JPH08145241A - ワイヤハーネス用クランプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワイヤハーネスを、コルゲート型プロテクタ
で被覆した個所でクランプを用いて被着物に固定する作
業の作業性を向上せしめること。 【構成】 クランプ１は、ボデーパネル９（被着物）の
取付け孔９１に係止する係止脚２を外面に設けた受け部
３と、これにヒンジ５を介して一体に連結した蓋部４と
でリング状のクランプ部を形成し、受け部３および蓋部
４の相対向する端縁に係止爪６および爪受け７を設けて
相互に係止可能とする。上記クランプ部の内側に周方向
所定の間隔をおいて、上記プロテクタＰの谷部Ｐ２に係
止して、上記プロテクタＰの一方向への移動は許容する
が、他方向への移動は阻止する弾性変形可能な複数の戻
り防止爪８を設け、ワイヤハーネスＷを一方向（矢印Ａ
方向）に引っ張ることで上記戻り防止爪８の谷部Ｐ２へ
の係止が解除されてワイヤハーネスＷを移動せしめ、ワ
イヤハーネスＷに取り付けた各クランプ１と被着物９の
各取付け孔９１のピッチ誤差を吸収する構造とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はワイヤハーネスを固定す
るクランプ、特にコルゲート型プロテクタで被覆したワ
イヤハーネスを固定するクランプに関する。

【０００２】

【従来の技術】車両に配設するワイヤハーネスは、クラ
ンプによりボデーに固定してある。この場合、クランプ
によるワイヤハーネスの把持を確実に行うために、ワイ
ヤハーネスの複数個所を合成樹脂材よりなる蛇腹チュー
ブ状のコルゲート型プロテクタ（以下、単にプロテクタ
と言う）で被覆し、プロテクタにクランプを定着し、そ
してクランプをボデーに係止することによりワイヤハー
ネスをボデーに固定する。

【０００３】ワイヤハーネスの上記プロテクタで被覆し
た個所をボデーに固定するクランプとして、図２に示す
ように係止脚２を備えた受け部３と、これにヒンジ５を
介して連結された蓋部４とでワイヤハーネスＷを覆うプ
ロテクタＰを把持するとともに、上記係止脚２をボデー
９の取付け孔９１に係止せしめるものがある。このクラ
ンプ１は、上記蓋部４の端縁に係止爪６を設けるととも
に、受け部３の端縁には爪受け７が設けてあり、また受
け部３および蓋部４の内周には環状の把持爪８Ｂが所定
の間隔をおいて複数設けてある。そして、上記係止爪６
を上記爪受け７に押し込み嵌合せしめることで、受け部
３および蓋部４でプロテクタＰを囲むとともに、把持爪
８ＢをプロテクタＰの山部Ｐ１間の谷部Ｐ２に噛合させ
る構造としてある。

【０００４】一方、同種のクランプとして図３に示すよ
うに、蓋部４の内面に弾性変形可能な把持片８Ａを突設
して、受け部３と蓋部４とでプロテクタＰを囲んだとき
把持片８ＡでプロテクタＰを押さえ付ける構造のものが
ある（実開昭６１─７２０２６号）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ワイヤハーネスＷの車
両への配設作業は一般に、複数個所でワイヤハーネスＷ
を被覆したプロテクタＰに予めクランプ１を定着してお
き、ワイヤハーネスＷの一方の側より順次にクランプ１
をボデー９の取付け孔９１に係止せしめてゆく。このと
き、クランプ１間のピッチと、ボデー９の取付け孔９１
間のピッチとの間に寸法誤差があると、ワイヤハーネス
Ｗのたるみが生じる。ワイヤハーネスＷは、たるみが生
じるとボデーのフランジや他の部品と接触し、車両の振
動によりそれらが擦れ合い外皮が破れるおそれがある。
そこで、クランプ１間のピッチを修正しようとしても、
クランプ１は一旦受け部３と蓋部４とを嵌合せしめる
と、それを外すことは極めて面倒であり、またクランプ
１を移動させようとしても、その内面の把持爪８Ｂおよ
び把持片８ＡがプロテクタＰの谷部Ｐ２と噛み合って、
クランプ１はプロテクタＰ上を移動させることができな
い。よって、ワイヤハーネスＷのたるみの修正作業は多
くの労を要する。

【０００６】そこで本発明は、ワイヤハーネスの配設作
業中にワイヤハーネスのたるみが生じた場合に、その修
正作業を容易に行うことのできるワイヤハーネス用クラ
ンプを実現することを課題としてなされたものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のワイヤハーネス
用クランプは図１に示すように、自動車のボデーパネル
９等の被着物に係止される弾性係止脚２を外面に突設し
た受け部３と、該受け部３とヒンジ５を介して一体に連
結した蓋部４とでワイヤハーネスＷを被覆したプロテク
タＰを囲むリング状クランプ部を形成する。受け部３お
よび蓋部４の対向する端縁には、一方に係止爪６を設
け、他方に爪受け７を設けて相互に係止可能とする。上
記クランプ部の内面には周方向に所定の間隔をおいて上
記プロテクタＰの谷部Ｐ２に係止して、上記プロテクタ
Ｐの一方向への移動は許容するが、他方向への移動は阻
止する弾性変形可能な複数の戻り防止爪８を設ける。

【０００８】

【作用】図１（Ｃ）に示すように、クランプ１はワイヤ
ハーネスＷのプロテクタＰで被覆した個所を中に配し
て、各戻り防止爪８の先端をプロテクタＰの谷部Ｐ２に
噛合させ、受け部３および蓋部４の端縁を係止せしめる
ことによりワイヤハーネスＷを把持する。ワイヤハーネ
スＷは、これを図１（Ｃ）の矢印方向に、即ち戻り防止
爪８の伸出方向に引っ張ると、戻り防止爪８はプロテク
タＰの山部Ｐ１により外側へ押し開かれて、先端が上記
山部Ｐ１を乗り越えて、その後方の谷部Ｐ２と噛合す
る。このようにクランプ１はプロテクタＰに取り付けた
後でもワイヤハーネスＷに対して一方向に位置調整可能
であり、プロテクタＰと車体のクランプ係止個所との位
置合わせが可能であり、ワイヤハーネスＷのたるみを修
正することが可能である。

【０００９】

【実施例】図１に基づいて本発明の実施例を説明する。
本発明のクランプ１は、合成樹脂材よりなる一体成形品
で、図１（Ａ）に示すようにほぼ半円周の円弧をなす湾
曲板の受け部３と、同じくほぼ半円周の円弧をなす湾曲
板の蓋部４とが肉薄としたヒンジ５を介して一体に連結
した構造としてある。

【００１０】上記受け部３の端縁には、先端縁を内側に
向かう鉤爪状とした係止爪６が設けてある。一方、係止
爪６に対向する蓋部４の端縁には、断面ほぼＵ字形で一
方の内側面に係止溝７１を有する爪受け７が形成してあ
る。この爪受け７に係止爪６を挿入し、その鉤爪を係止
溝７１に係止せしめることで受け部３と蓋部４とを係合
する。また係止爪６には図１（Ａ）に示すように、外側
に突出した突起部６１があり、一方、図１（Ｂ）に示す
ように爪受け７には切欠き７４が設けてあり互いに嵌合
する。

【００１１】図１（Ａ）（Ｂ）（Ｃ）に示すように、受
け部３および蓋部４の内面には、それぞれ複数個の戻り
防止爪８が設けてある。該戻り防止爪８は全て同一の形
状で基端から先端にかけて台形板状としてあり、受け部
３と蓋部４とを端縁で係止して形成するリング状クラン
プ部の周方向に所定の間隔をおいて設けてある。また各
戻り防止爪８は、それぞれ上記クランプ部の軸方向の一
方の方向に向け、かつ傾斜方向に軸心に向かうように伸
び、弾性変形可能である。戻り防止爪８の先端はプロテ
クタＰの谷部Ｐ２に向けて突出する断面ほぼ三角形状
で、内側の傾斜面８１は対向するプロテクタＰの山部Ｐ
１の側面よりもゆるやかな傾斜面となるように形成して
ある。戻り防止爪８の先端は、リング状クランプ部の軸
を中心として円弧状の配置としてある。

【００１２】さらに受け部３の外側には、図１（Ａ）
（Ｃ）に示すように係止脚２が設けてある。該係止脚２
は、先端に互いに分割されたクリップ片２２を有する。

【００１３】上述の構造とした本発明のワイヤハーネス
用クランプ１は、図１（Ｃ）に示すようにワイヤハーネ
スＷのプロテクタＰで被覆した個所を受け部３および蓋
部４の間に配して戻り防止爪８の先端をプロテクタＰの
谷部Ｐ２に位置せしめて、上記係止爪６と爪受け７とを
係合せしめると、戻り防止爪８が押し広げられ、反力で
先端がプロテクタＰの谷部Ｐ２に係止される。

【００１４】本発明のクランプ１を用いてワイヤハーネ
スＷを車体に沿って配設するには、先ず、ワイヤハーネ
スＷまわりに、車体に設けた取付け孔９１に対応する位
置でプロテクタＰを配し、各プロテクタＰの両端をテー
プＴでワイヤハーネスＷに固定する。次に各プロテクタ
Ｐにクランプ１を上述の方法で係止せしめる。クランプ
１の係止位置はクランプ１間のピッチを上記取付け孔９
１間のピッチより長いプラス公差とした、プロテクタＰ
の一方の端部寄りの位置、即ち、クランプ１の戻り防止
爪８が伸び出す側の位置（図１（Ｃ）の左寄りの位置）
とする。

【００１５】次に各クランプ１をその係止脚２により車
体の取付け孔９１に係止させる。この場合、各クランプ
１は図１（Ｃ）の右側に位置するクランプ１から順次係
止させる。このとき、クランプ１はプロテクタＰの左寄
りの位置としてあるので、ワイヤハーネスＷに各プロテ
クタＰ間でたるみが生じる。そこでワイヤハーネスＷを
各プロテクタＰ間で左側方向（図示矢印Ａ方向）に引
く。すると、戻り防止爪８の先端の傾斜面８１がプロテ
クタＰの山部Ｐ１を乗り越えるから、ワイヤハーネスＷ
を矢印方向へ移動させることができる。この場合、上記
傾斜面８１を山部Ｐ１の側面よりも傾斜角の少ない面と
すれば、山部Ｐ１の乗り越えが容易となる。

【００１６】ワイヤハーネスＷのたるみの修正作業は、
クランプ１を順次取付け孔９１に係止せしめるごとに、
先に係止せしめたクランプ１との間のたるみを修正して
もよいし、また、ワイヤハーネスＷに定着したクランプ
１を全てボデーパネル９に係止せしめた後、各クランプ
１間のたるみを修正してもよい。

【００１７】このようにしてワイヤハーネスＷは全長に
わたり、たるみのない状態で車体に取り付けることがで
きるのである。従って、ワイヤハーネスＷの外皮破損の
おそれがない。

【００１８】さらに、本発明のクランプ１は、ワイヤハ
ーネスＷを把持する戻り防止爪８を弾性変形可能として
あるため、数種の径の異なるプロテクタで被覆したワイ
ヤハーネスを把持することができる。

【００１９】なお、本発明のクランプは従来のクランプ
と併用してもよい。特にワイヤハーネスがボデーのフラ
ンジ等に近接して配設され、たるみの発生防止が厳格に
なされる場合には、一方に従来のクランプ、他方を本発
明のクランプを用いる。この場合、本発明のクランプ側
でワイヤハーネスを一方の方向に引っ張りワイヤハーネ
スのたるみを修正する。修正後、従来のクランプ側で
は、ワイヤハーネスの移動は両方向とも不可能であるか
ら、たとえワイヤハーネスに外力が作用してもワイヤハ
ーネスに再びたるみが生じるおそれがなく、たるみの生
じないワイヤハーネスが確実に保持される。

【００２０】

【発明の効果】しかして本発明のクランプによれば、ワ
イヤハーネスを被覆するプロテクタにクランプを係止し
た後でクランプとワイヤハーネスを相対移動可能とした
から、従来のように各クランプと車体の取付け孔との間
のピッチの誤差によるトラブルがなく、ワイヤハーネス
の取付け作業性が大きく改善される。

【００２１】また、本発明のクランプでは、たるみのな
いワイヤハーネスの配設が可能であるから、従来に比
し、クランプの使用個数が少なくてすむ。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１（Ａ）は本発明のワイヤハーネス用クラン
プの正面図、図１（Ｂ）は図１（Ａ）のワイヤハーネス
用クランプの平面図、図１（Ｃ）は図１（Ａ）のワイヤ
ハーネス用クランプのワイヤハーネスを把持せしめた断
面図である。

【図２】図２（Ａ）は従来のワイヤハーネス用クランプ
の正面図、図２（Ｂ）は図２（Ａ）のワイヤハーネス用
クランプのワイヤハーネスを把持せしめた断面図であ
る。

【図３】従来の他のワイヤハーネス用クランプの正面図
である。

【符号の説明】

Ｗ ワイヤハーネス Ｐ コルゲート型プロテクタ １ クランプ ２ 弾性係止脚 ３ 受け部 ４ 蓋部 ５ ヒンジ ６ 係止爪 ７ 爪受け ８ 戻り防止爪 ９ ボデーパネル（被着物）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コルゲート型プロテクタで被覆したワイ
   ヤハーネスを車体等の被着物に固定するためのクランプ
   において、被着物に係止される弾性係止脚を外面に突設
   した受け部と、該受け部とヒンジを介して一体に連結し
   た蓋部とで上記プロテクタを囲むリング状クランプ部を
   形成し、上記受け部および蓋部の対向する端縁には、一
   方に係止爪を設け、他方には爪受けを設けて相互に係止
   可能とし、上記クランプ部の内面には、周方向に所定の
   間隔をおいて、上記プロテクタの谷部に係止して、上記
   プロテクタの一方向への移動は許容するが、他方向への
   移動は阻止する弾性変形可能な複数の戻り防止爪を設け
   たことを特徴とするワイヤハーネス用クランプ。