本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。本実施形態では、図1に示すように、投影光学系PLに対してマスクMおよびプレートPを相対移動させつつマスクMのパターンをプレートPに投影露光(転写)する走査型の露光装置に対して本発明を適用している。図1では、感光性基板としてのプレートPの転写面(感光面;被露光面)の法線方向にZ軸を、プレートPの転写面に平行な面内において図1の紙面に平行な方向にY軸を、プレートPの転写面に平行な面内において図1の紙面に垂直な方向にX軸を設定している。
本実施形態の露光装置は、マスクMのパターン領域を照明する照明光学系ILと、マスクMを保持して移動するマスクステージMSと、マスクMのパターンの拡大像をプレートP上に形成する投影光学系PLと、プレートPを保持して移動する基板ステージPSと、マスクステージMSおよび基板ステージPSを駆動するステージ駆動系DRと、ステージ駆動系DR等の動作を統括的に制御する主制御系CRとを備えている。プレートPは、液晶表示素子製造用のフォトレジスト(感光材料)が塗布された矩形状で平板状のガラスプレートである。
照明光学系ILには、光源LSから露光用の照明光(露光光)が供給される。露光光として、例えば、超高圧水銀ランプの射出光から選択されたi線(波長365nm)の光、YAGレーザの3倍高調波(波長355nm)よりなるパルス光、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などを用いることができる。照明光学系ILは、光の入射順に、コリメータレンズ20、フライアイレンズ21、コンデンサー光学系22、可変視野絞りとしてのマスクブラインド23、照明結像光学系24(24a,24b)などを備えている。
光源LSから射出された光は、照明光学系ILを介して、マスクM上に照明領域IRを照明する。照明領域IRは、X方向に沿って細長く延びる所定の外形形状を有する。マスクMの照明領域IRからの光は、投影光学系PLを介して、第1結像領域(第1投影領域)ER1に照明領域IR内のパターンの第1投影像を形成し、第1結像領域ER1からY方向に間隔を隔てた第2結像領域(第2投影領域)ER2に照明領域IR内のパターンの第2投影像を形成する。すなわち、投影光学系PLは、パターンの第1投影像が形成された第1結像領域ER1およびパターンの第2投影像が形成された第2結像領域ER2を、プレートP上においてY方向に間隔を隔てて形成する。
投影光学系PLは、マスクM側およびプレートP側にテレセントリックであり、マスクM側からプレートP側へ拡大倍率を有する。結像領域ER1,ER2の形状は、照明領域IRの形状を投影光学系PLの投影倍率βで拡大した形状である。以下、説明の理解を容易にするために、照明領域IRはX方向に沿って細長く延びる矩形状の領域であるものとする。この場合、後述するように、第1結像領域ER1および第2結像領域ER2は、照明領域IRの長手方向であるX方向と直交するY方向に沿って細長く延びる矩形状の領域になる。ただし、照明領域IRの形状、ひいては結像領域ER1,ER2の形状は、照明光学系IL中のマスクブラインド23の可変開口部(光透過部)の形状に応じて可変的に設定される。
マスクMは、マスクホルダ(不図示)を介して、マスクステージMS上に吸着保持されている。マスクステージMS上には、周知の構成を有するマスク側レーザ干渉計(不図示)が配置されている。マスク側レーザ干渉計は、マスクステージMSのX方向の位置、Y方向の位置、およびZ軸廻りの回転角を計測し、計測結果を主制御系CRに供給する。主制御系CRは、その計測値に基づいて、ステージ駆動系DRを介して、マスクステージMSのX方向の位置、走査方向としてのY方向の位置および速度、並びにZ軸廻りの回転角を制御する。
プレートPは、基板ホルダ(不図示)を介して、基板ステージPS上に吸着保持されている。基板ステージPSには、周知の構成を有する基板側レーザ干渉計(不図示)が配置されている。基板側レーザ干渉計は、基板ステージPSのX方向の位置、Y方向の位置、およびZ軸廻りの回転角を計測し、計測結果を主制御系CRに供給する。主制御系CRは、その計測値に基づいて、ステージ駆動系DRを介して、基板ステージPSの走査方向としてのX方向および速度、Y方向の位置、並びにZ軸廻りの回転角を制御する。走査露光時には、マスクステージMSがY方向に速度V/βで駆動されるのに同期して、基板ステージPSはX方向に速度Vで駆動される。
図2は、本実施形態にかかる投影光学系の構成を概略的に示す図である。図2を参照すると、投影光学系PLは、マスクMのパターン領域において照明領域IRにより照明されたパターンの第1中間像I1および第2中間像I2を形成する中間結像光学系GMと、第1中間像I1からの光に基づいてプレートP上の第1結像領域ER1にパターンの第1投影像を形成する第1結像光学系G1と、第2中間像I2からの光に基づいてプレートP上の第2結像領域ER2にパターンの第2投影像を形成する第2結像光学系G2とを有する。
すなわち、中間結像光学系GMは、マスクMのパターン領域の位置と第1中間像I1の形成位置および第2中間像I2の形成位置とを光学的に共役にしている。第1結像光学系G1は、第1中間像I1の形成位置と第1結像領域ER1の位置とを光学的に共役にしている。第2結像光学系G2は、第2中間像I2の形成位置と第2結像領域ER2の位置とを光学的に共役にしている。
マスクMは、そのパターン領域が投影光学系PLの物体面OBJにほぼ一致するようにマスクステージMS上に配置される。プレートPは、その表面(感光面)が投影光学系PLの像面IMGにほぼ一致するように基板ステージPS上に配置される。中間結像光学系GMは、照明領域IRにより照明されたパターン領域からの光が入射する正レンズ群Lpと、正レンズ群Lpからの光を正レンズ群Lpの光軸AXpを挟んで互いに異なる方向に進む第1の光と第2の光とに分割し且つ第1の光および第2の光を正レンズ群Lpに向けて反射する分割反射部10とを有する。分割反射部10の具体的な構成および作用については後述する。
中間結像光学系GMと第1結像光学系G1との間の光路中には、光の入射順に、第1偏向部材M1、第2偏向部材M2、および第3偏向部材M3が配置されている。中間結像光学系GMと第2結像光学系G2との間の光路中には、光の入射順に、第4偏向部材M4、第5偏向部材M5、および第6偏向部材M6が配置されている。偏向部材M1〜M6は、例えば平面状の反射面を有する反射鏡である。以下、投影光学系PLの構成の理解を容易にするために、照明領域IRから光軸AXpに沿って射出される光L1に着目して、偏向部材M1〜M6の作用を説明する。
図2および図3を参照すると、照明領域IRから光軸AXpに沿って射出された光L1は、正レンズ群Lpを経て分割反射部10により反射され、図2の紙面において斜め左上の向き(第1の向き)に進む第1の光L11と斜め右上の向き(第2の向き)に進む第2の光L12とに分割される。分割反射部10により反射された第1の光L11は、正レンズ群Lpを経た後に+Z方向に沿って偏向部材M1に入射し、偏向部材M1により−Y方向に偏向される。
偏向部材M1により−Y方向に偏向された第1の光L11は、第1中間像I1として、例えばマスクパターンのほぼ等倍の像を形成する。第1中間像I1から−Y方向に沿って進む第1の光は、図3に示すように、偏向部材M2により+X方向に偏向され、偏向部材M3により−Z方向に偏向された後、第1結像光学系G1を介して、プレートP上の第1結像領域ER1に達する。Y方向に沿って細長い矩形状の第1結像領域ER1には、第1投影像として、マスクパターンの拡大像が形成される。なお、図3では、正レンズ群Lpのうち、最もマスク側に配置されたレンズLP1だけを示している。
一方、分割反射部10により反射された第2の光L12は、正レンズ群Lpを経た後に+Z方向に沿って偏向部材M4に入射し、偏向部材M4により+Y方向に偏向される。偏向部材M4により+Y方向に偏向された第2の光L12は、第2中間像I2として、第1中間像I1と同様にマスクパターンのほぼ等倍の像を形成する。第2中間像I2から+Y方向に沿って進む第2の光は、図3に示すように、偏向部材M5により−X方向に偏向され、偏向部材M6により−Z方向に偏向された後、第2結像光学系G2を介して、プレートP上の第2結像領域ER2に達する。Y方向に沿って細長い矩形状の第2結像領域ER2には、第2投影像として、マスクパターンの拡大像が形成される。
第1投影像および第2投影像は、投影光学系PLの投影倍率βでマスクパターンを拡大した形状を有し、図3に明瞭に示すように、Z軸廻りに−90度回転させた姿勢で形成される。すなわち、第1投影像と第2投影像とは、互いに同じ形状および同じ大きさを有する。そして、マスクM上のパターンのうちY方向(X方向)に沿って設けられたラインパターンからの光に基づいて、X方向(Y方向)に沿ったラインパターン像がプレートP上に形成される。
ここで、図4に示すように、照明領域IRから光軸AXpに沿って射出されて第3偏向部材M3により−Z方向に偏向される光線の位置C1と第1結像光学系G1の光軸AX1とを一致させ、且つ照明領域IRから光軸AXpに沿って射出されて第6偏向部材M6により−Z方向に偏向される光線の位置C2と第2結像光学系G2の光軸AX2とを一致させると、第1結像領域ER1と第2結像領域ER2とはY方向に整列することなくX方向に沿って互いに位置ずれして形成される。
ただし、図5に示すように、光線の位置C1よりも−X方向側に所定距離Dだけ離れた位置に第1結像光学系G1の光軸AX1を設定し、且つ光線の位置C2よりも+X方向側に所定距離Dだけ離れた位置に第2結像光学系G2の光軸AX2を設定することにより、第1結像領域ER1と第2結像領域ER2とをY方向に整列させることができる。なお、図4および図5において、破線の円IF0は投影光学系PLの入射側視野を、破線の円IF1,IF2は結像光学系G1,G2の入射側視野を、破線の円EF1,EF2は結像光学系G1,G2の射出側視野を示している。
以下、走査露光の説明の理解を容易にするために、本実施形態では、図5に示す構成にしたがって、第1結像領域ER1と第2結像領域ER2とがY方向に整列して形成されるものとする。また、矩形状の第1結像領域ER1と矩形状の第2結像領域ER2とのY方向に沿った間隔は、各結像領域ER1,ER2の長辺の長さ(Y方向に沿った寸法)と一致しているものとする。
分割反射部10は、図6に示すように、正レンズ群Lpの焦点位置またはその近傍に配置された複数の第1反射部10aと複数の第2反射部10bとを有する。第1反射部10aと第2反射部10bとは、正レンズ群Lpに向かって凹面状の曲面(例えば球面)に沿って配列され、Y方向に沿って交互に設けられている。あるいは、第1反射部10aと第2反射部10bとは、XY平面に平行な面に沿って配列され、Y方向に沿って交互に設けられている。第1反射部10aは例えば平面状の反射面を有し、その反射面から外側に延びる法線は図6中斜め左上に向いている。第2反射部10bは例えば平面状の反射面を有し、その反射面から外側に延びる法線は図6中斜め右上に向いている。
したがって、正レンズ群Lpの光軸(ひいては中間結像光学系GMの光軸)AXpと平行に第1反射部10aに入射した光は、その反射面によって図6中斜め左上に向かって反射される。複数の第1反射部10aにより反射された光は、上述の第1の光となり、正レンズ群Lpおよび第1偏向部材M1を経て第1中間像I1を形成する。一方、光軸AXpと平行に第2反射部10bに入射した光は、その反射面によって図6中斜め右上に向かって反射される。複数の第2反射部10bにより反射された光は、上述の第2の光となり、正レンズ群Lpおよび第4偏向部材M4を経て第2中間像I2を形成する。すなわち、分割反射部10において、複数の第1反射部10aは正レンズ群Lpから入射した光を第1の向き(図6中斜め左上の向き)に反射して第1の光を生成し、複数の第2反射部10bは第2の向き(図6中斜め右上の向き)に反射して第2の光を生成する。
なお、分割反射部10の複数の反射部10a,10bは、正レンズ群Lpの焦点位置またはその近傍(すなわち投影光学系PLの瞳位置またはその近傍)に配置され、ひいては照明光学系IL中のフライアイレンズ21の後側焦点位置(すなわち照明光学系ILの照明瞳の位置)と光学的に共役な位置またはその近傍に配置されている。フライアイレンズ21は、図7の上側の図に示すように、たとえば縦横に且つ稠密に配列された複数の正屈折力を有するレンズ要素21aからなる光学素子である。各レンズ要素21aは、X方向に細長い矩形状の照明領域IRに対応して、同じくX方向に細長い矩形状の断面形状を有する。各レンズ要素21aの矩形状の入射面は、波面分割型のオプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ21の単位波面分割面を構成している。
フライアイレンズ21に入射した光束は、複数のレンズ要素21aにより二次元的に分割され、各レンズ要素21aの後側焦点面(ひいてはフライアイレンズ21の後側焦点面)またはその近傍にそれぞれ1つの光源21bを形成する。本実施形態の露光装置では、フライアイレンズ21の後側焦点面またはその近傍の照明瞳に形成された複数の光源21bからなる実質的な面光源を二次光源として、照明光学系ILの被照射面(投影光学系PLの物体面)に配置されるマスクM(ひいては投影光学系PLの像面に配置されるプレートP)をケーラー照明する。
こうして、正レンズ群Lpの焦点位置またはその近傍に配置された分割反射部10の複数の反射部10a,10bの反射面上には、複数の光源21bの像が形成される。分割反射部10の反射部10a,10bにおける反射効率を高めるには、各反射部10a,10bの反射面上にX方向に1列に並んだ複数の光源21bの像が形成されるように構成することが望ましい。換言すれば、照明光学系ILは、分割反射部10の位置と光学的に共役な位置である照明瞳の位置に、複数の第1反射部10aおよび複数の第2反射部10bの配置に対応させて複数の光源21bを形成することが望ましい。また、別の表現をすれば、反射部10a,10bは、光源21bの反射部10a,10b上における共役像を包含する大きさの反射領域を有することが望ましい。なお、上述した投影光学系PLの瞳位置とは、投影光学系PLの射出瞳(入射瞳)と共役な位置に相当し、上述した照明光学系ILの照明瞳の位置とは、照明光学系ILの射出瞳(入射瞳)と共役な位置に相当する。
以下、図8および図9を参照して、プレートP(図9では不図示)上のショット領域SRに対する走査露光の動作を説明する。図8および図9では、走査露光動作の一例として、マスクM上の第1パターン領域PA1のパターンをプレートP上のショット領域SR内の第1区画領域SR1に走査露光し、第2パターン領域PA2のパターンを第2区画領域SR2および第4区画領域SR4に同時に走査露光し、第2パターン領域PA2のパターンを第3区画領域SR3および第5区画領域SR5に同時に走査露光し、第3パターン領域PA3のパターンを第6区画領域SR6に走査露光する例を示している。
図8を参照すると、マスクM上には、Y方向に沿って細長く延びる3つの矩形状のパターン領域PA1〜PA3が設けられている。第1パターン領域PA1および第3パターン領域PA3には、例えば液晶表示パネルの周辺部(ドライブ回路など)に対応するパターンが形成されている。また、第2パターン領域PA2には、例えば液晶表示パネルの画素に対応するパターンが形成されている。
図9を参照すると、プレートP上のショット領域SRは、X方向に沿って細長く延びる6つの矩形状の区画領域SR1〜SR6に仮想的に区分される。ここで、第1区画領域SR1および第6区画領域SR6は、周辺部に対応するパターンが形成されるべき露光領域である。また、第2区画領域SR2〜第5区画領域SR5は、表示部の画素に対応する繰り返しパターンが形成されるべき露光領域である。
本実施形態では、矩形状の照明領域IRの+X方向側の辺を矩形状の第1パターン領域PA1の+X方向側の辺にほぼ一致させた状態で、照明領域IRが第1パターン領域PA1の+Y方向側の端部に位置する始動位置から−Y方向側の端部に達する終了位置まで、図8中の矢印F11にしたがって第1パターン領域PA1が照明領域IRによって走査されるように、マスクM(ひいてはマスクステージMS)を+Y方向に向かって所要の速度で移動させる。
マスクMの+Y方向への移動に同期して、矩形状の第1結像領域ER1の+Y方向側の辺を矩形状の第1区画領域SR1の+Y方向側の辺にほぼ一致させた状態で、第1結像領域ER1が第1区画領域SR1の−X方向側の端部に位置する始動位置から+X方向側の端部に達する終了位置まで、図9中の矢印F21にしたがって第1区画領域SR1が第1結像領域ER1によって走査されるように、プレートP(ひいては基板ステージPS)を−X方向に向かって所要の速度で移動させる。このとき、例えば第2中間像I2の形成位置またはその近傍の光路中に第2シャッター(不図示)を挿入して結像光束を遮ることにより、第2結像領域ER2(図9中では破線で図示)が第3区画領域SR3上に形成されないようにすることが必要である。こうして、第1パターン領域PA1のパターンが第1区画領域SR1に転写される。
次いで、照明領域IRが第1パターン領域PA1の−Y方向側の端部から第2パターン領域PA2の−Y方向側の端部へ移動するように、マスクMを−X方向へステップ移動させる。また、第1結像領域ER1が第1区画領域SR1の+X方向側の端部から第2区画領域SR2の+X方向側の端部へ移動するように、プレートPを−Y方向へステップ移動させる。さらに、光路から第2シャッターを退避させることにより、第4区画領域SR4の+X方向側の端部に矩形状の第2結像領域ER2を形成する。そして、照明領域IRのX方向側の両辺を第2パターン領域PA2のY方向側の両辺にほぼ一致させた状態で、第2パターン領域PA2の−Y方向側端部の始動位置から+Y方向側端部の終了位置まで、図8中の矢印F12にしたがって第2パターン領域PA2が照明領域IRによって走査されるように、マスクMを−Y方向に向かって所要の速度で移動させる。
マスクMの−Y方向への移動に同期して、第1結像領域ER1のY方向側の両辺を第2区画領域SR2のY方向側の両辺にほぼ一致させ、ひいては第2結像領域ER2のY方向側の両辺を第4区画領域SR4のY方向側の両辺にほぼ一致させた状態で、区画領域SR2,SR4の+X方向側端部の始動位置から−X方向側端部の終了位置まで、図9中の矢印F22にしたがって第2区画領域SR2が第1結像領域ER1によって走査され且つ第4区画領域SR4が第2結像領域ER2によって走査されるように、プレートPを+X方向に向かって所要の速度で移動させる。こうして、第2パターン領域PA2のパターンが、Y方向に間隔を隔てた2つの区画領域、すなわち第2区画領域SR2および第4区画領域SR4に同時に転写される。
次いで、第1結像領域ER1が第2区画領域SR2の+X方向側の端部から第3区画領域SR3の+X方向側の端部へ移動し且つ第2結像領域ER2が第4区画領域SR4の+X方向側の端部から第5区画領域SR5の+X方向側の端部へ移動するように、プレートPを−Y方向へステップ移動させる。ただし、第2区画領域SR2および第4区画領域SR4への走査終了時には、照明領域IRは第2パターン領域PA2の+Y方向側の端部に位置しているので、マスクMをステップ移動させる必要はない。こうして、第2区画領域SR2および第4区画領域SR4への走査終了時の状態で、第2パターン領域PA2の+Y方向側端部の始動位置から−Y方向側端部の終了位置まで、図8中の矢印F13にしたがって第2パターン領域PA2が照明領域IRによって走査されるように、マスクMを+Y方向に向かって所要の速度で移動させる。
マスクMの+Y方向への移動に同期して、第1結像領域ER1のY方向側の両辺を第3区画領域SR3のY方向側の両辺にほぼ一致させ、ひいては第2結像領域ER2のY方向側の両辺を第5区画領域SR5のY方向側の両辺にほぼ一致させた状態で、区画領域SR3,SR5の−X方向側端部の始動位置から+X方向側端部の終了位置まで、図9中の矢印F23にしたがって第3区画領域SR3が第1結像領域ER1によって走査され且つ第5区画領域SR5が第2結像領域ER2によって走査されるように、プレートPを−X方向に向かって所要の速度で移動させる。こうして、第2パターン領域PA2のパターンが、Y方向に間隔を隔てた第3区画領域SR3および第5区画領域SR5に同時に転写される。
最後に、照明領域IRが第2パターン領域PA2の−Y方向側の端部から第3パターン領域PA3の−Y方向側の端部へ移動するように、マスクMを−X方向へステップ移動させる。また、第2結像領域ER2が第5区画領域SR5の+X方向側の端部から第6区画領域SR6の+X方向側の端部へ移動するように、プレートPを−Y方向へステップ移動させる。さらに、第3区画領域SR3および第5区画領域SR5への走査露光の終了時に、例えば第1中間像I1の形成位置またはその近傍の光路中に第1シャッター(不図示)を挿入して結像光束を遮ることにより、第4区画領域SR4上に第1結像領域ER1(図9中では破線で図示)が形成されないようにする。
そして、照明領域IRの−X方向側の辺を第3パターン領域PA3の−X方向側の辺にほぼ一致させた状態で、第3パターン領域PA3の−Y方向側端部の始動位置から+Y方向側端部の終了位置まで、図8中の矢印F14に沿って第3パターン領域PA3が照明領域IRによって走査されるように、マスクMを−Y方向に向かって所要の速度で移動させる。マスクMの−Y方向への移動に同期して、第2結像領域ER1の−Y方向側の辺を第6区画領域SR6の−Y方向側の辺にほぼ一致させた状態で、第6区画領域SR6の+X方向側端部の始動位置から−X方向側端部の終了位置まで、図9中の矢印F24にしたがって第6区画領域SR6が第2結像領域ER2によって走査されるように、プレートPを+X方向に向かって所要の速度で移動させる。こうして、第3パターン領域PA3のパターンが第6区画領域SR6に転写され、プレートPのショット領域SRへの走査露光シーケンスが終了する。
本実施形態の投影光学系PLにおいて、中間結像光学系GM、一群の偏向部材M1〜M3、および第1結像光学系G1は、マスクMのパターンの第1投影像をプレートP上の第1結像領域ER1に形成する第1結像系を構成している。中間結像光学系GM、一群の偏向部材M4〜M6、および第2結像光学系G2は、マスクMのパターンの第2投影像をプレートP上において第1結像領域ER1からY方向に間隔を隔てた第2結像領域ER2に形成する第2結像系を構成している。
すなわち、中間結像光学系GMは、第1結像系(GM,M1〜M3,G1)と第2結像系(GM,M4〜M6,G2)とに共通である。そして、第1結像系(GM,M1〜M3,G1)は、照明光学系ILによってマスクMのパターン領域に形成される照明領域IRと光学的に共役な第1結像領域ER1をプレートP上に形成する。第2結像系(GM,M4〜M6,G2)は、照明領域IRと光学的に共役な第2結像領域ER2を第1結像領域ER1からY方向に間隔を隔ててプレートP上に形成する。
本実施形態の投影光学系PLでは、上述の構成に基づいて、マスクMのパターンの拡大像である第1投影像および第2投影像を、投影光学系PLの光軸(AXp,AX1,AX2)に平行なZ軸を中心として−90度回転させた姿勢で形成する。すなわち、投影光学系PLは、マスクM上のパターンのうちY方向(X方向)に沿って設けられたラインパターンからの光に基づいて、X方向(Y方向)に沿ったラインパターン像をプレートP上に形成する。
このように、本実施形態では、投影光学系PLが、マスクM上のX方向(Y方向)とプレートP上のY方向(X方向)とが光学的に対応するようにマスクMのパターンの投影像をプレートP上に形成する。換言すると、投影光学系PLは、マスクMのパターン領域上のX方向(Y方向)に光学的に対応する投影像上の方向をY方向(X方向)に一致させる。したがって、マスクMを保持するマスクステージMSとプレートPを保持する基板ステージPSとを互いに直交する方向に移動させつつ、マスクMのパターンをプレートP上のショット領域SRへ走査露光(転写)することになる。換言すれば、マスクM(ひいてはマスクステージMS)の走査方向とプレートP(ひいては基板ステージPS)の走査方向とが互いに直交する。
マスクステージと基板ステージとを同一方向(例えば、それぞれX方向)に移動させつつ走査露光を行う従来技術とは異なり、マスクステージMSと基板ステージPSとを互いに直交する方向に移動させつつ走査露光を行う本実施形態では、大型化したプレートPを保持して移動する基板ステージPSの加減速時に生じ得る移動方向(走査方向)の振動が大きくなっても、その振動の方向とマスクステージMSの移動方向(走査方向)とが交差しているため、基板ステージPSの移動(走査)に伴う振動とマスクステージMSの移動(走査)に伴う振動との相互干渉を小さく抑えて、各ステージの制御精度を向上させることができる。この結果、本実施形態の露光装置では、走査露光時の基板ステージPSとマスクステージMSとの同期精度を向上させることができ、マスクMのパターンをプレートPに正確に転写することができる。
また、本実施形態の露光装置では、プレートPの走査方向であるX方向と直交するY方向に間隔を隔てて整列した一対の結像領域、すなわちプレートPの走査方向であるX方向に対して並列した一対の結像領域ER1,ER2が形成される。その結果、マスクM上の1つのパターン領域のパターンを、プレートP上のショット領域SRにおいてY方向に間隔を隔てた一対の区画領域へ同時に走査露光することができ、走査露光にかかるスループットを向上させることができる。
なお、上述の実施形態では、図2〜図7に示す特定の構成を有する投影光学系PLに基づいて本発明を説明している。しかしながら、投影光学系の構成については、様々な形態が可能である。具体的に、上述の実施形態では、正レンズ群Lpの焦点位置またはその近傍に固定的に配置された複数の第1反射部10aと複数の第2反射部10bとを有する分割反射部10を用いている。しかしながら、これに限定されることなく、分割反射部10に代えて、図10に示すように、二次元的に配列されて個別に姿勢変化可能な複数のミラー要素11aを有する空間光変調器11を用いることができる。
空間光変調器11は、正レンズ群Lpの焦点位置またはその近傍において二次元的に配列された複数のミラー要素11aと、複数のミラー要素11aを保持する基盤11bと、基盤11bに接続されたケーブル(不図示)を介して複数のミラー要素11aの姿勢を個別に駆動する駆動部11cとを備えている。駆動部11cは、主制御系CRからの指令にしたがって、複数のミラー要素11aの姿勢を個別に制御する。
複数のミラー要素11aは、例えば平面状の反射面を有し、XY平面に平行な平面に沿って配列されている。あるいは、複数のミラー要素11aは、正レンズ群Lpに向かって凹面状の曲面(例えば球面)に沿って配列されている。図10の変形例では、第2区画領域SR2および第4区画領域SR4への走査露光、および第3区画領域SR3および第5区画領域SR5への走査露光に際して、複数のミラー要素11aの姿勢を図10中の部分詳細図Aに示す状態に設定する。
部分詳細図Aに示す状態では、反射面から外側に延びる法線が図10中斜め左上に向くように姿勢制御されたミラー要素11aaと、反射面から外側に延びる法線が図10中斜め右上に向くように姿勢制御されたミラー要素11abとが、Y方向に沿って交互に並ぶように設定されている。したがって、正レンズ群Lpの光軸AXpと平行に第1反射部としてのミラー要素11aaに入射した光は、その反射面によって図10中斜め左上に向かって反射される。複数のミラー要素11aaにより反射された光は、第1の光となり、正レンズ群Lpおよび第1偏向部材M1を経て第1中間像I1を形成する。一方、光軸AXpと平行に第2反射部としてのミラー要素11abに入射した光は、その反射面によって図10中斜め右上に向かって反射される。複数のミラー要素11abにより反射された光は、第2の光となり、正レンズ群Lpおよび第4偏向部材M4を経て第2中間像I2を形成する。
また、第6区画領域SR6への走査露光に際して、すべてのミラー要素11aの姿勢を図10中の部分詳細図Bに示す状態に設定する。部分詳細図Bに示す状態では、反射面から外側に延びる法線が図10中斜め右上に向くように、すべてのミラー要素11aの姿勢が一律に設定されている。この場合、すべてのミラー要素11aは、正レンズ群Lpの光軸AXpと平行に入射した光を図10中斜め右上に向かって反射する第2反射部として機能する。したがって、空間光変調器11により反射された光は、すべて第2の光となり、正レンズ群Lpおよび第4偏向部材M4を経て第2中間像I2を形成する。その結果、例えば第1中間像I1の形成位置またはその近傍の光路中に第1シャッターを設けて結像光束を遮る必要がなくなる。
図示を省略したが、第1区画領域SR1への走査露光に際しては、反射面から外側に延びる法線が図10中斜め左上に向くように、すべてのミラー要素11aの姿勢を一律制御する。この場合、すべてのミラー要素11aは、正レンズ群Lpの光軸AXpと平行に入射した光を図10中斜め左上に向かって反射する第1反射部として機能する。したがって、空間光変調器11により反射された光は、すべて第1の光となり、正レンズ群Lpおよび第1偏向部材M1を経て第1中間像I1を形成する。その結果、例えば第2中間像I2の形成位置またはその近傍の光路中に第2シャッターを設けて結像光束を遮る必要がなくなる。
図10の変形例では、例えばフライアイレンズ21の後側焦点面またはその近傍の照明瞳に形成される光強度分布(瞳強度分布)の形状などに応じて、各ミラー要素11aの姿勢を個別に制御することができ、ひいては使用するミラー要素11aの選択、ミラー要素11aからの反射光の配向の選択、ミラー要素11aからの反射光の光量の分配などを適宜変更することができる。その結果、例えば投影光学系PLの瞳位置における光強度分布を調整したり、結像領域ER1,ER2の形成位置を微調整したり、結像領域ER1,ER2での光量分布を調整したり、投影光学系PLの収差を補正したりすることができる。
図10の変形例においても、空間光変調器11の複数のミラー要素11aにおける反射効率を高めるために、各ミラー要素11aの反射面上に1つの光源21bの像が形成されるように構成することが望ましい。空間光変調器11として、たとえば特表平10−503300号公報およびこれに対応する欧州特許公開第779530号公報、特開2004−78136号公報およびこれに対応する米国特許第6,900,915号公報、特表2006−524349号公報およびこれに対応する米国特許第7,095,546号公報、並びに特開2006−113437号公報に開示される空間光変調器を用いることができる。
また、図11に示すように、分割反射部10に代えて、偏光ビームスプリッター12aと一対の凹面反射鏡12b,12cとからなる分割反射部12を用いることができる。分割部としての偏光ビームスプリッター12aは、正レンズ群Lpからの光L1をS偏光の反射光(第1の光)L11とP偏光の透過光(第2の光)L12とに分割する。偏光ビームスプリッター12aにより反射されたS偏光の光L11は、正レンズ群Lpの焦点位置またはその近傍に配置された第1凹面反射鏡12bにより反射され、偏光ビームスプリッター12aに入射する。
偏光ビームスプリッター12aに入射したS偏光の光L11は、偏光ビームスプリッター12aにより反射された後、正レンズ群Lpおよび第1偏向部材M1を経て第1中間像I1を形成する。一方、偏光ビームスプリッター12aを透過したP偏光の光L12は、正レンズ群Lpの焦点位置またはその近傍に配置された第2凹面反射鏡12cにより反射され、偏光ビームスプリッター12aに入射する。偏光ビームスプリッター12aに入射したP偏光の光L12は、偏光ビームスプリッター12aを透過した後、正レンズ群Lpおよび第4偏向部材M4を経て第2中間像I2を形成する。
なお、図11の構成に代えて、偏光ビームスプリッターを透過したP偏光の光が第1中間像I1を形成する第1の光となり、偏光ビームスプリッターにより反射されたS偏光の光が第2中間像I2を形成する第2の光となるような構成も可能である。この場合、偏光ビームスプリッターを透過したP偏光の光は、一方の凹面反射鏡により反射された後、偏光ビームスプリッター、正レンズ群Lpおよび第1偏向部材M1を経て第1中間像I1を形成する。偏光ビームスプリッターにより反射されたS偏光の光は、他方の凹面反射鏡により反射された後、偏光ビームスプリッター、正レンズ群Lpおよび第4偏向部材M4を経て第2中間像I2を形成する。
また、図12に示すように、分割反射部10に代えて、反射型回折格子の構成を有する分割反射部13を用いることができる。分割反射部13は、例えばXY平面に平行な平面に沿って(あるいは正レンズ群Lpに向かって凹面状の曲面(例えば球面)に沿って)形成された回折光学面13aを有する。回折光学面13aは、正レンズ群Lpの光軸AXpに沿って入射した光Liを反射して、図12中斜め左上へ向かう+1次回折光L(+1)と、図12中斜め右上へ向かう−1次回折光L(−1)とを支配的に生成し、0次反射光を実質的に発生させないように設計されている。
また、上述の実施形態では、第1偏向部材M1は中間結像光学系GMと第1中間像I1の形成位置との間の光路中に配置され、第2偏向部材M2は第1中間像I1の形成位置と第1結像光学系G1との間の光路中に配置され、第3偏向部材M3は第2偏向部材M2と第1結像光学系G1との間の光路中に配置されている。また、第4偏向部材M4は中間結像光学系GMと第2中間像I2の形成位置との間の光路中に配置され、第5偏向部材M5は第2中間像I2の形成位置と第2結像光学系G2との間の光路中に配置され、第6偏向部材M6は第5偏向部材M5と第2結像光学系G2との間の光路中に配置されている。
そして、第1偏向部材M1は正レンズ群Lpからの第1の光をマスクMの走査方向であるY方向へ偏向し、第2偏向部材M2は第1偏向部材M1からの光をプレートPの走査方向であるX方向へ偏向し、第3偏向部材M3は第2偏向部材M2からの光を中間結像光学系GMの光軸AXpに平行なZ方向へ偏向している。同様に、第4偏向部材M4は正レンズ群Lpからの第2の光をY方向へ偏向し、第5偏向部材M5は第4偏向部材M4からの光をX方向へ偏向し、第6偏向部材M6は第5偏向部材M5からの光をZ方向へ偏向している。
さらに、第4偏向部材M4は第1偏向部材M1による光の偏向方向(−Y方向)と逆向き(+Y方向)に光を偏向し、第5偏向部材M5は第2偏向部材M2による光の偏向方向(+X方向)と逆向き(−X方向)に第4偏向部材M4からの光を偏向し、第6偏向部材M6は第3偏向部材M3による光の偏向方向(−Z方向)と同じ向き(−Z方向)に第5偏向部材M5からの光を偏向している。しかしながら、中間結像光学系GMと第1結像光学系G1との間の光路中に配置される第1群の偏向部材、および中間結像光学系GMと第2結像光学系G2との間の光路中に配置される第2群の偏向部材の構成については、様々な形態が可能である。
例えば、正レンズ群Lpからの第1の光をプレートPの走査方向であるX方向へ偏向する第1偏向部材と、この第1偏向部材からの光をマスクMの走査方向であるY方向へ偏向する第2偏向部材と、この第2偏向部材からの光を中間結像光学系GMの光軸AXpに平行なZ方向へ偏向する第3偏向部材とにより、第1群の偏向部材を構成することもできる。同様に、正レンズ群Lpからの第2の光をX方向へ偏向する第4偏向部材と、この第4偏向部材からの光をY方向へ偏向する第5偏向部材と、この第5偏向部材からの光をZ方向へ偏向する第6偏向部材とにより、第2群の偏向部材を構成することもできる。
このように、正レンズ群Lpからの第1の光をY方向、X方向、およびZ方向の順に、あるいはX方向、Y方向、およびZ方向の順に偏向するように第1群の偏向部材を構成することにより、マスクM上のX方向(Y方向)とプレートP上のY方向(X方向)とが光学的に対応するようにマスクMのパターンの投影像をプレートP上に形成することができる。同様に、正レンズ群Lpからの第2の光をY方向、X方向、およびZ方向の順に、あるいはX方向、Y方向、およびZ方向の順に偏向するように第2群の偏向部材を構成することにより、マスクM上のX方向(Y方向)とプレートP上のY方向(X方向)とが光学的に対応するようにマスクMのパターンの投影像をプレートP上に形成することができる。
すなわち、正レンズ群Lpからの第1の光をX方向、Y方向、およびZ方向へ順次偏向するように第1群の偏向部材を構成し、正レンズ群Lpからの第2の光をX方向、Y方向、およびZ方向へ順次偏向するように第2群の偏向部材を構成することが可能である。ここで、「順次偏向する」とは、上記の記載順に限らず各方向に順次偏向することを意味しており、具体的には、X方向への偏向とY方向への偏向との順番を入れ換えてもよいことを意味している。したがって、第1群の偏向部材においてX方向(Y方向)、Y方向(X方向)、およびZ方向の順に偏向する構成と、第2群の偏向部材においてY方向(X方向)、X方向(Y方向)、およびZ方向の順に偏向する構成とを混在させることもできる。
また、例えば、第1偏向部材M1と第1中間像I1の形成位置との間の光路中に中間結像光学系GMの一部を構成するレンズを配置し、第4偏向部材M4と第2中間像I2の形成位置との間の光路中に中間結像光学系GMの一部を構成するレンズを配置する構成も可能である。この構成では、中間結像光学系GMの全体ではなく一部が第1結像系と第2結像系とに共通となる。
また、上述の実施形態では、図5に示すように第1結像領域ER1と第2結像領域ER2とをY方向に整列して形成する投影光学系PLを用いて、マスクM上の1つのパターン領域のパターンをプレートP上のショット領域SRにおいてY方向に間隔を隔てた一対の区画領域へ同時に走査露光する動作を説明している。しかしながら、図4に示すように第1結像領域ER1と第2結像領域ER2とがX方向に位置ずれして形成される構成を採用しても、上述の実施形態の場合と同様に、マスクM上の1つのパターン領域のパターンをプレートP上のショット領域SRにおいてY方向に間隔を隔てた一対の区画領域へ同時に走査露光することができる。この点を、図13を参照して簡単に説明する。
図13では、マスクM上のパターン領域PAの繰り返しパターンをプレートP上のショット領域SR内の第1区画領域SR1および第3区画領域SR3に同時に走査露光し、パターン領域PAのパターンを第2区画領域SR2および第4区画領域SR4に同時に走査露光する例を示している。図13の変形例では、照明領域IRのX方向側の両辺をパターン領域PAのX方向側の両辺にほぼ一致させた状態で、照明領域IRがパターン領域PAの−Y方向側の端部に位置する始動位置から+Y方向側の端部に達する終了位置まで、図13中の矢印F11にしたがってパターン領域PAが照明領域IRによって走査されるように、マスクM(ひいてはマスクステージMS)を−Y方向に向かって所要の速度で移動させる。
マスクMの−Y方向への移動に同期して、第1結像領域ER1のY方向側の両辺を第1区画領域SR1のY方向側の両辺にほぼ一致させ、ひいては第2結像領域ER2のY方向側の両辺を第3区画領域SR3のY方向側の両辺にほぼ一致させた状態で、第2結像領域ER2が第3区画領域SR3の+X方向側の端部に位置する始動位置から第1結像領域ER1が第1区画領域SR1の−X方向側の端部に達する終了位置まで、図13中の矢印F21にしたがって第1区画領域SR1が第1結像領域ER1によって走査され且つ第3区画領域SR3が第2結像領域ER2によって走査されるように、プレートP(ひいては基板ステージPS)を+X方向に向かって所要の速度で移動させる。こうして、パターン領域PAのパターンが、Y方向に間隔を隔てた2つの区画領域、すなわち第1区画領域SR1および第3区画領域SR3に同時に転写される。
次いで、第1結像領域ER1が第1区画領域SR1の−X方向側の端部から第2区画領域SR2の−X方向側の端部へ移動するように、プレートPを−Y方向へステップ移動させる。ただし、例えば表示部の画素に対応する繰り返しパターンの場合、第1区画領域SR1および第3区画領域SR3への走査終了時には、照明領域IRはパターン領域PAの+Y方向側の端部に位置しているので、マスクMをステップ移動させる必要はない。こうして、第1区画領域SR1および第3区画領域SR3への走査終了時の状態で、パターン領域PAの+Y方向側端部の始動位置から−Y方向側端部の終了位置まで、図13中の矢印F12にしたがってパターン領域PAが照明領域IRによって走査されるように、マスクMを+Y方向に向かって所要の速度で移動させる。
マスクMの+Y方向への移動に同期して、第1結像領域ER1のY方向側の両辺を第2区画領域SR2のY方向側の両辺にほぼ一致させ、ひいては第2結像領域ER2のY方向側の両辺を第4区画領域SR4のY方向側の両辺にほぼ一致させた状態で、第1結像領域ER1が第2区画領域SR2の−X方向側の端部に位置する始動位置から第2結像領域ER2が第4区画領域SR4の+X方向側の端部に達する終了位置まで、図13中の矢印F22にしたがって第2区画領域SR2が第1結像領域ER1によって走査され且つ第4区画領域SR4が第2結像領域ER2によって走査されるように、プレートPを−X方向に向かって所要の速度で移動させる。こうして、パターン領域PAのパターンが、Y方向に間隔を隔てた第2区画領域SR2および第4区画領域SR4に同時に転写され、プレートPのショット領域SRへの走査露光シーケンスが終了する。
また、上述の実施形態では、マスクM上に矩形状の照明領域IRを形成し、ひいてはプレートP上に矩形状の結像領域ER1,ER2を形成して、プレートP上のショット領域SR内で互いに隣接する一対の区画領域への走査露光に際して対応する一対の結像領域が互いに重なることのない継ぎ露光を行っている。しかしながら、これに限定されることなく、マスクM上に例えば台形状の照明領域IRを形成し、ひいてはプレートP上に台形状の結像領域ER1,ER2を形成し、互いに隣接する一対の区画領域への走査露光に際して対応する一対の結像領域の端部が互いに重なり合う重ね露光を行うこともできる。
また、上述の実施形態では、照明光学系IL中のマスクブラインド23の作用により、マスクM上に形成される照明領域IRの形状を規定し、ひいてはプレートP上に形成される結像領域ER1,ER2の形状を規定している。しかしながら、マスクブラインド23に代えて、例えば第1中間像I1の形成位置またはその近傍に第1可変視野絞り(不図示)を配置し、第2中間像I2の形成位置またはその近傍に第2可変視野絞り(不図示)を配置する構成も可能である。
この場合、第1可変視野絞りと第2可変視野絞りとにより、投影光学系PLのマスク側投影視野の形状が規定されることになり、このマスク側投影視野はマスクM上に形成される照明領域IRと必ずしも一致しない。例えば、照明領域IRは、所要のマージン領域を確保してマスク側投影視野を包含する形状に設定される。そして、第1可変視野絞りにより、投影光学系PLのプレート側の第1投影視野である第1結像領域ER1が、マスク側投影視野と光学的に共役な領域として規定される。同様に、第2可変視野絞りにより、投影光学系PLのプレート側の第2投影視野である第2結像領域ER2が、マスク側投影視野と光学的に共役な領域として規定される。
また、マスクブラインド23に加えて、例えば第1中間像I1の形成位置またはその近傍に第1可変視野絞りを配置し、第2中間像I2の形成位置またはその近傍に第2可変視野絞りを配置する構成も可能である。第1可変視野絞りおよび第2可変視野絞りを配置する構成では、上述の第1シャッターおよび第2シャッターの配置が不要になり、第1可変視野絞りおよび第2可変視野絞りの開口部の開閉動作によりシャッター機能を果たすことができる。
また、上述の実施形態では、マスクMのパターン領域上の第2方向に光学的に対応する投影像上の方向を、第2方向と直交する第1方向に一致させている。しかしながら、これに限定されることなく、マスクMのパターン領域上の第2方向に光学的に対応する投影像上の方向を、第2方向と交差する第1方向(第2方向と直交していない第1方向)に一致させる構成を採用しても、上述の実施形態と同様に、基板ステージPSの移動(走査)に伴う振動とマスクステージMSの移動(走査)に伴う振動との相互干渉を小さく抑える効果が得られる。
なお、本明細書において、マスクMのパターン領域上の第2方向と、この第2方向に光学的に対応する投影像上の第1方向とが「直交」するとは、「第1方向」と「第2方向」とが基板(プレートP)の感光面(被露光面)に平行な平面視で直交していること、「第1方向」と「第2方向」とが基板ステージPSの基板保持面に平行な平面視で直交していること、「第1方向」および「第2の方向」が共に投影光学系PLの光軸(AXp,AX1,AX2)に直交していることを意味する。また、「直交」するという表現は、「ほぼ直交」することも含んでいる。
また、上述の露光装置では、1つのパターンを2つの区画領域に同時に走査露光することができるので、小型表示パネルまたは中型表示パネル用のディスプレイパターンを効率良く製造するのに適している。具体的には、図14に示すように、一方向に沿った1回の走査動作により、マスクM上に一列に形成された複数のパターン領域のパターンQを、プレートP上において間隔を隔てて2列に並んだ複数の区画領域へ転写することができる。図14において、参照符号Q1は第1結像領域ER1による走査露光によりプレートPに転写されたパターンであり、参照符号Q2は第2結像領域ER2による走査露光によりプレートPに転写されたパターンである。図14では、一例として、2回の走査動作により、4列に並んだ複数の区画領域へパターンが転写される様子を示している。
また、上述の露光装置では、図15に示すように、デバイスサイズに合わせて、結像領域ER1,ER2のY方向寸法LYをLY’に変化させるとともに、結像領域ER1とER2とのY方向に沿った間隔もLY(一般にはLY×n:nは整数)からLY’(一般にはLY’×n:nは整数)に変化させることがある。この場合、第1結像光学系G1と一対の偏向部材M2,M3とをY方向に沿って一体に移動させ、且つ第2結像光学系G2と一対の偏向部材M5,M6とをY方向に沿って一体に移動させる方法が考えられる。また、上述の結像光学系と偏向部材との一体移動による方法に代えて、あるいは加えて、一対の偏向部材M2,M3だけをY方向に沿って一体に移動させ且つ一対の偏向部材M5,M6だけをY方向に沿って一体に移動させる方法が考えられる。
このとき、上述の結像光学系と偏向部材との一体移動や偏向部材の一体移動により投影光学系PLの像面がZ方向に移動するため、プレートPの保持面の位置をZ方向に沿って移動させる必要がある。あるいは、投影光学系PLの光路中にフォーカス補正機構を組み込んで、このフォーカス補正機構の作用により、上述の一体移動を行っても投影光学系PLの像面位置がZ方向に移動しないように(あるいは像面位置の移動量が小さくなるように)調整することもできる。この種のフォーカス補正機構として、例えばマスクMの近傍の光路中に配置された一対のくさび状のプリズムからなる像面調整装置14が知られている。この像面調整装置14として、例えば特開2003−309053に開示される像面調整装置を用いることができる。
なお、上述の実施形態では、拡大倍率を有する投影光学系PLを搭載した露光装置に本発明を適用している。しかしながら、これに限定されることなく、例えば等倍の投影光学系または縮小倍率を有する投影光学系を備えた露光装置にも同様に本発明を適用することができる。なお、拡大倍率を有する投影光学系PLでは、拡大倍率を2倍以上とすることが好ましい。すなわち、上述のように中間結像光学系GMがほぼ等倍の第1中間像I1および第2中間像I2を形成するようにしているため、投影光学系PLの拡大倍率を2倍以上とすることで、第1結像光学系G1および第2結像光学系G2がほぼ2倍以上の拡大倍率を有することとなり、投影光学系PLの機械的な構成が容易となる。
また、上述の実施形態では、基板ステージPSが保持する1枚のプレートPに2つの投影像を形成する露光装置に本発明を適用している。しかしながら、これに限定されることなく、基板ステージが感光性基板としてのプレートを2枚保持し、各基板に投影像を1つずつ投影してもよい。このとき、基板ステージが一方の基板を保持して移動する1つのステージと他方の基板を保持して移動する別のステージとを備える構成も可能である。
また、上述の実施形態では、プレートPの走査方向と直交する方向に間隔を隔てた一対の結像領域ER1,ER2を形成している。しかしながら、本発明において重要なことは、結像領域(投影像)が複数形成されることではなく、マスクのパターンの向きと基板上の結像領域に形成される投影像の向きとが互いに交差すること(好ましくは、互いに直交すること)、ひいてはマスクの走査方向と基板の走査方向とが互いに交差することである。したがって、投影光学系の光路中に分割反射部を配置することなく単一の結像領域を形成し、単一の結像領域に形成される投影像の向きとマスクパターンの向きとが交差するように構成しても良い。その構成は、例えばマスクとプレートとの間の投影光路中に、投影像の向きを結像面内で90°回転させるイメージローテータとしての反射面(平面鏡、プリズム等の反射面)を設けることで実現される。
上述の実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
上述の実施形態にかかる露光装置を用いて、半導体デバイス、液晶デバイスなどを製造することができる。図16は、半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図16に示すように、半導体デバイスの製造工程では、半導体デバイスの基板となるウェハに金属膜を蒸着し(ステップS40)、この蒸着した金属膜上に感光性材料であるフォトレジストを塗布する(ステップS42)。つづいて、上述の実施形態の露光装置を用い、マスクMに形成されたパターンをウェハ上の各ショット領域に転写し(ステップS44:露光工程)、この転写が終了したウェハの現像、つまりパターンが転写されたフォトレジストの現像を行う(ステップS46:現像工程)。
その後、ステップS46によってウェハの表面に生成されたレジストパターンをウェハ加工用のマスクとし、ウェハの表面に対してエッチング等の加工を行う(ステップS48:加工工程)。ここで、レジストパターンとは、上述の実施形態の露光装置によって転写されたパターンに対応する形状の凹凸が生成されたフォトレジスト層(転写パターン層)であって、その凹部がフォトレジスト層を貫通しているものである。ステップS48では、このレジストパターンを介してウェハの表面の加工を行う。ステップS48で行われる加工には、例えばウェハの表面のエッチングまたは金属膜等の成膜の少なくとも一方が含まれる。なお、ステップS44では、上述の実施形態の露光装置は、フォトレジストが塗布されたウェハを感光性基板としてパターンの転写を行う。
図17は、液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図17に示すように、液晶デバイスの製造工程では、パターン形成工程(ステップS50)、カラーフィルタ形成工程(ステップS52)、セル組立工程(ステップS54)およびモジュール組立工程(ステップS56)を順次行う。ステップS50のパターン形成工程では、感光性基板としてフォトレジストが塗布されたガラス基板上に、上述の実施形態の露光装置を用いて回路パターンおよび電極パターン等の所定のパターンを形成する。このパターン形成工程には、上述の実施形態の露光装置を用いてフォトレジスト層にパターンを転写する露光工程と、パターンが転写された感光性基板の現像、つまりガラス基板上のフォトレジスト層の現像を行い、パターンに対応する形状のフォトレジスト層(転写パターン層)を生成する現像工程と、この現像されたフォトレジスト層を介してガラス基板の表面を加工する加工工程とが含まれている。
ステップS52のカラーフィルタ形成工程では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応する3つのドットの組をマトリックス状に多数配列するか、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を水平走査方向に複数配列したカラーフィルタを形成する。ステップS54のセル組立工程では、ステップS50によって所定パターンが形成されたガラス基板と、ステップS52によって形成されたカラーフィルタとを用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。具体的には、例えばガラス基板とカラーフィルタとの間に液晶を注入することで液晶パネルを形成する。ステップS56のモジュール組立工程では、ステップS54によって組み立てられた液晶パネルに対し、この液晶パネルの表示動作を行わせる電気回路およびバックライト等の各種部品を取り付ける。
また、本発明は、半導体デバイスまたは液晶デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、プラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、本発明は、ガラス基板と半導体ウェハとに限定されず、例えば可撓性を有するシート状の基板(面積に対する厚さの比がガラス基板および半導体ウェハに比して小さい基板)を露光対象としての感光性基板とすることができる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。