JP2010214886A - 流体噴射方法、及び、流体噴射装置 - Google Patents

流体噴射方法、及び、流体噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】発熱による不具合を防止しつつ、スループットを向上させる。
【解決手段】駆動信号生成部で駆動信号を生成し、駆動信号を用いて駆動素子を駆動してヘッドから流体を噴射する流体噴射方法であって、駆動信号生成部の温度を温度センサーによって検出すること、第1噴射モードと、駆動素子の温度と前記温度センサーの検出温度との関係が前記第1噴射モードと異なる第2噴射モードのいずれかを選択すること、第1噴射モードが選択された場合、温度センサーの検出温度が第1閾値を超えたとき、駆動信号生成部の駆動信号の生成を待機させてヘッドからの流体の噴射を待機させる待機動作を行うこと、第2噴射モードが選択された場合、温度センサーの検出温度が、第1閾値とは異なる第2閾値を超えたとき、待機動作を行うことを有する。
【選択図】図10

Description

本発明は、流体噴射方法、及び、流体噴射装置に関する。
流体噴射装置の一例として、駆動信号を用いて駆動素子を駆動させてインクを噴射するインクジェットプリンターが知られている。このようなプリンターは、駆動信号を生成する駆動信号生成部を備えている。
ところで、駆動信号生成部には、発熱源(例えばトランジスタ)があり、駆動信号を生成する際に発熱する。この発熱により不具合(例えばトランジスタの破壊、故障など)が発生するおそれがある。そこで、このような不具合を防止すべく、駆動信号生成部の温度を検出する温度センサーを設けて、温度センサーの検出温度が所定の温度を超えると、ヘッドからのインクの噴射を待機させる待機動作(後述するウエイト動作)を行うようにしたものがある。
特開2005−219461号公報
しかしながら、印刷モードによっては、待機する必要のないタイミングで待機動作が行われることがあり、これにより、印刷処理のスループットが低下してしまうおそれがあるという問題があった。
そこで本発明は、発熱による不具合を防止しつつ、スループットを向上させることを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、駆動信号生成部で駆動信号を生成し、前記駆動信号を用いて駆動素子を駆動してヘッドから流体を噴射する流体噴射方法であって、前記駆動信号生成部の温度を温度センサーによって検出すること、第1噴射モードと、前記駆動素子の温度と前記温度センサーの検出温度との関係が前記第1噴射モードと異なる第2噴射モードのいずれかを選択すること、前記第1噴射モードが選択された場合、前記温度センサーの検出温度が第1閾値を超えたとき、前記駆動信号生成部の前記駆動信号の生成を待機させて前記ヘッドからの前記流体の噴射を待機させる待機動作を行うこと、前記第2噴射モードが選択された場合、前記温度センサーの前記検出温度が、前記第1閾値とは異なる第2閾値を超えたとき、前記待機動作を行うことを有する流体噴射方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
プリンターの全体構成のブロック図である。 図2Aは、プリンターの斜視図である。図2Bは、プリンターの横断面図である。 駆動信号生成回路の構成を示すブロック図である。 電流増幅回路の構成の説明図である。 電流増幅回路の周辺の配置についての説明図である。 ヘッドの構成の説明図である。 各ノズル列が噴射するインクの色についての説明図である。 4色印刷時のインク量の関係を示す図である。 熱損失の説明図である。 8色印刷と4色印刷時のウエイトをかける温度の閾値に関する値をまとめた図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
駆動信号生成部で駆動信号を生成し、前記駆動信号を用いて駆動素子を駆動してヘッドから流体を噴射する流体噴射方法であって、前記駆動信号生成部の温度を温度センサーによって検出すること、第1噴射モードと、前記駆動素子の温度と前記温度センサーの検出温度との関係が前記第1噴射モードと異なる第2噴射モードのいずれかを選択すること、前記第1噴射モードが選択された場合、前記温度センサーの検出温度が第1閾値を超えたとき、前記駆動信号生成部の前記駆動信号の生成を待機させて前記ヘッドからの前記流体の噴射を待機させる待機動作を行うこと、前記第2噴射モードが選択された場合、前記温度センサーの前記検出温度が、前記第1閾値とは異なる第2閾値を超えたとき、前記待機動作を行うことを有する流体噴射方法が明らかとなる。
このような流体噴射方法によれば、発熱による不具合を防止しつつ、スループットを向上させることができる。
かかる流体噴射方法であって、複数の前記駆動素子は温度結合されて前記温度センサーで温度測定され、前記第1噴射モードは前記駆動素子の発熱がほぼ同等で、前記第2噴射モードは前記駆動素子の発熱が偏る場合、前記第1閾値は、前記第2閾値よりも高いことが望ましい。
このような流体噴射方法によれば、第1噴射モード時に、必要のない待機動作によりスループットが下がることを抑制できる。
かかる流体噴射方法であって、複数色の流体が用いられ、前記第1噴射モードは、前記複数色の流体のどの色の流体を噴射する場合でも、前記駆動素子のすべてを発熱させ、前記第2噴射モードは、あるひとつの色の流体を噴射する場合、前記駆動素子の一部しか発熱させないこととしてもよい。
このような流体噴射方法によれば、噴射モード毎の発熱に対応することができる。
かかる流体噴射方法であって、ヘッドから噴射される流体を収容したカートリッジであって、収容している流体の種類に関する情報を記憶した記憶素子を有するカートリッジが流体噴射装置に装着されたとき、前記記憶素子に記憶された前記情報を読み取ることによって、前記第1噴射モード及び前記第2噴射モードのいずれかを選択することが望ましい。
このような流体噴射方法によれば、カートリッジが装着される毎に、カートリッジの種類に応じて自動的に閾値の切り替えを行なうことができる。
また、駆動信号によって駆動素子が駆動されることに基づいて流体を噴射するヘッドと、前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号生成部の温度を検出する温度センサーと、第1噴射モードと、前記駆動素子の温度と前記温度センサーの検出温度との関係が前記第1噴射モードと異なる第2噴射モードのいずれかを選択し、前記第1噴射モードを選択した場合、前記温度センサーの検出温度が第1閾値を超えたとき、前記駆動信号生成部の前記駆動信号の生成を待機させて前記ヘッドからの前記流体の噴射を待機させる待機動作を行わせ、前記第2噴射モードを選択した場合、前記温度センサーの前記検出温度が、前記第1閾値とは異なる第2閾値を超えたとき、前記待機動作を行わせるコントローラーと、を備えた流体噴射装置が明らかとなる。
以下の実施形態では、インクジェットプリンター(以下、プリンター1ともいう)を例に挙げて説明する。
===プリンターの概要===
<インクジェットプリンターの構成について>
図1は、本実施形態のプリンター1の全体構成のブロック図である。また、図2Aは、本実施形態のプリンター1の斜視図である。また、図2Bは、本実施形態のプリンター1の横断面図である。以下、本実施形態のプリンターの基本的な構成について説明する。
本実施形態のプリンター1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及びコントローラー60を有する。外部装置であるコンピューター110から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラー60は、コンピューター110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、給紙ローラー21と、搬送モーター22(PFモータとも言う)と、搬送ローラー23と、プラテン24と、排紙ローラー25とを有する。給紙ローラー21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンター内に給紙するためのローラーである。搬送ローラー23は、給紙ローラー21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラーであり、搬送モーター22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラー25は、紙Sをプリンターの外部に排出するローラーであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモーター32(CRモーターとも言う)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモーター32によって駆動される。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
なお、本実施形態では、キャリッジ31にはインクカートリッジが1つ搭載可能であり、搭載されるインクカートリッジには2種類(4色印刷用、8色印刷用)がある。各インクカートリッジには、収容しているインクの種類に関するデータ(情報)を記憶したIC(記憶素子に相当する)が取り付けられており、キャリッジ31にインクカートリッジが装着されると、コントローラー60がカートリッジのICに記憶されているデータを読み取り、種類を判別する。
ヘッドユニット40は、紙にインクを噴射するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられているため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に噴射することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
検出器群50には、リニア式エンコーダー51、ロータリー式エンコーダー52、紙検出センサー53、光学センサー54等が含まれる。リニア式エンコーダー51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダー52は、搬送ローラー23の回転量を検出する。紙検出センサー53は、給紙中の紙の先端の位置を検出する。光学センサー54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により、紙の有無を検出する。そして、光学センサー54は、キャリッジ31によって移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出することができる。また、光学センサー54は、状況に応じて、紙の先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
なお、ここでは不図示であるが、検出器群50として、コントローラー60の駆動信号生成回路65のトランジスタの温度を検出するサーミスタも設けられている(後述する)。
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御ユニットである。コントローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、駆動信号生成回路65を有する。インターフェイス部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
また、駆動信号生成回路65は、ヘッドユニット30のピエゾ素子PZTを駆動させるための2個の駆動信号(第1駆動信号COM1及び第2駆動信号COM2)を生成する。なお、本実施形態では、第1駆動信号COM1と第2駆動信号COM2は同じ種類の信号である。
<印刷手順について>
コントローラー60は、コンピューター110から印刷命令及び印刷データを受信すると、印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の処理を行う。
まず、コントローラー60は、給紙ローラー21を回転させ、印刷すべき用紙Sを搬送ローラー23の所まで送る。次に、コントローラー60は、搬送モーター22を駆動させることによって搬送ローラー23を回転させる。搬送ローラー23が所定の回転量にて回転すると、用紙Sは所定の搬送量にて搬送される。
用紙Sがヘッドユニット40の下部まで搬送されると、コントローラー60は、印刷命令に基づいてキャリッジモーター32を回転させる。このキャリッジモーター32の回転に応じて、キャリッジ31が移動方向に移動する。また、キャリッジ31が移動することによって、キャリッジ31に設けられたヘッドユニット40も同時に移動方向に移動する。そして、コントローラー60は、ヘッドユニット40が移動方向に移動している間にヘッド41から断続的にインク滴を噴射させる。このインク滴が、用紙Sにインク滴が着弾することによって、移動方向に複数のドットが並ぶドット列が形成される。なお、移動するヘッド41からインクを噴射することによるドット形成動作のことをパスという。
また、コントローラー60は、ヘッドユニット40が往復移動する合間に搬送モーター22を駆動させる。搬送モーター22は、コントローラー60からの指令された駆動量に応じて回転方向の駆動力を発生する。そして、搬送モーター22は、この駆動力を用いて搬送ローラー23を回転させる。搬送ローラー23が所定の回転量にて回転すると、用紙Sは所定の搬送量にて搬送される。つまり、用紙Sの搬送量は、搬送ローラー23の回転量に応じて定まることになる。このように、パスと搬送動作を交互に繰り返して行い、用紙Sの各画素にドットを形成していく。こうして用紙Sに画像が印刷される。
そして、最後に、コントローラー60は、搬送ローラー23と同期して回転する排紙ローラー25によって印刷が終了した用紙Sを排紙する。
===駆動信号生成回路について===
図3は駆動信号生成回路65の構成を示すブロック図である。本実施形態の駆動信号生成回路65は、波形設定部67、第1駆動信号生成部68A、第2駆動信号生成部68Bを有している。
波形設定部67は、CPU62から予め駆動波形の設定データ(例えば10ビットのデジタルデータ)が設定される。
第1駆動信号生成部68A及び第2駆動信号生成部68Bは、波形設定部67の出力から駆動信号COMを生成する。第1駆動信号生成部68Aは、D/A変換器681A、電圧増幅回路682A、第1電流増幅回路683Aを有している。また、第2駆動信号生成部68Bは、D/A変換器681B、電圧増幅回路682B、第2電流増幅回路683Bを有している。なお、第1駆動信号生成部68A、第2駆動信号生成部68Bは同じ構成であるので、以下の説明では、第1駆動信号生成部68Aの構成のみについて説明する。
D/A変換器681Aは、波形設定部67から出力されるデジタルデータをアナログ信号に変換する。
電圧増幅回路682Aは、アナログ信号の電圧をピエゾ素子PZTの動作に適した電圧まで増幅して、原駆動信号を生成する。
第1電流増幅回路683Aは、原駆動信号の電流増幅を行ない、第1駆動信号COM1を生成する。以下、第1電流増幅回路683Aの構成について説明する。
図4は、第1電流増幅回路683Aの構成の説明図である。なお、第2電流増幅回路683Bも同様の構成となっている。
この第1電流増幅回路683Aは、多数のピエゾ素子PZTが支障なく動作できるように、十分な電流を供給するための回路である。第1電流増幅回路683Aは、第1駆動信号COM1の電圧の変化に伴って発熱するトランジスタ対を有する。このトランジスタ対は、互いのエミッタ端子同士が接続されたNPN型のトランジスタQ1とPNP型のトランジスタQ2を有する。NPN型のトランジスタQ1は、原駆動信号の電圧上昇時に動作するトランジスタである。このNPN型のトランジスタQ1は、コレクタが電源に、エミッタが第1駆動信号COM1の出力信号線に、それぞれ接続されている。PNP型のトランジスタQ2は、電圧降下時に動作するトランジスタである。PNP型のトランジスタQ2は、コレクタが接地(アース)に、エミッタが第1駆動信号COM1の出力信号線に、それぞれ接続されている。なお、NPN型のトランジスタQ1とPNP型のトランジスタQ2のベースには電圧増幅回路682Aの出力である原駆動信号が印加される。
この第1電流増幅回路683Aは、電圧増幅回路682Aの出力電圧(原駆動信号の電圧)によって動作が制御される。例えば、出力電圧が上昇状態にあると、NPN型のトランジスタQ1がその出力電圧とほぼ等しい(やや低い)電圧に第1駆動信号COM1がなるように、電源から第1駆動信号COM1に電流を流す。一方、出力電圧が降下状態にあると、PNP型のトランジスタQ2がその出力電圧とほぼ等しい(やや高い)電圧に第1駆動信号COM1がなるように、GNDへ第1駆動信号COM1から電流を流す。なお、出力電圧が一定である場合、NPN型のトランジスタQ1もPNP型のトランジスタQ2もオフ状態となる。その結果、第1駆動信号COM1は一定電圧となる。
そして、第1駆動信号COM1は、出力信号線を通りスイッチSWを介して複数のピエゾ素子PZTに印加される。ピエゾ素子PZTは容量性の負荷であり、第1電流増幅回路683Aは、駆動信号が変化するとき、傾きと容量に比例した電流を流す。第1駆動信号COM1を印加すべきピエゾ素子PZTの数が増えると、各ピエゾ素子を動作させるために、大電流を流す必要がある。ピエゾ素子PZTの数が多い場合、全てのピエゾ素子PZTを駆動するほどの大電流を流すためには、第1電流増幅回路683Aの構成素子が大電流を流せるものでなければならないが、それらは通常高価であり、電流がそれほど流せないが安価である素子を複数用いた方が全体で安くなり、しかも、素子当りの電流が小さいため波形の歪が小さい。また、印加されるピエゾ素子PZTに比例した熱がトランジスタQ1、Q2に発生するが、複数のトランジスタ対を用いることにより、発熱源が分散され、熱設計において有利である。このため、本実施形態では、電流増幅回路を2個(第1電流増幅回路683A、第2電流増幅回路683B)用意し、各電流増幅回路が電荷を印加すべきピエゾ素子PZTの数が多くならないようにしている。
次に、第1電流増幅回路683Aと第2電流増幅回路683Bの配置について説明する。図5は、電流増幅回路の周辺の配置についての説明図である。
第1電流増幅回路683Aと第2電流増幅回路683Bには、共通のヒートシンク70が取り付けられている。また、第1電流増幅回路683Aと第2電流増幅回路683Bには、共通のサーミスタ55(温度センサーに相当する)が設けられている。このサーミスタ55により、CPU62はヒートシンク70の温度を知ることができ、トランジスタQ1、Q2の温度を推定することができる。
各電流像増幅回路の各トランジスタは、サーミスタ55に関して対称に配置されている。具体的には、サーミスタ55に近い側にNPN型のトランジスタQ1が配置され、サーミスタ55から遠い側にPNP型のトランジスタQ2が配置されている。このように、NPN型のトランジスタQ1がサーミスタ55側に設けられるのは、NPN型のトランジスタQ1の方が、PNP型のトランジスタQ2よりも発熱が大きく保護すべき素子に近いからである。なお、NPN型のトランジスタQ1の方が、PNP型のトランジスタQ2よりも発熱する理由は、駆動信号COMの平均電圧が、電源電圧よりもGND側に近いからである(駆動信号COMの波形の最低電位はGNDであるが、駆動信号COMの最大電位は、条件により変わる。電源電圧は波形の最大電圧が変わっても対応できるようにするため、波形の最大電圧が最も高くなる電位より高く設定している。このため、トランジスタQ1のコレクタとエミッタ間にかかる電圧の平均は、トランジスタQ2のコレクタとエミッタ間にかかる電圧の平均よりもほとんどの場合大きく、これらの電圧を降下するピエゾ素子PZTの充放電荷は、トランジスタQ1もトランジスタQ2も同じであるから、電圧と電荷の積で求められるジュール熱はトランジスタQ1の方が大きい)。但し、本実施形態の説明では、説明の簡略化のため、NPN型のトランジスタQ1もPNP型のトランジスタQ2も同じ発熱量であるとする。
ヒートシンク70は、4つのトランジスタが発生する熱を外部へ放出する。
サーミスタ55は、第1電流増幅回路683A及び第2電流増幅回路683Bの各トランジスタの温度を検出する。言い換えると、サーミスタ55は、第1駆動信号生成部68A及び第2駆動信号生成部68Bの温度を検出する。
===ヘッドの構成について===
図6は、ヘッド41の構成の説明図である。本実施形態のヘッド41には、図に示すように、A列〜H列の8個のノズル列が設けられている。各ノズル列は、1/360インチ間隔のノズルピッチで並ぶ180個のノズルを有する。
また、これらの各ノズル列のうち、A、C、E、G列は、搬送方向(ノズル列方向)に関して同じ位置にあり、B、D、F、H列は、搬送方向に関して同じ位置にある。そして、B、D、F、H列は、A、C、E、G列に対して、搬送方向(ノズル列方向)に半ノズルピッチ(1/720インチ)だけずれて設けられている。
次に各ノズル列の噴射するインクについて説明する。
本実施例においては、印刷の目的によりインクの色数を選択することができる。すなわち、画質を優先させるときには、インク滴の粒状感をなくす効果がある等画質によい効果を与える淡色インクを含む8色のインクセットを用い、印刷速度を重視する場合には、4色のインクを複数ノズル列から吐出させることにより高速化を図る。
図7は各ノズル列が噴射するインクの色についての説明図である。図の上段は、8色印刷時の各ノズル列とインク色との対応関係を示している。図の中段は、4色印刷時の各ノズル列とインク色との対応関係を示している。また図の下段は、各ノズル列(各インク色)と各駆動信号COM(第1駆動信号COM1、第2駆動信号COM2)との対応関係を示している。
8色のカートリッジがキャリッジ31に装着された場合は、図に示すように、A列がシアン、B列がマゼンダ、C列が黒、D列が淡黒(L黒)、E列が極淡黒(LL黒)、F列がイエロー(黄)、G列が淡マゼンダ(Lマゼンダ)、H列が淡シアン(Lシアン)となる。なお、Lの記載がない色は濃い色のインク(濃インク)を示し、Lの記載がある色は淡い色のインク(淡インク)を示している。
このように、8色の場合、シアン、マゼンダについては、濃インクと、淡インクがある。濃淡を無視すると、ほぼ左右(移動方向)対称に同じ色のインクが配置されている。これは、キャリッジ31の移動方向に関わらず、例えば、シアン→マゼンダ→マゼンダ→シアンの順にドットが形成されることになるので、双方向印刷時に色むらが生じないようにするためである。なお、イエローは1種類である。これは、イエローは元々淡い色なので、濃淡インクを用意しなくても良いからである。また、黒は3種類である。これは、モノクロの写真画像を印刷するときに、豊かな表現力を出すためである。
4色のカートリッジがキャリッジ31に装着された場合は、図に示すように、A列がシアン、B列がマゼンダ、C列が黄、D列が黒、E列が黒、F列が黄、G列がマゼンダ、H列がシアンとなる。このように、4色の場合、濃インクのみであり、各色について、2つのノズル列が対応している。また、各色とも、一方の列がA、C、E、G、の何れかであり、他方の列が、B、D、F、Hの何れかである。つまり、一方の列と他方の列から同じ色のインクを噴射することによって、1パスで720dpiの解像度の印刷が可能である。例えば、1回のパスにおいて、A列とH列からシアンのインクを噴射することによって、シアンについて720dpiの解像度で印刷することができる。
また、4色の場合も、各色について、左右対称に配置されている。これは、8色の場合と同様に、双方向印刷の場合に色むらを防止するためである。
なお、4色印刷では一方の列と他方の列から同じ色のインクを噴射することによって1パスで720dpiの印刷を行えるのに対し、8色印刷では、一方の列と他方の列に同色のインクがない(例えば濃マゼンダはB列しかない)。よって、8色印刷で720dpiのドットを形成するには、最初のパスで、一方のノズル列と他方のノズル列からそれぞれ異なる色のインクを噴射することによってノズルピッチ間隔(360dpi)で各色のドットを形成し、更に、異なるパスで一方のノズル列と他方のノズル列から異なる色のインクを噴射することによって各色について720dpiのドットを形成することになる。つまり、8色印刷では720dpiの印刷を行なうには2パス必要である。
(駆動信号COMとノズル列との対応関係について)
トランジスタには許容される最大電流と最大温度があるが、ヘッドが要求する最大電流が大き過ぎ、ヘッドを駆動することにより発生する熱による温度上昇が大き過ぎる場合、トランジスタの数を増やし、トランジスタひとつあたりの負荷を減らす。本実施形態の場合は、PNPトランジスタとNPNトランジスタの組が二組あり、それらが、それぞれ、ヘッドの奇数列と偶数列を駆動している。ここで、奇数列とはA、C、E、G列で、偶数列とは、B、D、F、H列である。ヘッドは、構造上の理由で、奇数列と偶数列で若干異なる特性を得てしまうことがあり、トランジスタの二組をそれぞれ、奇数列と偶数列の分担にわけることで、発生させる駆動波形(駆動信号)を変更して、それぞれの列が同等の噴射を行なうようにすることができる。本実施形態では、図7のように各列(偶数列及び奇数列)に、それぞれ対応する駆動信号(第1駆動信号COM1、第2駆動信号COM2)が設定されている。
===8色・4色印刷時のトランジスタの最大損失比較===
前述したように、本実施形形態のプリンター1のキャリッジ31に搭載されるインクカートリッジには2種類(4色印刷用、8色印刷用)があり、カートリッジの種類に応じて、4色印刷、8色印刷が選択される。言い換えると、本実施形態のプリンター1には、4色印刷と8色印刷の2つの印刷モード(噴射モード)がある。以下、この2つのモードにおけるトランジスタの損失について説明する。
(4色印刷時に駆動されるピエゾ素子の最大量について)
シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)だけでカラー印刷を行うと、媒体に噴射されるインク量が多くなる。インク量が多くなると、インクの滲みが生じる。よって、できるだけインク量は少ない方が望ましい。そこで、カラー印刷時に黒(K)も用いられる。
図8は、4色印刷時のインク量の関係の一例を示す図である。図の上側は、シアン、マゼンダ、イエローの3色で印刷を行なう場合の各色のインク量を示しており、下側は、シアン、マゼンダ、イエロー、黒の4色で印刷を行う場合の各色のインク量を示している。
図に示すように、4色印刷の場合、黒インク(Kインク)を用いることで、イエローのインク量(CMYの中の最小インク量)の2倍に相当するインク量を減らすことができる。このため、4色印刷時に媒体に最もインク量が噴射されるのは、CMYのうちの2色(例えばシアンとマゼンタ)がともに最大値になるような色を媒体に印刷するときと考えられる。但し、媒体上の7割程度の画素に濃インクでドットを形成すれば、それ以上の画素にドットを形成しても、濃度が濃くならない。このため、4色印刷時には、媒体に最もインク量を噴射する場合であっても、全画素の7割程度までしかドットを形成しない。
よって4色印刷におけるノズルの使用量(駆動信号COMが印加されるピエゾ素子の数)の最大は、CMYのうちの2色のノズル列の全ノズル(2色×2ノズル列=4ノズル列)のうちの7割、つまり2.8ノズル列分に相当する。
(8色印刷時に駆動されるピエゾ素子の最大量について)
8色印刷では、1パスで(720dpiよりも広い間隔である)360dpiのドットを形成し、2パスで720dpiのドットを形成する。つまり、1パスで720dpiのドットを形成する4色印刷と比べて、8色印刷では時間をかけて720dpiのドットを形成する。これにより、媒体に噴射されるインク量を多くできる。
なお、8色印刷では淡インクが用いられる。淡インク(若しくは色が淡いイエローインク)でドットを形成する場合、濃インクでドットを形成する場合と比較して、7割以上の画素にドットを形成しても、ドットを形成する画素が増えるほど濃度を濃くできる。すなわち、淡インクでドットを形成する場合、全画素にドットを形成しても、濃度を濃くできる。このため、8色印刷におけるノズルの使用量(駆動信号COMが印加されるピエゾ素子の数)の最大は、媒体に最もインクを噴射するときであり、これは、淡インク(Lシアン、Lマゼンタ、黄)のうちの2色のノズルの全ノズル、つまり2ノズル列分に相当する。
(4色印刷と8色印刷における各トランジスタの損失について)
電流増幅回路の最大負荷について考える。
4色印刷時には、例えば赤一色の画像のように、マゼンダとイエローの全ノズルから(意味のある最大限である)7割ずつ吐出するものとすると、2色のノズル列(全4ノズル列)のうちの2.8ノズル列分に相当するピエゾ素子に駆動信号COMが印加される。但し、各色の2ノズル列のピエゾ素子は、それぞれ別々の電流増幅回路(第1電流増幅回路683Aと第2電流増幅回路683B)により駆動される。つまり、各電流増幅回路(言い換えると、各駆動信号生成部)は、平均で1.4ノズル列分のピエゾ素子を駆動し続ける場合、負荷が最大となる。
一方、8色印刷時には、2色のノズル列(全2ノズル列)の全ノズルに相当するピエゾ素子に駆動信号COMが印加される場合が最大の負荷になる。例えば、Lシアン(H列)と黄(F列)の全ノズルからインクを噴射する場合には、第2電流増幅回路683B(言い換えると、第2駆動信号生成部68B)が最大2ノズル列分のピエゾ素子を駆動する。この場合には、4色印刷時の時のように、二つの電流増幅回路に分散されない。
以上より、ひとつの電流増幅回路が駆動し続ける最大の負荷は、4色印刷時で1.4ノズル分、8色印刷時で2ノズル列分となる。電流増幅回路は、負荷の大きさに比例して駆動するための電力を消費するが、駆動ノズル数を比較し、8色印刷の方が、4色印刷よりも、トランジスタの最大損失(最大発熱量)が大きくなることがわかる。本実施形態では、4色印刷時のトランジスタの最大損失(最大発熱量)を7[W]とし、8色印刷時のトランジスタの最大損失(最大発熱量)を10[W]とする。
===ウエイト動作===
前述したように、各駆動信号生成部は2つのトランジスタQ1、Q2を有する。この2つのトランジスタは、駆動信号COMを発生するときに発熱する。具体的には、トランジスタを構成する半導体には接合部というポイントがあり、この部分で熱が発生する。発生した熱は、トランジスタ本体を熱伝導して外に逃げていく。逃げていく熱より発熱がまさると温度が上昇することになるが、この発熱によって、トランジスタ自身の温度が高温になると、トランジスタが破壊されるおそれがある。
そこで、本実施形態のプリンター1は、トランジスタの破壊を防止すべく、ウエイト動作を行う。ウエイト動作とは、トランジスタが熱によって破壊されることを防止するため、サーミスタ55の検出温度が所定の閾値を超えたときに、印刷動作(ヘッド31からのインクの噴射)を所定時間待機させる動作(待機動作)のことである。双方向印刷時において、キャリッジ31が往路へ移動して印刷した後、復路へ移動するまでの間や、複数頁印刷時において、或る頁を印刷した後、次の頁を印刷するまでの間などで、印刷を休止し、駆動信号生成部の温度を冷やし、トランジスタの発熱を抑えることになる。
===8色印刷と4色印刷のウエイト動作の閾値===
トランジスタの破壊を防止すべく、サーミスタ55の検出温度に応じてウエイト動作が行われるが、ウエイト動作はできるだけしないほうがよい。それは、ウエイト動作を行うことによりトランジスタの熱破壊を防止できるが、その一方で、媒体に印刷を行わない期間が長くなるためにスループットが低下するからである。そこで、4色印刷と8色印刷で異なるウエイト動作をするとよいことが、以下の議論でわかる。
トランジスタの接合部の温度をジャンクション温度といい、トランジスタ毎に許容される最高温度が決められている。本実施形態では、ジャンクション温度の最大値(最大温度)が110℃である。つまり、ジャンクション温度が110℃を超えると、トランジスタが破壊される可能性があることになる。
そこで、ジャンクション温度とサーミスタ55の検出温度との関係が問題となる。
ジャンクション温度をTjとし、サーミスタ55の検出温度をTsとすると、TjとTsの関係は以下のようになる(なお、Raはトランジスタの接合部からヒートシンク70までの熱抵抗であり、Pはトランジスタの損失(=発熱:単位は〔W〕)である)。
Tj=Ra×P+Ts・・・・・・・・・・・・(1)
なお、(1)式において、Ra×Pは、ヒートシンク70とトランジスタの接合部(ジャンクション)との温度差を示している。
図9は、熱損失の説明図である。本実施形態では、同図に示すように、各トランジスタの接合部からヒートシンク70までの熱損失は、全て5〔℃/W〕である。つまり、
Tj=5P+Ts
となる。これから理解される通り、サーミスタ55の検出温度Tsが同じであっても、トランジスタの損失Pが大きい場合は、損失Pが小さい場合と比較して、ジャンクション温度Tjが高くなる。逆に言えば、ジャンクション温度の最大値(最大温度)の110℃にトランジスタがなったときに、サーミスタ55の検出温度Tsも異なり、最大負荷で駆動した場合、ひとつのトランジスタの発熱が大きい8色印刷のほうが4色印刷よりも、検出温度Tsが低いことになる。
図10は、本実施形態の8色印刷と4色印刷時のウエイトをかける温度の閾値に関する値をまとめた図である。前述したように、4色印刷時の1トランジスタ当りの最大損失(最大発熱量)は7[W]であり、8色印刷時のトランジスタの最大損失(最大発熱量)は10[W]である。また、トランジスタのジャンクション最大温度は110℃である。
以下、最大の負荷で駆動させた場合を考える。
まず、ヒートシンク70について説明する。
本実施例の装置は、外気が40℃以下で通常の使用が可能であるように設計する。ヒートシンク70は熱抵抗1〔℃/W〕のものを用いる。熱抵抗は小さければ小さいほど放熱効果が高く熱に関しては有利だが、小さい熱抵抗のヒートシンクはサイズが大きく、高価になるので、できるだけ小さいものを使い、本実施形態では1〔℃/W〕を用いる。なお、ヒートシンク70内ではほぼ同一温度になっている。
4色印刷では、4つのトランジスタがそれぞれ7〔W〕の電力で発熱しており、合計28〔W〕の熱がヒートシンク70に注入され、外気に流し出す。この過程で、ヒートシンク70の熱抵抗とこの熱の積である28〔W〕×1〔℃/W〕=28〔℃〕の温度差が外気とヒートシンク70の間に生じるので、ヒートシンクの温度は28+40=68〔℃〕となる。
8色印刷では、二つのトランジスタがそれぞれ10〔W〕の電力で発熱しており、合計20〔W〕の熱がヒートシンク70に注入され、外気に流し出す。4色印刷の場合と同様の計算で、放熱器の温度が60〔℃〕になる。
まとめると、4色印刷と8色印刷でそれぞれの最大負荷を吐出した場合、ヒートシンク70の温度は、4色印刷で68〔℃〕、8色印刷で60〔℃〕となり、4色印刷の方が高温になっている。
次にトランジスタについて説明する。ジャンクション温度が110〔℃〕になるとした場合のヒートシンク70の温度を求める(上記のヒートシンク70の温度の計算とはとりあえず関係ない独立の計算)。
4色印刷時のトランジスタの最大損失(最大発熱量)は7[W]なので、4色印刷時にジャンクション温度が110℃となるのは、式(1)より、
Ts=Tj−Ra×P=110−5×7=110−35=75〔℃〕
となる。よって、サーミスタ55の検出温度が75℃のとき、ジャンクション温度が110℃になる。
8色印刷時のトランジスタの最大損失(最大発熱量)は10[W]なので、ヒートシンク70とトランジスタのジャンクションとの温度差は、熱抵抗Raが5[℃/W]より、
Ra×P=5×10=50
である。8色印刷時にジャンクション温度が110℃となるとき、式(1)より、ヒートシンク70の温度は、
Ts=Tj−Ra×P=110―50=60〔℃〕
となる。
以上をもとに、仮に、ウエイト動作させる温度の閾値を4色印刷と8色印刷で同一とした場合を考察する。トランジスタが110〔℃〕になる上記ヒートシンク70の温度の計算結果より、閾値が60〔℃〕以下ならば、4色印刷でも8色印刷でもトランジスタの温度は110〔℃〕以下である(4色印刷では75〔℃〕まで閾値を高くできるが、8色印刷では、125〔℃〕に至ってしまい不可)。そこで、閾値を60〔℃〕とする。
この閾値において、8色印刷ならば、(マージンはないが、)トランジスタを110℃以下にした状態で、ウエイト動作をしなくてもよい。つまり、上で計算した外気40〔℃〕時のヒートシンク70の温度が60〔℃〕であり、これが、ジャンクション温度が110〔℃〕になったときと一致するからである。
一方、閾値60〔℃〕では、4色印刷の場合はウエイトが入る。なぜならば、上で計算した外気40〔℃〕のヒートシンク70の温度が68〔℃〕になるからである。
つまり、閾値を4色印刷と8色印刷で同一とした場合、外気40℃で、負荷を最大にした場合、4色印刷でウエイト動作がなされてしまう。
ところが、実際は、4色印刷でも、ウエイト動作を挿入しなくても、トランジスタの温度は110〔℃〕を越さない。それは、上で計算したところにより、ヒートシンク70が75〔℃〕になったときに、ジャンクション温度が110〔℃〕になるから、ヒートシンク70が68〔℃〕になったところでは、まだ、7〔℃〕余裕があるからである。
そこで、4色印刷の場合閾値を68〔℃〕から75〔℃〕の間にすれば、ジャンクション温度は110〔℃〕以下で、かつ、ウエイトが入らない印刷が可能である。
以上より、4色印刷と8色印刷で閾値を変えれば、どちらの印刷でも、ジャンクション温度が110〔℃〕を超えずウエイトが入らない印刷が可能である。
なお、例えば、4色印刷で最大の負荷になるような印刷をしていて、外気が47〔℃〕になってしまったときなど、ウエイトの発生を必要とする。先に閾値は68〔℃〕から75〔℃〕の間にすればよいとしたが、75〔℃〕にしておけば、ウエイトが入りスループットが下がるのを遅くでき有利である。
一方、4色印刷時においてサーミスタ55の検出温度が60℃のときのジャンクション温度は、8色印刷時においてサーミスタ55の検出温度が60℃のときのジャンクション温度よりも低い。これは、4色印刷時のトランジスタの最大損失(7[W])は、8色印刷時のトランジスタの最大損失(10[W])よりも低いためである。
このため、4色印刷時に、8色印刷時と同じ60℃の検出温度に基づいてウエイト動作を行うと、トランジスタのジャンクション温度が高くないのにウエイト動作が行われてしまう。つまり、ウエイト動作を行わなくても良いジャンクション温度であるのに、ウエイト動作が行われてしまい、スループットが低下する。
そこで、本実施形態では、4色印刷での閾値を、8色印刷での閾値よりも高い値(75℃)とする。これにより、トランジスタの熱破壊を防止しつつスループットを高めることができる。
本実施形態のプリンター1では、メモリー63に4色印刷及び8色印刷についての各閾値(図10のウエイトを始める温度)が予め記憶されている。
コントローラー60は、プリンター1のキャリッジ31に装着されたカートリッジのICに記憶されているデータを読み取り、カートリッジの種類(8色又は4色)を判断する。そして、コントローラー60は、メモリー63を参照して、読み取り結果に応じた閾値を決定する。例えば、4色印刷用のカートリッジであることを示す読み取り結果の場合、閾値を75℃に決定する。また、8色印刷用のカートリッジであることを示す読み取り結果の場合、閾値を60℃に決定する。
そして、コントローラー60は、決定された閾値に基づいて、サーミスタ55の検出温度に応じたウエイト動作を行う。具体的には、4色印刷の場合、サーミスタ55の検出温度が75℃を超えたときにウエイト動作を行い、8色印刷の場合、サーミスタ55に検出温度が60℃を超えたときにウエイト動作を行う。
このように、本実施形態のプリンター1では、トランジスタの最大損失(発熱)が大きい8色印刷よりも、トランジスタの最大損失が小さい4色印刷の方が、ウエイト動作を始める閾値が高く設定されている。これにより、トランジスタの熱破壊を防止しつつスループットを向上させることができる。
また、本実施形態のプリンター1では、インクを収容したカートリッジがキャリッジ31に装着されたときに、カートリッジに取り付けられたICのデータを読み取ることによって、8色印刷及び4色印刷の何れかを選択している。これにより、カートリッジの装着によって、自動的に閾値の切り替えを行なうことができる。
===その他の実施形態===
一実施形態としてのプリンター等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<液体噴射装置について>
前述の実施形態では、液体噴射装置の一例としてインクジェットプリンターが説明されている。但し、液体噴射装置はインクジェットプリンターに限られるものではなく、インク以外の液体(液体以外にも、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような液状体も含む)や液体以外の流体(流体として噴射できる固体、例えば粉体)を噴射する流体噴射装置にも適用可能である。例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる液状の色剤や電極材などを噴射する噴射装置や、バイオチップ製造に用いられる液状の生体有機物を噴射する噴射装置に、前述の実施形態を適用しても良い。
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンターの実施形態だったので、インクをノズルから噴射しているが、このインクは水性でも良いし、油性でも良い。また、ノズルから噴射する流体は、インクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから噴射しても良い。
<駆動信号生成回路について>
前述の実施形態では、駆動信号生成回路65には、電流増幅回路(言い換えると、駆動信号生成部)が2個設けられていた。しかし、電流増幅回路(言い換えると、駆動信号生成部)が1個であっても良い。この場合、4色印刷時には最大2.8ノズル列分のピエゾ素子を駆動し、8色印刷時には最大2ノズル列分のピエゾ素子を駆動するため、4色印刷時の方がトランジスタの損失が大きくなる。よって、4色印刷時のウエイト動作の閾値は低く設定し、8色印刷時のウエイト動作の閾値は高く設定するのがよい。
<サーミスタについて>
前述した実施形態では、トランジスタの発熱温度を検出するためにサーミスタ55を用いていたがこれには限られない。サーミスタ以外の温度センサー、例えばダイオード等を用いてもよい。
1 プリンター
20 搬送ユニット、21 給紙ローラー、22 搬送モーター(PFモーター)、
23 搬送ローラー、24 プラテン、25 排紙ローラー、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 キャリッジモーター(CRモーター)、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダー、52 ロータリー式エンコーダー、
53 紙検出センサー、54 光学センサー、55 サーミスタ、
60 コントローラー、61 インターフェイス部、62 CPU、
63 メモリー、64 ユニット制御回路、65 駆動信号生成回路、
67 波形設定部、68A 第1駆動信号生成部、68B 第2駆動信号生成部、
70 ヒートシンク、110 コンピューター、
681A,681B D/A変換器、682A,682B 電圧増幅回路、
683A 第1電流増幅回路、683B 第2電流増幅回路、
Q1 NPN型トランジスタ、Q2 PNP型トランジスタ、
PZT ピエゾ素子、SW スイッチ

Claims (5)

  1. 駆動信号生成部で駆動信号を生成し、前記駆動信号を用いて駆動素子を駆動してヘッドから流体を噴射する流体噴射方法であって、
    前記駆動信号生成部の温度を温度センサーによって検出すること、
    第1噴射モードと、前記駆動素子の温度と前記温度センサーの検出温度との関係が前記第1噴射モードと異なる第2噴射モードのいずれかを選択すること、
    前記第1噴射モードが選択された場合、前記温度センサーの検出温度が第1閾値を超えたとき、前記駆動信号生成部の前記駆動信号の生成を待機させて前記ヘッドからの前記流体の噴射を待機させる待機動作を行うこと、
    前記第2噴射モードが選択された場合、前記温度センサーの前記検出温度が、前記第1閾値とは異なる第2閾値を超えたとき、前記待機動作を行うこと
    を有する流体噴射方法。
  2. 請求項1に記載の流体噴射方法であって、
    複数の前記駆動素子は温度結合されて前記温度センサーで温度測定され、前記第1噴射モードは前記駆動素子の発熱がほぼ同等で、前記第2噴射モードは前記駆動素子の発熱が偏り、
    前記第1閾値は、前記第2閾値よりも高い流体噴射方法。
  3. 請求項2に記載の液体噴射方法であって、
    複数色の流体が用いられ、前記第1噴射モードは、前記複数色の流体のどの色の流体を噴射する場合でも、前記駆動素子のすべてを発熱させ、前記第2噴射モードは、あるひとつの色の流体を噴射する場合、前記駆動素子の一部しか発熱させない
    流体噴射方法。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の流体噴射方法であって、
    ヘッドから噴射される流体を収容したカートリッジであって、収容している流体の種類に関する情報を記憶した記憶素子を有するカートリッジが流体噴射装置に装着されたとき、前記記憶素子に記憶された前記情報を読み取ることによって、前記第1噴射モード及び前記第2噴射モードのいずれかを選択する、流体噴射方法。
  5. 駆動信号によって駆動素子が駆動されることに基づいて流体を噴射するヘッドと、
    前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
    前記駆動信号生成部の温度を検出する温度センサーと、
    第1噴射モードと、前記駆動素子の温度と前記温度センサーの検出温度との関係が前記第1噴射モードと異なる第2噴射モードのいずれかを選択し、前記第1噴射モードを選択した場合、前記温度センサーの検出温度が第1閾値を超えたとき、前記駆動信号生成部の前記駆動信号の生成を待機させて前記ヘッドからの前記流体の噴射を待機させる待機動作を行わせ、前記第2噴射モードを選択した場合、前記温度センサーの前記検出温度が、前記第1閾値とは異なる第2閾値を超えたとき、前記待機動作を行わせるコントローラーと、
    を備えた流体噴射装置。
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