JP6998259B2 - 銅鉱石の処理方法 - Google Patents

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Description

この明細書は、所定の銅鉱石を処理する方法に関する技術を提案するものである。
硫化銅鉱等の銅鉱石や、所要に応じてそれに浮遊選鉱や比重選別等の選鉱処理を経て得られた銅精鉱に対して、たとえば銅を回収する目的等で施す処理としては、特許文献1~4等に記載されているような湿式法を用いるものがある。
この処理では、カチオンとして銅イオン及び鉄イオンを含むとともに、アニオンとしてハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液によるハロゲン浴を用いて、銅鉱石に含まれる銅を浸出させ、次いで、その浸出後液中の銅イオン及び鉄イオンを、たとえば空気の吹込み等によって酸化させる。その後は、溶媒抽出、イオン交換、置換、電解採取等により、酸化後液から銅を抽出して回収することがある。
特開2009-235519号公報 米国特許出願公開第2009/0241736号明細書 特開2009-256764号公報 米国特許出願公開第2009/0241732号明細書
ところで、銅鉱石が砒素を含有するものである場合、銅鉱石中の砒素は、銅の浸出時に銅とともに浸出されて浸出後液に含まれるも、鉄イオンの酸化時に生成される鉄化合物等とともに共沈して除去できると考えられるので、これまでは、銅鉱石中のこの砒素が、たとえば最終的に回収される銅の不純物になる等といった悪影響を及ぼすものとして問題視されることはなかった。
しかるに、可溶性鉄鉱物を含有しない銅鉱石では、銅の浸出時に鉄がほとんど浸出しないことから、浸出後液に含まれる鉄イオンが少なくなる。その結果として、鉄イオンの酸化時に沈殿する鉄が減少し、これに伴って砒素が十分に共沈せずに除去できなくなるという問題があることが解かった。
この明細書は、このような問題を解決するため、砒素を含有するとともに可溶性鉄鉱物を含有しない銅鉱石で、砒素を有効に除去することのできる銅鉱石の処理方法を提案するものである。
この明細書で開示する銅鉱石の処理方法は、砒素を含有するとともに、可溶性鉄鉱物を含有しない銅鉱石を処理するに当り、前記銅鉱石を、銅イオン、鉄イオンおよびハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液と接触させて、前記銅鉱石中の銅を浸出させる銅浸出工程と、銅浸出工程で得られる浸出後液中の銅イオンとともに鉄イオンを酸化させる酸化工程とを含み、銅浸出工程で前記銅鉱石中の砒素を浸出させ、鉄含有物質の添加により、酸化工程での鉄イオン酸化前の浸出後液の砒素濃度(質量濃度)に対する鉄濃度(質量濃度)の比(Fe/As比)を30以上とし、酸化工程で砒素を鉄と共沈させるものである。
上述した銅鉱石の処理方法によれば、鉄含有物質を添加することによって、酸化工程での鉄イオン酸化前の浸出後液の砒素濃度に対する鉄濃度の比(Fe/As比)を30以上とすることで、砒素を含有するとともに可溶性鉄鉱物を含有しない銅鉱石で、その砒素を有効に除去することができる。
一の実施形態に係る銅鉱石の処理方法を示すフロー図である。 実施例の銅精鉱に含まれる鉱物の割合を示すグラフである。 実施例の比較例における各サイクルの砒素及び鉄濃度の変化を示すグラフである。 実施例の発明例における各サイクルの砒素及び鉄濃度の変化を示すグラフである。
以下に、この明細書で開示する発明の実施の形態について詳細に説明する。
一の実施形態に係る銅鉱石の処理方法は、砒素を含有するとともに、可溶性鉄鉱物を含有しない銅鉱石を処理するに当り、図1に例示するように、銅鉱石を、銅イオン、鉄イオンおよびハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液と接触させて、銅鉱石中の銅を浸出させる銅浸出工程と、銅浸出工程で得られる浸出後液中の銅イオンとともに鉄イオンを酸化させる酸化工程とを含むものである。
特にここでは、銅浸出工程で銅鉱石中の銅とともに砒素も浸出させて、浸出後液に砒素イオンが含まれるものとし、所定の時期に鉄含有物質を添加することにより、酸化工程で、鉄イオン酸化前の浸出後液の砒素濃度に対する鉄濃度の比(Fe/As比)を30以上として、この酸化工程で砒素を鉄と共沈させる。それにより、可溶性鉄鉱物を含有しない銅鉱石でも、該銅鉱石に含まれて浸出後液に浸出する砒素を、系外に有効に除去することができる。
(銅鉱石)
処理の対象とする銅鉱石は、たとえば、輝銅鉱、斑銅鉱、銅藍、黄銅鉱、黄鉄鉱、硫砒銅鉱、硫砒鉄鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、硫砒鉄鉱、輝安鉱、磁硫鉄鉱から選択される少なくとも一種を含む硫化鉱物や珪酸鉱等の金及び硫黄を含有する硫化鉱物、または、それら硫化鉱物を製錬処理した後に得られる中間物(製錬中間物)とすることができる。
なおここで、製錬処理とは、たとえば、黄鉄鉱の場合は所定の浸出液で鉄を浸出させる処理等をいい、このような処理により得られる浸出残渣を製錬中間物とすることができる。
銅鉱石は、必要に応じて、浮遊選鉱や比重選別といった慣用の選鉱処理を経た銅精鉱とすることができる。また、粉砕摩鉱して鉱石の粒径を小さくしたものとすることもできる。
銅鉱石には、上述した硫化鉱物や製錬中間物、銅精鉱等が含まれる。
銅鉱石は砒素を含有するものとする。砒素は硫砒銅鉱等に含まれ、銅精鉱に付随しやすい元素である。銅精鉱によっては砒素を比較的高い品位で含有するものもある。銅鉱石中の砒素の含有量は、たとえば0.1質量%~20質量%である。
このような銅鉱石中の砒素は一般に、詳細については後述する銅浸出工程で用いる酸性水溶液に浸出するが、これを取り除かなければ電気銅に含まれて不純物となり得る等といった問題があるので、この実施形態では、銅鉱石中のかかる砒素を効果的に除去することを目的とする。
また、銅鉱石は、可溶性鉄鉱物を含有しないものとする。可溶性鉄鉱物を含有する銅鉱石であれば、銅浸出工程で可溶性鉄鉱物が浸出し、浸出後液の鉄濃度が比較的高くなるところ、浸出後液の鉄濃度がある程度高い場合は、酸化工程で生じる鉄化合物とともに砒素が共沈するので、これを除去することができる。一方、ここで対象とする銅鉱石のように、可溶性鉄鉱物を含有しないものでは、銅浸出工程で鉄がほぼ浸出せず、浸出後液の鉄濃度が高くならないので、酸化工程で鉄が十分に沈殿しなくなって砒素の共沈も起こらなくなり、その結果として、液中に砒素が残存し、上述した問題が顕在化する。
この明細書及び特許請求の範囲でいう「可溶性鉄鉱物を含有しない銅鉱石」であるかどうかについては、次のようにして判別することができる。
銅イオンを18g/L、鉄イオンを2g/L、塩化物イオンを180g/L、臭化物イオンを20g/Lで含有する浸出液を用いて、空気を0.1L/min/Lで吹き込みながら、銅鉱石を浸出させる。浸出時の温度は85℃とし、浸出時間は12時間とする。ここで、パルプ濃度は、上記の浸出液1Lに対して6gの銅が浸出するように(つまり、浸出終了時に銅濃度が6g/L増加するように)設定する。この条件の下で銅鉱石の浸出を行い、浸出の終了時に上記の浸出液1Lに対して浸出した鉄が1g未満であれば(つまり、鉄濃度の増加が1g/L未満であれば)、その銅鉱石を「可溶性鉄鉱物を含有しない銅鉱石」とする。すなわち、上記の条件で、銅が6g/L(=約0.1mоl/L)浸出されるのに対して鉄が1g/L(=約0.02mоl/L)未満で浸出される銅鉱石、言い換えると、モル百分率で銅鉱物の浸出を100%とした場合に鉄鉱物の浸出がその20%未満となる銅鉱石を、「可溶性鉄鉱物を含有しない銅鉱石」とする。なお、この試験を行う際の銅鉱石の粒径等のその他の条件は、銅浸出工程の条件と実質的に同じとし、当業者であれば適宜設定することができる。
一般に、鉄が黄鉄鉱の形態で含まれる銅鉱石や、鉄鉱物を含まない銅鉱石、黄銅鉱の含有量が4質量%以下である銅鉱石は、可溶性鉄鉱物を含有しない銅鉱石となることが多い。
(銅浸出工程)
銅浸出工程では、上述した銅鉱石に、銅イオン、鉄イオンおよびハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液を酸化剤の供給下で接触させて、銅鉱石中の銅を浸出させ、浸出後液を得る。銅浸出工程では、銅鉱石中の銅の他、砒素も浸出されるので、浸出後液には砒素イオンも含まれることになる。
銅浸出工程で使用する酸性水溶液中の塩化物イオンの濃度は、銅の溶解反応を高い効率で実現する観点から、100g/L以上~200g/Lとすることが好ましく、特に120g/L~180g/Lとすることがより一層好ましい。臭化物イオンの濃度は、ハロゲン化物イオンの合計濃度が120g/L~200g/Lの範囲内となるように決定することができる。
銅浸出工程で使用する浸出液中の銅イオンの濃度は、銅浸出反応の促進の観点から、1g/L~30g/Lとすることが好ましく、さらに5g/L~20g/Lとすることがより好ましい。鉄イオンは銅浸出の促進に好適な成分であり、銅の溶解反応を高い効率で実現する観点から、1g/L以上であることが好ましいが、50g/Lを超えると銅の浸出率が顕著に増加して逸損する。これを防止するため、浸出液中の鉄イオン濃度は50g/L以下とすることができ、好ましくは10g/L以下とする。鉄イオン濃度は、特に8g/L以下とすること、6g/L以下とすることがより好ましい。
なお、上記の臭化物イオン、塩化物イオン、銅イオン及び鉄イオンの各濃度は、酸性水溶液を原料に接触させる前の酸性水溶液中の濃度を意味する。
塩化物イオンの供給源としては、たとえば、塩化水素、塩酸、塩化金属及び塩素ガス等を挙げることができ、なかでも、経済性や安全性を考慮すれば塩化金属の形態で供給することが好ましい。塩化金属としては、例えば塩化銅(塩化第一銅、塩化第二銅)、塩化鉄(塩化第一鉄、塩化第二鉄)、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム)の塩化物、アルカリ土類金属(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム)の塩化物が挙げられ、経済性や入手容易性の観点から、塩化ナトリウムが好ましい。また、銅イオン及び鉄イオンの供給源としても利用できることから、塩化銅及び塩化鉄を利用することも可能である。
臭化物イオンの供給源としては、たとえば、臭化水素、臭化水素酸、臭化金属及び臭素ガス等を挙げることができ、なかでも、経済性や安全性を考慮すれば臭化金属の形態で供給することが好ましい。臭化金属としては、例えば臭化銅(臭化第一銅、臭化第二銅)、臭化鉄(臭化第一鉄、臭化第二鉄)、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム)の臭化物、アルカリ土類金属(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム)の臭化物が挙げられ、経済性や入手容易性の観点から、臭化ナトリウムが好ましい。また、銅イオン及び鉄イオンの供給源としても利用できることから、臭化銅及び臭化鉄を利用することも好ましい。
銅イオン及び鉄イオンは、これらの塩の形態で供給することが通常であり、例えばハロゲン化塩の形態で供給することができる。塩化物イオン及び/又は臭化物イオンの供給源としても利用できる観点から、銅イオンは臭化銅及び/又は塩化銅、鉄イオンは臭化鉄及び/又は塩化鉄として供給されることが好ましい。塩化銅及び塩化鉄としては、塩化第二銅(CuCl2)、塩化第一銅(CuCl)、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化第一鉄(FeCl2)等がある。臭化銅及び臭化鉄としては、臭化第二銅(CuBr2)、臭化第一銅(CuBr)、臭化第二鉄(FeBr3)、臭化第一鉄(FeBr2)等がある。
酸性水溶液と銅鉱石との接触方法としては特に制限はなく、撒布や浸漬などの方法があるが、反応効率の観点から、酸性水溶液中に原料を浸漬し、撹拌する方法が好ましい。
銅浸出工程の開始時における酸性水溶液の酸化還元電位(vs Ag/AgCl)は、金浸出を促進する観点から500mV以上とすることが好ましく、600mV以上とすることがより好ましい。また、銅の浸出速度を高める観点から、酸性水溶液のpHは2.0以下に維持することが好ましいが、鉄の酸化速度は高いpHの方が促進されるため、酸性水溶液のpHは0.5~1.9に維持することがより好ましい。
銅浸出工程は酸化剤を供給しながら実施することで、酸化還元電位を管理する。酸化剤を添加しなければ途中で酸化還元電位が低下してしまい、浸出反応が進行しないことが懸念される。酸化剤としては、たとえば、酸素、空気、塩素、臭素、及び過酸化水素等が挙げることができる。極端に高い酸化還元電位をもつ酸化剤は必要なく、空気で十分である。
なお、銅鉱石を添加した酸性水溶液のパルプ濃度は、200g/L以下とすることが好ましく、特に15g/L~50g/Lとすることがより好ましい。パルプ濃度は、酸性水溶液の体積(L)に対する銅鉱石の乾燥重量(g)の比を意味する。
銅浸出を十分に行った後の浸出後液の酸化還元電位はおおむね450~600mV程度、典型的には500~580mV程度となる。
(酸化工程)
銅浸出工程によって得られた浸出後液中の銅イオンや鉄イオンの多くは、浸出時に酸化剤として用いられた結果として、Cu(I)やFe(II)になっていると考えられる。これらの銅イオンや鉄イオンは、後述の銅抽出工程で有効に銅を抽出するため、また浸出後液を再度の銅浸出工程で使用するために酸化して、Cu(II)、Fe(III)とすることが望ましい。
この実施形態では特に、Fe(II)をFe(III)に酸化し、pHを調整することにより、Fe(III)の一部を沈殿させて鉄化合物を生成させるとともに、浸出後液に含まれる砒素を鉄とともに共沈させることを目的とする酸化工程を行う。これにより、砒素を系外に除去することができる。鉄化合物の生成は、たとえば、FeCl3+2H2O→FeOOH+3HClの反応により生じる。鉄化合物の沈殿により、浸出後液は砒素濃度のみならず鉄濃度も減少することになる。なおこの酸化工程では、銅イオンもCu(I)からCu(II)に酸化される。
ここでは、鉄イオン酸化前の任意の時期に、鉄含有物質を添加することにより、酸化工程における鉄イオン酸化前の浸出後液の砒素濃度に対する鉄濃度の比(Fe/As比)を30以上とすることが肝要である。鉄イオン酸化前のFe/As比が30未満である場合は、砒素が共沈するに必要な鉄が足らず、砒素を十分に除去されないからである。
この観点から、鉄イオン酸化前のFe/As比は、好ましくは50以上とする。
ところで、酸化工程で鉄イオンを酸化した後に得られる酸化後液は、図1に例示するように、後述の銅抽出工程を経た後に銅浸出工程の酸性水溶液として用いることができ、同じ酸性水溶液で銅浸出工程および酸化工程を複数回にわたって繰り返し行うことができる。
この場合、上述したように可溶性鉄鉱物を含有しない銅鉱石に対して、同じ酸性水溶液を繰り返し用いると、銅鉱石からの鉄の供給が少ないことに起因して、液中の鉄濃度が次第に低下し、それに伴って酸化工程で鉄とともに共沈する砒素の量も減少する。それ故に、特に酸化後液を酸性水溶液として繰り返し用いる場合に、この実施形態のように鉄含有物質を添加することが、各回での砒素の有効な除去の観点から重要になる。
このように同じ酸性水溶液で銅浸出工程および酸化工程を繰り返し行う場合は、各回の酸化工程でのFe/As比を30以上とすることが好ましい。それにより、各回で砒素を有効に除去できるからである。但し、鉄含有物質を毎回添加することは必ずしも必要ではない。繰り返すたびに液中の鉄濃度が減少してきて、所定の回数を重ねた後、酸化工程でのFe/As比が30未満になると認められる場合に、鉄含有物質を添加すればよい。
鉄含有物質を添加する時期は、鉄イオン酸化前の浸出後液の鉄濃度を上昇させて上述したFe/As比とすることができれば特に問わない。たとえば、銅浸出工程の後、鉄イオン酸化前の浸出後液に鉄含有物質を添加して、Fe/As比を調整することができる。
他方、鉄イオンは、銅浸出工程で酸化剤として作用して銅の浸出促進にも有効に働くことから、この観点では、鉄含有物質は、図1に示す実施形態のように、銅浸出工程での銅の浸出前に酸性水溶液に添加することが好ましい。
鉄含有物質は、溶液中に添加された後に溶解して鉄イオンを生成するものであれば種々のものとすることができるが、塩化浴であることを考慮すると、塩化物の形態で添加することが好適である。具体的には、好ましい鉄含有物質としては、塩化鉄(II)や塩化鉄(III)等を挙げることができ、これらのうちの一種または二種を添加することができる。
鉄含有物質の添加量は、鉄イオン酸化前のFe/As比が上述した値となるように適宜決定することができる。
なお。酸化工程での鉄イオンの酸化は、常温で行うことも可能であるが、反応を促進させるために少し加熱してもよい。具体的には、鉄イオン酸化時の浸出後液の温度は、たとえば、20℃~70℃とすることができる。
また、酸化工程では、鉄イオンを有効に酸化させるとともに銅イオンの沈殿を防止するため、一般にpHが0.2~2.0である浸出後液について鉄イオンを酸化して、その後に得られる酸化後液のpHを1.5~2.0の範囲内とする。その理由は、酸化後液のpHが1.3未満では鉄イオンの沈殿が生じないことがあり、それによって鉄と共沈する砒素もまた十分に沈殿しないおそれがあることによる。この一方で、酸化後液のpHが3.0を超えると、次工程の銅抽出工程の溶媒抽出時に銅が溶媒側に移行しすぎて、工程全体の銅や酸バランスが崩れる恐れがあるからである。
酸化工程での鉄イオンの酸化は、浸出後液への、過酸化水素水の添加、又は、酸素、酸素と不活性ガス(窒素や希ガスなど)の混合ガス等の酸素含有気体の吹き込み等により行うことできるが、特に、酸素含有気体の吹き込みにより行うことが好ましい。なかでも、空気を吹き込むことがコスト面で好適である。
酸素含有気体を吹き込む場合は、浸出後液1L当たり0.01L/min~1.5L/minの流量で供給することが好ましい。0.01L/minは、水60℃での溶存酸素が低下しない程度の供給量であり、このように酸素含有気体の供給流量が少なすぎる場合は酸化に時間を要する。この一方で、酸素含有気体の供給流量が多すぎる場合は、気泡中への液の蒸発で奪われる蒸発熱を補償するために電力などのエネルギーを多く消費する。
鉄化合物や砒素を含む酸化残渣は、固液分離により除去することができる。
このような条件の下で酸化工程を実施することにより、酸化後液中の砒素イオンをほぼすべて除去することが可能である。
(銅抽出工程)
銅抽出工程では、上記の酸化工程を経た後の酸化後液から銅を回収することができる。ここでの銅の回収方法としては特に制限はないが、例えば溶媒抽出、イオン交換、卑な金属との置換析出及び電解採取などを利用することができる。酸化後液中の銅は1価及び2価の状態が混在しているが、溶媒抽出やイオン交換を円滑に行うために、全部が2価の銅イオンとなるように予め酸化しておくことが好ましい。酸化の方法は特に制限はないが空気や酸素を酸化後液中に吹き込む方法が簡便である。
銅抽出工程では、酸化後液中の銅を、溶媒抽出及び逆抽出に供した後、電解採取によりカソード上に電気銅として回収する処理を更に含む。この処理は一般にSX-EW(Solvent Extraction and Electro-Winning)法と呼ばれている方法であり、当業者には周知である。
また、溶媒抽出前に、酸化後液に空気などの酸素含有気体を吹き込んで液中の銅を酸化する処理を施すこともできる。これにより、銅を溶媒抽出後に逆抽出(ストリップ)して直接電解採取することを可能にするという利点が得られる。酸化処理を施さない場合、強塩化物浴では一価の銅が高濃度で存在するため電解採取の際にデンドライト銅として析出する。デンドライト銅は金属粉末として電解槽に沈殿する。カソードに板状銅として回収するほうが圧倒的に運搬等の操作性の観点から多くの長所がある。
次に、上述したような銅鉱石の処理方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、それに限定されることを意図するものではない。
(試験例1)
図2に示す割合で各鉱物を含有する銅精鉱について、銅浸出工程、酸化工程および銅抽出工程を1サイクルとして繰り返し行った。酸性水溶液は図1に示すように循環させて使用した。当該銅精鉱の成分を表1に示す。
この銅精鉱中の銅鉱物はCu2Sが主体であり、黄銅鉱をほぼ含まないものであった。また砒素の含有量は3000ppmであった。
Figure 0006998259000001
銅浸出工程の浸出条件として、酸性水溶液は、Cu 18g/L、Fe 2g/L、Cl 180g/L、Br 20g/Lとし、パルプ濃度は、抽出でΔCu=6.0g/Lとなる条件(精鉱量52g/サイクル)とした。浸出温度85℃、浸出時間12hとし、空気吹き込み量は0.1L/min/Lとした。pHは特に調整していないが、浸出後液で0.5前後となった。ORPは、浸出1段目が440~470mV(vsAg/AgCl)であり、浸出2段目が540~600mV(vsAg/AgCl)であった。
酸化工程の酸化条件として、液温60℃で空気吹き込み量を0.2L/min/Lとし、酸化時間は5時間とした。ORPについては、酸化前は450~460mV(vsAg/AgCl)であり、酸化後は580~600mV(vsAg/AgCl)であった。液は邪魔板(バッフル板)を入れて、撹拌翼(回転数200~300rpm)で撹拌を行った。
試験結果として、各サイクルにおける酸化前液(浸出後液)と酸化後液の鉄濃度および砒素濃度の変化のグラフを図3及び図4にそれぞれ示す。図3は、鉄含有物質を添加しなかった比較例の結果であり、図4は、浸出前の酸性水溶液に鉄濃度が2.0g/Lとなるように、鉄含有物質としての塩化鉄(III)試薬を添加した実施例である。
比較例では、図3に示すように、鉄濃度が1g/L未満になったときに、酸化工程で砒素の沈殿が生じなくなった。
一方、発明例では、試薬を添加したことにより比較的高い鉄濃度が維持され、その結果として、全てのサイクルで砒素を共沈除去することができた。
(試験例2)
上記の試験例1の発明例と同様の条件でサイクルを繰り返す試験を行った。その結果を表2に示す。この試験では、1サイクル目~3サイクル目に試薬で鉄濃度を調整し、それ以降は試薬を添加しなかった。
Figure 0006998259000002
表2に示すところから、4サイクル目から鉄濃度が低下し始め、7サイクル目及び8サイクル目でFe/As比が30を下回ったことによって、酸化後液に砒素が残留したことが解かる。
なお、8サイクル目で鉄濃度が微増しているが、これは原料に含まれる黄銅鉱やボーナイト(Cu5FeS4)が浸出し、酸化時に沈殿しなかったことによるものと考えられる。
以上より、Fe/As比を30以上とすることにより、砒素を有効に除去できることが解かった。

Claims (6)

  1. 砒素を含有するとともに、可溶性鉄鉱物を含有しない銅鉱石を処理するに当り、前記銅鉱石を、銅イオン、鉄イオンおよびハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液と接触させて、前記銅鉱石中の銅を浸出させる銅浸出工程と、銅浸出工程で得られる浸出後液中の銅イオンとともに鉄イオンを酸化させる酸化工程とを含み、
    銅浸出工程で前記銅鉱石中の砒素を浸出させ、鉄含有物質の添加により、酸化工程での鉄イオン酸化前の浸出後液の砒素濃度(質量濃度)に対する鉄濃度(質量濃度)の比(Fe/As比)を30以上とし、酸化工程で砒素を鉄と共沈させる、銅鉱石の処理方法。
  2. 酸化工程で鉄イオンを酸化した後に酸化残渣を除去して得られる酸化後液を、銅浸出工程の前記酸性水溶液として用いて、銅浸出工程および酸化工程を複数回にわたって繰り返し行い、各回における酸化工程での前記Fe/As比を30以上とする、請求項1に記載の銅鉱石の処理方法。
  3. 鉄含有物質を、銅浸出工程での銅の浸出前に、前記酸性水溶液に添加する、請求項1又は2に記載の銅鉱石の処理方法。
  4. 鉄含有物質を、塩化鉄(II)及び/又は塩化鉄(III)とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の銅鉱石の処理方法。
  5. 酸化工程で、鉄イオンを酸化した後に得られる酸化後液のpHを1.5~2.0とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の銅鉱石の処理方法。
  6. 前記銅鉱石が砒素を0.1質量%~20質量%で含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の銅鉱石の処理方法。
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