JP2010193764A - 作業車 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】機体の走行距離Gと、操向操作自在な車輪1の直進位置からの操向角度とにより、作業行程からの旋回開始L01に基づいて、旋回開始前の機体の進行方向+Y,−Yでの旋回中の機体の位置を検出する。旋回開始位置E1の検出に基づいて、アクチュエータを作業装置5の非作業状態側に作動させ、旋回終了位置E3の検出に基づいて、アクチュエータを作業装置5の作業状態側に作動させる。アクチュエータの作業装置5の作業状態側への作動開始時期を変更可能に構成する。
【選択図】図7
Description
例えば特許文献2に開示されているように、8条植型式のような横幅の大きな苗植付装置を備えた乗用型田植機では、前半の旋回(特許文献2の図8のL1)を行った後に、直進走行(特許文献2の図8のL2)を少し行い、後半の旋回(特許文献2の図8のL3)を行うことがある。
これにより、旋回が終了していないのに機体の走行距離が設定距離に達してしまい、旋回が終了したと判断されて、作業装置が適切な時期よりも早く作業状態に操作されてしまう可能性がある。
本発明は、作業車において旋回する場合に旋回終了位置を適切に検出し、作業装置が適切に作業状態に操作されるように構成することを目的としている。
(構成)
本発明の第1特徴は、作業車において次のように構成することにある。
機体に備えられた作業装置を作業状態及び非作業状態に操作するアクチュエータと、機体の走行距離を検出する走行距離検出手段と、操向操作自在な車輪の直進位置からの操向角度を検出する操向角度検出手段とを備え、
作業行程からの旋回開始に基づいて、機体の旋回開始位置を検出する旋回開始位置検出手段と、
前記旋回開始位置検出手段の検出に基づいて、前記走行距離検出手段及び操向角度検出手段により、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を検出する機体位置検出手段と、
前記機体位置検出手段の検出に基づいて、機体の旋回終了位置を検出する旋回終了位置検出手段とを備えて、
前記旋回開始位置検出手段の検出に基づいて、前記アクチュエータを非作業状態側に作動させ、前記旋回終了位置検出手段の検出に基づいて、前記アクチュエータを作業状態側に作動させる操作手段を備え、
前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更する変更手段を備えてある。
[I]−1
作業車の一例である乗用型田植機では、例えば特許文献2の図8に示すように、前半の旋回(特許文献2の図8のL1)、直進走行(特許文献2の図8のL2)及び後半の旋回(特許文献2の図7のL3)を行うような旋回の場合、直進走行が長くなったり短くなったりしても、旋回開始前の機体の進行方向(特許文献2の図7及び図8のK1,K2参照)での旋回終了位置は、旋回開始前の機体の進行方向での旋回開始位置と略同じ位置であることが多い(例えば乗用型田植機では、旋回開始位置(特許文献2の図8の矢印K1の先端位置)と、旋回終了位置(特許文献2の図8の矢印L3の先端位置)とが、一致している)。旋回開始前の機体の進行方向での旋回開始位置及び旋回終了位置が略同じ位置である状態は、旋回において大回りで旋回したり前後進を繰り返したりしても同様であることが多い。
本発明の第1特徴によると、機体の走行距離のみにより旋回中の機体の位置を検出するのではなく、機体の走行距離と車輪の直進位置からの操向角度とを使用しており、機体の走行距離に対して車輪の直進位置からの操向角度を加味することによって、機体がどの方向にどれたけ進行したのかを検出することができる。
このように機体がどの方向にどれだけ進行したのかを検出することができれば、これに基づいて、旋回開始前(例えば図7のL01参照)の機体の進行方向(例えば図7の(+Y)(−Y)参照)での旋回中の機体の位置(例えば図8(b)のY1参照)を検出することができる。
本発明の第1特徴のように、機体の走行距離と車輪の直進位置からの操向角度とによって、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を検出する場合、機体の走行状態や作業地の状態等によって各部に誤差が発生することがある。
これにより、旋回終了位置の検出に基づいてアクチュエータにより作業装置を作業状態に操作する場合、旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了しないことが考えられる(アクチュエータが作動を開始してから作動を終了するまでに少し時間を要することによる)。例えば、旋回終了位置に達する前に、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了したり、旋回終了位置に達しても、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了していないことが考えられる。
本発明の第1特徴によると、作業車において旋回する場合、旋回開始位置、及び旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置の検出に基づいて、旋回終了位置を検出することにより、旋回終了位置を適切に検出することができ、旋回終了位置の検出に基づいて作業装置を適切に作業状態に操作することができるようになって、作業車の作業性能を向上させることができた。
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の作業車において次のように構成することにある。
前記機体の走行距離と車輪の直進位置からの操向角度とにより、機体の旋回半径と、機体の旋回中心に対して機体が移動した移動角度とを検出し、前記機体の旋回半径と移動角度とに基づいて三角関数により、前記旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を検出するように、前記機体位置検出手段を構成してある。
前項[I]−2に記載のように、機体の走行距離と車輪の直進位置からの操向角度とによって、機体がどの方向にどれたけ進行したのかを検出することができれば、例えば図8(a)(b)に示すように、機体の走行距離Gと車輪1の直進位置A1からの操向角度Aとによって、機体の旋回半径Rと、機体の旋回中心Cに対して機体が移動した移動角度θとを検出することができる(例えば、車輪1,2のホイルベースWや車輪1の直進位置A1からの操向角度A等に基づいて、機体の旋回中心C及び旋回半径Rを検出し、機体の旋回中心C及び旋回半径Rと機体の走行距離Gとに基づいて、移動角度θを検出する)。
本発明の第2特徴によると、機体の旋回半径と移動角度とを検出することにより、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を、三角関数により精度よく検出することができる(例えば図8(b)において、R*SIN(θ)によりY1を検出する)。
本発明の第2特徴によると、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を三角関数により精度よく検出することができて、旋回終了位置を精度よく検出することができるようになり、旋回終了位置の検出に基づいて作業装置を適切に作業状態に操作することができるようになって、作業車の作業性能を向上させることができた。
(構成)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1又は第2特徴の作業車において次のように構成することにある。
機体の走行速度を検出する走行速度検出手段を備え、
前記走行速度検出手段の検出に基づいて、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある。
前項[I]−3に記載のように、旋回終了位置の検出に基づいてアクチュエータにより作業装置を作業状態に操作する場合に、旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了しない状態として、以下のような状態が考えられる。
これにより、例えばアクチュエータの作動速度に対して機体の走行速度が速い場合、予想される旋回終了位置の検出に対して、少し前からアクチュエータの作動を開始することにより、予想される旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作を終了することができる。
本発明の第3特徴によると、機体の走行速度とアクチュエータの作動速度との関係に基づいて、旋回終了位置において作業装置を作業状態に適切に操作することができるようになり、作業車の作業性能を向上させることができた。
(構成)
本発明の第4特徴によると、本発明の第1又は第2特徴の作業車において次のように構成することにある。
作業地に対する車輪のスリップ率を検出するスリップ率検出手段を備え、
前記スリップ率検出手段の検出に基づいて、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある。
前項[I]−3に記載のように、旋回終了位置の検出に基づいてアクチュエータにより作業装置を作業状態に操作する場合に、旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了しない状態として、以下のような状態が考えられる。
これにより、旋回終了位置検出手段の検出に基づいてアクチュエータが作動する際に、作業地に対する車輪のスリップ率に基づいてアクチュエータの作動開始時期を早めたり遅らせたりすることにより、旋回終了位置検出手段の検出と適切な旋回終了位置とが少し外れていても、適切な旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作を終了することができる。
本発明の第4特徴によると、作業地に対する車輪のスリップ率に基づいて、適切な旋回終了位置において作業装置を作業状態に適切に操作することができるようになり、作業車の作業性能を向上させることができた。
(構成)
本発明の第5特徴によると、本発明の第1又は第2特徴の作業車において次のように構成することにある。
作業地の土の硬軟に基づいて、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある。
前項[I]−3に記載のように、旋回終了位置の検出に基づいてアクチュエータにより作業装置を作業状態に操作する場合に、旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了しない状態として、以下のような状態が考えられる。
これにより、旋回終了位置検出手段の検出に基づいてアクチュエータが作動する際に、作業地の土の硬軟に基づいてアクチュエータの作動開始時期を早めたり遅らせたりすることにより、旋回終了位置検出手段の検出と適切な旋回終了位置とが少し外れていても、適切な旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作を終了することができる。
本発明の第5特徴によると、作業地の土の硬軟に基づいて、適切な旋回終了位置において作業装置を作業状態に適切に操作することができるようになり、作業車の作業性能を向上させることができた。
(構成)
本発明の第6特徴によると、本発明の第1又は第2特徴の作業車において次のように構成することにある。
前記旋回開始位置からの機体の走行距離が事前に設定された設定距離を越えると、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある。
前記操向操作自在な車輪の操向状態を検出する操向状態検出手段を備え、
前記操向状態検出手段の検出に基づいて、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある。
前項[I]−3に記載のように、旋回終了位置の検出に基づいてアクチュエータにより作業装置を作業状態に操作する場合に、旋回終了位置において、アクチュエータによる作業装置の作業状態への操作が終了しない状態として、以下のような状態が考えられる。
これにより、旋回終了位置検出手段の検出に基づいてアクチュエータが作動する際に、機体の走行距離や車輪の操向状態に基づいて、アクチュエータの作動開始時期を早めたり遅らせたりする。
例えば旋回終了位置E3に到達していないのに、アクチュエータによる植付クラッチの伝動状態への操作が終了する場合(図9(b)の位置E31よりも紙面上側でアクチュエータによる植付クラッチの伝動状態への操作が終了する場合)、アクチュエータの作動開始時期を遅らせることにより、図9(b)に示す位置E31において、アクチュエータによる植付クラッチの伝動状態への操作を終了するようにすることができる。
本発明の第6及び第7特徴によると、機体の走行距離や車輪の操向状態に基づいて、作業装置を作業状態に適切に操作することができるようになり、作業車の作業性能を向上させることができた。
(構成)
本発明の第8特徴によると、本発明の第1〜第7特徴のうちのいずれか一つの作業車において次のように構成することある。
前記旋回開始位置検出手段の検出に基づいて、前記アクチュエータを非作業状態側に作動させる場合、前記操作手段によるアクチュエータの非作業状態側への作動終了を、前記旋回開始位置とするように、前記旋回開始位置検出手段の検出を補正する補正手段を備えてある。
前項[I]−2に記載のように、旋回開始位置を検出(特定)することにより、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置の検出に基づいて、旋回終了位置を検出する場合、作業行程と旋回開始との境界が曖昧なことがあり、旋回開始位置を検出(特定)し難いことがある。
本発明の第8特徴によると、旋回開始位置を明確なものにすることにより、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置の検出に基づいて、旋回開始位置から旋回終了位置を検出する場合、旋回終了位置の検出が精度良く行われるようになる。
本発明の第8特徴によると、アクチュエータによる作業装置の非作業状態への操作の終了を旋回開始位置とすることにより、旋回開始位置を明確なものにすることができて、旋回開始位置から旋回終了位置を精度良く検出することができるようになり、適切な旋回終了位置において作業装置を作業状態に適切に操作することができるようになって、作業車の作業性能を向上させることができた。
図1に示すように、右及び左の前輪1(車輪に相当)、右及び左の後輪2(車輪に相当)で支持された機体の後部にリンク機構3が昇降自在に支持されて、リンク機構3を昇降駆動する単動型の油圧シリンダ4が備えられており、リンク機構3の後部に苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されて、作業車の一例である乗用型田植機が構成されている。水田は一般に下方の硬い耕盤G1の上に泥や水の層が形成されて、泥や水の層の最上面が田面G2となっており、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2は耕盤G1に接地して走行する。
次に、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2への伝動系について説明する。
図2に示すように、エンジン31の動力が伝動ベルト32を介して静油圧式無段変速装置33及びミッションケース34に伝達され、ミッションケース34の内部の副変速装置(図示せず)から、前輪デフ機構(図示せず)及び前車軸ケース35の伝動軸(図示せず)を介して、右及び左の前輪1に伝達される。
次に、苗植付装置5及び繰り出し部15への伝動系について説明する。
図1及び図5に示すように、ミッションケース34において、副変速装置の直前から分岐した動力が、植付クラッチ26及びPTO軸25を介して苗植付装置5に伝達される。副変速装置の直前から分岐した動力が、施肥クラッチ27及び駆動ロッド30介して繰り出し部15に伝達されており、植付及び施肥クラッチ26,27を伝動及び遮断状態に操作する電動モータ28(アクチュエータに相当)が備えられている。
次に、苗植付装置5の自動昇降制御手段61について説明する。
図5に示すように、自動昇降制御手段61が制御装置23に備えられている。苗植付装置5の横軸芯P1周りに中央のフロート9の後部が上下に揺動自在に支持されて、苗植付装置5に対する中央のフロート9の高さを検出するポテンショメータ22が備えられており、ポテンショメータ22の検出値が制御装置23に入力されている。機体の進行に伴って中央のフロート9が田面G2に接地追従するのであり、ポテンショメータ22の検出値により苗植付装置5に対する中央のフロート9の高さを検出することによって、田面G2(中央のフロート9)から苗植付装置5までの高さを検出することができる。
次に、昇降レバー11について説明する。
図1及び図5に示すように、運転座席13の右横側に昇降レバー11が備えられ、昇降レバー11は自動位置、上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作自在に構成されており、昇降レバー11の操作位置が制御装置23に入力されている。機体に対するリンク機構3の上下角度を検出するポテンショメータ29が備えられて、ポテンショメータ29の検出値が制御装置23に入力されており、機体に対するリンク機構3の上下角度を検出することによって、機体に対する苗植付装置5の高さを検出することができる。
このように、昇降レバー11を上昇位置、中立位置及び下降位置に操作することによって、苗植付装置5を任意の高さに上昇及び下降させて停止させることができる。
次に、操作レバー12について説明する。
図1及び図5に示すように、操縦ハンドル20の下側の右横側に操作レバー12が備えられ、操作レバー12が右の横外方に延出されている。操作レバー12は中立位置Nから上方の上昇位置U、下方の下降位置D、後方の右マーカー位置R及び前方の左マーカー位置Lの十字方向に操作自在に構成されて、中立位置Nに付勢されており、操作レバー12の操作位置が制御装置23に入力されている。
図5に示すように、操作レバー12を上昇位置Uに操作すると(上昇位置Uに操作して中立位置Nに操作すると)、植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態に操作されて、自動昇降制御手段61が停止し、油圧シリンダ4が収縮作動して苗植付装置5が上昇し、後述するように右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作される。苗植付装置5が上限位置に達したことがポテンショメータ29により検出されると、油圧シリンダ4が自動的に停止する。
前述のように、操作レバー12を下降位置Dに操作した後(下降位置Dに操作して中立位置Nに操作した後)、操作レバー12を再び下降位置Dに操作すると、自動昇降制御手段61が作動した状態で、植付及び施肥クラッチ26,27が伝動状態に操作される。
右(左)のマーカー19が格納姿勢に操作された状態において、操作レバー12を右マーカー位置R(左マーカー位置L)に第1設定時間(比較的短い時間)以上に亘って操作すると、右(左)のマーカー19が作用姿勢に操作される。
右(左)のマーカー19が作用姿勢に操作された状態において、操作レバー12を右マーカー位置R(左マーカー位置L)に第2設定時間(第1設定時間よりも長い時間)以上に亘って操作すると、右(左)のマーカー19が格納姿勢に操作される。
次に、畦際での旋回時の制御に関する構造について説明する。
図1及び図2に示すように、ミッションケース34の後部と機体フレーム66とに亘って補強用の右及び左のフレーム49が連結されており、図2,3,4に示すように、左のフレーム49の機体内方側にブラケット46が固定されて、ブラケット46にボス部62が固定されている。ボス部62の上部にポテンショメータ47(操向角度検出手段に相当)が固定されて、ポテンショメータ47に接続された回転自在な検出軸47bが、ボス部62を通って下方に延出されており、検出軸47bの下部に検出アーム47aが固定されている。操向部材41とポテンショメータ47の検出アーム47aとに亘って、連係ロッド48が前車軸ケース35の下側を通って接続されている。
次に、1回の植付行程L01及び前半の旋回行程L1(旋回開始位置検出手段52、操作手段57及び補正手段54の作動)について、図6及び図7に基づいて説明する。
機体が畦際(畦B)に達して1回の植付行程L01(苗植付装置5の下降状態で自動昇降制御手段61の作動状態、植付及び施肥クラッチ26,27の伝動状態、右及び左のサイドクラッチ40の伝動状態)が終了する場合、前回の植付行程での旋回終了位置(図7のE1の紙面左隣の位置)に達すると、運転者は操作レバー12を上昇位置Uに操作する(上昇位置Uに操作して中立位置Nに操作する)(ステップS1)。
次に、前項[8]に記載の補正手段54による旋回開始位置E1の補正について説明する。
施肥クラッチ27が遮断状態に操作されると、繰り出し部15が直ちに停止して、旋回開始位置E1と繰り出し部15の停止とが一致するので、施肥クラッチ27を基準とすれば、操作レバー12が上昇位置Uに操作されたことにより旋回開始位置E1を検出(設定)しても問題はない。
変速レバー45を後進側に操作すると、静油圧式無段変速装置33から苗植付装置5及び繰り出し部15に後進(逆向き)の動力が伝達されることになるが、前進の動力を伝達し後進の動力を遮断する一方向クラッチ(図示せず)が備えられているので、変速レバー45を後進側に操作しても、後進の動力が一方向クラッチで遮断されて、苗植付装置5(回転ケース7、植付アーム8)及び繰り出し部15が直ちに停止する。これにより、旋回開始位置E1と、変速レバー45の後進側への操作(苗植付装置5(回転ケース7、植付アーム8)及び繰り出し部15の停止)とが一致する。
従って、前述のような状態になると、植付クラッチ26が遮断状態に操作されてからでも、植付アーム8による苗の一株程度の植え付けが行われることがある。
次に、前半の旋回行程L1(機体位置検出手段51の作動)について、図6及び図7に基づいて説明する。
運転者は、前項[8]に記載のように、操作レバー12を上昇位置Uに操作すると略同時に、操縦ハンドル20を操作して右及び左の前輪1(操向部材41)を旋回方向に操向操作して、前半の旋回行程L1に入る。右及び左の前輪1(操向部材41)が右(左)の設定角度A2を越えて右(左)の操向限度A3側に操向操作されると(ステップS6)、前項[2]に記載のように、旋回外側のサイドクラッチ40が伝動状態に維持された状態で、旋回中心側のサイドクラッチ40が遮断状態に操作される(ステップS7)。
式1:Y1=R*SIN(θ)
R:機体の旋回半径
θ:旋回開始位置E1からの機体の移動角度
次に、前半の旋回行程L1(機体の旋回角度F1)について、図6及び図7に基づいて説明する。
ステップS101において旋回開始位置E1の検出(設定)及び補正が行われると、旋回開始位置E1から旋回外側の回転数センサー50のパルス(旋回外側の後輪2の回転数)が検出(積算)され、この値と右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aとに基づいて、機体の旋回角度F1が「0」から検出(積算)される(ステップS105,S106)。
次に、後半の旋回行程L2(機体位置検出手段51の作動)について、図6及び図7に基づいて説明する。
機体の旋回角度F1が90度(境界位置E2)を越えると、機体が後半の旋回行程L2に入ったと判断される。前半の旋回行程L1における機体の向きに対して、後半の旋回行程L2の向きは逆向きになるので、植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1が、旋回開始位置E1(旋回終了位置E3)に接近していく状態となる。
次に、後半の旋回行程L2(旋回終了位置検出手段52、走行速度検出手段56及び操作手段57の作動)について、図6及び図7に基づいて説明する。
右及び左の前輪1(操向部材41)が右(左)の設定角度A2を越えて直進位置A1側に操作されて(ステップS9)、旋回中心側のサイドクラッチ40が伝動状態に操作されると(ステップS10)、これと同時に、植付及び施肥クラッチ26,27の遮断状態を維持して、苗植付装置5が自動的に下降する(ステップS11)。
このように、どれだけの時間の経過後に旋回終了位置E3に到達するかが予測されると(ステップS14)、前述の操作時間の時間分だけ前の位置が、変更手段55により開始位置E4として設定される(ステップS15)。
前述の[発明を実施するための形態]において、図5に示すように、スリップ率検出手段58を備えることによって、変更手段55が以下のように作動するように構成してもよい。
旋回外側(サイドクラッチ40の伝動状態)の後輪2の駆動力と、耕盤G1の摩擦係数との関係によって、旋回外側(サイドクラッチ40の伝動状態)の後輪2にスリップが発生したり発生しなかったりすると考えられる。旋回中心側(サイドクラッチ40の遮断状態)の後輪2に動力が伝達されず、旋回中心側(サイドクラッチ40の遮断状態)の後輪2が自由回転する状態であれば、旋回中心側(サイドクラッチ40の遮断状態)の後輪2を回転させるのは、耕盤G1の摩擦係数に基づく耕盤G1からの抵抗であるので、旋回中心側(サイドクラッチ40の遮断状態)の後輪2にスリップは殆ど発生しないと考えられる。
例えば右及び左の後輪2のスリップ率が非常に大きい場合、実際には旋回終了位置E3に到達していないのに、植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1が旋回終了位置E3に到達してしまうことがあるので、この場合には旋回終了位置検出手段53が旋回終了位置E3を検出する位置よりも、開始位置E4を次の植付行程L02側に移動させる。
以上のように、変更手段55は走行速度検出手段56とスリップ率検出手段58とに基づいて作動することになる。
(1)運転者が手動でダイヤルスイッチ(図示せず)を操作することにより、右及び左の後輪2のスリップ率を設定する。
(2)GPSにより実際の機体の走行距離を検出し、実際の機体の走行距離と右又は左の回転数センサー50のパルス(回転数)とを比較して、右及び左の後輪2のスリップ率を検出する。
(3)右及び左の後輪2のスリップ率が「0」の状態での苗の株間を事前に求めておく。植付行程L01,L02において、苗植付装置5により田面G2に植え付けられた苗の株間を撮影して、実際の苗の株間と、右及び左の後輪2のスリップ率が「0」の状態での苗の株間とを比較することにより、右及び左の後輪2のスリップ率を検出する。
前述の[発明を実施するための形態]において、変更手段55が以下のように作動するように構成してもよい。
前述の[発明を実施するための形態]において、変更手段55が以下のように作動するように構成してもよい。
前述の[発明を実施するための形態]において、変更手段55が以下のように作動するように構成してもよい。
前述の[発明を実施するための形態][発明を実施するための第1別形態]〜[発明を実施するための第4別形態]において、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが変化するごとに、機体の旋回中心C及び旋回半径R、機体の走行距離G、機体の移動角度θの検出、式1による植付行程L01,L02の機体の進行方向(+Y)(−Y)での機体の位置Y1の検出を行うのではなく、これに代えて以下のように構成してもよい。
例えば0度〜10度の領域において、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが5度の場合の機体の旋回半径R(図8(a)参照)を、0度〜10度の領域の一つの機体の旋回半径Rとして設定する。
前述の[発明を実施するための第5別形態]に代えて以下のように構成してもよい。
図7に示す前半の旋回行程L1(後半の旋回行程L2)において、10度(所定の角度範囲に相当)の範囲を備えた9個の領域(0度〜10度の領域、10度〜20度の領域、20度〜30度の領域、30度〜40度の領域、40度〜50度の領域、50度〜60度の領域、60度〜70度の領域、70度〜80度の領域、80度〜90度の領域)に分けて、9個の領域の各々に一つの機体の旋回半径R(領域の最大の角度に対応する機体の旋回半径R)を設定する。
例えば0度〜10度の領域において、右及び左の前輪1(操向部材41)の直進位置A1からの操向角度Aが10度の場合の機体の旋回半径R(図8(a)(b)参照)を、0度〜10度の領域の一つの機体の旋回半径Rとして設定する。
2 車輪
5,15 作業装置
28 アクチュエータ
47 操向角度検出手段
50 走行距離検出手段
51 機体位置検出手段
52 旋回開始位置検出手段
53 旋回終了位置検出手段
54 補正手段
55 変更手段
56 走行速度検出手段
57 操作手段
58 スリップ率検出手段
59 操向状態検出手段
A 操向自在な車輪の直進位置からの操向角度
A1 直進位置
A2 設定角度
C 機体の旋回中心
E1 旋回開始位置
E3 旋回終了位置
G 機体の走行距離
L01,L02 作業行程
R 機体の旋回半径
V 機体の走行速度
+Y,−Y 旋回開始前の機体の進行方向
Y1 旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置
θ 機体の移動角度
Claims (8)
- 機体に備えられた作業装置を作業状態及び非作業状態に操作するアクチュエータと、機体の走行距離を検出する走行距離検出手段と、操向操作自在な車輪の直進位置からの操向角度を検出する操向角度検出手段とを備え、
作業行程からの旋回開始に基づいて、機体の旋回開始位置を検出する旋回開始位置検出手段と、
前記旋回開始位置検出手段の検出に基づいて、前記走行距離検出手段及び操向角度検出手段により、旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を検出する機体位置検出手段と、
前記機体位置検出手段の検出に基づいて、機体の旋回終了位置を検出する旋回終了位置検出手段とを備えて、
前記旋回開始位置検出手段の検出に基づいて、前記アクチュエータを非作業状態側に作動させ、前記旋回終了位置検出手段の検出に基づいて、前記アクチュエータを作業状態側に作動させる操作手段を備え、
前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更する変更手段を備えてある作業車。 - 前記機体の走行距離と車輪の直進位置からの操向角度とにより、機体の旋回半径と、機体の旋回中心に対して機体が移動した移動角度とを検出し、前記機体の旋回半径と移動角度とに基づいて三角関数により、前記旋回開始前の機体の進行方向での旋回中の機体の位置を検出するように、前記機体位置検出手段を構成してある請求項1に記載の作業車。
- 機体の走行速度を検出する走行速度検出手段を備え、
前記走行速度検出手段の検出に基づいて、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある請求項1又は2に記載の作業車。 - 作業地に対する車輪のスリップ率を検出するスリップ率検出手段を備え、
前記スリップ率検出手段の検出に基づいて、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある請求項1又は2に記載の作業車。 - 作業地の土の硬軟に基づいて、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある請求項1又は2に記載の作業車。
- 前記旋回開始位置からの機体の走行距離が事前に設定された設定距離を越えると、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある請求項1又は2に記載の作業車。
- 前記操向操作自在な車輪の操向状態を検出する操向状態検出手段を備え、
前記操向状態検出手段の検出に基づいて、前記操作手段によるアクチュエータの作業状態側への作動開始時期を変更するように、前記変更手段を構成してある請求項1又は2に記載の作業車。 - 前記旋回開始位置検出手段の検出に基づいて、前記アクチュエータを非作業状態側に作動させる場合、前記操作手段によるアクチュエータの非作業状態側への作動終了を、前記旋回開始位置とするように、前記旋回開始位置検出手段の検出を補正する補正手段を備えてある請求項1〜7のうちのいずれか一つに記載の作業車。
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