JP2010209929A - 固定治具 - Google Patents

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Abstract

【課題】コントロールケーブルの自動車の車体への配索作業を容易化すると共に、コントロールケーブルを適切に配索することができる固定治具を提供する。
【解決手段】固定治具10は、中間部材20とクランプ部材30を備えている。中間部材20はケーブル50に固定されている。クランプ部材30は、筒状部32によって中間部材20をクランプするとともに、貫通孔34を用いて車体に固定される。固定治具10では、クランプ部材30の筒状部32に、中間部材20に当接して押圧する弾性部38が形成されている。固定治具10では、弾性部38が中間部材20に対するクランプ部材30のケーブル50の軸方向への位置を支持する。これによって、ケーブル50の車体への配索作業を容易化すると共に、ケーブル50を適切に配索することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、コントロールケーブルを自動車の車体に固定する固定治具に関する。
例えば、コントロールケーブルを自動車の車体に引き回して配索する場合、要所ごとに固定治具を用いてコントロールケーブルを自動車の車体にクランプする。これによって、コントロールケーブルが自動車の車体に対して固定され、コントロールケーブルの配索経路が決定される。このような固定治具は、通常、コントロールケーブルに外嵌されて固定される筒状の中間部材と、その中間部材にクランプするクランプ部材を備えている。この固定治具を用いてコントロールケーブルを車体に配索する際は、まず、コントロールケーブルの外周に中間部材を固定し、次に、クランプ部材を車体に固定する一方でそのクランプ部材で中間部材を保持する。これによって、コントロールケーブルが車体に固定される。このような固定治具を用いてパーキングブレーキケーブル(自動車に用いられるコントロールケーブルの一種)を配索した一例が特許文献1に記載されている。
特開平11−208445号公報
コントロールケーブルを車体に固定する位置は、自動車毎に製造公差等によって僅かに変化する。このため、中間部材に対してクランプ部材の位置が微調整できないと、コントロールケーブルの車体への配索作業が行い難い。一方、中間部材に対してクランプ部材の位置を微調整可能とするために、中間部材とクランプ部材の間にクリアランスを設けると、コントロールケーブルの配索経路が厳密に決定されない。特に、クランプ部材に対してコントロールケーブルがその軸方向に変位すると、配索経路が大きく変化し、コントロールケーブルと他の部品等とが接触するという問題が生じる。
本発明は上記の課題を解決する。すなわち本発明は、コントロールケーブルの車体への配索作業を容易化すると共に、コントロールケーブルを適切に配索することができる固定治具を提供することを目的としている。
本発明は、コントロールケーブルを自動車の車体に固定する固定治具に具現化される。この固定治具は、コントロールケーブルの外周面に固定される筒状の中間部材と、中間部材をクランプするとともに車体に固定されるクランプ部材を備えている。この固定治具では、中間部材とクランプ部材の少なくとも一方に、他方の部材に当接して押圧する第1弾性部が形成されている。第1弾性部は、中間部材に対するクランプ部材のコントロールケーブルの軸方向への相対移動を規制する。
この固定治具では、中間部材とクランプ部材の少なくとも一方に第1弾性部が形成されており、弾性を有する第1弾性部を介して中間部材とクランプ部材が当接する。このため、クランプ部材を車体に固定する際は、第1弾性部の弾性変形を利用して、中間部材に対するクランプ部材の位置を微調整することができる。これによって、コントロールケーブルの車体への配索作業を容易化することができる。
また、この固定治具では、第1弾性部の弾性力によって、中間部材に対するクランプ部材のコントロールケーブルの軸方向への相対移動を規制する。このため、クランプ部材を車体に固定した後は、クランプ部材に対する中間部材の相対位置が、コントロールケーブルの軸方向に変位することが抑制される。すなわち、車体に対するコントロールケーブルの位置がその軸方向に大きく変位することが抑制される。その結果、コントロールケーブルの配索経路が大きく変化することが抑制され、コントロールケーブルと他の部品等とが接触することが抑制される。これによって、コントロールケーブルを適切に配索することができる。
第1弾性部は、クランプ部材に形成されていることが好ましい。
クランプ部材は、コントロールケーブルに固定される中間部材に比べて、その形状を自由に決定することができる。そのため、第1弾性部をクランプ部材に形成することで、本発明の効果を有する固定治具を容易に形成することができる。
この固定治具では、中間部材とクランプ部材の少なくとも一方に、他方の部材に当接して押圧する第2弾性部がさらに形成されていることが好ましい。第2弾性部は、中間部材に対するクランプ部材のコントロールケーブルの径方向への相対移動を規制する。
クランプ部材に対して中間部材が、コントロールケーブルの径方向に自由に変位できると、走行中の振動により中間部材とクランプ部材が衝突を繰り返し、異音が発生するという問題が生じる。この固定治具では、中間部材とクランプ部材の少なくとも一方に第2弾性部が形成されており、第2弾性部が中間部材に対するクランプ部材のコントロールケーブルの径方向への相対移動を規制する。このため、クランプ部材に対する中間部材の相対運動が抑制され、異音の発生が抑制される。
第2弾性部は、クランプ部材に形成されていることが好ましい。形状自由度の高いクランプ部材に第2弾性部を形成することで、本発明の効果を有する固定治具を容易に形成することができる。
第2弾性部を形成することに代えて、あるいは、第2弾性部と共に、第1弾性部が中間部材に対するクランプ部材のコントロールケーブルの径方向への相対移動をも規制するようにしてもよい。つまり、第1弾性部が、第2弾性部の機能を兼ね備えることができる。
この固定治具によれば、異なる2つの弾性部を固定治具に形成しなくてもよいため、固定治具を容易に形成することができる。
この固定治具の一つの例では、クランプ部材は、中間部材に巻きつけられる第1クランプ部材と、第1クランプ部材に対して第1の係合状態と第2の係合状態に切換可能に係合する第2クランプ部材を備えることができる。そして、第1クランプ部材に対する第2クランプ部材の係合状態を切り換えることで、中間部材に対するクランプ部材のクランプ状態が切り換えられる。
すなわち、第1の係合状態においては、中間部材に対するクランプ部材のコントロールケーブルの軸方向への相対移動が規制される一方、中間部材に対するクランプ部材のコントロールケーブルの周方向への相対移動が規制されない。つまり、第1の係合状態では、クランプ部材が、コントロールケーブルの所定位置に回転可能に支持される。また、第2の係合状態においては、中間部材に対するクランプ部材のコントロールケーブルの軸方向への相対移動が規制されるとともに、中間部材に対するクランプ部材のコントロールケーブルの周方向への相対移動が規制される。つまり、第2の係合状態では、クランプ部材が、コントロールケーブルの所定位置に回転不能に支持される。
この固定治具では、クランプ部材がコントロールケーブルの所定位置に回転可能に支持される第1の係合状態を備えている。そのため、第1の係合状態のままクランプ部材を車体に固定することで、コントロールケーブルにねじれが生じることを防止することができる。すなわち、車体側のコントロールケーブルを固定する位置(固定箇所)に対応してコントロールケーブルの所定位置に予め固定治具を固定しておくと、配索作業時には固定治具を車体に固定するだけでよく、配索作業を容易化することができる。しかし、コントロールケーブル(中間部材)に対するクランプ部材の姿勢(取付角度)を確定することは難しい。コントロールケーブルは、軸方向に長く、かつ、容易に変形できるため、固定箇所におけるコントロールケーブルのねじれ量を予測することが難しいためである。このため、中間部材に対してクランプ部材を回転不能としてしまうと、クランプ部材を車体に固定するために、コントロールケーブルにねじれが生じる場合がある。コントロールケーブルにねじれが生じると、コントロールケーブルの耐久性が悪化する。この固定治具では、第1の係合状態のままクランプ部材を車体に固定することができるので、コントロールケーブルにねじれが生じることを防止できる。そのため、コントロールケーブルの耐久性が悪化することが抑制される。また、第1の係合状態でクランプ部材を車体に固定した後に第2の係合状態に切り換えることで、クランプ部材に対してコントロールケーブルが周方向に回転することが規制される。このため、コントロールケーブルの配索後は、走行時の車体の振動によって異音が発生すること等が抑制される。
本発明によれば、中間部材とクランプ部材からなる固定治具を用いて、コントロールケーブルの車体への配索作業を容易化すると共に、コントロールケーブルを適切に配索することができる。
第1実施例の固定治具10を示す。 固定治具10の断面図を示す。 第2実施例の固定治具60を示す。 固定治具60の断面図を示す。 第3実施例の固定治具110を示す。 固定治具110の断面図を示す。 第4実施例の固定治具160を示す。 固定治具160の断面図を示す。 第5実施例の固定治具210を示す。 第1クランプ部材250の側面図を示す。 第2クランプ部材280の側面図を示す。 カバー部材270の斜視図を示す。 固定治具310の断面図を示す。 固定治具360の断面図を示す。 固定治具410を示す。 第1クランプ部材450の側面図を示す。 第2クランプ部材480の側面図を示す。
以下に説明する実施例の主要な特徴を整理する。
(特徴1)第1弾性部は、周辺に切り込みが形成されている。クランプ部材が中間部材をクランプする前の状態において、切り込みに囲まれた第1弾性部が他方の部材側に突出している。
(特徴2)第2弾性部は、周辺に切り込みが形成されている。クランプ部材が中間部材をクランプする前の状態において、切り込みに囲まれた第2弾性部が他方の部材側に突出している。
(特徴3)第1クランプ部材にはアーム部が形成されている。第2クランプ部材にはホルダ部が形成されている。アーム部は、間隔を空けて互いに略平行に配置された2枚の板状部を有している。ホルダ部は、その2枚の板状部を挿入可能な挿入口が形成されている。アーム部の2枚の板状部をホルダ部の挿入口に挿入することで、第2クランプ部材が第1クランプ部材に係合する。
(特徴4)アーム部の2枚の板状部には、ホルダ部の挿入口に挿入される側から、2枚の板状部の間隔が狭く設定された第1間隔部と、2枚の板状部の間隔が広く設定された第2間隔部がこの順で形成されている。第1間隔部がホルダ部の挿入口に挿入されることで、第1の係合状態が実現される。また、第2間隔部までホルダ部の挿入口に挿入されることで、第2の係合状態が実現される。
(特徴5)アーム部とホルダ部の少なくとも一方に、第2の係合状態から第1の係合状態への意図しない切替えを防止する機構が形成されている。
本発明を具現化した実施例について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施例の固定治具10を模式的に示した図である。固定治具10は、二点鎖線で示すコントロールケーブル(以下、ケーブルと呼ぶこととする)50を自動車の車体(図示されていない)に固定するための治具である。
図1に示すように、固定治具10は、中間部材20とクランプ部材30を備えている。図2に、図1のII−II断面図を示す。中間部材20は、金属製の筒状部材であり、ケーブル50の所定の位置に固定されている。中間部材20をケーブル50に固定する方法としては、カシメ等を用いることができる。クランプ部材30は、1枚の金属板から形成されており、その中央部に中間部材20をホールドする筒状部32が形成されている。また、クランプ部材30の両端部には、クランプ部材30を車体に取り付けるための貫通孔34a、34bが形成されている。
筒状部32には、切り込み36が形成されており、切り込み36で囲まれた部位38(以下、弾性片38という)が、外力が作用しない状態で中間部材20側へ突出している。弾性片38は、クランプ部材30の両端縁(ケーブル50の軸方向の両端縁)のそれぞれに2つずつ形成されている。各端縁に形成された2つの弾性片38は、ケーブル50の中心に対して対称な位置に配置されている。各弾性片38は、ケーブル50の軸方向に伸びており、その先端がケーブル50の中心に向かって折り曲げられている。
固定治具10を用いてケーブル50を車体へと固定する際は、まず中間部材20をケーブル50の所定の位置(ケーブル50を車体に固定する位置に対応した位置)に固定する。次に、図1に示すように、クランプ部材30の筒状部32が中間部材20の周囲を取り囲むようにクランプ部材30を中間部材20に巻き付ける。次いで、クランプ部材30の貫通孔34a,34bが車体に形成されたねじ穴に一致するように、クランプ部材30の位置を調整する。次いで、ねじを貫通孔34a、34bに挿入し、そのねじを車体のねじ穴に締め付ける。ねじを車体に締め付けると、貫通孔34周辺のクランプ部材30がねじによって押圧されて金属板の両端部の間の距離が縮まり、それに伴って筒状部32の径が縮小する。この結果、図2に示すように、各弾性片38の先端が中間部材20の側面(ケーブル50の軸方向側の側面)に当接する。さらにねじを車体に締め付けることで筒状部32の径が縮小すると、各弾性片38が外側に変形し、各弾性片38の弾性力によって中間部材20がケーブル50の軸方向及び径方向内側に押圧される。
固定治具10では、クランプ部材30の4つの弾性片38から中間部材20の両側面(ケーブル50の軸方向側の両側面)に作用する弾性力が釣り合う位置で、中間部材20に対するクランプ部材30の位置(ケーブル50の軸方向の位置)が決定される。
本実施例の固定治具10では、クランプ部材30が中間部材20をクランプする際に、クランプ部材30の各弾性片38が中間部材20の側面(ケーブル50の軸方向側の側面)に当接する。各弾性片38は弾性を有しているので、各弾性片38の弾性変形量が相違することで、中間部材20に対するクランプ部材30の位置をケーブル50の軸方向及び径方向に僅かに変化させることができる。ケーブル50を車体に固定する位置は、自動車毎に、その製造公差等によって僅かに変化する。本実施例の固定治具10では、ケーブル50を車体に固定する位置が変化した場合でも、その変化にあわせて中間部材20(すなわち、ケーブル50)に対するクランプ部材30の位置が変化することができる。これによって、ケーブル50の車体への配索作業を容易化することができる。また、クランプ部材30の各弾性片38が変形することで、ケーブル50に過大な力が作用することを防止することができる。
また、本実施例の固定治具10では、クランプ部材30と中間部材20が上記のように当接しているので、ケーブル50の軸方向及び/又は径方向に外力が作用した場合でも、各弾性片38が変形することで、クランプ部材30に対して中間部材20(ケーブル50)が大きく変位することが規制される。これによって、ケーブル50の配索経路が大きく変化することが抑制され、ケーブル50と他の部品等とが接触してしまうといった事態を防止することができる。また、中間部材20とクランプ部材30の当接状態が維持されるため、異音の発生を防止することができる。
図3は、第2実施例の固定治具60を模式的に示した図である。固定治具60は、中間部材70とクランプ部材80を備えている。図4に、図3のIV−IV断面図を示す。第2実施例の固定治具60では、中間部材70に切り込み72が形成されており、切り込み72で囲まれた部位74(以下、弾性片74)が、外力が作用しない状態でクランプ部材80側へと突出している。弾性片74は、中間部材70の両端縁(ケーブル50の軸方向の両端縁)のそれぞれに2個つずつ形成されている。各端縁に形成された2つの弾性片74は、ケーブル50の中心に対して対称な位置に配置されている。各弾性片74は、ケーブル50の軸方向に伸びており、その先端がクランプ部材80側に向かって折り曲げられている。なお、クランプ部材80には弾性片が形成されていない。他の点については、第1実施例の固定治具10と同一構造を有しており、重複した説明を省略する。
第2実施例の固定治具60では、ケーブル50を車体へと固定すると、中間部材70に巻付いている筒状部82が縮径する。この結果、図4に示すように、各弾性片74がクランプ部材80のケーブル50の軸方向側の両側面に当接する。さらに筒状部82が縮径すると、各弾性片74が変形し、その弾性によって弾性片74がクランプ部材80をケーブル50の軸方向及び径方向外側に押圧する。
本実施例の固定治具60においても、中間部材70に弾性片74が形成されているため、第1実施例の固定治具10と同様に、ケーブル50の車体への配索作業を容易化することができるとともに、ケーブル50の配索経路が大きく変化することを抑制することができる。また、走行中の異音の発生を防止することができる。
図5は、第3実施例の固定治具110を模式的に示した図である。固定治具110は、中間部材120とクランプ部材130を備えている。図6に、図5のVI−VI断面図を示す。第3実施例の固定治具110では、クランプ部材130の筒状部132に切り込み142が形成されており、切り込み142で囲まれた部位144(以下、弾性片144という)が、外力が作用しない状態で中間部材120側に突出している。弾性片144は、筒状部132の中央(ケーブル50の軸方向の中央)に2つ形成されている。2つの弾性片144は、ケーブル50の中心に対して対称な位置に配置されている。また、弾性片144は、クランプ部材130の軸方向の両端縁に形成された弾性片138を結ぶ線分の略中央に形成されている。他の点については、第1実施例の固定治具10と同一構造を有しており、重複した説明を省略する。
第3実施例の固定治具110では、ケーブル50を車体へと固定すると、クランプ部材130の各弾性片138が弾性変形して中間部材120をケーブル50の軸方向及び径方向内側に押圧するとともに、弾性片144が中間部材120をケーブル50の径方向内側に向かって押圧する。これによって、第1実施例の固定治具10と比較して、クランプ部材130が中間部材120を径方向に押圧する力が大きくなる。このため、クランプ部材130に対してケーブル50がその径方向に変位することがより抑制され、走行中に異音が発生することがより抑制される。
図7は第4実施例の固定治具160を模式的に示した図であり、図8は図7のVIII−VIII断面図である。図7、図8では、中間部材170の外形を詳細に示すために、クランプ部材180を二点鎖線で示す。第4実施例の固定治具160は、中間部材170とクランプ部材180を備えている。図7,8から明らかなように、クランプ部材180は、第2実施例のクランプ部材80と同一形状である。第4実施例では、中間部材170の中央部付近に、他の部分に比べて大径とされた凸部176が形成されている。凸部176には軸方向に伸びる切れ込み178が周方向に間隔を空けて複数形成されており、これらの切れ込み178によって、他の部分と表面積が等しく保たれている。凸部176はクランプ部材180側へと突出している。他の点については、第2実施例の固定治具60と同一構造を有しており、重複した説明を省略する。
第4実施例の固定治具160では、ケーブル50を車体へと固定すると、中間部材170の各弾性片174が弾性変形してクランプ部材180をケーブル50の軸方向及び径方向外側に押圧するとともに、凸部176がクランプ部材180をケーブル50の径方向外側に押圧する。これによって、第2実施例の固定治具60と比較して、中間部材170がクランプ部材180を径方向外側に押圧する力が大きくされている。これによって、クランプ部材180に対してケーブル50(中間部材170)がその径方向に変位することがより抑制され、走行中に異音が発生することをより抑制することができる。
図9は、第5実施例の固定治具210を模式的に示した図である。固定治具210は、中間部材220とクランプ部材230を備えている。図9に示すように、固定治具210では、中間部材220の軸方向の両端縁の全周が外側に折り曲げられて弾性部224が形成されている。クランプ部材230によって中間部材220がクランプされた状態では、弾性部224の弾性変形によって、中間部材220に対してクランプ部材230がケーブル50の軸方向に変位することが規制されている。
また、本実施例のクランプ部材230は、第1クランプ部材250とカバー部材270と第2クランプ部材280を備えている。
図10に、第1クランプ部材250の側面図を示す。第1クランプ部材250は、1枚の金属板から形成されており、その中央部に筒状部252が形成されている。筒状部252は、中間部材220に取付けられる部位である。筒状部252は弾性変形可能であり、後述する板状部264、266の間隔の変化に伴ってその内径が変化する。外力が作用しない状態の筒状部252の内径は、中間部材220(弾性部224除く)の外径よりも広く設定されている。
第1クランプ部材250の両端(中間部材220に取付けられない部位)には、アーム部254が形成されている。アーム部254は、1枚の金属板の両端部である板状部264、266によって構成されている。板状部264、266は略平行に伸びている。板状部264、266の間隔は一様ではなく、端部側からその間隔が比較的狭く設定されている第1間隔部260と、その間隔が比較的広く設定されている第2間隔部256が形成されている。第1間隔部260と第2間隔部256の間には、第2間隔部256よりもその間隔が広く設定されている第1凸部258が形成されている。また、第1間隔部260には、第1間隔部260よりもその間隔が広く設定されている第2凸部262が形成されている。
図11に、第2クランプ部材280の側面図を示す。第2クランプ部材280は、ホルダ部282と取付部286を備えている。第2クランプ部材280は、芯材を樹脂でモールドしたモールド材となっている。ホルダ部282は、基部282cと、この基部282cの上下の端部にそれぞれ設けられた係止爪282a,282bを備えている。基部282cの側面には、ピン284が突設されている。係止爪282a,282bは、その先端が互いに対向する向きに曲げられている。係止爪282a,282bの先端には間隔が空けられており、アーム部254を挿入可能な挿入口290が形成されている。係止爪282a,282bの基部282c側には、挿入口290より幅が広い収容空間283が形成されている。係止爪282a,282bは弾性変形可能であり、係止爪282a,282bが外側に弾性変形することによって挿入口290の間隔が変化するようになっている。係止爪282a,282bに外力が作用しない状態では、挿入口290の間隔は、板状部264、266の第1間隔部260の間隔とほぼ等しく設定されている。そのため、板状部264、266の第2凸部262が収容空間283内に位置するように第1間隔部260を挿入口290に挿入した状態では、係止爪282a,282bの先端が第1間隔部260を押圧せず、筒状部252の内径は中間部材220(弾性部224除く)の外径よりも広く維持される。また、挿入口290の間隔は、係止爪282a,282bに外力が作用しない状態で、板状部264、266の第2間隔部256の間隔よりも狭く設定されている。そのため、板状部264、266の第2間隔部256を挿入口290から収容空間283内に挿入すると(第1凸部258を収容空間283内に位置させると)、係止爪282a,282bの先端が第2間隔部256を押圧し、筒状部252の内径が縮小され、第1クランプ部材250が中間部材220をホールドする。
取付部286は、ホルダ部282の基部282cに取付けられている。取付部286には、固定治具210を車体へと取り付けるための貫通孔288が形成されている。
図12に、カバー部材270の斜視図を示す。カバー部材270はホルダ部282を収容可能な空間272が形成されている。カバー部材270の内側面には、ホルダ部282の基部282cのピン284と対応する位置に穴(図示しない)が形成されている。
固定治具210を用いてケーブル50を車体へと固定する際は、まずカシメ等を用いて中間部材220をケーブル50の所定の位置(ケーブル50を車体に固定する位置に対応した位置)に固定する。次に、第1クランプ部材250の筒状部252が中間部材220の周囲を取り囲むように第1クランプ部材250を中間部材220に巻き付ける。次いで、第1クランプ部材250のアーム部254の第1間隔部260を第2クランプ部材280の挿入口290に挿入し、第2凸部262を収容空間283内に位置させて、第2クランプ部材を第1クランプ部材に係合する。この状態を第1の係合状態と呼ぶ。第1の係合状態では、第1クランプ部材250の筒状部252の内径が、中間部材220(弾性部224除く)の外径よりも広く設定されている。そのため、第1の係合状態では、中間部材220に対するクランプ部材230のケーブル50の軸方向における位置が変化することが規制されているものの、クランプ部材に対してコントロールケーブルが周方向に回転することは規制されていない。本実施例では、第1の係合状態のまま固定治具210を車体に固定する。この状態では、第1クランプ部材250に形成された第2凸部262によって、第1クランプ部材250と第2クランプ部材280が意図せずに離反することが防止される。
本実施例では、ケーブル50の所定の位置に中間部材220及びクランプ部材230を固定しておくことができるため、配索作業を容易化することができる。また、ケーブル50の所定の位置に中間部材220及びクランプ部材230を固定しておいても、第1の係合状態では、クランプ部材230が中間部材220に対して回転可能となっている。そのため、第1の係合状態でクランプ部材230を車体に固定することで、ケーブル50にねじれが生じることを防止することができ、ケーブル50の耐久性が悪化することを抑制することができる。
なお、固定治具210を車体に固定した後は、第1クランプ部材250のアーム部254を第2クランプ部材280の挿入口290に第2間隔部256まで挿入して、第2の係合状態とする。第2の係合状態では、第2クランプ部材250の筒状部252の内径が縮小され、第1クランプ部材250が中間部材220をホールドする。そのため、第2の係合状態では、中間部材220に対するクランプ部材230のケーブル50の軸方向における位置が変化することが規制されるとともに、クランプ部材230に対してケーブル50が周方向に回転することが規制される。これによって、走行時の車体の振動によって異音が発生すること等が抑制される。第2の係合状態では、第1クランプ部材250に形成された第1凸部258によって、第2の係合状態から第1の係合状態へと意図しない切替えが防止される。第2の状態に切り換えた後、ホルダ部282にカバー部材270を取付ける。すなわち、ホルダ部282のピン284がカバー部材270の穴に係合するように、ホルダ部282にカバー部材270を嵌める。これによって、アーム部254がホルダ部282から脱落不能に保持される。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、中間部材及びクランプ部材の形状等は種々の態様を採ることができる。例えば、図13に示すようにクランプ部材を成形してもよいし、図14に示すように中間部材を成形してもよい。これらの例では、中間部材とクランプ部材の接触面積を大きくされているため、両者の相対的な位置ずれをより強固に規制することができる。
また、第1クランプ部材と第2クランプ部材を有するクランプ構造も、上記の第5実施例には限られない。図15にこのようなクランプ構造を有する他の固定治具410を示す。固定治具410は、中間部材420とクランプ部材430を備えている。
図16に、第1クランプ部材450の側面図を示す。第1クランプ部材450には、筒状部452とアーム部454が形成されている。アーム部454の第1間隔部460には第1貫通孔461が形成されている。第2間隔部456には第2貫通孔457が形成されている。また、アーム部454には凸部が形成されていない。
図17に、第2クランプ部材480の側面図を示す。第2クランプ部材480は、係止部482と取付部486が一体で形成されている。係止部482と取付部486の間には、アーム部454を挿入可能な挿入空間490が形成されている。係止部482の下面には、挿入空間490側に突出する係止爪492、494が形成されている。また、取付部486の両側面には、脱落防止壁481が形成されている。脱落防止壁481は、係止部482が形成されている範囲内で、係止部482側に向かって突出している。
固定治具410では、第1クランプ部材450のアーム部454を第2クランプ部材480の挿入空間490に挿入すると、まず、係止爪492が第1貫通孔461に嵌まり込む。この第1の係合状態においては、中間部材420に対してクランプ部材430が回転可能となり、また、係止爪492によって、第1クランプ部材450から第2クランプ部材480が意図せずに脱落することが防止される。また、脱落防止壁481が第1クランプ部材450の側面に当接し、第1クランプ部材450に対して第2クランプ部材480が軸方向に移動することを規制している。
さらにアーム部454を挿入空間490に挿入すると、係止爪492が第2貫通孔457に嵌まり込み、係止爪494が第1貫通孔461に嵌まり込む。この第2の係合状態においては、中間部材420に対してクランプ部材430が回転不能となる。なお、第2の係合状態では、係止爪492,494によって、第1クランプ部材450と第2クランプ部材480が意図せずに離反することが防止される。
この固定治具410によっても、第5実施例と同様の効果を得ることができる。また、この固定治具410では、第2クランプ部材480に脱落防止壁481が形成されているため、第5実施例で必要とされたカバー部材270が不要とされている。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10、60、110、160 固定治具
20、70、120、170 中間部材
30、80、130、180 クランプ部材
32、82、132、182 筒状部
34、84、134、184 貫通孔
38、74、138、174 弾性片
50 ケーブル
144 弾性片
176 凸部
210、410固定治具
220、420中間部材
230、430クランプ部材
250、450第1クランプ部材
252、452筒状部
254、454アーム部
256、456第1間隔部
258 第1凸部
260、460第2間隔部
262 第2凸部
264、266板状部
270 カバー部材
280、480第2クランプ部材
282 ホルダ部
282a、282b 係止爪
283 収容空間
286、486取付部
290 挿入口
310、360固定治具
320、370中間部材
330、380クランプ部材
338、374弾性片
481 脱落防止壁
482 係止部
490 挿入空間
492、494係止爪

Claims (6)

  1. コントロールケーブルを自動車の車体に固定する固定治具であって、
    コントロールケーブルの外周面に固定される筒状の中間部材と、
    中間部材をクランプするとともに、車体に固定されるクランプ部材を備えており、
    中間部材とクランプ部材の少なくとも一方に、他方の部材に当接して押圧する第1弾性部が形成されており、その第1弾性部は中間部材に対するクランプ部材のコントロールケーブルの軸方向への相対移動を規制する固定治具。
  2. 第1弾性部は、クランプ部材に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の固定治具。
  3. 中間部材とクランプ部材の少なくとも一方に、他方の部材に当接して押圧する第2弾性部が形成されており、その第2弾性部は中間部材に対するクランプ部材のコントロールケーブルの径方向への相対移動を規制することを特徴とする請求項1または2に記載の固定治具。
  4. 第2弾性部は、クランプ部材に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の固定治具。
  5. 第1弾性部は、中間部材に対するクランプ部材のコントロールケーブルの径方向への相対移動をも規制することを特徴とする請求項1または2に記載の固定治具。
  6. クランプ部材は、中間部材に巻きつけられる第1クランプ部材と、第1クランプ部材に対して第1の係合状態と第2の係合状態に切換可能に係合する第2クランプ部材を備えており、
    第1の係合状態では、中間部材に対するクランプ部材のコントロールケーブルの軸方向への相対移動が規制される一方で周方向への相対移動が規制されておらず、
    第2の係合状態では、中間部材に対するクランプ部材のコントロールケーブルの軸方向及び周方向への相対移動が規制されていることを特徴とする請求項1に記載の固定治具。
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