JP2019025529A - ローラヘミング加工方法 - Google Patents

ローラヘミング加工方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019025529A
JP2019025529A JP2017148920A JP2017148920A JP2019025529A JP 2019025529 A JP2019025529 A JP 2019025529A JP 2017148920 A JP2017148920 A JP 2017148920A JP 2017148920 A JP2017148920 A JP 2017148920A JP 2019025529 A JP2019025529 A JP 2019025529A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roller
flange portion
panel
hemming
bending
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017148920A
Other languages
English (en)
Inventor
修大 福永
Nagahiro Fukunaga
修大 福永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Kyushu Inc
Original Assignee
Toyota Motor Kyushu Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Kyushu Inc filed Critical Toyota Motor Kyushu Inc
Priority to JP2017148920A priority Critical patent/JP2019025529A/ja
Publication of JP2019025529A publication Critical patent/JP2019025529A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Bending Of Plates, Rods, And Pipes (AREA)

Abstract

【課題】ローラヘミング加工方法において、パネル部材の折返し部分の曲率半径を小さくし、加工後の部分についてシャープな形状を成形可能とするとともに、割れやシワ等の不良の発生を抑制する。【解決手段】フランジ部3にローラ10を作用させることで、アウタパネル1の縁部にヘミング加工を施すローラヘミング加工方法であって、フランジ部3をパネル本体部2に対して所定の角度折り曲げる第1の加工工程と、第1の加工工程により折り曲げられたフランジ部3を、パネル本体部2に対してさらに折り曲げる第2の加工工程と、を有し、第2の加工工程では、ローラ10として、円筒面状の円筒状ローラ面45とテーパ状ローラ面46とを有する第2ローラ12を用い、円筒状ローラ面45をフランジ部3の基端側の部分に作用させるとともに、テーパ状ローラ面46をフランジ部3の先端側の部分に作用させ、フランジ部3に対して折曲げ加工および潰し加工を施す。【選択図】図4

Description

本発明は、例えば自動車のドアを構成するパネル部材にヘミング加工を施すためのローラヘミング加工方法に関する。
従来、例えば自動車のドアを構成するパネル部材に施されるヘミング加工として、ヘミング加工用のローラを用いたローラヘミング加工が行われている。ローラヘミング加工としては、例えば、自動車のドアを構成するパネル部材であるアウタパネルおよびインナパネルを対象として、次のような加工が行われている。
ロボットに支持されたヘミング加工用のローラが、ロボットの動作によって、所定の加工台上にセットされたアウタパネルの縁部に沿って移動させられながら、アウタパネルの縁部に形成されたフランジ部に作用する。フランジ部は、アウタパネルの縁部においてパネル本体部に対して直角状をなすように形成された屈曲面部であり、ローラからの押圧作用を受けて内側に折り曲げられる。また、アウタパネルのパネル本体部上には、フランジ部の内側に縁端を位置させるようにインナパネルが載置されており、ヘミング加工によれば、最終的に、インナパネルの縁端部が、アウタパネルのパネル本体部と、直立状態からパネル本体部に重なるように折り曲げられたフランジ部とにより挟まれた状態となる(例えば、特許文献1参照。)。
このようなローラヘミング加工に関し、特許文献1には、縁部が湾曲しているワークに対してローラの滑りによってローラの表面等に生じる傷や摩耗を低減することを目的として、次のようなローラヘミング技術が開示されている。すなわち、それぞれ所定の角度で傾斜したテーパ面からなる一次曲げ面及び二次曲げ面を有するヘミング加工用ローラを用い、一次曲げ面でフランジを曲げるときにガイド部によって二次曲げ面を案内する技術が開示されている。
特許第4559374号公報
ところで、自動車のドアを構成するパネル部材として、従来、鉄製のパネルが主に用いられているが、近年、軽量化等を目的として、アルミニウムを材料としたアルミパネルが用いられている。しかしながら、パネル部材としてアルミパネルを用いた場合、上述したようなローラヘミング加工において、次のような問題がある。
パネル部材としてアルミパネルを用いた場合、剛性を確保するため、鉄製のパネルを用いた場合との比較において、パネル部材の板厚を厚くする必要が生じる。具体的には、アルミパネルの場合、鉄製のパネルと比べて例えば2倍程度の板厚となる。パネル部材の板厚が増加すると、ローラヘミング加工によるアウタパネルの折返し部分である縁端部(以下「ヘム端部」という。)の曲率半径が大きくなる。すなわち、ローラヘミング加工後においてインナパネルを介して互いに重なった状態となっているアウタパネルのパネル本体部とフランジ部とを繋ぐ湾曲部分がヘム端部となり、このヘム端部の曲率半径は、アウタパネルおよびインナパネルの板厚の増加にともなって大きくなる。ヘム端部の曲率半径が大きくなると、ローラヘミング加工による加工後の部分について外観的なシャープさが損なわれる。
また、自動車のドアに関しては、例えばドアと車体本体との間、あるいはフロントドアおよびリアドアのドア同士の間に、見切り隙と呼ばれるクリアランスが存在する。見切り隙は、自動車の外観上、黒い線として表れ、見栄えに影響する。特に、ドアは、自動車において比較的目に付きやすい位置に存在するため、ドアの周囲における見切り隙が見栄えに与える影響は比較的大きい。そして、見切り隙は、一般的に、自動車の外観上、狭い(小さい)ほど好ましい。
しかしながら、ヘム端部の曲率半径の増大は、見切り隙としてのクリアランス自体の寸法は同じであっても、見る角度等によって、見かけ上の見切り隙を広く感じさせる。このように、ヘム端部の曲率半径が大きくなることは、自動車の外観上の精緻感を低下させ、デザイン性を低下させる原因となる。
また、ローラヘミング加工は、曲げ加工としては最終的にフランジ部をパネル本体部に対して略180°をなすように折り曲げるという厳しい加工であるため、加工対象としてアルミパネルを用いた場合、鉄製のパネルと比べて、割れやシワ等の不良が発生しやすいという問題がある。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、パネル部材の折返し部分の曲率半径を小さくすることができ、加工後の部分についてシャープな形状を成形することができるとともに、加工後の部分において割れやシワ等の不良の発生を抑制することができるローラヘミング加工方法を提供することを目的とする。
本発明に係るローラヘミング加工方法は、パネル部材の縁部にパネル本体部に対して屈曲状に形成されたフランジ部にローラ治具を作用させることで、前記パネル部材の縁部にヘミング加工を施すローラヘミング加工方法であって、前記パネル本体部と前記フランジ部とのなす角度が所定の角度となるように、前記フランジ部を前記パネル本体部に対して折り曲げる第1の加工工程と、前記第1の加工工程により折り曲げられたフランジ部を、前記パネル本体部に対してさらに折り曲げる第2の加工工程と、を有し、前記第2の加工工程では、前記ローラ治具として、円筒面状の第1ローラ面と、該第1ローラ面に対して前記ローラ治具の回転軸方向の一側に設けられ、前記回転軸方向の他側から前記一側にかけて徐々に拡径するように形成されたテーパ面状の第2ローラ面と、を有するローラを用い、前記第1ローラ面および前記第2ローラ面のいずれか一方のローラ面を、前記フランジ部の基端側の部分に作用させるとともに、前記第1ローラ面および前記第2ローラ面のいずれか他方のローラ面を、前記フランジ部の先端側の部分に作用させ、前記フランジ部に対して折曲げ加工および潰し加工を施すものである。
また、本発明に係るローラヘミング加工方法の他の態様は、前記ローラヘミング加工方法において、前記ヘミング加工は、前記パネル本体部上に第2のパネル部材を載置し、前記第2のパネル部材の縁部を、前記パネル本体部と前記フランジ部とで挟持させるものであり、前記第2の加工工程は、前記フランジ部を前記パネル本体部に対して折り曲げるとともに前記第1ローラ面および前記第2ローラ面がなす角度にならって前記フランジ部の先端側の部分を基端側の部分に対して折り曲げる折曲げ加工、および前記フランジ部に対する潰し加工を行う前段工程と、前記前段工程よりも大きい押圧力で前記フランジ部に対する潰し加工を行う後段工程と、を含むものである。
また、本発明に係るローラヘミング加工方法の他の態様は、前記ローラヘミング加工方法において、前記第2の加工工程では、前記第2ローラ面を、前記フランジ部の基端側の部分に作用させるとともに、前記第1ローラ面を、前記フランジ部の先端側の部分に作用させ、前記フランジ部に対して折曲げ加工および潰し加工を施すものである。
また、本発明に係るローラヘミング加工方法の他の態様は、前記ローラヘミング加工方法において、前記第1の加工工程では、前記ローラ治具として、円筒面状のローラ面を有する円柱状ローラを用い、前記第1の加工工程は、前記パネル本体部と前記フランジ部とのなす角度が所定の予備曲げ角度となるように、前記フランジ部を前記パネル本体部に対して折り曲げる第1の曲げ工程と、前記第1の曲げ工程により折り曲げられたフランジ部を、前記パネル本体部と前記フランジ部とのなす角度が前記所定の角度となるように、前記パネル本体部に対してさらに折り曲げる第2の曲げ工程と、を含むものである。
また、本発明に係るローラヘミング加工方法の他の態様は、前記ローラヘミング加工方法において、前記ローラ治具を、シリンダ機構を介してロボットに支持させ、前記ロボットの動作により、前記ローラ治具を前記パネル部材の縁部に沿って移動させるとともに、前記シリンダ機構により、ローラ治具から前記フランジ部に作用する押圧荷重が一定となるように、前記ロボットおよび前記シリンダ機構を制御するものである。
本発明によれば、パネル部材の折返し部分の曲率半径を小さくすることができ、加工後の部分についてシャープな形状を成形することができるとともに、加工後の部分において割れやシワ等の不良の発生を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るローラヘミング加工装置の構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係るワークおよびヘミング加工についての説明図である。 本発明の一実施形態に係るローラを示す図である。(a)は第1ローラを示す図であり、(b)は第2ローラを示す図である。 本発明の一実施形態に係るローラヘミング加工方法についての説明図である。 本発明の一実施形態に係るローラヘミング加工方法の第2の加工工程の後段工程についての説明図である。 本発明の一実施形態に係るローラヘミング加工方法の作用についての説明図である。 本発明の一実施形態に係るローラヘミング加工方法の作用についての説明図である。 本発明の一実施形態に係るローラヘミング加工方法に対する比較例のヘミング加工についての説明図である。 本発明の一実施形態に係るローラヘミング加工方法に対する比較例のヘミング加工による不具合についての説明図である。 本発明の他の実施形態に係るローラを示す図である。 本発明の他の実施形態に係るローラヘミング加工方法の第2の加工工程についての説明図である。 本発明の他の実施形態に係るローラヘミング加工方法の第2の加工工程の後段工程についての説明図である。
本発明は、パネル部材の縁部にパネル本体部に対して屈曲状に形成されたフランジ部にローラ治具を作用させることで、パネル部材の縁部にヘミング加工を施すローラヘミング加工において、ローラ治具の構成およびフランジ部に対するローラ治具の作用のさせ方を工夫することにより、ヘミング加工の加工後の部分について、割れ等の不具合の発生を抑制しながら、意匠的に優れたシャープな形状の成形を可能とするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態では、自動車のドアを構成するパネル部材であるアウタパネルおよびインナパネルをローラヘミング加工の加工対象とする場合を例にとって説明する。すなわち、図1に示すように、本実施形態に係るローラヘミング加工方法は、パネル部材としてのアウタパネル1の縁部に、パネル本体部2に対して屈曲状に形成されたフランジ部3にローラ治具としてのローラ10(第1ローラ11、第2ローラ12)を作用させることで、アウタパネル1の縁部にヘミング加工を施す方法である。
そして、本実施形態に係るヘミング加工は、互いに屈曲部をなす第1の面部としてのパネル本体部2と第2の面部としてのフランジ部3を含むアウタパネル1のパネル本体部2上に第2のパネル部材であるインナパネル4を重ねて、フランジ部3をインナパネル4の縁部であるインナ縁部4aに重なるように折り曲げて潰し加工を行う加工である。すなわち、本実施形態に係るヘミング加工は、図2(a)に示すように、アウタパネル1のパネル本体部2上にインナパネル4を載置し、図2(b)に示すように、インナ縁部4aを、アウタパネル1のパネル本体部2とフランジ部3とで挟持させるものである。
本実施形態に係るローラヘミング加工は、直接的にローラ10を作用させる対象をアウタパネル1とし、ローラ10によってフランジ部3をパネル本体部2に対して折り曲げることで(図2(b)、矢印A1参照)、パネル本体部2とフランジ部3とにより、インナ縁部4aを挟み込み、アウタパネル1に対してインナパネル4を拘束し、パネル同士をかしめて接合するものである。なお、アウタパネル1とインナパネル4の接合部分、つまりヘミング加工による加工部分には、シーラ等の接合剤が適宜塗布ないし充填されている。
アウタパネル1は、自動車のフロントドアあるいはリアドアの車両外側の部分を構成する板状の部材である。アウタパネル1は、アルミニウムを材料としたアルミパネルであり、例えばケイ素(Si)やマグネシウム(Mg)等を含むアルミニウム合金板材に所定の成形加工を施したものである。
アウタパネル1は、その大部分をなすパネル本体部2と、パネル本体部2の周囲に形成されたフランジ部3とを有する。フランジ部3は、アウタパネル1の縁部においてパネル本体部2に対して直角状をなすように形成された屈曲面部であり、上述のとおりヘミング加工においてローラ10からの押圧作用を受けて内側に折り曲げられる部分となる。ヘミング加工に際し、フランジ部3は、アウタパネル1を成形するためのプレス成形等によってあらかじめ所定の形状に形成されている。ただし、フランジ部3は、ローラヘミング加工により形成されてもよい。つまり、フランジ部3は、ローラ10を用いてアウタパネル1の縁端部をフラットな状態から屈曲させることで形成された部分であってもよい。また、フランジ部3は、パネル本体部2に対して直角状に形成された部分に限らず、パネル本体部2とともに鈍角あるいは鋭角をなすようにパネル本体部2に対して屈曲形成された部分であればよい。
インナパネル4は、自動車のフロントドアあるいはリアドアの車両内側の部分を構成する板状の部材である。インナパネル4は、アウタパネル1と同様、アルミニウムを材料としたアルミパネルである。インナパネル4は、その周縁部に、本体部4bに対して段差状に形成されたインナ縁部4aを有する。
インナパネル4は、インナ縁部4aをアウタパネル1のパネル本体部2の内面2aに合わせるとともに、フランジ部3の内側に縁端を位置させるように、パネル本体部2上に載置される。インナパネル4は、パネル本体部2上に載置された状態において、アウタパネル1のパネル本体部2とともに中空部5を形成する。インナ縁部4aの端面4cと、アウタパネル1のフランジ部3の内面3aとの間隔d1(図2(a)参照)は、例えば数ミリメートル程度である。
アウタパネル1およびインナパネル4は、図1に示すように、ヘミング加工に際し、水平面状の所定の支持面6aを有する加工台6上にセットされる。加工台6は、ヘミング加工において下型として機能し、支持面6a上における所定の位置に、アウタパネル1が保持され、アウタパネル1上における所定の位置にインナパネル4がセットされ保持される。そして、加工台6上にセットされたアウタパネル1およびインナパネル4に対し、ロボット8により、ローラ10を移動操作しながら、ローラヘミング加工が行われる。
すなわち、図1に示すように、本実施形態に係るローラヘミング加工装置7は、ローラ10を回転自在に支持した状態で、フランジ部3が形成されたアウタパネル1の外形に沿ってローラ10を移動させるロボット8と、ロボット8に支持されたローラ10である第1ローラ11および第2ローラ12と、ワークとしてのアウタパネル1およびインナパネル4を支持する加工台6とを備える。
ロボット8は、加工台6上のワークに対して、ローラ10を支持した状態でローラ10の位置および姿勢を変化させるローラ移動装置として機能する。図1に示すように、ロボット8は、ベース部8aと、ベース部8a上に設けられるロボットアーム部8bとを有し、様々な位置および角度に姿勢制御されるフレキシブルなロボットアーム(多関節ロボット)として構成されている。ロボットアーム部8bの動作により、その可動範囲においてローラ10が3次元的に任意の方向に移動する。ロボット8は、例えば、6つの関節を有する6軸ロボットである。
ロボット8は、ロボット8の動作等を制御する制御部としてのロボット制御部18に接続されており、ロボット制御部18からの制御信号を受けて動作する。ロボット制御部18は、ティーチングにより設定された所定の動作をロボット8に行わせる。ロボット8の動作により、ワークに対するローラ10の位置や向き(姿勢)が制御されながら、フランジ部3が形成されたアウタパネル1の外形に沿ってローラ10が移動する。
ロボット8においては、ロボットアーム部8bの先端側に、シリンダ機構15を介して第1ローラ11および第2ローラ12が支持されている。シリンダ機構15は、エアシリンダ機構であり、ロボットアーム部8bの先端側に固定されたシリンダ本体部15aと、シリンダ本体部15aの一側(図1において下側)から突出したロッド部15bとを有する。
シリンダ本体部15aには、シリンダ機構15に対するエアの給排を行うための配管(図示略)が接続されている。ロッド部15bは、シリンダ本体部15a内において摺動可能に設けられたピストン部と一体に設けられ、シリンダ本体部15aに対するエアの給排により往復摺動し、シリンダ本体部15aからの突出量を変化させる。シリンダ機構15に対するエアの給排が図示せぬシリンダ制御部によって制御されることで、シリンダ機構15の動作が制御される。シリンダ制御部は、例えば、ロボット制御部18の一部であったり、ロボット制御部18とは別途設けられた制御装置等であったりする。シリンダ機構15の動作制御は、ヘミング加工においてワークに対するローラ10による押圧力の制御に用いられる。
ロッド部15bの先端側に、ローラ支持部材16を介して、第1ローラ11および第2ローラ12が支持されている。ローラ支持部材16においてローラ10を支持するローラ支持部16aは、シリンダ機構15の伸縮方向に沿う所定の回転軸O1を中心に回転動作するように設けられている。回転軸O1を中心とするローラ支持部16aの回転動作は、ワークに作用させるローラ10を選択的に切り換えるためのものである。このため、ローラ支持部16aの回転動作は、ロボット8の先端部に対する回転動作であればよく、ローラ支持部16aを回転軸O1回りに回転させるための構造は、特に限定されず、ロボット8、シリンダ機構15、およびローラ支持部材16の少なくともいずれかに設けられる。また、ローラ支持部16aの回転動作は、例えばロボット制御部18等の所定の制御部により制御される。
ローラ支持部16aは、ブロック状の部分であり、その一側の側面に、支持ステー16bを介して第1ローラ11が所定の回転軸R1を中心に回転可能に支持されている。回転軸R1の方向は、回転軸O1に垂直な面に沿う方向(図1においては図面に垂直方向)である。また、ローラ支持部16aの他の側面には、第2ローラ12が所定の回転軸R2を中心に回転可能に支持されている。回転軸R2の方向は、第1ローラ11の回転軸R1と同様にローラ支持部16aの回転軸O1に垂直な面に沿う方向であり、回転軸O1の軸方向視で回転軸R1に直交する方向(図1においては左右方向)である。また、第1ローラ11の回転軸R1は、ローラ支持部16aの回転軸O1を鉛直方向とした場合に、第2ローラ12の回転軸R2よりも低い位置に位置する。ただし、ロボット8に対するローラ10の支持構成や各ローラ10の配置構成等は本実施形態に限定されるものではない。
以上のような構成により、ロボット8の先端側において、ローラ支持部16aの回転動作によってヘミング加工に用いられるローラ10がロボット8に対して所定の向きに位置するようにセットされる。そして、ロボットアーム部8bの動作およびシリンダ機構15の動作により、ローラ10が、加工台6上にセットされたワークに対して所定の経路に沿って移動しながらフランジ部3に作用し、ローラヘミング加工が行われる。
本実施形態に係るローラ10としての第1ローラ11および第2ローラ12について、図3を用いて説明する。
まず、図3(a)を用いて、第1ローラ11について説明する。図3(a)に示すように、第1ローラ11は、ローラ本体部31と、ローラ軸部32とを有する。ローラ本体部31は、回転軸R1を中心とする所定の回転体形状を有する部分であり、ローラ本体部31に対して回転軸R1の軸方向(ローラ軸方向)の一側(図3(a)において上側)にローラ軸部32が設けられている。
ローラ本体部31は、鉄鋼等の金属製の部材により構成されており、全体として略円柱形状を有し、その外周面をワークに作用するローラ面33とする。つまり、ローラ本体部31は、円筒面状のローラ面33を有する円柱状ローラである。
ローラ軸部32は、略円柱状の外形を有し、ローラ本体部31に対してローラ軸方向の一側から同軸心状に突設されている。ローラ軸部32は、円柱状の軸本体部32aと、軸本体部32aの両端に設けられたフランジ部32b、32cを有する。
ローラ軸部32は、基端側のフランジ部32cを内側に嵌合させた態様で設けられた円環状の取付板38を介して、ローラ本体部31に取り付けられている。取付板38は、ローラ本体部31のローラ軸部32側の端面部に形成された凹部31bに嵌合した状態で、回転軸R2を中心とした周方向について所定の間隔を隔てた複数箇所で、固定ボルト39によりローラ本体部31に対して固定されている。取付板38は、ローラ軸部32に対してベアリング等を介してローラ軸部32の中心軸を回転軸として相対回転自在に支持されている。このような構成により、ローラ軸部32は、ローラ本体部31に対して、回転軸R2回りに相対回転自在に設けられている。
そして、ローラ軸部32は、支持ステー16bを介したローラ支持部16aに対する第1ローラ11の取付部分となり、ローラ本体部31を回転自在に支持する。すなわち、第1ローラ11は、ローラ軸部32の先端側を支持ステー16bに固定させることで、ローラ支持部16aに対してローラ本体部31を回転自在に支持させた状態となる。
次に、図3(b)を用いて、第2ローラ12について説明する。図3(b)に示すように、第2ローラ12は、ローラ本体部41と、ローラ軸部42とを有し、基本的な構成を第1ローラ11と同じとする。ローラ本体部41は、回転軸R2を中心とする所定の回転体形状を有する部分であり、ローラ本体部41に対して回転軸R2の軸方向(ローラ軸方向)の一側に、ローラ軸部42が設けられている。
ローラ本体部41は、鉄鋼等の金属製の部材により構成されており、ワークに作用するローラ面を形成する部分として、円柱形状ないし円板形状に沿う外形をなす部分である円柱部43と、截頭円錐形状に沿う外形をなす部分であるテーパ部44とを有する。テーパ部44は、円柱部43に対して、ローラ軸部42が設けられる側と反対側(図3(b)における下側)に設けられている。テーパ部44は、円柱部43に対する拡径部分であり、ローラ軸方向について、ローラ軸部42側からその反対側にかけて徐々に拡径する円錐台形状に沿う部分である。
ローラ本体部41において、円柱部43の外周面が円筒状ローラ面45となり、テーパ部44の外周面がテーパ状ローラ面46となる。このように、第2ローラ12は、円筒面状の第1ローラ面として円筒状ローラ面45を有し、テーパ面状の第2ローラ面としてテーパ状ローラ面46を有する。テーパ状ローラ面46は、円筒状ローラ面45のローラ軸方向の一側(図3(b)において下側)に設けられ、ローラ軸方向の他側(図3(b)において上側)から一側にかけて徐々に拡径するように形成されている。
円筒状ローラ面45およびテーパ状ローラ面46は、ローラ本体部41の外周面として、互いに連続的に設けられている。すなわち、第2ローラ12の縦断面視において、円筒状ローラ面45は、ローラ軸方向に沿う直線をなし、テーパ状ローラ面46は、ローラ軸方向に対して傾斜した斜線をなし、これらは互いに角度α1の屈曲線をなす。なお、角度α1の大きさは特に限定されるものではないが、例えば140°以上、180°未満である。
また、本実施形態に係る第2ローラ12においては、テーパ部44の円柱部43側と反対側に、円板形状に沿う外形を有しローラ本体部41の端部をなす拡径端部47が形成されている。拡径端部47の外周面47aは、円筒面であり、テーパ状ローラ面46に連続している。このようなローラ本体部41において、テーパ状ローラ面46をなすテーパ部44の円柱部43側端の外径は、円柱部43の外径と同じであり、テーパ部44の拡径端部47側端の外径は、拡径端部47の外径と同じである。
ローラ軸部42は、略円柱状の外形を有し、ローラ本体部41に対してローラ軸方向の円柱部43側から同軸心状に突設されている。ローラ軸部42は、円柱状の軸本体部42aと、軸本体部42aの両端に設けられたフランジ部42b、42cを有する。
ローラ軸部42は、基端側のフランジ部42cを内側に嵌合させた態様で設けられた円環状の取付板48を介して、ローラ本体部41に取り付けられている。取付板48は、回転軸R2を中心とした周方向について所定の間隔を隔てた複数箇所で、固定ボルト49により、ローラ本体部41のローラ軸部42側の端面41aに対して固定されている。取付板48は、ローラ軸部42に対してベアリング等を介してローラ軸部42の中心軸を回転軸として相対回転自在に支持されている。このような構成により、ローラ軸部42は、ローラ本体部41に対して、回転軸R2回りに相対回転自在に設けられている。
そして、ローラ軸部42は、ローラ支持部16aに対する第2ローラ12の取付部分となり、ローラ本体部41を回転自在に支持する。すなわち、第2ローラ12は、ローラ軸部42の先端側をローラ支持部16aに固定させることで、ローラ支持部16aに対してローラ本体部41を回転自在に支持させた状態となる。
以上のような構成を備えた本実施形態に係るローラヘミング加工装置7により行われるローラヘミング加工方法について、図4および図5を用いて説明する。
本実施形態に係るローラヘミング加工方法は、図4(a)、(b)に示すように、アウタパネル1のパネル本体部2とフランジ部3とのなす角度が所定の角度θ1となるように、フランジ部3をパネル本体部2に対して折り曲げる第1の加工工程と、図4(c)、(d)に示すように、第1の加工工程により折り曲げられたフランジ部3を、パネル本体部2に対してさらに折り曲げる第2の加工工程とを有する。
すなわち、本実施形態に係るローラヘミング加工方法は、第1の加工工程により、フランジ部3を、パネル本体部2に対して直角状態からインナ縁部4aに重なるまでの間における中間の角度状態となるまで折り曲げた後、第2の加工工程により、フランジ部3をさらに折り曲げ、最終的にパネル本体部2とフランジ部3とによってインナ縁部4aを圧縮挟持させた状態とする。以下、本実施形態に係る第1の加工工程および第2の加工工程の各工程について詳細に説明する。
まず、第1の加工工程について説明する。第1の加工工程では、ローラ治具として、図3(a)に示すような円柱状ローラである第1ローラ11が用いられる。
図4(a)、(b)に示すように、第1ローラ11は、ロボットアーム部8bの動作により移動させられ、加工台6上にセットされたワークに対し、ローラ面33をフランジ部3の外面3bに沿わせるようにあてがわれる。つまり、第1ローラ11は、回転軸R1がフランジ部3の板面に沿うように、ローラ面33をフランジ部3の外面3bに面接触させた状態で、フランジ部3に作用する。
そして、第1ローラ11は、ロボットアーム部8bの動作およびシリンダ機構15の動作によってフランジ部3に対して押圧力を作用させながら、フランジ部3が形成されたアウタパネル1の外形に応じた所定の経路に沿って回転軸R1を中心として転動しながら移動する(矢印Q1参照)。第1の加工工程において、第1ローラ11は、回転軸R1に対して直交する方向を、フランジ部3に対する押圧力の主な作用方向とする(図4(a)、矢印P1、図4(b)、矢印P2参照)。なお、図4(a)、(b)においては、第1ローラ11の図示を簡略化しローラ本体部31のみ示している。
第1の加工工程は、アウタパネル1のパネル本体部2とフランジ部3とのなす角度が所定の予備曲げ角度θ0となるように、フランジ部3をパネル本体部2に対して折り曲げる第1の曲げ工程と(図4(a)参照)、第1の曲げ工程により折り曲げられたフランジ部3を、パネル本体部2とフランジ部3とのなす角度が所定の角度θ1となるように、パネル本体部2に対してさらに折り曲げる第2の曲げ工程と(図4(b)参照)を含む。
第1の曲げ工程は、図4(a)に示すように、パネル本体部2に対して直角をなす鉛直状態のフランジ部3に第1ローラ11を押圧作用させることで(矢印P1参照)、フランジ部3を、鉛直状態から予備曲げ角度θ0分折り曲げて傾斜させる。予備曲げ角度θ0は、フランジ部3の板面が鉛直線(鉛直面)T1に対してなす角度である。すなわち、第1の曲げ工程によれば、第1ローラ11の押圧作用によって、フランジ部3が、鉛直線T1に沿うようにパネル本体部2に対して直角をなす状態から、鉛直線T1に対して予備曲げ角度θ0をなす状態となるまで折り曲げられ、全体的に傾斜させられる。ここで、予備曲げ角度θ0は、特に限定されるものではないが、例えば30°程度である。
第2の曲げ工程は、図4(b)に示すように、第1の曲げ工程により鉛直方向(支持面6aに垂直な方向)に対して予備曲げ角度θ0折り曲げられたフランジ部3に第1ローラ11を押圧作用させることで(矢印P2参照)、フランジ部3を、鉛直方向に対する角度が所定の角度θ1となるまで折り曲げる。所定の角度θ1は、フランジ部3の板面が鉛直線T1に対してなす角度である。すなわち、第2の曲げ工程によれば、第1ローラ11の押圧作用によって、フランジ部3が、鉛直線T1に対して予備曲げ角度θ0をなす状態から、鉛直線T1に対して所定の角度θ1をなす状態となるまで折り曲げられ、全体的に傾斜させられる。ここで、所定の角度θ1は、特に限定されるものではないが、例えば60°程度である。
このように、第1の加工工程は、アウタパネル1に対し、第1の曲げ工程および第2の曲げ工程による段階的な(2段階の)曲げ加工を行う。各曲げ工程においては、ロボットアーム部8bの動作により、第1ローラ11が、ワークに対して所定の姿勢を維持しながら所定の経路に沿って転動移動することで、フランジ部3が第1ローラ11の作用を受ける部分から順次屈曲加工される。
そして、第1の曲げ工程および第2の曲げ工程は、ロボットアーム部8bの動作による所定の経路に沿う第1ローラ11の移動に関し、例えば、第1の曲げ工程が所定の経路の始端から終端までの往路移動として行われ、第2の曲げ工程が所定の経路の終端から始端までの復路移動として行われる。ただし、第1の曲げ工程および第2の曲げ工程のいずれもが所定の経路における始端から終端までの往路移動として行われてもよい。以上のように第1ローラ11を用いた第1の加工工程が行われた後、加工台6上のワークに対して第2の加工工程が行われる。
次に、第2の加工工程について説明する。第2の加工工程では、ローラ治具として、図3(b)に示すようなテーパ面を有する第2ローラ12が用いられる。すなわち、第1の加工工程後、回転軸O1を中心とするローラ支持部16aの回転動作により(図1参照)、加工に使用されるローラ10が第1ローラ11から第2ローラ12に切り換えられ、第2の加工工程が行われる。
図4(c)、(d)に示すように、第2ローラ12は、ロボットアーム部8bの動作により移動させられ、加工台6上において第1の加工工程による加工を受けたワークに対し、円筒状ローラ面45およびテーパ状ローラ面46をフランジ部3の外面3bに沿わせるようにあてがわれる。つまり、第2ローラ12は、回転軸R2がフランジ部3の板面に沿うように、円筒状ローラ面45およびテーパ状ローラ面46のそれぞれの一部または全部をフランジ部3の外面3bに接触させた状態で、フランジ部3に作用する。
そして、第2ローラ12は、ロボットアーム部8bの動作およびシリンダ機構15の動作によってフランジ部3に対して押圧力を作用させながら、フランジ部3が形成されたアウタパネル1の外形に応じた所定の経路に沿って回転軸R2を中心に転動しながら移動する(矢印Q2参照)。第2の加工工程において、第2ローラ12は、回転軸R2に対して直交する方向を、フランジ部3に対する押圧力の主な作用方向とする(図4(c)、矢印P3、図4(d)、矢印P4参照)。なお、図4(c)、(d)においては、第2ローラ12の図示を簡略化しローラ本体部41のみ示している。
第2の加工工程は、円筒状ローラ面45およびテーパ状ローラ面46のいずれか一方のローラ面を、フランジ部3の基端側(パネル本体部2側)の部分に作用させるとともに、円筒状ローラ面45およびテーパ状ローラ面46のいずれか他方のローラ面を、フランジ部3の先端側の部分に作用させ、フランジ部3に対して折曲げ加工および潰し加工を施す工程である。本実施形態では、図4(c)、(d)に示すように、第2の加工工程において、円筒状ローラ面45をフランジ部3の基端部に作用させるとともに、テーパ状ローラ面46をフランジ部の先端部に作用させることで、フランジ部3に対する折曲げ加工および潰し加工が行われる。
具体的には、第2の加工工程は、フランジ部3をパネル本体部2に対して折り曲げるとともに円筒状ローラ面45およびテーパ状ローラ面46がなす角度α1にならってフランジ部3の先端側の部分を基端側の部分に対して折り曲げる折曲げ加工、およびフランジ部3に対する潰し加工を行う前段工程と(図4(c)参照)、前段工程よりも大きい押圧力でフランジ部3に対する潰し加工を行う後段工程と(図4(d)参照)を含む。
第2の加工工程の前段工程は、図4(c)に示すように、第1の加工工程により鉛直方向に対して所定の角度θ1に折り曲げられたフランジ部3に第2ローラ12を押圧作用させることで(矢印P3参照)、フランジ部3をさらに折り曲げてインナ縁部4aに圧接させるとともに、フランジ部3が屈曲して円筒状ローラ面45およびテーパ状ローラ面46に外面3bを面接触させた状態となるようにフランジ部3に対して全体的に潰しの作用を加える。すなわち、第2の加工工程の前段工程によれば、第2ローラ12の押圧作用によって、フランジ部3が、鉛直線T1に対して所定の角度θ1をなす状態からさらに折り曲げられるとともに、第2ローラ12の円筒状ローラ面45およびテーパ状ローラ面46がなす屈曲面形状に沿って屈曲して押し潰された状態となる。
より詳細には、第2の加工工程の前段工程においては、図5に示すように、第2ローラ12の押圧作用によって、フランジ部3において、円筒状ローラ面45に沿う斜面部51と、テーパ状ローラ面46に沿う水平部52とが同時に形成される。斜面部51は、フランジ部3の基端側の部分であって、パネル本体部2に対して鋭角(例えば10〜30°)をなす面部である。水平部52は、フランジ部3の先端側の部分であって、斜面部51に対して鈍角(例えば140〜160°)をなすパネル本体部2と平行状の面部である。すなわち、この前段工程によって、フランジ部3は、第2ローラ12における円筒状ローラ面45およびテーパ状ローラ面46による屈曲形状が転写された態様で、円筒状ローラ面45とテーパ状ローラ面46がなす角度α1と同様の角度で屈曲した屈曲面形状となる。
また、第2の加工工程の前段工程において、第2ローラ12による加工部位、つまりフランジ部3における第2ローラ12の当接部位に関し、円筒状ローラ面45は、斜面部51となる部分に対して幅方向(ローラの進行方向に対して直交する方向)について全体的に接触(線接触)しており、テーパ状ローラ面46は、水平部52となる部分に対して幅方向について基端側(斜面部51側)からの過半部分に接触(線接触)している。ただし、円筒状ローラ面45は、斜面部51となる部分に対して部分的に線接触してもよく、テーパ状ローラ面46は、水平部52となる部分に対して全体的に線接触してもよい。
第2の加工工程の後段工程は、図4(d)に示すように、前段工程により折り曲げられ潰されたフランジ部3に第2ローラ12を追加的に押圧作用させることで(矢印P4参照)、パネル本体部2とともにインナ縁部4aを挟持したフランジ部3に対して更に全体的に潰しの作用を加える。この後段工程における第2ローラ12によるフランジ部3に対する押圧作用(矢印P4参照)は、前段工程の同押圧作用(図4(c)、矢印P6参照)よりも大きい。すなわち、第2の加工工程の後段工程によれば、フランジ部3が、前段工程における押圧作用と比べて大きな押圧作用を第2ローラ12から受け、第2ローラ12の円筒状ローラ面45およびテーパ状ローラ面46がなす屈曲面形状に沿って追加的に加圧される。
このように、第2の加工工程は、アウタパネル1に対し、前段工程および後段工程による段階的な(2段階の)曲げ加工および潰し加工を行う。すなわち、本実施形態に係る第2の加工工程は、前段工程と、前段工程よりもワークに対する押圧力を増加させた後段工程とによって、フランジ部3を2度押しする加工を行っている。前段工程および後段工程の各工程においては、ロボットアーム部8bの動作により、第2ローラ12が、ワークに対して所定の姿勢を維持しながら所定の経路に沿って転動移動することで、フランジ部3が第2ローラ12の作用を受ける部分から順次加工される。
また、第2の加工工程の前段工程および後段工程の各工程におけるロボットアーム部8bの動作による第2ローラ12の操作は、ワークに作用させる押圧力の点を除き、互いに共通している。つまり、第2の加工工程の前段工程および後段工程の各工程におけるロボット8の動作は共通のティーチング内容に基づくものであり、各工程において所定の経路に沿って移動する第2ローラ12に関し、第2ローラ12のワークに対する向き(姿勢)や位置関係は互いに同じである。したがって、ロボット8およびシリンダ機構15の動作制御に関し、第2の加工工程の前段工程と後段工程とは、後段工程の方が前段工程よりもワークに対する押圧力が高く設定されている点でのみ異なっている。
そして、第2の加工工程の前段工程および後段工程は、ロボットアーム部8bの動作による所定の経路に沿う第2ローラ12の移動に関し、例えば、前段工程が所定の経路の始端から終端までの往路移動として行われ、後段工程が所定の経路の終端から始端までの復路移動として行われる。ただし、前段工程および後段工程のいずれもが所定の経路における始端から終端までの往路移動として行われてもよい。
また、第2の加工工程で用いられる第2ローラ12に関し、円筒状ローラ面45とテーパ状ローラ面46がなす角度α1の大きさは、上記のとおり例えば140°以上、180°未満であるが、第2の加工工程において、フランジ部3に対する十分な潰しの作用を得ながら、第2ローラ12による加工部分について良好な面品質を得る観点からは、角度α1の大きさは、好ましくは140〜160°であり、より好ましくは約150°である。すなわち、角度α1が大きくなる(180°に近付く)ほど、フランジ部3に対する潰しの作用が得にくくなる一方、角度α1が小さくなる(140°に近付く)ほど、フランジ部3に対する押圧力が強くなり、第2ローラ12による加工部分の外面の面品質への影響が大きくなることから、角度α1の大きさしては上記のとおり好ましい角度が採用される。以上のように第2ローラ12を用いた第2の加工工程が行われることで、本実施形態に係るローラヘミング加工が終了する。
以上のようなローラヘミング加工において、ロボット8およびシリンダ機構15の動作制御により、ローラ10からワークに作用する押圧荷重が一定となるように加工が行われる。すなわち、第1の加工工程の第1の曲げ工程および第2の曲げ工程の各工程では、第1ローラ11からアウタパネル1のフランジ部3に作用する押圧荷重が一定となるようにロボットアーム部8bの動作およびシリンダ機構15の動作が制御され、第2の加工工程の前段工程および後段工程の各工程では、第2ローラ12からアウタパネル1のフランジ部3に作用する押圧荷重が一定となるようにロボットアーム部8bの動作およびシリンダ機構15の動作が制御される。つまり、ローラ10がアウタパネル1の外形に応じた所定の経路を所定の向きに移動(往路移動または復路移動)する各工程内における押圧荷重が一定となるように、ロボットアーム部8bの動作およびシリンダ機構15の動作が制御される。
このように、本実施形態に係るローラヘミング加工方法においては、ローラ10を、シリンダ機構15を介してロボット8に支持させ、ロボット8の動作により、ローラ10をアウタパネル1の縁部に沿って移動させるとともに、シリンダ機構15により、ローラ10からフランジ部3に作用する押圧荷重が一定となるように、ロボット8およびシリンダ機構15を制御することが行われている。
具体的には、例えば、ロボットアーム部8bの動作による押圧荷重を、ワークに作用させる押圧荷重よりも大きく設定しておき、過荷重分をシリンダ機構15の伸縮動作により吸収することで、ワークに作用させる押圧荷重を一定とする制御が行われる。他の例としては、ロボットアーム部8bの動作による過荷重は作用させずに、シリンダ機構15の動作によって一定の押圧荷重をワークに作用させる制御が行われる。
以上のような本実施形態に係るローラヘミング加工によれば、アウタパネル1の折返し部分、つまりパネル本体部2に対するフランジ部3による折返し部分の曲率半径を小さくすることができ、加工後の部分についてシャープな形状を成形することができるとともに、加工後の部分において割れやシワ等の不良の発生を抑制することができる。
図6(a)に、本実施形態に係るローラヘミング加工の比較例として、単にフランジ部3を略90°折り曲げてインナ縁部4aをアウタパネル1のパネル本体部2とフランジ部3とにより挟持するヘミング加工を施した場合のワークを示す。つまり、比較例のヘミング加工は、フランジ部3に対して成り行きで折り曲げ加工を施したものである。
図6(a)に示すように、比較例のヘミング加工により得られるヘム端部においては、パネル本体部2に対するフランジ部3の折返し部分として、断面で半円弧状をなす湾曲部3cが形成されている。つまり、フランジ部3は、パネル本体部2に対して半円状の断面形状をなす湾曲部3cを介してパネル本体部2と平行状をなし、パネル本体部2との間にインナ縁部4aを挟持している。
図6(a)に示すようなヘム端部の形状によれば、湾曲部3cの曲率半径r1が、アウタパネル1およびインナパネル4それぞれの板厚の増大の影響を大きく受けて増大することになる。具体的には、例えば、アウタパネル1の板厚が1.2mm、インナパネル4の板厚が1.6mmの場合、湾曲部3cの曲率半径r1の大きさは2.0mm程度の大きさとなる。このようなヘム端部の形状によれば、ヘミング加工による加工後の部分について形状のシャープさを得ることが困難となる。
この点、図6(b)に示すように、本実施形態に係るローラヘミング加工により得られるヘム端部においては、フランジ部3が第2ローラ12により潰しの作用を受けるとともに屈曲して斜面部51および水平部52をなし、パネル本体部2に対して鋭角状に屈曲した態様となっており、断面視で先鋭状の鋭角部3dが形成されている。つまり、フランジ部3は、パネル本体部2に対して鋭角部3dおよび斜面部51を介して水平部52によりパネル本体部2と平行状をなし、水平部52とパネル本体部2との間にインナ縁部4aを挟持している。
図6(b)に示すようなヘム端部の形状によれば、鋭角部3dの曲率半径r2が、アウタパネル1およびインナパネル4それぞれの板厚の増大の影響を大きく受けにくく、ヘム端部の形状の曲率半径を小さくすることが可能となる。具体的には、例えば、上記の場合と同様にアウタパネル1の板厚が1.2mm、インナパネル4の板厚が1.6mmの場合、鋭角部3dの曲率半径r2の大きさは1.2mm程度の大きさとなる。このようなヘム端部の形状によれば、ヘミング加工による加工後の部分についてシャープな形状を得ることができる。
そして、ヘム端部を構成する斜面部51および水平部52は、第2ローラ12を用いることにより、上述した第2の加工工程において同時的に形成することができる。つまり、第2の加工工程においては、第2ローラ12を用いることで、ワークに対する潰し加工とフランジ部3に対する曲げ加工を同時に行うことができる。これにより、生産性を向上することができるので、加工対象がアルミパネルであっても、工程数を増やすことなく、ヘム端部をシャープな形状とすることができる。
また、図6(b)に示すように、本実施形態に係るローラヘミング加工によってヘム端部の曲率半径を小さくすることができることから、自動車のドアに関して、見切り隙を見かけ上小さくすることができ、自動車の外観上の精緻感を向上することができる。
具体的には、図6(a)に示すような比較例のヘミング加工によって得られるヘム端部の形状が自動車のフロントドア61およびリアドア62に用いられた場合、ドア同士の突き合わせ部分の断面図は、例えば図7(a)に示すような態様となる。図7(a)に示すように、フロントドア61およびリアドア62のドア同士の間には、見切り隙63として所定の寸法x1のクリアランスが存在する。
見切り隙63は、自動車の外観上、黒い線として表れ、見栄えに影響する。特に、フロントドア61およびリアドア62のドア間の見切り隙63は、自動車において比較的目に付きやすい位置に存在するため、この見切り隙63が見栄えに与える影響は比較的大きい。そして、見切り隙63は、一般的に、自動車の外観上、狭い(小さい)ほど好ましい。
そこで、図6(b)に示すような本実施形態に係るローラヘミング加工によって得られるヘム端部の形状が自動車のフロントドア61Aおよびリアドア62Bに用いられた場合、ドア同士の突き合わせ部分の断面図は、例えば図7(b)に示すような態様となる。図7(b)に示すドア同士の突き合わせ部分における見切り隙63Aのクリアランスの寸法x2は、図7(a)に示す見切り隙63のクリアランスの寸法x1と同じ大きさである。なお、図7(a)、(b)の各図において、下側が車両の幅方向(左右方向)の外側であり、上側が車両の幅方向の内側である。
図7(a)と図7(b)の比較からわかるように、ヘム端部の曲率半径が大きい方が、見切り隙63,63Aとしてのクリアランス自体の寸法x1,x2は同じであっても、見る角度等によって、見かけ上の見切り隙を広く感じさせる。つまり、図7(b)に示すヘム端部の形状の場合に比べて、図7(a)に示すヘム端部の形状の場合の方が、見かけ上の印象として見切り隙のクリアランスを大きく感じることになる。
このように、ヘム端部の曲率半径が大きくなることは、自動車の外観上の精緻感を低下させ、デザイン性を低下させる原因となる。すなわち、本実施形態に係るローラヘミング加工によって得られるヘム端部の形状によれば、見切り隙63Aの見かけ上のクリアランスの大きさを小さくすることができるので、自動車の外観上の精緻感を向上することができ、外観品質を向上することができる。
また、図6(a)に示すような比較例のヘミング加工によるヘム端部の形状は、例えば、次のような加工方法により形成される。すなわち、まず、図8(a)、(b)に示すように、第1ローラ11と同様の円筒状ローラ71が用いられて、上述した第1の曲げ工程(図4(a)参照)および第2の曲げ工程(図4(b)参照)と同様に、アウタパネル1に対し、それぞれフランジ部3をパネル本体部2に対して角度θ0(例えば30°)、角度θ1(例えば60°)とする2段階の曲げ加工を行う。
その後、図8(c)に示すように、回転軸S1を水平方向(支持面6aに平行な方向)に沿わせた円筒状ローラ71をアウタパネル1の外形に応じた所定の経路に沿って回転軸S1を中心として転動しながら移動させることで(矢印U1参照)、フランジ部3をパネル本体部2と平行となるように鉛直線T1(図8(a)、(b)参照)に対して略90°屈曲させるとともに、フランジ部3をインナ縁部4a側に押し付ける(矢印P3a参照)ヘム工程が行われる。
また、場合によっては、ヘム端部における部品同士の拘束力向上および部品精度向上等を目的として、図8(d)に示すように、4工程目として、第2のヘム工程が行われる。第2のヘム工程では、図8(d)に示すように、図8(c)に示す場合と同様に円筒状ローラ71の回転軸S1を水平方向に沿わせた状態で、フランジ部3をインナ縁部4a側に押し付ける(矢印P4a参照)ヘム加工が行われる。
そして、円筒状ローラ71を用いる比較例のヘミング加工において、ヘム端部の先端部の曲率半径を小さくすることを目的として、例えば図6(b)に示すようにフランジ部3が斜面部51および水平部52を有するヘム端部の形状を形成しようとした場合、例えば次のような加工が行われる。すなわち、図8(c)に示すようなヘム工程の後に、図9(a)に示すように、斜面部51の傾斜に対応させて回転軸S1を傾斜させた円筒状ローラ71によりヘム端部の先端部分となるフランジ部3の基端部分を押圧して(矢印P5参照)潰し加工を施すことが行われる。しかしながら、円筒状ローラ71を用いてフランジ部3において斜面部51を形成しようとした場合、次のような問題がある。
まず、円筒状ローラ71を用いてフランジ部3において斜面部51を形成する工程は、上述のとおり図8(a)〜(d)に示す加工工程において図8(c)に示すヘム工程の後に追加される工程であるため、合計で5工程となり、工程数が増加することになる。このため、生産性が低下するという問題がある。
また、円筒状ローラ71を用いてヘム端部の先端部分に対して潰し加工を施した場合、図9(b)に示すように、フランジ部3の基端部が円筒状ローラ71によって潰し加工を受ける際、フランジ部3の先端側の部分は円筒状ローラ71に対して開放状態にあるため、フランジ部3の基端側の部分に対する円筒状ローラ71による押圧作用の反動でフランジ部3の先端側の部分が反り上がり(符号V1で示す部分参照)、フランジ部3がインナ縁部4aに対して開いた状態となる。つまり、ヘム端部の先端部分に対する円筒状ローラ71による押圧作用により、フランジ部3がその内面3aをインナ縁部4aから離間させるように変形する口開きが生じるという問題がある。このようにアウタパネル1とインナパネル4との間に口開きが生じることは、ドアの塗装工程においてドア内部にエアが入る原因となったり、自動車においてドア内に雨水が浸入する原因となったりする。
さらに、円筒状ローラ71によりヘム端部の先端部を潰す加工によれば、高い成形力が必要となる。このため、円筒状ローラ71によってヘム端部の先端部に作用する押圧力が過荷重となり、意匠面の面品質悪化が懸念されるという問題がある。
そこで、本実施形態に係るローラヘミング加工によれば、これらの問題を解消することができる。すなわち、円筒状ローラ面45およびテーパ状ローラ面46を有する第2ローラ12を用いることで、ヘム端部の潰し加工においてローラ面の形状にならって斜面部51を自動的に形成することができる。このため、フランジ部3において斜面部51を形成するための工程を追加する必要がないため、工程数の増加による生産性の低下を避けることができる。
また、第2ローラ12によれば、円筒状ローラ面45に沿う斜面部51を形成する際、フランジ部3の先端部側がテーパ状ローラ面46により押さえられるため、上述したようなフランジ部3の口開きを防止することができる。
さらに、第2ローラ12によれば、ヘム端部に対する潰し加工においてフランジ部3に作用する押圧力が円筒状ローラ面45およびテーパ状ローラ面46に分散されるため、ヘム端部の先端部に対する過荷重を効果的に抑制することができる。これにより、意匠面の面品質悪化を避けることができ、外観品質の向上を図ることができる。
また、本実施形態に係るローラヘミング加工は、第1ローラ11を用いてフランジ部3をパネル本体部2に対して折り曲げる第1の加工工程と、第2ローラ12を用いてフランジ部3の折曲げ加工および潰し加工を施す第2の加工工程との2段階の工程を経るものである。これにより、アウタパネル1に対して急激な変形を加えることがないため、加工後の部分において割れやシワ等の不良の発生を抑制することができる。特に、本実施形態のように加工対象がアルミパネルの場合、鉄製のパネルに比べてワレ等の不具合が生じやすいが、本実施形態に係るローラヘミング加工方法によれば、ヘム端部において効果的にワレ等の不具合を抑制することが可能となる。
また、本実施形態に係るローラヘミング加工は、パネル本体部2とフランジ部3とによりインナ縁部4aを挟持させるものであり、第2の加工工程において、前段工程(図4(c)参照)と、後段工程(図4(d)参照)とを含む。このような加工方法によれば、アウタパネル1およびインナパネル4に対する段階的な潰し加工により、加工後の部分において割れやシワ等の不良の発生を抑制することができるとともに、アウタパネル1によりインナパネル4に対して高い拘束力を得ることができ、ドアとしての部品精度の向上を図ることができる。
また、本実施形態に係るローラヘミング加工は、第1の加工工程において、第1の曲げ工程(図4(a)参照)と、第2の曲げ工程(図4(b)参照)とを含む。このような加工方法によれば、アウタパネル1に対して急激な曲げ変形を加えることがないため、加工後の部分において割れやシワ等の不良の発生を抑制することができ、良好な成形性および高い面品質を容易に得ることができる。
また、本実施形態に係るローラヘミング加工は、ローラ10(第1ローラ11、第2ローラ12)を、シリンダ機構15を介してロボット8に支持させ、ローラ10によるワークに対する押圧荷重が一定となるようにロボット8およびシリンダ機構15の動作制御を行うものである。これにより、ワークにおいてローラ10を作用させる部位による加工のバラつきを低減することができ、加工品質を向上させることができる。
続いて、本実施形態に係るローラヘミング加工の他の実施形態について、図10から図12を用いて説明する。この実施形態では、第2の加工工程で用いるローラ10について、図3(b)に示す第2ローラ12との対比において、円筒状ローラ面45とテーパ状ローラ面46の配設位置がローラ軸方向について反対となっている。
すなわち、この実施形態において第2の加工工程に用いるローラ10としての第2ローラ82は、図10に示すように、回転軸R2を中心とする所定の回転体形状を有するローラ本体部91と、ローラ軸部92とを有する。なお、第2ローラ82において、図3(b)に示す第2ローラ12と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略する。
ローラ本体部91は、鉄鋼等の金属製の部材により構成されており、ワークに作用するローラ面を形成する部分として、截頭円錐形状に沿う外形をなす部分であるテーパ部93と、円柱形状ないし円板形状に沿う外形をなす部分である円柱部94とを有する。テーパ部93は、円柱部94に対して、ローラ軸部22が設けられる側(図10における上側)に設けられている。テーパ部93は、円柱部94に対する拡径部分であり、ローラ軸方向について、ローラ軸部22側からその反対側にかけて徐々に縮径する逆円錐台形状に沿う部分である。
ローラ本体部91において、テーパ部93の外周面がテーパ状ローラ面95となり、円柱部94の外周面が円筒状ローラ面96となる。このように、第2ローラ82は、円筒面状の第1ローラ面として円筒状ローラ面96を有し、テーパ面状の第2ローラ面としてテーパ状ローラ面95を有する。テーパ状ローラ面95は、円筒状ローラ面96のローラ軸方向の他側(図10において上側)に設けられ、ローラ軸方向の一側(図10において下側)から他側にかけて徐々に拡径するように形成されている。
テーパ状ローラ面95および円筒状ローラ面96は、ローラ本体部91の外周面として、互いに連続的に設けられている。すなわち、第2ローラ82の縦断面視において、テーパ状ローラ面95は、ローラ軸方向に対して傾斜した斜線をなし、円筒状ローラ面96は、ローラ軸方向に沿う直線をなし、これらは互いに角度β1の屈曲線をなす。なお、角度β1の大きさは特に限定されるものではないが、例えば140°以上、180°未満である。
また、この実施形態に係る第2ローラ82においては、テーパ部93の円柱部94側と反対側に、円板形状に沿う外形を有しローラ本体部91の端部をなす拡径端部97が形成されている。拡径端部97の外周面97aは、円筒面であり、テーパ状ローラ面95に連続している。このようなローラ本体部91において、テーパ状ローラ面95をなすテーパ部93の円柱部94側端の外径は、円柱部94の外径と同じであり、テーパ部93の拡径端部97側端の外径は、拡径端部97の外径と同じである。
ローラ軸部22は、基端側のフランジ部22cを内側に嵌合させた態様で設けられた円環状の取付板98を介して、ローラ本体部91に取り付けられている。取付板98は、ローラ本体部91のローラ軸部22側の端面部に形成された凹部91bに嵌合した状態で、回転軸R2を中心とした周方向について所定の間隔を隔てた複数箇所で、固定ボルト99によりローラ本体部91に対して固定されている。
そして、ローラ軸部22は、ローラ支持部16aに対する第2ローラ82の取付部分となり、ローラ本体部91を回転自在に支持する。すなわち、第2ローラ82は、ローラ軸部22の先端側をローラ支持部16aに固定させることで、ローラ支持部16aに対してローラ本体部91を回転自在に支持させた状態となる。
このような第2ローラ82が用いられ、第2の加工工程では、テーパ状ローラ面95を、フランジ部3の基端側の部分に作用させるとともに、円筒状ローラ面96を、フランジ部3の先端側の部分に作用させ、フランジ部3に対して折曲げ加工および潰し加工が施される。第2ローラ82を用いた第2の加工工程は、具体的には次のとおりである。
第2の加工工程の前段工程は、図11(a)に示すように、第1の加工工程により鉛直方向に対して所定の角度θ1に折り曲げられたフランジ部3(図4(b)参照)に、第2ローラ82を押圧作用させることで(矢印P6参照)、フランジ部3をさらに折り曲げてインナ縁部4aに圧接させるとともに、フランジ部3が屈曲してテーパ状ローラ面95および円筒状ローラ面96に外面3bを面接触させた状態となるようにフランジ部3に対して全体的に潰しの作用を加える。すなわち、第2の加工工程の前段工程によれば、第2ローラ82の押圧作用によって、フランジ部3が、図4(b)に示すように鉛直線T1に対して所定の角度θ1をなす状態からさらに折り曲げられるとともに、第2ローラ82のテーパ状ローラ面95および円筒状ローラ面96がなす屈曲面形状に沿って屈曲して押し潰された状態となる。
より詳細には、第2の加工工程の前段工程においては、図12に示すように、第2ローラ82の押圧作用によって、フランジ部3において、テーパ状ローラ面95に沿う斜面部51と、円筒状ローラ面96に沿う水平部52とが同時に形成される。すなわち、この前段工程によって、フランジ部3は、第2ローラ82におけるテーパ状ローラ面95および円筒状ローラ面96による屈曲形状が転写された態様で、テーパ状ローラ面95と円筒状ローラ面96がなす角度β1と同様の角度で屈曲した屈曲面形状となる。
そして、第2の加工工程の前段工程において、ワークに対する第2ローラ82の押圧方向(矢印P7参照)は、略鉛直方向となる。つまり、第2の加工工程の前段工程において、第2ローラ82は、その回転軸R2の方向を略水平方向に沿わせた状態でワークに作用する。
また、第2の加工工程の前段工程において、第2ローラ82による加工部位、つまりフランジ部3における第2ローラ82の当接部位に関し、テーパ状ローラ面95は、斜面部51となる部分に対して幅方向(ローラの進行方向に対して直交する方向)について全体的に接触(線接触)しており、円筒状ローラ面96は、水平部52となる部分に対して幅方向について基端側(斜面部51側)からの過半部分に接触(線接触)している。ただし、テーパ状ローラ面95は、斜面部51となる部分に対して部分的に線接触してもよく、円筒状ローラ面96は、水平部52となる部分に対して全体的に線接触してもよい。
第2の加工工程の後段工程は、図11(b)に示すように、前段工程により折り曲げられ潰されたフランジ部3に第2ローラ82を追加的に押圧作用させることで(矢印P7参照)、パネル本体部2とともにインナ縁部4aを挟持したフランジ部3に対して更に全体的に潰しの作用を加える。この後段工程における第2ローラ82によるフランジ部3に対する押圧作用(矢印P7参照)は、前段工程の同押圧作用(図11(a)、矢印P6参照)よりも大きい。すなわち、第2の加工工程の後段工程によれば、フランジ部3が、前段工程における押圧作用と比べて大きな押圧作用を第2ローラ82から受け、第2ローラ82のテーパ状ローラ面95および円筒状ローラ面96がなす屈曲面形状に沿って追加的に加圧される。
また、この実施形態において、第2の加工工程の前段工程および後段工程の各工程におけるロボットアーム部8bの動作による第2ローラ82の操作がワークに作用させる押圧力の点を除き互いに共通することは、上述した第2ローラ12を用いた第2の加工工程の場合と同様である。また、第2ローラ82においてテーパ状ローラ面95と円筒状ローラ面96がなす角度β1の大きさは、上述した第2ローラ12における角度α1と同様に、好ましくは140〜160°であり、より好ましくは約150°である。その他、この実施形態の第2の加工工程において特に説明しない部分に関しては上述した第2ローラ12を用いた第2の加工工程の場合と同様である。
以上のように第2ローラ82を用いて第2の加工工程を行うローラヘミング加工によれば、テーパ状ローラ面95がヘム端部の先端側(フランジ部3の基端側)の部分に、円筒状ローラ面96がヘム端部の基端側(フランジ部3の先端側)の部分にそれぞれ作用することから、第2ローラ82によるワークに対する押圧方向を、鉛直方向(支持面6aに垂直な方向)に沿う方向に可及的に近付けることが可能となる。これにより、第2ローラ82によってフランジ部3に対して潰し加工を施す際、ワークに対して効率的に押圧力を作用させることができ、ヘム端部の成形性を向上することができる。
以上のように実施形態を用いて説明した本発明に係るローラヘミング加工方法は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨に沿う範囲で、種々の態様を採用することができる。
上述した実施形態において、ローラヘミング加工の加工対象は、自動車のフロントドアあるいはリアドアを構成するアウタパネルおよびインナパネルであるが、これに限定されるものではない。本発明に係るローラヘミング加工は、例えば、自動車の各種ドア、ボンネット、トランクリッド、ルーフ、フェンダ等を構成するパネル部材に広く適用することができる。
また、上述した実施形態において、ロボットアーム部8bとローラ10との間に介設されたシリンダ機構15は、エアシリンダ機構であるが、シリンダ機構15としては、例えば、油圧シリンダ機構や電動モータ等を駆動源とした電動シリンダ機構等であってもよい。
また、上述した実施形態において、アウタパネル1およびインナパネル4は、アルミパネルであるが、これに限定されるものではない。本発明は、例えば鉄製のパネルや鋼板等、アルミパネル以外のパネル部材であっても適用可能である。
また、上述した実施形態に係るローラヘミング加工方法は、第1の加工工程の第1の曲げ工程(第1工程)、第1の加工工程の第2の曲げ工程(第2工程)、第2の加工工程の前段工程(第3工程)、および第2の加工工程の後段工程(第4工程)の4つの工程を順に行うものであるが、これに限定されるものではない。工程数を増やすことで、割れやシワ等の不良に対しては有利となる一方、サイクルタイムは長くなることから、加工品質や加工時間等を考慮して、全体の工程数が適宜増減される。例えば、第1の加工工程は、1つの曲げ工程のみの工程であったり、3つ以上の曲げ工程を含む工程であったりしてもよく、同様に、第2の加工工程も、1つの工程(前段工程)のみであったり3つの工程以上の工程を含んだりしてもよい。
1 アウタパネル(パネル部材)
2 パネル本体部
3 フランジ部
4 インナパネル
4a インナ縁部
8 ロボット
10 ローラ(ローラ治具)
11 第1ローラ(ローラ治具、円柱状ローラ)
12 第2ローラ(ローラ治具)
15 シリンダ機構
18 ロボット制御部
45 円筒状ローラ面(第1ローラ面)
46 テーパ状ローラ面(第2ローラ面)
82 第2ローラ(ローラ治具)
95 テーパ状ローラ面(第2ローラ面)
96 円筒状ローラ面(第1ローラ面)

Claims (5)

  1. パネル部材の縁部にパネル本体部に対して屈曲状に形成されたフランジ部にローラ治具を作用させることで、前記パネル部材の縁部にヘミング加工を施すローラヘミング加工方法であって、
    前記パネル本体部と前記フランジ部とのなす角度が所定の角度となるように、前記フランジ部を前記パネル本体部に対して折り曲げる第1の加工工程と、
    前記第1の加工工程により折り曲げられたフランジ部を、前記パネル本体部に対してさらに折り曲げる第2の加工工程と、を有し、
    前記第2の加工工程では、
    前記ローラ治具として、円筒面状の第1ローラ面と、該第1ローラ面に対して前記ローラ治具の回転軸方向の一側に設けられ、前記回転軸方向の他側から前記一側にかけて徐々に拡径するように形成されたテーパ面状の第2ローラ面と、を有するローラを用い、
    前記第1ローラ面および前記第2ローラ面のいずれか一方のローラ面を、前記フランジ部の基端側の部分に作用させるとともに、前記第1ローラ面および前記第2ローラ面のいずれか他方のローラ面を、前記フランジ部の先端側の部分に作用させ、前記フランジ部に対して折曲げ加工および潰し加工を施す
    ことを特徴とするローラヘミング加工方法。
  2. 前記ヘミング加工は、前記パネル本体部上に第2のパネル部材を載置し、前記第2のパネル部材の縁部を、前記パネル本体部と前記フランジ部とで挟持させるものであり、
    前記第2の加工工程は、
    前記フランジ部を前記パネル本体部に対して折り曲げるとともに前記第1ローラ面および前記第2ローラ面がなす角度にならって前記フランジ部の先端側の部分を基端側の部分に対して折り曲げる折曲げ加工、および前記フランジ部に対する潰し加工を行う前段工程と、
    前記前段工程よりも大きい押圧力で前記フランジ部に対する潰し加工を行う後段工程と、を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載のローラヘミング加工方法。
  3. 前記第2の加工工程では、
    前記第2ローラ面を、前記フランジ部の基端側の部分に作用させるとともに、前記第1ローラ面を、前記フランジ部の先端側の部分に作用させ、前記フランジ部に対して折曲げ加工および潰し加工を施す
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のローラヘミング加工方法。
  4. 前記第1の加工工程では、
    前記ローラ治具として、円筒面状のローラ面を有する円柱状ローラを用い、
    前記第1の加工工程は、
    前記パネル本体部と前記フランジ部とのなす角度が所定の予備曲げ角度となるように、前記フランジ部を前記パネル本体部に対して折り曲げる第1の曲げ工程と、
    前記第1の曲げ工程により折り曲げられたフランジ部を、前記パネル本体部と前記フランジ部とのなす角度が前記所定の角度となるように、前記パネル本体部に対してさらに折り曲げる第2の曲げ工程と、を含む
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のローラヘミング加工方法。
  5. 前記ローラ治具を、シリンダ機構を介してロボットに支持させ、前記ロボットの動作により、前記ローラ治具を前記パネル部材の縁部に沿って移動させるとともに、前記シリンダ機構により、ローラ治具から前記フランジ部に作用する押圧荷重が一定となるように、前記ロボットおよび前記シリンダ機構を制御する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のローラヘミング加工方法。
JP2017148920A 2017-08-01 2017-08-01 ローラヘミング加工方法 Pending JP2019025529A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017148920A JP2019025529A (ja) 2017-08-01 2017-08-01 ローラヘミング加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017148920A JP2019025529A (ja) 2017-08-01 2017-08-01 ローラヘミング加工方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019025529A true JP2019025529A (ja) 2019-02-21

Family

ID=65477279

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017148920A Pending JP2019025529A (ja) 2017-08-01 2017-08-01 ローラヘミング加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019025529A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110560584A (zh) * 2019-08-30 2019-12-13 武汉理工大学 一种滚压包边工艺参数优化方法及装置
JP2021031028A (ja) * 2019-08-29 2021-03-01 株式会社神戸製鋼所 構造部材

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02197331A (ja) * 1989-01-24 1990-08-03 Kanto Auto Works Ltd ヘミング装置
US20010029766A1 (en) * 1999-12-30 2001-10-18 Wiens Philip V. Sheet metal hemming method and apparatus
JP2002035865A (ja) * 2000-05-18 2002-02-05 Toyota Auto Body Co Ltd ロールヘミング加工方法及びロールヘミング装置
US20030209048A1 (en) * 2002-05-10 2003-11-13 Ford Motor Company Compressed-radius hem-forming process and tool

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02197331A (ja) * 1989-01-24 1990-08-03 Kanto Auto Works Ltd ヘミング装置
US20010029766A1 (en) * 1999-12-30 2001-10-18 Wiens Philip V. Sheet metal hemming method and apparatus
JP2002035865A (ja) * 2000-05-18 2002-02-05 Toyota Auto Body Co Ltd ロールヘミング加工方法及びロールヘミング装置
US20030209048A1 (en) * 2002-05-10 2003-11-13 Ford Motor Company Compressed-radius hem-forming process and tool

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021031028A (ja) * 2019-08-29 2021-03-01 株式会社神戸製鋼所 構造部材
WO2021039272A1 (ja) * 2019-08-29 2021-03-04 株式会社神戸製鋼所 構造部材
JP7173940B2 (ja) 2019-08-29 2022-11-16 株式会社神戸製鋼所 構造部材
CN110560584A (zh) * 2019-08-30 2019-12-13 武汉理工大学 一种滚压包边工艺参数优化方法及装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5111911B2 (ja) ヘミング加工方法及びパネルアセンブリ製造方法
US9006605B2 (en) Sheet-metal composite, method for joining sheets and joining device
JP3563349B2 (ja) ローラー転圧式加工装置及びローラー転圧式加工方法
JP4374335B2 (ja) 部品保護構造を備えたフランジング装置と該装置を用いるフランジング方法
JP5915816B2 (ja) ローラヘミング加工装置およびローラヘミング加工方法
JP4943666B2 (ja) ロールヘミング加工方法及び加工装置
JP2010194568A (ja) ヘミング装置およびヘミング加工方法
JP2019025529A (ja) ローラヘミング加工方法
JP5598137B2 (ja) 車体骨格部材及びその製造法
US10994322B2 (en) Roller hemming apparatus and roller hemming method
WO2012070108A1 (ja) ローラヘミング装置
JP2018043289A (ja) ローラヘミング装置
JP5770430B2 (ja) 曲げ加工装置
JP5932411B2 (ja) ローラヘミング装置及びローラヘミング方法
JP2006088217A (ja) ロールヘム加工装置
JP6057321B2 (ja) ローラヘム加工装置
JP5210810B2 (ja) ロールヘミング装置
JP6318709B2 (ja) ロールヘミング加工装置
JP2019136715A (ja) ローラヘミング加工用ツール、ローラヘミング加工装置およびローラヘミング加工方法
JP6269131B2 (ja) ロールフランジ加工方法
JP6405961B2 (ja) ロールヘミング加工方法およびロールヘミング加工装置
JP2015147241A (ja) ロールフランジ加工方法
JP6318664B2 (ja) ロールフランジ加工方法
JP2020127963A (ja) 非円形管体の製造方法及び管体成形装置
JP6421616B2 (ja) ロールヘミング加工装置および加工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200513

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210302

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20211026