JP6437366B2 - モリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法 - Google Patents

モリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6437366B2
JP6437366B2 JP2015071999A JP2015071999A JP6437366B2 JP 6437366 B2 JP6437366 B2 JP 6437366B2 JP 2015071999 A JP2015071999 A JP 2015071999A JP 2015071999 A JP2015071999 A JP 2015071999A JP 6437366 B2 JP6437366 B2 JP 6437366B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molybdenum
leaching
copper
concentrate
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015071999A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016191117A (ja
Inventor
浩至 勝川
浩至 勝川
宏太 中嶋
宏太 中嶋
和浩 波多野
和浩 波多野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JX Nippon Mining and Metals Corp
Original Assignee
JX Nippon Mining and Metals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JX Nippon Mining and Metals Corp filed Critical JX Nippon Mining and Metals Corp
Priority to JP2015071999A priority Critical patent/JP6437366B2/ja
Publication of JP2016191117A publication Critical patent/JP2016191117A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6437366B2 publication Critical patent/JP6437366B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Description

本発明はモリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法に関する。
モリブデンは、輝水鉛鉱(molybdenite,MoS2)(硫化モリブデン)、モリブデン鉛鉱(wulfenite,PbMoO4)(モリブデン酸鉛)、パウエライト(Ca(Mo,W)O4)、鉄水鉛鉱(Fe2(MoO43・nH2O)等の鉱石中に存在しており、これらの中でも輝水鉛鉱の鉱業的な利用が進んでいる。
モリブデン鉱は銅の硫化物とともに産出されることが多く、浮遊選鉱法により銅とモリブデンを選別することによって、モリブデン精鉱を回収する。回収したモリブデン精鉱からモリブデンを回収するためには、モリブデン精鉱を焙焼し、三酸化モリブデン(MoO3)として回収することが一般的に行われる。しかしながら、通常回収したモリブデン精鉱中には数%の銅の硫化物が混在しており、焙焼により回収した三酸化モリブデン中にも硫黄が不純物として残る。そのため、従来は、塩化鉄法による前処理によって、モリブデン精鉱から予め銅を除去することが一般的に行われている。
例えば、米国特許第3674424号明細書(特許文献1)には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物を含有する水溶液を浸出液として使用し、モリブデン精鉱から銅を除去して純度を高める方法が記載されている。
特開昭58−189343号公報(特許文献2)には、モリブデン鉱選鉱物内に存在する不純物として含まれる銅を、塩化第二鉄を用いて浸出する方法が記載されている。
米国特許第3674424号明細書 特開昭58−189343号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載されるような塩化鉄法を用いた場合には、浸出処理時に銅と一緒に浸出されて逸損するモリブデンが無視できないため、モリブデンの回収率向上に関してはまだ改善の余地がある。更に、特許文献1及び2に記載されるように、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物を含有する塩素ガスや高圧ガスを使用した高温処理を行う場合には処理に危険を伴い、コストや安全面での課題も残る。更に特許文献1及び2では、モリブデン精鉱中から回収した三酸化モリブデンを含む焙焼精鉱中の硫黄濃度への影響については検討されていない。
上記課題を鑑み、本発明は、従来に比べてより生産性が高く安全な方法で、モリブデン精鉱を焙焼して得られる三酸化モリブデンを含む焙焼精鉱中の硫黄濃度を低減することが可能なモリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法を提供する。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、酸性塩化浴、即ち塩化物イオンを含む酸性水溶液を用いて、モリブデン精鉱中の銅とカルシウムとを除去するための前処理を施すことが有効であるとの知見を得た。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、塩化物イオンを含む酸性水溶液を用いてモリブデン精鉱に含まれる銅及びカルシウムを浸出する前処理工程と、前処理工程で得られたモリブデン精鉱処理物を酸化焙焼して三酸化モリブデンを含む焙焼精鉱を回収することとを含むモリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法が提供される。
本発明に係るモリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法は別の一実施態様において、塩化物イオンを含む酸性水溶液が、銅イオン又は鉄イオンの少なくともいずれかを含む酸性水溶液であり、前処理工程が、酸性水溶液に酸化剤を供給しながらモリブデン精鉱中の銅及びカルシウムを浸出し、次いで固液分離により浸出残渣と浸出後液を得ることを含む。
本発明に係るモリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法は更に別の一実施態様において、前処理工程が、塩化物イオンを100〜200g/L、銅イオンを1〜30g/L、鉄イオンを1〜10g/L含有する50〜100℃の酸性水溶液に酸素含有気体を供給しながらモリブデン精鉱を接触させてモリブデン精鉱中の銅及びカルシウムを浸出する工程と、次いで固液分離により浸出後液と浸出残渣を得ることを含む。
本発明に係るモリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法は更に別の一実施態様において、前処理工程が、塩化物イオンを100〜200g/L、銅イオンを1〜30g/L、鉄イオンを1〜20g/L含有する50〜100℃の酸性水溶液をモリブデン精鉱に接触させて銅及びカルシウムを浸出する工程と、次いで固液分離により浸出後液と浸出残渣を得る工程を含み、銅及びカルシウムの浸出終点における酸性水溶液の酸化還元電位(vs Ag/AgCl)を400〜480mVとすることを含む。
本発明に係るモリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法は更に別の一実施態様において、焙焼精鉱の硫黄濃度が0.7質量%以下である。
本発明に係るモリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法は更に別の一実施態様において、モリブデン精鉱が、銅を0.3〜10質量%、カルシウムを0.15〜5.0%、鉄を0.3〜10質量%、モリブデンを20〜60質量%含有する。
本発明によれば、従来に比べてより生産性が高く安全な方法で、モリブデン精鉱を焙焼して得られる三酸化モリブデンを含む焙焼精鉱中の硫黄濃度を低減することが可能なモリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法が得られる。
焙焼時間と焙焼残渣中の残渣S品位との関係を表すグラフである。 焙焼対象処理物の原料Cu品位と残渣S品位との関係を表すグラフである。 焙焼対象処理物の原料Fe品位と残渣S品位との関係を表すグラフである。 焙焼対象処理物の原料Ca品位と残渣S品位との関係を表すグラフである。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。
本発明の実施の形態に係るモリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法は、塩化物イオンを含む酸性水溶液を用いてモリブデン精鉱に含まれる銅及びカルシウムを浸出する前処理工程と、前処理工程で得られたモリブデン精鉱処理物を酸化焙焼して三酸化モリブデンを含む焙焼精鉱を回収する工程とを含む。
本実施形態において処理対象とするモリブデン精鉱としては、例えば輝水鉛鉱、モリブデン鉛鉱、パウエライト、及び鉄水鉛鉱から選択される一種以上を含有する鉱石、とりわけ輝水鉛鉱を含有する鉱石を浮遊選鉱した後のモリブデン精鉱が好適に用いられる。
モリブデン精鉱中の銅は硫化物の形態、例えば輝銅鉱及び/又は黄銅鉱の形態で存在してもよい。モリブデン精鉱は一実施形態においてCuを0.3〜10質量%含有し、典型的な一実施形態においてCuを1〜10質量%含有し、より典型的な一実施形態においてCuを2〜5質量%含有する。モリブデン精鉱は一実施形態においてMoを20質量%以上含有し、より典型的にはMoを30〜60質量%含有し、更に典型的な一実施形態においてMoを40〜50質量%含有する。
更に、モリブデン精鉱は一実施形態においてCaを0.15〜5.0質量%含有し、典型的にはCaを0.3〜2.0質量%含有する。更に、モリブデン精鉱は一実施形態においてFeを0.3〜10質量%含有する。
(1)前処理工程
本実施形態に係る前処理工程ではまず、塩化物イオンを含む酸性水溶液(以下、「浸出液」ともいう。)を用いて、モリブデン精鉱中に含まれる銅及びカルシウムを浸出させる浸出工程と、浸出工程で得られた浸出反応液を固液分離する工程を含む。
酸性水溶液への塩化物イオンの供給源としては特に制限はなく、例えば塩化水素、塩酸及び塩化金属等が挙げられる。経済性や安全性を考慮すれば塩化金属の形態で供給するのが好ましい。塩化金属としては、例えば塩化銅(塩化第一銅、塩化第二銅)、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム)の塩化物、アルカリ土類金属(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム)の塩化物が挙げられ、経済性や入手容易性の観点から、塩化ナトリウムが好ましい。また、銅イオンの供給源としても利用できることから、塩化銅を利用することも好ましい。
酸性水溶液は、塩化物イオンに加えて更に銅イオン又は鉄イオンの少なくともいずれかを含むことが好ましい。銅イオン及び鉄イオンは、塩の形態で供給するのが通常であり、例えばハロゲン化塩の形態で供給することができる。塩化物イオンの供給源としても利用できる観点から銅イオンは塩化銅、鉄イオンは塩化鉄として供給されるのが好ましい。塩化銅及び塩化鉄としては酸化力の観点から塩化第二銅(CuCl2)及び塩化第二鉄(FeCl3)を使用するのがそれぞれ望ましいが、塩化第一銅(CuCl)及び塩化第一鉄(FeCl2)を使用しても浸出液に酸素含有気体を供給することで、塩化第二銅(CuCl2)及び塩化第二鉄(FeCl3)にそれぞれ酸化されるため、大差はない。
モリブデン精鉱からその後の焙焼処理において焙焼精鉱中の硫黄濃度を低減するためには、浸出工程で使用する浸出液は酸性とすべきである。特に、塩化物イオンの供給源としても利用できることから、塩酸酸性とするのが好ましい。浸出液のpHは、浸出した銅及びカルシウムの溶解度を確保する理由から、ガラス電極によって測定されるpHを0〜3程度とするのが好ましく、0.2〜2.5程度とするのがより好ましい。本実施形態においては、前処理工程に使用される浸出液として、塩酸、塩化第二銅、塩化第二鉄、及び塩化ナトリウムの混合液を使用することができる。
酸性水溶液の具体例としては、塩化物イオンを100〜200g/L、銅イオンを1〜30g/L、鉄イオンを1〜10g/L含有する50〜100℃の酸性水溶液を用いることが好ましい。すなわち、浸出工程における浸出液として酸性塩化浴を使用することで、モリブデン精鉱中の銅だけでなくカルシウムをもより効率的に除去できる。その結果、モリブデン精鉱の酸化焙焼処理で得られる酸化レニウムの揮発率を向上させることができる。更に銅イオンを浸出液中に存在させておくことで、銅の浸出反応も促進される。
浸出液中の塩化物イオンの濃度は、銅及びカルシウムの溶解反応を高い効率で実現する観点から、100g/L以上であることが好ましく、120g/L以上であることがより好ましく、140g/L以上であることが更により好ましい。しかしながら、経済性を考慮すると、過度に高濃度にする必要はなく、浸出液中の塩化物イオンの濃度は一般には200g/L以下であり、好ましくは180g/L以下である。
浸出液中の銅イオンの濃度は、銅及びカルシウム浸出反応の促進の観点から、1g/L以上であることが好ましく、5g/L以上であることがより好ましい。しかしながら、経済性を考慮すると、過度に高濃度にする必要はなく、浸出液中の銅イオンの濃度は一般には30g/L以下であり、好ましくは20g/L以下である。
鉄イオンは、銅及びカルシウム浸出の促進に好適な成分であり、銅の溶解反応を高い効率で実現する観点から、1g/L以上であることが好ましいが、20g/Lを超えるとMoの浸出率が顕著に増加して逸損することから、浸出液中の鉄イオン濃度は20g/L以下とするべきであり、10g/L以下であることが好ましく、8g/L以下であることがより好ましく、6g/L以下とすることが更に好ましい。
Moの浸出を防止するという観点からは、浸出液中の銅イオンと鉄イオンの合計が25g/L以下であることが好ましく、20g/L以下であることがより好ましい。
なお、上記の塩化物イオン、銅イオン及び鉄イオンの濃度は、酸性水溶液をモリブデン精鉱に接触させる前の浸出液中の濃度を指す。
浸出液とモリブデン精鉱の接触方法としては特に制限はなく、噴霧や浸漬などの方法があるが、反応効率の観点から、浸出液中にモリブデン精鉱を浸漬し、撹拌する方法が好ましい。
上記浸出処理においては、酸素含有気体を浸出液に供給することにより銅及びカルシウムの浸出速度を高めることが可能となる。酸素含有気体の流量を増大させることで、銅及びカルシウムの浸出速度が増大する傾向にある。これにより、モリブデンが浸出するよりも先に銅及びカルシウムの浸出が進行するため、モリブデンの逸損を抑えることが可能となる。酸素含有気体としては、特に制限はないが、例えば空気、酸素、酸素と不活性ガス(窒素や希ガスなど)の混合ガスが挙げられる。経済性の観点からは空気が好ましい。
酸素含有気体は上述した効果を有効に発揮させるという観点から前記浸出液1L当たり0.02slpm以上の流量で供給することが好ましく、0.04slpm以上の流量で供給することがより好ましく、0.08slpm以上の流量で供給することが更により好ましい。ただし、過剰に供給した場合は、気泡中への液の蒸発で奪われる蒸発熱を補償するために電力などのエネルギーを多く消費し、また、精鉱粒子が表面に塗された気泡の層(フロス)が大量に発生して反応槽からあふれるため、前記浸出液1L当たり0.5slpm以下の流量で供給することが好ましく、前記浸出液1L当たり0.25slpm以下の流量で供給することがより好ましく、前記浸出液1L当たり0.15slpm以下の流量で供給することが更により好ましい。
或いは、浸出工程は、浸出終点における浸出液の酸化還元電位(vs Ag/AgCl)が400〜480mVの範囲に入るようにして行うこともまた、Moの溶出を抑えながらCu及びCaをより効率的に浸出させる観点で有効である。酸化還元電位が480mVを超えるとMoの溶出が無視できなくなる一方で、酸化還元電位が400mV未満だと銅及びカルシウムの浸出速度が極端に遅くなってしまい工業的ではない。浸出終点における浸出液の酸化還元電位は好ましくは460mV以下であり、より好ましくは450mV以下であり、更により好ましくは440mV以下であり、更に好ましくは430mVであり、最も好ましくは420mV以下である。
浸出終点における浸出液の酸化還元電位は好ましくは410mV以上である。浸出液の酸化還元電位は、酸素含有ガスを吹き込む等の特別な操作を行わない限り浸出時間の経過に伴って徐々に低下することから、特別な操作を行わない場合に浸出終点における酸化還元電位をこのような範囲に制御するためには、浸出初期段階で酸化還元電位が十分に高くなるように液組成及びパルプ濃度を設定することが重要となる。
酸化還元電位は浸出終点のみならず、浸出最中においても上記の範囲に維持されることが望ましい。安定した浸出効果を得るためである。具体的には、浸出開始時点から2時間経過後から浸出終点まで上述した範囲の酸化還元電位に維持することが好ましく、浸出開始時点から1時間経過後から浸出終点まで上述した範囲の酸化還元電位に維持することがより好ましい。
浸出開始時点というのは浸出液とモリブデン精鉱の接触が開始された時点であり、浸出終点というのは浸出液をモリブデン精鉱から固液分離した時点をいう。
前処理工程に使用する浸出液の温度は浸出効率や装置の材質の観点から、50℃以上とするのが好ましく、60℃以上とするのがより好ましく、70℃以上とするのが更により好ましいが、高すぎると浸出液の蒸発や加熱コストの上昇あるので、100℃以下とするのが好ましく、90℃以下とするのがより好ましく、85℃以下とするのがより好ましい。浸出効率を高めることを目的として前処理工程を加圧下で実施することも可能であるが、大気圧下で十分である。すなわち高圧での浸出工程を行うための耐圧容器を必要とせず、より簡易な装置を用いることができる。銅浸出を促進するため、処理対象となるモリブデン精鉱を予め粉砕・摩鉱しておくことが好ましい。
前処理工程では、使用する浸出液に対するモリブデン精鉱の量を大きくして実施する方が浸出コストの低減の観点から好ましい。そのため、本発明の一実施形態においては、50g/L以上のパルプ濃度で浸出工程を行うことができ、本発明の別の一実施形態においては、150g/L以上のパルプ濃度で浸出工程を行うことができ、本発明の更に別の一実施形態においては、300g/L以上のパルプ濃度で浸出工程を行うことができる。一方で、浸出速度を高めるという観点からは使用する浸出液に対するモリブデン精鉱の量は小さい方が好ましいことから、本発明の一実施形態においては、800g/L以下のパルプ濃度で浸出工程を行うことができ、本発明の別の一実施形態においては、600g/L以下のパルプ濃度で浸出工程を行うことができ、本発明の更に別の一実施形態においては、500g/L以下のパルプ濃度で浸出工程を行うことができる。ここで、パルプ濃度とは使用する浸出液の体積(L)に対するモリブデン精鉱(乾燥重量(g))の比である。
銅及びカルシウムの前処理工程は一段階で実施することもできるが、モリブデン精鉱中の銅及びカルシウムの浸出を十分に行うために前処理工程を複数段階で実施することも可能である。複数段階を利用した前処理工程は、具体的には、一段目における浸出操作を終了後に、フィルタープレスやシックナーなどによって固液分離し、浸出残渣に対して次段の浸出操作を行うことにより実施することができる。
本発明によれば、モリブデンの浸出を抑制しながらも、銅及びカルシウムを浸出することが可能である。例えば、本発明の一実施形態においては、浸出後液中のモリブデン濃度を0.001g/L以下に抑制しながら、銅の浸出率70%以上を達成することができる。本発明の別の一実施形態においては、浸出後液中のモリブデン濃度を0.005g/L以下に抑制しながら、銅の浸出率90%以上を達成することができ、本発明の更に別の一実施形態においては、浸出後液中のモリブデン濃度を0.005g/L以下に抑制しながら、銅の浸出率95%以上を達成することができる。
また、浸出工程は、モリブデン精鉱処理物として焙焼処理される浸出残渣中の銅品位が2.0質量%以下、好ましくは1.5質量%以下とし、典型的には0.3〜0.7質量%程度になるまで実施することが好ましい。これにより、回収される焙焼精鉱中に不純物として含まれる硫黄の品位を0.7質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下にまで低減できる。
或いは、浸出工程は、浸出残渣中のカルシウム品位が1500ppm以下、好ましくは500ppm程度以下になるまで実施することが好ましい。これにより、回収される焙焼精鉱中に不純物として含まれる硫黄の品位を0.7質量%以下にまで低減できる。
或いは、浸出工程は、浸出残渣中の鉄品位が10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3.6質量%以下、典型的には2.0〜3.8質量%、より好ましくは2.5〜3.5質量%になるまで実施することが好ましい。
浸出に要する時間は、原料であるモリブデン精鉱中の銅品位にもよるが、浸出残渣中の銅品位が0.5質量%となるまでに要する時間は、例えば4〜10時間くらいであり、典型的には5〜6時間くらいである。
(2)酸化焙焼工程
次に、前処理工程で固液分離により得られた浸出残渣(モリブデン精鉱処理物)を酸化焙焼し、三酸化モリブデンを含む焙焼精鉱を回収する。酸化焙焼処理では、処理物の処理温度を500〜600℃、より典型的には550℃前後とすることが好ましい。酸化焙焼処理には、空気などの酸素含有気体を焙焼炉に供給する。典型的には2.0〜8.0(L/g−MoS2)、より典型的には、2.5〜6.0(L/g−MoS2)となるように酸素含有気体を供給することが好ましい。焙焼時間は特に制限されないが、例えば1.5〜6時間程度とすることができる。
本実施形態に係る回収工程で得られた焙焼精鉱中の不純物として未反応の硫化モリブデン、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸カルシウム等が考えられるが、本実施形態に係る前処理工程を行うことによって、硫黄濃度を0.7質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下にまで低減できる。前処理による低減効果は、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸カルシウムの生成を防止することに起因すると考えられる。これにより、従来に比べてより高純度な三酸化モリブデンを得ることができる。なお、焙焼精鉱中の硫黄濃度は、試料をアルカリ溶融し、更に酸溶解後にICP発光分光分析法によって分析した。
<その他>
(鉄酸化)
浸出工程で得られた浸出液には、浸出液に元々含まれていた鉄の他、モリブデン精鉱中の鉄の一部が溶解した鉄が含まれている。これらの鉄イオンの多くはFe(II)と考えられる。これを酸化することでFe(III)とし、再度浸出に使用することができる。またpHを調整することで、Fe(III)の一部を沈殿し、浸出液中の鉄濃度をコントロールすることができる。酸化の条件としては20〜70℃、pH1.5〜3.0でエアレーションすることがコストと反応速度の面で最も好ましい。温度とpHは高ければ高いほど、反応速度が速い。
(銅回収)
浸出工程で得られた浸出後液から銅を回収することができる。銅の回収方法としては特に制限はないが、例えば溶媒抽出、イオン交換、卑な金属との置換析出及び電解採取などを利用することができる。浸出後液中の銅は1価及び2価の状態が混在しているが、溶媒抽出やイオン交換を円滑に行うために、全部が2価の銅イオンとなるように予め酸化しておくことが好ましい。酸化の方法は特に制限はないが空気や酸素を浸出後液中に吹き込む方法が簡便である。
本発明に係るモリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法の一実施形態においては、浸出後液中の銅を、溶媒抽出及び逆抽出を経て、電解採取によりカソード上に電気銅として回収する工程を更に含む。当該工程自体は一般にSX−EW(Solvent Extraction and Electro-Winning)法と呼ばれている方法であり、当業者にとって周知である。
また、溶媒抽出前に、浸出後液に空気などの酸素含有気体を吹き込んで液中の銅を酸化する工程を経ることもできる。これにより、銅を溶媒抽出後に逆抽出(ストリップ)して直接電解採取することを可能にするという利点が得られる。酸化工程を経ない場合、強塩化物浴では一価の銅が高濃度で存在するため電解採取の際にデンドライト銅として析出する。デンドライト銅は金属粉末として電解槽に沈殿する。カソードに板状銅として回収する方が圧倒的に運搬等の操作性の面で長所が多い。更に、酸化工程後は固液分離することもできる。固液分離は浸出液中に鉄が含まれている場合に、酸化残渣に移行するため、浸出後液中の銅純度を高める上で有利である。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
(実施例1:前処理の有無による焙焼処理後回収残渣S品位への影響)
輝水鉛鉱を含む鉱石から浮遊選鉱により選別されたモリブデン精鉱を粉砕したものを用意した。モリブデン精鉱は、酸溶解後にICP発光分光分析法(ICP−OES)で分析したところ、Mo:45質量%、Cu:3.6質量%、Fe:4.5質量%、S:37質量%、Ca:3700ppmの組成を有していた。全塩化物イオン180g/L、Cuイオン18g/L、Feイオン2g/L、塩酸7g/Lのイオン組成を有し、pHが0.75となるように、塩酸、塩化第二鉄、塩化第二銅、塩化ナトリウムを混合した浸出液(酸性水溶液)を調整し、この浸出液4Lをホットスターラーで75℃に加熱後、当該モリブデン精鉱1520gを投入し、浸出液への空気吹き込み(0.37slpm)と撹拌を継続しながら浸出試験を実施し、固液分離を行って浸出後液及び浸出残渣を得た。なお、浸出液及び残渣中の金属の分析は、ICP発光分光分析法で行った。イオン濃度は、浸出液の成分が完全に電離していると仮定して算出した。
得られた浸出残渣に対して、表1に示す条件で焙焼時間とガス速度を変化させながら酸化焙焼処理を行った。比較のため、上記の前処理を行わないモリブデン精鉱も同様に表1に示すような焙焼時間とガス速度を変化させながら酸化焙焼処理を行って、酸化焙焼処理で得られた残渣(三酸化モリブデンを含む焙焼精鉱)の残渣S品位を算出した。残渣S品位は、試料をアルカリ溶融し、更に酸溶解後にICP発光分光分析法によって分析した。図1に焙焼時間と残渣S品位との関係を示す。
図1に示すように、前処理を行わない場合には、焙焼時間を長くしても残渣S品位は変化しないのに対し、本発明例に係る処理方法では、残渣S品位が従来例に比べて大幅に低減されるとともに、焙焼時間が長くなるほど残渣S品位が低くなることが分かる。
(実施例2:前処理で低減されるCu、Ca、Fe品位に対する残渣S品位の影響)
実施例1と同様のモリブデン精鉱に対して、酸性浸出液1として実施例1と同様の浸出液を用いた場合と、酸性浸出液2としてモリブデン精鉱中のCaを除去するために塩酸を浸出液として用いた場合についてそれぞれ浸出処理を行い、固液分離後、表2に示す組成の浸出残渣を得た。浸出残渣に対し、表3に示す条件で酸化焙焼処理を行って回収残渣(三酸化モリブデンを含む焙焼残渣)を回収し、残渣S品位を算出した。比較のため、上記の前処理(浸出・固液分離)を行わないモリブデン精鉱も同様に酸化焙焼処理を行って残渣S品位を算出した。また、浸出残渣Cu、Ca、Fe品位と残渣S品位との関係を示すグラフを図2〜図4に示す。
図2〜図4に示すように、銅とカルシウムを浸出させる前処理を行うことによって、前処理を行わない従来例に比べて焙焼処理後の残渣S品位が低減した。特に、図4に示すように、焙焼前に脱カルシウム処理した浸出残渣を焙焼処理することによって、焙焼処理後の残渣S品位が0.5質量%以下にまで低減していることが分かる。

Claims (4)

  1. 塩化物イオンを100〜200g/L、銅イオンを1〜30g/L、鉄イオンを1〜10g/L含有する50〜100℃の酸性水溶液に酸素含有気体を供給しながら前記モリブデン精鉱を接触させてモリブデン精鉱に含まれる銅及びカルシウムを浸出する工程と、固液分離により浸出後液と浸出残渣を得る工程を含む前処理工程と、
    前記前処理工程で得られたモリブデン精鉱処理物を酸化焙焼して三酸化モリブデンを含む焙焼精鉱を回収することと
    を含むモリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法。
  2. 及びカルシウムの浸出終点における前記酸性水溶液の酸化還元電位(vs Ag/AgCl)を400〜480mVとすることを含む請求項1に記載のモリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法。
  3. 前記焙焼精鉱の硫黄濃度が0.7質量%以下である請求項1又は2に記載のモリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法。
  4. 前記モリブデン精鉱が、銅を0.3〜10質量%、カルシウムを0.15〜5.0質量%、鉄を0.3〜10質量%、モリブデンを20〜60質量%含有する請求項1〜のいずれか1項に記載のモリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法。
JP2015071999A 2015-03-31 2015-03-31 モリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法 Active JP6437366B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015071999A JP6437366B2 (ja) 2015-03-31 2015-03-31 モリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015071999A JP6437366B2 (ja) 2015-03-31 2015-03-31 モリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016191117A JP2016191117A (ja) 2016-11-10
JP6437366B2 true JP6437366B2 (ja) 2018-12-12

Family

ID=57245429

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015071999A Active JP6437366B2 (ja) 2015-03-31 2015-03-31 モリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6437366B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EA031919B1 (ru) * 2017-06-02 2019-03-29 Общество С Ограниченной Ответственностью "Редметпром" Способ и устройство для извлечения молибдена из низкосортного рудного сырья
US10287177B1 (en) 2018-05-08 2019-05-14 Robert Ten Method and apparatus for extracting high-purity molybdenum oxide powders and nanopowders from low-grade concentrates
US10612111B2 (en) 2018-08-21 2020-04-07 Robert Ten Method and apparatus for extracting high-purity gold from ore
JP7153600B2 (ja) * 2019-03-29 2022-10-14 Jx金属株式会社 鉱石からのカルシウムの除去方法及び金属の回収方法
JP7153599B2 (ja) * 2019-03-29 2022-10-14 Jx金属株式会社 鉱石の処理方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA878999A (en) * 1969-05-13 1971-08-24 Brenda Mines Ltd. Process for purifying molybdenite concentrates
JPS5548090B2 (ja) * 1975-03-11 1980-12-04
US4083921A (en) * 1977-01-03 1978-04-11 Kennecott Copper Corporation Purifying molybdenum flotation concentrates
US4551312A (en) * 1984-11-13 1985-11-05 Atlantic Richfield Company Process for converting molybdenite to molybdenum oxide
US20060182674A1 (en) * 2005-02-02 2006-08-17 Javier Jara Reduction of copper content in the molybdenite concentrate

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016191117A (ja) 2016-11-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6437366B2 (ja) モリブデン精鉱からのモリブデンの回収方法
JP5319718B2 (ja) 硫化鉱からの銅及び金の浸出方法
JP4352823B2 (ja) 硫化銅鉱物を含む銅原料の精錬方法
JP6810887B2 (ja) セレン、テルル、および白金族元素の分離回収方法
JP6437367B2 (ja) モリブデン精鉱からのレニウムの回収方法
JP2019173107A (ja) テルルの回収方法
JP4962078B2 (ja) ニッケル硫化物の塩素浸出方法
JP2020105587A (ja) 貴金属、セレン及びテルルを含む酸性液の処理方法
JP6998259B2 (ja) 銅鉱石の処理方法
JP2013163868A (ja) 硫化鉱からの銅及び金の浸出方法
JP6196209B2 (ja) 含銅モリブデン鉱の処理方法
JP2016141877A (ja) 含銅モリブデン鉱の処理方法
WO2015199098A1 (ja) 含銅モリブデン鉱の処理方法
JP6429990B2 (ja) モリブデンの分離方法及び、含銅モリブデン鉱の処理方法
JP2015196847A (ja) 鉄の除去方法及び鉄の浸出方法、並びに金の回収方法
JP6046082B2 (ja) 含銅モリブデン鉱の処理方法
JP6750454B2 (ja) ビスマス電解液の不純物除去方法
JP2013112879A (ja) 硫化鉱からの金の浸出方法
JP7153599B2 (ja) 鉱石の処理方法
JP2015148018A (ja) 硫化鉱からの金の浸出方法
JP2019189891A (ja) セレンとテルルを含有する混合物からセレン及びテルルを分離する方法
JP7153600B2 (ja) 鉱石からのカルシウムの除去方法及び金属の回収方法
WO2019064709A1 (ja) 金の浸出方法および、金の回収方法
JP7396194B2 (ja) 塩化ニッケル水溶液の精製方法
JP5423046B2 (ja) 硫化銅鉱物を含む銅原料の浸出方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170927

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180703

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180830

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181016

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181114

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6437366

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250