JP2010193764A - 作業車 - Google Patents

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Abstract

【課題】作業車において旋回する場合に旋回終了位置を適切に検出し、作業装置が適切に作業状態に操作されるように構成する。
【解決手段】機体の走行距離Gと、操向操作自在な車輪1の直進位置からの操向角度とにより、作業行程からの旋回開始L01に基づいて、旋回開始前の機体の進行方向+Y,−Yでの旋回中の機体の位置を検出する。旋回開始位置E1の検出に基づいて、アクチュエータを作業装置5の非作業状態側に作動させ、旋回終了位置E3の検出に基づいて、アクチュエータを作業装置5の作業状態側に作動させる。アクチュエータの作業装置5の作業状態側への作動開始時期を変更可能に構成する。
【選択図】図7

Description

本発明は、作業車における作業地での旋回の構成に関する。
作業車の一例である乗用型田植機では、一回の作業行程が終了して機体が畦際に達すると、苗植付装置(作業装置に相当)を田面から上昇させて、旋回を行う(略Uターンするような旋回)。旋回が終了すると、苗植付装置を田面に下降させて次の作業行程に入る。例えば特許文献1では、機体が畦際に達して車輪が操向操作されると、旋回が開始されたと判断され(旋回開始位置の検出)(特許文献1の段落番号[0038])、距離センサー(特許文献1の図3の27)により機体の走行距離の検出(積算)が開始されて、機体の走行距離が設定距離に達すると、旋回が終了したと判断するように構成している(旋回終了位置の検出)(特許文献1の段落番号[0042])。
特許文献1では、旋回開始位置を検出することにより、苗植付装置が自動的に上昇するように構成し(非作業状態に相当)(特許文献1の段落番号[0039])、旋回終了位置を検出することにより、苗植付装置が自動的に田面に下降するように構成している(作業状態に相当)(特許文献1の段落番号[0044])。これにより、旋回の開始時に、運転者が昇降レバーによる苗植付装置の上昇操作を行わなくてもよいように、旋回の終了時に、運転者が昇降レバーによる苗植付装置の下降操作を行わなくてもよいようにしている。
特開2002−233220号公報 特開2001−86816号公報
車輪を旋回開始位置から旋回終了位置まで同じ操向角度に維持して、一つの半円を描くように旋回する状態である場合、機体の走行距離がそのまま旋回の進行となり、機体の走行距離から旋回中の機体の位置が一義的に導き出されるので、特許文献1のように、機体の走行距離が設定距離に達すると旋回が終了したと判断しても問題はない。
しかしながら、作業車の一例である乗用型田植機では、車輪を旋回開始位置から旋回終了位置まで同じ操向角度に維持して、一つの半円を描くように旋回する状態ばかりではない。例えば、車輪の操向操作が運転者の予想よりも不足して機体が大回りで旋回したり、運転者が未熟練の場合に通常とは異なる車輪の操向操作を行うことがある。
例えば特許文献2に開示されているように、8条植型式のような横幅の大きな苗植付装置を備えた乗用型田植機では、前半の旋回(特許文献2の図8のL1)を行った後に、直進走行(特許文献2の図8のL2)を少し行い、後半の旋回(特許文献2の図8のL3)を行うことがある。
前述のように機体が大回りで旋回したり、通常とは異なる車輪の操向操作が行われた場合でも、機体の走行距離の検出(積算)が行われると、旋回での機体の実際の進行よりも機体の走行距離の検出(積算)の値が大きなものとなる。同様に特許文献2のような旋回において、前半及び後半の旋回の間の直進走行でも機体の走行距離の検出(積算)が行われると、直進走行が想定よりも長くなれば、旋回での機体の実際の進行よりも機体の走行距離の検出(積算)の値が大きなものとなる。
これにより、旋回が終了していないのに機体の走行距離が設定距離に達してしまい、旋回が終了したと判断されて、作業装置が適切な時期よりも早く作業状態に操作されてしまう可能性がある。
本発明は、作業車において旋回する場合に旋回終了位置を適切に検出し、作業装置が適切に作業状態に操作されるように構成することを目的としている。
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、作業車において次のように構成することにある。
機体に備えられた作業装置を作業状態及び非作業状態に操作するアクチュエータと、機体の走行距離を検出する走行距離検出手段と、操向操作自在な車輪の直進位置からの操向角度を検出する操向角度検出手段とを備え、
作業行程からの旋回開始に基づいて、機体の旋回開始位置を検出する旋回開始位置検出手段と、
前記旋回開始位置検出手段の検出に基づいて、前記走行距離検出手段及び操向角度検出手段により、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を検出する機体位置検出手段と、
前記機体位置検出手段の検出に基づいて、機体の旋回終了位置を検出する旋回終了位置検出手段とを備えて、
前記旋回開始位置検出手段の検出に基づいて、前記アクチュエータを非作業状態側に作動させ、前記旋回終了位置検出手段の検出に基づいて、前記アクチュエータを作業状態側に作動させる操作手段を備え、
前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更する変更手段を備えてある。
(作用)
[I]−1
作業車の一例である乗用型田植機では、例えば特許文献2の図8に示すように、前半の旋回(特許文献2の図8のL1)、直進走行(特許文献2の図8のL2)及び後半の旋回(特許文献2の図7のL3)を行うような旋回の場合、直進走行が長くなったり短くなったりしても、旋回開始前の機体の進行方向(特許文献2の図7及び図8のK1,K2参照)での旋回終了位置は、旋回開始前の機体の進行方向での旋回開始位置と略同じ位置であることが多い(例えば乗用型田植機では、旋回開始位置(特許文献2の図8の矢印K1の先端位置)と、旋回終了位置(特許文献2の図8の矢印L3の先端位置)とが、一致している)。旋回開始前の機体の進行方向での旋回開始位置及び旋回終了位置が略同じ位置である状態は、旋回において大回りで旋回したり前後進を繰り返したりしても同様であることが多い。
さらに作業車の一例である乗用型田植機では、一回の植付行程(作業行程に相当)が終了して機体が畦際に達すると、略Uターンするような旋回が行われるので(特許文献2の図7及び図8参照)、前述のように旋回開始前の機体の進行方向での旋回開始位置及び旋回終了位置が略同じ位置であることにより、旋回開始位置を検出(特定)した後に、旋回開始前の機体の進行方向(特許文献2の図7及び図8のK1,K2参照)において、旋回中の機体の位置を検出することができれば、旋回開始前の機体の進行方向での旋回終了位置を検出することができる。
[I]−2
本発明の第1特徴によると、機体の走行距離のみにより旋回中の機体の位置を検出するのではなく、機体の走行距離と車輪の直進位置からの操向角度とを使用しており、機体の走行距離に対して車輪の直進位置からの操向角度を加味することによって、機体がどの方向にどれたけ進行したのかを検出することができる。
このように機体がどの方向にどれだけ進行したのかを検出することができれば、これに基づいて、旋回開始前(例えば図7のL01参照)の機体の進行方向(例えば図7の(+Y)(−Y)参照)での旋回中の機体の位置(例えば図8(b)のY1参照)を検出することができる。
前述のように旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を検出することができれば、旋回開始位置を検出(特定)することにより、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置の検出に基づいて、旋回開始位置から旋回終了位置(例えば旋回開始前の機体の進行方向での旋回開始位置と略同じ位置)を検出することができる。
このように、旋回開始位置、及び旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置の検出に基づいて旋回終了位置を検出することによって、旋回が終了していないのに旋回が終了したと判断されてしまうような状態を避けて、旋回終了位置を適切に検出することができ、旋回終了位置の検出に基づいてアクチュエータにより作業装置を適切に作業状態に操作することができる。
[I]−3
本発明の第1特徴のように、機体の走行距離と車輪の直進位置からの操向角度とによって、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を検出する場合、機体の走行状態や作業地の状態等によって各部に誤差が発生することがある。
これにより、旋回終了位置の検出に基づいてアクチュエータにより作業装置を作業状態に操作する場合、旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了しないことが考えられる(アクチュエータが作動を開始してから作動を終了するまでに少し時間を要することによる)。例えば、旋回終了位置に達する前に、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了したり、旋回終了位置に達しても、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了していないことが考えられる。
本発明の第1特徴によると、旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了しないことが考えられる場合、アクチュエータの作動開始時期を変更することにより、旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了するようにすることができる。例えば旋回終了位置の検出に対して、少し前からアクチュエータの作動を開始したり、少し遅れてアクチュエータの作動を開始したりすることにより、旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了するようにすることができる。
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、作業車において旋回する場合、旋回開始位置、及び旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置の検出に基づいて、旋回終了位置を検出することにより、旋回終了位置を適切に検出することができ、旋回終了位置の検出に基づいて作業装置を適切に作業状態に操作することができるようになって、作業車の作業性能を向上させることができた。
本発明の第1特徴によると、旋回終了位置においてアクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了するようにアクチュエータの作動開始時期を変更することができ、旋回終了位置において作業装置を作業状態に適切に操作することができるようになって、作業車の作業性能を向上させることができた。
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の作業車において次のように構成することにある。
前記機体の走行距離と車輪の直進位置からの操向角度とにより、機体の旋回半径と、機体の旋回中心に対して機体が移動した移動角度とを検出し、前記機体の旋回半径と移動角度とに基づいて三角関数により、前記旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を検出するように、前記機体位置検出手段を構成してある。
(作用)
前項[I]−2に記載のように、機体の走行距離と車輪の直進位置からの操向角度とによって、機体がどの方向にどれたけ進行したのかを検出することができれば、例えば図8(a)(b)に示すように、機体の走行距離Gと車輪1の直進位置A1からの操向角度Aとによって、機体の旋回半径Rと、機体の旋回中心Cに対して機体が移動した移動角度θとを検出することができる(例えば、車輪1,2のホイルベースWや車輪1の直進位置A1からの操向角度A等に基づいて、機体の旋回中心C及び旋回半径Rを検出し、機体の旋回中心C及び旋回半径Rと機体の走行距離Gとに基づいて、移動角度θを検出する)。
本発明の第2特徴によると、機体の旋回半径と移動角度とを検出することにより、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を、三角関数により精度よく検出することができる(例えば図8(b)において、R*SIN(θ)によりY1を検出する)。
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を三角関数により精度よく検出することができて、旋回終了位置を精度よく検出することができるようになり、旋回終了位置の検出に基づいて作業装置を適切に作業状態に操作することができるようになって、作業車の作業性能を向上させることができた。
[III]
(構成)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1又は第2特徴の作業車において次のように構成することにある。
機体の走行速度を検出する走行速度検出手段を備え、
前記走行速度検出手段の検出に基づいて、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある。
(作用)
前項[I]−3に記載のように、旋回終了位置の検出に基づいてアクチュエータにより作業装置を作業状態に操作する場合に、旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了しない状態として、以下のような状態が考えられる。
旋回終了位置の検出に基づいて、アクチュエータにより作業装置を作業状態に操作する場合、アクチュエータの作動速度に限界がある点や、非作業状態から作業状態への操作ストロークが存在する点により、アクチュエータが作動を開始してから作動を終了するまでに、少し時間を要することがある。
これにより、旋回終了位置が適切に検出されても、この時点からアクチュエータによる作業装置の作業状態への操作を開始すれば、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了した時点では、機体及び作業装置は旋回終了位置から少し移動していることになる。
本発明の第3特徴によると、機体の走行速度に基づいて、アクチュエータの作動開始時期を変更することができる。
これにより、例えばアクチュエータの作動速度に対して機体の走行速度が速い場合、予想される旋回終了位置の検出に対して、少し前からアクチュエータの作動を開始することにより、予想される旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作を終了することができる。
逆に例えばアクチュエータの作動速度に対して機体の走行速度が遅い場合、予想される旋回終了位置の検出に対して、前述とは少し遅れてアクチュエータの作動を開始することにより、予想される旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作を終了することができる。
(発明の効果)
本発明の第3特徴によると、機体の走行速度とアクチュエータの作動速度との関係に基づいて、旋回終了位置において作業装置を作業状態に適切に操作することができるようになり、作業車の作業性能を向上させることができた。
[IV]
(構成)
本発明の第4特徴によると、本発明の第1又は第2特徴の作業車において次のように構成することにある。
作業地に対する車輪のスリップ率を検出するスリップ率検出手段を備え、
前記スリップ率検出手段の検出に基づいて、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある。
(作用)
前項[I]−3に記載のように、旋回終了位置の検出に基づいてアクチュエータにより作業装置を作業状態に操作する場合に、旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了しない状態として、以下のような状態が考えられる。
機体の走行距離と車輪の直進位置からの操向角度とによって、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を検出する場合、車輪の回転数により機体の走行距離を検出するように構成することが多いので、作業地に対する車輪のスリップ率を想定する必要がある。この場合、作業地に対する車輪のスリップ率が想定よりも大きければ、走行距離検出手段の検出値が実際の機体の走行距離よりも大きな値になることが考えられ、作業地に対するスリップ率が想定よりも小さければ、走行距離検出手段の検出値が実際の機体の走行距離よりも小さな値になることが考えられる。
従って、例えば作業地に対する車輪のスリップ率が想定よりも大きい状態において、適切な旋回終了位置よりも早めに旋回終了位置が検出されることになり、旋回終了位置検出手段の検出に基づいてアクチュエータが作動すると、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了してから、適切な旋回終了位置に到達すると言うような状態になることが考えられる。
本発明の第4特徴によると、車輪のスリップ率に基づいて、アクチュエータの作動開始時期を変更することができる。
これにより、旋回終了位置検出手段の検出に基づいてアクチュエータが作動する際に、作業地に対する車輪のスリップ率に基づいてアクチュエータの作動開始時期を早めたり遅らせたりすることにより、旋回終了位置検出手段の検出と適切な旋回終了位置とが少し外れていても、適切な旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作を終了することができる。
(発明の効果)
本発明の第4特徴によると、作業地に対する車輪のスリップ率に基づいて、適切な旋回終了位置において作業装置を作業状態に適切に操作することができるようになり、作業車の作業性能を向上させることができた。
[V]
(構成)
本発明の第5特徴によると、本発明の第1又は第2特徴の作業車において次のように構成することにある。
作業地の土の硬軟に基づいて、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある。
(作用)
前項[I]−3に記載のように、旋回終了位置の検出に基づいてアクチュエータにより作業装置を作業状態に操作する場合に、旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了しない状態として、以下のような状態が考えられる。
機体の走行距離と車輪の直進位置からの操向角度とによって、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を検出する場合、車輪の直進位置からの操向角度を一定値に維持していても、作業地の土の硬軟により、機体の旋回半径が大きくなったり小さくなったりすることが考えられる。
従って、作業地の土の硬軟により、適切な旋回終了位置よりも早めに旋回終了位置が検出されたり、適切な旋回終了位置よりも遅めに旋回終了位置が検出されたりすることが考えられる。例えば適切な旋回終了位置よりも早めに旋回終了位置が検出された場合、旋回終了位置検出手段の検出に基づいてアクチュエータが作動すると、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了してから、適切な旋回終了位置に到達すると言うような状態になることが考えられる。
本発明の第5特徴によると、作業地の土の硬軟に基づいて、アクチュエータの作動開始時期を変更することができる。
これにより、旋回終了位置検出手段の検出に基づいてアクチュエータが作動する際に、作業地の土の硬軟に基づいてアクチュエータの作動開始時期を早めたり遅らせたりすることにより、旋回終了位置検出手段の検出と適切な旋回終了位置とが少し外れていても、適切な旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作を終了することができる。
(発明の効果)
本発明の第5特徴によると、作業地の土の硬軟に基づいて、適切な旋回終了位置において作業装置を作業状態に適切に操作することができるようになり、作業車の作業性能を向上させることができた。
[VI]
(構成)
本発明の第6特徴によると、本発明の第1又は第2特徴の作業車において次のように構成することにある。
前記旋回開始位置からの機体の走行距離が事前に設定された設定距離を越えると、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある。
本発明の第7特徴によると、本発明の第1又は第2特徴の作業車において次のように構成することにある。
前記操向操作自在な車輪の操向状態を検出する操向状態検出手段を備え、
前記操向状態検出手段の検出に基づいて、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある。
(作用)
前項[I]−3に記載のように、旋回終了位置の検出に基づいてアクチュエータにより作業装置を作業状態に操作する場合に、旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了しない状態として、以下のような状態が考えられる。
旋回開始位置から旋回終了位置までの間において、例えば車輪の操向操作が運転者の予想よりも不足して、機体が大回りで旋回したりすることがある。旋回開始位置から旋回終了位置までの間において、例えば運転者が未熟練の場合、運転者が通常とは異なる車輪の操向操作を行うことがある。このような状態になると、例えば図9(a)に示すように、作業行程L01に対して機体が斜めに入るような状態となることがある。
前述の状態において、旋回終了位置検出手段の検出に基づいて、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が行われると、次のような不都合の生じることがある。つまり、作業車の一例である乗用型田植機において、苗植付装置(作業装置に相当)への動力を伝動及遮断状態に操作する植付クラッチが、アクチュエータにより伝動状態に操作されると(アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作に相当)、図9(a)に示すように、苗の植え付けられない部分a1が生じる。苗の植え付けられない部分a1が生じると、この後に作業者が苗の植え付けられない部分a1に手作業で苗の植え付けを行う必要がある。
本発明の第6特徴によると、旋回開始位置からの機体の走行距離が事前に設定された設定距離を越えれば、機体が大回りで旋回したと判断される。本発明の第7特徴によると、車輪の操向状態(車輪の操向操作の速度や加速度、操向操作の頻度等)により、運転者が通常とは異なる車輪の操向操作を行ったと判断される。
これにより、旋回終了位置検出手段の検出に基づいてアクチュエータが作動する際に、機体の走行距離や車輪の操向状態に基づいて、アクチュエータの作動開始時期を早めたり遅らせたりする。
例えば図9(a)に示すように、苗の植え付けられない部分a1が生じる場合に、アクチュエータの作動開始時期を早めることにより、図9(b)に示す位置E31において、アクチュエータによる植付クラッチの伝動状態への操作を終了するようにすることができる。
例えば旋回終了位置E3に到達していないのに、アクチュエータによる植付クラッチの伝動状態への操作が終了する場合(図9(b)の位置E31よりも紙面上側でアクチュエータによる植付クラッチの伝動状態への操作が終了する場合)、アクチュエータの作動開始時期を遅らせることにより、図9(b)に示す位置E31において、アクチュエータによる植付クラッチの伝動状態への操作を終了するようにすることができる。
(発明の効果)
本発明の第6及び第7特徴によると、機体の走行距離や車輪の操向状態に基づいて、作業装置を作業状態に適切に操作することができるようになり、作業車の作業性能を向上させることができた。
[VII]
(構成)
本発明の第8特徴によると、本発明の第1〜第7特徴のうちのいずれか一つの作業車において次のように構成することある。
前記旋回開始位置検出手段の検出に基づいて、前記アクチュエータを非作業状態側に作動させる場合、前記操作手段によるアクチュエータの非作業状態側への作動終了を、前記旋回開始位置とするように、前記旋回開始位置検出手段の検出を補正する補正手段を備えてある。
(作用)
前項[I]−2に記載のように、旋回開始位置を検出(特定)することにより、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置の検出に基づいて、旋回終了位置を検出する場合、作業行程と旋回開始との境界が曖昧なことがあり、旋回開始位置を検出(特定)し難いことがある。
本発明の第8特徴によれば、旋回開始位置検出手段により旋回開始位置の検出が行われても、旋回開始位置の検出に基づいてアクチュエータによる作業装置の非作業状態への操作が開始された場合、アクチュエータによる作業装置の非作業状態の操作が終了すると、この時点を旋回開始位置に補正(変更)している。
この場合、作業行程と旋回開始との境界に比べてアクチュエータによる作業装置の非作業状態の操作の終了を検出(特定)し易い点、並びに、前項[I]−2に記載のように、旋回終了位置の検出に基づいてアクチュエータにより作業装置を作業状態に操作することにより、アクチュエータによる作業装置の非作業状態への操作の終了を旋回開始位置とすることに矛盾が少ない点により、旋回開始位置を明確なものにすることができた。
本発明の第8特徴によると、旋回開始位置を明確なものにすることにより、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置の検出に基づいて、旋回開始位置から旋回終了位置を検出する場合、旋回終了位置の検出が精度良く行われるようになる。
(発明の効果)
本発明の第8特徴によると、アクチュエータによる作業装置の非作業状態への操作の終了を旋回開始位置とすることにより、旋回開始位置を明確なものにすることができて、旋回開始位置から旋回終了位置を精度良く検出することができるようになり、適切な旋回終了位置において作業装置を作業状態に適切に操作することができるようになって、作業車の作業性能を向上させることができた。
乗用型田植機の全体側面図である。 右及び左の前輪の操向操作系、右及び左の前輪、右及び左の後輪への伝動系を示す平面図である。 右及び左の前輪(操向部材)の直進位置からの操向角度を検出するポテンショメータの付近の側面図である。 右及び左の前輪(操向部材)の直進位置からの操向角度を検出するポテンショメータの付近の縦断背面図である。 制御装置に備えられた機体位置検出手段、旋回開始位置検出手段、旋回終了位置検出手段、補正手段、変更手段、走行速度検出手段、操作手段、自動昇降制御手段、スリップ率検出手段、操向状態検出手段の制御系を示す図である。 畦際での旋回時の制御の流れを示す図である。 畦際での旋回時の状態を示す平面図である。 (a)は車輪のホイルベース、車輪の直進位置からの操向角度、機体の旋回中心、機体の旋回半径を検出する状態を示す平面図である。(b)は機体の旋回半径及び移動角度により、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を検出する状態を示す平面図である。 発明を実施するための第3及び第4別形態において、畦際での旋回時の状態を示す平面図である。
[1]
図1に示すように、右及び左の前輪1(車輪に相当)、右及び左の後輪2(車輪に相当)で支持された機体の後部にリンク機構3が昇降自在に支持されて、リンク機構3を昇降駆動する単動型の油圧シリンダ4が備えられており、リンク機構3の後部に苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されて、作業車の一例である乗用型田植機が構成されている。水田は一般に下方の硬い耕盤G1の上に泥や水の層が形成されて、泥や水の層の最上面が田面G2となっており、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2は耕盤G1に接地して走行する。
図1に示すように、苗植付装置5は、3個の植付伝動ケース6、植付伝動ケース6の後部の左右に回転駆動自在に支持された回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、複数のフロート9、苗のせ台10等を備えて、6条植型式に構成されている。運転座席13の後側に、粉粒状の肥料を貯留するホッパー14及び2条単位の3個の繰り出し部15(作業装置に相当)が備えられて、運転座席13の下側にブロア16が備えられている。フロート9に作溝器17が備えられて、繰り出し部15と作溝器17とに亘ってホース18が接続されている。
図1及び図5に示すように、右及び左のマーカー19が苗植付装置5の右及び左側部に備えられており、田面G2に接地して指標を形成する作用姿勢(図1参照)、及び田面G2から上方に離れた格納姿勢(図5参照)に変更自在に構成されている。右及び左のマーカー19は上下に揺動自在に苗植付装置5に支持されたアーム部19aと、アーム部19aの先端部に自由回転自在に支持された回転体19bとを備えて構成されており、右及び左のマーカー19を作用姿勢及び格納姿勢に操作する電動モータ21が備えられて、制御装置23により電動モータ21が操作される。
[2]
次に、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2への伝動系について説明する。
図2に示すように、エンジン31の動力が伝動ベルト32を介して静油圧式無段変速装置33及びミッションケース34に伝達され、ミッションケース34の内部の副変速装置(図示せず)から、前輪デフ機構(図示せず)及び前車軸ケース35の伝動軸(図示せず)を介して、右及び左の前輪1に伝達される。
図1及び図5に示すように、静油圧式無段変速装置33は中立位置から前進側及び後進側に無段階に変速自在に構成されている。操縦ハンドル20の左横側に備えられた変速レバー45により静油圧式無段変速装置33を操作するのであり、変速レバー45の操作位置が制御装置23に入力されている。
図1及び図2に示すように、副変速装置の動力が伝動軸36、後車軸ケース37の入力軸38、入力軸38に固定されたベベルギヤ38a、ベベルギヤ38aに咬合するベベルギヤ39a、ベベルギヤ39aが固定された伝動軸39、右及び左のサイドクラッチ40を介して右及び左の後輪2に伝達される。
図2に示すように、ミッションケース34の下部の縦軸芯P2周りに、平面視台形状の操向部材41が揺動自在に支持されて、操縦ハンドル20により操向部材41が揺動操作されるように構成されており、操向部材41と右及び左の前輪1とに亘ってタイロッド42が接続されている。これにより、操縦ハンドル20を操作することによって、右及び左の前輪1(操向部材41)を直進位置A1から、右及び左の操向限度A3に亘って操向操作することができる。
図2に示すように、右及び左のサイドクラッチ40は摩擦多板型式に構成されて、伝動状態に付勢されている。右及び左のサイドクラッチ40を遮断状態に操作する右及び左の操作軸43が、後車軸ケース37に下向きに支持されて、操向部材41と右及び左の操作軸43とに亘り、前車軸ケース35の下側を通って右及び左の操作ロッド44が接続されている。右及び左の操作ロッド44において右及び左の操作軸43との接続部分に、融通としての長孔44aが備えられている。
図2に示すように、右及び左の前輪1(操向部材41)が直進位置A1、右及び左の設定角度A2の範囲で操向操作されていると、右及び左の操作ロッド44の長孔44aの融通によって、右及び左のサイドクラッチ40は伝動状態に操作されている。これにより、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2(右及び左のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達された状態で、機体は前進(後進)する。
図2に示すように、右及び左の前輪1(操向部材41)が右の設定角度A2を越えて右の操向限度A3側に操向操作されると、右の操作ロッド44の長孔44aの範囲を越えて右の操作ロッド44が引き操作されて、右の操作軸43により右のサイドクラッチ40が遮断状態に操作される。これにより、右及び左の前輪1、左の後輪2(旋回外側)(左のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達され、右の後輪2(旋回中心側)(右のサイドクラッチ40の遮断状態)が自由回転する状態で、機体は右に旋回する。
図2に示すように、右及び左の前輪1(操向部材41)が左の設定角度A2を越えて左の操向限度A3側に操向操作されると、左の操作ロッド44の長孔44aの範囲を越えて左の操作ロッド44が引き操作されて、左の操作軸43により左のサイドクラッチ40が遮断状態に操作される。これにより、右及び左の前輪1、右の後輪2(旋回外側)(右のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達され、左の後輪2(旋回中心側)(左のサイドクラッチ40の遮断状態)が自由回転する状態で、機体は左に旋回する。
[3]
次に、苗植付装置5及び繰り出し部15への伝動系について説明する。
図1及び図5に示すように、ミッションケース34において、副変速装置の直前から分岐した動力が、植付クラッチ26及びPTO軸25を介して苗植付装置5に伝達される。副変速装置の直前から分岐した動力が、施肥クラッチ27及び駆動ロッド30介して繰り出し部15に伝達されており、植付及び施肥クラッチ26,27を伝動及び遮断状態に操作する電動モータ28(アクチュエータに相当)が備えられている。
図1及び図5に示すように、植付クラッチ26が伝動状態に操作されると、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図1の紙面反時計方向に回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面G2に植え付ける。植付クラッチ26が遮断状態に操作されると、苗のせ台10の往復横送り駆動及び回転ケース7の回転駆動が停止する。
図1及び図5に示すように、施肥クラッチ27が伝動状態に操作されると、ホッパー14から肥料が所定量ずつ繰り出し部15によって繰り出され、ブロア16の送風により肥料がホース18を通って作溝器17に供給されるのであり、作溝器17を介して肥料が田面G2に供給される。施肥クラッチ27が遮断状態に操作されると、繰り出し部15が停止して、田面G2への肥料の供給が停止する。
[4]
次に、苗植付装置5の自動昇降制御手段61について説明する。
図5に示すように、自動昇降制御手段61が制御装置23に備えられている。苗植付装置5の横軸芯P1周りに中央のフロート9の後部が上下に揺動自在に支持されて、苗植付装置5に対する中央のフロート9の高さを検出するポテンショメータ22が備えられており、ポテンショメータ22の検出値が制御装置23に入力されている。機体の進行に伴って中央のフロート9が田面G2に接地追従するのであり、ポテンショメータ22の検出値により苗植付装置5に対する中央のフロート9の高さを検出することによって、田面G2(中央のフロート9)から苗植付装置5までの高さを検出することができる。
図5に示すように、油圧シリンダ4に作動油を給排操作する制御弁24が備えられており、制御装置23により制御弁24が操作される。制御弁24により油圧シリンダ4に作動油が供給されると、油圧シリンダ4が収縮作動して苗植付装置5が上昇し、制御弁24により油圧シリンダ4から作動油が排出されると、油圧シリンダ4が伸長作動して苗植付装置5が下降する。
図5に示すように、苗植付装置5に対する中央のフロート9の高さ(田面G2(中央のフロート9)から苗植付装置5までの高さ)に基づいて、苗植付装置5が田面G2から設定高さに維持されるように(ポテンショメータ22の検出値(ポテンショメータ22と中央のフロート9との上下間隔)が設定値に維持されるように)、制御弁24が操作され、油圧シリンダ4が伸縮作動して、苗植付装置5が自動的に昇降する(以上、自動昇降制御手段61の作動状態)。
[5]
次に、昇降レバー11について説明する。
図1及び図5に示すように、運転座席13の右横側に昇降レバー11が備えられ、昇降レバー11は自動位置、上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作自在に構成されており、昇降レバー11の操作位置が制御装置23に入力されている。機体に対するリンク機構3の上下角度を検出するポテンショメータ29が備えられて、ポテンショメータ29の検出値が制御装置23に入力されており、機体に対するリンク機構3の上下角度を検出することによって、機体に対する苗植付装置5の高さを検出することができる。
図5に示すように、昇降レバー11を上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作した状態(昇降レバー11を自動位置に操作していない状態)において、以下の説明のように制御装置23により、制御弁24及び電動モータ21,28が操作されて、油圧シリンダ4、植付及び施肥クラッチ26,27が操作される。この場合、後述する[6]に記載の操作レバー12の上昇位置U及び下降位置Dの機能は作動せず、操作レバー12の右及び左マーカー位置R,Lの機能だけが作動する。
図5に示すように、昇降レバー11を上昇位置に操作すると、自動昇降制御手段61が停止し、植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態に操作され、右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作されて、油圧シリンダ4が収縮作動して苗植付装置5が上昇する。昇降レバー11を上昇位置に操作した状態で、苗植付装置5が上限位置に達したことがポテンショメータ29により検出されると、油圧シリンダ4が自動的に停止する。
図5に示すように、昇降レバー11を下降位置に操作すると、自動昇降制御手段61が停止し、植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態に操作され、右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態で、油圧シリンダ4が伸長作動して苗植付装置5が下降する。中央のフロート9が田面G2に接地すると自動昇降制御手段61が作動して、苗植付装置5が田面G2に接地して停止した状態となる(苗植付装置5が田面G2から設定高さに維持されるように(ポテンショメータ22の検出値(ポテンショメータ22と中央のフロート9との上下間隔)が設定値に維持されるように)、苗植付装置5が自動的に昇降する状態)。
図5に示すように、昇降レバー11を中立位置に操作すると、自動昇降制御手段61が停止し、植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態に操作され、右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態で、油圧シリンダ4が停止する。
このように、昇降レバー11を上昇位置、中立位置及び下降位置に操作することによって、苗植付装置5を任意の高さに上昇及び下降させて停止させることができる。
図5に示すように、昇降レバー11を植付位置に操作すると、右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態で、自動昇降制御手段61が作動し、植付及び施肥クラッチ26,27が伝動状態に操作される。これによって、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って回転ケース7が回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面G2に植え付けるのであり、ホッパー14から肥料が所定量ずつ繰り出し部15によって繰り出され、ブロア16の送風により肥料がホース18を通って作溝器17に供給され、作溝器17を介して田面G2に供給される。
[6]
次に、操作レバー12について説明する。
図1及び図5に示すように、操縦ハンドル20の下側の右横側に操作レバー12が備えられ、操作レバー12が右の横外方に延出されている。操作レバー12は中立位置Nから上方の上昇位置U、下方の下降位置D、後方の右マーカー位置R及び前方の左マーカー位置Lの十字方向に操作自在に構成されて、中立位置Nに付勢されており、操作レバー12の操作位置が制御装置23に入力されている。
昇降レバー11を自動位置に操作した状態において、以下の説明ように、操作レバー12の操作に基づいて、制御装置23により制御弁24及び電動モータ21,28が操作されて、油圧シリンダ4、植付及び施肥クラッチ26,27が操作される。
図5に示すように、操作レバー12を上昇位置Uに操作すると(上昇位置Uに操作して中立位置Nに操作すると)、植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態に操作されて、自動昇降制御手段61が停止し、油圧シリンダ4が収縮作動して苗植付装置5が上昇し、後述するように右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作される。苗植付装置5が上限位置に達したことがポテンショメータ29により検出されると、油圧シリンダ4が自動的に停止する。
図5に示すように、操作レバー12を下降位置Dに操作すると(下降位置Dに操作して中立位置Nに操作すると)、自動昇降制御手段61が停止し、植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態に操作され、右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態で、油圧シリンダ4が伸長作動して苗植付装置5が下降する。中央のフロート9が田面G2に接地すると、自動昇降制御手段61が作動して、苗植付装置5が田面G2に接地して停止した状態となる(苗植付装置5が田面G2から設定高さに維持されるように(ポテンショメータ22の検出値(ポテンショメータ22と中央のフロート9との上下間隔)が設定値に維持されるように)、苗植付装置5が自動的に昇降する状態)。
前述のように、操作レバー12を下降位置Dに操作した後(下降位置Dに操作して中立位置Nに操作した後)、操作レバー12を再び下降位置Dに操作すると、自動昇降制御手段61が作動した状態で、植付及び施肥クラッチ26,27が伝動状態に操作される。
図5に示すように、ポテンショメータ29により検出される苗植付装置5の高さが、事前に設定された所定高さよりも低い状態において、以下のような操作が行われる。
右(左)のマーカー19が格納姿勢に操作された状態において、操作レバー12を右マーカー位置R(左マーカー位置L)に第1設定時間(比較的短い時間)以上に亘って操作すると、右(左)のマーカー19が作用姿勢に操作される。
右(左)のマーカー19が作用姿勢に操作された状態において、操作レバー12を右マーカー位置R(左マーカー位置L)に第2設定時間(第1設定時間よりも長い時間)以上に亘って操作すると、右(左)のマーカー19が格納姿勢に操作される。
図5に示すように、苗植付装置5が上昇して、ポテンショメータ29により検出される苗植付装置5の高さが、事前に設定された所定高さよりも高くなると、作用姿勢の右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作される。ポテンショメータ29により検出される苗植付装置5の高さが、事前に設定された所定高さよりも高い状態では、前述のように操作レバー12を右及び左マーカー位置R,Lに操作しても、これに関係なく右及び左のマーカー19が格納姿勢に維持される。
[7]
次に、畦際での旋回時の制御に関する構造について説明する。
図1及び図2に示すように、ミッションケース34の後部と機体フレーム66とに亘って補強用の右及び左のフレーム49が連結されており、図2,3,4に示すように、左のフレーム49の機体内方側にブラケット46が固定されて、ブラケット46にボス部62が固定されている。ボス部62の上部にポテンショメータ47(操向角度検出手段に相当)が固定されて、ポテンショメータ47に接続された回転自在な検出軸47bが、ボス部62を通って下方に延出されており、検出軸47bの下部に検出アーム47aが固定されている。操向部材41とポテンショメータ47の検出アーム47aとに亘って、連係ロッド48が前車軸ケース35の下側を通って接続されている。
図2及び図3に示すように、運転座席13と操縦ハンドル20との間に位置するフロア63において、左のフレーム49及びポテンショメータ47の横外側でフロア63の左側部の下側に、燃料タンク64が支持されている。ポテンショメータ47が右及び左のフレーム49の間に位置し、且つ、燃料タンク64の底面64aよりも上側に位置するように配置されている。
図2及び図5に示すように、ポテンショメータ47により操向部材41の位置が検出され、ポテンショメータ47の検出値が制御装置23に入力されており、ポテンショメータ47の検出値によって、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが検出される。
図2及び図5に示すように、右及び左の回転数センサー50(走行距離検出手段に相当)が後車軸ケース37に備えられて、右及び左の回転数センサー50により右及び左のサイドクラッチ40の伝動下手側の回転数を検出するように構成されており、右及び左の回転数センサー50の検出値が制御装置23に入力されている。これにより、右及び左のサイドクラッチ40の伝動状態及び遮断状態に関係なく、右及び左の回転数センサー50により右及び左の後輪2の回転数が検出される。
図5に示すように、制御装置23に、機体位置検出手段51、旋回開始位置検出手段52、旋回終了位置検出手段53、補正手段54、変更手段55、走行速度検出手段56及び操作手段57が備えられている。昇降レバー11が自動位置に操作されている状態において、機体位置検出手段51、旋回開始位置検出手段52、旋回終了位置検出手段53、補正手段54、変更手段55、走行速度検出手段56及び操作手段57が、以下の[8]〜[13]に記載のように作動する。
図7に示すように、機体位置検出手段51は、植付行程L01,L02(作業行程に相当)の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1(旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置に相当)を検出するものである(これについて言い換えると、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の座標を検出するものである)。以下の[8]〜[13]に記載のようにして機体位置検出手段51により、植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1が検出される。
6条植型式の苗植付装置5を備えた乗用型田植機では、畦際(畦B)において、図7に示すように、前半の旋回行程L1及び後半の旋回行程L2を行って、1回の植付行程L01から次の植付行程L02に入る場合がある。前半の旋回行程L1及び後半の旋回行程L2について、以下の[8]〜[13]において説明する。
[8]
次に、1回の植付行程L01及び前半の旋回行程L1(旋回開始位置検出手段52、操作手段57及び補正手段54の作動)について、図6及び図7に基づいて説明する。
機体が畦際(畦B)に達して1回の植付行程L01(苗植付装置5の下降状態で自動昇降制御手段61の作動状態、植付及び施肥クラッチ26,27の伝動状態、右及び左のサイドクラッチ40の伝動状態)が終了する場合、前回の植付行程での旋回終了位置(図7のE1の紙面左隣の位置)に達すると、運転者は操作レバー12を上昇位置Uに操作する(上昇位置Uに操作して中立位置Nに操作する)(ステップS1)。
前項[6]に記載のように操作レバー12を上昇位置Uに操作すると(上昇位置Uに操作して中立位置Nに操作すると)(ステップS1)、植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態に操作されて(ステップS2)(旋回開始位置検出手段52の検出に基づいて、操作手段57によりアクチュエータ28を非作業状態側に作動させる状態に相当)、自動昇降制御手段61が停止する(ステップS3)。油圧シリンダ4が収縮作動して苗植付装置5が上昇し(ステップS4)、右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作される(ステップS5)。苗植付装置5が上限位置に達したことがポテンショメータ29により検出されると、油圧シリンダ4が自動的に停止する。
操作レバー12が上昇位置Uに操作されたことによる操作信号が制御装置23に入力されると(作業状態からの旋回開始に相当)、旋回開始位置検出手段52により、植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1が「0(原点)」に設定され、「0(原点)」が旋回開始位置E1として検出(設定)される。旋回開始位置E1が検出(設定)されてから、設定時間の経過後の時点が旋回開始位置E1となるように、補正手段54により旋回開始位置E1及び「0(原点)」が補正される(ステップS101,S103)。
これと同時に、補正手段54により補正された旋回開始位置E1及び「0(原点)」が旋回終了位置E3として設定される(ステップS102)。この場合、前述の設定時間は任意に長短に変更することができる。
[9]
次に、前項[8]に記載の補正手段54による旋回開始位置E1の補正について説明する。
施肥クラッチ27が遮断状態に操作されると、繰り出し部15が直ちに停止して、旋回開始位置E1と繰り出し部15の停止とが一致するので、施肥クラッチ27を基準とすれば、操作レバー12が上昇位置Uに操作されたことにより旋回開始位置E1を検出(設定)しても問題はない。
同様に、変速レバー45が中立位置に操作された場合、静油圧式無段変速装置33が中立位置に操作されて機体が停止するのに加えて、静油圧式無段変速装置33から苗植付装置5及び繰り出し部15に動力が伝達されなくなり、苗植付装置5(回転ケース7、植付アーム8)及び繰り出し部15が直ちに停止する。これにより、旋回開始位置E1と、変速レバー45の中立位置(苗植付装置5(回転ケース7、植付アーム8)及び繰り出し部15の停止)とが一致する。
変速レバー45が後進側に操作された場合、制御装置23により制御弁24が供給位置に操作され、油圧シリンダ4が収縮作動して、苗植付装置5が自動的に上昇するように構成されている。
変速レバー45を後進側に操作すると、静油圧式無段変速装置33から苗植付装置5及び繰り出し部15に後進(逆向き)の動力が伝達されることになるが、前進の動力を伝達し後進の動力を遮断する一方向クラッチ(図示せず)が備えられているので、変速レバー45を後進側に操作しても、後進の動力が一方向クラッチで遮断されて、苗植付装置5(回転ケース7、植付アーム8)及び繰り出し部15が直ちに停止する。これにより、旋回開始位置E1と、変速レバー45の後進側への操作(苗植付装置5(回転ケース7、植付アーム8)及び繰り出し部15の停止)とが一致する。
これに対して、植付クラッチ26が遮断状態に操作されても、回転ケース7及び植付アーム8が遅れて停止することがあり、旋回開始位置E1に対して苗植付装置5(回転ケース7、植付アーム8)の停止が遅れた位置になることがある。
これは、植付クラッチ26が遮断状態に操作されると、回転ケース7が田面G2と平行な姿勢(一対の植付アーム8の両方が田面G2の上方に位置している状態)になってから停止するように構成されているので、例えば回転ケース7が田面G2と平行な姿勢の瞬間に植付クラッチ26が遮断状態に操作されても、回転ケース7が直ちに停止せずに回転慣性により約180度回転して停止することによる。
従って、前述のような状態になると、植付クラッチ26が遮断状態に操作されてからでも、植付アーム8による苗の一株程度の植え付けが行われることがある。
これにより、操作レバー12が上昇位置Uに操作されたことによる操作信号が制御装置23に入力されてから(旋回開始位置E1が検出(設定)されてから)、設定時間の経過後の時点を旋回開始位置E1として補正することにより、旋回開始位置E1と苗植付装置5(回転ケース7、植付アーム8)の停止(操作手段57によるアクチュエータ28の非作業状態側への終了)とを、一致させることができる。
[10]
次に、前半の旋回行程L1(機体位置検出手段51の作動)について、図6及び図7に基づいて説明する。
運転者は、前項[8]に記載のように、操作レバー12を上昇位置Uに操作すると略同時に、操縦ハンドル20を操作して右及び左の前輪1(操向部材41)を旋回方向に操向操作して、前半の旋回行程L1に入る。右及び左の前輪1(操向部材41)が右(左)の設定角度A2を越えて右(左)の操向限度A3側に操向操作されると(ステップS6)、前項[2]に記載のように、旋回外側のサイドクラッチ40が伝動状態に維持された状態で、旋回中心側のサイドクラッチ40が遮断状態に操作される(ステップS7)。
ステップS101において旋回開始位置E1の検出(設定)及び補正が行われると、機体位置検出手段51により、下記の式1に基づいて植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1の検出が開始される(ステップS104)。
式1:Y1=R*SIN(θ)
R:機体の旋回半径
θ:旋回開始位置E1からの機体の移動角度
図8(a)に示すように、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが決まると、機体の旋回中心Cが右及び左の後輪2の車軸65(図2参照)の延長線に位置していると判断され、前輪1及び後輪2のホイルベースW(右及び左の前輪1の車軸と右及び左の後輪2の車軸65(図2参照)との間隔)と、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aとに基づいて、機体の旋回中心Cが検出される。機体の旋回中心Cが検出されると、機体の左右中央と機体の旋回中心Cとの距離が機体の旋回半径Rとして検出される。
図8(a)(b)に示すように、機体の旋回中心C及び旋回半径Rが検出された状態において、旋回中心側の回転数センサー50のパルス(旋回中心側の後輪2の回転数)により、機体の走行距離Gが検出され(機体の旋回半径Rに対する円弧部分に相当)、機体の旋回中心C及び旋回半径Rと機体の走行距離Gとに基づいて、機体の移動角度θが検出される。以上のように、機体の旋回半径R及び移動角度θにより、式1に基づいて植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1として検出される(ステップS104)。
[11]
次に、前半の旋回行程L1(機体の旋回角度F1)について、図6及び図7に基づいて説明する。
ステップS101において旋回開始位置E1の検出(設定)及び補正が行われると、旋回開始位置E1から旋回外側の回転数センサー50のパルス(旋回外側の後輪2の回転数)が検出(積算)され、この値と右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aとに基づいて、機体の旋回角度F1が「0」から検出(積算)される(ステップS105,S106)。
この場合、旋回開始位置E1(植付行程L01)での機体の向きに対して、現在の機体の向きがどのような角度であるのかが、旋回外側の回転数センサー50のパルス(旋回外側の後輪2の回転数)と、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aとに基づいて検出され、この検出値が機体の旋回角度F1として検出(積算)される(ステップS105,S106)。
機体の旋回角度F1が90度であれば、旋回開始位置E1(植付行程L01)での機体の向きに対して、機体の向きが真横に向いた状態であり、機体の旋回角度F1が180度であれば、旋回開始位置E1(植付行程L01)での機体の向きに対して、機体の向きが反対に向いた状態(植付行程L02)である。
右及び左の前輪1(操向部材41)が旋回方向に操向操作された状態で、旋回外側の回転数センサー50のパルス(旋回外側の後輪2の回転数)が大きくなると(積算されると)、旋回外側の回転数センサー50のパルス(旋回外側の後輪2の回転数)の増加分だけ機体の旋回角度F1は大きくなったと検出(積算)される。逆に右及び左の前輪1(操向部材41)が直進位置A1に操向操作された状態で、旋回外側の回転数センサー50のパルス(旋回外側の後輪2の回転数)が大きくなっても(積算されても)、機体は直進しただけで機体の旋回角度F1は変化していないと検出(積算)される。
これによって、機体の旋回角度F1が0度(旋回開始位置E1)〜90度(境界位置E2)の範囲では、前項[9]において、植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1は、旋回開始位置E1から(+Y)に離れていく状態となる。
[12]
次に、後半の旋回行程L2(機体位置検出手段51の作動)について、図6及び図7に基づいて説明する。
機体の旋回角度F1が90度(境界位置E2)を越えると、機体が後半の旋回行程L2に入ったと判断される。前半の旋回行程L1における機体の向きに対して、後半の旋回行程L2の向きは逆向きになるので、植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1が、旋回開始位置E1(旋回終了位置E3)に接近していく状態となる。
この場合、機体の旋回角度F1が旋回設定角度FA1(例えば150度)に達していると(ステップS8)、畦際(畦B)での旋回が通常どおりに行われていると判断される。後半の旋回行程L2の後半に入ると、運転者は操縦ハンドル20を操作して右及び左の前輪1(操向部材41)を右(左)の設定角度A2を越えて直進位置A1に操作する(ステップS9)。これにより、旋回中心側のサイドクラッチ40が伝動状態に操作されて(ステップS10)、機体は直進状態に入る。
機体が直進状態に入ると、式1による演算は行われず、右及び左の回転数センサー50のパルス(右及び左の後輪2の回転数)の平均値(マイナスの値)が、植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1として検出(積算)される(ステップS104)
[13]
次に、後半の旋回行程L2(旋回終了位置検出手段52、走行速度検出手段56及び操作手段57の作動)について、図6及び図7に基づいて説明する。
右及び左の前輪1(操向部材41)が右(左)の設定角度A2を越えて直進位置A1側に操作されて(ステップS9)、旋回中心側のサイドクラッチ40が伝動状態に操作されると(ステップS10)、これと同時に、植付及び施肥クラッチ26,27の遮断状態を維持して、苗植付装置5が自動的に下降する(ステップS11)。
中央のフロート9が田面G2に接地すると、自動昇降制御手段61が作動して、苗植付装置5が田面G2に接地して停止した状態となる(苗植付装置5が田面G2から設定高さに維持されるように(ポテンショメータ22の検出値(ポテンショメータ22と中央のフロート9との上下間隔)が設定値に維持されるように)、苗植付装置5が自動的に昇降する状態)(ステップS12)。
前述の状態において旋回終了位置E3が目前であるので、走行速度検出手段56により右及び左の回転数センサー50のパルス(右及び左の後輪2の回転数)の平均値が微分処理されて、機体の走行速度Vが検出される(ステップS13)。機体の走行速度Vが検出された時点において、植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1と旋回終了位置E3とが比較されて、現在の機体の走行速度Vであれば、この後にどれだけの時間の経過後に、旋回終了位置E3に到達するかが予測される(旋回終了位置E3に到達したことが旋回終了位置検出手段52により検出されることが予測される)(ステップS14)。
この場合、右及び左の回転数センサー50のパルス(右及び左の後輪2の回転数)の平均値を微分処理する構成に代えて、変速レバー45の操作位置に基づいて機体の走行速度Vを検出するように、走行速度検出手段56を構成してもよく、エンジン31の回転数やアクセル(図示せず)の操作位置に基づいて機体の走行速度Vを検出するように、走行速度検出手段56を構成してもよい。
電動モータ28により植付及び施肥クラッチ26,27を遮断状態から伝動状態に操作する場合、電動モータ28の作動速度に限界がある点、及び遮断状態から伝動状態への作動ストロークが存在する点により、制御装置23から電動モータ28に伝動状態への操作信号が出力されてから、植付及び施肥クラッチ26,27の伝動状態への操作が終了するまでの操作時間が事前に認識されている。
このように、どれだけの時間の経過後に旋回終了位置E3に到達するかが予測されると(ステップS14)、前述の操作時間の時間分だけ前の位置が、変更手段55により開始位置E4として設定される(ステップS15)。
植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1が開始位置E4に到達すると(ステップS16)、制御装置23から電動モータ28に伝動状態への操作信号が出力されて、植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態から伝動状態に操作され始める(旋回終了位置検出手段53の検出に基づいて、操作手段57によりアクチュエータ28を作業状態側に作動させる状態に相当)(変更手段55により操作手段57によるアクチュエータ28の作業状態側への作動開始時期を変更する状態に相当)(ステップS17)。
これにより、旋回位置検出手段53が旋回終了位置E3を検出すると、この検出と略同時に電動モータ28による植付及び施肥クラッチ26,27の伝動状態への操作が終了するのであり、苗植付装置5(回転ケース7、植付アーム8)による苗の植付開始及び繰り出し部15による田面G2への肥料の供給開始が、旋回終了位置E3(旋回開始位置E1)に一致する。従って、この後に次の植付行程L02に入る。
ステップS8において、機体の旋回角度F1が旋回設定角度FA1(例えば150度)に達していなければ、畦際での旋回が通常どおりに行われていないと判断されて、これ以後のステップS9〜S17の操作が行われない。これにより、この後は運転者が昇降レバー11又は操作レバー12を操作して、苗植付装置5の下降、植付及び施肥クラッチ26,27の伝動状態への操作を行う。
[発明を実施するための第1別形態]
前述の[発明を実施するための形態]において、図5に示すように、スリップ率検出手段58を備えることによって、変更手段55が以下のように作動するように構成してもよい。
スリップ率検出手段58は、以下のようにして右及び左の後輪2のスリップ率を検出する。
旋回外側(サイドクラッチ40の伝動状態)の後輪2の駆動力と、耕盤G1の摩擦係数との関係によって、旋回外側(サイドクラッチ40の伝動状態)の後輪2にスリップが発生したり発生しなかったりすると考えられる。旋回中心側(サイドクラッチ40の遮断状態)の後輪2に動力が伝達されず、旋回中心側(サイドクラッチ40の遮断状態)の後輪2が自由回転する状態であれば、旋回中心側(サイドクラッチ40の遮断状態)の後輪2を回転させるのは、耕盤G1の摩擦係数に基づく耕盤G1からの抵抗であるので、旋回中心側(サイドクラッチ40の遮断状態)の後輪2にスリップは殆ど発生しないと考えられる。
これにより、前半及び後半の旋回行程L1,L2において、旋回中心側(サイドクラッチ40の遮断状態)の後輪2は、機体の走行に伴い殆どスリップを発生させずに耕盤G1に従って回転すると考えられるので、旋回中心側(サイドクラッチ40の遮断状態)の回転数センサー50のパルス(回転数)と、旋回外側(サイドクラッチ40の伝動状態)の回転数センサー50のパルス(回転数)との比に基づいて、耕盤G1に対する右及び左の後輪2のスリップ率が検出される。
例えば旋回中心側(サイドクラッチ40の遮断状態)の回転数センサー50のパルス(回転数)に対して、旋回外側(サイドクラッチ40の伝動状態)の回転数センサー50のパルス(回転数)が、旋回外側及び旋回中心側の後輪2の内外輪差を考慮した所定のパルス数(回転数)の範囲であれば、旋回外側(サイドクラッチ40の伝動状態)の後輪2にスリップは発生していないと判断できる。
逆に旋回中心側(サイドクラッチ40の遮断状態)の回転数センサー50のパルス(回転数)に対して、旋回外側(サイドクラッチ40の伝動状態)の回転数センサー50のパルス(回転数)が、前述の所定のパルス数(回転数)を越えていれば、旋回外側(サイドクラッチ40の伝動状態)の回転数センサー50のパルス(回転数)と、旋回中心側(サイドクラッチ40の遮断状態)の回転数センサー50のパルス(回転数)との比に基づいて、耕盤G1に対する右及び左の後輪2のスリップ率が検出される。
これにより、前述の[発明を実施するための形態]の図6に示すように、ステップS6〜S9の間で右及び左の後輪2のスリップ率を検出し、ステップS15において開始位置E4を設定する際に、右及び左の後輪2のスリップ率を考慮に入れる。例えば右及び左の後輪2のスリップ率が大きいと、開始位置E4を予測される旋回終了位置E3に接近させる。
例えば右及び左の後輪2のスリップ率が非常に大きい場合、実際には旋回終了位置E3に到達していないのに、植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1が旋回終了位置E3に到達してしまうことがあるので、この場合には旋回終了位置検出手段53が旋回終了位置E3を検出する位置よりも、開始位置E4を次の植付行程L02側に移動させる。
以上のように、変更手段55は走行速度検出手段56とスリップ率検出手段58とに基づいて作動することになる。
前述のようなスリップ率検出手段58に代えて、スリップ率検出手段58を以下のように構成することも可能である。
(1)運転者が手動でダイヤルスイッチ(図示せず)を操作することにより、右及び左の後輪2のスリップ率を設定する。
(2)GPSにより実際の機体の走行距離を検出し、実際の機体の走行距離と右又は左の回転数センサー50のパルス(回転数)とを比較して、右及び左の後輪2のスリップ率を検出する。
(3)右及び左の後輪2のスリップ率が「0」の状態での苗の株間を事前に求めておく。植付行程L01,L02において、苗植付装置5により田面G2に植え付けられた苗の株間を撮影して、実際の苗の株間と、右及び左の後輪2のスリップ率が「0」の状態での苗の株間とを比較することにより、右及び左の後輪2のスリップ率を検出する。
[発明を実施するための第2別形態]
前述の[発明を実施するための形態]において、変更手段55が以下のように作動するように構成してもよい。
自動昇降制御手段61において、制御感度を敏感側及び鈍感側に人為的に設定できるように構成する。この場合、一般的に田面G2の泥が硬いと、自動昇降制御手段61の制御感度を鈍感側に設定し、田面G2の泥が柔らかいと、自動昇降制御手段61の制御感度を敏感側に設定する。これにより、前述の[発明を実施するための形態]の図6に示すように、ステップS15において開始位置E4を設定する際に、自動昇降制御手段61の制御感度を田面G2の泥の硬軟(作業地の土の硬軟)として考慮に入れる。
自動昇降制御手段61の制御感度に代えて、小幅のアーム(図示せず)を田面G2に突入させ、田面G2の泥からアームに掛かる抵抗の大小に基づいて、田面G2の泥の硬軟(作業地の土の硬軟)を検出するように構成してもよい。
[発明を実施するための第3別形態]
前述の[発明を実施するための形態]において、変更手段55が以下のように作動するように構成してもよい。
図6のステップS101において旋回開始位置E1の検出(設定)及び補正が行われると、旋回外側又は旋回中心側の回転数センサー50のパルス(旋回外側の後輪2の回転数)が検出(積算)され、旋回開始位置E1からの機体の走行距離が検出(積算)される。前半及び後半の旋回行程L1,L2が通常どおりに行われた場合、旋回開始位置E1から旋回終了位置E3までの機体の走行距離は設定距離として事前に認識されている。
これにより、旋回終了位置E3に到達するまでに、旋回開始位置E1からの機体の走行距離が設定距離を越えると、機体が大回りで旋回したと判断されて、例えば図9(a)に示すように、作業行程L01に対して機体が斜めに入るような状態になると判断される(苗の植え付けられない部分a1が生じると判断される)。このような状態になると、図6のステップS13,S14において、どれだけの時間の経過後に旋回終了位置E3に到達するかの予測を行う際に、予測が少し早めの値に補正される(又は少し遅めの値に補正される)。
従って、例えば図9(b)に示す位置E31において、電動モータ28による植付及び施肥クラッチ26,27の伝動状態への操作が終了するのであり、苗植付装置5(回転ケース7、植付アーム8)による苗の植え付け及び繰り出し部15による田面G2への肥料の供給が開始されて、この後に次の植付行程L02に入る。これにより、図9(a)に示すような苗の植え付けられない部分a1が生じない。
[発明を実施するための第4別形態]
前述の[発明を実施するための形態]において、変更手段55が以下のように作動するように構成してもよい。
図7に示す前半及び後半の旋回行程L1,L2が通常どおりに行われた場合に、旋回開始位置E1から旋回終了位置E3までにおいて、右及び左の前輪1(操向部材41)の操向操作の速度や加速度、操向操作の頻度等の各々に対して、上限値が事前に認識されている。
これにより、旋回開始位置E1から旋回終了位置E3に到達するまでに、右及び左の前輪1(操向部材41)の操向操作の速度や加速度、操向操作の頻度等のいずれかが上限値が越えたことを、操向状態検出手段59(図5参照)が検出すると、操向状態検出手段59の検出に基づいて、運転者が通常とは異なる前輪1の操向操作を行ったと判断されて、例えば図9(a)に示すように、作業行程L01に対して機体が斜めに入るような状態になると判断される(苗の植え付けられない部分a1が生じると判断される)。
このような状態になると、図6のステップS13,S14において、どれだけの時間の経過後に旋回終了位置E3に到達するかの予測を行う際に、予測が少し早めの値に補正される(又は少し遅めの値に補正される)。これにより、例えば図9(b)に示す位置E31において、電動モータ28による植付及び施肥クラッチ26,27の伝動状態への操作が終了するのであり、苗植付装置5(回転ケース7、植付アーム8)による苗の植え付け及び繰り出し部15による田面G2への肥料の供給が開始されて、この後に次の植付行程L02に入る。これにより、図9(a)に示すような苗の植え付けられない部分a1が生じない。
[発明を実施するための第5別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明を実施するための第1別形態]〜[発明を実施するための第4別形態]において、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが変化するごとに、機体の旋回中心C及び旋回半径R、機体の走行距離G、機体の移動角度θの検出、式1による植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1の検出を行うのではなく、これに代えて以下のように構成してもよい。
図7に示す前半の旋回行程L1(後半の旋回行程L2)において、10度(所定の角度範囲に相当)の範囲を備えた9個の領域(0度〜10度の領域、10度〜20度の領域、20度〜30度の領域、30度〜40度の領域、40度〜50度の領域、50度〜60度の領域、60度〜70度の領域、70度〜80度の領域、80度〜90度の領域)に分けて、9個の領域の各々に一つの機体の旋回半径R(領域の中央の角度に対応する機体の旋回半径R)を設定する。
例えば0度〜10度の領域において、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが5度の場合の機体の旋回半径R(図8(a)参照)を、0度〜10度の領域の一つの機体の旋回半径Rとして設定する。
右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが0度〜10度の領域に存在すると、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが変化しても、これに関係なく、0度〜10度の領域の一つの機体の旋回半径Rを使用して、機体の走行距離G、機体の移動角度θの検出、式1による植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1の検出を行う。
10度〜20度・・・において、前述の同様に10度〜20度・・・の領域の一つの機体の旋回半径Rを使用して、機体の走行距離G、機体の移動角度θの検出、式1による植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1の検出を行う。
[発明を実施するための第6別形態]
前述の[発明を実施するための第5別形態]に代えて以下のように構成してもよい。
図7に示す前半の旋回行程L1(後半の旋回行程L2)において、10度(所定の角度範囲に相当)の範囲を備えた9個の領域(0度〜10度の領域、10度〜20度の領域、20度〜30度の領域、30度〜40度の領域、40度〜50度の領域、50度〜60度の領域、60度〜70度の領域、70度〜80度の領域、80度〜90度の領域)に分けて、9個の領域の各々に一つの機体の旋回半径R(領域の最大の角度に対応する機体の旋回半径R)を設定する。
例えば0度〜10度の領域において、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが10度の場合の機体の旋回半径R(図8(a)(b)参照)を、0度〜10度の領域の一つの機体の旋回半径Rとして設定する。
右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが、0度(直進位置A1)から0度〜10度の領域に入っても、植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1の検出を行わない。右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが10度に達すると、0度〜10度の領域の一つの機体の旋回半径R及び10度により、式1に基づいて植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1の検出を行う。
10度〜20度・・・において、前述の同様に10度〜20度・・・の領域の機体の旋回半径Rを使用して、20度、30度・・・において、10度〜20度・・・の領域の一つの機体の旋回半径・・・により、式1に基づいて植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1の検出を行う。
本発明は、機体の後部にロータリ耕耘装置(作業装置に相当)を昇降駆動自在に連結可能に構成されたトラクタや、機体の前部に刈取部(作業装置に相当)を昇降駆動自在に支持したコンバイン等の作業車にも適用できる。機体の走行距離の検出として、車輪の回転数ばかりではなく、GPSにより機体の走行距離を検出することも可能である。ホッパー14において粉粒状の肥料に代えて、液状の肥料や、粉粒状や液状の薬剤や種籾等を入れた作業車にも適用できる。作業クラッチを伝動及び遮断状態に操作することを伴わずに、作業装置(例えば溝切り溝切り器)を作業地から上昇した上昇状態(非作業状態)、及び作業地に接地した下降状態(作業状態)に昇降自在に支持した作業車にも適用できる。
1 車輪
2 車輪
5,15 作業装置
28 アクチュエータ
47 操向角度検出手段
50 走行距離検出手段
51 機体位置検出手段
52 旋回開始位置検出手段
53 旋回終了位置検出手段
54 補正手段
55 変更手段
56 走行速度検出手段
57 操作手段
58 スリップ率検出手段
59 操向状態検出手段
A 操向自在な車輪の直進位置からの操向角度
A1 直進位置
A2 設定角度
C 機体の旋回中心
E1 旋回開始位置
E3 旋回終了位置
G 機体の走行距離
L01,L02 作業行程
R 機体の旋回半径
V 機体の走行速度
+Y,−Y 旋回開始前の機体の進行方向
Y1 旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置
θ 機体の移動角度

Claims (8)

  1. 機体に備えられた作業装置を作業状態及び非作業状態に操作するアクチュエータと、機体の走行距離を検出する走行距離検出手段と、操向操作自在な車輪の直進位置からの操向角度を検出する操向角度検出手段とを備え、
    作業行程からの旋回開始に基づいて、機体の旋回開始位置を検出する旋回開始位置検出手段と、
    前記旋回開始位置検出手段の検出に基づいて、前記走行距離検出手段及び操向角度検出手段により、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を検出する機体位置検出手段と、
    前記機体位置検出手段の検出に基づいて、機体の旋回終了位置を検出する旋回終了位置検出手段とを備えて、
    前記旋回開始位置検出手段の検出に基づいて、前記アクチュエータを非作業状態側に作動させ、前記旋回終了位置検出手段の検出に基づいて、前記アクチュエータを作業状態側に作動させる操作手段を備え、
    前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更する変更手段を備えてある作業車。
  2. 前記機体の走行距離と車輪の直進位置からの操向角度とにより、機体の旋回半径と、機体の旋回中心に対して機体が移動した移動角度とを検出し、前記機体の旋回半径と移動角度とに基づいて三角関数により、前記旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を検出するように、前記機体位置検出手段を構成してある請求項1に記載の作業車。
  3. 機体の走行速度を検出する走行速度検出手段を備え、
    前記走行速度検出手段の検出に基づいて、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある請求項1又は2に記載の作業車。
  4. 作業地に対する車輪のスリップ率を検出するスリップ率検出手段を備え、
    前記スリップ率検出手段の検出に基づいて、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある請求項1又は2に記載の作業車。
  5. 作業地の土の硬軟に基づいて、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある請求項1又は2に記載の作業車。
  6. 前記旋回開始位置からの機体の走行距離が事前に設定された設定距離を越えると、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある請求項1又は2に記載の作業車。
  7. 前記操向操作自在な車輪の操向状態を検出する操向状態検出手段を備え、
    前記操向状態検出手段の検出に基づいて、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある請求項1又は2に記載の作業車。
  8. 前記旋回開始位置検出手段の検出に基づいて、前記アクチュエータを非作業状態側に作動させる場合、前記操作手段によるアクチュエータの非作業状態側への作動終了を、前記旋回開始位置とするように、前記旋回開始位置検出手段の検出を補正する補正手段を備えてある請求項1〜7のうちのいずれか一つに記載の作業車。
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