JP2010197560A - カラーフィルタの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光透過性基板上にブラックマトリクスを形成し、前記ブラックマトリクスの開口部にインクジェット方式により着色インクを滴下し、着色したインク皮膜からなる画素部の当該画素内の平坦性を改善したカラーフィルタの製造方法を提供すること。
【解決手段】(a)ブラックマトリクスの開口部開口部に一回目の着色インクを滴下した後硬化させる工程、次いで、(b)ブラックマトリクスの開口部に二回目の着色インクを滴下した後硬化させる工程を含み、前記(a)一回目の着色インクを滴下して硬化させた後の開口部中央部の着色インク皮膜の膜厚(T1)とブラックマトリクスに接する開口部周縁部の着色インク皮膜の膜厚(T2)が、T1≦T2の関係を満たすことを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、カラー液晶ディスプレー等に使用される、インクジェット方式を用いてする平坦なカラーフィルタの製造方法に関する。
近年、携帯電話やパーソナルコンピュータ、薄型カラーテレビと、表示部の大面積化に伴い、カラー液晶ディスプレーの需要が増加している。しかしながら、需要の増加に合わせてカラー液晶ディスプレーの低価格化の進行も著しく、部材の中でもコスト的に比重の高いカラーフィルタに対するコストダウンの要求が強くなっている。
このカラーフィルタにおいては、光透過性基板上に所定のパターンよりなる遮光層(ブラックマトリックス、以下、BMと記す)が設けられ、このBMの開口部(一画素に相当)に、通常赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の着色層が規則的に形成され配置されている。R、G、Bのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、Bのそれぞれの画素を通過する光の量を制御してカラー表示が行われるものである。
従来から行われているカラーフィルタ基板上の着色層の製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、ガラス基板上に、まず染色される水溶性の透明な高分子材料をフォトリソグラフィー工程により所望の位置にパターニングした後、得られた透明なパターンを染料水溶液に浸漬して透明なパターンを染色する。これを位置を変えて3回繰り返すことによりR、G、Bの着色画素からなるカラーフィルタとするものである。
また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをフォトリソグラフィ法でパターニングすることにより着色した画素パターンを得る。さらに、この工程を3回繰り返すことにより、R、G、Bの着色画素を形成する。
さらに、他の方法としては、熱硬化樹脂に着色顔料を分散させて着色インクとし、R、G、Bごとに3回印刷を行った後、樹脂を加熱硬化させる方法等を挙げることができる。しかしながら、いずれの方法も、R、G、Bの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、同様の工程を繰り返すと歩留まりが低下してコスト高になるという問題がある。顔料分散法では、現像工程で感光性樹脂を除去するので感光性樹脂がムダになるというデメリットもある。
さらにまた、近年、別のカラーフィルタの製造方法として、インクジェット方式を利用したカラーフィルタの製造方法が、染色法および顔料分散法に比べて工程数が少なく低コスト化が可能な方法として検討されている。しかしながら、インクジェット方式には、各着色領域の画素の混色が避けられず、カラーフィルタとしての品質は劣るという問題がある。
インクジェット方式を用いた高品質なカラーフィルタの製造方法として、例えば、特許文献1には、仕切りパターン(BM)の側壁の臨界表面張力と、仕切りパターンによって区画された間隙(BM開口部)に露出する下地のガラス表面の臨界表面張力との中間の表面張力を有する着色インクを用いることで、着色インクの滴下の際、ガラス基板上の所望する着色領域以外への着色インクの広がりを防止できるとの記載がある。
また、特許文献2、特許文献3には、BMに含フッ素化合物及び/または含ケイ素化合物を含有させると、滴下工程におけるインクにじみと混色を防止するための仕切り壁とすることができると記載されている。
また、特許文献4には、BM上部の撥インク性と、BMで区画された領域内の露出したガラス表面の撥インク性を、水の接触角で、それぞれ、90〜120°、30°以下と制御することにより、画素部での着色インクの広がりを良好にし、遮光パターン上部では、着色インクが付着しにくくなり、そうすることで、色抜けのない着色画素からなるカラーフィルタを製造する技術が開示されている。ここでは、BMで区画された領域内画素部のBM開口部で露出したガラス表面を親インク処理剤により表面処理し、撥インク性をコントロールしている。
更に近年、ハイビジョン対応の大型液晶テレビ等の市場拡大に伴い、液晶表示装置等への高精細化の要求が高まっている。しかし、インクジェット方式に特有の着色層の「平坦化不良」による着色画素内での色ムラ、及び複数の画素にわたるスケールの大きな色ムラ等が生じる不具合や、パネル化した際の基板間に挟まれた液晶分子の配向不良などの不具合が発生しやすいという問題がある。
これらの問題については、特許文献5に、表面張力が特定範囲のインクを、隔壁で囲まれた領域の容積の3〜10倍のインク滴下をすることで平坦化する技術が開示されている。また、別の平坦化技術として、特許文献6には、インクの物性や滴下の量、光透過性基板表面のインク濡れ性を制御して、各着色部における最厚部と最薄部の膜厚差が0.5μm以下、着色部の最薄部とBMの厚さとの差を0.5μm以下とする技術が開示され、特許文献7には、乾燥、硬化工程におけるインク体積の収縮時に、インクが隔壁に良く馴染むようにすることで、画素周縁部の膜厚が隔壁の80%以上で、画素の平均膜厚が隔壁の80%未満で、画素の平均膜厚に対する最大・最小膜厚の差が20%以下とする技術が開示されている。
さらにまた、特許文献8には、インクの滴下及び硬化工程を複数回繰り返して、着色部を形成することで画素内平坦化を図る技術が開示されている。しかし、昨今ではフォトリソ法で製造したカラーフィルタと同等の平坦性が要求されてきており、目標達成に程遠いのが現状である。
特開平6−347637号公報 特開平7−35915号公報 特開平7−35917号公報 特開平9−203803号公報 特開平11−202124号公報 特開2000−89023号公報 特開2002−148429号公報 特開2004−325736号公報
本発明は、以上のような事情のもとになされたもので、インクジェット方式を用いてカラーフィルタを製造するに際し、画素内の着色インク皮膜の平坦性を一段と改善したカラーフィルタの製造方法を提供することを目的とした。
本発明の請求項1に係る発明は、光透過性基板上にブラックマトリクスを形成し、前記ブラックマトリクスの開口部にインクジェット方式により着色インクを滴下し、着色したインク皮膜からなる画素部を形成するカラーフィルタの製造方法であって、
(a)前記開口部に一回目の着色インクを滴下した後硬化させる工程、次いで、
(b)前記開口部に二回目の着色インクを滴下した後硬化させる工程
を含み、前記(a)一回目の着色インクを滴下して硬化させた後の開口部中央部の着色インク皮膜の膜厚(T1)とブラックマトリクスに接する開口部周縁部の着色インク皮膜の膜厚(T2)が、T1≦T2の関係を満たすことを特徴とするカラーフィルタの製造方法としたものである。
本発明の請求項2に係る発明は、光透過性基板上にブラックマトリクスを形成し、前記ブラックマトリクスの開口部にインクジェット方式により着色インクを滴下し、着色したインク皮膜からなる画素部を形成するカラーフィルタの製造方法であって、
(a)前記開口部に一回目の着色インクを滴下した後硬化させる工程、次いで、
(b)前記開口部に二回目の着色インクを滴下した後硬化させる工程
を含み、前記(a)一回目の着色インクを滴下して硬化させた後の開口部の着色インク皮膜の形状は、中央部が凹む凹形状を呈することを特徴とするカラーフィルタの製造方法としたものである。
本発明の請求項3に係る発明は、前記着色インクに含まれるバインダー樹脂がポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂からなる群から選ばれる1つ以上の熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタの製造方法としたものである。
本発明の請求項4に係る発明は、前記着色インクが有機溶剤に顔料をインク全体の重量に対して少なくとも5%以上の濃度で分散させたものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法としたものである。
本発明の請求項5に係る発明は、前記着色インクが熱硬化性を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法としたものである。
本発明の請求項6に係る発明は、前記着色インクの粘度が、1〜20mPa・sの範囲にあることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法としたものである。
請求項1に記載の発明によれば、前記BMで区画された開口部に着色インクを滴下する工程を2回に分けて行うことで、1回目の滴下では、インクが隔壁によって囲まれた領域内の隅々まで十分に且つ中央部の膜厚が周辺部より薄くなるように拡がり、その形状を保ったまま硬化する。2回目に滴下されたインクは、下地が同系の材料であるのと隔壁のため中央部が盛り上がるような性質があり、1回目の凹形状と2回目の凸形状が相殺する結果、インク皮膜の画素内平坦性が向上する。また、1回目の滴下で十分にインキが拡がるので白抜けも少なくなる。
請求項2に記載の発明は、上記に記載した効果を呈するように、1回目のインク皮膜の形状を凹形状に特定したものである。
請求項3から請求項4に記載の発明は、1回目のインク皮膜の形状が凹形状に、2回目
のインク皮膜の形状が該形状を相殺するようにインク組成を特定したものである。
加えて、請求項3に記載の発明によれば、加熱工程で着色インクを硬化させることができ、平坦性に優れ、混色、白抜け、色ムラのない着色部を備えた信頼性の高いカラーフィルタを製造することができる。
請求項4に記載の発明によれば、インク濃度を係る範囲に設定することで、開口部に滴下すべきインク量が過剰となることがなく、したがって隣接する開口部にあふれ出すことがない。
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の発明と同様の効果がある。
請求項6に記載の発明によれば、ノズルからの不吐出、ミスディレクションを防ぐことができ、その結果、インク皮膜の厚みが均一で白抜け及び混色等のない着色部を備えたカラーフィルタを製造することができる。
本発明になるカラーフィルタの製造方法を、側面視の断面図を用いて工程順に説明する図である。
以下、本発明になるカラーフィルタの製造方法を一実施形態に基づいて、図面を参照して説明する。
図1は、カラーフィルタの製造過程を、側面視の断面図で工程順に示した工程図である。
まず、光透過性の基板1上に(図1(a))、図1(b)に示すように隔壁(BM)を形成するための感光性黒色着色組成物2を塗布する。
基板1は、カラーフィルタ用の基板としての透明性や、機械的強度の特性を満足するものであれば、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフィン、及びポリアクリレート等のプラスチックシート及びプラスチックフィルムなどでも良いが、一般的にはガラス基板を用いる。
感光性黒色着色組成物2は、黒色顔料、インク用バインダー樹脂、光重合開始剤、撥水剤等を溶媒に分散して製造されたものである。一般に、感光性着色組成物は、例えばバーコーター、ロールコーター、スピンコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の塗布方法を用いて基板1上に塗布することができる。
感光性黒色着色組成物2を組成する黒色顔料としては、有機黒色顔料、無機黒色顔料の一般的な顔料を用いることができる。例えば、有機顔料、カーボンブラック、アニリンブラック、黒鉛、酸化チタン、鉄黒などを単体あるいは混合して用いるものである。
ここで、感光性黒色着色組成物2に含ませる撥水剤とは、BMの開口部に着色組成物を滴下して充填する時に、BM上部で該着色組成物をはじき、隣接する画素へBMを越えて侵入するのを防止する役割を有するものである。撥水剤の材料は特には限定されないが、フッ素化合物や、ケイ素化合物が撥水性に優れるために好ましい。
BM膜厚に関しては、薄すぎると(<0.1μm)、BM開口部に着色組成物の充填時
に着色組成物が隣接する画素へ容易に侵入しやすくなる、また仕上がりの画素形状が凸形状をとり易くなる等の懸念があるために好ましくない。一方、BM膜厚が厚くなりすぎるのも(>2.5μm)、BMと着色皮膜の段差が大きくなりすぎるために好ましくない。
また、BMの開口率は、カラーフィルタの明度を高くするためには60%以上であることが好ましい。
また、撥水剤は過剰に含有させると、BM形成工程の最終工程であるポストベーク(本硬化)の際に、撥水剤が蒸発し、BM開口部に露出したガラス基板表面に薄く付着することがある。そうなると、着色インクを滴下してもガラス基板表面とインクとの濡れ性が悪くなり、開口部内に当該インクが均一に拡がらず、白抜けや色ムラが発生する一因となる。
撥水剤の具体的な例を挙げると、主鎖または側鎖に有機シリコーンやアルキルフルオロ基を有するもので、シロキサン成分を含むシリコーン樹脂やシリコーンゴム、この他にはフッ化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化エチレン等やこれらの共重合体等のフッ素樹脂などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
次に、フォトマスクを介して感光性黒色着色組成物2に光照射を行い、感光性黒色着色組成物2を所定パターンに光硬化させ、次いで現像等の処理を行うことにより、図1(c)に示すように、BMパターン3を有する基板1を得ることができる。
一般に、感光性着色組成物の露光手段としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ等のラジカル重合性化合物が反応する波長の光を放出するものを使用することができる。
BMパターン3の形成後、定法の洗浄工程(水洗浄、エアー洗浄等)を行った後、所定温度に加熱(ポストベーク)を行うことが出来る。これにより、パターン化された樹脂層を十分に熱硬化することができ、且つBM表面から撥インク剤を放散させることにより、BMの撥インク性をより効果的なものとすることが出来る。加熱温度は、例えば120℃〜250℃であり、加熱時間は、3分〜60分程度である。
その後、図1(d)に示すように、インクジェット記録装置を用いて、インクジェットヘッド5より、BM3の開口部4にR、G、Bの各色のインク6a〜6cを所定量滴下して下塗りする(以下、1回目の滴下で形成した層を下塗り層と記す)。
インクジェットに用いる装置としては、インク吐出方法の相違によりピエゾ変換方式と熱変換方式があるが、ピエゾ変換方式の装置を用いることが望ましい。また、インクジェット装置のインクの液滴化周波数は5〜100kHz程度が望ましい。また、インクジェット装置のノズル径は、5〜80μm程度が望ましい。また、インクジェット装置はヘッドを複数個配置し、1ヘッドにノズルを60〜500個程度組み込んだものを用いるのが好ましい。
インクジェット用着色材料の顔料としては、耐候性に優れるものを用いることが好ましい。具体的にはC.I.Pigment Red 9、19、38、43、97、122、123、144、149、166、168、177、179、180、192、208、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254、Pigment Blue15、15:6、16、22、29、60、64、C.I.Pigment Green 7、36、C.I.Pigment Yellow 20、24、86、81、83、93、108、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150、153、154、166、168、185、C.I.Pigment Orange 36、C.I.Pigment Violet23等を使用することができる。さらに所望の色相を得るために2種以上の材料を混合して用いることができる。
バインダー成分としては、それ自体は重合反応性のない樹脂、及び、それ自体が重合反応性を有する樹脂のいずれを用いてもよく、また、2種以上のバインダーを組み合わせて用いても良い。そして、バインダー成分を主体とし、必要に応じて、多官能のモノマーやオリゴマー、単官能のモノマーやオリゴマー、電離放射線により活性化する光重合開始剤、及び、増感剤などを配合して、電離放射線硬化性バインダー系を構成する。
非重合性バインダーとしては、例えば、次のモノマーの2種以上からなる共重合体を用いることができる:アクリル酸、メタクリル酸、トリメリット酸、メチルアクリレート、カプロラクトン、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、ポリスチレンマクロモノマー、及びポリメチルメタクリレートマクロモノマーである。
より具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレートマクロモノマー/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレンマクロモノマー共重合体などを例示することができる。
一方、熱重合性官能基を有する樹脂をバインダー成分として用いる場合、例えば、次に示すようなエチレン性不飽和結合とエポキシ基を含有するモノマーの1種または2種以上を重合させた単独重合体または共重合体を用いることができる:アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−4,5−エポキシペンチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチルなどの(メタ)アクリレート類;o−ビニルフェニルグリシジルエーテル、m−ビニルフェニルグリシジルエーテル、p−ビニルフェニルグリシジルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルなどのビニルグリシジルエーテル類;2,3−ジグリシジルオキシスチレン、3,4−ジグリシジルオキシスチレン、2,4−ジグリシジルオキシスチレン、3,5−ジグリシジルオキシスチレン、2,6−ジグリシジルオキシスチレン、5−ビニルピロガロールトリグリシジルエーテル、4−ビニルピロガロールトリグリシジルエーテル、ビニルフロログリシノールトリグリシジルエーテル、2,3−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、3,4−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、2,4−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、3,5−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、2,6−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、2,3,4−トリヒドロキシメチルスチレントリグリシジルエーテル、及び、1,3,5−トリヒドロキシメチルスチレントリグリシジルエーテルである。
分散剤は、顔料を良好に分散させるためにインク組成物中に必要に応じて配合される。分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
すなわち、高分子分散剤では、キシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類などの高分子界面活性剤が好ましく用いられる。
上記インク組成物に用いる溶剤は、特に限定されるものではなく、使用される顔料、バインダー、インクに要求される品質等に応じて選択することができる。使用する溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。上記溶剤は、二種類以上を混合して用いることもできる。
本発明の係わるインク組成物は着色材として顔料を用いるので、あらかじめ顔料を全使用量の一部の溶剤中で分散剤と混合して分散性を付与し、得られた顔料分散体(すなわち高濃度の顔料分散液)を他の配合成分と共に残部の溶剤中に投入して混合しインク組成物とすることが多い。顔料分散体を調製するためには、3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような顔料を分散させやすい溶剤を用いる必要がある。
主溶剤は、以下に示すような溶剤の中から選んで用いることができる。例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールオリゴマーエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールオリゴマーエーテルエステル類;酢酸、2−エチルヘキサン酸、無水酢酸のような脂肪族カルボン酸類又はその酸無水物;酢酸エチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル類;炭酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル類;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸のようなハロゲン化カルボン酸類;エタノール、イソプロパノール、フェノールのようなアルコール類又はフェノール類;ジエチルエーテル、アニソールのような脂肪族又は芳香族エーテル類;2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコキシアルコール類;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー類;2−ジエチルアミノエタノール、トリエタノールアミンのようなアミノアルコール類;2−エトキシエチルアセテートのようなアルコキシアルコールエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類;N−エチルモルホリン、フェニルモルホリンのようなモルホリン類;ペンチルアミン、トリペンチルアミン、アニリンのような脂肪族又は芳香族アミン類。
主溶剤として使用できる溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及び、コハク酸ジエチルなどを例示することができる。これらの溶剤は、顔料の分散性、分散安定性も比較的良好であり、3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から顔料分散体の調製に用いられている溶剤と混合し或いは混合せずそのまま分散溶剤として用い、顔料分散体を調製することができる。
溶剤に分散させる顔料は、インク全体の重量に対して5%未満の濃度であると、BM開口部に着色組成物を滴下する量が多くなり、着色組成物が隣接する画素へ容易に侵入しやすくなり、混色を生じやすくなるために、5%以上の濃度範囲であることが好ましい。
また、着色組成物の粘度は、インクジェット方式を用いてカラーフィルタを製造するため、1〜20mPa・sの範囲でなければ、不吐出、ミスディレクションによる混色等を引き起こしやすくなるために、上記粘度範囲であることが好ましい。
次に、図1(e)に示すように、下塗りしたR、G、Bの各色のインク6a〜6cを熱処理あるいは光、電子線照射等必要な処理を施し、インク6a〜6c中の溶剤成分を除去して硬化させることにより下塗り層7a〜7cを形成する。
さらに、図1(f)に示すように、再び、インクジェットヘッド5を用いてBM3の開口部4すなわち下塗り層7a〜7cの上から、R、G、Bの各色のインクを重ね塗りする(以下、重ね塗り層と記す)。
上記のように、下塗り層の上にさらに、下塗り層を形成したインクと同じインクを重ね塗りすることによって、インクが隔壁によって囲まれた領域内(開口部4)の隅々まで十分且つ均一に拡散することができる。すなわち、「白抜け」の問題が解消され、「色ムラ」もなく、画素内平坦性に優れたカラーフィルタ基板を得ることができる。
そして、図1(g)に示すように、熱処理あるいは光照射等必要な処理を施し、インク中の溶剤成分を除去して硬化させることにより、着色画素8a〜8cを形成する。
さらに、必要に応じて保護層や透明導電膜を形成する。この場合の保護層としては、光硬化タイプ、熱硬化タイプ、或いは光熱併用硬化タイプの樹脂材料、或いは、蒸着、スパッタ等によって形成された無機膜等を用いることができ、カラーフィルタとした場合の透明性を有し、その後の透明導電膜形成プロセス、配向膜形成プロセス等に耐えうるものであれば使用可能である。また、透明導電膜は、保護層を介さずに直接着色画素上に形成してもよい。
最初にBMの作製手順を説明する。
ポリイミド前駆体(東レ(株)製:セミコファインSP−510)10重量部、カーボンブラック7.5重量部、NMP130重量部、分散剤(銅フタロシアニン誘導体)5重量部、開始剤5重量部及び撥インク剤(ポリアルキルシロキサン)0.5重量部をビーズミル分散機で冷却しながら3時間分散しBM組成物を調製した。調製されたBM組成物を無アルカリガラス(品番1737:コーニング社製)上にスピンコート法により塗布した後、オーブンで90℃20分プリベークを行った。
次いで、パターン露光と、現像を行った後に、オーブンで230℃1時間ポストベークを行い、BMを形成した。BMは、開口幅170μm×510μmとなるセル状パターンで、BMの膜厚は2.3μmであった。
赤インクについては、アクリル樹脂を、分散剤として赤色顔料C.I.Pigment
Red 254(イルガフォーレッドB−CF:チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製)分散時に添加し、赤色顔料ペーストを調製した。得られた赤色顔料ペーストを、カルビトールアセテートと、メラミン樹脂、および熱硬化性樹脂中に分散させ、赤インク組成物を調製した。
緑インクについては、アクリル樹脂を、分散剤として緑色顔料C.I.Pigment
Green 36(リオノールグリーン 6YK:東洋インク製造(株)製)分散時に添加し、緑色顔料ペーストを調製した。得られた緑色顔料ペーストを、カルビトールアセテートと、メラミン樹脂、および熱硬化性樹脂中に分散させ、緑インク組成物を調製した。
青インクについては、アクリル樹脂を、分散剤として青色顔料C.I.Pigment
Blue 15;6(ヘリオゲンブルー:BASF(株)製)分散時に添加し、青色顔料ペーストを調製した。得られた緑色顔料ペーストを、カルビトールアセテートと、メラミン樹脂、および熱硬化性樹脂中に分散させ、青インク組成物を調製した。
次いで、ピエゾ方式でノズル解像度180dpiのヘッドを搭載したインクジェット装置を用いて、ガラス基板上のマトリクス状BM層の開口部に前記に示す方法で調製したR、G、Bの顔料分散インクを滴下した。この時、滴下したインク量は各開口部に滴下すべき総インク量の30%程度の量になるように調節した。インク滴下後、100℃で3分間の熱処理、さらに150〜230℃(好ましくは180〜200℃)で20分間の熱処理を行い、前記インクを仮硬化させ、R、G、Bの着色部からなる下塗り層を形成した。
なお、各開口部に滴下する各インク量はいずれも、1回目と2回目の滴下量の比(1回目/2回目)が0/100の時の画素膜厚が2.1μmとなるようにインク量を設定した。
次いで、前記インクジェット装置を用いて、前記R、G、Bの各インクをBMの開口部下塗り層上に重ね塗りし、100℃で3分間、さらに240℃で20分間の熱処理を行って該インクを硬化し、R、G、Bの着色画素からなるカラーフィルタを形成した。
<実施例および比較例>
実施例1と同様にして、前記に示す方法で調製したR、G、Bの顔料分散インクを、1回目と2回目のインク滴下量を合計のインク滴下量は一定となるようにして変化させた、表1に示すカラーフィルタを得た。
これらのカラーフィルタ試料について、R、G、B各色の着色層の形状を観察し、画素内段差、濡れ性を評価した。それらの結果を表1、表2,表3に示す。
Figure 2010197560
Figure 2010197560
Figure 2010197560
表中の温度は、一回目硬化工程の温度を示す。
なお、画素内段差の評価では、以下の通りとし、平坦性の程度を調べた。画素内段差とは、画素の最も厚い膜厚と最も薄い膜厚の値の差Δt=Tmax−Tminで定義され、選択して観察した画素全てで下記の数値範囲にあるかどうかで良否の判断をした。
○:平坦性良好 段差 0≦Δt<0.3
△:平坦性概ね良好 段差 0.3≦Δt<0.5
×:平坦性不良 段差 0.5≦Δt
また、濡れ性は1回目のインクの滴下および硬化後に2回目のインクを滴下する際のインクの濡れ広がり具合を下記の基準で評価した。
○:良好(下塗り層が重ね塗り層で全て覆われていない画素が存在しない場合)
×:不良(下塗り層が重ね塗り層で全て覆われていない画素が存在する場合)
<比較結果>
表1〜3に示した結果から、以下のことが明らかである。即ち、R、G、Bの3色全てで1回目のインクを滴下して硬化させた後、選択した画素全てで画素中央部の膜厚(T1)とブラックマトリクスに接する画素周縁部の膜厚(T2)がT1>T2の関係になっている場合には、濡れ性の悪化が見られ、更には画素内段差も悪化する傾向が見られ、画素内およびCF平坦性に対して好ましくない。
さらに、R、G、Bの3色全てで1回目のインクの滴下および硬化後の任意の画素中心部の膜厚が前記画素内で最も薄くなっていない場合には、前記同様に濡れ性の悪化が見られ、更には画素内段差も悪化する傾向が見られ、画素内およびCF平坦性に対して好ましくない。
これに対して、インクの滴下回数が2回で、且つ、1回目のインクの滴下および硬化後の選択した全ての画素中央部の膜厚(T1)とブラックマトリクスに接する画素周縁部の膜厚(T2)がT1≦T2の関係になっている場合には、いずれも画素内段差と濡れ性の点で良好であった。
また、インクの滴下回数が2回で、且つ、1回目のインクの滴下および硬化後の選択した全ての画素中央部の膜厚が前記画素内で最も薄い場合には、いずれも画素内段差と濡れ性の全てで良好であった。
さらに、調製したインク粘度は1〜20mPa・sの範囲であり、不吐出、ミスディレクションによる混色等の不具合は生じなかった。
インクジェット装置を用いてインク滴下と硬化を2回に分けて繰り返す本発明は、上記に詳細に記載したカラーフィルタの製造以外に、機能性インクを吐出して平坦性が要求される有機EL素子の発光層形成、有機TFT形成、プリント基板の配線形成等幅広く応用できる。
1…光透過性基板
2…遮光層
3…ブラックマトリクス
4…開口部
5…インクジェットヘッド
6a〜6c…着色インク
7a〜7c…下塗り層
8a〜8c…着色部

Claims (6)

  1. 光透過性基板上にブラックマトリクスを形成し、前記ブラックマトリクスの開口部にインクジェット方式により着色インクを滴下し、着色したインク皮膜からなる画素部を形成するカラーフィルタの製造方法であって、
    (a)前記開口部に一回目の着色インクを滴下した後硬化させる工程、次いで、
    (b)前記開口部に二回目の着色インクを滴下した後硬化させる工程
    を含み、前記(a)一回目の着色インクを滴下して硬化させた後の開口部中央部の着色インク皮膜の膜厚(T1)とブラックマトリクスに接する開口部周縁部の着色インク皮膜の膜厚(T2)が、T1≦T2の関係を満たすことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  2. 光透過性基板上にブラックマトリクスを形成し、前記ブラックマトリクスの開口部にインクジェット方式により着色インクを滴下し、着色したインク皮膜からなる画素部を形成するカラーフィルタの製造方法であって、
    (a)前記開口部に一回目の着色インクを滴下した後硬化させる工程、次いで、
    (b)前記開口部に二回目の着色インクを滴下した後硬化させる工程
    を含み、前記(a)一回目の着色インクを滴下して硬化させた後の開口部の着色インク皮膜の形状は、中央部が凹む凹形状を呈することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  3. 前記着色インクに含まれるバインダー樹脂がポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂からなる群から選ばれる1つ以上の熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタの製造方法。
  4. 前記着色インクが有機溶剤に顔料をインク全体の重量に対して少なくとも5%以上の濃度で分散させたものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  5. 前記着色インクが熱硬化性を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  6. 前記着色インクの粘度が、1〜20mPa・sの範囲にあることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のカラーフィルタの製造方法。
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