JP2010202945A - 自動車部品用摺動部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬質炭素被膜を成膜するための方法としてスパッタリング法を採用した場合でも、低摩擦係数を実現することができる、自動車部品用摺動部材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】自動車部品用摺動部材1は、基材2と、基材2の表面にコーティングされた硬質炭素被膜3とを有する。基材2の表面粗さはRy(最大高さ)で0.1μm以下であり、硬質炭素被膜3はスパッタリング法により成膜されている。
【選択図】図1
【解決手段】自動車部品用摺動部材1は、基材2と、基材2の表面にコーティングされた硬質炭素被膜3とを有する。基材2の表面粗さはRy(最大高さ)で0.1μm以下であり、硬質炭素被膜3はスパッタリング法により成膜されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車部品用摺動部材およびその製造方法に関し、特に、硬質炭素被膜を用いた自動車部品用摺動部材およびその製造方法に関する。
一般に、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)等の硬質炭素被膜は、固体潤滑性を示し、摩擦係数が窒化チタン(TiN)や窒化クロム(CrN)といった耐磨耗性を有する硬質薄膜材料と比べて低いことから、低摩擦摺動材料として期待されている。
DLC膜を用いて摺動部におけるフリクションを低減する方法の一つとして、表面を平滑にすることで潤滑状態を改善し、直接接触(メタルコンタクト)を減らすことが有効であることが知られている。
具体的には、摩擦係数を低減するために、特に硬質炭素被膜の表面粗さや形状、摺動の相手部材の表面粗さや形状を規定したものが提案されている。例えば、下記の特許文献1には、低摩擦係数を実現するために、アークイオンプレーティング法により成膜された硬質炭素薄膜の皮膜前の基材の表面粗さ(Ra:算術平均粗さ)を規定した技術が開示されている。
しかしながら、硬質炭素被膜をスパッタリング法で基材にコーティングしてなる摺動部材に、エンジン油等の潤滑油中で相手部材と摺動させる実験を行って、本発明者らが検討した結果、以下のことが判明した。
すなわち、スパッタリング法でコーティングした硬質炭素被膜は、アークイオンプレーティング法でコーティングした硬質炭素被膜で見られた基材表面粗さ(Ra)を平滑にすると摩擦係数が低下するという傾向を示さない、という問題点が明らかになった。
一方、硬質炭素被膜を成膜するための方法としてスパッタリング法を採用し、このスパッタリング法で硬質炭素被膜を基材にコーティングした場合でも、相手部材との摩擦係数を低減したいという要請がある。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、硬質炭素被膜を成膜するための方法としてスパッタリング法を採用した場合でも、低摩擦係数を実現することができる、自動車部品用摺動部材およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の一側面によれば、硬質炭素被膜を用いた自動車部品用摺動部材が提供される。前記自動車部品用摺動部材は、基材と、前記基材の表面にコーティングされた硬質炭素被膜とを有する。前記基材の表面粗さはRy(最大高さ)で0.1μm以下であり、前記硬質炭素被膜はスパッタリング法により成膜されている。
上記目的を達成するための本発明の一側面によれば、硬質炭素被膜を用いた自動車部品用摺動部材の製造方法が提供される。前記自動車部品用摺動部材の製造方法は、自動車部品用摺動部材の基材の表面粗さをRy(最大高さ)で0.1μm以下に仕上げる工程と、表面仕上げが施された前記基材の表面に硬質炭素被膜をスパッタリング法によりコーティングする工程と、を有する。
本発明におけるスパッタリング法による硬質炭素被膜の成膜では、基材の表面に炭素原子が秩序よく堆積されていく。このため、基材の表面粗さRy(最大高さ)が大きくなるような基材表面の凹凸部や傷部が存在すると、その部分で炭素原子の堆積に乱れが生じ、構造が変化する。本発明では、基材の表面粗さをRy(最大高さ)で0.1μm以下に規定することで、成膜した全面をsp3結合(ダイヤモンド構造)がリッチな均一な構造にすることができる。これにより、潤滑油の親水性成分の吸着が、自動車部品用摺動部材の硬質炭素被膜全面に渡って均一に行われることになる。
したがって、硬質炭素被膜を成膜するための方法としてスパッタリング法を採用した場合でも、低摩擦係数を実現することが可能となる。
また、本発明では、スパッタリング法を使用するため、アークイオンプレーティング法を使用した場合のようなドロップレット(成膜時に被膜表面に生じる粒状突起物)が生じにくく、これを除去するための工程を削減することが可能となる。さらに、スパッタリング法によれば、突起部分やエッジ部分にも膜のつきまわり性が良いという利点がある。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「%」は特記しない限り質量百分率を示す。
図1は、本発明の一実施形態にかかる自動車部品用摺動部材の概略を示す断面図である。本実施形態の自動車部品用摺動部材は、潤滑剤の存在下で、相手部材との摺動部位に使用されるものである。
図1に示すように、自動車部品用摺動部材(以下、単に「摺動部材」という)1は、基材2と、基材2の表面にコーティングされた硬質炭素被膜3とを有する。なお、図1では、表面の凹凸等の状態の図示を省略して模式的に示している。
硬質炭素被膜(薄膜)3がコーティングされる前の基材2の表面粗さは、Ry(最大高さ)で0.1μm以下である。また、硬質炭素被膜3は、スパッタリング法により成膜されている。
摺動部材1を製造する場合には、まず、基材2の表面粗さをRy(最大高さ)で0.1μm以下に仕上げる仕上工程が実施される。基材2の表面の仕上方法としては、特に限定されるものではないが、バフ研磨仕上げ(例えばダイヤモンド粒径6μm、アルミナパウダー#3000を使用)が望ましい。
次に、表面仕上げが施された基材2の表面に硬質炭素被膜をPVD装置のスパッタリング法によりコーティングする工程が実施される。
ここで、硬質炭素被膜3について説明する。
硬質炭素被膜3は、不可避的不純物を除き、炭素のみから構成された膜であり、典型的にはPVD法で成膜される。本実施形態では、硬質炭素被膜3は、スパッタリング法で形成されたダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)であることが好適である。なお、DLC膜は、炭素同士の結合形態がダイヤモンド構造(SP3結合)とグラファイト結合(SP2結合)の両方から成る硬質炭素被膜である。
この硬質炭素被膜3は、通常、摺動部材1の摺動部位全体に被覆されるが、摺動部位の一部にのみ被覆されていてもよい。なお、硬質炭素被膜3の膜厚は、特に限定されるものではないが、例えば0.5〜2.0μmとされる。
また、硬質炭素被膜3は、潤滑油の膜ができ易く摩擦低減効果を発揮させる観点から、水素含有量が少ないものほど良く、水素含有量が0.5原子%以下、さらには水素を含まないことが好適である。
摺動部材1は、例えば、バルブリフター、ピストンリング、ピストンピン、ピストンスカート、カムロブ、カムジャーナル、回転ベーン及びタイミングチェーン等に採用でき、これらの2種以上を対象として採用してもよい。
バルブリフターは、エンジンのバルブの軸端部に装着されるものであってカムロブを相手部材とする。また、カムロブ又はジャーナルは、吸排気用バルブを駆動するカムシャフトに用いられ、シム又はバルブリフターを相手部材とする。バルブリフターやカムロブのようなエンジン動弁系部品は、高い面圧下で相手部材と摺動して使用されるため、本実施形態の摺動部材1が適用されることが特に好ましい。
また、ピストンリングは、ピストンに装着されるものであってシリンダを摺動の相手部材とし、ピストンピンは、コンロッドをピストンに連結させるものであってピストン、ブッシュ又はコンロッドを摺動の相手部材とし、ピストンスカート(ピストンのスカート部)は、シリンダを相手部材とする。また、回転ベーンは、自動変速機用のオイルポンプ等に用いられるベースポンプにおいてポンプ室を構成するハウジング内に回転自在に設けられるものであって当該ハウジングを相手部材とし、また、吸排気用バルブのバルブリフト特性を可変制御する可変動弁装置において位相を制御する油圧回路の筒状ハウジング内に回転自在に設けられ、このハウジングを相手部材とする。さらに、タイミングチェーンは、クランクシャフトからカムシャフトを駆動するのに用いられ、スプロケット又はチェーンガイドを相手部材とする。
摺動部材1の基材2は、例えば、鉄基材、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属材料から任意に選択して使用することができる。後述する潤滑剤との組合わせによる摩擦低減効果をより一層向上させるには、鉄基又はアルミニウム系材料間の摺動面に硬質炭素被膜3を配設することが特に好適である。
なお、摺動部材1は、摺動面を形成する一対の部材(摺動部材と相手部材)のうちの一方の部材に適用すればその効果を十分に奏するが、双方の部材に適用しても良いことは言うまでもない。
次に、摺動部材1の摺動部位に用いる潤滑剤について説明する。
潤滑剤は、摺動部材1と組合せて用いられ、例えば、潤滑油基油に、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤、脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤、ポリブテニルコハク酸イミド、ポリブテニルコハク酸イミドの誘導体又はジオチリン酸亜鉛及びこれらの任意の組合せに係る成分を含有させた潤滑油が使用され得る。
なお、潤滑油基油は特に限定されるものではなく、鉱油、合成油、油脂及びこれらの混合物等、潤滑油の基油として通常使用されるものであれば、種類を問わず使用することができる。また、潤滑剤には、液体状の潤滑油の他、固体状の石墨や滑石、半固体状のグリース等も含まれる。
本実施形態の摺動部材1に用いられる潤滑油は、硬質炭素被膜3がコーティングされた部材と鉄基部材との摺動面に用いた場合に、極めて優れた低摩擦特性を示すものである。潤滑油は、特に内熱機関用潤滑油として必要な性能を高める目的で、金属系清浄剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、他の無灰摩擦調整剤、他の無灰分散剤、摩耗防止剤若しくは極圧剤、防鎮剤、非イオン系界面活性剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤等を単独で又は複数種を組合せて配合し、必要な性能を高めることができる。
以上述べた本実施形態によれば次のような作用効果を奏する。
本実施形態におけるスパッタリング法による硬質炭素被膜3の成膜では、基材2の表面に炭素原子が秩序よく堆積されていく。このため、基材2の表面粗さRy(最大高さ)が大きくなるような基材2表面の凹凸部や傷部が存在すると、その部分で炭素原子の堆積に乱れが生じ、構造が変化する。
本実施形態では、基材2の表面粗さをRy(最大高さ)で0.1μm以下に規定することで、成膜した全面をsp3結合(ダイヤモンド構造)がリッチな均一な構造にすることができる。これにより、潤滑油の親水性成分の吸着が、自動車部品用摺動部材1の硬質炭素被膜3全面に渡って均一に行われることになる。
したがって、硬質炭素被膜3を成膜するための方法としてスパッタリング法を採用した場合でも、低摩擦係数を実現することが可能となる。
また、本実施形態では、スパッタリング法を使用するため、アークイオンプレーティング法を使用した場合のようなドロップレット(成膜時に被膜表面に生じる粒状突起物)が生じにくく、これを除去するための工程を削減することが可能となる。さらに、スパッタリング法によれば、突起部分やエッジ部分にも膜のつきまわり性が良いという利点がある。
本発明は、上記した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
(実施例)
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(基材研磨方法)
摺動部材1の基材2として、SCM415の浸炭鋼からなる直径32mm、厚さ3mmの円板状テストピースを用いた。表1に、供試材(実施例1、比較例1〜3)の面粗さを示す。
摺動部材1の基材2として、SCM415の浸炭鋼からなる直径32mm、厚さ3mmの円板状テストピースを用いた。表1に、供試材(実施例1、比較例1〜3)の面粗さを示す。
研磨方法は、基材の面粗さを変化させるため、バフ研磨仕上げ(ダイヤモンド粒径6μm、アルミナパウダー#3000)の研磨時間変化させた3水準と、超仕上げ1水準の計4水準とした。バフ研磨仕上げの研磨時間は、長い方から順に、実施例1、比較例1、比較例2となるように設定した。
表1において、基材の表面粗さは、Ra(算術平均粗さ)、Rq(自乗平均平方根粗さ)、Rv(最大谷深さ)、Ry(最大高さ)で示している。
図2は、バフ研磨仕上げにより長時間研磨した基材(実施例1)の表面の光学顕微鏡観察の結果を示す図である。触針式の粗さ計により測定した表面粗さは、Ra(算術平均粗さ)=0.009、Ry(最大高さ)=0.084であった。
図3は、一般的な砥石により超仕上げを施した基材(比較例3)の表面の光学顕微鏡観察の結果を示す図である。触針式の粗さ計により測定した表面粗さは、Ra(算術平均粗さ)=0.014であり、バフ研磨仕上げの長時間研磨とそれほど変わらない値となっていたが、Ry(最大高さ)=0.251であり、長く連続した傷が残っていることが確認できる。
(成膜方法)
上記のような基材表面を持つ円板状テストピースを洗浄し、PVD装置のスパッタリング法によりAr雰囲気中で成膜を行った。比較のために同様のテストピースにおいて、アークイオンプレーティング法により水素フリーの非晶質硬質炭素被膜の成膜を行った。アークプレーティング法で成膜した硬質炭素被膜は、溶融金属が表面につくドロップレットによって面が粗くなっているのでラップ仕上げを施した。
上記のような基材表面を持つ円板状テストピースを洗浄し、PVD装置のスパッタリング法によりAr雰囲気中で成膜を行った。比較のために同様のテストピースにおいて、アークイオンプレーティング法により水素フリーの非晶質硬質炭素被膜の成膜を行った。アークプレーティング法で成膜した硬質炭素被膜は、溶融金属が表面につくドロップレットによって面が粗くなっているのでラップ仕上げを施した。
(摩擦摩耗試験方法)
試験条件は、エンジンオイル5W30SM、油温80℃、面圧0.7GPa、すべり速度0.03m/sとして、ピン・オン・ディスク法により摩擦係数を求めた。相手材にはSUJ2の軸受鋼を用いた。
試験条件は、エンジンオイル5W30SM、油温80℃、面圧0.7GPa、すべり速度0.03m/sとして、ピン・オン・ディスク法により摩擦係数を求めた。相手材にはSUJ2の軸受鋼を用いた。
(測定結果)
表2に、摩擦係数の測定結果を示す。
表2に、摩擦係数の測定結果を示す。
図4は、基材の表面粗さRyと摩擦係数μの相関を示す図である。図4から、アークイオンプレーティング法により成膜した硬質炭素被膜では、基材の表面粗さが減少になるにつれてほぼ線形に摩擦係数が減少していることがわかる。これは、一般的に表面粗さを平滑にすることで潤滑状態を改善し、直接接触(メタルコンタクト)を減らすことにより摩擦係数が低下したものと考えられる。
一方、スパッタリング法により成膜した硬質炭素被膜では、ある一定値までの面粗さの向上(減少)では、摩擦係数の減少の傾向は見られず、バフ研磨による長時間研磨(実施例1)において摩擦係数が大きく減少することがわかった。
このようなスパッタリング法による硬質炭素被膜の摩擦係数の大幅な低下は、表面粗さを平滑にすることで潤滑状態を改善し、直接接触(メタルコンタクト)を減らす効果だけでは説明できず、他の摩擦係数減少メカニズムが寄与していると考えられる。
図5は、バフ研磨仕上げにより長時間研磨した基材(実施例1)の表面に成膜した硬質炭素被膜のラマンマッピング像を示す図である。ここでは、励起波長532nmを用いたレーザーラマン分光分析装置でラマンスペクトル測定を行った。
物質にある波長のレーザー光を照射すると、レーザー光と同じ波長の光(レイリー光)以外に、波長が少しずれた光(ラマン光)が僅かながら散乱され、当該ずれは物質に特有であることが知られている。この波長のずれは物質中の分子の振動にもとづくものであり、この現象を利用して化学分析や分子構造の決定を行うのがラマン分光法である。
図7は、ラマンスペクトル測定データをGバンドおよびDバンドの2つのラマンバンドに分離したラマンスペクトルデータの一例を示す図である。1550cm−1付近のピーク(Gピーク)の強度をGバンドのピーク強度IG、1350cm−1付近のピーク(Dピーク)の強度をDバンドのピーク強度IDとした場合、R値(Dピーク/Gピーク相対強度比)は、R値=ID/IGで求められる。
図5のラマンマッピング像は、基材(実施例1)の表面に成膜した硬質炭素被膜のR値を二次元的にマッピングした像である。
R値が直接sp2結合とsp3結合の含有率を表すわけではないが、R値を用いて、相対的な含有量の順位付けを行うことができる。すなわち、一般にR値が小さいほど、sp3結合が多くなり、潤滑油の親水性成分の吸着が硬質炭素被膜全面に渡って均一に行われることになる。これにより、摩擦係数が減少し、耐摩耗性が向上する。ラマンマッピング像では、R値が大きいほど輝度が高くなる。図5では、輝度は全面ほぼ一様で、R値=1.2であり、硬質炭素被膜の全面がほぼ均一な構造となっていることがわかる。
図6は、超仕上げを施した基材(比較例3)の表面に成膜した硬質炭素被膜のラマンマッピング像を示す図である。図6において直線状に伸びる傷部では、輝度が高くR値=1.6となり、平坦部のR値=1.2に比べてsp2結合リッチな構造となることがわかった。つまり、基材の表面粗さRy(最大高さ)が大きくなるような基材の凹凸部や傷部では、炭素原子の堆積に乱れが生じ、平坦部に比べてsp2リッチな構造ができる。このため、潤滑油が吸着しにくくなり、それほど摩擦係数が低下しないと推察される。
以上のことから、基材の表面粗さをRy(最大高さ)で規定することにより、スパッタリング法による硬質炭素被膜の構造の変化を制御できることがわかる。そして、基材表面のRy(最大高さ)が0.1μm以下となるとき、この値を閾値として摩擦係数は大きく下がり、アークイオンプレーティング法で得られる摩擦係数の目標値0.07を下回ることがわかった。
なお、前述したように、超仕上げを施した基材(比較例3)のコーティング前の表面粗さは、Ra(算術平均粗さ)では、バフ研磨仕上げの長時間研磨を施した基材(実施例1)と大差ない値であった。したがって、スパッタリング法による硬質炭素被膜の形成においては、基材の表面粗さをRy(最大高さ)で規定することが重要であることがわかる。
1 摺動部材、
2 基材、
3 硬質炭素被膜。
2 基材、
3 硬質炭素被膜。
Claims (4)
- 基材と、
前記基材の表面にコーティングされた硬質炭素被膜とを有し、
前記基材の表面粗さはRy(最大高さ)で0.1μm以下であり、
前記硬質炭素被膜はスパッタリング法により成膜されていることを特徴とする自動車部品用摺動部材。 - 硬質炭素被膜の水素原子濃度が0.5原子%以下であることを特徴とする請求項1に記載の自動車部品用摺動部材。
- 自動車エンジンの動弁系部品に適用されることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車部品用摺動部材。
- 自動車部品用摺動部材の基材の表面粗さをRy(最大高さ)で0.1μm以下に仕上げる工程と、
表面仕上げが施された前記基材の表面に硬質炭素被膜をスパッタリング法によりコーティングする工程と、
を有することを特徴とする自動車部品用摺動部材の製造方法。
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JP2009051553A JP2010202945A (ja) | 2009-03-05 | 2009-03-05 | 自動車部品用摺動部材およびその製造方法 |
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2009
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