JP2010198690A - ガラスブランク、ガラスブランクの製造方法、情報記録媒体用基板の製造方法、および、情報記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円板状の厚肉部10と、厚肉部10の周囲を囲むように設けられたリング状で、厚肉部10より肉厚が薄い薄肉部20と、を有し、厚肉部10が、薄肉部20の少なくとも一方の面に対して凸を成すように設けられたガラスブランク1において、薄肉部20と厚肉部10とが段差を成すように形成された側の面において、薄肉部20の平面部分22から厚肉部10の最頂部12へと続く傾斜面が、平面部分22と連続する面を成す曲面14を有することを特徴とするガラスブランク1。
【選択図】図2
Description
本発明のガラスブランクは、円板状の厚肉部と、その厚肉部の周囲を囲むように設けられたリング状で、厚肉部より肉厚が薄い薄肉部と、を有し、厚肉部が、薄肉部の少なくとも一方の面に対して凸を成すように設けられたガラスブランクにおいて、薄肉部と厚肉部とが段差を成すように形成された側の面において、薄肉部の平面部分から厚肉部の最頂部へと続く傾斜面が、平面部分と連続する面を成す曲面を有することを特徴とする。
・式(1) 0.5×Rb≦R≦Rb
〔式(1)中、Rは、曲面の曲率半径を表す。また、Rbは、ガラスブランクを直径方向に切断した断面において、厚肉部の最頂部の最外周側の第1の点、および、薄肉部の平面部分と一致する面における厚肉部の最外周側の第2の点、を結ぶ直線を2等分するように直交する第1の直線と、第2の点を通り、且つ、平面部分に対して直交する第2の直線との交点から、第2の点までの最短距離を意味する。〕
−ガラスブランク−
本実施形態のガラスブランクは、円板状の厚肉部と、その厚肉部の周囲を囲むように設けられたリング状で、厚肉部より肉厚が薄い薄肉部と、を有し、厚肉部が、薄肉部の少なくとも一方の面に対して凸を成すように設けられたガラスブランクにおいて、薄肉部と厚肉部とが段差を成すように形成された側の面において、薄肉部の平面部分から厚肉部の最頂部へと続く傾斜面が、平面部分と連続する面を成す曲面を有することを特徴とする。したがって、本実施形態のガラスブランクは、中心部に肉厚が厚い厚肉部を有していても、厚肉部以外の部分の薄肉化が容易で、かつ、プレス後にクラックが発生するのを抑制することができる。
・式(1) 0.5×Rb≦R≦Rb
ここで、式(1)中、Rは、曲面の曲率半径を表す。また、Rbは、ガラスブランクを直径方向に切断した断面において、厚肉部の最頂部の最外周側の第1の点、および、薄肉部の平面部分と一致する面における厚肉部の最外周側の第2の点、を結ぶ直線を2等分するように直交する第1の直線と、第2の点を通り、かつ、平面部分に対して直交する第2の直線との交点から、第2の点までの最短距離を意味する。
次に本実施形態のガラスブランクの具体例について図面により説明する。図2は、本実施形態のガラスブランクの一例を示す模式断面図であり、具体的には、ガラスブランクを、その直径方向で切断した際の断面図である。なお、図2に示す断面図は、ガラスブランク1のどの方向の直径で切断しても同じものとなる。図2に示すガラスブランク1は、円板状の厚肉部10と、厚肉部10の周囲を囲むリング状(円輪状)の薄肉部20と、を有している。厚肉部10は薄肉部20より肉厚が厚くされ、薄肉部20の中心部に、薄肉部20の一方の面に対して凸を成すように設けられている。なお、他方の面は、全て面一となっている。そして、薄肉部20の平面部分22から厚肉部10の最頂部12へと続く傾斜面が、平面部分22と連続する面を成す曲面14を有している。なお、平面部分22から厚肉部10の最頂部12へと続く傾斜面は、図3(A)に示すように全面が曲面14のみから構成されていてもよいが、図3(B)に示すように、平面部分22側のみが曲面16Aから構成され、厚肉部10の最頂部12側は平面16Bから構成されていてもよい。
上述した本実施形態のガラスブランクは、上型および下型の少なくとも一方の型として、プレス成形時に軟化状態のガラスと接触し、中央部に略円形状の凹部を有するプレス面を備え、少なくとも凹部外側の平面部分から凹部の底部へと続く傾斜面が、平面部分と連続する面を成す曲面を有する型を用い、軟化状態のガラスを下型の上に供給した後、上型と下型との間で軟化状態のガラスをプレス成形するプレス工程を少なくとも経て、作製することができる。
本実施形態のガラスブランクのガラス組成としては、これを用いて作製される基板や情報記録媒体に応じて適宜選択できるが、たとえば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラスなどを挙げることができる。また、これらのガラスは加熱処理により結晶化する結晶化ガラスであってもよい。
上述した工程を経て得られたガラスブランクを、その中心部に設けられた厚肉部を含むように、ガラスブランクの中央部を切断して中心穴を形成する中心穴形成工程(以下、「コアリング」と称す場合がある)を少なくとも経て、情報記録媒体用基板を作製することができる。なお、厚肉部は、ダイヤモンドカッタを用いて切断することができる。なお、通常は、中心穴形成工程の他に、端面加工等の形状加工や両面の研磨加工等の後工程を実施することにより情報記録媒体用基板を得ることができる。情報記録媒体用基板は、具体的には、たとえば、(1)第1ラッピング工程、(2)切り出し工程(コアリング、フォーミング)、(3)端面研削工程、(4)第2ラッピング工程、(5)端面研磨工程、(6)主表面研磨工程、(7)化学強化工程および冷却工程、(8)精密洗浄工程、をこの順に実施することできる。以下、これら8つの工程についてより具体的に説明する。なお、基板の直径よりも十分大きな直径を有する円盤状ガラスをプレス成形し、スクライビング加工により円盤状ガラスから同心円状の円盤状ガラスを取り出し、取り出した円盤状ガラスを上記(1)から(8)に至る工程によって情報記録媒体用基板を作製することもできる。
第1ラッピング工程では、厚肉部を切断された後のガラスブランクの両主表面をラッピング加工することで、ディスク状のガラス素板を得る。このラッピング加工は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置により、アルミナ系遊離砥粒を用いて行うことができる。具体的には、ガラス素板の両面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液をガラス素板の主表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工を行うことができる。このラッピング加工により、平坦な主表面を有するガラス素板が得られる。
次に、ダイヤモンドカッタを用いてガラス素板を切断し、このガラス素板から、円盤状のガラス基板を切り出す。次に、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、このガラス基板の中心部に円孔を形成し、ドーナツ状のガラス基板を得る(コアリング)。
そして内周端面および外周端面をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を施す(フォーミング)。
次に、得られたガラス基板の両主表面について、第1ラッピング工程と同様に、第2ラッピング加工を行う。この第2ラッピング工程を行うことにより、前工程である切り出し工程や端面研磨工程において主表面に形成された微細な凹凸形状を予め除去しておくことができ、後続の主表面に対する研磨工程を短時間で完了させることができる。
次に、ガラス基板の端面について、ブラシ研磨方法により、鏡面研磨を行う。このとき、研磨砥粒としては、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いることができる。この端面研磨工程により、ガラス基板の端面から、パーティクル等の発塵を防止できる。
主表面研磨工程として、まず第1研磨工程を実施する。この第1研磨工程は、前述のラッピング工程において主表面に残留したキズや歪みの除去を主たる目的とする。この第1研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、硬質樹脂ポリッシャを用いて、主表面の研磨を行う。研磨液としては、たとえば、酸化セリウム砥粒を用いることができる。そして、この第1研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、IPA(イソプロピルアルコール)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄する。
情報記録媒体用基板の作製に用いるガラスブランクが、リチウムやナトリウムなどのアルカリ金属を含むガラスからなる場合は、前述のラッピング工程及び研磨工程を終えたガラス基板に、化学強化を施すのが好ましい。化学強化工程を行うことにより、情報記録媒体用基板の表層部に高い圧縮応力を生じさせることができる。このため、情報記録媒体用基板の表面の耐衝撃性を向上させることができる。このような化学強化処理は、情報を記録再生するヘッドが、機械的に情報記録媒体表面に接触する可能性のある磁気記録媒体を作製する上で非常に好適である。
次に、研磨剤残渣や外来の鉄系コンタミなどを除去し、ガラス基板の表面をより平滑かつ清浄にするために、精密洗浄工程を実施するのが好ましい。このような精密洗浄工程の実施は、情報を記録再生するヘッドが、機械的に情報記録媒体表面に接触する可能性のある磁気記録媒体を作製する上で非常に好適である。精密洗浄の実施によりヘッドクラッシュやサーマルアスペリティの発生を抑制できるためである。なお、精密洗浄工程としては、アルカリ性水溶液による洗浄の後に、水リンス洗浄、IPA洗浄工程を行うようにしてもよい。
このようにして得られた情報記録媒体用基板の少なくとも片面に、情報記録層を形成する情報記録層形成工程を少なくとも経ることで、情報記録媒体を製造することができる。なお、磁気記録媒体を作製する場合は、情報記録層として磁気記録層が設けられる。この磁気記録媒体は、水平磁気記録方式および垂直磁気記録方式のいずれであってもよいが、垂直磁気記録方式であることが好ましい。垂直磁気記録方式の磁気記録媒体を作製する場合は、たとえば、情報記録媒体用基板の両面に、Cr合金からなる付着層、FeCoCrB合金からなる軟磁性層、Ruからなる下地層、CoCrPt−TiO2合金からなる垂直磁気記録層、水素化炭素からなる保護層、パーフルオロポリエーテルからなる潤滑層を、この順に順次成膜することができる。なお、付着層、軟磁性層、下地層、垂直磁気記録層は、スパッタリング法により成膜することができ、保護層は、スパッタリング法やCVD法(Chemical Vapor Deposition法)により成膜することができ、潤滑層は浸漬塗布法により成膜することができる。また、付着層から保護層までの成膜は、各層の連続成膜が可能なインライン型または枚葉型のスパッタリング装置を用いることができ、潤滑層の成膜は浸漬塗布装置を用いることができる。
アルミノシリケートガラスを溶融した溶融ガラスを、下型のプレス面上に供給した後、上型と下型とによりサイドフリー方式でプレスすることにより断面形状が図2に示す形状を有するガラスブランクを1000枚作製した。得られたガラスブランクの各部の寸法を表1に示す。なお、このガラスブランクの作製に際しては、下型として、プレス面の中央部に、表1に示すガラスブランクの厚肉部の寸法形状に対応する形状を有する凹部を備えた下型を用いた。ガラスブランクを作製する際の主要な製造条件は以下の通りである。
・ガラス転移温度Tg:485℃
・ガラスの平均線膨張係数:95×10−7/K(100〜300℃)、98×10−7/K(300〜Tg℃)、37×10−6/K(Tg〜530℃)、
・溶融ガラスを下型のプレス面上に供給する際のプレス面の温度:500℃
・プレス時の上型プレス面の温度:450℃
・下型上に投入される溶融ガラスの粘度:40Pa・s
・プレス時間(ガラスに圧力を加える時間):1秒ないしそれ以下
・上型および下型のプレス面を構成する材料:鋳鉄
・下型からガラスブランクをテイクアウトする際のガラスブランクの温度:約520℃
・テイクアウト後のガラスブランクの放置環境:歪点温度前後に保持した徐冷炉に投入し、所定時間温度保持した後に室温まで徐冷
厚肉部と薄肉部との段差部分の傾斜面を、曲面ではなく実質的に平面とした以外は、図2と同様の寸法形状を有するガラスブランクを作製した。具体的には、表1に示す寸法形状のガラスブランクが得られるようにプレス面中央部に凹部を設けた下型を用い、プレス時の圧力を実施例1のガラスブランクの薄肉部と同じ厚みのガラスブランクが得られるように調整した以外は、実施例1と同様にしてガラスブランクを200枚作製した。なお、本明細書において、「傾斜面が実質的に平面」とは、曲率半径Rが0.1mm以下を意味する。
表1に示すように傾斜角θを変えた以外は比較例1と同様にしてガラスブランクを200枚作製した。
各実施例、比較例において、各々200枚のガラスブランクを作製した際のクラック発生枚数(クラックにより割れが生じたものも含む)を評価した結果を表1に示す。また、これらの結果と共に、実施例1においてプレスする際のプレス推力を100とした際の比較例1および比較例2における相対的なプレス推力も示す。
10 厚肉部
12 最頂部
14 曲面
16A 曲面
16B 平面
20 薄肉部
22 平面部分
30 第二の厚肉部
32 最頂部
34 曲面
Claims (7)
- 円板状の厚肉部と、
該厚肉部の周囲を囲むように設けられたリング状で、上記厚肉部より肉厚が薄い薄肉部と、を有し、
上記厚肉部が、上記薄肉部の少なくとも一方の面に対して凸を成すように設けられたガラスブランクにおいて、
上記薄肉部と上記厚肉部とが段差を成すように形成された側の面において、上記薄肉部の平面部分から上記厚肉部の最頂部へと続く傾斜面が、上記平面部分と連続する面を成す曲面を有することを特徴とするガラスブランク。 - 前記曲面は、その断面の輪郭線が、真円状の曲線、楕円状の曲線、放物線および双曲線から選択されるいずれか1つの曲線の一部であり、
前記平面部分は上記曲線の接線となり、且つ、
前記平面部分と前記曲面との境界が、上記接線の接点であることを特徴とする請求項1に記載のガラスブランク。 - 前記曲面は、その断面の輪郭線が、真円状の曲線の一部であり、
前記曲面の曲率半径が、下式(1)を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガラスブランク。
・式(1) 0.5×Rb≦R≦Rb
〔式(1)中、Rは、前記曲面の曲率半径を表す。また、Rbは、ガラスブランクを直径方向に切断した断面において、前記厚肉部の最頂部の最外周側の第1の点、および、前記薄肉部の平面部分と一致する面における前記厚肉部の最外周側の第2の点、を結ぶ直線を2等分するように直交する第1の直線と、上記第2の点を通り、かつ、前記平面部分に対して直交する第2の直線との交点から、上記第2の点までの最短距離を意味する。〕 - 前記厚肉部が、前記薄肉部の一方の面に対してのみ凸を成すように、前記薄肉部の中心部に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のガラスブランク。
- 上型および下型の少なくとも一方の型として、プレス成形時に軟化状態のガラスと接触し、中央部に略円形状の凹部を有するプレス面を備え、少なくとも上記凹部外側の平面部分から上記凹部の底部へと続く傾斜面が、上記平面部分と連続する面を成す曲面を有する型を用い、
軟化状態のガラスを下型の上に供給した後、上型と上記下型との間で上記軟化状態のガラスをプレス成形するプレス工程を少なくとも経て、ガラスブランクを作製することを特徴とするガラスブランクの製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載のガラスブランク、および、請求項5に記載のガラスブランクの製造方法により作製されたガラスブランク、から選択されるガラスブランクの中心部に設けられた厚肉部を含むように、上記ガラスブランクの中央部を切断して中心穴を形成する中心穴形成工程を少なくとも経て、情報記録媒体用基板を作製することを特徴とする情報記録媒体用基板の製造方法。
- 請求項6に記載の情報記録媒体用基板の製造方法により作製された情報記録媒体用基板
の少なくとも片面に情報記録層を形成する情報記録層形成工程を少なくとも経て、情報記録媒体を製造することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
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