JP6899672B2 - 鉱石もしくは精錬中間物からの金の回収方法 - Google Patents

鉱石もしくは精錬中間物からの金の回収方法 Download PDF

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Description

この発明は、金を含む鉱石もしくは精錬中間物と酸性水溶液とを接触させて、その金成分を浸出させることにより、鉱石や精錬中間物に含まれる金を回収する方法に関するものであり、特には、主として金の回収に要するコストの増大を有効に抑制することのできる技術を提案するものである。
たとえば、黄銅鉱その他の硫化鉱物や珪酸鉱等の鉱石に含まれる金や、硫化銅鉱中の銅を浸出し又は黄鉄鉱中の鉄を浸出すること等で得られた浸出残渣(すなわち精錬中間物)に含まれる金などを回収するための金回収技術としては、湿式法を利用したものが知られている。ここで、鉱石や精錬中間物中の金を溶液中に浸出させるに当り、以前は、シアン、チオ尿素、チオ硫酸、ハロゲンガスといった薬品を使用していた。しかしながら、特にシアンはその毒性の故に使用が制限されることが多いことから、このような薬品を用いることは望ましくない。
これに対し、近年は、特許文献1、2等に記載されているように、カチオンとして鉄イオンおよび銅イオンを含むとともに、アニオンとして塩化物イオンおよび臭化物イオンを含む酸性水溶液によるハロゲン浴を用いて、硫化鉱物等に含まれる金を浸出させることが提案されている。この提案技術によれば、毒性のあるシアンを用いることなしに、金をポリスルフィド型錯体等として容易に浸出させることができる。
このハロゲン浴を用いた金浸出工程の後は、酸性水溶液に浸出した金を活性炭に吸着させる吸着工程および、活性炭に吸着した金を苛性ソーダ等で溶離させる溶離工程を順次に実施することにより、金を回収することができる(たとえば特許文献3、4参照)。
ここで、活性炭に、金のみならず銅や鉄が吸着ないし付着していると、溶離工程で、金を活性炭から溶離させるための薬剤が銅や鉄とも反応するので、これが金の溶離を阻害し、当該薬剤が余分に消費される結果として、薬剤コストが必要以上に多くなるという問題がある他、それにより得られる金の純度が低下することもある。
上記の問題に着目した特許文献5では、金とともに銅、鉄等が吸着した活性炭から金を溶離するに当り、金の溶離に先立ち、金の溶離前に活性炭を酸等にて洗浄する方法が開示されている。特許文献5に記載の方法によれば、金の溶離前に、活性炭に吸着した銅や鉄等が有効に除去されるので、高純度の金の溶液を得ることができるという効果があるとされている。
特表2009−526912号公報 特許第4468999号公報 特開平3−30834号公報 特開2013−147685号公報 国際公開第2016/104113号
特許文献5に記載されているように、金の溶離前に活性炭をアルカリにて洗浄することにより、活性炭に吸着した銅や鉄を有効に除去することができるが、予め活性炭への銅や鉄の吸着を抑制することができれば、特許文献5に記載されたような溶離前の洗浄に要する薬剤の使用量をも削減することができるので、コストの増大抑制の観点から好ましいといえる。
しかるに、上述した特許文献1〜5に記載の技術を含む従来の技術では、この点について十分に検討されていない状況にある。
この発明は、従来技術のこのような問題を解決することを課題とするものであり、その目的とするところは、金浸出工程後、活性炭への、意図しない銅及び/又は鉄の吸着を抑制することにより、活性炭の洗浄時や金の溶離時等の薬剤の使用量を削減して、処理コストの低減に寄与することのできる、鉱石もしくは精錬中間物からの金の回収方法を提供することにある。
発明者は、活性炭に吸着して薬剤使用量を増大させる銅や鉄が、その前段階の金浸出工程で、原料から酸性水溶液中に金とともに浸出した銅や鉄に起因するものである点に着目して鋭意検討した結果、金浸出工程で使用する酸性水溶液のハロゲン化物イオンに含まれる臭化物イオンの濃度を、所定の値以上とした上で、これまでは高温が好ましいとされていた酸性水溶液の液温を所定の低い値以下とすることにより、金を有効に浸出させながらも、銅や鉄の浸出を効果的に抑制できることを新たに見出した。
このような知見の下、この発明の鉱石もしくは精錬中間物からの金の回収方法は、金を含む鉱石もしくは精錬中間物から金を回収する方法であって、前記鉱石もしくは精錬中間物から得られた金を含む原料と、銅イオン、鉄イオンおよびハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液とを、酸化剤の供給下で接触させて、当該原料中の金成分を浸出させる工程を有し、前記原料中の金成分を浸出させる工程で、前記酸性水溶液中のハロゲン化物イオンが、少なくとも臭化物イオンを含み、該臭化物イオンの濃度を50g/L以上とし、金成分を浸出させる際の酸性水溶液の液温を40℃以下として、前記鉱石もしくは精錬中間物から銅または鉄の浸出を抑制しながら金を選択的に浸出することにある。
この発明の鉱石もしくは精錬中間物からの金の回収方法では、前記酸性水溶液中のハロゲン化物イオンを、臭化物イオンのみとすることができる。
また、この発明の鉱石もしくは精錬中間物からの金の回収方法では、前記酸性水溶液中のハロゲン化物イオンが、さらに塩化物イオンを含むものとすることができる。
この場合、前記臭化物イオンの濃度を100g/L未満とし、前記臭化物イオンの濃度に対する塩化物イオンの濃度の比(Cl/Br濃度比)を、好ましくは1/3以下、より好ましくは1/4以下とすることができる。
あるいは、前記臭化物イオンの濃度は、100g/L以上とすることができる。
前記原料中の金成分を浸出させる工程では、金成分を浸出させる際に酸性水溶液を加温しないことが好ましい。
この発明の鉱石もしくは精錬中間物からの金の回収方法によれば、臭化物イオンの濃度を50g/L以上とし、かつ、金成分を浸出させる際の酸性水溶液の液温を40℃以下とすることにより、酸性水溶液中に金は有効に浸出させつつも、銅や鉄は浸出され難くなるので、金浸出工程の後の、金が吸着した活性炭の洗浄時及び/又は活性炭からの金の溶離時に必要な薬剤の使用量を削減することができる。その結果として、処理コストの低減に寄与することができる。
この発明の一の実施形態に係る鉱石もしくは精錬中間物からの金の回収方法を適用することができる金回収プロセスを示すフロー図である。 試験例1における浸出温度と各金属の浸出率との関係を示すグラフである。 試験例3におけるCl濃度と各金属の浸出率との関係を示すグラフである。 試験例3におけるBr濃度と各金属の浸出率との関係を示すグラフである。
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態に係る鉱石もしくは精錬中間物からの金の回収方法は、鉱石もしくは精錬中間物から得られた金を含む原料と、銅イオン、鉄イオンおよびハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液とを、酸化剤の供給下で接触させて、当該原料中の金成分を浸出させる工程を有するものであり、特に、原料中の金成分を浸出させる工程で、前記酸性水溶液中のハロゲン化物イオンが、少なくとも臭化物イオンを含むものとし、該臭化物イオンの濃度を50g/L以上とし、金成分を浸出させる際の酸性水溶液の液温を40℃以下とする。
この金の回収方法は、図1に一例として示す金回収プロセスに適用することが可能である。図1に示すプロセスは、鉱石や精錬中間物から得られた金を含む原料に対し、金浸出工程及び吸着工程を行い、次いで、必要に応じて洗浄工程を行った後、溶離工程を行うことにより、濃厚金溶液を得るものであり、これに沿って以下に詳説する。
(金を含む原料)
鉱石や精錬中間物は、たとえば、輝銅鉱、斑銅鉱、銅藍、黄銅鉱、黄鉄鉱、硫砒銅鉱、硫砒鉄鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、硫砒鉄鉱、輝安鉱、磁硫鉄鉱から選択される少なくとも一種を含む硫化鉱物や珪酸鉱等の金を含有する鉱石、または、それら鉱石を精錬処理した際に得られる中間物(ここでは「精錬中間物」ともいう。)等とすることができる。
なお鉱石や精錬中間物は、必要に応じて、浮遊選鉱や比重選別といった慣用の選鉱処理を経た精鉱とすることができる。また、金浸出工程等における酸性水溶液が鉱物内部の金に接触しやすいように、粉砕摩鉱して鉱石の粒径を小さくしたものとすることもできる。また前処理として、酸素ないし空気の存在下または不活性雰囲気で行う所定の温度による焙焼工程を含むことができる。但し、このような事前の処理は必須ではなく、適宜省略することが可能である。
この発明で浸出の対象とする金を含む原料は、上記の鉱石や精錬中間物から得ることができる。具体的には、金を含む原料は、たとえば、鉱石それ自体や、上述したように所定の精錬処理を施して得られる精錬中間物である。なおここで、精錬処理とは、たとえば、硫化銅鉱の場合は所定の浸出液で銅を浸出させる処理、または、黄鉄鉱の場合は所定の浸出液で鉄を浸出させる処理等をいい、このような処理により得られる浸出残渣を精錬中間物とすることができる。
このようにして得られる金を含む原料中の金濃度は、典型的には1〜500質量ppm程度であり、より典型的には10〜50質量ppm程度である。また原料中の銅濃度は、典型的には1質量%〜30質量%、より典型的には10質量%〜30質量%であり、原料中の鉄濃度は、典型的には10質量%〜40質量%、より典型的には20質量%〜30質量%である。
(金浸出工程)
金浸出工程では、銅イオン、鉄イオンおよびハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液と、金を含む上記の原料とを、酸化剤の供給下で接触させることにより、原料中の金を浸出させる。
この発明では、主として臭化物イオンにより金の臭化錯体を生成させて金を浸出させ、塩化物イオンはその量を少なくし又は含まれないものとする。塩化物イオンは、臭化物イオンによる金の浸出を阻害するべく作用し得るからである。
具体的には、金浸出工程での酸性水溶液は、ハロゲン化物イオンとして、少なくとも臭化物イオンを含むものとし、そして、酸性溶液中の臭化物イオンの濃度を50g/L以上とする。それにより、臭化物イオンによる金の浸出が有効に行われることになる。
ここにおいて、従来は、液温が高いほうが金の浸出率が向上すると考えられていたことから、金浸出時の酸性水溶液の温度を、たとえば60℃以上、さらには80℃以上といった高い温度に設定していたが、この発明では、酸性水溶液の液温を40℃以下とする。これによって、原料からの銅や鉄の浸出が抑制される。その理由は次のように考えられる。鉱石の種類にもよるが、一般には鉱石中に、金はメタルの形態で含まれており、銅及び鉄は一般に硫化物の形態で存在している。それ故に、銅及び鉄を浸出させるためには硫黄との結合を切るためのエネルギーが必要となるが、金は酸化と錯イオンとして安定に存在できる環境(すなわち、上述したように酸性水溶液に比較的高濃度の臭化物イオンが含まれる環境)にすることで、銅及び鉄より低エネルギーで容易に浸出される。このように銅及び鉄と金とでは、反応機構として、硫黄との結合を切るためのエネルギーを必要とするか否かの違いがあることから、低温では金に比して銅及び鉄の反応が遅くなる。但し、このような理論に限定されるものではない。また実際に、後述するように、所定のハロゲン浴の酸性水溶液では、液温を40℃以下と低くした場合、金の浸出量はほぼ変化しないが、銅や鉄の浸出量は有意に低下したという実験結果が得られている。
したがって、ここでは、金浸出工程後に得られる金浸出後液中の銅イオン濃度、鉄イオン濃度を低く抑えることができるので、後述する吸着工程で活性炭に吸着ないし付着する銅や鉄の量が低減される。その結果、後述の洗浄工程で活性炭の洗浄に用いる薬剤の使用量や、溶離工程で金を溶離させる薬剤の使用量を削減することができる。
さらに、銅や鉄の浸出抑制のため、金浸出時の酸性水溶液の液温は、30℃以下とすることが好ましい。30℃以下とすれば、上述したように銅、鉄の浸出が抑制されつつ、外気温にもよるが加温が不要になる場合があるからである。一方、酸性水溶液の液温が低すぎても、酸性水溶液の銅、鉄及び臭素の溶解度には問題がないので、酸性水溶液が凍結しない限り低温としてもよい。金浸出時の酸性水溶液の液温は、たとえば0℃以上とすることができる。
酸性溶液中のハロゲン化物イオンとしては、臭化物イオンのみとすることができる。
あるいは、臭化物イオンの他にさらに塩化物イオンを含むことも可能であるが、この場合、塩化物イオン濃度は低いほうが好適である。
具体的には、酸性溶液中の臭化物イオンの濃度が100g/L未満である場合は、酸性水溶液中のハロゲン化物イオンの濃度比として、臭化物イオンの濃度に対する塩化物イオンの濃度の比(Cl/Br濃度比)が1/3以下となる量で、塩化物イオンを含むものとすることが好ましい。酸性溶液中の臭化物イオンの濃度が100g/L未満である場合において、酸性水溶液中の臭化物イオンの濃度に対する塩化物イオンの濃度の比(Cl/Br濃度比)は、より好ましくは0.3以下、さらに好ましくは1/4以下とする。
一方、酸性水溶液中の臭化物イオンの濃度が100g/L以上であれば、塩化物イオンの濃度に関わらず、高い金の浸出率を発揮することができるので、臭化物イオンの濃度が100g/L以上の場合は、Cl/Br濃度比は特に問わない。
これにより、金の浸出率を大きく高めることが可能になる。
なお、このように臭化物イオン濃度を高くするとともに塩化物イオン濃度を低くすることによって、金の浸出率が向上する理由は明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、単体の金が溶解する際に、Au+を経てAu3+に酸化されていくが、この金浸出工程の酸性水溶液中ではAu+として存在している。ハロゲン浴での金は、Au+に2つのCl-が配位した[AuCl2-よりも、Au+に2つのBr-が配位した[AuBr2-のほうが安定に存在できると考えられるところ、ハロゲン浴中にCl-が多くなると、Cl-が配位した金イオン([AuCl2-)の割合が多くなって、金がイオンとして存在できず、直ちに還元されて単体の金に戻ることから、金の浸出率をあまり高めることができない。従って、ハロゲン浴でBr-の量を増やすとともにCl-の量を減らすことにより、金イオンがより安定して存在することになり、その結果として、金の浸出率を大きく向上できると考えられる。
なお、鉄イオンは、酸化剤の供給下で酸化した3価の鉄イオン又は当初より3価の鉄イオンが、金を酸化する働きをする。銅イオンは直接反応に関与しないが、銅イオンが存在することで鉄イオンの酸化速度が速くなる。
酸性水溶液中の臭化物イオンの濃度は、50g/L以上、さらには80g/L以上、特に150g/L以上とすることが、金の浸出率をさらに向上させるとの観点から好ましい。臭化物イオン濃度の特に好ましい上限値はないが、添加する臭化金属の溶解度以下とすることが望ましい。
一方、塩化物イオンの濃度は、40g/L以下とし、特に、25g/L以下とすることが一層好適である。さらには、酸性水溶液中のハロゲン化物イオンを臭化物イオンのみとして、酸性水溶液中に塩化物イオンを存在させないことがより一層好ましい。
酸性水溶液中の鉄イオン濃度は50g/L以下とすることができ、0.01g/L〜10g/Lであることが好ましい。また、銅イオン濃度は、1g/L以上であることが好ましく、さらに5g/L以上であることがより好ましいが、経済性を考慮すると、過度に高濃度にする必要はなく、酸性水溶液中の銅イオンの濃度は一般には30g/L以下であり、好ましくは20g/L以下である。
なお、上記の臭化物イオン、塩化物イオン、銅イオン及び鉄イオンの各濃度は、酸性水溶液を原料に接触させる前の酸性水溶液中の濃度を意味する。
酸性水溶液と原料の接触方法としては特に制限はなく、撒布や浸漬などの方法があるが、反応効率の観点から、酸性水溶液中に原料を浸漬させて撹拌する方法が好ましい。
臭化物イオンの供給源としては、特に制限はないが、例えば臭化水素、臭化水素酸、臭化金属及び臭素ガス等が挙げられ、経済性や安全性を考慮すれば臭化金属の形態で供給するのが好ましい。臭化金属としては、例えば臭化銅(臭化第一銅、臭化第二銅)、臭化鉄(臭化第一鉄、臭化第二鉄)、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム)の臭化物、アルカリ土類金属(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム)の臭化物が挙げられ、経済性や入手容易性の観点から、臭化ナトリウムが好ましい。また、銅イオン及び鉄イオンの供給源としても利用できることから、臭化銅及び臭化鉄を利用することも好ましい。
塩化物イオンを含むものとする場合、その供給源としては、特に制限はないが、例えば塩化水素、塩酸、塩化金属及び塩素ガス等が挙げられ、経済性や安全性を考慮すれば塩化金属の形態で供給するのが好ましい。塩化金属としては、例えば塩化銅(塩化第一銅、塩化第二銅)、塩化鉄(塩化第一鉄、塩化第二鉄)、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム)の塩化物、アルカリ土類金属(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム)の塩化物が挙げられ、経済性や入手容易性の観点から、塩化ナトリウムが好ましい。また、銅イオン及び鉄イオンの供給源としても利用できることから、塩化銅及び塩化鉄を利用することも可能である。
銅イオン及び鉄イオンは、これらの塩の形態で供給するのが通常であり、例えばハロゲン化塩の形態で供給することができる。塩化物イオン及び/又は臭化物イオンの供給源としても利用できる観点から、銅イオンは臭化銅及び/又は塩化銅、鉄イオンは臭化鉄及び/又は塩化鉄として供給されるのが好ましい。塩化銅及び塩化鉄としては塩化第二銅(CuCl2)、塩化第一銅(CuCl)、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化第一鉄(FeCl2)等が使用される。臭化銅及び臭化鉄としては臭化第二銅(CuBr2)、臭化第一銅(CuBr)、臭化第二鉄(FeBr3)、臭化第一鉄(FeBr2)等が使用される。
金浸出工程の開始時における酸性水溶液の酸化還元電位(vs Ag/AgCl)は、金浸出を促進する観点から500mV以上とするのが好ましく、600mV以上とするのがより好ましい。また、金の浸出速度を高める観点から、酸性水溶液のpHは2.0以下に維持するのが好ましいが、鉄の酸化速度は高いpHの方が促進されるため、酸性水溶液のpHは0.5〜1.9に維持するのがより好ましい。
この発明の好適な実施形態では、酸性水溶液として、塩酸及び臭素酸の少なくとも一方と、塩化第二銅及び臭化第二銅の少なくとも一方と、塩化第二鉄及び臭化第二鉄の少なくとも一方と、塩化ナトリウム及び臭化ナトリウムの少なくとも一方とを含む混合液を使用することができる。但し、酸性水溶液中のハロゲン化物イオンとして、臭化物イオンは必須であり、塩化物イオンは必須ではない。
金浸出工程は酸化剤を供給しながら実施することで、酸化還元電位を管理する。酸化剤を添加しなければ途中で酸化還元電位が低下してしまい、浸出反応が進行しない。酸化剤としては特に制限はないが、例えば酸素、空気、塩素、臭素、及び過酸化水素などが挙げられる。極端に高い酸化還元電位をもつ酸化剤は必要なく、空気で十分である。
なお原料を添加した酸性水溶液のパルプ濃度は、高くすると銅の浸出を抑制できるので好ましいが、高くし過ぎると金の浸出速度の低下を招く。この観点から、パルプ濃度は200g/L以下とすることが好ましく、特に15g/L〜50g/Lとすることがより好ましい。パルプ濃度は、酸性水溶液の体積(L)に対する原料の乾燥重量(g)の比を意味する。
金浸出時の酸化還元電位は特に調整しないが、金浸出を十分に行った後の金浸出後液の酸化還元電位(ORP)はおおむね450〜600mV程度、典型的には500〜580mV程度となる。
ORPの上昇は、金浸出後液中の一価の銅イオンの減少を示す。一価銅は非常にソフトな元素として知られ活性炭に対する親和性が高く、金錯体の吸着と競合する。この一価銅の減少により活性炭中の吸着活性点は金に対する選択性が増すことで金の効率的な回収を実現することができる。
このような金浸出工程では、原料からの金の浸出率は、85%以上、さらには90%以上、特に95%以上であることが好ましい。一方、銅の浸出率は、15%以下、さらには10%以下、特に5%以下であることが好ましく、また、鉄の浸出率は、15%以下、さらには10%以下、特に5%以下であることが好ましい。
(吸着工程)
金の浸出工程後、固液分離によって得られた金浸出後液から、活性炭吸着を利用して金を回収することができる。活性炭への金の接触は、バッチ回分式もしくは活性炭を充填した吸着塔に酸性浸出液を連続通液することで行うことができる。
バッチ式の場合、攪拌速度は特に限定されず、また、添加の活性炭量は金重量の50倍〜10000倍となるように添加する。
連続通液法式の場合、通液速度は特に限定されない(一般的にはSV1〜25)。但し、活性炭の単位重量あたりの金吸着量が20000〜30000g/tとなった時点で、活性炭はその吸着能力の低下が認められることがある。そのため、活性炭からの金のストリップや再生はこの吸着量を目安に行うことができる。活性炭の再生方法は、一般的に知られる硫黄化合物や窒素化合物、もしくは酸等の様々な手法にて行うことができる。
ここでは、先述の金浸出工程で原料からの銅や鉄の浸出が有効に抑制されたことにより、金浸出後液中の銅イオン濃度、鉄イオン濃度が低くなるので、活性炭への銅や鉄の吸着ないし付着もまた抑制されることになる。
(洗浄工程)
次いで、吸着工程で金を吸着させた活性炭を、洗浄用薬剤としての酸性溶液ないしアルカリ溶液により洗浄する洗浄工程を行うことができる。NaOH等のアルカリ性溶液による洗浄では、活性炭に吸着していることのある硫黄を効果的に除去することができ、また、塩酸等の酸性溶液による洗浄では、活性炭に吸着していることのある銅や鉄を効果的に除去することができる。酸洗浄及びアルカリ洗浄は、そのうちのいずれか一方のみを行うことができ、又は、両方を行うことができる他、いずれも行わずに、この洗浄工程を実施しないことも可能である。
この発明の実施形態では、上述したように、吸着工程での活性炭への銅や鉄の吸着ないし付着が抑制されるので、洗浄工程で、かかる銅や鉄の除去に必要な洗浄用薬剤の使用量を削減することができる。
(溶離工程)
活性炭に吸着した金は、アルカリ液、好ましくはNaOH、もしくはNaOHとNa2Sとを混合した液により溶離する。ここで、アルカリ濃度が低いと金の溶離が困難となり、アルカリ濃度が高いと調製時の発熱の危険がある。このような観点から、NaOHを用いる場合、その濃度は0.05〜1Mとすることが好ましく、0.1〜0.5Mとすることがより好ましい。また、Na2Sは価格と取り扱いの難しさから使用量が低いほうが好ましいが、Na2Sの濃度が低ければそれだけ金の溶離効果が低下する。一方、Na2Sの濃度が高すぎると効果が飽和してしまい、さらにNa2Sの処理負担も大きくなる。このような観点から、NaOHとNa2Sとを混合した溶液を用いる場合は、Na2S添加量はNaOHの0.1〜10モル倍量とするのが好ましく、0.5〜1.5モル倍量とするのがより好ましい。
溶離工程では、金だけでなく活性炭に吸着し得る銅や鉄も、上記のNaOH等の薬剤と反応して薬剤を浪費させるが、先述したように、この発明の実施形態では、吸着工程での活性炭への銅や鉄の吸着ないし付着が抑制されているので、銅や鉄と反応する不必要な薬剤の使用に伴うコストの増大を防止することができる。
なお、溶離はバッチ回分式もしくは連続通水式で行うことができるが、酸素によりスルフィドが酸化されることにより電荷を失い、金が活性炭に再吸着することや反応器に沈着することを防ぐため、回分式で溶離を行う場合は激しく攪拌しないことが好ましい。攪拌が必要な場合は空気を非酸化性ガスと置換して攪拌する。あるいは、硫化ナトリウム添加量を多めに設定するか、適時添加を行う。また、溶離は大気圧下で行うことが好ましい。
活性炭からの溶離により濃厚金溶液を得ることができる。この濃厚金溶液とは、金を50〜5000mg/L含む溶液を意味する。濃厚金溶液から還元によって金を作製する方法としては、シュウ酸ナトリウムによる還元や二酸化硫黄による化学還元法、又は、溶媒抽出−電解採取法が知られており、いずれの手段を用いても単体の金を得ることができる。
次に、この発明の金の回収方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は、単なる例示を目的としたものであり、それに限定されることを意図するものではない。
(試験例1)
金浸出時の液温の違いによる各金属の浸出率の違いを確認するため、表1に示す品位の原料精鉱に対し、異なる液温(浸出温度)の下で金浸出を行った。なお原料精鉱は、黄鉄鉱が80%で残部が脈石や銅鉱物であった。
ここでは、パルプ濃度を15g/Lとし、液組成としてBr濃度が150g/L、Cu濃度が18g/L、Fe濃度が1g/L、Cl濃度が0g/Lである酸性水溶液を用いた。金浸出時に0.1L/min/Lで空気を吹込み、浸出開始から12時間後の浸出率を測定した。その結果を図2に示す。
Figure 0006899672
図2に示す結果より、Auの浸出率は、液温によらず90%以上と高いが、Cu及びFeの浸出率は、温度を低くすると低下することが解かる。図2より、液温が40℃以下であれば、Cu及びFeの浸出率がともに十分に低くなり、その後に行うことのできる洗浄工程や溶離工程の薬剤使用量を有効に削減できることが解かった。
(試験例2)
金浸出時の液温を低くした状態で、酸性水溶液のCl濃度及びBr濃度を変化させた場合に、金浸出率の違いがあるかどうかを確認するため、表2に示す試験例2−1〜2−3を行った。試験例2−1〜2−3は、表2に示すCl濃度及びBr濃度の下、液温を20℃として金を浸出させたものであり、その他の条件は試験例1とほぼ同様である。
Figure 0006899672
表2に示すところから、Br濃度を高くし、かつCl濃度を低くすること、特にBr単独浴とすることにより、Auの浸出率を大きく向上できることが解かる。
なおCuおよびFeの浸出率は、いずれの試験例2−1〜2−3でも高くても12.2%となり、これは、試験例1の結果からも解かるように十分低い結果であるといえる。
(試験例3)
参考までに、酸性水溶液の液温を85℃とし、Cl及びBrの各濃度の変化によるCu及びFeの浸出率の違いを確認した。その結果を図3及び図4のそれぞれに示す。
図3及び図4に示す結果より、85℃の温度条件では、Cl及びBrの濃度を変更しても、Cu及びFeの浸出率はいずれも変化しないことが解かる。したがって、40℃以下の温度条件でも、Cl及びBrの濃度を変更しても、Cu及びFeの浸出率は変化することなく、試験例1の結果のような低い値を示すと考えられる。

Claims (7)

  1. 金を含む鉱石もしくは精錬中間物から金を回収する方法であって、前記鉱石もしくは精錬中間物から得られた金を含む原料と、銅イオン、鉄イオンおよびハロゲン化物イオンを含む酸性水溶液とを、酸化剤の供給下で接触させて、当該原料中の金成分を浸出させる工程を有し、
    前記原料中の金成分を浸出させる工程で、前記酸性水溶液中のハロゲン化物イオンが、少なくとも臭化物イオンを含み、該臭化物イオンの濃度を50g/L以上とし、金成分を浸出させる際の酸性水溶液の液温を40℃以下として、前記鉱石もしくは精錬中間物から銅または鉄の浸出を抑制しながら金を選択的に浸出することを特徴とする鉱石もしくは精錬中間物からの金の回収方法。
  2. 前記酸性水溶液中のハロゲン化物イオンを、臭化物イオンのみとする、請求項1に記載の鉱石もしくは精錬中間物からの金の回収方法。
  3. 前記酸性水溶液中のハロゲン化物イオンが、さらに塩化物イオンを含む、請求項1に記載の鉱石もしくは精錬中間物からの金の回収方法。
  4. 前記臭化物イオンの濃度を100g/L未満とし、前記臭化物イオンの濃度に対する塩化物イオンの濃度の比(Cl/Br濃度比)を1/3以下とする、請求項3に記載の鉱石もしくは精錬中間物からの金の回収方法。
  5. 前記Cl/Br濃度比を1/4以下とする、請求項4に記載の鉱石もしくは精錬中間物からの金の回収方法。
  6. 前記臭化物イオンの濃度を100g/L以上とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の鉱石もしくは精錬中間物からの金の回収方法。
  7. 前記原料中の金成分を浸出させる工程で、金成分を浸出させる際に酸性水溶液を加温しない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の鉱石もしくは精錬中間物からの金の回収方法。
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