JP2010194568A - ヘミング装置およびヘミング加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ロボット1に取り付けた加圧ローラ2をアンビル8に載置したワークWに押圧しながらヘミング加工するヘミング装置10であって、先端部で加圧ローラ2を回転自在に支持する支持アーム3と、この支持アーム3の基端部に軸支され、前記基端部の回りに前記支持アーム3を回転させるモータ4と、このモータ4をロボット1に固定する支持ヘッド5と、を備え、モータ4の回転トルクで加圧ローラ2の押圧力を制御するようにしたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
図12の(a)は、従来のヘムローラ支持部の従来例1を示す縦断面図である。
図12の(a)に示すように、ロボットハンド72の先端部には支持ブラケット11がボルト12…によって固定されている。この支持ブラケット11は、所定形状のブロック体にスライド孔11c,スプリング孔11bが同心状にして形成されている。スライド孔11cの断面は、例えば、正方形の角孔である。
スプリング10aは、スプリング孔11bとスライドブロック13の間に介在されており、スライドブロック13を下方に押圧する押圧手段になっている。スライドブロック13は、スライド孔11c内を変位可能に移動するようになっている。
図12の(b)に示すように、この従来例2は、サーボモータ方式である。
支持ブラケット51の上面には、ロータリエンコーダ52を有するサーボモータ50が取り付けられている。このサーボモータ50の出力軸50aには、カップリング53を介してボールネジのネジ軸54aが連結されている。スライドブロック55の上面から下面に亘って摺動孔55aが形成され、この摺動孔55aにはナット54bが軸方向に摺動可能に嵌め込まれている。また、このナット54bは、キー57によってスライドブロック55に対して回り止めがなされている。
このようにして、ナット54bは支持孔55a内を摺動可能であり、この摺動可能な範囲は、ナット54bの鍔54cが保持孔55bの底面とリテーナ56との間であり、この範囲でスライドブロック55が変位可能に構成されている。
さらに、ナット54bの下端と支持孔55aの底面との間には、荷重測定用のロードセル58が取り付けられている。このロードセル58は、サーボ増幅器を介して外部制御装置に継電接続されている。
そして、実際のヘミング加工時においては、サーボモータ50を所定回転数だけ回転してスライドブロック55をティーチングレベルLT から距離δだけ上方に変位して、ヘムローラ74をヘミングレベルLH に変位させる。
ここで、距離δは、アウタパネルWoの板厚×2+インナパネルWi(図11参照)の板厚をいう。
このようにして、ロボットハンド72のたわみは吸収され、ヘムローラ74は常にヘミングレベルLH に保持されて良好なヘミング加工を行うことができる。この従来例においては、モータ50、ボールネジ54およびナット54bがヘムローラ74を押圧するための押圧手段に相当し、かつティーチングレベルLT に変位させるための変位手段に相当する。
また、図12の(b)に示すような従来例2では、支持ブラケット51のスライド孔51aをスライドブロック55が摺動する際、ヘムローラ74が押圧すると、その反力を受けて偏荷重を受けるため、正方形の角孔の壁面のこすりによる摺動抵抗が発生し、追従性に問題があった。
さらに、従来例2では、ボールネジ54の下部に荷重測定用のロードセル58が取り付けられ、このロードセル58の電線が引き回されており、加工中、ワークのエッジと電線が干渉し、破断する恐れがあった。さらに、ローラ式のヘミング加工の予備曲げ工程においては、コーナー部の縮みフランジの部分が均等に予備曲げできないため、本曲げ後、コーナー部に飛び出しが発生し、コーナー部の仕上がりが悪く、ヘム品質を低下させるという問題があった。
図1に示すように、ヘミング装置10は、多関節のロボット1と、このロボット1のロボットハンド部1aの先端部に装着されたローラヘッド6と、ワークWを載置するアンビル8とによって構成されている。
図1に示すように、ロボット1は、多関節ロボットであり、ここでは、基本3軸と手首3軸の計6軸が制御されている。基本3軸は、ロボット1の本体をベース1f上で旋回させるS軸と、下腕1dを動かすL軸、上腕1cを回転させるU軸があり、ロボットハンド1a(エンドエフェクタ)の位置を定めている。手首3軸は、上腕を旋回するR軸、手首を振るB軸、手首回転するT軸を有している。
このロボットハンド部1aは、上腕1cの先端部に設けられた屈曲自在の関節部1bを介してフランジ状の接続部が形成されている。ロボットハンド部1aは、位置制御されている。
なお、ロボット1は例えば、MOTOMAN(登録商標)ES165Nが好適である。
図1に示すように、アンビル8は、ロボット1の近傍に配置されている。アンビル8は、ヘミング加工の金床であり、横幅は、例えば、1.1mであり、ワークWの形状に合わせて形成されている。また、ロット番号の変更やメンテナンスの際には、アンビル8が交換される。アンビル8の本体は、例えば、車両のドアのアウタパネルの外形に合わせた曲面を有するフレーム8a(図7参照)から形成されている。
また、アンビル8の4箇所のコーナー部には、予備曲げ加工をするために予備曲げ装置9が設けられている。この予備曲げ装置9は、予備曲げパンチ9dと、この予備曲げパンチ9dを動作させるエア用アクチュエータ9aと、から構成されている。
また、アンビル8の略四辺形の各辺には、ワークWを固定するクランパ9d,9e,9f…が各辺に1個、または、2個ずつ配置されている。これらのクランパ9d,9e,9f…にもエア用アクチュエータが配置されている。
ローラヘッド6は、図2(b)に示すように、先端部に本曲げ用の加圧ローラ2を回転自在に支持する支持アーム3と、この支持アーム3の基端部に軸支され、基端部の回りに支持アーム3を回転させるモータ4と、モータ4をロボット1に固定する支持ヘッド5と、を備えた部材である。ローラヘッド6は、ロボットハンド1aの接続部に一つのユニットとして接続される。
支持ヘッド5は、図2(b)に示すように、断面視ではT字状に形成された部材である。支持ヘッド5は、板状の垂直部に開口部が設けられ、その開口部にモータ4を通して支持するモータ支持部5aと、モータ4をロボット1に固定する円盤状のフランジ部5bとから構成されている。
<モータ支持部>
モータ支持部5aは、モータ4の外径の寸法に合わせた穴5cが形成されており、この穴5cにモータ4の本体が挿入された後、モータ4のフランジ部4bに設けられた12本のボルトによってモータ支持部5aの側面に固定されている。
<フランジ部の構成>
フランジ部5bは、ロボットハンド1aの接続部と同類のフランジが形成されている。支持ヘッド5のフランジ部5dは、フランジ部5dの中央に設けられた凸状のインロー部とロボットハンド1aの接続部との穴によって芯出しが行われ、6本のボルトによってロボットハンド1aの接続部に固定されている。
モータ4は、サーボモータ4aである。このサーボモータ4aには、減速比が1/90
の減速機が内蔵されている。定格回転速度は、3.37min-1である。また、このサーボモータ4aには、ロータリエンコーダと電磁ブレーキが内蔵されている。このロータリエンコーダは、回転の機械的変位量を電気信号に変換し、この電気信号を処理して回転角度(位置)・回転速度などを検出する。電磁ブレーキは位置を保持するために機能する。また、サーボモータ4aは、電流を制御してモータの発生トルクを制御することができる。回転トルクは、このトルク制御に相当する。
サーボモータ4aの働きには、トルク制御と、速度制御と、位置制御との3つの制御がある。
<トルク制御>
・トルク制御とは、モータ4に流す電流を制御してモータ4の発生トルクを制御する。
つまり、トルク指令によりモータ4の発生トルクをコントロールできる。トルク制御モード(モード1)では、速度に関係なく一定のトルクでモータ4を駆動する。
<速度制御>
・速度制御とは、速度指令電圧に応じて無断階にモータ4の回転速度を変える。
つまり、速度の指令によりモータ4の回転速度をコントロールできる。速度制御モード(モード2)では、負荷に関係なく一定の速度でモータ4を回転させる。
<位置制御>
・位置制御とは、位置指令により、モータ4の回転角度(位置)と回転速度(移動速度)を制御する。つまり、位置指令により、複数の加圧ローラを、それぞれヘミング加工位置に割り出すことができる。
位置制御モード(モード3)はサーボモータの最も一般的な動作であり、指令された位置にモータ4を動かし、その位置に保持する。別の位置が指令されればすぐにその位置へ移動できる。
したがって、サーボモータ4aの回転トルクで加圧ローラ2の押圧力を制御するように構成されているため、たとえ、ロボットハンド系のたわみがあったとしても、前記したティーチングレベルLTとヘミングレベルLHとの差である距離δを吸収することができることから、従来の加圧センサであるロードセルが不要にできる。
図2(a)、(b)に示すように、支持アーム3は、正面視で両端部がRに形成された「腕」である。支持アーム3は、前記したモータ4の出力軸に12本のボルトによって固定されている。
図3は、本発明の変形例を示すヘミング装置の斜視図である。
図1と図3の相違点は、プログラムの他に、支持アーム3と支持アーム3aの形状にある。図4は、図3に示すヘッドローラ6a′を拡大した拡大図であり、ロボットハンドに装着されたローラヘッドを示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は請求項4に係る支持アームの変形例を説明する説明図である。
図4の(a)に示すように、支持アーム3aは、略3等分にしたベルクランク状に形成され、モータ4のモータ出力フランジ4cを中心として放射状に配設された複数の加圧ローラ2a,2b,2cが回転自在に支持されている。モータ出力フランジ4cの中心から加圧ローラ2a,2b,2cまでの距離は寸法a,a,aで同じになっている。小径加圧ローラ2cの直径が異なるため、モータ出力フランジ4cの中心から押圧点Pまでの距離Hが異なる。したがって、ロボット1へのティーチングは、各種加圧ローラごとにティーチングしなければならず、多大な工数が必要である。
これを改善したのが、図4の(c)である。
図4の(c)に示す支持アーム3a’は、モータ4のモータ出力フランジ4cの中心から複数の加圧ローラ2a,2b,2cのワークWの押圧点Pからモータ4の軸心までの高さHの距離は、それぞれが等距離になるように、加圧ローラ2a,2b,2cの大きさ(直径)に合わせてアーム3aの長さを変えている。例えば、加圧ローラ2cの位置は寸法bと角度αに変えている。
なお、厚みTは、アウタパネルWoの板厚to×2+インナパネルWiの板厚tiをいう。
加圧ローラ2は、図2の(b)に示すように、転動しながらワークWを押圧し、へム加工を施すローラである。加圧ローラ2の外周は、熱処理が施されており、耐摩耗性を高めた部材から構成されている。
加圧ローラ2は、図2の(b)に示すように、中心に設けた貫通穴の内周面にベアリング2eが装着され、スナップリング2fによって保持されている。また、このベアリング2eの内輪の穴にはシャフト2dが挿通され、シャフト2dはカラー2gを介してアーム3に装着され、スリーブ2hを介してナット2nによってアーム3に固定されている。
図2の(b)に示す加圧ローラ2の交換は、シャフト2dの頭部に設けられた六角穴に六角棒レンチを装着し、ナット回し工具でナット2nのゆるめ作業を行い、アーム3からに一体になったシャフト2dを抜き取る抜き取り作業が随時必要になる。
加圧ローラ2は、ここでは3種類用意されている。図4の(b)に示すように、加圧ローラ2は、例えば、予備曲げ用ローラ2aと、本曲げ用ローラ2bと、小径の小段差用加圧ローラ2c等であり、これらの加圧ローラ2を取り外すことなく瞬時に入れ替えることができる。
図5の(b)に示すように、予備曲げ用加圧ローラ2aは、45度の折り曲げ加工用であり、45度面取りをした90度テーパ面を有するローラが好適である。
なお、押圧点Pのずれがないように、その誤差分の位置補正を不要にしたのが、図4の(c)に示す支持アーム3a’である。図4の(c)に示すように、モータ出力フランジ4cの中心から加圧ローラ2a,2bまでの距離は寸法a,aで同じになっている。それであっても、加圧ローラ2a,2bのワークWの押圧点Pからモータ4の軸心までの高さHの距離を同じにすることができる。その理由を説明したのが、図6である。
図6は、予備曲げ用加圧ローラと本曲げ用加圧ローラとを比較した比較図である。
図6に示すように、予備曲げ用加圧ローラ2aのローラ半径は、本曲げ用加圧ローラ2bのローラ半径よりもワークWの板厚to+tiの2枚分大きくなっているのが判る。このように、予備曲げ用加圧ローラ2aのローラ半径をto+ti分大きくすることにより、本曲げ用加圧ローラ2bの押圧位置と同じ位置で、予備曲げ用ローラ加圧2aによって45度傾斜加工ができる。
なお、もう一つの方法は、予備曲げ用加圧ローラ2aのローラ半径がもっと大きくして、予備曲げ用加圧ローラ2aと干渉しないようにアンビル8の角部に面取りを施すことにより、予備曲げ用加圧ローラ2aの回転芯を同じにすることができる。
本曲げ用加圧ローラ2bは、図5の(f)に示すように、予備曲げ用加圧ローラ2aの後を受けて仕上げ加工を施す本曲げ用の加圧ローラである。
小段差用加圧ローラ2cは、図5の(d)に示すように、ドアのキャラクターライン等の小段差用のヘム加工用であり、先端が小径のローラである。
同様に、ローラ径が縮小しても押圧点Pのずれがないようにしたのが、図4の(c)に示す支持アーム3a’である。小段差用加圧ローラ2cの場合は、図4の(c)に示すように、角度α分だけ位置を変え、アームの長さも長さaから長さbに延長されている。このようにして、本曲げ用加圧ローラ2bの押圧点Pと、小段差用加圧ローラ2cの押圧点Pを一致させている。
つまり、モータ4の中心から本曲げ用加圧ローラ2bと小段差用加圧ローラ2cのワークWの押圧点Pからモータ4の軸心までの高さHの距離は、等距離になっている。
このようにすることにより、本曲げ用加圧ローラ2bから小段差用加圧ローラ2cに代えても、押圧点Pからモータ4の軸心までの高さHの距離がずれないため、その誤差分の位置補正を行う必要がないため、ティーチングが容易になる。
さらに、L形のプレート8cの側面には、くの字状に屈曲したサポート9fが固定されている。このサポート9fの下端部にはピンP1が設けられ、また、屈曲したコーナー部にもピンP2が設けられている。一方、タンブラ9gはL字状に形成され、中間部の左側には、前記したピンP2によって、回動自在に保持されており、その上端部には、予備曲げパンチ9dがボルトによって固定されている。
アクチュエータ9aは、エアシリンダ9bとシリンダロッド9cから構成されたロッド側トラニオン形になっており、このロッド側トラニオン形のエアシリンダ9bのピンが前記したピンP1である。また、シリンダロッド9cの端部は2山クレビス形になっており、前記したタンブラ9gの端部とはピンP3によって回動自在に支持されている。
一度、駆動指令が出ると、エアシリンダ9bの他方に高圧エアが供給され、シリンダロッド9cが伸張し、予備曲げパンチ9dは実線に示す位置にすばやく移動し、波型形状の予備曲げ加工を行う。
つまり、コーナー部は、予備曲げパンチにより最適な、波型のしわ形状を統制して形成する。これにより、その後工程である本曲げ用加圧ローラ2bの加圧により、このしわ形状が塑性変形によって縮む箇所が均等に分散されるので、容易に平らにできる。
また、図9の(a)に示すように、コーナー部以外の箇所であっても構わない。アウタパネルWoは、タイヤアーチ部の伸びフランジ部であっても、通常の予備曲げローラ2aにより波型形状にすることができる。
このように、つぎの工程の本曲げ加工をする際、縮む箇所や伸びる箇所を均等に分散することができるため、結果として本曲げ加工においては、きれいな仕上がりのヘミング加工ができる。
ロボット1のティーチングとは、リモコン操作でプログラムを作成する方法をいう。
ロボット1のような多関節ロボットに代表される産業用ロボットは、NC工作機械と同様にプログラムにより動作する。したがって、多関節ロボットを動作させて作業させるにはNC工作機械と同様にプログラムを作成する必要がある。しかしながら、多関節ロボットは、6軸(B,L,R,S,T,U軸)の制御軸を有するため、プログラムの作成は複雑で難解になるため、多関節ロボットのロボットバンド1aに固定された加圧ローラ2で押付けながら機体をリモコンで操作し、その姿勢を記憶させる方法が採用されている。つまり、所定の軌跡を加圧ローラ2でなぞり、その動作を記憶させることでプログラムを作成する方法である。
ロボット1にティーチング作業は終了したものとし、その後の動作を説明する。
起動釦を押すと、ヘミング装置10の動作が開始する。
図3に示すように、第1工程は段取り工程である。ロボット1のロボットハンド1aは図示しない後方の待機位置に移動している。図示しない隣接されたワーク搬送ロボットがアウタパネルWi(図6参照)をアンビル3の上面に載置する。つづいて、同じワーク搬送ロボットがアウタパネルWiの上面にインナパネルWo(図6参照)を載置する。
そうすると、ワーク固定用のクランパ 11a,11b…11hが一斉に駆動し、ワークWをアンビル3の上面に固定する。
図3に示すように、第2工程は、アンビル3の4隅のコーナー部の予備曲げパンチ9d,9d…が一斉に駆動する。図8の(b)、(c)に示すように、予備曲げパンチ9d,9d…の形状はブロック状であり、この端面に波型9e…を有する成形面が形成されている。予備曲げパンチ9d,9d…は、この波型9e…の成形面を使用してワークWを波型に形成する予備曲げ加工をする。
第3工程は、予備曲げヘム加工である。ロボット1の上腕1cと、下腕1dの体勢がワークWの上方に移動し、各関節が回動し、ロボット1の姿勢を変え、図3に2点鎖線で示すローラヘッド6a’をワークWの加工箇所の上部に移動する。
加圧ローラ2の最初のローラである予備曲げ用加圧ローラ2aは、図4の(c)に示すように、支持アーム3aをサーボモータ4aの回転位置制御の割り出し制御により120度回動すると、予備曲げ用加圧ローラ2aに入れ替わる。この入れ替えがあっても、サーボモータ4aの中心と押圧点Pまでの高さHは同じになっているため、ロボットハンド1aの余分な動作は一切必要ない。
また、予備曲げ用加圧ローラ2aが予備曲げ加工を完了させて、不干渉領域に移動すると順番に各アクチュエータ9b…が作動して固定位置に戻る。
そして、予備曲げ用加圧ローラ2aが転動した奇跡と同様に本曲げ用加圧ローラ2bが転動する。とくに、ワークWのコーナー部の4隅は、図9に示すように、ワークWが波型形状にヘム加工された後を受けて、本曲げ用加圧ローラ2bによって複数回の往復転動による押圧を経て、仕上げられる。
コーナー部からコーナー部までは、より回数の少ない往復転動による押圧を経て、仕上げられる。
このヘミング加工方法は、コーナー部においては、ロボット1に取り付けた予備曲げ用加圧ローラ2aにてアンビル8に載置したワークWに、積極的にしわを加工し、本曲げ用加圧ローラ2cにて仕上げ加工をする方法である。
第1工程は、ワークWのヘムフランジの縮みフランジ部のコーナー部B(図10(e)参照)や伸びフランジ部のタイヤアーチ部Cと(図10(e)参照)は、加圧ローラ2をモータ4の回転トルクで押圧力を制御し、揺動させながら押圧して波型形状に予備曲げ加工する。
第2工程は、モータ4の回転トルクで前記本曲げ用加圧ローラ2cの押圧力を制御して押圧し、波型形状を解消させて均等な本曲げ加工する。
コーナー部Bは極小径用加圧ローラ2kをモータ4の回転トルクで押圧力を制御し、揺動させながら押圧して波型形状に予備曲げ加工する。
タイヤアーチ部Cは予備曲げ用加圧ローラ2a、または、本曲げ用加圧ローラ2cをモータ4の回転トルクで押圧力を制御し、揺動させながら押圧して波型形状に予備曲げ加工するのが第1工程である。
第2工程は、モータ4の回転トルクで本曲げ用加圧ローラ2cの押圧力を制御し、押圧して波型形状を解消させて均等な本曲げ加工する。この第1、第2工程を含むことを特徴とするヘミング加工方法である。
このように、ワークWの予備曲げ加工で波型形状にする部位は、曲げ加工したときにヘム品質に悪影響を及ぼす縮みフランジになるコーナー部Bと、伸びフランジになるタイヤアーチ部Cである。図10の(f)、(h)に示すように、加圧ローラ2を揺動させながら押圧して波型形状に予備曲げ加工する部位は、ワークWのアウタパネルWoの外周フランジ(ヘムフランジとも言う)である。
そこで、この部位のヘムフランジにおいては、予備曲げ加工時にヘムローラの角度を変えずに、または、ヘムローラの角度を変えながら押圧して波型形状に成形することにより、あらかじめ、ヘムフランジの先端部領域を伸ばしておいて、本曲げ加工をすることにより、アウター側に歪が発生することなく、良好なヘミング品質を得ることができる。
そこで、この部位のヘムフランジにおいては、コーナー部のRが大きいときは、予備曲げ加工時にヘムローラの角度を変えながら押圧して波型形状に成形し、しわの出来る箇所を複数箇所に分散することにより、しわの出来る箇所が偏ったり、1つの大きなしわになることなく、良好なヘミング品質を得ることが可能になった。
なお、従来の技術との大きな相違点は、図12の(b)に示すように、ボールネジのネジ軸54aの転方向にヘムローラ74を加圧するのに対し、本発明は、支持アーム3の回動方向へ加圧するため、この加圧方向が90度相違して点にある。
さらに、方法の発明では、コーナー部Bの加工方法は、極小径用加圧ローラ2kを紹介したが、図10の(c)、(d)に示すように、ローラをなくした押圧工具としても構わない。
1a ロボットハンド(接続部)
1b 関節
1c 上腕
1d 下腕
1e バランサ
1f ベース
2 加圧ローラ(ローラ)
2a 予備曲げ用加圧ローラ
2b 小径用加圧ローラ
2c 本曲げ用加圧ローラ
2d シャフト
2e ベアリング
2f スナップリング
2g カラー
2h スリーブ
2k 極小径用加圧ローラ
2n ナット
2s 押付工具
3,3a, 支持アーム(アーム)
4 モータ(サーボモータ)
4a サーボモータ
4b フランジ部
4c モータ出力フランジ
5 支持ヘッド
5a モータ支持部
5b フランジ部
5c 穴
6,6a ローラヘッド
8 アンビル
8a フレーム
8b ステー
8c プレート
9 予備曲げ装置
9a アクチュエータ
9b エアシリンダ
9c シリンダロッド
9d 予備曲げパンチ
9e 波型
9f サポート
9g タンブラ
10 アームローラヘミング装置
11a,11b…11h クランパ
A ストレート部
B コーナー部
C タイヤアーチ部
D 湾曲部
P1,P2,P3 ピン
W ワーク
Wi インナパネル
Wo アウタパネル
Claims (7)
- ロボット(1)に取り付けた加圧ローラ(2)をアンビル(8)に載置したワーク(W)に押圧しながら加工するヘミング装置(10)であって、
先端部で前記加圧ローラ(2)を回転自在に支持する支持アーム(3)と、
この支持アーム(3)の基端部に軸支され、前記基端部の回りに前記支持アーム(3)を回転させるモータ(4)と、
前記モータ(4)を前記ロボット(1)に固定する支持ヘッド(5)と、を備え、
前記モータ(4)の回転トルクで前記加圧ローラ(2)の押圧力を制御するようにしたことを特徴とするヘミング装置(10)。 - 前記支持アーム(3)は、前記モータ(4)のモータ出力フランジ(4c)を中心として放射状に配設された複数の加圧ローラ(2a,2b,2c)を回転自在に支持したことを特徴とする請求項1に記載のヘミング装置(10)。
- 前記モータ(4)はサーボモータ(4a)であり、
割り出し制御して前記複数の加圧ローラ(2a,2b,2c)を、ヘミング加工位置に割り出すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヘミング装置(10)。 - 前記モータ(4)のモータ出力フランジ(4c)の中心から前記複数の加圧ローラ(2a,2b,2c)にそれぞれ押圧される前記ワーク(W)の押圧点までの距離は、等距離であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のヘミング装置(10)。
- 前記アンビル(8)のコーナー部には、前記コーナー部の予備曲げ加工をするためにアクチュエータ(9a)で動作する予備曲げパンチ(9d)を備えたことを特徴とする請求項1に記載のヘミング装置(10)。
- 前記予備曲げパンチ(9d)の加工面は、予備曲げ加工をするときアウターパネル(Wo)の外周フランジに波型形状を加工するために、波型(9e)に形成したことを特徴とする請求項5に記載のヘミング装置(10)。
- ロボット(1)に取り付けた予備曲げ用加圧ローラ(2a)と、小径用加圧ローラ(2b)と、本曲げ用加圧ローラ(2c)と、極小径用加圧ローラ(2k)からなる加圧ローラ(2)をアンビル(8)に載置したワーク(W)に押圧しながら加工するヘミング加工方法であって、
前記ワーク(W)に、前記加圧ローラ(2)をモータ(4)の回転トルクで押圧力を制御して揺動させながら押圧して波型形状に予備曲げ加工する第1工程と、
前記モータ(4)の回転トルクで前記本曲げ用加圧ローラ(2c)の押圧力を制御し、押圧して波型形状を解消させて均等な本曲げ加工する第2工程と、
を含むことを特徴とするヘミング加工方法。
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Cited By (10)
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