JP2010208969A - 寿命延長剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の課題は、活性炭を有効成分とする寿命延長剤、抗加齢剤、又はクロソタンパク質発現促進剤によって解決することができる。本発明によれば、実質的に副作用のない経口投与剤の服用によって、寿命を延長することができる。
【選択図】なし
Description
また、老化抑制遺伝子としてクロソ(Klotho)遺伝子が発見されたが(非特許文献2)、このクロソ遺伝子が変異したマウスは、ヒトの老化症状に似た症状を示し、例えば、寿命の短縮、成長障害、不妊、活動量の低下、胸腺の萎縮、皮膚の萎縮、骨格筋の萎縮、皮下脂肪・内臓脂肪の減少、動脈硬化(中膜石灰化)、腎細動脈石灰化、軟部組織石灰化(胃、脈絡叢、精巣)、肺気腫、骨密度減少、亀背、脊髄前角細胞の変性、認知障害、聴力障害、低血糖、高リン血症、高カルシウム血症などの老化症状を示す。このクロソ遺伝子が欠損した、クロソ遺伝子欠損ホモマウスは、生後3週以降に顕著な老化症状を示し、早期に死に至るが、エバンスブルー又はトリパンブルーの投与により、寿命が延長することが報告されている(特許文献3)。
本発明者は、正常の個体において寿命を延長させることのできる寿命延長剤について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、活性炭の経口投与により、正常な個体において優れた寿命延長効果が現れることを見出した。活性炭製剤は、従来、腎臓疾患などに対する経口解毒剤として使われており、副作用や毒性が実質的にないことも知られているが、正常個体において寿命を延長する作用を有するとの知見は、従来は全く無い。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
本発明の寿命延長剤の好ましい態様においては、前記活性炭が球状活性炭である。
また、本発明は活性炭を有効成分とする抗加齢剤に関する。
本発明の抗加齢剤の好ましい態様においては、前記活性炭が球状活性炭である。
更に、本発明は活性炭を有効成分とするクロソタンパク質発現促進剤に関する。
本発明のクロソタンパク質発現促進剤の好ましい態様においては、前記活性炭が球状活性炭である。
前記球状活性炭としては、例えば、特開平11−292770号公報又は特開2002−308785号公報(特許第3522708号公報)に記載の球状活性炭を用いることができる。以下、特開平11−292770号公報に記載の球状活性炭について説明し、続いて、特開2002−308785号公報(特許第3522708号公報)に記載の球状活性炭について説明する。
球状活性炭の形状は、重要な因子の1つであり、実質的に球状であることが重要である。球状活性炭の中では、後述の石油系ピッチ由来の球状活性炭が真球に近いため、特に好ましい。
炭素質粉末からの造粒活性炭は、例えば、タール、ピッチ等のバインダーで炭素質粉末原料を小粒球形に造粒した後、不活性雰囲気中で600〜1000℃の温度に加熱焼成して炭化し、次いで、賦活することにより得ることができる。賦活方法としては、水蒸気賦活、薬品賦活、空気賦活又は炭酸ガス賦活などの種々の方法を用いることができる。水蒸気賦活は、例えば、水蒸気雰囲気中、800〜1100℃の温度で行われる。
石油系ピッチ由来の球状活性炭は、直径が好ましくは0.05〜2mm、より好ましくは0.1〜1mm、比表面積が好ましくは500〜2000m2/g、より好ましくは700〜1500m2/g、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が好ましくは0.01〜1mL/gである。この石油系ピッチ由来の球状活性炭は、例えば、以下の2種の方法で製造することができる。
酸化及び/又は還元処理が施された球状活性炭としては、直径が0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1mm、比表面積が500〜2000m2/g、好ましくは700〜1500m2/g、細孔半径100〜75000オングストロームの空隙量が0.01〜1mL/gである球状活性炭が好ましい。
A=Tb/Ua
(ここで、Aは選択吸着率であり、TbはDL−β−アミノイソ酪酸の吸着量であり、Uaはα−アミラーゼの吸着量である)
によって評価することができる。
特開2002−308785号公報に記載の球状活性炭は、BET法により求められる比表面積(以下「SSA」と省略することがある)が700m2/g以上である。SSAが700m2/gより小さい球状活性炭では、毒性物質の吸着性能が低くなるので好ましくない。SSAは、好ましくは800m2/g以上である。SSAの上限は特に限定されるものではないが、嵩密度及び強度の観点から、SSAは、2500m2/g以下であることが好ましい。
最初に、石油ピッチ又は石炭ピッチ等のピッチに対し、添加剤として、沸点200℃以上の2環式又は3環式の芳香族化合物又はその混合物を加えて加熱混合した後、成形してピッチ成形体を得る。なお、前記の球状活性炭は経口投与用であるので、その原料も、安全上充分な純度を有し、且つ品質的に安定であることが必要である。
ピッチと添加剤との混合物から添加剤を抽出除去するための溶剤としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、又はヘプタン等の脂肪族炭化水素、ナフサ、又はケロシン等の脂肪族炭化水素を主成分とする混合物、あるいはメタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノール等の脂肪族アルコール類等が好適である。
なお、添加剤の抜け穴サイズ(すなわち、細孔容積)の制御は、常法、例えば、添加剤の量、ピッチ成形体の微小球体化工程における添加剤の析出温度(冷却温度)を制御することによって実施することができる。また、添加剤の抽出により生成した細孔容積は不融化条件によっても影響を受ける。例えば、不融化処理が強ければ熱処理による熱収縮が小さくなり、添加剤の抽出により得られた細孔が維持されやすい傾向にある。
(1)平均粒子径
球状活性炭についてJIS K 1474に準じて粒度累積線図を作成する。平均粒子径は、粒度累積線図において、横軸の50%の点の垂直線と粒度累積線との交点から、横軸に水平線を引いて交点の示すふるいの目開き(mm)を求めて、平均粒子径とする。
連続流通式のガス吸着法による比表面積測定器(例えば、MICROMERITICS社製「Flow Sorb II 2300」)を用いて、球状活性炭試料のガス吸着量を測定し、BETの式により比表面積を計算することができる。具体的には、試料である球状活性炭を試料管に充填し、その試料管に窒素30vol%を含有するヘリウムガスを流しながら以下の操作を行い、球状活性炭試料への窒素吸着量を求める。すなわち、試料管を−196℃に冷却し、球状活性炭試料に窒素を吸着させる。次に、試料管を室温に戻す。このとき球状活性炭試料から脱離してくる窒素量を熱伝導度型検出器で測定し、吸着ガス量(v)とする。
BETの式から誘導された近似式:
vm=1/(v・(1−x))
を用いて液体窒素温度における、窒素吸着による1点法(相対圧力x=0.3)によりvmを求め、次式:
比表面積=4.35×vm(m2/g)
により試料の比表面積を計算する。前記の各計算式で、vmは試料表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量(cm3/g)であり、vは実測される吸着量(cm3/g)であり、xは相対圧力である。
水銀ポロシメータ(例えば、MICROMERITICS社製「AUTOPORE 9200」)を用いて細孔容積を測定することができる。試料である球状活性炭を試料容器に入れ、2.67Pa以下の圧力で30分間脱気する。次いで、水銀を試料容器内に導入し、徐々に加圧して水銀を球状活性炭試料の細孔へ圧入する(最高圧力=414MPa)。このときの圧力と水銀の圧入量との関係から以下の各計算式を用いて球状活性炭試料の細孔容積分布を測定する。
具体的には、細孔直径15μmに相当する圧力(0.07MPa)から最高圧力(414MPa:細孔直径3nm相当)までに球状活性炭試料に圧入された水銀の体積を測定する。細孔直径の算出は、直径(D)の円筒形の細孔に水銀を圧力(P)で圧入する場合、水銀の表面張力を「γ」とし、水銀と細孔壁との接触角を「θ」とすると、表面張力と細孔断面に働く圧力の釣り合いから、次式:
−πDγcosθ=π(D/2)2・P
が成り立つ。従って
D=(−4γcosθ)/P
となる。
本明細書においては、水銀の表面張力を484dyne/cmとし、水銀と炭素との接触角を130度とし、圧力PをMPaとし、そして細孔直径Dをμmで表示し、下記式:
D=1.27/P
により圧力Pと細孔直径Dの関係を求める。本発明における細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積とは、水銀圧入圧0.07MPaから63.5MPaまでに圧入された水銀の体積に相当する。
0.05規定のNaOH溶液50mL中に、200メッシュ以下に粉砕した球状活性炭試料1gを添加し、48時間振とうした後、球状活性炭試料をろ別し、中和滴定により求められるNaOHの消費量である。
0.05規定のHCl溶液50mL中に、200メッシュ以下に粉砕した球状活性炭試料1gを添加し、24時間振とうした後、球状活性炭試料をろ別し、中和滴定により求められるHClの消費量である。
R=(I15−I35)/(I24−I35) (1)
〔式中、I15は、X線回折法による回折角(2θ)が15°における回折強度であり、I35は、X線回折法による回折角(2θ)が35°における回折強度であり、I24は、X線回折法による回折角(2θ)が24°における回折強度である〕
で求められる回折強度比(R値)が1.4以上である球状活性炭あるいはその表面改質球状活性炭を用いることができる。
特許第3522708号(特開2002−308785号公報)の実施例1に記載の方法と同様にして多孔性球状炭素質物質を得た。具体的な操作は、以下の通りである。
石油系ピッチ(軟化点=210℃;キノリン不溶分=1重量%以下;H/C原子比=0.63)68kgと、ナフタレン32kgとを、攪拌翼のついた内容積300Lの耐圧容器に仕込み、180℃で溶融混合を行った後、80〜90℃に冷却して押し出し、紐状成形体を得た。次いで、この紐状成形体を直径と長さの比が約1〜2になるように破砕した。
0.23重量%のポリビニルアルコール(ケン化度=88%)を溶解して93℃に加熱した水溶液中に、前記の破砕物を投入し、攪拌分散により球状化した後、前記のポリビニルアルコール水溶液を水で置換することにより冷却し、20℃で3時間冷却し、ピッチの固化及びナフタレン結晶の析出を行い、球状ピッチ成形体スラリーを得た。
大部分の水をろ過により除いた後、球状ピッチ成形体の約6倍重量のn−ヘキサンでピッチ成形体中のナフタレンを抽出除去した。このようにして得た多孔性球状ピッチを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、235℃まで昇温した後、235℃にて1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状酸化ピッチを得た。
続いて、多孔性球状酸化ピッチを、流動床を用い、50vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中で、900℃で170分間賦活処理して多孔性球状活性炭を得、更にこれを流動床にて、酸素濃度18.5vol%の窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で470℃で3時間15分間、酸化処理し、次に流動床にて窒素ガス雰囲気下で900℃で17分間還元処理を行い、多孔性球状炭素質物質を得た。こうして得られた多孔性球状炭素質物質を、以下の薬理試験例において、球状活性炭として使用した。
得られた炭素質材料の主な特性は以下の通りである。
比表面積=1300m2/g(BET法);
細孔容積=0.08mL/g
(水銀圧入法により求めた細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積);
平均粒子径=350μm;
全酸性基=0.67meq/g;及び
全塩基性基=0.54meq/g。
特開2005−314416号公報の実施例1に記載の方法と同様にして多孔性球状炭素質物質(表面改質球状活性炭)を得た。具体的な操作は、以下の通りである。
脱イオン交換水220g、及びメチルセルロース58gを1Lのセパラブルフラスコに入れ、これにスチレン105g、純度57%ジビニルベンゼン(57%のジビニルベンゼンと43%のエチルビニルベンゼン)184g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.68g、及びポロゲンとして1−ブタノール63gを適宜加えたのち、窒素ガスで系内を置換し、この二相系を200rpmで攪拌し、55℃に加熱してからそのまま20時間保持した。得られた樹脂を濾過し、ロータリーエバポレーターで乾燥させたのち、減圧乾燥機にて1−ブタノールを樹脂から蒸留により除去してから、90℃において12時間減圧乾燥させ、平均粒子径180μmの球状の多孔性合成樹脂を得た。多孔性合成樹脂の比表面積は約90m2/gであった。
得られた球状の多孔性合成樹脂100gを目皿付き反応管に仕込み、縦型管状炉にて不融化処理を行った。不融化条件は、3L/minで乾燥空気を反応管下部より上部に向かって流し、5℃/hで260℃まで昇温したのち、260℃で4時間保持することにより球状の多孔性酸化樹脂を得た。球状の多孔性酸化樹脂を窒素雰囲気中600℃で1時間熱処理したのち、流動床を用い、64.5vol%の水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中、820℃で10時間賦活処理を行い、球状活性炭を得た。得られた球状活性炭を、更に流動床にて、酸素濃度18.5vol%の窒素と酸素の混合ガス雰囲気下470℃で3時間15分間酸化処理し、次に流動床にて窒素ガス雰囲気下900℃で17分間還元処理を行い、表面改質球状活性炭を得た。
得られた表面改質球状活性炭の主な特性は以下の通りである。
比表面積=1763m2/g(BET法);
細孔容積=0.05mL/g
(水銀圧入法により求めた細孔直径20〜15000nmの範囲の細孔容積);
平均粒子径=111μm(Dv50);
全酸性基=0.59meq/g;及び
全塩基性基=0.61meq/g。
オスのSprague−Dawley(SD)系ラット(日本クレア)を購入し、6週齢でランダムに経口投与用吸着剤投与群(5匹;以下、正常ラット投与群と称する)及び対照群(6匹)に分けた。対照群は、粉末飼料(CE−2;日本クレア)を与え、正常ラット投与群は、前記粉末飼料に製造例1で調製した球状活性炭を5%混餌して自由摂取させ、2年間ラット飼育ゲージで単飼した。正常ラット投与群及び対照群の生存率の変化を図1に示す。対照群の2年後の生存率は、50%であったのに対して、正常ラット投与群は2年間の飼育で100%生存した。
従って、経口投与用吸着剤は、正常ラットの寿命を延長する効果があることが明らかとなった。
更に、老化抑制遺伝子と考えられているクロソ遺伝子のコードするタンパク質(以下、クロソタンパク質と称する)の発現を、それぞれのラットの腎臓において検討した。具体的には、腎臓から腎臓病理切片を作製し、腎臓病理組織中のクロソタンパク質の発現を抗クロソ抗体(EverestBiotech,UK)で免疫染色した。そして、顕微鏡下で、腎臓の断面上の染色部分を画像に取り込み、ニコンデジタルネットカメラDN100(ニコン社)を用いて、腎臓全体の面積に対する抗体で染色された面積を算出することによって、クロソタンパク質の発現を解析した。血清中のクレアチニン、血中尿素窒素、及びクレアチニン・クリアランスの結果を図2〜4に、クロソタンパク質の発現を図5に示す。
血清中のクレアチニン、血中尿素窒素、及びクレアチニン・クリアランスは、正常ラット投与群と対照群との間で有意差がなかったが、クロソタンパク質の発現は、対照群に比して、正常ラット投与群において、有意に上昇していた。
従って、経口投与用吸着剤は、正常ラットの腎機能には特に影響を与えないが、クロソタンパク質の発現の低下を抑制、又は発現を亢進する効果があることが明らかとなった。
オスのSprague−Dawley(SD)系ラット(日本クレア)を購入し、1週間の馴化期間後の7週齢にて、手術群(計18匹)と擬似手術群(計9匹)とに分け、手術群は、右腎の摘出及び左腎の2/3の切除を行い、1/6の腎実質を残存させた慢性腎不全モデルを作製した。擬似手術群は、7週齢に、開腹手術を行うのみで、右腎の摘出及び左腎の2/3の切除を行わずに、そのまま開腹部を縫合した。腎摘出術による影響が安定してくる4週目(11週齢)に体重、腎機能検査値(血清クレアチニン、血中尿素窒素、クレアチニン・クリアランス、尿蛋白排雅量)及び血清インドキシル硫酸濃度と尿中インドキシル硫酸濃度及び血圧の各パラメータを測定し、手術群は、群間に隔たりのないように、9匹ずつ腎不全対照群及び経口投与用吸着剤投与群(以下、腎不全投与群と称する)の2群に分け、擬似手術群を正常対照群とした。
各群は、粉末飼料(CE−2;日本クレア)を給餌され、腎不全投与群は、前記粉末飼料に製造例1で調製した球状活性炭を5%混餌投与された。なお、摂餌量は測定し、球状活性炭が、必要投与量(4g/kg/day)に満たない場合は、不足分を流動食混合により原則として土日を除く毎日追加投与した。
12週間の飼育後、ラットを屠殺し、正常対照群(n=6)、腎不全対照群(n=5)、腎不全投与群(n=6)について、実施例1と同様のプロトコールに従い、クロソタンパク質の発現を検討した。結果を図6に示す。
腎不全対照群においては、クロソタンパク質の発現が低下しているのに対して、腎不全投与群においては、クロソタンパク質の発現が改善されていた。
前記製造例1で得た球状活性炭200mgをゼラチンカプセルに封入してカプセル剤を調製した。
前記製造例1で得た球状活性炭2gを積層フィルム製スティックに充填した後、ヒートシールしてスティック剤とした。
Claims (6)
- 活性炭を有効成分とする寿命延長剤。
- 前記活性炭が球状活性炭である、請求項1に記載の寿命延長剤。
- 活性炭を有効成分とする抗加齢剤。
- 前記活性炭が球状活性炭である、請求項3に記載の抗加齢剤。
- 活性炭を有効成分とするクロソタンパク質発現促進剤。
- 前記活性炭が球状活性炭である、請求項5に記載のクロソタンパク質発現促進剤。
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