JP6705309B2 - 接着耐久性に優れたポリオレフィン被覆鋼材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、パイプラインや土木用途等に使用される表面処理層、プライマー層、変性ポリオレフィン樹脂層、ポリオレフィン樹脂層から構成されるポリオレフィン被覆鋼材の製造方法に関するものである。
ポリオレフィン被覆鋼材は、長期の防食性が優れていることから、鋼管、鋼管杭、鋼矢板等に利用されている。近年、海底、極寒冷地、熱帯での使用を前提とした原油、重質油、天然ガスを輸送するパイプラインにも、ポリオレフィン被覆鋼管が使われるようになってきている。ラインパイプは通常電気防食を併用して長期間使用されるが、防食電流により生じたアルカリ成分によってポリオレフィン樹脂被膜の損傷部から剥離が生じる陰極剥離と呼ばれる現象により防食性能が低下する。
近年はラインパイプの使用環境が高温化しており、高温環境下での耐陰極剥離性能の向上が求められている。耐陰極剥離性能には鋼材とプライマーの接着耐久性が影響するため、被覆する際の鋼材表面状態が重要となる。通常、被覆前の前処理としてブラスト処理を行い、鋼材表面に凹凸を形成させアンカー効果によるプライマーの接着力向上が期待される。また鋼材のスケールを落とすことで清浄な鋼材表面を得ている。しかしブラスト処理後の鋼材表面は粉じんや塩分、油分等の異物が存在しており、プライマーとの密着を阻害するこれらを除去するため、エアブロー、水洗、酸洗等で除去を行う。
特許文献1では洗浄液に化成処理液を使用することで、ダスト除去と表面の発錆防止を両立し、鋼材と変性ポリエチレンの密着性を確保する方法が報告されている。しかし高温環境ではプライマーの適用が必須であるため、鋼材とプライマーの接着耐久性を向上させなければならない。
特開昭62−294183号公報
本発明の目的は鋼材表面とプライマーの接着耐久性に優れたポリオレフィン被覆鋼材を得ることである。
本発明者らは鋼材表面とプライマーの接着耐久性を向上させるため、リン酸による酸洗に着目した。
本発明者らは鋭意検討の結果、pHが0.5〜2.5であるリン酸水溶液で洗浄することで、鋼材表面の微細なエッチング効果と表面の清浄化により接着耐久性が向上することを見出した。酸洗に使用する溶液には塩酸、硫酸等の強酸が挙げられるが、これらはエッチング能力が高すぎるため、エッチング層が厚く形成され、スラッジがエッチング層の微細な凹凸に入り込みやすくなるため、むしろ接着耐久性は向上しない。対してリン酸はこれらに比べ鋼材に対する溶解能力が低いため粗度を低下させず、上記pHの範囲では鋼面に10〜100nm厚の微細なエッチング層を形成し、鋼材−プライマー間の接着耐久性を高めることが判明した。
上記エッチング層の形成を促すための製造条件として、酸洗時の鋼材温度は40〜60℃かつ鋼材との反応時間を20〜120秒確保することにより適切なエッチング層を形成することができる。
更に検討を重ねた結果、上記リン酸水溶液にアルコール成分を0.5〜5%の濃度となるように添加することで、濡れ性の向上により接着耐久性を向上できることが判明した。
すなわち本発明は上記リン酸水溶液を用いて特定の条件で酸洗することで、微細なエッチング層を形成し、鋼材表面とプライマーの接着耐久性に優れたポリオレフィン被覆鋼材を得る製造方法である。
以上述べたように、鋼材表面とプライマーの接着耐久性に優れたポリオレフィン鋼材を得られる。これにより高温環境下でも塗膜の剥離を抑えることが出来る。
本発明のポリオレフィン被覆鋼材の被膜構成断面図である。 本発明のポリオレフィン被覆鋼材の製造方法の一例を示す工程図である。
以下、本発明につき詳細に説明を行なう。図1は、本発明の一つの実施態様を示すポリオレフィン被覆鋼材の被覆構成断面図である。本発明のポリオレフィン被覆鋼材の製造方法について、代表としてポリエチレン被覆鋼管の場合について説明する。図2は本発明のポリオレフィン被覆鋼材の製造方法の一例を示す工程図である。
本発明に使用する鋼材としては普通鋼、あるいは高合金鋼など、どのような鋼種でも適用可能である。なお、従来重防食被覆が適用されていた鋼管、また、海洋構造物等で使用される鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板等にも適用可能である。
まず鋼管をブラスト処理し、スケールを除去する。ブラストの方法としてはサンドブラスト処理、グリッドブラスト処理、あるいはショットブラスト処理等のいずれかの処理を用いる。
酸洗の前に鋼管を予熱することでリン酸水溶液と鋼管の反応が促進される。鋼管の温度は40〜60℃の範囲とする。40℃未満ではエッチング反応の進行が進みにくく、60℃を超えると鋼管とリン酸水溶液の反応で水素ガスが大量に発生するため危険である。
酸洗に使用するリン酸水溶液はpHが0.5〜2.5でとする。pHが0.5未満ではエッチング層まで溶解してしまうため接着耐久性の向上はならず、pHが2.5を超えると溶解能力が低下してエッチング層を形成できない。
エッチング層の厚みは10〜100nmとする。10nm未満ではエッチングによるアンカー効果が発揮できないため接着耐久性は向上せず、100nmを超えるとスラッジがエッチング層の微細な凹凸に入り込むため、接着耐久性は向上しない。
さらに酸洗用のリン酸水溶液にアルコール成分を添加することで接着耐久性を向上できる。添加するアルコールは水溶性アルコールが望ましい。非水溶性アルコールではリン酸水溶液と混和しないため、液中で分離するためである。具体的には、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプレングリコール、グリセリンおよびこれらの変性誘導体であってもよい。
アルコールの添加量は0.5〜5.0%が好ましい。アルコールの添加量が0.5%未満では濡れ性が向上しないため、鋼材−プライマー間の接着耐久性は向上せず、5.0%を超えるとリン酸成分とアルコールの縮合反応でリン酸エステルを形成するため不適である。
また、酸洗用のリン酸水溶液に界面活性剤を添加することで鋼材表面に残存する油分を除去できる。添加する界面活性剤としては非イオン性界面活性剤であることが好ましい。非イオン性界面活性剤を用いることでリン酸やアルコールとの反応が発生しないためである。具体的には、ラウリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、オクチルフェノールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコール、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミドおよびこれらの変性誘導体である。
界面活性剤の添加量は0.05〜0.2%が好ましい。界面活性剤成分の添加量が0.05%未満では濃度が薄いため油分の除去が十分でなく、0.2%を超えるとエッチング反応で発生したガスが泡となり表面に吸着し、水洗後に界面活性剤が残存するため不適である。
リン酸水溶液の適用方法としてはスプレーによる噴霧、カーテンフローによるかけ流し、浸漬槽への浸漬等が挙げられ特に制限はないが、鋼材表面が20〜120秒濡れた状態を維持できる方法が好ましい。20秒未満では表面のエッチング反応が充分に進行しない。120秒を超えるとエッチング層の厚さが大きくなり、スラッジがエッチング層の微細な凹凸に入り込むため、接着耐久性は向上しない。ただし丸ダイ法のように、鋼管が円周方向に回転しない場合、円周方向にノズルを均等配置し、鋼管全面が処理できるようにしてもよい。
酸洗後にリン酸水溶液を洗い流す際に使用する洗浄水は脱イオン水、蒸留水、RO処理水等の腐食を促進させるイオンを除去した水を使用することが好ましい。イオン除去していない水を使用すると鋼材表面に錆が生じる恐れがある。洗浄水のpHは6以上であることが好ましい。pHが6未満では鋼材表面に錆が生じる恐れがある。
洗浄水の適用方法は、高圧水を吹き付けてダストを除去するスプレーによる噴霧がより好ましい。丸ダイ法のように、鋼管が円周方向に回転しない場合、円周方向にノズルを均等配置し、鋼管全面が処理できるようにしてもよい。吹き付け圧力は7MPa以上が好ましい。7MPa未満では粗度の凹凸に入り込んだスラッジを除去しきれない場合がある。
洗浄水の除去(乾燥)方法はゴムベラによるしごき、エアブローによる乾燥、温風乾燥、鋼管自体を加熱する乾燥させる方法等が適用でき、特に制限はなく、単独あるいは複数を組み合わせて用いてもよい。ただし丸ダイ法のように、鋼管が円周方向に回転しない場合、円周方向に器具を均等配置し、鋼管全面が処理できるようにしてもよい。
表面の乾燥後、プライマー層を形成する前に下地処理として表面処理層2を形成させると、より優れた防食性が得られるため望ましい。表面処理の例としてはクロメート処理、リン酸塩処理等が挙げられる。
プライマー層には耐熱性に優れ、高温環境でも高い防食性を発揮する粉体エポキシ樹脂プライマーを使用するのが好ましい。
粉体エポキシ樹脂プライマーの塗布前に鋼材を加熱する必要がある。加熱温度範囲は160〜260℃であってもよい。160℃未満では粉体エポキシ樹脂プライマーの硬化反応が不十分となり、プライマー層自体の破壊が起きる可能性がある。加熱温度が260℃を超える場合は、形成されたプライマー層の劣化が始まり密着性、防食性が低下する可能性がある。鋼材の加熱方法は高周波誘導加熱、遠赤外加熱、ガス直火加熱などの方式を適用することができる。
プライマー層3に使用する材料の成分としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂エポキシ樹脂等を単独、もしくは混合して使用してもよい。更に高温特性が要求される場合、多官能性のフェノールノボラック型エポキシ樹脂やハロゲン化樹脂を上記のビスフェノールA型エポキシ樹脂あるいは、ビスフェノールF型のエポキシ樹脂と組み合わせて用いることが出来る。エポキシ樹脂硬化剤はジシアンジアミド系、芳香族ポリアミン系、フェノール系硬化剤等が使用でき、中でもフェノール系硬化剤が好ましい。フェノール系硬化剤を用いることで低温衝撃性に優れた塗膜が得られる。また、硬化促進剤、レベリング剤、流動化助剤、脱気剤等の添加剤や助剤を併用してもよい。
粉体エポキシ樹脂プライマーのガラス転移温度(Tg)は80℃以上、好ましくは100℃以上である。Tgが80℃より低いと操業温度が高温である時に耐食性が低下する。
粉体エポキシ樹脂プライマーは静電粉体塗装や流動浸漬塗装等の一般的な粉体塗装方法で塗布することができる。膜厚は50〜1000μmの範囲で塗布してもよい。膜厚が50μmより薄い場合にはピンホールが多数発生しやすい。一方、1000μmを超える厚膜塗装では低温での耐衝撃性等の特性が低下しやすい。
変性ポリオレフィン層4に使用する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の公知のポリオレフィン樹脂を、酸無水物でグラフト変性したもの、あるいは、その変性物をポリオレフィン樹脂で適宜希釈したものであってもよい。中でも無水マレイン酸の変性物が好ましく、プライマーとの接着に優れ、被覆条件に依らず高密着力が得られる。
グラフト変性率は0.1%〜3%であってもよい。0.1%より少ない場合はプライマー層との化学結合が少なく、密着力に乏しい。対して3%を超える場合では変性の過程で低分子量成分が増大し、接着界面に拡散し接着力が低下する。グラフト変性率の測定は赤外分光法にて行う。本発明で用いることができる変性オレフィンのメルトフローレート(MFR)(190℃あるいは230℃、荷重2.16kg)は、0.1〜10g/10分、より好ましくは0.1〜2.5g/10分であってもよい。この範囲より多くても少なくても成形性が悪くなる。
接着剤(変性ポリオレフィン層4)の被覆方法としては、押出機のダイスを用いて加熱溶融した変性オレフィン樹脂で直接鋼材を被覆する押出被覆方法を用いることができる。あるいは加熱した鋼材に予め成形した変性ポリオレフィン樹脂シートを貼り付ける方法、粉砕した変性オレフィン樹脂を粉体塗装して溶融して被膜を形成する方法等がある。これらの方法により、0.05〜1mmの膜厚を有する変性オレフィン樹脂接着剤層を形成してもよい。膜厚が0.05mm未満ではプライマー層との溶融濡れが悪く、接着力が不十分である。また、1mmを越えると経済性の観点から好ましくない。
最外層のポリオレフィン樹脂層5に使用する材料としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−プロピレン共重合体等の従来公知のポリオレフィン樹脂等であり、またこれらのブレンド樹脂であってもよい。
本発明で用いることができるポリオレフィン樹脂のMFR(190℃あるいは230℃、荷重2.16kg)は、0.1〜5g/10分、より好ましくは0.1〜2.5g/10分であってもよい。この範囲より多くても少なくても成形性が悪くなる。
最外層のポリオレフィン樹脂層には、ポリオレフィン樹脂以外の成分としては、耐熱性、耐候性対策としてカーボンブラック又はその他の着色顔料、充填強化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の耐候剤等を任意の組み合わせで添加することができる。
ポリオレフィン被覆の方法としては、接着剤(変性ポリオレフィン層4)と同様に押出機のダイスを用いて加熱溶融したポリオレフィン樹脂で直接鋼材を被覆する押出被覆方法を用いることができる。あるいは加熱した鋼材に予め成形したポリオレフィン樹脂シートを貼り付ける方法、粉砕したポリオレフィン樹脂を粉体塗装して溶融して被膜を形成する方法等がある。これらの方法により、1mm〜5mmの膜厚を有するポリオレフィン樹脂層を形成してもよい。膜厚が1mmより薄いと、防食性、耐衝撃性が劣るため好ましくない。また膜厚が5mmを超えると寒暖差による塗膜の収縮により、端部からポリオレフィン被覆層が剥離しやすいため好ましくない。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
鋼材サンプルとして、9mm×100mm×150mmの熱延鋼板に、グリッドブラスト処理を施したものを用意した。
実施例1〜3としてpHを0.5,1.5,2.5に調整したリン酸水溶液の浸漬槽に50℃に加熱した鋼板を60秒間浸漬させ酸洗を行った。 実施例4、5としてpHを1.5に調整したリン酸水溶液の浸漬槽にそれぞれ40,60℃に加熱した鋼板を60秒間浸漬させ酸洗を行った。実施例6、7としてpHを1.5に調整したリン酸水溶液の浸漬槽に50℃に加熱した鋼板をそれぞれ20,120秒浸漬させ酸洗を行った。実施例8,9としてpHを1.5に調整したリン酸水溶液に2−ブトキシエタノールをそれぞれ0.5、5%添加した浸漬槽に50℃に加熱した鋼板を60秒間浸漬させ酸洗を行った。実施例10及び11としてpHを1.5に調整したリン酸水溶液に2−ブトキシエタノールをそれぞれ0.4、6%添加した浸漬槽に50℃に加熱した鋼板を60秒間浸漬させ酸洗を行った。
また比較例1として酸洗処理を行わない鋼板を準備した。比較例2及び3としてpHを1.5に調整した塩酸、硫酸の浸漬槽に50℃に加熱した鋼板を60秒間浸漬させ酸洗を行った。比較例4及び5としてpHを0.3,2.7に調整したリン酸水溶液の浸漬槽に50℃に加熱した鋼板を60秒間浸漬させ酸洗を行った。比較例6及び7としてpHを1.5に調整したリン酸水溶液の浸漬槽にそれぞれ30,70℃に加熱した鋼板を60秒間浸漬させ酸洗を行った。比較例8及び9としてpHを1.5に調整したリン酸水溶液の浸漬槽に50℃に加熱した鋼板をそれぞれ10、130秒間浸漬させ酸洗を行った。
上記実施例1〜11、比較例2〜9は酸洗を行った後、8MPaの圧力で蒸留水による高圧洗浄をし、温風乾燥を実施した。
これら鋼板サンプルにクロメート処理を行い、鋼板を200℃に加熱し、粉体エポキシ樹脂プライマーを静電粉体塗装で150μmに塗装し、予め200℃で加熱した厚さ200μmの変性ポリエチレン樹脂のシートと厚さ3mmのポリエチレン樹脂のシートを順に被覆し、本発明の実施例、比較例の被覆鋼材サンプルを作製した。
上記実施例および比較例によって得られたポリエチレン被覆鋼材サンプルを下記に従って評価試験を行った。
〔エッチング層の厚み〕
被覆した鋼材サンプルの断面を透過型電子顕微鏡にて観察し、鋼材表面に形成しているエッチング層の厚みを測定した。
〔接触角の評価〕
酸洗処理を行った鋼材表面に2μLの水滴を注射針から滴下させ、液滴と鋼材表面のなす角度を断面写真から算出した。
〔陰極剥離性能の評価〕
ISO21809−1(印加電圧:−1.5V、試験温度:80℃、試験期間:28日間)に準拠し、試験を行った。試験終了後塗膜の剥離半径を測定した。
本発明の実施例及びに比較例の結果を表1に示す。
Figure 0006705309
実施例1〜9は比較例1〜11に比べ剥離半径が小さく、高温環境でも接着耐久性に優れたポリエチレン被覆鋼材が得られている。実施例8及び9はアルコールを添加することで接触角が低下し濡れ性が向上しており、実施例1〜7よりも剥離半径は小さい。アルコールの添加量が好ましい範囲外である実施例10及び11は、アルコールの添加量が好ましい範囲内である実施例8、9と比べると、剥離距離が若干大きいが、実施例1〜7とほぼ同等の剥離距離であった。
一方無処理である比較例1、使用した酸が塩酸、硫酸である比較例2及び3、pHが請求項範囲外である比較例4及び5、酸洗時の鋼板温度が請求項範囲外である比較例6及び7、処理時間が請求項範囲外である比較例8及び9は剥離距離が15mmを超えており、高温環境での長期使用では問題となる可能性が高い。
1 鋼材
2 表面処理層
3 プライマー層
4 変性ポリオレフィン層
5 ポリオレフィン層

Claims (2)

  1. 表面処理層、プライマー層、変性ポリオレフィン樹脂層、ポリオレフィン層を順に積層させたポリオレフィン被覆鋼材の製造方法であって、鋼材をブラスト処理した後40〜60℃に加熱し、pHが0.5〜2.5のリン酸水溶液で20〜120秒酸洗し、水洗、乾燥させ、鋼材表面に10〜100nmのエッチング層を形成させたことを特徴とするポリオレフィン被覆鋼材の製造方法。
  2. 前記リン酸水溶液はアルコール成分を0.5〜5%含有することを特徴とする、請求項1に記載のポリオレフィン被覆鋼材の製造方法。
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