JP2010196796A - ポリオレフィン粉体ライニング鋼管 - Google Patents

ポリオレフィン粉体ライニング鋼管 Download PDF

Info

Publication number
JP2010196796A
JP2010196796A JP2009042461A JP2009042461A JP2010196796A JP 2010196796 A JP2010196796 A JP 2010196796A JP 2009042461 A JP2009042461 A JP 2009042461A JP 2009042461 A JP2009042461 A JP 2009042461A JP 2010196796 A JP2010196796 A JP 2010196796A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel pipe
layer
chemical conversion
resin
conversion treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009042461A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5353297B2 (ja
Inventor
Shiro Miyata
志郎 宮田
Keiji Sugawara
啓司 菅原
Katsuhiko Nishino
克彦 西野
Hiroshi Otsuki
博史 大槻
Muneyoshi Murakami
宗義 村上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2009042461A priority Critical patent/JP5353297B2/ja
Publication of JP2010196796A publication Critical patent/JP2010196796A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5353297B2 publication Critical patent/JP5353297B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Rigid Pipes And Flexible Pipes (AREA)

Abstract

【課題】転造ねじ加工性に優れたポリオレフィン粉体ライニング鋼管を提供する。
【解決手段】好ましくは鍛接鋼管の内面に、化成処理層、プライマー層、および内面被覆層をこの順に積層してなる内面被覆鋼管であって、化成処理層を、リン酸塩系処理液を用いた1回の化成処理により形成された層とし、該化成処理層が形成された後の鋼管内面の表面粗さRzが35〜75μmとし、前記プライマー層を、好ましくはエポキシ樹脂系のプライマーで形成され、平均厚さ:10〜30μmである層とし、前記内面被覆層を、ポリオレフィン樹脂を粉体塗装してなる1層の樹脂被覆層とする。これにより、鋼管に転造ねじ加工を施しても、転造ねじ加工部の内面被覆層の密着力の低下はなく、転造ねじ加工性に優れたポリオレフィン粉体ライニング鋼管とすることができる。なお、リン酸塩系化成処理液としては、リン酸亜鉛カルシウム系処理液が好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、水道用配管として好適な、管内面にポリオレフィン樹脂を粉体塗装してなるポリオレフィン粉体ライニング鋼管に係り、とくに転造ねじ加工後の内面被覆層の密着力低下が抑制された、転造ねじ加工性に優れたポリオレフィン粉体ライニング鋼管に関する。
従来から、給水、排水等に使用される配管には、内面の防食性を付与するため、鋼管内面に樹脂をライニングした樹脂ライニング鋼管が使用されてきた。例えば、上水道などの水道用配管には、硬質塩化ビニルライニング鋼管や、鋼管内面の被覆層として、ポリエチレン樹脂を粉体ライニングしたポリエチレン粉体ライニング鋼管が使用されている。このポリエチレン粉体ライニング鋼管は、非特許文献1に示されるように、管内面に化成処理、プライマー処理等の表面処理を施した後、加熱された状態の鋼管に、ポリエチレン樹脂粉体を粉体塗装する方法で内面被覆層を形成した鋼管である。このポリエチレン樹脂を粉体塗装したポリエチレン粉体ライニング鋼管は、低温特性、リサイクル性に優れ、広く使用されているが、使用環境や加工方法によっては、管端部等から内面被覆層の接着力が低下し、その結果、剥離するなどの問題があった。
このような問題に対し、例えば特許文献1には、炭素鋼からなる被ライニング材の表面をブラストまたは酸洗処理したのち、被ライニング材表面を300〜500℃に加熱し、FeOを主体とする被膜を形成させ、ついでpHが4.5〜6.0で、CrO濃度が0.005〜0.05wt%のクロム酸水溶液に接触したのち乾燥するポリエチレン粉体ライニングの下地処理方法が記載されている。
また、特許文献2には、炭素鋼からなる被ライニング材の表面を脱脂洗浄し、水洗後、塩酸酸洗し水洗したのち、苛性ソーダ、オルトリン酸ソーダ、亜硝酸ソーダからなる沸騰水溶液に浸漬し、被ライニング材表面にFeOを主体とする被膜を形成させ、ついで水洗後、pHが4.5〜6.0で、CrO濃度が0.005〜0.05wt%のクロム酸水溶液に接触したのち乾燥するポリエチレン粉体ライニングの下地処理方法が記載されている。
また、特許文献3には、炭素鋼からなる被ライニング材表面を塩酸で酸洗浄し水洗後、リン酸亜鉛−カルシウム系溶液を用いて化成処理し、次いでpHが4.5〜6.0で、CrO濃度が0.005〜0.05wt%のクロム酸水溶液に液温50℃以下で接触させたのち乾燥させるポリエチレン粉体ライニングの下地処理方法が記載されている。
また、特許文献4には、炭素鋼からなる被ライニング材表面を脱脂洗浄し、水洗後、塩酸酸洗し水洗したのち、苛性ソーダ、オルトリン酸ソーダ、亜硝酸ソーダからなる沸騰水溶液に浸漬し、被ライニング材表面にFeOを主体とする被膜を形成させ、ついで水洗後、pHが4.5〜6.0の酸性水溶液で中和処理し、水洗後乾燥させるポリエチレン粉体ライニングの下地処理方法が記載されている。
特許文献1〜4に記載された技術によれば、従来剥離やブリスタ発生が問題となる50〜60℃の環境下においても、ポリエチレン粉体ライニングが適用可能となり、ポリエチレン粉体ライニングの適用範囲の拡大が見込めるとしている。
また、特許文献5には、ポリオレフィン樹脂内面被覆鋼管が記載されている。特許文献5に記載された鋼管は、鋼管内面に、化成処理層であるリン酸マンガン被膜を介して、ポリオレフィン樹脂層と極性を有するオレフィン系接着樹脂層からなる2層以上の樹脂層を、最内面層がポリオレフィン樹脂層となるように被覆した鋼管で、リン酸マンガン被膜を形成したのちの鋼管内面の表面粗さRzが5〜35μmとなるポリオレフィン樹脂内面被覆鋼管である。特許文献5に記載された技術によれば、ポリオレフィン樹脂層の耐剥離性が飛躍的に向上し、ポリオレフィン樹脂内面被覆鋼管の長期耐久性が向上するとしている。
特開平05−301072号公報 特開平05−301073号公報 特開平05−301074号公報 特開平05−301075号公報 特開2004−308790号公報
日本水道協会規格 JWWA K132
特許文献1〜4に記載された技術によれば、ポリエチレン粉体ライニング鋼管の接着耐久性についてはある程度の向上が期待できる。しかし、特許文献1〜4に記載された技術はいずれも、多段の化成処理を必要とし、工程が複雑になるうえ、化成処理を行うための環境上の問題や、装置の調整にいくつかの問題を残している。
例えば、特許文献1に記載された技術では、被ライニング材を300〜500℃に加熱する必要があるうえ、環境規制物質であるクロム酸を使用する必要がある。また、特許文献2に記載された技術では、被ライニング材を沸騰水に浸漬する必要があるうえ、環境規制物質であるクロム酸を使用する必要があり、また、特許文献3に記載された技術では、環境規制物質であるクロム酸を使用する必要があり、また、特許文献4に記載された技術では、被ライニング材を沸騰水に浸漬する必要があるなど、工業的規模での実施についてはかなりの困難を伴うなどの問題を残している。
また、特許文献5に記載された技術では、2層以上の樹脂層を形成するため、2回以上の粉体塗装を行う必要があり、工程が複雑になるとともに、2回以上の粉体塗装を可能とする設備を必要とし、工程上、さらには設備上の制約が大きいという問題を残している。
ところで、例えば水道水等の配管では、配管用鋼管を長手方向に接合して所定の長さの配管系を構成している。水道配管用鋼管の接合では、とくに小径(例えば100A以下程度)鋼管の場合には、ねじ継手を利用した接合(ねじ接合)が一般的である。鋼管のねじ接合では、従来から「切削ねじ」を利用したねじ接合が主流であったが、最近では「転造ねじ」を用いたねじ接合が普及しつつある。「切削ねじ」では、鋼管をチェザーという刃で切削加工してねじ山を形成するが、「転造ねじ」では、転造ローラと称するねじ山が形成されたローラを鋼管に押し当て、塑性加工により鋼管にねじ山を形成する。「転造ねじ」は、「切削ねじ」と異なり、ねじ部の鋼管肉厚が確保されるため、ねじ接合部の強度が高く、耐震性を向上することができるという利点がある。
しかし、鋼管に、転造ねじ加工を施すと、鋼管が縮径しかつ管長手方向にねじが伸びるなどの塑性変形を伴う。この鋼管に生じる塑性変形により、鋼管と内面被覆層との間に剪断応力が作用する。本発明者らの検討によれば、例えば特許文献5に記載されたポリオレフィン樹脂内面被覆鋼管に、このような転造ねじ加工を施すと、この剪断応力に対し、鋼管内面のポリオレフィン樹脂層(内面被覆層)が追従できずに、鋼管とポリオレフィン樹脂層との密着性が低下する場合がある。
鋼管と内面被覆層との密着力が低下すると、極端な場合には剥離に至ることも考えられ、正常なねじ接合ができなくなったり、内面被覆層の密着力が低下した転造ねじ加工部に、腐食が生じ赤水、漏水等が発生する危険性が高くなるという問題がある。
本発明は、上記した従来技術の問題を解決し、転造ねじ加工後の内面被覆層の密着力低下が抑制された、転造ねじ加工性に優れたポリオレフィン粉体ライニング鋼管を提供することを目的とする。なお、ここでいう「転造ねじ加工性に優れた」とは、転造ねじ加工後の内面被覆層が、転造ねじ加工前の内面被覆層の密着力とほぼ同等の密着力を有する場合をいうものとする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、ポリオレフィン粉体ライニング鋼管における内面被覆層の密着性に及ぼす各種要因について鋭意研究した。その結果、化成処理層を形成した後の鋼管内面を適正な表面粗さとし、さらに化成処理層の上層として、適正な組成でかつ適正な厚さのプライマー層を形成し、ついでその上層としてポリオレフィン樹脂を粉体塗装して内面被覆層を形成すれば、転造ねじ加工性に優れたポリオレフィン粉体ライニング鋼管となることを知見した。そして、化成処理層、プライマー層を上記した構成にすることにより、内面被覆層をポリオレフィン樹脂を粉体塗装してなる樹脂被覆層の1層のみとしても、転造ねじ加工後に、転造ねじ加工部の内面被覆層の密着性低下はほとんど認められないことを見出した。
本発明はかかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)鋼管内面に、化成処理層、プライマー層、および内面被覆層をこの順に積層してなる樹脂内面被覆鋼管であって、前記化成処理層を、リン酸塩系処理液を用いた1回の化成処理により形成された層とし、前記プライマー層を、平均厚さ:10〜30μmである層とし、前記内面被覆層を、ポリオレフィン樹脂を粉体塗装してなる1層の樹脂被覆層とし、前記化成処理層が形成された後の鋼管内面の表面粗さRzが35〜75μmであることを特徴とする転造ねじ加工性に優れたポリオレフィン粉体ライニング鋼管。
(2)(1)において、前記リン酸塩系処理液を、リン酸亜鉛カルシウム系処理液とすることを特徴とするポリオレフィン粉体ライニング鋼管。
(3)(1)または(2)において、前記プライマー層が、エポキシ樹脂を含む層であることを特徴とするポリオレフィン粉体ライニング鋼管。
(4)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記ポリオレフィン樹脂がポリエチレン樹脂または変性ポリエチレン樹脂であることを特徴とするポリオレフィン粉体ライニング鋼管。
(5)(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記鋼管が、鍛接鋼管であることを特徴とするポリオレフィン粉体ライニング鋼管。
本発明によれば、水道配管用として好適な、転造ねじ加工性に優れたポリオレフィン粉体ライニング鋼管を容易に提供でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、製造設備の負担も軽減でき、さらに工程も短縮でき、生産性が向上し、経済的に有利となるという効果もある。また、本発明になるポリオレフィン粉体ライニング鋼管は転造ねじ加工部における内面被覆層の密着性低下がほとんどないため、転造ねじによるねじ接合を利用した配管工事を行うことができ、配管工事の生産性が向上し、しかも耐震性、耐久性に優れた配管系(配管システム)とすることができるという効果もある。
本発明鋼管の断面を模式的に示す断面図である。
本発明の樹脂内面被覆鋼管は、図1に示すように、鋼管1内面に、化成処理層2、プライマー層3、および内面被覆層4をこの順に積層してなる鋼管である。
本発明の樹脂内面被覆鋼管の基材として使用される鋼管は、通常、内面にブラスト処理、または酸洗処理を施し、化成処理層を形成しやすくしておくことが好ましい。なお、使用する鋼管の外面は、特に限定するものではないが、JWWA K 132の規定によれば、一次防錆塗装(SGP−PA)、亜鉛めっき(SGP−PB)、ポリエチレン被覆(SGP−PD)のいずれかとなる。なお、それ以外の外面としてもなんら問題はない。
なお、使用する鋼管1は、鍛接鋼管とすることが好ましい。というのは、鍛接鋼管内面が保有する表面粗さと、リン酸塩系液を使用した化成処理により形成される化成処理層の粗さとが複合して、化成処理後の鋼管内面を内面被覆層の密着性向上に好ましい表面粗さに調整することが極めて容易になることによる。鍛接鋼管以外の、例えば電縫鋼管では、化成処理後の鋼管内面を所望の好ましい表面粗さとすることが困難となる場合もある。
本発明の鋼管1の内面に形成される化成処理層2は、上層として形成されるプライマー層3の鋼管への密着性向上のために設ける。本発明における化成処理層2は、密着性向上および工程短縮という観点から、リン酸塩系処理液を用いた1回の化成処理により形成された層とする。リン酸塩系処理液としては、リン酸亜鉛カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸マンガンなどの化成処理液が例示できるが、これらを混合した処理液としてもよい。なお、密着性向上や、処理の簡便さの観点からは、リン酸亜鉛カルシウム系処理液を用いるのが最も好ましい。リン酸亜鉛カルシウム系処理液を用いて化成処理を行うと、とくに大きな密着性向上効果が得られる。
また、本発明では、一回の化成処理で化成処理層を形成するため、工程が単純化し、生産性が向上するとともに、装置構成も簡便となり、経済的にも有利となる。なお、化成処理に際しては、化成処理液を鋼管内面に吹き付けたり、流し込んだり、もしくは化成処理液の浴中に鋼管を浸漬するなどの方法を適用することができる。なお、適宜、促進剤などを併用してもよく、また、液温を60〜90℃の温度に加温してもよい。また、化成処理後には、鋼管を湯洗し、不要な液を除去しておくことが好ましい。
そして、本発明の樹脂内面被覆鋼管では、化成処理層が形成された後の鋼管内面の表面粗さRzを35〜75μmとする。化成処理後の鋼管内面の表面粗さは、化成処理液の種類に加えて、化成処理時の温度および処理時間にも依存するため、鋼管内面が所望の表面粗さとなるように、化成処理の条件を事前に調整しておくことが肝要である。
というのは、化成処理後の鋼管内面の表面粗さが小さいと、上層を形成するプライマー層が転造ねじ加工時の剪断に耐えられずに剥離するのに対し、化成処理後の鋼管内面の表面粗さが大きいと、転造ねじ加工時の剪断に耐えて剥離を防止できるアンカー効果を有するからである。
すなわち、化成処理層形成後の鋼管内面の表面粗さRzが35μm未満では、転造ねじ加工後の内面被覆層の密着性が低下する場合がある。これは、転造ねじ加工時にアンカー効果が不足するためと考えられる。一方、75μmを超えると、上層(プライマー層)を形成するためのプライマーが化成処理層の表面に十分に追従して積層できず、プライマー層と化成処理層との界面に空隙が生じ、密着力が低下する。このようなことから、化成処理層が形成された後の鋼管内面の表面粗さRzを35〜75μmに限定した。なお、好ましくはRzが40〜60μmである。表面粗さRzは、化成処理層を形成し乾燥させたのち、JIS B0601−1994の規定に準拠して表面粗さ計を用いて測定した、十点平均粗さRzである。
また、本発明樹脂内面被覆鋼管では、化成処理層の上層としてプライマー層3を有する。プライマー層3は、とくに転造ねじ加工時に作用する剪断応力に対抗して、内面被覆層と鋼管との間に強い密着力を保持させるために寄与する層である。適正な組成で且つ適正な厚さのプライマー層を形成することにより、転造ねじ加工時においても内面被覆層の密着性低下がなく、優れた転造ねじ加工性を確保できる。
本発明では、プライマー層の平均厚さを10〜30μmとする。平均厚さが10μm未満では、化成処理層の表面を十分に被覆できない箇所が生じ、密着性が低下する。一方、平均厚さが30μmを超えて厚くするためには、プライマー塗装時のタレ等により層厚の異常が発生しやすい。このため、プライマー層の平均厚さを10〜30μmの範囲に限定した。なお、プライマー層の平均厚さは、鋼管の内面面積と、塗装したプライマー量(樹脂組成物量)から計算で求めた平均的厚さを用いるものとする。
なお、プライマー層3を形成するためのプライマーは、特に限定する必要はなく、常用市販のプライマーを使用して形成することができるが、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物を含むエポキシ樹脂系プライマーを使用して、形成された、エポキシ樹脂を含む層とすることが好ましい。
なお、エポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂が例示でき、ビスフェノール型エポキシ樹脂の平均分子量は、2800〜3900の範囲に限定することが、密着性の観点から好ましい。プライマー層をエポキシ樹脂を含む層とすることにより、内面被覆層の密着性が向上する。エポキシ樹脂以外に、樹脂組成物に含まれる物質については、特に限定する必要はないが、必要に応じて、カップリング剤、さらには顔料等を含有することができる。
エポキシ樹脂を硬化させるための硬化剤としては、ジシアンジアミドもしくはその誘導体が例示できる。硬化剤は、エポキシ樹脂100質量部に対し1.5〜8.5質量部配合することが好ましい。1.5質量部未満では、硬化が不十分となり、上記した密着性の向上が期待できない。一方、8.5質量部を超える含有は、反応しきれない硬化剤が残留し、好ましくない。
本発明鋼管のプライマー層3は、上記したエポキシ樹脂を含む樹脂組成物に炭化水素系、アルコール系、エーテル系、エステル系などの通常用いられる溶剤を樹脂組成物100質量部に対し、0〜30質量部を加えて希釈し、適正な粘度に調整したプライマーを用いて塗装して形成することがより好ましい。本発明におけるプライマー層の形成に際しては、上記したプライマーを、鋼管内面にエアレススプレーを用いてスプレー塗装することがより好ましい。なお、スプレー塗装に際しては、先端に塗装ノズルを付設したアームを鋼管の管端から挿入し、鋼管を回転しつつ、鋼管内面にプライマーを噴射しながら、ノズルを管全長に亘り移動させて塗装することが好ましい。
また、プライマー層の形成においては、塗装前に鋼管を加熱してもよく、また、塗装後に鋼管を熱風もしくは高周波誘導加熱などの方法で加熱しても良い。加熱温度は30〜60℃とすることが好ましい。加熱温度が30℃未満では、プライマーの乾燥に長時間を要し、プライマーのタレ、タマリなどによる被膜不良を生じやすい。一方、60℃を超える高温では、溶剤の揮発がはやくなりすぎて、プライマー層の被膜形成が不十分となりやすい。
本発明樹脂内面被覆鋼管は、プライマー層の上層としてさらに内面被覆層4を有する。本発明鋼管の内面被覆層は、ポリオレフィン樹脂組成物から形成したポリオレフィン樹脂層1層とする。ここでいう「ポリオレフィン樹脂」には、ポリエチレン樹脂、変性ポリエチレン樹脂、あるいはポリプロピレン樹脂等を含むものとする。なお、ポリオレフィン樹脂には、慣用の顔料、酸化防止剤等の各種添加剤が含まれていてもよいことはいうまでもない。なお、ポリエチレン樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、高圧法低密度ポリエチレン樹脂、あるいは高密度ポリエチレン樹脂等のポリエチレン樹脂が例示できる。また、変性ポリエチレン樹脂としては、上記したようなポリエチレン樹脂を無水マレイン酸等で、常法に従い、グラフト変性したものが例示できる。
本発明鋼管の内面被覆層の厚さは、JWWA K 132に規定された厚さ以上とすることが必要であるが、好ましくは、平均厚さで0.5〜0.9mmとすることが好ましい。平均厚みが0.5mm未満では、施工時の疵等により穴があき、下層のプライマー層が露出し防食性が低下する。また、0.9mmを超えて厚くすると、粉体塗装に多大の時間を要し、生産性が低下する。また、樹脂の変形に対する追従性が低下し、密着力に悪影響を及ぼす可能性がある。
内面被覆層は、熱風乾燥炉やインダクションヒーター等で、210℃以上、好ましくは250〜300℃に加熱した状態の鋼管内面に、ポリエチレン樹脂粉末等のポリオレフィン樹脂粉末を循環させ、鋼管の熱で粉末を融解させる、粉体塗装により形成することができる。鋼管の加熱温度が210℃未満では、十分な内面被覆層が形成できない。一方、300℃を超えると、樹脂やプライマー層が熱分解して内面被覆層の耐久性が低下する。なお、粉体塗装後、必要に応じて140℃以上の温度で保熱することが均一な被膜形成の観点から好ましい。
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
基材となる鋼管として、JIS G 3452に規定された鍛接管(呼び径:15A〜80A)、電縫管(呼び径:50A)を用意した。基材とする鋼管に予め、酸洗(27%HCl水溶液、液温:60℃程度)を施し、付着する酸化スケールや錆等を除去した。ついで、酸洗処理済みの鋼管(長さ:4000mm)の内面に、リン酸亜鉛カルシウム系処理液を一定時間(約1min間)流送し、内面にリン酸亜鉛カルシウム系化成処理層を形成した。なお、リン酸亜鉛カルシウム系処理液の液温は80〜90℃とした。なお、化成処理後に、湯洗した。
なお、化成処理を施しさらに乾燥を施した鋼管から、表面粗さ測定用のサンプルを採取し、鋼管内面の表面粗さを測定した。表面粗さは、触針式表面粗さ計を用い、JIS B 0601−1994の規定に準拠して十点平均粗さRz(μm)を測定した。
ついで、化成処理層の上層として、表1に示す平均厚さのプライマー層を形成した。プライマー層は、ビスフェノール型エポキシ樹脂とジシアンジアミドを主成分とするエポキシ樹脂系プライマーを塗布することにより形成した。なお、プライマー層の平均厚さが、表1に示した厚さになるように、鋼管内面積より計算した量の樹脂が塗布されるようにプライマーの塗布量を調整した。なお、比較として、プライマー層を形成しない場合も実施した。
ついで、プライマー層の上層として内面被覆層を形成した。まず、鋼管を表1に示す温度(210〜300℃)に加熱し、該加熱された鋼管内面に、ポリオレフィン樹脂として、変性ポリエチレン樹脂の粉末を循環させ、鋼管の熱で樹脂を融解させる粉体塗装により、内面被覆層を形成した。なお、内面被覆層は1層とし、表1に示す平均厚さとした。なお、この変性ポリエチレン樹脂は直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を無水マレイン酸で変性したもので、密度:0.923g/cm、メルトインデックス:4.9g/10minである。この変性ポリエチレン樹脂を粉体塗装したのち、さらに140℃の炉内で保熱後、自然冷却して、内面被覆鋼管とした。なお、内面被覆層の厚さは、電磁膜厚計を用いて測定した。
得られた内面被覆鋼管の外表面に、レッキス株式会社製転造ねじ切り機を使用して転造ねじ加工により、ねじを形成した。そして、転造ねじ加工部から試験片を採取し、JWWA K 132の規定に準拠して、180°ピール強度法を用いて、内面被覆層の密着力を測定し、転造ねじ加工を行った部分の内面被覆層の密着性を評価した。なお、転造ねじ加工を施さない母材部からも同様の試験片を採取して、同様に内面被覆層の密着力を測定した。転造ねじ加工部の密着力が母材部の密着力とほぼ同等である場合を、「転動ねじ加工性に優れる」(評価:○)と評価した。それ以外の場合を×として評価した。
得られた結果を表2に示す。
Figure 2010196796
Figure 2010196796
Figure 2010196796
本発明例はいずれも、転造ねじ加工を施しても、内面被覆層の密着力の低下はみられず、転造ねじ加工性に優れた樹脂内面被覆鋼管となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、内面被覆層の密着力が低下し、転造ねじ加工性が低下していた。
1 鋼管
2 化成処理層
3 プライマー層
4 内面被覆層

Claims (5)

  1. 鋼管内面に、化成処理層、プライマー層、および内面被覆層をこの順に積層してなる樹脂内面被覆鋼管であって、
    前記化成処理層を、リン酸塩系処理液を用いた1回の化成処理により形成された層とし、
    前記プライマー層を、平均厚さ:10〜30μmである層とし、
    前記内面被覆層を、ポリオレフィン樹脂を粉体塗装してなる1層の樹脂被覆層とし、
    前記化成処理層が形成された後の鋼管内面の表面粗さRzが35〜75μmであることを特徴とするポリオレフィン粉体ライニング鋼管。
  2. 前記リン酸塩系処理液を、リン酸亜鉛カルシウム系処理液とすることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン粉体ライニング鋼管。
  3. 前記プライマー層が、エポキシ樹脂を含む層であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリオレフィン粉体ライニング鋼管。
  4. 前記ポリオレフィン樹脂がポリエチレン樹脂または変性ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のポリオレフィン粉体ライニング鋼管。
  5. 前記鋼管が、鍛接鋼管であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のポリオレフィン粉体ライニング鋼管。
JP2009042461A 2009-02-25 2009-02-25 ポリオレフィン粉体ライニング鋼管 Active JP5353297B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009042461A JP5353297B2 (ja) 2009-02-25 2009-02-25 ポリオレフィン粉体ライニング鋼管

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009042461A JP5353297B2 (ja) 2009-02-25 2009-02-25 ポリオレフィン粉体ライニング鋼管

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010196796A true JP2010196796A (ja) 2010-09-09
JP5353297B2 JP5353297B2 (ja) 2013-11-27

Family

ID=42821719

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009042461A Active JP5353297B2 (ja) 2009-02-25 2009-02-25 ポリオレフィン粉体ライニング鋼管

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5353297B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012154441A (ja) * 2011-01-27 2012-08-16 Jfe Steel Corp 水配管用内面被覆鋼管の製造方法
JP2012154442A (ja) * 2011-01-27 2012-08-16 Jfe Steel Corp 水配管用内面被覆鋼管の製造方法
JP2013152019A (ja) * 2011-12-27 2013-08-08 Jfe Steel Corp 転造ねじ加工性に優れたポリエチレン粉体ライニング鋼管
CN105290720A (zh) * 2014-07-21 2016-02-03 沧州龙鑫环保防腐管件有限公司 一种带有玻璃内衬的防腐管加工工艺
EP2664694A3 (en) * 2012-05-18 2017-07-12 Tube-Mac Piping Technologies Ltd. Method of making hydraulic tubing
JP2019090471A (ja) * 2017-11-14 2019-06-13 Jfeスチール株式会社 炭素鋼鋼管および軽量化配管システム

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS646476Y2 (ja) * 1980-04-24 1989-02-20
JPH0810704A (ja) * 1994-07-05 1996-01-16 Nippon Chiyuutetsukan Kk 表面被覆金属管およびその製造方法
JP2004308790A (ja) * 2003-04-07 2004-11-04 Sumitomo Metal Ind Ltd ポリオレフィン樹脂内面被覆鋼管
JP2006010063A (ja) * 2004-05-24 2006-01-12 Nippon Steel Corp 管端防食コア付樹脂ライニング鋼管およびその製造方法
JP2007268795A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Jfe Steel Kk 水配管用内面被覆鋼管
JP2007268797A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Jfe Steel Kk 水配管用内面被覆鋼管
JP2007268796A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Jfe Steel Kk 水配管用内面被覆鋼管

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS646476Y2 (ja) * 1980-04-24 1989-02-20
JPH0810704A (ja) * 1994-07-05 1996-01-16 Nippon Chiyuutetsukan Kk 表面被覆金属管およびその製造方法
JP2004308790A (ja) * 2003-04-07 2004-11-04 Sumitomo Metal Ind Ltd ポリオレフィン樹脂内面被覆鋼管
JP2006010063A (ja) * 2004-05-24 2006-01-12 Nippon Steel Corp 管端防食コア付樹脂ライニング鋼管およびその製造方法
JP2007268795A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Jfe Steel Kk 水配管用内面被覆鋼管
JP2007268797A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Jfe Steel Kk 水配管用内面被覆鋼管
JP2007268796A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Jfe Steel Kk 水配管用内面被覆鋼管

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012154441A (ja) * 2011-01-27 2012-08-16 Jfe Steel Corp 水配管用内面被覆鋼管の製造方法
JP2012154442A (ja) * 2011-01-27 2012-08-16 Jfe Steel Corp 水配管用内面被覆鋼管の製造方法
JP2013152019A (ja) * 2011-12-27 2013-08-08 Jfe Steel Corp 転造ねじ加工性に優れたポリエチレン粉体ライニング鋼管
EP2664694A3 (en) * 2012-05-18 2017-07-12 Tube-Mac Piping Technologies Ltd. Method of making hydraulic tubing
CN105290720A (zh) * 2014-07-21 2016-02-03 沧州龙鑫环保防腐管件有限公司 一种带有玻璃内衬的防腐管加工工艺
JP2019090471A (ja) * 2017-11-14 2019-06-13 Jfeスチール株式会社 炭素鋼鋼管および軽量化配管システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP5353297B2 (ja) 2013-11-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5353297B2 (ja) ポリオレフィン粉体ライニング鋼管
AU2017365730A1 (en) PVDF coated pipe for oil or gas applications
JPS59222275A (ja) 金属表面の被覆方法
US20050170116A1 (en) Continuous chromate-free fluidized-bed pipe coating
JP4742950B2 (ja) 水配管用内面被覆鋼管
JP5233493B2 (ja) 内面被覆鋼管の製造方法
JP5928328B2 (ja) 転造ねじ加工性に優れたポリエチレン粉体ライニング鋼管
JP6085932B2 (ja) ポリエチレン被覆鋼材、及びエポキシ樹脂プライマー層形成材料
JP5463999B2 (ja) 水配管用内面被覆鋼管の製造方法
JP6398851B2 (ja) 下地化成処理を行ったポリオレフィン被覆鋼材
JP4742949B2 (ja) 水配管用内面被覆鋼管
JP2988302B2 (ja) ポリオレフィン被覆鋼管とその製造方法
JP2018193570A (ja) 被覆鋼管の製造方法
JP2004009013A (ja) 鋳鉄管へのエポキシ粉体塗料の塗装方法
JP5359098B2 (ja) 水配管用内面被覆鋼管
JP4617575B2 (ja) 防食被覆鋼材の製造方法
JP2014031552A (ja) 6価クロムフリー有機被覆鋼材とその製造方法
RU2559621C1 (ru) Способ нанесения наружного трехслойного покрытия на магистральную трубу
KR102170915B1 (ko) 적용 온도가 낮은 분말 코팅
JP3163908B2 (ja) ポリオレフィン樹脂被覆鋼材
JP3111908B2 (ja) ポリエチレン樹脂被覆鋼材
JP6705309B2 (ja) 接着耐久性に優れたポリオレフィン被覆鋼材の製造方法
JP2023152869A (ja) ポリエチレン被覆鋼管の製造方法
JP2017128767A (ja) ポリオレフィン被覆鋼管及びその製造方法
JPH11141054A (ja) 耐食性に優れる被覆鋼線

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111025

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130305

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20130423

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130502

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130730

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130812

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5353297

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250