピニオンギア22を保持する。第1ピニオン回転軸Rp1は、例えば、回転軸Rと平行である。
第1キャリア23は、回転軸Rを中心に回転(自転)できるようにケーシングG内に支持される。このような構造により、第1キャリア23は、第1ピニオンギア22が第1サンギア21を中心に、すなわち回転軸Rを中心に公転できるように第1ピニオンギア22を保持する。第1リングギア24は、回転軸Rを中心に回転(自転)できる。第1リングギア24は、第1ピニオンギア22と噛み合う。また、第1リングギア24は、第2モータ12と連結される。このような構造により、第1リングギア24は、第2モータ12が作動すると第2回転力TBが伝えられる。そして、第1リングギア24は、第2モータ12が作動すると、回転軸Rを中心に回転(自転)する。
クラッチ装置60は、ケーシングGと第1キャリア23との間に配置される。クラッチ装置60は、第1キャリア23の回転を規制できる。具体的には、クラッチ装置60は、回転軸Rを中心とした第1キャリア23の回転を規制(制動)する場合と、前記回転を許容する場合とを切り替えできる。以下、クラッチ装置60は、前記回転を規制(制動)する状態を係合状態といい、前記回転を許容する状態を非係合状態という。クラッチ装置60の詳細については後述する。
このように、第1キャリア23は、クラッチ装置60によってケーシングGと係合と分離とが可能となっている。すなわち、クラッチ装置60は、ケーシングGに対して第1キャリア23を回転自在としたり、ケーシングGに対して第1キャリア23を回転不能にしたりすることができる。
第2サンギア31は、回転軸Rを中心に回転(自転)できるようにケーシングG内に支持される。第2サンギア31は、第1サンギア21を介して第1モータ11と連結される。具体的には、第1サンギア21と第2サンギア31とは、それぞれが同軸(回転軸R)で回転できるようにサンギアシャフト14に一体で形成される。そして、サンギアシャフト14は、第1モータ11と連結される。このような構造により、第2サンギア31は、第2モータ12が作動すると、回転軸Rを中心に回転する。
第2ピニオンギア32aは、第2サンギア31と噛み合う。第3ピニオンギア32bは、第2ピニオンギア32aと噛み合う。第2キャリア33は、第2ピニオンギア32aが第2ピニオン回転軸Rp2を中心に回転(自転)できるように第2ピニオンギア32aを保持する。また、第2キャリア33は、第3ピニオンギア32bが第3ピニオン回転軸Rp3を中心に回転(自転)できるように第3ピニオンギア32bを保持する。第2ピニオン回転軸Rp2及び第3ピニオン回転軸Rp3は、例えば、回転軸Rと平行である。
第2キャリア33は、回転軸Rを中心に回転(自転)できるようにケーシングG内に支持される。このような構造により、第2キャリア33は、第2ピニオンギア32a及び第3ピニオンギア32bが第2サンギア31を中心に、すなわち回転軸Rを中心に公転できるように第2ピニオンギア32a及び第3ピニオンギア32bを保持することになる。また、第2キャリア33は、第1リングギア24と連結される。このような構造により、第2キャリア33は、第1リングギア24が回転(自転)すると、回転軸Rを中心に回転(自転)する。第2リングギア34は、回転軸Rを中心に回転(自転)できる。第2リングギア34は、第3ピニオンギア32bと噛み合う。また、第2リングギア34は、変速機構13の入出力軸(変速機構入出力軸)15と連結される。このような構造により、第2リングギア34が回転(自転)すると、変速機構入出力軸15は回転する。
減速機構40は、変速機構13と電動車両の車輪102との間に配置される。そして、減速機構40は、変速機構入出力軸15の回転速度を減速して、入出力軸(減速機構入出力軸)16へ出力する。減速機構入出力軸16は、電動車両の車輪102に連結されており、減速機構40と車輪102との間で動力を伝達する。このような構造により、第1モータ11と第2モータ12との少なくとも一方が発生した動力は、変速機構13と減速機構40とを介して車輪102へ伝達されてこれを駆動する。また、車輪102からの入力は、減速機構40と変速機構13とを介して第1モータ11と第2モータ12との少なくとも一方に伝達される。この場合、第1モータ11と第2モータ12との少なくとも一方は、車輪102に駆動されて電力を発生することができる(回生)。
減速機構40は、第3サンギア41と、第4ピニオンギア42と、第3キャリア43と、第3リングギア44とを含む。第3サンギア41は、変速機構入出力軸15が取り付けられている。このような構造により、第3サンギア41と変速機構13の第2リングギア34とが変速機構入出力軸15を介して連結される。第4ピニオンギア42は、第3サンギア41と噛み合っている。第3キャリア43は、第4ピニオンギア42が第4ピニオン回転軸Rp4を中心として自転できるように、かつ、第4ピニオンギア42が第3サンギア41を中心に公転できるように第4ピニオンギア42を保持する。第3リングギア44は、第4ピニオンギア42と噛み合い、かつ、静止系(本実施形態ではケーシングG)に固定される。第3キャリア43は、減速機構入出力軸16を介して車輪102に連結されている。また、第3キャリア43は、ホイール軸受50によって回転可能に支持される。
電動車両駆動装置10は、変速機構13と車輪102との間に減速機構40を介在させて、変速機構13の変速機購入出力軸15の回転速度を減速して車輪102を駆動する。このため、第1モータ11及び第2モータ12は、最大回転力が小さいものでも電動車両に必要な駆動力を得ることができる。その結果、第1モータ11及び第2モータ12の駆動電流が小さくて済むともに、これらを小型化及び軽量化することができる。そして、電動車両駆動装置10の製造コスト低減及び軽量化を実現できる。
制御装置1は、電動車両駆動装置10の動作を制御する。より具体的には、制御装置1は、第1モータ11及び第2モータ12の回転速度、回転方向及び出力を制御する。制御装置1は、例えば、マイクロコンピュータである。次に、電動車両駆動装置10における回転力の伝達経路について説明する。
図8は、本実施形態に係る電動車両駆動装置が第1変速状態にある場合に、回転力が伝わる経路を示す説明図である。電動車両駆動装置10は、第1変速状態と第2変速状態との2つの変速状態を実現できる。まずは、第1変速状態を電動車両駆動装置10が実現する場合を説明する。
第1変速状態は、いわゆるローギア状態の状態であり、減速比を大きくとることができる。すなわち、変速機構入出力軸15のトルクを大きくすることができる。第1変速状態は、主に、電動車両が走行時に大きな駆動力を必要とする場合、例えば、坂道を発進するとき又は登坂時(坂道を登る時)等に用いられる。第1変速状態では、第1モータ11と第2モータ12とはともに動作するが、発生するトルクの大きさが等しく、かつトルクの向きが反対になる。第1モータ11の動力は、第1サンギア23に入力され、第2モータ12の動力は、第1リングギア24に入力される。第1変速状態において、クラッチ装置60は係合状態である。すなわち、第1変速状態において、第1ピニオンギア22は、ケーシングGに対して回転できない状態となる。
第1変速状態の時に、第1モータ11が出力する回転力を第1回転力T1とし、第2モータ12が出力する回転力を第2回転力T5とする。図8に示す第1回転力T1、循環回転力T3、合成回転力T2、第1分配回転力T6及び第2分配回転力T4の各回転力は、各部位に作用するトルクを示し、単位はNmである。
第1モータ11から出力された第1回転力T1は、第1サンギア21に入力される。そして、第1回転力T1は、第1サンギア21で循環回転力T3と合流して、合成回転力T2となる。合成回転力T2は、第1サンギア21から出力される。循環回転力T3は、第1リングギア24から第1サンギア21に伝えられた回転力である。循環回転力T3の詳細については後述する。
第1サンギア21と第2サンギア31とは、サンギアシャフト14で連結されている。このため、第1変速状態において、第1回転力T1と循環回転力T3とが合成され、第1サンギア21から出力された合成回転力T2は、サンギアシャフト14を介して第2サンギアシャフト31に伝えられる。合成回転力T2は、第2遊星歯車機構30によって増幅される。また、合成回転力T2は、第2遊星歯車機構30によって第1分配回転力T6と第2分配回転力T4とに分配される。第1分配回転力T6は、合成回転力T2が第2リングギア34に分配されて増幅された回転力であり、変速機構入出力軸15から出力される。第2分配回転力T4は、合成回転力T2が第2キャリア33に分配されて増幅された回転力である。
第1分配回転力T6は、変速機構入出力軸15から減速機構40に出力される。そして、第1分配回転力T6は、減速機構40で増幅されて、図7に示す減速機構入出力軸16を介して車輪102に出力されて、これを駆動する。その結果、電動車両は走行する。
第2キャリア33と第1リングギア24とが一体で回転しているため、第2キャリア33に分配された第2分配回転力T4は、第1リングギア24の循環回転力となる。そして、第2分配回転力T4は、第1リングギア24で、第2モータ12の第2回転力T5と合成されて、第1遊星歯車機構20に向かう。第2回転力T5、すなわち、第2モータ12の回転力の向きは、第1モータ11の回転力の向きとは反対である。
第1遊星歯車機構20に戻ってきた第1リングギア24における第2分配回転力T4及び第2回転力T5は、第1遊星歯車機構20によってその大きさが減少されるとともに、力の向きを逆転させられて、第1サンギア21における循環回転力T3となる。このようにして、第1遊星歯車機構20と第2遊星歯車機構30との間で動力(回転力)の循環が発生するので、変速機構13は、減速比を大きくすることができる。すなわち、電動車両駆動装置10は、第1変速状態のときに、大きなトルクを発生することができる。次に、合成回転力T2、循環回転力T3、第2分配回転力T4及び第1分配回転力T6の値の一例を説明する。
第2サンギア31の歯数をZ1とし、第2リングギア34の歯数をZ4とし、第1サンギア21の歯数をZ5とし、第1リングギア24の歯数をZ7とする。式(1)から式(4)に、電動車両駆動装置10の各部に作用する回転力(図8に示す合成回転力T2、循環回転力T3、第2分配回転力T4及び第1分配回転力T6)を示す。なお、下記の式(1)〜式(4)で負の値となるものは、第1回転力T1とは逆方向の回転力である。
Figure 2013163401
Figure 2013163401
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一例として、歯数Z1を47、歯数Z4を97、歯数Z5を24、歯数Z7を76とする。また、第1回転力T1を50Nmとし、第2回転力T5を50Nmとする。すると、合成回転力T2は99.1Nm、循環回転力T3は49.1Nm、第2分配回転力T4は−105.4Nm、第1分配回転力T6は204.5Nmとなる。このように、電動車両駆動装置10は、一例として第1モータ11が出力する第1回転力T1を約4倍に増幅して車輪102に出力できる。次に、第2変速状態を電動車両駆動装置10が実現する場合を説明する。
図9は、本実施形態に係る電動車両駆動装置が第2変速状態にある場合に、回転力が伝わる経路を示す説明図である。第2変速状態は、いわゆるハイギア状態の状態であり、減速比を小さくとることができる。すなわち、変速機構入出力軸15のトルクは小さくなるが、変速機構13の摩擦損失を小さくすることができる。第2変速状態では、第1モータ11と第2モータ12とはともに動作する。そして、第1モータ11及び第2モータ12が発生するトルクの大きさとトルクの向きとは等しくなる。第2変速状態のときに、第1モータ11が出力する回転力を第1回転力T7とし、第2モータ12が出力する回転力を第2回転力T8とする。
第2変速状態において、第1モータ11の動力は、第1サンギア21に入力され、第2モータ12の動力は、第1リングギア24に入力される。第2変速状態において、クラッチ装置60は非係合状態である。すなわち、第1変速状態において、第1ピニオンギア22は、ケーシングGに対して回転できる状態となる。その結果、第2変速状態では、第1遊星歯車機構20と第2遊星歯車機構30との間における回転力の循環が遮断される。また、第2変速状態では、第1キャリア23が自由に公転(回転)できるため、第1サンギア21と第1リングギア24とは相対的に自由に回転(自転)できる。なお、図9に示す合成回転力T9は、変速機構入出力軸15から出力されて減速機構40に伝えられるトルクを示し、単位はNmである。
第2変速状態では、第1回転力T7と第2回転力T8との比は、第2サンギア31の歯数Z1と第2リングギア34の歯数Z4との比で定まる。第1回転力T7は、第2キャリア33で第2回転力T8と合流する。その結果、第2リングギア34に合成回転力T9が伝わる。第1回転力T7と、第2回転力T8と、合成回転力T9とは、下記の式(5)を満たす。
Figure 2013163401
変速機構入出力軸15の角速度(回転速度)は、第1モータ11によって駆動される第2サンギア31の角速度と、第2モータ12によって駆動される第2キャリア33の角速度とによって決定される。したがって、変速機構入出力軸15の角速度を一定としていても、第1モータ11の角速度と第2モータ12の角速度との組み合わせを変化させることができる。
このように、変速機構入出力軸15の角速度と第1モータ11の角速度と第2モータ12の角速度との組み合わせは一意に決定されないので、上述した第1変速状態から第2変速状態へ、あるいは第2変速状態から第1変速状態へ連続して移行させることができる。したがって、制御装置1は、第1モータ11の角速度と第2モータ12の角速度と回転力とを連続して滑らかに制御すると、第1変速状態と第2変速状態との間で変速機構13の状態が変化した場合でも、いわゆる変速ショックを小さくすることができる。
変速機構13は、第1サンギア21と第1リングギア24とは、互いに同方向に回転(自転)するため、第2サンギア31と第2キャリア33とも、互いに同方向に回転(自転)する。第2サンギア31の角速度を一定とした場合、第2キャリア33の角速度が速くなるほど、第2リングギア34の角速度は遅くなる。また、第2キャリア33の角速度が遅くなるほど、第2リングギア34の角速度は速くなる。このように、第2リングギア34の角速度は、第2サンギア31の角速度と、第2キャリア33の角速度とによって連続的に変化する。すなわち、電動車両駆動装置10は、第2モータ12が出力する第2回転力T8の角速度が変化することで、変速比を連続的に変更できる。
また、電動車両駆動装置10は、第2リングギア34の角速度を一定にしようとする際に、第1モータ11が出力する第1回転力T7の角速度と、第2モータ12が出力する第2回転力T8の角速度との組み合わせを複数有する。すなわち、第2モータ12が出力する第2回転力T8の角速度が変化することで、第1モータ11が出力する第1回転力T7の角速度が変化しても、第2リングギア34の角速度を一定に維持できる。このため、電動車両駆動装置10は、第1変速状態から第2変速状態に切り替わる際に、第2リングギア34の角速度の変化量を低減できる。結果として、電動車両駆動装置10は、変速ショックを低減できる。
次に、第2モータ12が出力する第2回転力T8について説明する。第2モータ12は、式(6)を満たす第2回転力T8以上の回転力を出力する必要がある。なお、式(6)中の、1−(Z4/Z1)は、第2サンギア31と第2リングギア34との間の回転力比を示す。
Figure 2013163401
したがって、第1モータ11が任意に回転する際に第2リングギア34の回転力及び角速度を調節するためには、第1回転力TAと、第2回転力TBと、歯数Z1と、歯数Z4とは、下記の式(7)を満たせばよい。なお、第1回転力TAは第1モータ11の任意の角速度での回転力であり、第2回転力TBは第2モータ12の任意の角速度での回転力である。
Figure 2013163401
次に、クラッチ装置60について説明する。クラッチ装置60は、例えば、ワンウェイクラッチ装置である。ワンウェイクラッチ装置は、第1方向の回転力のみを伝達し、第1方向とは逆方向である第2方向の回転力を伝達しない。すなわち、ワンウェイクラッチ装置は、図7から図9に示す第1キャリア23が第1方向に回転しようとする際に係合状態となり、第1キャリア23が第2方向に回転しようとする際に非係合状態となる。ワンウェイクラッチ装置は、例えば、カムクラッチ装置又はローラクラッチ装置である。以下において、クラッチ装置60はカムクラッチ装置であるものとして、クラッチ装置60の構成を説明する。
図10は、本実施形態のクラッチ装置を示す説明図である。図11は、本実施形態のクラッチ装置のカムを拡大して示す説明図である。図10に示すように、クラッチ装置60は、第2部材としての内輪61と、第1部材としての外輪62と、係合部材としてのカム63とを含む。なお、内輪61が第1部材として機能し、外輪62が第2部材として機能してもよい。内輪61及び外輪62は、筒状部材である。内輪61は、外輪62の内側に配置される。内輪61と外輪62とのうちの一方は、第1キャリア23に連結され、他方はケーシングGに連結される。本実施形態では、内輪61は第1キャリア23に連結され、外輪62はケーシングGに連結される。カム63は、略円柱状の棒状部材である。ただし、棒状部材の中心軸に直交する仮想平面で切ったカム63の断面形状は、真円ではなく歪な形状である。カム63は、内輪61の外周部と外輪62の内周部との間に、内輪61及び外輪62の周方向に沿って複数設けられる。
図11に示すように、クラッチ装置60は、ワイヤゲージ64と、ガータスプリング65とを含む。ワイヤゲージ64は、弾性部材である。ワイヤゲージ64は、複数のカム63が分散しないようにまとめる。ガータスプリング65は、カム63が内輪61及び外輪62に常に接触するようにカム63に力を与える。これにより、内輪61又は外輪62に回転力が作用した際に、カム63は迅速に内輪61及び外輪62と噛み合うことができる。よって、クラッチ装置60は、非係合状態から係合状態に切り替わる際に要する時間を低減できる。なお、非係合状態では、内輪61と外輪62との間で力は伝達されていない。また、係合状態では、内輪61と外輪62との間で力は伝達されている。
クラッチ装置60は、内輪61に第1方向の回転力が作用すると、カム63が内輪61及び外輪62と噛み合う。これにより、内輪61と外輪62との間で回転力が伝達され、第1キャリア23は、ケーシングGから反力を受ける。その結果、クラッチ装置60は、第1キャリア23の回転を規制できる。また、クラッチ装置60は、内輪61に第2方向の回転力が作用すると、カム63が内輪61及び外輪62と噛み合わない。これにより、内輪61と外輪62との間で回転力が伝達されず、第1キャリア23は、ケーシングGから反力を受けない。このため、クラッチ装置60は、第1キャリア23の回転を規制しない。このようにして、クラッチ装置60は、ワンウェイクラッチ装置としての機能を実現する。
本実施形態の場合、クラッチ装置60は、第1変速状態、すなわち第1モータ11及び第2モータ12が作動している状態であって、電動車両を前進させるように第1モータ11が回転力を出力する場合に、図7に示す第1キャリア23が回転(自転)する方向に内輪61が回転すると係合状態となる。すなわち、上述の第1方向は、電動車両を前進させるように第1モータ11が回転力を出力し、かつ、第2モータ12が作動(駆動)していない際に第2部材としての内輪41が回転する方向である。この状態で、第2モータ12が第1モータ11の回転方向とは反対方向に回転して、第1モータ11の回転力とは反対向きの回転力を出力している場合に、変速機構13は、第1変速状態となる。このように、クラッチ装置60は、第1モータ11が電動車両を前進させる向きに回転し、かつ第2モータ12が駆動されていない場合に係合する向きに配置される。
また、電動車両を前進させるように第1モータ11が回転力を出力している状態で、第2モータ12が作動して、第1モータ11の回転方向と同じ方向に回転して、第1モータ11の回転力と同じ向きの回転力を出力している場合に、第2キャリア33の回転方向は逆転する。その結果、クラッチ装置60は、第2変速状態の場合、すなわち第1モータ11及び第2モータ12が作動して同じ方向に回転力を出力し、かつ、電動車両を前進させるように第1モータ11及び第2モータ12が回転力を出力する場合に非係合状態となる。このように、クラッチ装置60は、第1モータ11の回転力の方向と第2モータ12の回転力の方向とによって、受動的に係合状態と非係合状態とを切り替えできる。
クラッチ装置60は、ローラクラッチ装置でもよい。ただし、カムクラッチ装置は、回転力(トルク)容量がローラクラッチ装置よりも大きい。すなわち、カムクラッチ装置は、内輪61と外輪62との間で伝達できる力の大きさがローラクラッチ装置よりも大きい。このため、クラッチ装置60は、カムクラッチ装置である方が、より大きな回転力を伝達できる。さらに、クラッチ装置60は、カムクラッチ装置である方が、カム63が内輪61及び外輪62から分離する際の空転摩擦をローラクラッチ装置よりも小さくすることができる。このため、電動車両駆動装置10全体の摩擦損失を低減し、効率を向上させることができる。第1変速状態と第2変速状態とは、制御装置1が第1モータ11及び第2モータ12の回転力と回転方向とを制御することにより切り替えられる。
本実施形態において、電動車両駆動装置10は、第1モータ11と第2モータ12との間で両者の回転力の大きさを等しくし、かつ回転力の向きを反対とすることにより、第1変速状態を実現した。しかし、電動車両駆動装置10は、第2モータ12を作動させず、第1モータ11のみを作動させることにより第1変速状態を実現することもできる。この場合、制御装置1は、第2モータ12は停止させて、第1モータ11のみを作動させることにより、第1変速状態を実現する。
クラッチ装置60は、スプラグ式ワンウェイクラッチ装置であってもよい。スプラグ式ワンウェイクラッチは、摩擦係合部材としてスプラグが用いられているので、円に類似した底面を持つカムの数よりも多数のスプラグをクラッチ装置60に配置することができる。その結果、クラッチ装置60と同一の取り付け寸法を持つカムクラッチ装置のトルク容量よりも、クラッチ装置60のトルク容量を大きくすることができる。クラッチ装60のトルク容量を大きくすることができるので、車輪102に出力される第1分配回転力T6の最大値を大きくすることができる。
また、クラッチ装置60は、ワンウェイクラッチ装置ではなく、シリンダ内のピストンを作動流体によって移動させることで2つの回転部材を係合させたり、電磁アクチュエータによって2つの回転部材を係合させたりする方式のクラッチ装置でもよい。ただし、このようなクラッチ装置は、ピストンを移動させるための機構が必要となったり、電磁アクチュエータを作動させるための電力が必要となったりする。しかし、クラッチ装置60は、ワンウェイクラッチ装置ならば、ピストンを移動させるための機構を必要とせず、電磁アクチュエータを作動させるための電力も必要としない。クラッチ装置60は、ワンウェイクラッチ装置ならば、内輪61又は外輪62(本実施形態では内輪61)に作用する回転力の方向が切り替えられることで、係合状態と非係合状態とを切り替えできる。よって、クラッチ装置60は、ワンウェイクラッチ装置である方が、部品点数を低減でき、かつ、自身(クラッチ装置60)を小型化できる。次に、電動車両駆動装置10の構造の一例を説明する。
図12は、本実施形態に係る電動車両駆動装置の内部構造を示す図である。次の説明において、上述した構成要素については重複する説明は省略し、図中において同一の符号で示す。図12に示すように、ケーシングGは、第1ケーシングG1と、第2ケーシングG2と、第3ケーシングG3と、第4ケーシングG4とを含む。第1ケーシングG1と、第2ケーシングG2と、第4ケーシングG4とは、筒状の部材である。第2ケーシングG2は、第1ケーシングG1よりも車輪102側に設けられる。第1ケーシングG1と第2ケーシングG2とは、例えば複数のボルトで締結される。
第3ケーシングG3は、第1ケーシングG1の2つの開口端のうち第2ケーシングG2とは反対側の開口端、すなわち、第1ケーシングG1の電動車両の車体側の開口端に設けられる。第1ケーシングG1と第3ケーシングG3とは、例えば複数のボルト52で締結される。このようにすることで、第3ケーシングG3は、第1ケーシングG1の開口を塞ぐ。第4ケーシングG4は、第1ケーシングG1の内部に設けられる。第1ケーシングG1と第4ケーシングG4とは、例えば複数のボルトで締結される。
図12に示すように、第1モータ11は、第1ステータコア11aと、第1コイル11bと、第1ロータ11cと、第1磁気パターンリング11dと、第1モータ出力軸11eとを含む。第1ステータコア11aは、筒状の部材である。第1ステータコア11aは、図12に示すように、第1ケーシングG1に嵌め込まれるとともに、第1ケーシングG1と第3ケーシングG3とに挟み込まれて位置決め(固定)される。第1コイル11bは、第1ステータコア11aの複数個所に設けられる。第1コイル11bは、インシュレータを介して第1ステータコア11aに巻きつけられる。
第1ロータ11cは、第1ステータコア11aの径方向内側に配置される。第1ロータ11cは、第1ロータコア11c1と、第1マグネット11c2とを含む。第1ロータコア11c1は、筒状の部材である。第1マグネット11c2は、第1ロータコア11c1の内部又は外周部に複数設けられる。第1モータ出力軸11eは、棒状の部材である。第1モータ出力軸11eは、第1ロータコア11c1と連結される。第1磁気パターンリング11dは、第1ロータコア11c1に設けられて、第1ロータコア11c1と同軸で回転する。第1磁気パターンリング11dは、第1ロータコア11c1の回転角度を検出する際に用いられる。
第2モータ12は、第2ステータコア12aと、第2コイル12bと、第2ロータ12cと、第2磁気パターンリング12dとを含む。第2ステータコア12aは、筒状の部材である。第2ステータコア12aは、第1ケーシングG1と第2ケーシングG2とに挟み込まれて位置決め(固定)される。第2コイル12bは、第2ステータコア12aの複数個所に設けられる。第2コイル12bは、インシュレータを介して第2ステータコア12aに巻きつけられる。
第2ロータ12cは、第2ステータコア12aの径方向内側に設けられる。第2ロータ12cは、クラッチ装置60とともに、回転軸Rを中心に回転できるように、第4ケーシングG4によって支持される。第2ロータ12cは、第2ロータコア12c1と、第2マグネット12c2とを含む。第2ロータコア12c1は、筒状の部材である。第2マグネット12c2は、第2ロータコア12c1の内部又は外周部に複数設けられる。第2磁気パターンリング12dは、第2ロータコア12c1に設けられて、第2ロータコア12c1と同軸で回転する。第2磁気パターンリング12dは、第2ロータコア12c1の回転角度を検出する際に用いられる。
図12に示すように、減速機構40は、例えば複数のボルトで第2ケーシングG2に締結されて取り付けられる。本実施形態では、減速機構40が有する第3リングギア44が第2ケーシングG2に取り付けられる。減速機構40の第3キャリア43の一端部には、外輪45が取り付けられている。外輪45と第3リングギア44との間には、ホイール軸受50の転動体が介在している。このような構造により、第3キャリア43は、第3リングギア44の外周部に、外輪45を介して回転可能に支持される。
第3キャリア43は、車輪102のホイール114が取り付けられる。ホイール114は、スタッドボルト51Bとナット51Nとによって、第3キャリア43の回転軸と直交する面に締結される。ホイール114にはタイヤ112が取り付けられる。電動車両の車輪102は、ホイール114とタイヤ112とで構成される。この例において、車輪102は、第3キャリア43に直接取り付けられている。このため、第3キャリア43は、図7に示す減速機構入出力軸16を兼ねている。
懸架装置取付部53は、第2ケーシングG2に設けられる。具体的には、懸架装置取付部53は、第2ケーシングG2のうち、電動車両駆動装置10が電動車両の車体に取り付けられた際に鉛直方向上側及び下側となる部分に設けられる。鉛直方向上側の懸架装置取付部53は、取付部121と連結する部分である。鉛直方向下側の懸架装置取付部53は、ナックル53Nを含む。ナックル53Nは、懸架装置のロワアーム122が取り付けられて、電動車両駆動装置10は、電動車両の車体に支持される。
第1モータ出力軸11eとサンギアシャフト14とは、第1嵌合部56Aで連結される。このような構造により、第1モータ11とサンギアシャフト14との間で動力が伝達される。第1嵌合部56Aは、例えば、第1モータ出力軸11eの内周面に形成されたスプラインと、サンギアシャフト14の第1モータ11側における端部に形成されて、前記スプラインと嵌合するスプラインとで構成される。このような構造により、回転軸R方向における第1モータ出力軸11eとサンギアシャフト14との熱伸び等が吸収される。
変速装置入出力軸15は、変速機構13が有する第2リングギア34と、減速機構40が有する第3サンギア41のシャフト(第3サンギアシャフト)41Sとを連結する。このような構造により、変速機構13の第2遊星歯車機構30と減速機構40の第3サンギアシャフト41Sとの間で動力が伝達される。変速装置入出力軸15と第3サンギアシャフト41Sとは、第2嵌合部56Bで連結される。第2嵌合部56Bは、例えば、変速装置入出力軸15の内周面に形成されたスプラインと、第3サンギアシャフト41Sの第2モータ12側における端部に形成されて、前記スプラインと嵌合するスプラインとで構成される。このような構造により、回転軸R方向における変速装置入出力軸15と第3サンギアシャフト41Sとの熱伸び等が吸収される。
上述した構造により、電動車両駆動装置10は、車輪102を保持し、かつ、第1モータ11及び第2モータ12から出力された回転力を車輪102に伝達することで、電動車両を走行させることができる。なお、本実施形態では、第1モータ11と、第2モータ12と、第1サンギア21と、第1キャリア23と、第1リングギア24と、第2サンギア31と、第2キャリア33と、第2リングギア34と、第3サンギア41と、第3キャリア43と、第3リングギア44とがすべて同軸上に配置されているが、電動車両駆動装置10は、必ずしもこれらの構成要素が同軸上に配置されなくてもよい。次に、第1モータ11及び第2モータ12の角速度(回転速度)を検出する構造を説明する。
第1磁気パターンリング11dと第2磁気パターンリング12dとは、第1モータ11と第2モータ12との間に介在するケーシングG1の仕切り壁G1Wを隔てて、互いに対向して配置される。すなわち、第1磁気パターンリング11dと第2磁気パターンリング12dとは、それぞれ仕切り壁G1Wに対向している。
第1磁気パターンリング11d及び第2磁気パターンリング12dは、円環状の部材であり、中央部に開口部を有する。開口部を、図12に示すサンギアシャフト14が貫通する。
図7、図12に示す電動車両駆動装置10は、第1モータ11の第1ロータ11c及び第2モータ12の第2ロータ12cの径方向内側に第1遊星歯車機構20及び第2遊星歯車機構30が配置されている。このため、特に車輪102側のモータ(第2モータ12)については、回転角検出センサとして、小径のレゾルバを用いることは困難である。大径のレゾルバを用いると、質量が増加するため、好ましくない。
第1磁気パターンリング11d及び第2磁気パターンリング12dは、円環状の薄い金属板の表面に、薄い磁石層が形成されたものである。金属板は、例えば、アルミニウム合金等である。磁石層は、例えば、磁粉が混合されたプラスチック又はゴム等の樹脂である。磁石層に磁気パターンが着磁されている。このような構造により、第1磁気パターンリング11d及び第2磁気パターンリング12dは、大径であっても、レゾルバと比較して大幅に軽量化することができる。
磁気検出器(磁気ピックアップセンサ)は、第1磁気パターンリング11dと第2磁気パターンリング12dとに対して1個ずつ用意されて、ケーシングGの第1ケーシングG1の内側に取り付けられる。磁気検出器は、第1ケーシングG1の仕切り壁G1Wの両側、かつ仕切り壁G1Wが有する貫通孔の外側に配置される。貫通孔は、図12に示すサンギアシャフト14が貫通する。このような構造により、それぞれの磁気検出器は、第1磁気パターンリング11dと第2磁気パターンリング12dとに対向して配置される。
それぞれの磁気検出器は、第1磁気パターンリング11dと第2磁気パターンリング12dとの磁束を検出して、第1モータ11の第1ロータ11cと第2ロータ12cとの絶対角度を算出する。例えば、第1磁気パターンリング11d及び第2磁気パターンリング12dは、磁束密度が正弦波状に変化するように着磁されている。第1磁気パターンリング11dと第2磁気パターンリング12dとは、1周での正弦波の周期数が、それぞれ、第1モータ11と第2モータ12との極対数と一致している。すなわち、1極対に対して正弦波パターンの1周期が対応している。
磁気検出器内には、例えば、2個のリニアホールセンサが設けられており、1周期の正弦波パターンに対して90度位相がずれた位置に、それぞれのリニアホールセンサが配置されている。2個のリニアホールセンサにより第1磁気パターンリング11d又は第2磁気パターンリング12dの磁束密度検出し、演算することで、1周期の正弦波パターンにおける絶対角度を検出することができる。図7に示す制御装置1は、磁気検出器が検出した第1モータ11の第1ロータ11c及び第2モータ12の第2ロータ12cの絶対角度(1極対における絶対電気角)に基づき、第1コイル11b及び第2コイル12bに流す電流を制御する。
第1モータ11及び第2モータ12からの漏れ磁束による影響を低減するため、次のような手法を用いてもよい。第1磁気パターンリング11d及び第2磁気パターンリング12dには、連続した磁気パターンとは別に、矩形波状の磁束密度分布である着磁パターンを形成する。この矩形波状の着磁パターンの周期は十分に細かくなっている。また、磁気検出器2は、リニアホールセンサとは別に、矩形波状パターンの磁極方向を検出してパルスを出力する磁気センサを有する。
まず、第1モータ11及び第2モータ12の非通電時(例えば、電動車両の始動時)に、磁気検出器は、連続した磁気パターンによって第1ロータ11c及び第2ロータ12cの絶対角度を検出する。以後は、磁気検出器2は、矩形波状の着磁パターンから検出した第1ロータ11c及び第2ロータ12cの相対回転を積算することによって、第1ロータ11c及び第2ロータ12cの絶対角度を計算する。矩形波状の着磁パターンによる第1ロータ11c及び第2ロータ12cの相対角度の検出は、リニアホールセンサを用いた絶対角度の計測よりも磁気ノイズに対して信頼性が高い。このため、上述した手法を用いれば、磁気検出器が、第1ロータ11c及び第2ロータ12cの絶対角度を検出する際の信頼性を向上させることができる。次に、電動車両駆動装置10を電動車両に用いた場合の制御を説明する。
図13は、車両を走行させるモータに要求される回転力(トルク)と角速度(回転速度)との関係を示す図である。一般的に、モータの回転力(トルク)と角速度(回転速度)の関係は、一定の回転力の領域における上限回転速度と最高回転速度との比は、1:2程度である。また、最大の回転力と、最高回転速度における最大の回転力との比は、2:1程度である。これに対して、車両を走行させる場合、図13の実線で示す車両の走行特性曲線Caから、一定の回転力の領域における上限回転速度と最高回転速度との比は1:4程度である。また、車両を走行させる場合、最大の回転力と、最高回転速度における最大の回転力との比は、4:1程度である。
したがって、モータで車両を走行させる場合、一段目の変速比と二段目の変速比との比率(段間差)が2程度の変速を行うことが好ましい。このようにすることで、モータのNT特性(回転速度と回転力との関係)の全領域で、過不足なく車両の走行特性曲線Caをカバーすることができ、必要最小限の出力を有するモータで、車両に必要な動力性能を確保できる。
図13の点線で示すNT特性曲線CLは、電動車両駆動装置10の第1変速状態(ローギア)であり、一点鎖線で示すNT特性曲線CHは、電動車両駆動装置10の第2変速状態(ハイギア)である。このように、第1変速状態と第2変速状態とを用いることにより、車両の走行特性曲線Caを過不足なくカバーすることができる。二点鎖線で示すNT特性曲線Cbは、変速を行わないで車両の走行特性曲線Caをカバーしようとした場合に必要なNT特性を示している。一般に、モータは、一定の回転力の領域における上限回転速度と最高回転速度との比が1:2程度であるため、一つのモータで走行特性曲線Caをカバーする場合、モータにはNT特性曲線Cbのような特性が要求される。その結果、モータに過剰な性能が必要になり、無駄が多くなるとともにコスト及び質量の増加を招く。
モータの効率に注目すると、モータの効率が高い領域は、最大回転力から最高回転速度に向かって推移する定出力領域(NT特性曲線CL又はNT特性曲線CHの曲線部分)の中間部分AL、AHにある。電動車両駆動装置10は、変速により、この中間部分AL、AHを積極的に活用して、効率を向上させることができる。変速を行わない場合、NT特性曲線Cbのようなモータが必要になるが、この場合、走行特性曲線Caにおいて使用頻度の低い領域(例えば、低速で高い回転力が必要な領域又は最高速に近い領域)でモータの効率が最も高くなってしまう。このため、モータを効率よく使用する観点からは、電動車両駆動装置10のように、減速比を変更して用いることが好ましい。
電動車両駆動装置10で、第1モータ11と第2モータ12との両方が動作する場合、変速機構13の総合減速比R=(α+β−1)/(α−β−1)である。これは、第1変速状態のみであり、第2変速状態ではR=1である。αは、第2遊星歯車機構30の遊星比であり、βは、第1遊星歯車機構20の遊星比である。遊星比は、リングギアの歯数をサンギアの歯数で除した値である。したがって、第2遊星歯車機構30の遊星比αは、第2リングギア34の歯数/第2サンギア31の歯数であり、第1遊星歯車機構20の遊星比βは、第1リングギア24の歯数/第1サンギア21の歯数である。図7に示す電動車両駆動装置10で、段間差2を実現するためには、第2遊星歯車機構30の遊星比α(>1)を1.90以上2.10以下の範囲とし、第1遊星歯車機構20の遊星比β(>1)を2.80以上3.20以下の範囲とすることが好ましい。
電動車両駆動装置10は、電動車両のばね下に配置されるので、できる限り軽量であることが好ましい。電動車両駆動装置10を軽量化するために、第1モータ11及び第2モータ12の巻き線(第1コイル11b及び第2コイル12b)にアルミニウム(アルミニウム合金を含む)を用いる手法がある。アルミニウムの比重は銅の比重の30%程度なので、第1モータ11及び第2モータ12の巻き線を銅からアルミニウムに置き換えると、巻き線の質量を70%低下させることができる。このため、第1モータ11、第2モータ12及び電動車両駆動装置10を軽量化することができる。しかし、アルミニウムの導電率は、一般に巻き線に用いられる銅の導電率の60%程度であるので、銅線を単にアルミニウム線に置き換えるのみでは、性能低下及び発熱量の増加を招くおそれがある。
電動車両駆動装置10は、減速機構40を用いるとともに、変速機構13で減速比を変更する。このため、第1モータ11及び第2モータ12に必要とされる回転力が比較的小さくて済むので、第1モータ11及び第2モータ12に流れる電流も比較的小さくなる。このため、本実施形態において、第1モータ11の第1コイル11b及び第2モータ12の第2コイル12bに、銅線の代わりにアルミニウム線を用いたとしても、性能低下及び発熱量の増加はほとんど発生しない。したがって、本実施形態において、電動車両駆動装置10は、第1モータ11及び第2モータ12の巻き線(第1コイル11b及び第2コイル12b)にアルミニウム(アルミニウム合金を含む)を用いて軽量化を実現する。
第1モータ11及び第2モータ12の巻き線にアルミニウムを用いる場合、銅クラッドアルミニウム線を用いることが好ましい。銅クラッドアルミニウム線は、アルミニウム線の外側に銅を一様に被覆し、銅とアルミニウムとの境界を強固に金属結合させたものである。銅クラッドアルミニウム線は、アルミニウム線と比較して、はんだ付けしやすく、端子との接続部の信頼性も高い。銅クラッドアルミニウムの比重は銅の比重の40%程度なので、第1モータ11及び第2モータ12の巻き線を銅からアルミニウムに置き換えると、巻き線の質量を60%低下させることができる。その結果、第1モータ11、第2モータ12及び電動車両駆動装置10を軽量化することができる。
図14は、本実施形態の変形例に係る電動車両駆動装置の構成を示す説明図である。図14に示す電動車両駆動装置10aは、上述した実施形態の電動車両駆動装置10と変速機構の構成が異なる。次においては、電動車両駆動装置10が有する構成要素と同様の構成要素は、同一の符号を付して説明を省略する。電動車両駆動装置10aは、変速機構13aを含む。変速機構13aは、第1モータ11と連結されて第1モータ11が出力した回転力が伝えられる(入力される)。また、変速機構13aは、第2モータ12と連結されて第2モータ12が出力した回転力が伝えられる(入力される)。そして、変速機構13aは、変速機構入出力軸15によって減速機構40と連結され、変速された回転力を減速機構40に伝える(出力する)。減速機構40は、電動車両駆動装置10が有するものと同様である。
変速機構13aは、第1遊星歯車機構70と、第2遊星歯車機構80と、クラッチ装置90とを含む。第1遊星歯車機構70は、シングルピニオン式の遊星歯車機構である。第1遊星歯車機構70は、第1サンギア71と、第1ピニオンギア72と、第1キャリア73と、第1リングギア74とを含む。第2遊星歯車機構80は、ダブルピニオン式の遊星歯車機構である。第2遊星歯車機構80は、第2サンギア81と、第2ピニオンギア82aと、第3ピニオンギア82bと、第2キャリア83と、第2リングギア84とを含む。第2遊星歯車機構80は、第1遊星歯車機構70よりも第1モータ11及び第2モータ12側に配置される。
第2サンギア81は、回転軸Rを中心に回転(自転)できるようにケーシングG内に支持される。第2サンギア81は、第1モータ11と連結される。よって、第1モータ11が作動すると、第2サンギア81は、第1回転力TAが伝えられる。これにより、第2サンギア81は、第1モータ11が作動すると、回転軸Rを中心に回転する。第2ピニオンギア82aは、第2サンギア81と噛み合う。第3ピニオンギア82bは、第2ピニオンギア82aと噛み合う。第2キャリア83は、第2ピニオンギア82aが第2ピニオン回転軸Rp2を中心に回転(自転)できるように第2ピニオンギア82aを保持する。第2キャリア83は、第3ピニオンギア82bが第3ピニオン回転軸Rp3を中心に回転(自転)できるように第3ピニオンギア82bを保持する。第2ピニオン回転軸Rp2は、例えば、回転軸Rと平行である。第3ピニオン回転軸Rp3は、例えば、回転軸Rと平行である。
第2キャリア83は、回転軸Rを中心に回転できるようにケーシングG内に支持される。これにより、第2キャリア83は、第2ピニオンギア82a及び第3ピニオンギア82bが第2サンギア81を中心に、すなわち回転軸Rを中心に公転できるように第2ピニオンギア82a及び第3ピニオンギア82bを保持することになる。第2リングギア84は、回転軸Rを中心に回転(自転)できる。第2リングギア84は、第3ピニオンギア82bと噛み合う。また、第2リングギア84は、第2モータ12と連結される。よって、第2モータ12が作動すると、第2リングギア84は、第2回転力TBが伝えられる。これにより、第2リングギア84は、第2モータ12が作動すると、回転軸Rを中心に回転(自転)する。
第1サンギア71は、回転軸Rを中心に回転(自転)できるようにケーシングG内に支持される。第1サンギア71は、第2サンギア81を介して第1モータ11と連結される。具体的には、第1サンギア71と第2サンギア81とは、同軸(回転軸R)で回転できるようにサンギアシャフト94に一体で形成される。そして、サンギアシャフト94は、第1モータ11と連結される。これにより、第1サンギア71は、第2モータ12が作動すると、回転軸Rを中心に回転する。
第1ピニオンギア72は、第1サンギア71と噛み合う。第1キャリア73は、第1ピニオンギア72が第1ピニオン回転軸Rp1を中心に回転(自転)できるように第1ピニオンギア72を保持する。第1ピニオン回転軸Rp1は、例えば、回転軸Rと平行である。第1キャリア73は、回転軸Rを中心に回転できるようにケーシングG内に支持される。これにより、第1キャリア73は、第1ピニオンギア72が第1サンギア71を中心に、すなわち回転軸Rを中心に公転できるように第1ピニオンギア72を保持することになる。
また、第1キャリア73は、第2リングギア84と連結される。これにより、第1キャリア73は、第2リングギア84が回転(自転)すると、回転軸Rを中心に回転(自転)する。第1リングギア74は、第1ピニオンギア72と噛み合う。また、第1リングギア74は、減速機構40の第3サンギア41(図7参照)と連結される。このような構造により、第1リングギア74が回転(自転)すると、減速機構40の第3サンギア41が回転する。クラッチ装置90は、図7に示す電動車両駆動装置10が有するクラッチ60と同様に、第2キャリア83の回転を規制できる。具体的には、クラッチ装置90は、回転軸Rを中心とした第2キャリア83の回転を規制(制動)する場合と、前記回転を許容する場合とを切り替えできる。電動車両駆動装置10aは、上述した電動車両駆動装置10と同様の原理により、電動車両駆動装置10が奏する効果と同様の効果を奏する。
なお、上記実施形態では、いずれも第1リングギア(図7参照)または第2リングギア(図14参照)と連結される第3サンギアと、第3サンギアと噛み合う第4ピニオンギアと、第4ピニオンギアが自転できるように、かつ、第4ピニオンギアが第3サンギアを中心に公転できるように第4ピニオンギアを保持するとともに、車輪と連結される第3キャリアと、第4ピニオンギアと噛み合い、かつ、静止系に固定される第3リングギアと、を設け、第3キャリアと車輪とを連結し、第3キャリアから動力を伝達する構成としたが、つまりファイナルギアを設けた構成としたが、これに限定されない。インホイールモータは、ファイナルギアを設けず、第1リングギアまたは第2リングギアと車輪とを連結させて、第1リングギアまたは第2リングギアから車輪に動力を伝達させてもよい。
また、駆動ユニット100は、種々の効果を得ることができるため、上記構成のインホイールモータを用いることが好ましいが、これに限定されない。駆動ユニットは、他の構成のインホイールモータを用いることができる。駆動ユニットは、いずれの構成のインホイールモータを用いた場合も、ショックアブソーバ取付部の位置を上記実施形態の位置とすることで、上記効果を得ることができる。
1 制御装置
10、10a 電動車両駆動装置
11 第1モータ
12 第2モータ
13、13a 変速機構
14、94 サンギアシャフト
15 変速機構入出力軸
16 減速機構入出力軸
20、70 第1遊星歯車機構
21、71 第1サンギア
22、72 第1ピニオンギア
23、73 第1キャリア
24、74 第1リングギア
30、80 第2遊星歯車機構
31、81 第2サンギア
32a、82a 第2ピニオンギア
32b、82b 第3ピニオンギア
33、83 第2キャリア
34、84 第2リングギア
40 減速機構
41 第3サンギア
41S 第3サンギアシャフト
42 第4ピニオンギア
43 第3キャリア
44 第3リングギア
45 外輪
60、90 クラッチ装置
61 内輪
62 外輪
100 電動車両駆動ユニット(駆動ユニット)
102 車輪
104 サスペンション部
112 タイヤ
114 ホイール
120 ショックアブソーバ
120a シリンダ
120b ピストンロッド
121 取付部(ショックアブソーバ取付部)
122 ロワアーム
130、132 端子箱
G ケーシング

Claims (11)

  1. 車両の車輪を駆動する駆動ユニットであって、
    前記車輪に連結されたインホイールモータと、
    前記インホイールモータと、前記車両の車体と連結させるサスペンション部と、を有し、
    前記サスペンション部は、前記インホイールモータの回転軸に直交する面において、操舵軸に対してオフセットして配置されたショックアブソーバと、前記ショックアブソーバと前記インホイールモータとを連結させるショックアブソーバ取付部と、を有することを特徴とする駆動ユニット。
  2. 前記ショックアブソーバ取付部は、前記インホイールモータの回転軸に直交する面において、鉛直方向に対して傾斜して配置されたことを特徴とする請求項1に記載の駆動ユニット。
  3. 前記インホイールモータの外周面に配置され、前記インホイールモータと接続された端子箱をさらに有し、
    前記ショックアブソーバ取付部は、前記インホイールモータの回転軸に直交する面において、前記操舵軸を分割線として前記端子箱の反対側の領域に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の駆動ユニット。
  4. 前記ショックアブソーバ取付部は、前記インホイールモータの回転軸よりも、車両前方側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の駆動ユニット。
  5. 前記インホイールモータは、ハブベアリングが固定された筐体を有し、
    前記ショックアブソーバ取付部は、前記ハブベアリングが固定された筐体に連結されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
  6. 前記インホイールモータは、
    第1モータと、
    第2モータと、
    前記第1モータと連結される第1サンギアと、
    前記第1サンギアと噛み合う第1ピニオンギアと、
    前記第1ピニオンギアが自転できるように、かつ、前記第1ピニオンギアが前記第1サンギアを中心に公転できるように前記第1ピニオンギアを保持する第1キャリアと、
    前記第1キャリアの回転を規制できるクラッチ装置と、
    前記第1ピニオンギアと噛み合い、かつ、前記第2モータと連結される第1リングギアと、
    前記第1モータと連結される第2サンギアと、
    前記第2サンギアと噛み合う第2ピニオンギアと、
    前記第2ピニオンギアと噛み合う第3ピニオンギアと、
    前記第2ピニオンギア及び前記第3ピニオンギアがそれぞれ自転できるように、かつ、前記第2ピニオンギア及び前記第3ピニオンギアが前記第2サンギアを中心に公転できるように前記第2ピニオンギア及び前記第3ピニオンギアを保持するとともに、前記第1リングギアと連結される第2キャリアと、
    前記第3ピニオンギアと噛み合う第2リングギアと、
    前記第2リングギアと連結される第3サンギアと、
    前記第3サンギアと噛み合う第4ピニオンギアと、
    前記第4ピニオンギアが自転できるように、かつ、前記第4ピニオンギアが前記第3サンギアを中心に公転できるように前記第4ピニオンギアを保持するとともに、前記車輪と連結される第3キャリアと、
    前記第4ピニオンギアと噛み合い、かつ、静止系に固定される第3リングギアと、
    を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
  7. 前記インホイールモータは、
    第1モータと、
    第2モータと、
    前記第1モータと連結される第1サンギアと、
    前記第1サンギアと噛み合う第1ピニオンギアと、
    前記第1ピニオンギアが自転できるように、かつ、前記第1ピニオンギアが前記第1サンギアを中心に公転できるように前記第1ピニオンギアを保持する第1キャリアと、
    前記第1ピニオンギアと噛み合う第1リングギアと、
    前記第1モータと連結される第2サンギアと、
    前記第2サンギアと噛み合う第2ピニオンギアと、
    前記第2ピニオンギアと噛み合う第3ピニオンギアと、
    前記第2ピニオンギア及び前記第3ピニオンギアがそれぞれ自転できるように、かつ、前記第2ピニオンギア及び前記第3ピニオンギアが前記第2サンギアを中心に公転できるように前記第2ピニオンギア及び前記第3ピニオンギアを保持する第2キャリアと、
    前記第2キャリアの回転を規制できるクラッチ装置と、
    前記第3ピニオンギアと噛み合い、かつ、前記第1キャリアと連結され、かつ、前記第2モータと連結される第2リングギアと、
    前記第1リングギアと連結される第3サンギアと、
    前記第3サンギアと噛み合う第4ピニオンギアと、
    前記第4ピニオンギアが自転できるように、かつ、前記第4ピニオンギアが前記第3サンギアを中心に公転できるように前記第4ピニオンギアを保持するとともに、前記車輪と連結される第3キャリアと、
    前記第4ピニオンギアと噛み合い、かつ、静止系に固定される第3リングギアと、
    を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
  8. 前記クラッチ装置は、
    第1部材と、
    前記第1部材に対して回転できる第2部材と、
    前記第2部材に第1方向の回転力が作用すると前記第1部材と前記第2部材との間で回転力を伝達し、前記第2部材に前記第1方向とは逆の第2方向の回転力が作用すると前記第1部材と前記第2部材との間で回転力を伝達しない係合部材と、
    を含むワンウェイクラッチ装置である請求項6又は7に記載の駆動ユニット。
  9. 前記ワンウェイクラッチ装置は、
    前記第1モータが、前記インホイールモータが搭載される電動車両を前進させる向きに回転し、かつ前記第2モータが駆動されていない場合に係合する向きに配置される請求項8に記載の駆動ユニット。
  10. 前記クラッチ装置は、スプラグ式ワンウェイクラッチである請求項9に記載の駆動ユニット。
  11. 前記サスペンション部は、ストラット式サスペンションであることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
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