JP2010209182A - ガスエンジン用エンジン油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスエンジンの軸受部材の銅腐食防止性等の金属腐食防止性に優れるとともに、長寿命であるガスエンジン用油組成物を提供する。
【解決手段】基油、HLB値が8〜11のポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.01〜3.0質量%、及び有機モリブデン錯体を0.01〜3.0質量%含有するガスエンジン用エンジン油組成物。好ましくは、前記基油の100℃動粘度が5〜12mm/s、かつ、粘度指数が125以上であり、さらに、分散剤としてホウ素含有コハク酸イミドを2〜15質量%含有し、エンジン油組成物中の硫酸灰分量が0.5〜1.3質量%である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガスエンジン用エンジン油組成物に関する。
天然ガス、液化石油ガス(LPG:Liquid Petroleum Gas)、オートガスなどを燃料とするガス発電機、LPG車、圧縮天然ガス(CNG:Compressed Natural Gas)車等には、ガスを燃料として駆動するガスエンジンが用いられる。ガスエンジンでは燃料とするガスの燃焼性がよいことから、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンよりも燃焼温度が高くなる。そのため、ガスエンジンに用いられるエンジン油には過大な負担がかかり劣化しやすく、長期間にわたって使用することが難しい。特に、排気量が数十リッターの大型ガスエンジンでは、鉄製のピストンが用いられていることもあり、エンジン油にはより一層大きな負担がかかる。
このように負荷の高い条件下で使用されるガスエンジンでは、エンジン油中の各種添加剤の分解が進みやすく、この分解物によりエンジンの軸受部材に含まれる銅の腐食を生じやすい。また、このような負荷の高い条件下では、熱酸化等によりエンジン油の劣化が生じやすく、その寿命にも影響しやすい。そのため、ガスエンジン用のエンジン油(適宜、「ガスエンジン用エンジン油組成物」、「ガスエンジン油組成物」、又は「ガスエンジン油」という。)には銅腐食防止性と劣化防止が求められている。さらに、エンジン油の劣化が進むと軸受部材に含まれる鉛の腐食を生じやすく、より一層の長寿命化を図るためには、長期にわたりエンジン油の劣化を抑制すると共に、その劣化が原因で生じる鉛腐食を防止することも求められている。
一方、負荷を低減した運転条件においては、エンジン油温の低下とともにエンジン油中に水が混入しやすく、これによって添加剤の加水分解が起こり、分解物により同様に軸受部材の銅が溶出しやすい。また、水の混入による乳化が原因でスラッジが生じやすく、これもエンジン油の寿命に影響する。
このようにガスエンジンに用いるエンジン油には、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンに用いられるエンジン油とは異なる性能が求められることから、従来から専用のエンジン油の開発が検討されており、アルカリ土類金属フェネートやアルカリ土類金属サリシレート等の金属型清浄剤、ジアルキルジチオリン酸亜鉛等の摩耗防止剤、フェノール系酸化防止剤などの配合による長寿命化の検討がなされている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
特開平7−258678号公報 特開平11−152485号公報
本発明は、ガスエンジンの軸受部材の銅腐食防止性等の金属腐食防止性に優れるとともに、長寿命であるガスエンジン用油組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明では、以下のガスエンジン用エンジン油組成物が提供される。
<1> 基油、HLB値が8〜11のポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.01〜3.0質量%、及び有機モリブデン錯体を0.01〜3.0質量%含有することを特徴とするガスエンジン用エンジン油組成物。
<2> 前記基油の100℃動粘度が5〜12mm/s、かつ、粘度指数が125以上であり、さらに、分散剤としてホウ素含有コハク酸イミドを2〜15質量%含有し、該ガスエンジン油組成物中の硫酸灰分量が0.5〜1.3質量%であることを特徴とする<1>に記載のガスエンジン用エンジン油組成物。
本発明によれば、ガスエンジンの軸受部材の銅腐食防止性等の金属腐食防止性に優れるとともに、長寿命であるガスエンジン用油組成物が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
本発明者らは、まず、高負荷運転時における軸受からの銅の溶出は、摩耗防止剤として配合されているジアルキルジチオリン酸亜鉛が原因であり、これが熱分解して分子中の硫黄と銅が反応することで銅の溶出が生じることに着目した。そして研究を重ねた結果、有機モリブデン錯体がジアルキルジチオリン酸亜鉛の熱による分解を抑制し、これを配合することにより銅の溶出を効果的に防止できることを見出した。
また、低負荷運転時におけるエンジン油に水が混入した時の軸受からの銅の溶出も上記ジアルキルジチオリン酸亜鉛が原因であり、これはジアルキルジチオリン酸亜鉛の加水分解により遊離した硫黄化合物と軸受メタルの銅とが反応することが原因であることに着目した。そして研究を重ねた結果、特定のポリオキシエチレンアルキルエーテルがジアルキルジチオリン酸亜鉛の加水分解を抑制し、これを配合することにより銅の溶出を効果的に防止できることを見出した。なお、このポリオキシエチレンアルキルエーテルは界面活性剤であるため、エンジン油の乳化防止の効果を有し、従って、乳化によって発生するスラッジを抑制する効果があり、長寿命化にも寄与する。
一方、軸受からの鉛の溶出は、分散剤として用いているコハク酸イミドの劣化物および分解物との反応によるものであることにも着目し、コハク酸イミド系分散剤の中でも安定性の高いホウ素含有コハク酸イミドを選択して配合することで、鉛の溶出を効果的に防止できることを見出した。
さらに、鉛の溶出防止には、前記有機モリブデン錯体の配合も効果的であることも見出し、また、基油として、酸化安定性の良い100℃動粘度が5〜12mm/sであり、かつ、粘度指数が125以上である高粘度指数基油を使用することで、鉛の溶出をより一層効果的に防止できることを見出した。
また、長寿命化のためには、上記研究の結果見出した100℃動粘度が5mm/s以上で、粘度指数が125以上の高粘度指数基油、有機モリブデン錯体、特定のポリオキシエチレンアルキルエーテル、及び分散剤としてホウ素含有コハク酸イミドを用いることが極めて有効であり、これにより従来のガスエンジン用油組成物の2倍以上の寿命が得られることを見出した。
(1)基油
本発明のガスエンジン油組成物に含まれる基油としては、鉱油系基油及び合成系基油の中から選ばれる一種以上のものを用いることができる。
鉱油系基油としては、例えば原油の潤滑油留分を溶剤精製、水素化精製、水素化分解精製、水素化脱蝋などの精製法を適宜組合せて精製したものが挙げられる。なお、後述の粘度指数が125以上である基油としては、水素化精製油、触媒異性化油などに溶剤脱蝋または水素化脱蝋などの処理を施した高度に精製されたパラフィン系鉱油(高粘度指数鉱油系潤滑油基油)等が挙げられる。
合成系潤滑油基油としては、例えば、メタン等の天然ガスを原料として合成されるイソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ジアルキルジエステル類、ポリオール類、アルキルベンゼン類、ポリグリコール類、フェニルエーテル類などが挙げられる。
基油の性状としては、通常、ガスエンジン用エンジン油に用いられるものを適宜使用することができるが、より長寿命のエンジン油とするためには、100℃動粘度が5〜12mm/s、粘度指数が125以上であることが好ましく、100℃動粘度が6〜10mm/s、粘度指数が125以上であることがより好ましい。このような性状の基油は、アメリカ石油協会(API)の基油分類で、グループII基油(硫黄分0.03質量%以下、飽和分90質量%以上、粘度指数80〜120未満の性状を有する基油)とグループIII基油(硫黄分0.03質量%以下、飽和分90質量%以上、粘度指数120以上)を混合して上記性状に合わせたものであってもよいが、グループIII基油を使用することがより好ましい。
(2)ポリオキシエチレンアルキルエーテル
本発明のガスエンジン用エンジン油組成物には、銅の腐食防止性と長寿命化のために、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)が8〜11、好ましくは9〜10のポリオキシエチレンアルキルエーテルが配合される。ここで、HLB値とは、界面活性剤の水と油への親和性のバランスを表す指標であり、化学構造や物性などの数値を基に計算により求められる数値である。HLB値は小さいほど親油性が高く、大きいほど親水性が高いことを示す。なお、本発明におけるHLB値はグリフィン法により求めた値である。
HLB値が8〜11の範囲内であると銅腐食防止性と長寿命化に効果がある理由は、次のようなメカニズムによるものと推測される。
まず、エンジン油には、通常、コハク酸イミド系分散剤等の分散剤が配合されているが、これはエンジン油に混入する水分によるエマルションの形成を起こしやすい。このエマルションは、摩耗防止剤であるジアルキルジチオリン酸亜鉛の加水分解を生じる原因となり、これは前述したように銅腐食の原因になると考えられる。また、前述したように、エマルションはエンジン油の乳化によるスラッジ発生の原因にもなると考えられる。ここで、エンジン油のエマルションはO/W型(oil in water)であるため、このO/W型のエマルションを防ぐことにより、銅腐食防止性を向上させ、またスラッジを抑制し長寿命化とすることができると考えられる。そこで、本発明では、O/W型のエマルションの抑制に有効なHLB値が8以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルが必須となる。一方、HLB値が11を超えると、エマルジョンを防止する性能が低下するとともに、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのエンジン油への溶解性が劣り、濁りを生じる場合がある。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、上記HLB値を満たすものであればどのようなものであってもよく、末端のアルキル基は炭素数が10〜16であるもの等を好ましく用いることができる。さらに、その中でもHLB値が8〜11のポリオキシエチレンラウリルエーテルが好ましく、HLB値が9〜10のポリオキシエチレンラウリルエーテルが最も好ましい。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの好ましい配合量は、エンジン油組成物全量に対して0.01〜3.0質量%であり、より好ましい配合量はエンジン油組成物全量に対して0.05〜0.5質量%である。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量が0.01質量%より少ないと十分な銅腐食防止効果が得られず、さらに長寿命化の向上効果も得づらい。一方、上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量が3.0質量%より多いと、冬場などの低温時に濁りが生じる場合があり貯蔵安定性が劣ることになる。また、配合量に見合う効果も得づらく経済的に不利となる。
(3)有機モリブデン錯体
本発明のガスエンジン用エンジン油組成物には、銅および鉛の腐食防止性と長寿命化のために、有機モリブデン錯体が配合される。この有機モリブデン錯体としては、酸化防止性を有する有機モリブデン錯体を使用することが好ましい。
酸化防止性を有する有機モリブデン錯体としては、例えば特公平5−66435号公報に記載されている炭素原子数12個以上の脂肪油、ジエタノールアミン及びモリブテンなどを反応させて得られる化合物が挙げられ、この反応生成物の主要成分は下記一般式(1)および一般式(2)で表される化合物と考えられている。なお、この有機モリブデン錯体のより具体的なものとしては、バンダービルト社製の有機モリブデン錯体Molyvan855等が挙げられる。
一般式(1)および(2)におけるRは脂肪油残基を表す。
また、特開2003―252887号公報に記載されているモリブデンアミン化合物を用いることもできる。
有機モリブデン錯体の配合量はガスエンジン油組成物全量に対し0.01〜3.0質量%であり、より好ましい配合量はガスエンジン油組成物全量に対し0.1〜0.5質量%である。有機モリブデン錯体の配合量が0.01質量%よりも少ないと十分な銅及び鉛の腐食防止効果が得られず、さらに長寿命化の向上効果も得づらい。一方、有機モリブデン錯体の配合量が3.0質量%よりも多いと、溶解せずに沈殿物を生じる場合があり、エンジン油組成物を製造しづらくなる。また、配合量に見合う効果が得づらく経済的に不利となる。
(4)コハク酸イミド系分散剤
一般的なガスエンジン用エンジン油には、油中に混入する燃焼生成物の分散のために分散剤としてコハク酸イミド系の分散剤が配合される場合があるが、本発明のガスエンジン用エンジン油に配合されるコハク酸イミド系分散剤としては、鉛腐食防止性と長寿命化の観点から、ホウ素含有コハク酸イミドを配合することがより好ましい。
ホウ素含有コハク酸イミドとしては、下記一般式(3)又は一般式(4)で表されるコハク酸イミドをホウ素変性させたものが用いられる。
一般式(3)及び(4)において、RおよびRはいずれも数平均分子量800〜2500(ポリスチレン換算)のアルキル基またはアルケニル基、Rは炭素数2〜5のアルキレン基、nは1〜10の整数である。
このうち、一般式(4)で表されるコハク酸イミドをホウ素変性させたホウ素含有コハク酸イミドを用いることが好ましく、数平均分子量(ポリスチレン換算)が、好ましくは3000〜8000、より好ましくは3000〜6000、特に好ましくは4000〜5000のホウ素含有コハク酸イミドを用いるとよい。
また、鉛の腐食防止性向上の観点からは、一般式(3)及び一般式(4)のコハク酸イミドをホウ素変性させていないものは併用せずに、ホウ素変性コハク酸イミドのみを使用することが好ましい。さらに、一般式(3)のモノタイプのコハク酸イミドをホウ素変性させたものよりも、一般式(4)のビスタイプのコハク酸イミドをホウ素変性させたものがより好ましい。
ホウ素含有コハク酸イミドの好ましい配合量は、ガスエンジン油組成物全量に対し2〜15質量%であり、より好ましい配合量はエンジン油組成物全量に対し4〜10質量%である。ホウ素含有コハク酸イミドの配合量を2質量%以上とすることで、エンジン油中の劣化物の良好な分散性を確保でき長寿命化を図ることができる。一方、ホウ素含有コハク酸イミドの配合量を15質量%以下とすることで、ジアルキルジチオリン酸亜鉛との相互作用を抑制しやすく、摩耗防止性能をより良好に保つことができる。
また、ホウ素コハク酸イミド中のホウ素含有量は、耐熱性と金属腐食防止性の観点からは、0.2〜1.5質量%であることが好ましく、0.2〜1.3質量%がより好ましく、0.4〜1.1質量%が特に好ましい。
(5)ジアルキルジチオリン酸亜鉛
本発明のガスエンジン用エンジン油は、摩耗防止性能の観点から、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を配合することが好ましい。ジアルキルジチオリン酸亜鉛のアルキル基は第一級であっても第二級であってもよいが、炭素数8〜12の第一級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有することが金属腐食防止性の観点から好ましい。
上記ジアルキルジチオリン酸亜鉛の好ましい配合量は、ガスエンジン油組成物全量に対し、リン換算で0.01〜0.13質量%であり、より好ましい配合量はガスエンジン油組成物全量に対し、リン換算で0.03〜0.08質量%である。
(6)金属型清浄剤
本発明のガスエンジン用エンジン油には、金属型清浄剤としてサリシレート、スルホネート、フェネートなどを配合することができるが、このうちアルキルサリチル酸のアルカリ土類金属塩であるアルカリ土類金属サリシレートを配合することが好ましい。また、アルカリ土類金属サリシレートにはカルシウム系とマグネシウム系があるが、カルシウム系サリシレートを使用することが好ましい。
カルシウム系サリシレートは、過塩素酸法(JIS−K−2501−7)による全塩基価で50〜300mgKOH/gであることが好ましく、60〜230mgKOH/gであることがより好ましい。塩基価を50mgKOH/g以上とすることで経済的な配合量とすることができ、塩基価を300mgKOH/g以下とすることでより良好なピストン清浄性を得ることができるため好ましい。配合量はカルシウムとして0.1〜0.35質量%が好ましい。
(7)酸化防止剤
本発明のガスエンジン用エンジン油には、さらにフェノール系酸化防止剤を配合することが好ましい。フェノール系酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、その例としてはイソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートやn−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましいものとして挙げられる。
フェノール系酸化防止剤の好ましい配合量は、ガスエンジン油組成物全量に対し、0.05〜5.0質量%であり、より好ましい配合量はガスエンジン油組成物全量に対し、1.5〜3.5質量%である。
(8)その他の添加剤
本発明のガスエンジン用エンジン油組成物には、必須成分による金属腐食防止及び長寿命化の効果を損なわない範囲で必要に応じて他の添加剤を配合できる。
ベンゾトリアゾール系金属不活性化剤を0.01〜0.1質量%添加することにより、軸受メタルの劣化および変色を防ぐことができる。
粘度指数向上剤についてはオレフィンコポリマー、オレフィンコポリマーとポリメタクリレートの混合物、ポリイソブチレン、スチレン/イソプレン共重合体、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートなどが配合できる。
流動点降下剤についてはポリメタクリレートなどが、泡消剤についてはシリコーン系泡消剤など挙げられる。
(9)組成物中の硫酸灰分量
本発明のガスエンジン用エンジン油組成物中の硫酸灰分量は特に限定はないが、硫酸灰分量が多すぎるとピストンヘッドや吸排気バルブに堆積物が生成し、正常な燃焼の妨げとなる可能性がある。このような観点から、硫酸灰分量は1.3質量%以下であることが好ましい。
一方、硫酸灰分の多くは金属型清浄剤や摩耗防止剤であるジアルキルジチオリン酸亜鉛等の金属分に由来するものであるため、基本的なエンジン油の性能を得るためには、上記の金属を含有する添加剤はある程度の配合量が必要となってくる場合が多い。そのため、硫酸灰分量は0.5質量%が実質的な下限値となる場合が多い。
なお、本願明細書における硫酸灰分量とはJIS−K2272による試験方法によって測定された灰分量を意味する。
<用途>
本発明のガスエンジン用エンジン油は、オートガス、天然ガスなどのガスを原料として駆動するガスエンジン専用のエンジン油として、例えば、タクシー等のLPG車、CNG車、ガス発電機などのガスエンジンに好適に使用することができる。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明する。ただし、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものでない。
下記表1及び表2の組成のエンジン油を調製し、以下の評価方法により評価を実施した。
表1の実施例1及び比較例1ではLPG専用車のエンジン油、表2の実施例2及び比較例2ではガス発電機用エンジン油についての評価結果を示す。なお、各実施例及び比較例で用いた基油および添加剤は下記の通りである。
<使用した基油と添加剤>
基油
(1)水素化分解系の鉱油系基油(グループIII基油)
100℃動粘度6.5mm/s、粘度指数135
(2)水素化分解系の鉱油系基油(グループIII基油)
100℃動粘度4.3mm/s、粘度指数123
(3)水素化精製した鉱油系基油(グループI基油)
100℃動粘度5.6mm/s、粘度指数109
(4)水素化分解系の鉱油系基油(グループIII基油)
100℃動粘度7.2mm/s、粘度指数126
(5)水素化精製した鉱油系基油(グループI基油)
100℃動粘度8.5mm/s、粘度指数105
添加剤
(6)ポリオキシエチレンラウリルエーテル
花王社製 エマルゲン104P(HLB値 9.6)
(7)有機モリブデン錯体
バンダービルト社製 MOLYVAN855
(8)ホウ素含有コハク酸イミド
数平均分子量(ポリスチレン換算)が4380であって、窒素含有量が1.4質量%、ホウ素含有量が0.5質量%である。
(9)コハク酸イミド
数平均分子量(ポリスチレン換算)が4910であって、窒素含有量が1.7質量%であり、ホウ素は含有しない。
(10)その他添加剤(以下の添加剤を含む)
・サリシレート:塩基価225mgKOH/gカルシウムサリシレート
・ジアルキルジチオリン酸亜鉛:炭素数8の第1級アルキル基含有
・フェノール系酸化防止剤:イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
・ポリメタクリレート系流動点降下剤
・オレフィンコポリマー系粘度指数向上剤
・泡消剤(シリコーン)
<評価方法>
・硫酸灰分
JIS K2272に従い実施した。
・銅腐食試験1:高温条件下
JIS K2513の修正法により実施した。
試験温度135℃、試験時間72時間の条件で銅板の変色度合いおよび油中に溶出した銅濃度を求めた。変色番号が小さいほど、また、油中銅濃度が低いほど銅腐食防止性に優れている。
・銅腐食試験2:加水分解条件下
ASTM D2619の修正法により実施した。
試料瓶に表面積130cmのコイル状の銅線を装着し、調製したエンジン油組成物100g、水4000ppmを入れ、24時間撹拌した後、油中の銅濃度を測定することによりエンジン油の性能を求めた。銅濃度の数値が低いほど銅腐食防止性に優れている。
・鉛腐食試験
JIS K2514の内燃機関用潤滑油酸化安定度試験(ISOT)にて72時間劣化させた試料をビーカーに50g採取し、その中に直径60mm、厚さ1mmのLBC−3種試験片を入れて150℃にて240時間浸漬する。その後、試料中の鉛濃度を測定し評価する。鉛の濃度が低いほど鉛腐食防止性に優れている。
・抗乳化試験
JIS K2520に従い実施した。
水と油が分離しているほど、すなわち乳化層が少ないほど抗乳化性に優れている。
・酸化安定度試験
JIS K2514の内燃機関用潤滑油酸化安定度試験(ISOT)の修正法により塩酸法塩基価(JIS K2501)が1mgKOH/g程度になる試験時間を求め、エンジン油の寿命を比べた。
・実車試験
LPG車(トヨタクラウンコンフォート)を用いて実車試験を行い、塩酸法塩基価(JIS K2501)が1mgKOH/g程度になる走行距離を求め、オイル寿命を比べた。
<実施例1、比較例1>
LPG車用のエンジン油の結果を表1に示す。
実施例1のように、ポリオキシエチレンラウリルエーテルおよび有機モリブデン錯体を配合したものは、これらを配合しない比較例1よりも銅腐食試験1、銅腐食試験2、鉛腐食試験及び抗乳化試験の各試験で優れた結果を示した。
また、酸化安定度試験(ISOT)および実車試験において、実施例1は比較例1に比べ2倍以上のオイル寿命が得られた。
<実施例2、比較例2>
ガス発電機用エンジン油の結果を表2に示す。
ポリオキシエチレンラウリンエーテル、有機モリブデン錯体およびホウ素含有コハク酸イミドを配合した実施例2では、ポリオキシエチレンラウリンエーテルおよび有機モリブデン錯体を配合しない比較例2に比べ、銅腐食試験1、銅腐食試験2、鉛腐食試験及び抗乳化試験の各試験において優れた結果を示した。
また、酸化安定度試験(ISOT)において、実施例2は比較例2に比べ2倍の寿命を示した。
<比較例3、比較例4>
実施例1のエンジン油を構成する成分うち、HLB値が異なるポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いてエンジン油を調製し、銅腐食試験2、抗乳化試験、貯蔵安定性試験を行い、実施例1と比較した。結果を下記表3に示す。
・貯蔵安定性試験
0℃の低温恒温槽中に10日間静置し、沈殿物・濁り等の外観を観察した。
HLB=8.1のポリオキシエチレンラウリルエーテルを用いた比較例3では、貯蔵安定性は実施例1と同等であったが、銅腐食防止性及び抗乳化性において実施例1に比べて劣っていた。また、HLB=12.1のポリオキシエチレンラウリルエーテルを用いた比較例4では、銅腐食防止性、抗乳化性、貯蔵安定性の全てにおいて実施例1に比べて劣っていた。

Claims (2)

  1. 基油、HLB値が8〜11のポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.01〜3.0質量%、及び有機モリブデン錯体を0.01〜3.0質量%含有することを特徴とするガスエンジン用エンジン油組成物。
  2. 前記基油の100℃動粘度が5〜12mm/s、かつ、粘度指数が125以上であり、さらに、分散剤としてホウ素含有コハク酸イミドを2〜15質量%含有し、該ガスエンジン油組成物中の硫酸灰分量が0.5〜1.3質量%であることを特徴とする請求項1に記載のガスエンジン用エンジン油組成物。
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