JP2010196125A - 硫化銅鉱物を含む銅原料の浸出方法 - Google Patents

硫化銅鉱物を含む銅原料の浸出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硫化銅鉱物を含む銅原料、特に黄鉄鉱を多く含有し、かつ硫化銅鉱物の含有が少ない低品位銅原料から、加圧容器中で酸素ガスを送入しつつ銅を浸出する方法において、該銅原料中のイオウの酸化を最小限に抑制しながら、銅を高収率で浸出する方法を提供する。
【解決手段】加圧容器中で酸素ガスを送入しつつ硫化銅鉱物を含む銅原料から銅を浸出する方法であって、加圧容器中に、銅原料と硫酸水溶液からなるスラリーを形成し、かつ該容器内の温度を102〜112℃に維持しながら、該容器内の圧力が、その温度での平衡気相分圧に0.5〜2MPaを昇圧した値になるように、送入する酸素ガスを調節することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、硫化銅鉱物を含む銅原料の浸出方法に関し、さらに詳しくは、硫化銅鉱物を含む銅原料、特に、黄鉄鉱を多く含有し、かつ硫化銅鉱物の含有が少ない低品位銅原料から、加圧容器中で酸素ガスを送入しつつ銅を浸出する方法において、該銅原料中のイオウの酸化を最小限に抑制しながら、銅を高収率で浸出する方法に関する。
一般に、硫化銅鉱物を含有する銅鉱石には、黄銅鉱(キャルコパイライト:CuFeS)、輝銅鉱(キャルコサイト:CuS)、斑銅鉱(ボーナイト:CuFeS)、銅藍(コベライト:CuS)などの硫化銅鉱物とともに、黄鉄鉱、その他の脈石成分が共存している。これらの硫化銅鉱物を含有する銅鉱石から、銅を分離回収するには、まず、銅鉱石を選鉱して得た銅精鉱を熔錬炉に装入し、高温下で熔融して不純物元素を分離し、得た粗銅を電解精製して製品銅を回収するという乾式製錬法と電解精製を組み合わせた方法が一般的である。
一方、湿式製錬法として、銅精鉱等の硫化銅鉱物を濃縮した銅原料から、塩素ガス、塩化物イオン、又は硫酸を用いて銅を浸出し、浸出液から溶媒抽出、中和処理などの方法によって不純物元素を分離し、次いで電解採取する方法も開発されている。
例えば、10〜40g/Lの鉄イオンと10〜60g/Lの硫酸を含有し、かつ3価の鉄イオンと2価の鉄イオンの含有割合が、[Fe3+/Fe2+]比で2以上である浸出始液を用いて、酸素分圧を0.2〜0.7MPaに、かつ温度を50〜105℃に調整して硫化銅鉱物を浸出する方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。この方法では、比較的低温度で、かつ低酸素分圧で大気圧下に浸出されるので、硫化銅鉱物中のイオウの酸化が抑制されるという特徴がある。ここで、酸化されなかったイオウは、単体イオウとして分離回収できるので、取扱いが容易な点、及びイオウの酸化により生成する硫酸の中和処理の手間とコストが節減される点で有利となる。しかしながら、浸出温度が低いために硫化銅鉱物の酸化速度が遅いので、銅の高浸出率を得るためには、長時間を要するという工業生産上の問題がある。特に、浸出温度が80℃未満では、浸出液中の鉄濃度が充分にあっても浸出率が著しく低下してしまう。
また、別の方法として、例えば、圧力容器中において、硫化銅鉱物と硫酸鉄を含有する水溶液又は硫酸水溶液とをスラリーとし、220〜275℃、好ましくは235℃以上の温度を維持しつつ、酸素ガス又は空気を導入して硫化銅鉱物を浸出する方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。この方法では、高温度で鉱石全体が強力に酸化されるので、反応速度が速いため、高収率で銅を浸出することができる。ここで、硫化銅鉱物のすべてが溶解され、イオウはすべて硫酸イオンになる。また、硫化銅鉱物に含有される鉄成分は、硫酸と反応して硫酸鉄として溶液中に溶出し、さらに、高温の酸化雰囲気下では加水分解され、硫酸分を分離し、ヘマタイトと呼ばれる酸化鉄(III)(Fe)の形態となる。
したがって、鉱石自体に含有されるイオウから硫酸を生成することができるため、浸出開始時に浸出始液中に硫酸を存在させる必要がないという利点がある反面、加水分解により、硫酸鉄の硫酸分は硫酸に再生されるため、浸出液から銅を回収する工程の前に、中和剤を添加して余剰の硫酸分を中和するなどの処理が必要であり、中和剤に多くのコストを必要とするという問題があった。しかも、200℃を超える高温高圧下で操業するためには、圧力、温度、さらには腐食に耐えうる材質を有する加圧容器及びポンプが必要となるので、設備投資及び補修費用が高額になるという問題もあった。
また、別の方法として、例えば、圧力容器中において、銅精鉱と触媒として石炭を共存させつつ、容器内の温度を120〜180℃、好ましくは135〜175℃に維持しながら、容器内の圧力を0.1〜3MPa相当に維持するように酸素ガスを送入して浸出する方法(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。この方法では、上記二つの浸出方法の中間となる温度範囲で浸出する方法であり、両者のそれぞれの問題点である銅の浸出速度の向上とイオウの酸化率の抑制をある程度まで解決することができるという利点を有している。
すなわち、硫化銅鉱物の中で銅を含有する割合が高い斑銅鉱(CuFeS)、輝銅鉱(CuS)又は銅藍(CuS)では、硫酸及び酸素ガスとの反応が早く、イオウの酸化抑制と銅の高浸出率とを同時に達成することができる。ところが、硫化銅鉱物として豊富に産出される最も一般的な黄銅鉱(CuFeS)は、硫酸及び酸素ガスとの反応が遅く、浸出されにくいという性質があるため、浸出条件を強化して浸出する際にイオウの酸化も増加するという問題があった。
また、別の方法として、例えば、黄銅鉱を主体鉱物とする高品位の銅鉱石を浮選して得られた銅精鉱を高温高圧下で浸出を行い、第2鉄イオン及び硫酸を含有する銅浸出液を得て、低品位の銅鉱石に対するヒープリーチング又はバットリーチングに該銅浸出液を使用する銅鉱石からの銅回収方法(例えば、特許文献4参照。)が提案されている。ここで、高温高圧下での浸出では、温度が、好ましくは150〜220℃であり、圧力を大気圧より高くして行い、さらに酸素分圧が、好ましくは0.1〜2.0MPaである条件下に、イオウを硫酸イオンにまで酸化することが開示されている。したがって、この方法では、高温高圧下での浸出で生成された硫酸が、後続の低品位の銅鉱石の浸出剤として利用されるものの、従来方法と同様に高温高圧下での浸出に伴う設備及びコストの問題が解決されない。
以上のように、従来の方法では、硫化銅鉱物として豊富に産出される最も一般的な黄銅鉱(CuFeS)の浸出において、イオウの酸化抑制と銅の高浸出率とを同時に達成することができないという問題があった。
さらに、他の問題として、硫化銅鉱物と共存する黄鉄鉱に関わる課題がある。すなわち、硫化銅鉱物、特に、硫化銅鉱物として黄銅鉱を主成分として含有する銅鉱石には、黄鉄鉱(パイライト:FeS)などの硫化鉄鉱物が共存していることが通常である。ここで、黄銅鉱と硫酸塩との間の標準酸化還元電位(標準水素電極)は380mVであり、一方黄鉄鉱と硫酸塩との間の標準酸化還元電位(標準水素電極)は424mVであり、酸化還元電位だけを比較すると、理論上は黄鉄鉱の方が酸化されにくいことになるが、実際には、イオウの融点以上の温度領域では、黄鉄鉱が優先的に酸化されるということが知られている。なお、この理由については、後述する。
このため、黄鉄鉱を多く含有し、かつ硫化銅鉱物の含有が少ない低品位銅原料を、硫酸を用いて浸出処理すると、黄鉄鉱の含有量が少ない銅原料を処理した場合より、得られる浸出液に含有される硫酸濃度が大幅に増加し、後工程での中和処理のコストと手間を増加させてしまうという問題があった。
以上の状況から、硫化銅鉱物を含む銅原料、特に黄鉄鉱を多く含有し、かつ硫化銅鉱物の含有が少ない低品位銅原料から、銅を浸出する方法において、該銅原料中のイオウの酸化を最小限に抑制しながら、銅を高収率で浸出する方法が求められていた。
米国特許第6537440号明細書 米国特許第6497745号明細書 米国特許第5730776号明細書 特開2003−328050号公報(第1頁、第2頁、段落0034)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、硫化銅鉱物を含む銅原料、特に黄鉄鉱を多く含有し、かつ硫化銅鉱物の含有が少ない低品位銅原料から、加圧容器中で酸素ガスを送入しつつ銅を浸出する方法において、該銅原料中のイオウの酸化を最小限に抑制しながら、銅を高収率で浸出する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、加圧容器中で酸素ガスを送入しつつ硫化銅鉱物を含む銅原料から銅を浸出する方法について、鋭意研究を重ねた結果、加圧容器中に、銅原料と硫酸水溶液からなるスラリーを形成し、かつ該容器内の温度を所定値に維持しながら、該容器内の酸素ガスによる昇圧を所定値になるように、送入する酸素ガスを調節して浸出したところ、黄鉄鉱を多く含有し、かつ硫化銅鉱物の含有が少ない低品位銅原料においても、該銅原料中のイオウの酸化を最小限に抑制しながら、銅を高収率で浸出することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、加圧容器中で酸素ガスを送入しつつ硫化銅鉱物を含む銅原料から銅を浸出する方法であって、
加圧容器中に、銅原料と硫酸水溶液からなるスラリーを形成し、かつ該容器内の温度を102〜112℃に維持しながら、該容器内の圧力が、その温度での平衡気相分圧に0.5〜2MPaを昇圧した値になるように送入する酸素ガスを調節することを特徴とする硫化銅鉱物を含む銅原料の浸出方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記スラリー中に含有される硫酸量は、前記硫化銅鉱物に含有される銅を硫酸銅に変換するのに必要な化学当量の1〜2倍であることを特徴とする硫化銅鉱物を含む銅原料の浸出方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1発明において、前記スラリーの浸出開始時のスラリー濃度は、10〜300g/Lであることを特徴とする硫化銅鉱物を含む銅原料の浸出方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3いずれかの発明において、前記銅原料は、銅鉱石、銅精鉱又は硫化物形態の銅を含む銅製錬中間物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする硫化銅鉱物を含む銅原料の浸出方法が提供される。
本発明の硫化銅鉱物を含む銅原料の浸出方法は、硫化銅鉱物を含む銅原料、特に黄鉄鉱を多く含有し、かつ硫化銅鉱物の含有が少ない低品位銅原料から、加圧容器中で酸素ガスを送入しつつ銅を浸出する方法において、該銅原料中のイオウの酸化を最小限に抑制しながら、銅を高収率で浸出することできるので、その工業的価値は極めて大きい。すなわち、これにより、銅原料中のイオウを、処理の容易な単体イオウ又は黄鉄鉱として浸出残渣中に分離でき、かつ浸出液の処理に際し、中和剤の使用量を削減することができるので設備費用と処理コストを低減することができる。
以下、本発明の硫化銅鉱物を含む銅原料の浸出方法を詳細に説明する。
本発明の硫化銅鉱物を含む銅原料の浸出方法は、加圧容器中で酸素ガスを送入しつつ硫化銅鉱物を含む銅原料から銅を浸出する方法であって、加圧容器中に、銅原料と硫酸水溶液からなるスラリーを形成し、かつ該容器内の温度を102〜112℃に維持しながら、該容器内の圧力が、その温度での平衡気相分圧に0.5〜2MPaを昇圧した値になるように、送入する酸素ガスを調節することを特徴とする。
本発明において、加圧容器内の温度を102〜112℃に維持すること、及び該容器内の圧力が、その温度での平衡気相分圧に0.5〜2MPaを昇圧した値になるように、送入する酸素ガスを調節することが重要である。これによって、該銅原料中のイオウの酸化を最小限に抑制しながら、銅を高収率で浸出することできる。
すなわち、従来の方法において、前述した黄鉄鉱が優先的に酸化されるという現象に関して、黄銅鉱及び黄鉄鉱を含有する銅原料と硫酸水溶液からなるスラリーを形成し、120℃以上の温度で、酸素ガスの送入に伴い黄銅鉱及び黄鉄鉱が浸出される挙動を顕微鏡観察した。その結果、まず、酸化により表面に生成したイオウが融解し、次いで、この融体となったイオウで、黄銅鉱が優先的にイオウ液滴中に包含される一方、黄鉄鉱は、ほとんどイオウ液滴中に取り込まれず単独粒子として水溶液中に分散することが分かった。
ここで、このイオウ融体に取り込まれた黄銅鉱は、疎水性のイオウで覆われているため、硫酸水溶液との接触がさえぎられて酸化が抑制される。一方、黄鉄鉱は、水溶液中に単独で存在し、かつ他に酸化されやすいものがないため、その酸化が進行される。すなわち、従来の方法では、黄鉄鉱が黄銅鉱に優先的に酸化されることになる。
これに対し、本発明の方法では、加圧容器内の温度を102〜112℃に保持することにより、銅原料中の黄鉄鉱の酸化を抑制して黄銅鉱の酸化を優先させることができる。すなわち、イオウの融点は一般に113℃前後であることが知られている。したがって、イオウが融体を形成しない融点以下の温度、例えば112℃以下に維持することにより、黄銅鉱がイオウに包含されることを防ぐことができる。その結果、前述した酸化還元電位の値の通り、黄銅鉱のみを選択的に浸出することができるの、銅の浸出率を向上することができる。一方、低温とするほど反応速度が低下し、102℃未満の浸出温度では、実用的な反応速度が得られないので、銅の浸出率が低下する。
また、本発明の方法では、加圧容器内の圧力がその温度での平衡気相分圧に0.5〜2MPaを昇圧した値になるように送入する酸素ガスを調節することにより、イオウの酸化を最小限に抑制しつつ、銅の浸出率を上昇させることができる。すなわち、酸素ガスによる昇圧が0.5MPa未満では、酸素分圧が低くなり、酸化反応が不十分であるため、銅の浸出率が低い。一方、酸素ガスによる昇圧が2MPaを超えると、酸素分圧が高くなり、イオウの酸化が促進される。
ここで、黄銅鉱の硫酸による浸出反応としては、下記の式(1)にしたがって行なわれる。その後、得られる硫酸鉄(II)は、酸素共存下では加水分解され、ヘマタイトの形態となり固定される。すなわち、ヘマタイトは酸に対し安定であり、最も適した固定形態となる。
式(1):CuFeS+O+2HSO→CuSO+FeSO+2S+2H
上記方法において、前記スラリー中に含有される硫酸量としては、特に限定されるものではないが、スラリー中に含まれる硫化銅鉱物に含有される銅を硫酸銅に変換するのに必要な化学当量の1〜2倍であることが好ましい。すなわち、浸出の初期に、硫酸量を銅に対して2倍モル以下では、反応は上記の式(1)におけるように進行するので、イオウの酸化を抑制することができる。一方、硫酸量が銅に対し1倍未満では、浸出反応の進行が不十分となる。
上記方法において、浸出開始時のスラリー濃度としては、特に限定されるものではないが、10〜300g/Lであることが好ましい。すなわち、そのスラリー濃度が10g/L未満では、浸出設備の単位体積あたりの銅の浸出量が少なく、設備が巨大化し、生産性も低下する。一方、そのスラリー濃度が300g/Lを超えると、硫酸銅及び硫酸鉄が溶解度を超え、鉱石粒子を被覆し、反応性が低下する。
上記方法で用いる銅原料としては、特に限定されるものではないが、黄銅鉱(キャルコパイライト:CuFeS)、輝銅鉱(キャルコサイト:CuS)、斑銅鉱(ボーナイト:CuFeS)、銅藍(コベライト:CuS)などの硫化銅鉱物とともに、黄鉄鉱、その他の脈石成分が共存している銅鉱石、該銅鉱石を浮遊選鉱に付して得られた銅精鉱、或いは、乾式熔錬法又は湿式製錬法で得られる硫化物形態の銅を含む銅製錬中間物から選ばれる少なくとも1種であるものが用いられる。特に、黄銅鉱と黄鉄鉱を含有する銅原料が好ましく用いられる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析は、ICP発光分析法で行った。
(実施例1)
組成が、Cu:20.6質量%、Fe:25.7質量%、及びS:24.6質量%であり、顕微鏡観察により黄銅鉱と黄鉄鉱が主鉱物である銅精鉱を用いた。
まず、前記銅精鉱を10μm以下の粒子が80質量%以上を占める粒度分布になるように、湿式ビーズミルを用いて粉砕した。
次に、粉砕した銅精鉱200gを、組成が、Cu:1.3g/L、Fe:45.3g/L、S:64.2g/L、及び遊離硫酸濃度:95g/Lである硫酸水溶液からなる浸出始液1リットルと混合してスラリーを得て、軽く攪拌した。なお、銅精鉱中の銅と浸出始液中の硫酸とのモル比は、約1.6である。また、スラリー濃度は、95g/Lである。さらに、このスラリーに、イオウと銅鉱石の剥離性を改善する界面活性剤として、リグニンスルホン酸ナトリウム0.5g/Lを混合した。
続いて、スラリーを圧力容器中に装入し、攪拌しながら、105℃まで昇温した。105℃における圧力は、約0.1MPaであった。ここで、この温度を維持しながら、酸素ガスを吹き込み、1.5MPaまで昇圧してこの状態を2時間維持した。
その後、反応後のスラリーを取り出し、濾過して濾液と残渣とに分離し、それぞれの分析を行ない、銅が濾液に分配した割合から銅浸出率を求めた。また、濾液中のイオウの濃度変化と残渣中の元素イオウ、硫化物イオウ、及び硫酸形態のイオウ品位とを分析し、硫化銅鉱物に含有されたイオウが硫酸イオンに変化した割合を算出してイオウ酸化率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例2)
圧力容器内の温度が、110℃であったこと、及びそのときの圧力は、約0.15MPaであり、この温度を維持しながら、酸素ガスを吹き込み、0.75MPaまで昇圧し、さらに全圧を揃えるため、約1.5MPaまで窒素ガスを吹き込んだこと以外は、実施例1と同様に行い、銅浸出率とイオウ酸化率を求めた。結果を表1に示す。
(比較例1)
圧力容器内の温度が、160℃であったこと、及びそのときの圧力は、約0.6MPaであり、この温度を維持しながら、酸素ガスを吹き込み、2.0MPaまで昇圧したこと以外は、実施例1と同様に行い、銅浸出率とイオウ酸化率を求めた。結果を表1に示す。
(比較例2)
圧力容器内の温度が、120℃であったこと、及びそのときの圧力は、約0.2MPaであり、この温度を維持しながら、酸素ガスを吹き込み、2.0MPaまで昇圧したこと以外は、実施例1と同様に行い、銅浸出率とイオウ酸化率を求めた。結果を表1に示す。
(比較例3)
圧力容器内の温度が、95℃であったこと、及びこの温度を維持しながら、酸素ガスを吹き込み、1.5MPaまで昇圧したこと以外は、実施例1と同様に行い、銅浸出率とイオウ酸化率を求めた。結果を表1に示す。
(比較例4)
圧力容器内の酸素ガスの吹き込み後の圧力が、0.3MPaであったこと以外は、実施例1と同様に行い、銅浸出率とイオウ酸化率を求めた。結果を表1に示す。
(比較例5)
圧力容器内の酸素ガスの吹き込み後の圧力が、2.5MPaであったこと以外は、実施例1と同様に行い、銅浸出率とイオウ酸化率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2010196125
表1より、実施例1又は2では、銅原料と硫酸水溶液からなるスラリーを形成し、かつ圧力容器内の温度を102〜112℃に維持しながら、該容器内の圧力が、その温度での平衡気相分圧に0.5〜2MPaを昇圧した値になるように、送入する酸素ガスを調節して、本発明の方法に従って行われたので、銅原料中のイオウの酸化を抑制しながら、銅を高収率で浸出することができることが分かる。これに対して、比較例1〜5では、圧力容器内の温度又は酸素ガスによる昇圧がこれらの条件に合わないので、銅浸出率又はイオウ酸化率において満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の硫化銅鉱物を含む銅原料の浸出方法は、該銅原料中のイオウの酸化を最小限に抑制しながら、銅を高収率で浸出するので、特に、黄銅鉱と黄鉄鉱を含有する銅原料の浸出方法として好適である。

Claims (4)

  1. 加圧容器中で酸素ガスを送入しつつ硫化銅鉱物を含む銅原料から銅を浸出する方法であって、
    加圧容器中に、銅原料と硫酸水溶液からなるスラリーを形成し、かつ該容器内の温度を102〜112℃に維持しながら、該容器内の圧力が、その温度での平衡気相分圧に0.5〜2MPaを昇圧した値になるように、送入する酸素ガスを調節することを特徴とする硫化銅鉱物を含む銅原料の浸出方法。
  2. 前記スラリー中に含有される硫酸量は、前記硫化銅鉱物に含有される銅を硫酸銅に変換するのに必要な化学当量の1〜2倍であることを特徴とする請求項1に記載の硫化銅鉱物を含む銅原料の浸出方法。
  3. 前記スラリーの浸出開始時のスラリー濃度は、10〜300g/Lであることを特徴とする請求項1に記載の硫化銅鉱物を含む銅原料の浸出方法。
  4. 前記銅原料は、銅鉱石、銅精鉱又は硫化物形態の銅を含む銅製錬中間物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硫化銅鉱物を含む銅原料の浸出方法。
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