JP2010193280A - カーテシアンループを用いた無線送信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】カーテシアンループを開の状態から閉じた状態にするときに送信電力が所定値に達するまでの過渡応答時間を短縮する。
【解決手段】カーテシアンループが開でかつ所望の送信電力が設定された状態の下で、振幅及び位相の誤差を最小化するような制御信号を生成して記憶しておき、これを送信時にロードして設定することにより、カーテシアンループが開のときと閉のときの送信電力の差を小さくして、カーテシアンループを開の状態から閉じた状態にしたときの送信電力の過渡応答時間を短縮する。また、変調信号である入力I/Q信号を用いながらも振幅の影響を受けないキャリブレーションを行うために、位相差検出信号を信号振幅が大きい場合にのみ出力することで振幅について規格化を行うことにより、振幅の影響のない位相差検出を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カーテシアンループを用いた無線送信装置に関する。
携帯無線機のような無線通信装置では、送信側において送信RF(radio frequency)信号をアンテナから放射させるために電力増幅器によって送信RF信号が増幅される。電力増幅器は、送信RF信号が無線システムの規格により決められたスペクトルマスク内に入るような線形性が保つことが要求される。また、例えば無線システムの規格で規定されているパラメータの一つである隣接チャネル漏洩電力は、主に電力増幅器の奇数次歪により生じるので、奇数次歪を小さくすることも望まれる。
奇数次歪などを小さくして電力増幅器の線形性を改善するために、例えばカーテシアンループ(Cartesian loop)が用いられる。カーテシアンループは、送信RF信号の電力の一部を直交復調器により復調してベースバンドのI/Q信号に戻してから、送信部の直交変調器の入力にフィードバックする帰還パスを含む帰還ループである。
より詳しくは、電力増幅器から出力される送信RF信号の電力の一部は、カーテシアンループの帰還パスに導かれ、可変減衰器及び低雑音増幅器を介して直交復調器に入力される。直交復調器により得られた帰還I/Q信号は、入力I/Q信号と合成(加算または減算)される。合成後のI/Q信号は、ベースバンド増幅器を介して直交変調器に入力される。直交変調器から直交復調器までの利得が1より十分大きいと、直交変調器の入力端から電力増幅器の出力端までの利得はカーテシアンループの帰還パスの減衰量で決まり、また送信RF信号の線形性は帰還パスの線形性に依存する。従って、帰還パスの線形性を高くする必要がある。
一方、携帯無線機では内蔵のバッテリを電源として動作するため、バッテリの消耗を少なくして通信時間を長くするためにICの低消費電力化技術が必須である。携帯無線機においては、送信部の電力増幅器の消費電力が最も大きい。携帯無線機に用いられる無線部の集積化が進み、最近では低周波部から高周波部までを低コスト化に適したCMOS(complementary metal-oxide semiconductor)技術により製造できるようになってきた。一般に電力増幅器はCMOS構造にすると低コスト化が可能な反面、効率が劣化する。カーテシアンループは、上述したように無線部の高線形化技術であるが、見方を変えれば電力増幅器の高効率化を図る技術と考えてもよい。従って、CMOS構造の無線部にカーテシアンループを適用することで、電力増幅部または無線部の効率を向上させることができる。
カーテシアンループは帰還回路をもつため、動作の安定性をいかに確保するかが重要である。カーテシアンループの安定性を確保するため、特許文献1ではカーテシアンループが開の状態で帰還I/Q信号の位相を検出し、帰還I/Q信号と入力I/Q信号間の位相差に応じて、帰還パス内の直交復調器に供給されるローカル信号の位相を制御する手法が提案されている。しかしながら、特許文献1では送信RF信号の電力(送信電力)を可変にすることを想定していない。
カーテシアンループを用いると、送信RF信号の高出力時には帰還回路の消費電力を考慮しても送信装置全体の消費電力を下げることが可能である。一方、送信RF信号の低出力時には、電力増幅器及びこれを駆動するドライバ増幅器の線形性は高いので、カーテシアンループによる高線形化の必要はない。低出力時でもカーテシアンループが働いていると、帰還回路の消費電力により効率が下がってしまう。従って、近年の無線システムで使われる送信電力制御を効率よく行うには、低消費電力化の観点からカーテシアンループを送信電力に応じて開閉することが望ましい。
特開平10−136048号公報
カーテシアンループを送信電力に応じて開閉すると、ループを閉じてから送信電力が所定値に達するまでの過渡応答時間が大きくなる。例えば、ループを閉じる前の入力I/Q信号の平均出力が100mVに設定されていた場合、帰還I/Q信号の平均出力が1000mVになるように帰還回路内の可変減衰器の利得が設定されていたとすると、ループを閉じたときの送信出力はループが開のときの送信電力と異なるため、ループを閉じてから送信電力が収束する時間は長くなる。ループを閉じてから帰還パス内の可変減衰器の利得を制御して送信電力を設定する操作を行うと、送信電力の収束時間はさらに長くなる。特許文献1では送信電力制御の概念がなく、従ってカーテシアンループの開閉時における送信電力の収束時間を短くする手法は開示されていない。
本発明は、カーテシアンループを開の状態から閉じた状態にするときに送信電力が所定値に達するまでの過渡応答時間を短縮することを目的とする。
本発明の一観点によると、送信すべき入力I/Q信号と帰還I/Q信号とを合成して合成I/Q信号を生成する合成器と;前記合成I/Q信号を直交変調して直交変調信号を生成する直交変調器と;前記直交変調信号を増幅して送信RF信号を出力する電力増幅器と;前記送信RF信号から分岐されたフィードバックRF信号に対しローカル信号を用いて直交復調を行って前記帰還I/Q信号を生成する直交復調器と;前記合成器への前記帰還I/Q信号の入力をオン/オフするためのスイッチと;前記送信RF信号の電力を設定可能な電力設定部と;前記スイッチがオフの期間に、前記入力I/Q信号と前記帰還I/Q信号との間の振幅差を検出して振幅差検出信号を生成する振幅差検出器と;前記スイッチがオフの期間に、前記入力I/Q信号と前記帰還I/Q信号との間の位相差を検出して位相差検出信号を生成する位相差検出器と;前記位相差検出信号を前記信号振幅で規格化して規格化位相差信号を生成するために、前記入力I/Q信号及び前記帰還I/Q信号のいずれかの信号振幅が基準値より大きい期間は前記位相差検出信号の現在の値を用いて前記規格化を行い、前記信号振幅が前記基準値より小さくなると前記位相差検出信号の前記信号振幅が前記基準値より小さくなる前の値を用いて前記規格化を行う規格化器と;前記振幅差検出信号及び前記規格化位相差信号を受け、前記スイッチがオフの期間に、前記電力が設定された状態の下で前記振幅差を最小化する振幅制御信号及び前記位相差を最小化する位相制御信号を生成する制御信号生成器と;前記スイッチがオフの期間に、前記電力が設定された状態の下で、前記振幅差を最小化する少なくとも一つの振幅制御信号、及び前記位相差を最小化する少なくとも一つの位相制御信号を生成するように構成される制御信号生成器と;前記振幅制御信号及び前記位相制御信号を記憶するメモリと;前記スイッチがオンの期間に、前記メモリに記憶されている振幅制御信号に従って前記フィードバックRF信号の振幅を調整する振幅調整器と;前記スイッチがオンの期間に、前記メモリに記憶されている位相制御信号に従って前記ローカル信号の位相を調整する位相調整器;及びカーテシアンループに対して、前記スイッチがオフのとき第1のループ利得を設定し、前記スイッチがオフからオンに転じたとき前記第1のループ利得より高い第2のループ利得を設定する利得設定部を具備する、カーテシアンループを用いた無線送信装置を提供する。
本発明の他の観点によると、送信すべき入力I/Q信号と帰還I/Q信号とを合成して合成I/Q信号を生成する合成器と;前記合成I/Q信号を直交変調して直交変調信号を生成する直交変調器と;前記直交変調信号を増幅して送信RF信号を出力する電力増幅器と;前記送信RF信号から分岐されたフィードバックRF信号に対しローカル信号を用いて直交復調を行って前記帰還I/Q信号を生成する直交復調器と;前記合成器への前記帰還I/Q信号の入力をオン/オフするためのスイッチと;前記送信RF信号の電力を設定可能な電力設定部と;前記スイッチがオフの期間に、前記入力I/Q信号と前記帰還I/Q信号との間の振幅差を検出して振幅差検出信号を生成する振幅差検出器と;前記スイッチがオフの期間に、前記入力I/Q信号と前記帰還I/Q信号との間の位相差を検出して位相差検出信号を生成する位相差検出器と;前記位相差検出信号を前記信号振幅で規格化して規格化位相差信号を生成するために、前記信号振幅に従って遮断周波数が変化するように構成された低域通過フィルタを含み、該低域通過フィルタによって前記位相差検出信号をフィルタリングして前記規格化位相差信号を生成する規格化器と;前記振幅差検出信号及び前記規格化位相差信号を受け、前記スイッチがオフの期間に、前記電力が設定された状態の下で前記振幅差を最小化する振幅制御信号及び前記位相差を最小化する位相制御信号を生成する制御信号生成器と;前記スイッチがオフの期間に、前記電力が設定された状態の下で、前記振幅差を最小化する少なくとも一つの振幅制御信号、及び前記位相差を最小化する少なくとも一つの位相制御信号を生成するように構成される制御信号生成器と;前記振幅制御信号及び前記位相制御信号を記憶するメモリと;前記スイッチがオンの期間に、前記メモリに記憶されている振幅制御信号に従って前記フィードバックRF信号の振幅を調整する振幅調整器と;前記スイッチがオンの期間に、前記メモリに記憶されている位相制御信号に従って前記ローカル信号の位相を調整する位相調整器;及びカーテシアンループに対して、前記スイッチがオフのとき第1のループ利得を設定し、前記スイッチがオフからオンに転じたとき前記第1のループ利得より高い第2のループ利得を設定する利得設定部を具備する、カーテシアンループを用いた無線送信装置を提供する。
本発明によれば、特にカーテシアンループを開の状態から閉の状態にしたときの送信電力の過渡応答時間を短縮することができる。従って、送信電力制御が必要となる無線通信システムにおいても、送信電力に応じてカーテシアンループを開閉することができるので、低消費電力化が図られる。また、高精度に位相差信号を抽出できるため、平均化に必要な時間が低減でき、高速な位相差キャリブレーションが可能となる。
本発明の一実施形態に従う無線送信装置を示すブロック図 電力増幅器の出力の終端法の他の例を示す図 コントローラの機能を説明する図 コントローラの具体例を示すブロック図 入力I/Q信号と帰還I/Q信号との関係を示す図 コントローラの他の具体例を示すブロック図 キャリブレーションモードの処理手順を示すフローチャート 送信モードの処理手順を示すフローチャート カーテシアンループについて説明するための帰還系システムを示す略図 カーテシアンループを閉じたときの過渡応答及びカーテシアンループをとじたまま送信電力を変えたときの過渡応答を示す図 起動時キャリブレーションモードの処理手順を示すフローチャート 起動時キャリブレーションモード後の送信モードの処理手順を示すフローチャート 本発明の他の実施形態に従うアナログフィードバックを用いた無線送信装置の一部を示すブロック図 可変減衰器の具体例を示す回路図 プロセスばらつき補償付きインタフェースを示す回路図 直交復調器のためのローカル信号供給経路を示す回路図 移相器の具体例を示す回路図 移相器の他の具体例を示す回路図 振幅/位相検出回路を示す回路図 差分検出回路の回路図 極性反転スイッチ及びベースバンド増幅器の具体例を示す回路図 極性反転スイッチ及びベースバンド増幅器の他の具体例を示す回路図 位相比較器の一部の詳細を示すブロック図 位相比較器に含まれる振幅規格化器の第1の例を示すブロック図 図24中の除算器の具体例を示す回路図 位相比較器に含まれる振幅規格化器の第2の例を示すブロック図 位相比較器に含まれる振幅規格化器の第3の例を示すブロック図 位相比較器に含まれる振幅規格化器の第4の例を示すブロック図 位相比較器に含まれる振幅規格化器の第5の例を示すブロック図
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1を参照して本発明の一実施形態に従う無線送信装置について説明する。図1において、入力端子11,12には図示しないベースバンド処理部あるいはコントローラ40からの送信すべき変調された入力I/Q信号I,Qが入力される。入力I/Q信号I,Qは、合成器13,14によって後述する帰還I/Q信号FI,FQと合成(加算または減算)され、合成I/Q信号が生成される。合成I/Q信号は、ベースバンド増幅器15により増幅されることによって、直交変調器16に入力される。ベースバンド増幅器15は、好ましくは可変利得増幅器が用いられ、さらに必要に応じて無線送信装置の安定性を確保するためのフィルタ機能も含まれる。
直交変調器16は、ミキサ17,18とローカル発振器20からの周波数fLOの原ローカル信号を位相シフトして直交ローカル信号、すなわち90°異なる位相の二つのローカル信号を生成する90°移相器19を有する。ミキサ17,18ではベースバンド増幅器15からの合成I/Q信号の各々と直交ローカル信号の各々とが乗算される。直交変調器16では、さらにミキサ17,18の出力信号が加算されることによって、直交変調信号が生成される。
直交変調器16から出力される直交変調信号は、可変減衰器21及びドライバ増幅器22を介して電力増幅器23に入力され、電力増幅器23により所要電力レベルまで増幅されることによって送信RF信号が生成される。送信RF信号は電力分岐器である電力カップラ24を介してアンテナ25に供給され、アンテナ25から空間へ放射される。以下、送信RF信号の電力を送信電力という。
電力増幅器23の出力端子は、アンテナスイッチ26によって終端素子、この例では抵抗Rを介して適宜終端される。終端素子として抵抗Rに代えて他の線形素子を用いることも可能である。なお、図1では電力増幅器23の出力端子を無線機のグラウンドGNDに抵抗Rを介して終端しているが、図2に示すように電力増幅器23の出力端子にアイソレータ37が接続される場合、アイソレータ37の出力端子を抵抗Rなどで終端することもできる。以降、簡単のため図1に示したように電力増幅器23の出力端子を終端する場合を例にとり説明する。
電力カプラ24では送信電力の一部が分岐され、帰還RF信号が生成される。帰還RF信号は、可変減衰器27及び低雑音増幅器28を介して直交復調器30に入力される。可変減衰器27は、帰還RF信号の振幅を調整するための振幅調整器として用いられる。
直交復調器30は、ミキサ31,32とローカル発振器20から可変移相器29を介して供給される周波数fLO1の原ローカル信号を位相シフトして直交ローカル信号、すなわち90°異なる位相の二つのローカル信号を生成する90°移相器33を有する。可変移相器29は、直交ローカル信号の位相を調整するための位相調整器として用いられる。ミキサ31,32では、入力される帰還RF信号と直交ローカル信号の各々とが乗算されることによって、帰還I/Q信号FI,FQが生成される。
帰還I/Q信号FI,FQは、極性反転機能を有するスイッチ34を介して合成器13,14に帰還される。カーテシアンループは、電力カプラ24〜可変減衰器27〜低雑音増幅器28〜位相復調器30〜合成器13及び14による帰還パスと合成器13及び14〜ベースバンド増幅器15〜直交変調器16〜・・・〜電力増幅器23による送信パスとを含む帰還ループで構成される。スイッチ34は、このカーテシアンループの開閉、具体的には合成器13,14への帰還I/Q信号FI,FQの入力をオン/オフするために設けられている。スイッチ34がオンであれば、カーテシアンループは閉となり、スイッチ34がオフであればカーテシアンループは開となる。
さらに、帰還I/Q信FI,FQと入力I/Q信号I,Qとの間の振幅差を検出する振幅差検出器35と、帰還I/Q信FI,FQと入力I/Q信号I,Qとの位相比較を行って位相差を検出する位相比較器36が設けられる。振幅差検出器35からは帰還I/Q信FI,FQと入力I/Q信号I,Qとの間の振幅差を表す振幅差検出信号VDAが出力され、位相比較器36からは帰還I/Q信FI,FQと入力I/Q信号I,Qとの間の位相差を主として表す位相差検出信号VDθが出力される。なお、後述する規格化位相差信号CPHSと区別するため、VDθを複合位相差検出信号と呼ぶことにする。
振幅差検出器35及び位相比較器36については、後に詳しく説明する。また、位相比較器36は後述するように位相差検出器と振幅規格化器及びリミッタからなる。
キャリブレーションを行う場合、スイッチ34をオフ、すなわちカーテシアンループを開とする。以下、スイッチ34がオフの状態をキャリブレーションモードと称する。信号を送信する場合は、スイッチ34をオン、すなわちカーテシアンループを閉とする。これにより、カーテシアンループによる帰還が施される。この状態を送信モードと称する。コントローラ40は、例えば図3に示すように主としてカーテシアンループの制御を司るように構成される。図2では、図1中に示した種々の制御信号がコントローラ40から出力されることが示されている。
すなわち、コントローラ40からは可変減衰器27への振幅制御信号VAと、可変移相器29への位相制御信号Vθと、可変移相器29、スイッチ34、振幅差検出器35及び位相比較器36への極性切替信号p/mが出力される。振幅差検出器35からの振幅差検出信号VDA及び位相比較器36からの複合位相差検出信号VDθは、コントローラ40に入力される。さらに、コントローラ40からは入力I/Q信号I,Q及びアンテナスイッチ26への制御信号ASも出力される。なお、コントローラ40からの制御により入力I/Q信号I,Qとして用いられる信号の種類が制御できるのであれば、必ずしもコントローラ40からI,Qが出力されなくとも差し支えない。
(コントローラ40の具体例その1)
図4は、コントローラ40の具体例であり、制御信号生成器41、デジタル−アナログ変換器(DAC)42、アナログ−デジタル変換器(ADC)43及びメモリ44を有する。制御信号生成器41によって生成されるデジタル値の制御信号がDAC42によりアナログ信号に変換されることにより、振幅制御信号VA及び位相制御信号Vθが生成される。振幅制御信号VAは可変減衰器27に供給され、位相制御信号Vθは可変移相器29に供給される。
一方、振幅差検出器35からの振幅差検出信号VDA及び位相比較器36からの複合位相差検出信号VDθはADC43に取り込まれ、アナログ信号からデジタル値に変換される。メモリ44は、制御信号生成器41及びADC43に接続され、ADC43によりデジタル値に変換された振幅差検出信号及び複合位相差検出信号を記憶したり、記憶した振幅差検出信号及び複合位相差検出信号を制御信号生成器41に出力したりするために用いられる。
(コントローラ40の具体例その2)
コントローラ40の他の具体例によると、図5に示されるようにADC43が除去され、代わりに振幅差検出器35及び位相比較器36にADC43が内蔵されている。ここではADC43は、振幅差検出器35及び位相比較器36で共有されているが、振幅差検出器35及び位相比較器36にそれぞれ内蔵されていても構わない。図5の例によると、振幅差検出器35及び位相比較器36からデジタル値の振幅差検出信号及び複合位相差検出信号が出力され、メモリ44に直接取り込まれる。
図4及び図5では示されていないが、コントローラ40にはさらに図1中に示したようにキャリブレーションモードと送信モードを選択的に設定するモード設定部45、ループ利得設定部46及び送信電力設定部47が設けられる。
本実施形態では、カーテシアンループの開閉による応答時間を短くするために、帰還を施す前と後の各部の信号振幅の差をできるだけ小さくすることを目指す。すなわち、カーテシアンループによる帰還をかけた後の信号振幅を推定し、カーテシアンループを閉じて帰還をかける前にその信号振幅を設定することを目指す。このような処理を達成するために、以下の手順でカーテシアンループによる帰還をかける前に振幅及び位相を調整する。
(キャリブレーションモード)
以下、図6を用いてキャリブレーションモードにおける処理手順について説明する。図6の手順は、コントローラ40によって制御される。
キャリブレーションモードを開始すると、スイッチ34がオフされることによりカーテシアンループが開とされる(ステップS101)。このときアンテナ25から送信RF信号が出力されないように、アンテナスイッチ26を用いて電力増幅器23の出力端子またはアイソレータ37の出力端子が抵抗Rによって終端される。アンテナスイッチ26には、電力増幅器23の出力端子またはアイソレータ37の出力端子を終端させるか否かを制御する制御信号ASがコントローラ40から供給される。
コントローラ40では、電力設定部45によって設定された所望の送信電力(Piとする)が認識されている。コントローラ40によってカーテシアンループが開の状態において送信用可変減衰器21の減衰量がPiに応じて設定されることにより、所望の送信電力Piが設定される(ステップS102)。このとき送信電力が最大出力であれば送信RF信号は歪むが、キャリブレーションモードでは歪が大きくとも特に問題はない。
送信RF信号の電力の一部である帰還RF信号は電力カプラ24、可変減衰器27及び低雑音増幅器28を介して直交復調器30に入力され、帰還I/Q信号FI,FQが生成される。振幅差検出器35によって帰還I/Q信号FI,FQと入力I/Q信号I,Qとの振幅差ΔAが検出され、この振幅差ΔAが最小となるようにコントローラ40により可変減衰器27への振幅制御信号VAが設定される。
ここで、入力I/Q信号I,Qの振幅はI2+Q2の根で定義され、帰還I/Q信号FI,FQの振幅はFI2+FQ2の根で定義される。ここでは、簡単のため入力I/Q信号I,Qの振幅はI2+Q2、帰還I/Q信号FI,FQの振幅はFI2+FQ2とする。
帰還I/Q信号FI,FQの振幅と入力I/Q信号I,Qの振幅を等しくするようにするため、振幅差検出器35から出力される振幅差検出信号VDAが0に近づくように、コントローラ40によって可変減衰器27の減衰量が制御される。ここで、VDAは以下の式(1)で表される。
Figure 2010193280
式(1)の右辺を定数倍して振幅差検出信号VDAを算出してもよい。式(1)は、右辺に乗じる定数が1の場合である。
図4及び図5に示したように、コントローラ40から可変減衰器27に供給される振幅制御信号VAがDAC42により発生されるアナログ信号である場合、振幅制御信号VAの生成時に制御信号生成器41からDAC42に入力されるデジタル値は、逐次的に増加または減少される。これにより単調増加または単調減少する振幅制御信号VA(これを振幅キャリブレーション制御信号という)が生成され、この振幅キャリブレーション制御信号によって帰還RF信号の振幅が調整される(ステップS103)。これに伴い、振幅差検出器35により帰還I/Q信号と入力I/Q信号との振幅差が検出され、振幅差検出信号VDAが出力される。振幅差検出信号VDAの零クロスポイントに最も近い、すなわちVDAが正から負もしくは負から正に切り替わるときの振幅キャリブレーション制御信号は、所望の振幅調整量を与える。これにより送信RF信号の振幅と帰還RF信号の振幅がほぼ等しくなる。言い換えれば、後述するループ利得はほぼ1となる。振幅差検出信号VDAの零クロスポイントに最も近い振幅キャリブレーション制御信号は、帰還I/Q信号と入力I/Q信号との振幅差を最小化する振幅制御信号VAとして用いられる。
こうして生成される振幅制御信号VAは、ADC43によりデジタル値に変換され、次の位相調整時及び後の送信モードで用いるために、メモリ44に記憶される(ステップS104)。メモリ44に記憶されたデジタル値は、次の位相調整時に読み出され、制御信号生成器41及びDAC42を経て可変減衰器27に設定される。
ステップS104で振幅制御信号VAがメモリ42に記憶された後、位相比較器36によって検出される位相差θに基づきコントローラ40から出力される位相制御信号Vθによって可変移相器29が制御される。これにより直交復調器30に供給されるローカル信号の位相、言い換えれば帰還I/Q信号の位相が調整される(ステップS105)。
図7は、I−Q平面上に入力I/Q信号I,Qと帰還I/Q信号FI,FQを描いたものである。先の可変減衰器27の減衰量制御により、I2+Q2=FI2+FQ2になっているものとする。ベクトル(I,Q)とベクトル(FI,FQ)の位相差はθであるので、
Figure 2010193280
Figure 2010193280
となる。
入力I/Q信号I,Qと帰還I/Q信号FI,FQとの位相差θを表す位相差検出信号PHSをFI×Q−FQ×Iとすると、PHSは以下のようになる。
Figure 2010193280
一方、位相差θが0またはπシフトしているのを検出するため、以下に示す符号検出信号PLを定義する。
Figure 2010193280
FI2+FQ2>>0のとき、位相差検出信号PHSの0近傍時は、位相差θは0近傍またはπ近傍である。この違いを判定するために、式(5)のPLの値を参照する。θが0近傍時ではPLは正、θがπ近傍時ではPLは負になる。
θ=0°を検出するために、位相制御信号Vθを逐次大きくしていき、位相差検出信号PHSと符号検出信号PLの値を検出する。ここで、コントローラ40から可変移相器29に供給される位相制御信号VθがDAC42から出力されるアナログ信号である場合、位相制御信号Vθの生成時に生成器41からDAC42に入力されるデジタル値は、逐次的に増加または減少される。これにより単調増加または単調減少する位相制御信号Vθ(これを位相キャリブレーション制御信号という)が生成され、この過程で位相差検出信号PHSをほぼ0°にする位相キャリブレーション制御信号が帰還I/Q信号と入力I/Q信号との位相差θを最小化する位相制御信号Vθとして求められる。さらに、このときの符号検出信号PLの符号に従って、スイッチ34により合成器13,14に帰還される帰還I/Q信号FI,FQの極性が制御される。図1ではコントローラ40から出力される極性切替信号p/mにより、帰還I/Q信号FI,FQの極性が設定できる。符号検出信号PLが正であれば帰還I/Q信号FI,FQの極性は正に設定され、PLが負であれば帰還I/Q信号FI,FQの極性は負に設定される。
以上の操作により得られるθ=0近傍の位相キャリブレーション制御信号である位相制御信号Vθは、ADC43によりデジタル値に変換され、後の送信モードで用いるためにデジタル値としてメモリ44に記憶され(ステップS106)、キャリブレーションモードが終了する。
ここではFI2+FQ2>>0を仮定したが、FI2+FQ2>>0でない場合には、θ=0°近傍でなくとも位相差検出信号PHSの値は0近傍になる。従って、振幅一定のトーン信号を用いずに、変調信号すなわち入力I/Q信号I,Qを用いてキャリブレーションを行うと、位相差θの検出誤差が大きくなる。ただし、FI2+FQ2は正であるため、極性は正確に判断できる。位相差θの検出誤差を小さくするために、位相差検出信号PHSを例えば入力I/Q信号の振幅FI2+FQ2で除して規格化を行うことにより、送信波の振幅信号に依存しないsinθの信号である規格化位相差信号CPHSを生成することができる。すなわち、規格化位相差信号CPHSは
Figure 2010193280
ここでAは係数,で表される。
式(6)に示される規格化位相差信号CPHSを用いて、例えば逐次比較法に従ってθ=0°近傍になる位相制御信号Vθの値をメモリ44に格納する。ここまでがキャリブレーションモードである。なお、複合位相差検出信号VDθは規格化位相差信号CPHS及び符号検出信号PLのペアを意味する。
上述したキャリブレーションモードの操作をまとめると、カーテシアンループが開の状態において、まず所望の送信電力(Pi)近傍において所定のループ利得(ここでは、ループ利得1)が得られるように可変減衰器27に与える振幅制御信号VAを調整する。次に、帰還I/Q信号と入力I/Q信号との位相差が180°となるように可変移相器29に与える位相制御信号Vθを調整する。振幅調整の後に位相調整を行うことにより、位相調整を精度よく行うことができる。
(送信モード)
次に、図8を用いて送信モードでの処理手順について説明する。図7の手順もコントローラ40によって制御される。送信モードが開始すると、振幅制御信号VA及び位相制御信号Vθをメモリ44からロードして可変減衰器27及び可変移相器29に設定する(ステップS201)。次に、スイッチ34をオンとすることにより、カーテシアンループを閉じる(ステップS202)。ただし、このときは必要に応じて電力増幅器23の出力端子またはアイソレータ37の出力端子は抵抗Rを介して終端させておく。
この後、ループ利得を増加させ(ステップS203)、送信を行う(ステップS204)。ステップS201においてカーテシアンループを閉じると同時に、スイッチ26を切り替えて電力増幅器23の出力端子またはアイソレータ37の出力端子を終端することを中止し、代わってアンテナ25に接続するように設定する。または、過渡応答時間を考慮し、カーテシアンループを閉じてから過渡応答時間だけ遅らせて電力増幅器23の出力端子またはアイソレータ37の出力端子を終端することを中止する。
次に、ステップS203におけるループ利得増加の処理の意義について説明する。カーテシアンループはI,Qの2次元のループであるが、簡単のため1次元のループとして考え、図9に示されるような1次元の帰還系を仮定する。一般に帰還系では、増幅段の利得(裸利得)をG、帰還率をβ、入力をI/Q、出力をOutとすれば、以下の関係が成り立つ。
Figure 2010193280
帰還後の利得はG/(1+Gβ)で表される。Gβはループ利得と呼ばれる。1+Gβ=0のとき分母が0となるため、帰還系は不安定になる。1+Gβ=0は、入力信号から帰還信号の減算を行った場合、Gβが1で位相が180°回ったとき状態である。カーテシアンループにおいても、このような状態となる周波数が存在しない条件で帰還をかける必要がある。本実施形態においては、カーテシアンループを閉じると1+Gβ=2となり、利得が半分になるばかりか、歪の改善を見込むこともできない。
一方、前述したキャリブレーションモードが終了した後に送信モードに移行し、カーテシアンループを閉じて帰還を施すと、図9に示すGβ=1の状態と等価な状態となる。そこで、図8の手順ではステップS201で予め設定された送信電力に対応する振幅制御信号VA及び位相制御信号Vθをロードした後、ステップS202でカーテシアンループを閉じ、次のステップS203でループ利得Gβを1より大きくし、Gの影響を小さくする。具体的には、スイッチ34をオンにして、カーテシアンループ開の状態から所定の極性でカーテシアンループ閉の状態とした後、ループ利得Gβを大きくする。
ループ利得Gβを変化させるための調整対象は、ベースバンド増幅器15から電力増幅器23までの利得に相当するGであり、βについては変化させないことが望ましい。βはカーテシアンループをかけた場合の利得に相当するので、これを変えると設定すべき利得が変化してしまうからである。本実施形態では、利得Gを高めるために、図1中に示したようにループ利得設定部46によりベースバンド増幅器15の利得を上げる。ここでは、カーテシアンループ開の状態でのループ利得Gβが1であったため、ベースバンド増幅器15の利得変更分が全体のループ利得になる。
ループ利得が1より十分大きいと仮定すると、所望の送信出力はキャリブレーションモードにおいてカーテシアンループ開のときに設定した、帰還パス内の可変減衰器27の減衰量(振幅調整量)により決まる。このような振幅調整量の設定によって、帰還I/Q信号FI,FQの振幅は入力I/Q信号I,Qの振幅と等しくなるので、入力端子11,12から電力増幅器23の出力端までの利得(入力I/Q信号I,Qに対する送信出力の利得)と、カーテシアンループの帰還パスの利得(減衰量の逆数)は等しくなる。従って、カーテシアンループを閉じてから送信出力を調整する必要はない。
ステップS203の処理を行うと、帰還I/Q信号の振幅はカーテシアンループが開のときとほぼ同じ振幅に設定されるので、カーテシアンループを閉じたときの過渡応答時間はさらに短くなる。
図10は、図6及び図8で説明した手順のような処理を行わずにカーテシアンループを閉じたときの送信電力の過渡応答(T1)、及びカーテシアンループを閉じたまま送信電力を変えたとき(カーテシアンループを閉じた後に送信電力を設定したとき)の送信電力の過渡応答(T2)を示している。本実施形態によると、これらの過渡応答を改善することができる。
(送信終了処理)
次に、送信終了時の処理について述べる。送信終了時には、送信ベースバンド信号I,Qをランプダウンして送信電力を下げる。送信電力が所定のレベルまで下がれば、スイッチ34をオフにすることで、カーテシアンループを開とする。次に、カーテシアンループの動作を止め、さらにループ利得の増分を元に戻す。例えば、ベースバンド増幅器15の利得をカーテシアンループによる帰還が施される前の設定に戻すことにより、ループ利得を元の1に戻すことができる。
(送信電力変更処理)
次に、送信電力変更時の処理について述べる。送信電力レベルをある程度以上小さく設定する場合、カーテシアンループによる線形化は必要とされないため、カーテシアンループの動作を止める。この場合は、上述した送信停止時と同様のシーケンスをとる。
または、第1ステップでスイッチ34をオフにしてカーテシアンループを開にするとともに、前記の利得Gを下げる。すなわち、利得偏差を小さくするために行ったループ利得の増分を元に戻す。一例としてベースバンド増幅器15の利得を元に戻す。次に、第2ステップで、カーテシアンループを止める。
送信電力レベルを変更するがカーテシアンループの動作が必要な場合は、以下のようにする。第1ステップまでの手順を行った後、図6で説明したキャリブレーションモードの手順を踏んで、利得変更後を模擬した送信電力をカーテシアンループ開の状態で設定するとともに、前記の位相調整を行う。その後、送信モードに移行する。または、送信モードを維持したままβを所定のレベルまで下げるとともに、増幅段の利得Gをβを下げた分だけ上げてもよい。
図6に示したキャリブレーションモードによると、図8に示した送信動作の直前に振幅及び位相の調整が行われる。従って、カーテシアンループを施す前、または送信電力を変更する前に、必ず振幅制御信号及び位相制御信号を取り込むため、オープンループで試験を行うことが前提となっている。
これに対し、以下に説明する他のキャリブレーションモードは、送信前のキャリブレーション時間をさらに短縮化することを目的とし、キャリブレーションモードを無線送信装置の立ち上げ時もしくは無線送信装置が搭載された集積回路(IC)の出荷検査時に行うことを想定している。従って、以下に説明するキャリブレーションモードを便宜上起動時キャリブレーションと呼ぶが、必ずしも起動時に行うことに限定はされない。
(起動時キャリブレーションモード)
図11は、起動時キャリブレーションモードにおける処理手順を示している。図11では、送信出力をステップ的に変化させ、各送信出力における振幅制御信号VA及び位相制御信号Vθを調整して記憶するところが図6と異なっている。
まず、キャリブレーションモードを開始すると、スイッチ34がオフされることによりカーテシアンループが開とされる(ステップS111)。このときアンテナ25から送信RF信号が出力されないように、アンテナスイッチ26を用いて電力増幅器23の出力端子またはアイソレータ37の出力端子が抵抗Rによって終端される。
次に、ステップS112でi=1に設定された後、送信電力Piが設定される(ステップS113)。最初はPi=1が設定される。この後、図6のステップS103〜S106と同様に、帰還RF信号の振幅調整(ステップS114)、振幅制御信号VAの記憶(ステップS115)、帰還I/Q信号(ローカル信号)の位相調整(ステップS116)及び位相制御信号Vθの記憶(ステップS117)が行われる。
ステップS118でiがIに達したと判断されるまで、ステップS119でiが1ずつインクリメントされてステップS113〜S117の処理が繰り返される。このとき送信電力設定ステップS103では、iが1インクリメントされる毎に例えば1dBステップで送信電力が上昇する。このようにして各送信出力において調整された振幅制御信号VA及び位相制御信号Vθがメモリ44に記憶され、起動時キャリブレーションモードが終了する。
(送信モード)
次に、図12を用いて図11で説明した起動時キャリブレーションが行われた後、送信中にカーテシアンループをかける場合の処理を説明する。まず、スイッチ34をオフとしてカーテシアンループが開の状態で動作を開始し、所望の送信電力Piを設定する(ステップS211)。
図11のステップS115及びS117では、各送信電力Pi(i=1〜I)における振幅制御信号VA及び位相制御信号Vθがメモリ44に記憶されている。そこで、ステップS211で設定された送信電力に対応する振幅制御信号VA及び位相制御信号Vθをメモリ44からロードして可変減衰器27及び可変移相器29に設定する(ステップS212)。ただし、このときは電力増幅器23の出力端子またはアイソレータ37の出力端子は抵抗Rを介して終端させておく。
この後、所定時間が経ってからスイッチ34をオンにしてカーテシアンループを閉にする(ステップS213)。このとき、電力増幅器23の出力端子またはアイソレータ37の出力端子を終端することを中止する。
次に、図8のステップS203と同様に例えばベースバンド増幅器15の利得を高く設定してループ利得を上げ(ステップS214)、送信を開始する(ステップS215)。
送信終了処理及び送信電力変更処理については、先と同様であるため説明を省く。ただし、送信電力を変える場合で、しかもカーテシアンループの動作が必要な場合は、第1のステップとしてスイッチ34をオフとしてカーテシアンループを開とし、第2のステップとして利得Gを下げる。すなわち、ループ利得の増分をもとに戻す。振幅制御信号VA及び位相制御信号Vθが既にメモリ44に記憶されているので、第2ステップまでの手順でカーテシアンループを動作させた後、所定の送信電力において図12の手順で送信を行えばよい。または、送信モードを維持したままβを所定のレベルまで下げるとともに、増幅段の利得Gをβを下げた分だけ上げてもよい。
図11で説明した起動時キャリブレーションモードにおいては、まず図4または図5に示したコントローラ40内の制御信号生成器41によって生成される制御信号のデジタル値に、初期値が与えられる。この状態で振幅差検出器35及び位相比較器36で得られる振幅差検出信号VDA及び複合位相差検出信号VDθは、ADC43を介してデジタル値としてメモリ44に格納される。
次に、制御信号のデジタル値が例えば1ステップインクリメントされ、そのときに振幅差検出器35及び位相比較器36で得られる振幅差検出信号VDA及び複合位相差検出信号VDθが同様にデジタル値としてメモリ44に格納される。同様の処理が所定回数(N回)繰り返される。こうしてメモリ44に格納された振幅差検出信号VDAのデジタル値の中から、式(1)に示すVDAが0となるか、もしくはこれに最も近い値が選定され、これが制御信号生成器41に取り込まれて振幅制御信号VAが生成される。
一方、メモリ44に格納された複合位相差検出信号VDθのデジタル値の中から、式(6)に示す符号検出信号CPHSが所定の符号となるか、式(4)に示すPHSが0となるか、もしくはこれに最も近い値が選定され、これが制御信号生成器41に取り込まれて位相制御信号Vθが生成される。メモリ44に格納された振幅差検出信号VDA及び複合位相差検出信号VDθのデジタル値のうち不要な情報、例えば選定された検出信号のデジタル値以外の情報は廃棄してもよい。
上述した手法は、コントローラ40を介して行うフィードバックに基づいているので、デジタルフィードバックによる調整手法と呼ぶ。ここでは、式(1),(4)及び(6)に示したVDA,PHS及びCPHSはアナログ信号として求めることを想定したが、I,Q,FI,FQを例えば図5中に示したADC43によりデジタル値に変換した後、VDA,PHS及びCPHSをデジタル演算により求めるようにしてもよい。
以上述べたように、第1の実施形態ではカーテシアンループが開でかつ所望の送信電力が設定された状態の下で、振幅及び位相の誤差を最小化するような振幅制御信号及び位相制御信号が生成され、メモリ44に記憶される。送信時にメモリ44から振幅制御信号及び位相制御信号がロードされ、帰還RF信号の振幅調整を行う可変減衰器27及び帰還回路内での直交復調に用いられるローカル信号の位相を調整するための可変移相器29にセットされる。従って、カーテシアンループが開のときと閉のときの送信電力の差を小さくできるので、カーテシアンループを開の状態から閉の状態にしたときの送信電力の過渡応答時間が効果的に短縮される。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、デジタルフィードバックによるキャリブレーションモード時の振幅調整及び位相調整の手法では、コントローラ40を介してフィードバック制御が行われる。しかし、キャリブレーションモードにおいてコントローラ40を介さずに、アナログ処理のみで送信モードで必要な振幅制御信号及び位相制御信号を生成することも可能である。ただし、アナログ処理で得られる制御信号はアナログ信号であるので、後の送信モードのためにアナログの制御信号をコントローラ40に取り込み、ADC43によりデジタル値に変換してメモリ44に格納する必要がある。
以下、本発明の第2の実施形態としてアナログフィードバックにより振幅制御信号及び位相制御信号を生成する手法について図13を用いて説明する。図13は、図1と共通の一部と、新たに加えられた制御信号フィードバックループ内のスイッチ51,52を示している。キャリブレーションモードにおいて、振幅制御信号VA及び位相制御信号Vθは以下のようにして生成される。
まず、アナログフィードバックにより振幅制御信号VAを生成する手法について説明する。カーテシアンループの帰還回路内のスイッチ34はオフとなっており、かつ電力増幅器23の出力端子またはアイソレータ37の出力端子は終端され、カーテシアンループの帰還パス内の可変減衰器27には、電力増幅器23の出力の送信RF信号から分岐された一部の微小な電力が帰還RF信号として入力されている。また、カーテシアンループの帰還回路の電源はすでに投入されているとする。帰還RF信号の振幅調整時には、スイッチ51はオン、スイッチ52はオフとされる。スイッチ52のオフ時には、可変移相器29には所定の基準制御信号が印加されているとする。
振幅差検出器35及び位相比較器36では、第1の実施形態と同様に入力I/Q信号I,Q及び帰還I/Q信号FI,FQに対して式(1)の処理がアナログ処理によって行われる。これにより、アナログの振幅差検出信号VDA(もしくはVDAの定数倍の信号)が可変減衰器27に振幅制御信号VA(これを振幅キャリブレーション制御信号という)として入力される。すなわち、可変減衰器27〜低雑音増幅器28〜直交復調器30〜振幅差検出器35の帰還ループにより、VAの安定点がFI=I,FQ=Qの点に近似できることになる。
例えば、可変減衰器27の入力端子RXINの信号振幅が大きく、(FI,FQ)のベクトルの振幅mMが(I,Q)のベクトルの振幅Mに比べ十分大きいとすると、式(1)よりVDAは正の大きな値となり、このVDAが可変減衰器27への振幅制御信号VAに帰還される。ここで、可変減衰器27の特性として振幅制御信号VAが大きいほど減衰量が大きくなるように設計されているとする。振幅調整器VAとして大きなVDAが入力されるので、可変減衰器27の減衰量は大きくなる。これにより振幅mMは小さくなり、振幅Mとほぼ等しい値で収束する。収束した振幅mMの値は、コントローラ40内でADC43を介してデジタル値として取り込まれ、メモリ44に格納される。この後、スイッチ51がオフとされると共に、コントローラ40から可変減衰器27に振幅制御信号VAが入力される。これについては後で述べる。
次に、同様にアナログフィードバックにより位相制御信号Vθを生成する手法について説明する。位相調整時には、スイッチ51はオフ、スイッチ52はオンとされる。スイッチ52のオンにより、可変移相器29〜直交復調器30〜位相差調整器36からなる位相制御ループが形成される。
この位相制御ループにおいて、式(4)により(FI,FQ)のベクトルと(I,Q)のベクトルとの位相差θが検出される。(FI,FQ)のベクトルと(I,Q)のベクトルが同相あるいは逆相であればsinθ=0を満足するので、その点で収束する。ただし、θが0°であるかπであるかが区別できないため、その区別は式(5)中のcosθの値で行われる。cosθが正であれば0°すなわち同相と判定され、負であればπすなわち逆相と判定される。こうして得られるVθの値とcosθの値はコントローラ40内でADC43を介して取り込まれ、メモリ44に格納される。
カーテシアンループを閉じるときは、スイッチ34がオンとされると共に、cosθの極性に応じてスイッチ34で接続の極性が選択される。一方、位相制御信号Vθに関しては、スイッチ52がオフとされた後、ADC43で検出される電圧と同じ電圧が制御信号生成器41及びDAC42を介して位相制御信号Vθとして生成される。
こうしてメモリ44に格納された振幅制御信号VA及び位相制御信号Vθの値は、送信モードにおいて用いられる。また、メモリ44に格納された振幅制御信号VAはキャリブレーション時に位相制御信号Vθを調整するときにも用いられる。
ここで、コントローラ40について述べる。図13に示すように、コントローラ40のDAC42がスイッチ53,54を介して可変減衰器27及び可変移相器29に接続されており、ADC43がスイッチ51,52を介して振幅差検出器35及び位相比較器36に接続されている。スイッチ51をオンとすることで、振幅制御信号VAがコントローラ40のADC43を介してメモリ44に取り込まれ、スイッチ52をオンとすることで、位相制御信号VθがADC43を介してメモリ44に取り込まれる。また、送信モード開始時に、スイッチ53をオンとすることで振幅制御信号VAが可変減衰器27にロードされ、スイッチ54をオンとすることで、位相制御信号VθがDAC43を介して可変移相器29にロードされる。
次に、第1及び第2の実施形態におけるカーテシアンループ内の各構成要素の具体例について説明する。
(可変減衰器の具体例)
図14は、可変減衰器の具体例を示している。図14において破線で囲まれたブロックはダミー減衰器であり、ATTで示されるブロックはダミー減衰器と同一回路の減衰器である。ダミー減衰器は、MOSFET M1−M5及び抵抗R1,R2を含む可変減衰器である。減衰器ATTは、ダミー減衰器と同一構成であるため、MOSFET M1−M5及び抵抗R1,R2が存在するものとして説明する。
MOSFET M1,M2,M3は信号をグランドGNDにシャントするパスを形成し、グランドGNDへ流れる信号の量を制御する。一方、MOSFET M4,M5はスルーパスを形成し、次段の回路に伝える信号の量を制御する。抵抗R1はM4,M5のゲート端子に直流成分を伝えるために用いられる。
演算増幅器OP1の+入力端子には抵抗RBとRTの一端が接続され、RBの他端は電源VDDに接続され、RTの他端はグランドGNDに接続される。もう一つの抵抗RBの一端はVDDに接続され、他端はダミー減衰器のMOSFET M5のドレイン端子に接続される。もう一つの抵抗Rの一端はGNDに接続され、他端はダミー減衰器のMOSFET M4のソース端子に接続される。ダミー減衰器の二つの抵抗R1の共通端子は演算増幅器OP1の出力端子、及び減衰器ATTの抵抗R1の共通端子に接続される。利得制御信号VC1は、ダミー減衰器及び減衰器ATT内のMOSFET M1,M2,M3のゲート端子に与えられる。
図14の構成によると、利得制御信号VC1と減衰器ATTの利得(=OUT/IN)はdB直線性(linear-in-dB)の特性を示すことが文献H. Dogan, et. al., “A DC-10GHz Linear-in-dB Attenuator in 0.13um CMOS Technology,” IEEE 2004 CICC, pp.609-612.に記載されている。
(しきい値ばらつき補償インタフェース)
図14の可変減衰器では、MOSFET のプロセスばらつきによるしきい値ばらつき(Vth fluctuation)が生じると、利得制御信号VC1が一定でもMOSFETの抵抗が変化してしまう。MOSFETの出力抵抗は、ゲート−ソース間電圧VGSからしきい値電圧Vthを引いた値に依存するからである。また、後述する可変移相器においてもMOSFET のしきい値ばらつきが問題となる場合がある。
図15は、このようなMOSFET のしきい値ばらつきを補償する回路の例を示している。図15のしきい値ばらつき補償回路は、例えば図13における可変減衰器27の振幅制御信号VAの入力側及び図13における可変移相器29の位相制御信号Vθの入力側のいずれか一方または両方にインタフェースとして挿入される。
図15の回路は、基本的には基準電流Irefと基準抵抗Rrefにより発生される基準電圧Iref×Rrefと制御電流Icnt(Icnt1,Icnt2)を用いてMOSFET M1のしきい値ばらつきを補償するように構成される。ここで、制御電流Icntは振幅制御信号VAまたは位相制御信号Vθを電流信号で表している。
スイッチSWA1がオン、スイッチSWA2がオフの場合、2系統用意されている制御電流Icnt1,Icnt2のうち、Icnt1のみがスイッチSWA1を介してMOSFET M1に流れる。基準電圧Iref×Rrefは演算増幅器OP1の非反転入力端子に与えられ、OP1の出力端子はMOSFET M1のゲート端子に接続され、M1のドレイン端子はOP1の反転入力端子に接続される。このような帰還系の働きにより、MOSFET M1のドレイン電圧は基準電圧Iref×Rrefと等しくなるように制御される。従って、MOSFET M1のしきい値電圧Vthが大きくなったならば、自動的にM1のゲート−ソース間電圧VGSはVthの増加分だけ大きくなり、しきい値ばらつきは補償される。
次に、2つのスイッチSWA1,SWA2と2つの制御電流Icnt1,Icnt2を用いる理由について述べる。図13に示した第2の実施形態によると、キャリブレーションモード及び位相調整モードでは、振幅差検出器35からの振幅差検出信号VDAが振幅制御信号VAとして可変減衰器27に与えられ、またキャリブレーションモードでは位相比較器36からの複合位相差検出信号VDθが位相制御信号Vθとして可変移相器29に与えられる。一方、送信モードではコントローラ40からメモリ44に記憶されているデジタル値がDAC42を介して振幅制御信号VA及び位相制御信号Vθが出力され、可変減衰器27及び可変移相器29に与えられる。
このように特に図13に示した第2の実施形態の場合、可変減衰器27及び可変移相器29への制御信号パスは、キャリブレーションモードと送信モードとで異なる。図15のしきい値ばらつきインタフェースを用いると、可変減衰器27及び可変移相器29に対してそれぞれ2系統の制御信号パスを形成できる。
図13では、スイッチ51及び52が設けられているが、これらは例えば図15のスイッチSWA1によって代用できる。一方、図15のSWA2のオン/オフは、例えば可変減衰器27及び可変移相器29へのコントローラ40からの振幅制御信号VA及び位相制御信号Vθの伝達をオン/オフすることに対応する。
従って、キャリブレーションモードではSWA1をオン、SWA2をオフとすることにより、可変減衰器27には振幅差検出器35からの振幅差検出信号VDAが振幅制御信号VAとして与えられ、可変移相器29には位相比較器36からの複合位相差検出信号VDθが位相制御信号Vθとして与えられることになる。一方、送信モードでは逆にSWA1をオフ、SWA2をオンとすることにより、可変減衰器27にはコントローラ40からの振幅制御信号VAが与えられ、可変移相器29にはコントローラ40からの位相制御信号Vθが与えられることになる。
(直交復調器のためのローカル信号供給経路)
図1及び図13に示したように、直交復調器30のミキサ31,32には、ローカル発振器20からのローカル信号が可変移相器29及び90°移相器33を介して供給される。図16は、直交復調器30のためのローカル信号供給経路であり、可変移相器29及び90°移相器33に相当する部分を詳しく示している。
図16において、ローカル発振器20からのローカル信号LOは、カスケード接続された移相器PS1,PS2に入力される。移相器PS1,PS2の移相量は、位相制御信号VPSCによって変化する。位相制御信号VPSCと図1の位相制御信号Vθの関係は後述する。移相器PS1,PS2から出力されるローカル信号は、バッファ回路CKBUFを介してフリップフロップFFに入力される。
フリップフロップFFでは、入力されたローカル信号が2分周され、90°の位相差を持つ2つのローカル信号が生成される。フリップフロップFFから出力される2つのローカル信号は、I用ローカルバッファICKBUF及びQ用ローカルバッファQCKBUFをそれぞれ介して直交復調器30内のミキサ31,32に供給される。フリップフロップFFの出力では、LO信号の周波数は1/2倍となるので、ローカル発振器20では直交復調器30で必要なローカル信号の周波数の2倍の周波数のローカル信号を発生する必要がある。一方、フリップフロップFFの代わりに、例えば微分器と積分器を用いたRC−CRによる90°移相器を用いてもよく、この場合は90°移相器の入出力のローカル信号の周波数は等しくてよい。
移相器PS1,PS2には、極性切替信号Pmθが入力されており、このPmθにより入力されるローカル信号の極性、すなわち位相を180°変えることが可能である。上述したように移相器PS1,PS2の後段の90°移相器として、2分周を行うフリップフロップFFを用いることを想定すると、Pmθによるローカル信号の180°の位相変化によって、ミキサ31,32に供給されるローカル信号の位相を90°変えることができる。このようなPmθによるローカル信号の位相調整は、例えばプロセスの誤差により移相器PS1,PS2の可変範囲が減少したときに有効である。
(移相器の具体例その1)
図17は、図16中の移相器PS1,PS2の具体的な回路例を示している。図17の移相器は、MOSFET M1〜M5とキャパシタC1〜C4を有し、入力端子+VIN,−VINに入力される差動信号を位相シフトして出力端子+VOUT,−VOUTから出力する。C1,M3,C2,C3,M4,C4によって移相回路が形成される。電流源I1が共通ソース端子に接続されたM1,M2の差動ペアと、M1,M2のドレイン端子に接続されるM5,M6,R1,R2からなる同相レベル設定回路によって、移相回路のための駆動回路が形成される。
MOSFET M3とM4は、位相制御信号VPSCにより抵抗値が変化する可変抵抗として動作する。可変抵抗では減衰器と同様にMOSFET の線形領域が使用されるようにするため、M3とM4ではドレイン−ソース間電圧VDS、ゲート−ソース間電圧VGS及びしきい値電圧VthがVDS<VGS−Vthの間系を満足するように設定される。位相制御信号VPSCによる制御範囲を広くするためには、MOSFET M4のドレイン端子及びM3のソース端子の電位は電源電位またはGND電位の近傍であることが望ましい。このためにキャパシタC3によってM4のドレイン端子の直流電位がブロックされ、キャパシタC2によってM3のソース端子の直流電位がブロックされる。
一方、キャパシタC4はMOSFET M4による抵抗と共にCR回路を形成し、キャパシタC1はMOSFET M3と共にCR回路を形成する。これら2つのCR回路によってCRブリッジ回路が形成される。従って、位相制御信号VPSCによりM4,M3の抵抗値が変化すると、ローカル信号の位相が変化する。
本移相器の動作を説明するために、MOSFET M3,M4の抵抗が大きい場合と小さい場合とで出力の位相がどのように変化するかを以下に示す。M3,M4の抵抗が大きい場合、すなわちVPSCがVth付近の場合、M4の抵抗が大きいことにより、端子+VOUTにはC4を介してM2のドレインの信号が伝達される。また、M3の抵抗が大きいことにより、端子−VOUTにはM1のドレインの信号が伝達される。
一方、M3,M4の抵抗が小さい場合、すなわちVPSCがVDD付近となった場合、M4の抵抗が小さいことにより、端子+VOUTにはM1のドレインの信号がC3を介して伝達される。また、M3の抵抗が小さいことにより、端子−VOUTにはC2を介してM2のドレインの信号が伝達される。このようにM3,M4の抵抗を可変にすることにより端子+VOUT,−VOUTからの出力信号の位相は最大で180°変化する。
キャパシタC1,C4の値をCとし、MOSFET M3,M4の抵抗値(オン抵抗)をRONとすると、CRブリッジ回路による移相特性は以下の式で表される。
Figure 2010193280
ここで、θはM2とM1のドレイン端子間電圧と出力端子+VOUT,−VOUT間電圧との位相差を表す。M3,M4は線形領域で動作するので、比例定数をAとすると、図16で説明したようにRON=A/(VPSC−Vth)と近似できる。従って、式(8)は以下のように変形できる。
Figure 2010193280
PSCがVthより小さいとMOSFETが完全にオフ状態となるので、VPSCにより位相θが制御できなくなる。これを避けるために図15に示したしきい値補償回路を図14に示した減衰器ATTに対してと同様に適用すればよい。すなわち、制御電流Icnt1,Icnt2が0より大きくなると、M1には電流を流すためにOP1の出力、すなわちM1のゲート電位はVthより大きい値に自動的に設定される。なお、ここで振幅制御信号や位相制御信号を電圧や電流で規定しているが、それらの変換はV=IRの式に応じて変換できる。例えば、ここでは制御電流Icnt1,Icnt2が位相制御信号Vθと等価である。
(移相器の具体例その2)
図18は、図17の移相器に対して図16中の移相器PS1が備える極性反転機能を追加した回路図である。図18の移相器では、図17中に示したMOSFET M1,M2の第1差動ペアに加えて、MOSFET M7,M8の第2差動ペアが追加される。第1差動ペアに電流源I1から供給されるテール電流は、極性切替信号pmθによってスイッチされ、第2差動ペアに電流源I2から供給されるテール電流は、反転された極性切替信号pmθ/によってスイッチされる。
極性切替信号pmθ,pmθ/によりM1,M2の第1差動ペアが動作するか、M7,M8の第2差動ペアが動作するかが決定される。図18に示されるように、M1とM7のゲート端子は+VINに共通に接続され、M2とM8のゲート端子は−VINに共通に接続されているが、出力であるドレイン端子はM1とM8、M2とM7が共通に接続される。すなわち、第1差動ペアと第2差動ペアとでは、出力であるドレイン端子の接続は逆の関係にある。従って、極性切替信号pmθ,pmθ/によって第1差動ペアと第2差動ペアを選択的に動作させることにより、移相器の出力信号の極性を反転することができる。
(振幅/位相検出回路)
次に、図1及び図13中の振幅差検出器35及び位相比較器36の具体例について説明する。振幅差検出器35及び位相比較器36をアナログ回路により実現する場合、例えば図19に示すような振幅/位相検出回路を用いることができる。図19は、振幅または位相の検出対象の入力A,B,C,Dを受けて検出出力OUTを得る回路である。
振幅差検出は、例えば前述したように式(1)に従って行われる。式(1)中の(FI2+FQ2)は入力A,CをFIとし、B,DにFQを入力したときの出力OUT(OUT1とする)を表す。同様に、式(1)中の(I2+Q2)は入力A,CをIとし、B,DにQを入力したときの出力OUT(OUT2とする)を表す。OUT1−OUT2に相当する差分を検出することにより、式(1)に従う振幅差検出信号VDAをアナログ回路で得ることができる。
図20は、上記OUT1−OUT2を検出する差分検出回路の一例を示している。OUT1は入力IN1として与えられ、OUT2は入力IN2として与えられる。図20の差分検出回路は、MOSFET M3,M4の差動ペアと共通電流源I1からなる第1差動増幅器と、MOSFET M5,M6の差動ペアと共通電流源I2からなる第2差動増幅器、及び第1と第2差動増幅器に共通に設けられたMOSFET M1,M2、及び抵抗R1,R2による負荷回路を有する。第1差動増幅器の入力はIN1であり、第2差動増幅器の入力はIN2である。
第1差動増幅器と第2差動増幅器の出力は、共通の負荷回路に対して極性を反対にして接続される。図20の差分検出回路によって、出力OUTにIN1−IN2、すなわちOUT1−OUT2に対応する信号が得られる。従って、図19の回路に図20の回路を組み合わせることにより、振幅差検出器35を実現することができる。
位相差検出信号PHS及び符号検出信号PLは、例えば前述したように式(4)及び(5)を用いて算出されるので、図19の回路により実現できる。すなわち、入力AにI、入力CにFI、入力BにQ、入力DにFQをそれぞれ入力すると、式(4)の計算を実現できる。また、入力AにI、入力CにFQ、入力BにQ、入力DにFIをそれぞれ入力すると、式(5)の計算を実現できる。
アナログ回路で帰還を施して必要な振幅制御信号VAや位相制御信号Vθを求めるには、電圧信号のまま帰還をかけることも可能であるが、電圧信号を一度電流に変換してから帰還をかけてもよい。電圧信号を電流信号に変えてから帰還をかける場合、図15に示したしきい値ばらつき補償回路を用いることが望ましい。
(極性反転スイッチ及びベースバンド増幅器)
図21は、図1及び図13に示したスイッチ34とベースバンド増幅器15の具体的な回路例を示している。図21では、スイッチ34は二つのブロック34−1と34−2に分けて示されている。ここで、VINは入力I/Q信号I,Qを表し、帰還信号VFは帰還I/QFI,FQに相当する。スイッチAまたはスイッチBのいずれか一方をオンとし、他方をオフとすることにより帰還I/Q信号(VF)は極性が変更されて取り込まれる。一方、入力I/Q信号VINについては極性を切り替える必要がないので、そのまま取り込まれる。利得は−R2/R1で与えられる。
ベースバンド増幅器15は、カーテシアンループを開としたキャリブレーションモードとカーテシアンループを閉としたときとで利得を変えるように構成される。ベースバンド増幅器15は、カスケード接続された2段の演算増幅器OP1,OP2、及びOP1とOP2の間に挿入された利得切替回路38−1,38−2を有する。帰還抵抗を含めた2段目の演算増幅器OP2の利得は、−R5/R3または−R5/R4で表される。利得切替回路38−1,38−2は、この例では二つの抵抗R3,R4をスイッチCにより切り替えることで利得を2段階にわたって切り替えることができる。
例えば、R3=10×R4=R5とし、キャリブレーションモードではR3を選択し、送信モードではR4を選択することを考える。キャリブレーションモードでは、ベースバンド増幅器15は利得−R5/R3=−1の増幅器として働く。この状態でループ利得が1となるように帰還V−ATTが設定される。キャリブレーションモードから送信モードに移ると、抵抗R3からR4に切り替えられるので、利得は−R5/R4=−10となり、キャリブレーションモード時より20dB増加する。すなわち、送信モードではループ利得は20dBとなるので、線形性を高めることができる。
図21中の利得切替回路38−1,38−2ではスイッチCにより抵抗R3とR4を選択するため、利得切り替え時には過渡応答が生じる。無線仕様により過渡応答の時間に制限がある場合は、利得を急峻に変化させるのではなく連続的に変化させることが望まれる。
図22中のベースバンド増幅器15では、図21中の利得切替回路38−1,38−2がMOSFET M1とM2による可変抵抗回路39に置き換えられている。M1,M2のゲート端子にコントローラ40から利得設定信号に相当する利得制御電圧VCNTが与えられている。利得制御電圧VCNTによってMOSFET M1,M2の抵抗が変化することにより、ベースバンド増幅器15の利得は連続的に変化する。キャリブレーションモードではM1,M2の抵抗値をR5と同じ値にしておく。キャリブレーションモードから送信モードへの遷移時には、M1,M2の抵抗値がR5からR5/10程度までに緩やかに遷移するように利得制御電圧VCNTを設定する。これによりベースバンド増幅器15の急峻な利得変化がなくなるので、利得が所定の値に収束する時間が短縮される場合がある。
(I/Qインバランス補償)
直交変調器や直交復調器をアナログ回路で実現した場合、アナログ回路の不完全性により、I成分(同相成分)とQ成分(直交成分)との間の振幅誤差や位相誤差が生じる。このようなI−Q成分間の振幅や位相の誤差は、一般にI/Qインバランスと呼ばれる。カーテシアンループは、以下のようにI/Qインバランスの補償にも適用できる。
これまでの実施形態では、送信部で生ずる歪をカーテシアンループの帰還回路の線形性を利用して補償する例について述べてきた。同様にして、帰還回路内の直交復調器30のI/Qインバランスが小さければ、カーテシアンループを用いて送信系の直交変調器16のI/Qインバランスも補償できる。
具体的には、従来から無線受信装置で行われている直交復調器のI/Qインバランス補償技術をカーテシアンループ内の直交復調器30に適用する。例えば、I/Qインバランスのうち振幅誤差の補償を行うためには、図21の帰還信号VFを入力とする抵抗R1の値を必要に応じて調整すればよい。また、ローカル信号のための90°移相器33の移相誤差に起因するI/Qインバランスが生じる場合は、90°移相器33から出力される二つのローカル信号の位相差が90°となるように調整を行う。この位相差の調整は、例えば図17の移相器を用いて行ってもよい。このようにカーテシアンループの帰還回路内の直交復調器30にI/Qインバランス補償を適用することにより、カーテシアンループによって送信部系の誤差を補正することが可能である。
(位相比較器36について)
次に、位相比較器36についてさらに詳しく説明する。位相比較器36は、複合位相差検出信号VDθを出力する。前述したように、複合位相差検出信号VDθは規格化位相差信号CPHSと符号検出信号PLを含む。図23は、位相比較器36のうちの規格化位相差信号CPHSを生成する部分について示している。
図23において、位相差検出器51では式(4)に従って入力I/Q信号I,Qと帰還I/Q信号FI,FQとの位相差θが検出され、位相差検出信号PHSが生成される。位相差検出器51は、例えば図19に示した振幅/位相検出回路によって実現される。
図13に示すアナログフィードバックにより振幅制御信号及び位相制御信号を生成する手法を用いる場合は、式(4)で示した位相差検出信号PHSは位相と振幅の関数であるため、正常に制御がかからない。そこで、図23に示すように位相差検出器51の後段に振幅規格化器52を接続し、振幅規格化器52によって位相差検出信号PHSの振幅を規格化した規格化位相差信号CPHSを移相器29に入力する。
位相差検出信号PHSを振幅で規格化するためには、式(4)から分かるように位相差検出信号PHSを下記の式(10)の値で除算(言い替えれば、位相差検出信号PHSに式(10)の逆数を乗算)すればよい。
Figure 2010193280
式(10)は、帰還I/Q信号FI,FQのベクトルの大きさを表す。ここでは、位相差検出信号PHSを帰還I/Q信号FI,FQのベクトルの大きさの2乗で除することにより規格化を行う例を示したが、位相差検出信号PHSを入力I/Q信号I,Qのベクトルの大きさの2乗で除することにより規格化を行ってもよい。以下、帰還I/Q信号FI,FQのベクトルの大きさの2乗、または入力I/Q信号I,Qのベクトルの大きさの2乗をI/QI/Q信号振幅と呼び、A2(t)で表すものとする。
しかし、この振幅規格化の手法では式(10)に示されるようなI/Q信号振幅が0に近い場合、アナログ乗算器により無限大に近い増幅度で位相差検出信号PHSを増幅しなければならず、現実的な回路で振幅規格化器52を実現することは困難である。
以下、このような困難を克服する振幅規格化器52の構成について、図24〜図29を用いて説明する。図24、図26〜図29は、振幅規格化器52の種々の例を入出力信号及び中間処理信号の波形例と共に示している。
(振幅規格化器52の第1の例)
図24の振幅規格化器52は、除算器53、比較器54及びサンプルホールド回路55から構成され、比較器54からの比較結果信号に従って、除算器53及びサンプルホールド回路55により位相差検出信号PHSから規格化位相差信号CPHSが生成される。
除算器53は、ある利得以下の領域では位相差検出信号PHSの振幅を規格化できるが、有限の利得までしか増幅できない。このため、式(10)に示されるようなI/Q信号振幅A2(t)の値が0付近の時は、除算器53の出力信号は図24中に示すように値が発散してしまう。従って、除算器53のみでは正常に規格化を行うことができない。そこで、図24の例では除算器53の出力信号は、サンプルホールド回路55により以下のようにサンプルホールドされる。
サンプルホールド回路55は、比較器54によって制御される。比較器54は、基準値入力端子とI/Q信号振幅入力端子を有し、基準値(基準電圧)VREFに対してI/Q信号振幅A2(t)の方が大きい場合には比較結果信号としてHIGHを出力し、そうでない場合には比較結果信号としてLOWを出力する。
サンプルホールド回路55は、比較器54からの比較結果信号がHIGHの期間では除算器53から出力される除算信号、すなわち位相差検出信号PHSの現在の値に対応する除算信号をそのまま規格化位相差信号CPHSとして出力する。このように比較器54からの比較結果信号がHIGHの期間では、サンプルホールド回路55はサンプルホールド動作を行わず、除算器52から出力される除算信号をトラッキングして規格化位相差信号CPHSを出力する。
比較器55からの比較結果信号がLOWになると、サンプルホールド回路55はサンプルホールド動作を行う。すなわち、サンプルホールド回路55は比較結果信号がLOWになる直前のタイミングで除算器53からの除算信号をサンプルして以降LOWの間ホールドし、そのサンプルホールドした除算信号を規格化位相差信号CPHSとして出力し続ける。ここで、基準値VREFは例えば除算器53が正常に規格化を行うことが可能なI/Q信号振幅以上の値に設定される。
このような構成を取ることにより、現実的なアナログ回路によって振幅規格化器53を実現することが可能となる。
次に、図23中の除算器53の具体例を説明する。図25は、除算器53の具体例を示す回路図である。位相差検出信号PHSは、差動電流信号I1+bIMsinθ及びI1−bIMsinθで表される。ここでIM=I2+Q2=FI2+FQ2、I1は直流電流、bは定数を表す。一方、振幅差検出信号VDAは差動電流信号I2+(1/2)aI及びI2+(1/2)aIMで表される。ここで、I2は直流電流、aは定数である。
振幅差検出信号VDAである差動電流信号I2+(1/2)aI及びI2+(1/2)aIMは、MOSFET:M1−M4による第1カレントミラー、及びMOSFET:M5−M6による第2カレントミラーによって受信され、MOSFET:M7−M8による第1差動対の共通ソース端子に電流信号aIMが流れる。
一方、位相差検出信号PHSである差動電流信号I1+bIMsinθ及びI1−bIMsinθは、MOSFET:M14−M13による第3カレントミラー、及びMOSFET:M16−M15による第4カレントミラーによって受信され、MOSFET:M9−M10による第2差動対の共通ソース端子、及びMOSFET:M11−M12による第3差動対に共通ソース端子にそれぞれ入力される。MOSFET:M7−M12を弱反転領域で動作させると、
Figure 2010193280
を満足する。図25の除算器53の出力信号であるI+とI-の差分は
Figure 2010193280
となり、IMの成分の影響のない信号が得られる。図25の除算器53の出力信号は電流信号なので、図示しない抵抗のような電流−電圧変換器により電圧信号に変換された後、サンプルホールド回路55に入力される。
(振幅規格化器52の第2の例)
図26の振幅規格化器52は除算器53を使用せず、位相差検出信号PHSを直接サンプルホールド回路55に入力している点で図24と異なっている。図26の振幅規格化器52では、I/Q信号振幅A2(t)が基準値VREFより大きい時のみ位相差検出信号PHSがそのまま規格化位相差信号CPHSとして出力されることによって振幅の規格化が行われる。このようにアナログ増幅器による除算器を必要としない簡単な構成で、位相差検出信号PHSの振幅を規格化することができる。
(振幅規格化器52の第3の例)
図27の振幅規格化器52では、I/Q信号振幅A2(t)が2つの比較器56及び57に入力され、2つの基準値VREF,low及びVREF,highと比較される。比較器56及び比較器57からの比較結果信号は、排他的論理和回路58に入力される。排他的論理和回路58の出力信号は、I/Q信号振幅A2(t)が2つの基準値VREF,lowとVREF,highの間にある時にHIGHを出力し、それ以外の場合にはLOWを出力する。ただし、2つの基準値はVREF,low<VREF,highの関係を満たすものとする。排他的論理和回路58の出力信号によって、サンプルホールド回路55が制御される。
すなわち、図27の振幅規格化器52は排他的論理和回路58を介して入力される比較器56及び比較器57からの比較結果信号に従って、(a)I/Q信号振幅A2(t)が基準値VREF,lowより大きくかつ基準値VREF,highより小さい場合には、位相差検出信号PHSの現在の値を規格化位相差信号CPHSとして出力し、(b)I/Q信号振幅A2(t)が基準値VREF,lowより小さいかまたは基準値VREF,highより大きい場合には、I/Q信号振幅A2(t)基準値VREF,lowより小さくなるかまたは基準値VREF,highより大きくなる直前でサンプルホールド回路55によりサンプルホールドされた位相差検出信号PHSの値を規格化位相差信号CPHSとして出力する。
このように図27の振幅規格化器52によると、アナログ増幅器による除算器を使うことなく、等価的に振幅が規格化された信号を生成することができる。
(振幅規格化器52の第4の例)
図28の振幅規格化器52では、可変抵抗器61及びキャパシタ62を有する低域通過フィルタ60によって位相差検出信号PHSの振幅規格化を行い、規格化位相差信号CPHSを生成する。可変抵抗器61は、例えばNMOSFETによって実現され、その場合はゲート端子が可変抵抗器61の制御端子として用いられる。可変抵抗器61の制御端子には、I/Q信号振幅A2(t)が制御電圧として与えられる。可変抵抗器61の抵抗値は、制御電圧に対して単調に減少する。すなわち、可変抵抗器61の抵抗値は、I/Q信号振幅A2(t)が大きい時に低くなり、I/Q信号振幅A2(t)が小さい時に高くなる。
位相差検出信号PHSは、低域通過フィルタ60に入力される。このとき、可変抵抗器61の抵抗値が前述のようにI/Q信号振幅A2(t)によって制御されることにより、低域通過フィルタ60の遮断周波数はI/Q信号振幅A2(t)が大きい時に高くなり、I/Q信号振幅A2(t)が小さい時に低くなる。従って、I/Q信号振幅A2(t)が大きい時には位相差検出信号PHSの減衰量が減少し、I/Q信号振幅A2(t)が小さい時には位相差検出信号PHSの減衰量が増加する。
このように振幅規格化器52の第4の例によれば、第2の例と同様に、I/Q信号振幅A2(t)が大きい時のみ位相差検出信号PHSを出力することができ、これによって位相差検出信号PHSの振幅規格化を行うことが可能となる。
なお、図28に示した第4の例の振幅規格化器52を位相キャリブレーションループのループフィルタとして使用することもできる。
(振幅規格化器52の第5の例)
図29に、振幅規格化器52の第5の例を示す。図29では、低域通過フィルタ60に2つの可変抵抗器61A及び62Bが設けられる。可変抵抗器61Aは、図28の可変抵抗器61と同様に例えばNMOSFETによって実現され、可変抵抗器61Bは例えばPMOSFETによって実現される。ここでは、分かりやすくするため可変抵抗器61A及び61BにそれぞれNMOSFET及びPMOSFETを用いたが、これはあくまで一例であり、他の構成の可変抵抗器を用いてもよい。
可変抵抗器61Aの抵抗値は、図28の可変抵抗器61と同様に、I/Q信号振幅A2(t)が大きくなるに従って単調に減少する。すなわち、可変抵抗器61Aの抵抗値はI/Q信号振幅A2(t)が大きい時に低くなり、I/Q信号振幅A2(t)が小さい時に高くなる。一方、可変抵抗器61Bの抵抗値は、逆にI/Q信号振幅A2(t)が大きくなるに従って単調に増加する。すなわち、可変抵抗器61Bの抵抗値はI/Q信号振幅A2(t)が大きい時に高くなり、I/Q信号振幅A2(t)が小さい時に低くなる。
このような可変抵抗器61A及び61Bが直列に接続された複合可変抵抗器では、I/Q信号振幅A2(t)が小さい時及び大きい時に抵抗値が高くなり、I/Q信号振幅A2(t)が中程度の時に、すなわちI/Q信号振幅A2(t)が基準値に近づくに従って抵抗値が低くなる。複合可変抵抗器が上記の動作をするため、図29の低域通過フィルタ60はI/Q信号振幅A2(t)が小さい時及び大きい時に遮断周波数が低くなり、I/Q信号振幅A2(t)が中程度の時に遮断周波数が高くなる。つまり、I/Q信号振幅A2(t)が小さい時及び大きい時には位相差検出信号PHSの減衰量が増加し、I/Q信号振幅A2(t)が中程度の時には位相差検出信号PHSの減衰量が減衰することによって、位相差検出信号PHSの振幅規格化が行われ、規格化位相差信号CPHSが生成される。
このように振幅規格化器52の第5の例によれば、第3の例と同様に等価的に位相差検出信号PHSを規格化することができる。
なお、第5の例の振幅規格化器52を位相キャリブレーションループのループフィルタとして使用することもできる。
上述した各実施形態では、図1に示すように、直交変調器16と直交復調器30は、ローカル発振器20を共用しているが、必ずしも共用する必要はなく、2つのローカル発振器(図示せず)を用いてもよい。
また、抵抗Rは、カーテシアンループが閉じた状態でアンテナ25から信号が放射されるのを防ぐために設けられている。従って、アンテナ25から信号が放射されてもよいなど、場合によってはアンテナスイッチ26、抵抗Rを設けなくともよい。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
11,12・・・送信RF信号入力端子
13,14・・・合成器
15・・・ベースバンド増幅器
16・・・直交変調器
20・・・ローカル発振器
21・・・可変減衰器
22・・・ドライバ増幅器
23・・・電力増幅器
24・・・電力カップラ(分岐器)
25・・・アンテナ
26・・・アンテナスイッチ
27・・・可変減衰器(振幅調整器)
28・・・低雑音増幅器
29・・・可変移相器(位相調整器)
30・・・直交復調器
34・・・極性反転機能を有するスイッチ
35・・・振幅差検出器
36・・・位相比較器
37・・・アイソレータ
40・・・コントローラ
41・・・制御信号生成器
42・・・デジタル−アナログ変換器
43・・・アナログ−デジタル変換器
44・・・メモリ
45・・・モード設定部
46・・・ループ利得設定部
47・・・送信電力設定部
51・・・位相差検出器
52・・・振幅規格化器
53・・・除算器
54・・・比較器
55・・・サンプルホールド回路
56・・・第1の比較器
57・・・第2の比較器
58・・・排他的論理和回路
60・・・低域通過フィルタ
61・・・可変抵抗器
61A・・・第1の可変抵抗器
61B・・・第2の可変抵抗器
62・・・キャパシタ

Claims (15)

  1. カーテシアンループを用いた無線送信装置において、
    送信すべき入力I/Q信号と帰還I/Q信号とを合成して合成I/Q信号を生成する合成器と;
    前記合成I/Q信号を直交変調して直交変調信号を生成する直交変調器と;
    前記直交変調信号を増幅して送信RF信号を出力する電力増幅器と;
    前記送信RF信号から分岐されたフィードバックRF信号に対しローカル信号を用いて直交復調を行って前記帰還I/Q信号を生成する直交復調器と;
    前記合成器への前記帰還I/Q信号の入力をオン/オフするためのスイッチと;
    前記送信RF信号の少なくとも一つの電力を設定可能な電力設定部と;
    前記スイッチがオフの期間に、前記入力I/Q信号と前記帰還I/Q信号との間の振幅差を検出して振幅差検出信号を生成する振幅差検出器と;
    前記スイッチがオフの期間に、前記入力I/Q信号と前記帰還I/Q信号との間の位相差を検出して位相差検出信号を生成する位相差検出器と;
    前記位相差検出信号を前記信号振幅で規格化して規格化位相差信号を生成するために、前記入力I/Q信号及び前記帰還I/Q信号のいずれかの信号振幅が基準値より大きい期間は前記位相差検出信号の現在の値を用いて前記規格化を行い、前記信号振幅が前記基準値より小さくなると前記位相差検出信号の前記信号振幅が前記基準値より小さくなる前の値を用いて前記規格化を行う規格化器と;
    前記振幅差検出信号及び前記規格化位相差信号を受け、前記スイッチがオフの期間に、前記電力が設定された状態の下で前記振幅差を最小化する振幅制御信号及び前記位相差を最小化する位相制御信号を生成する制御信号生成器と;
    前記振幅制御信号及び前記位相制御信号を記憶するメモリと;
    前記スイッチがオンの期間に、前記メモリに記憶されている振幅制御信号に従って前記フィードバックRF信号の振幅を調整する振幅調整器と;
    前記スイッチがオンの期間に、前記メモリに記憶されている位相制御信号に従って前記ローカル信号の位相を調整する位相調整器;及び
    前記カーテシアンループに対して、前記スイッチがオフのとき第1のループ利得を設定し、前記スイッチがオフからオンに転じたとき前記第1のループ利得より高い第2のループ利得を設定する利得設定部を具備する無線送信装置。
  2. 前記規格化器は、前記位相差検出信号を前記信号振幅で除して除算信号を生成する除算器と、前記信号振幅と前記基準値とを比較して比較結果信号を得る比較器と、前記比較結果信号により制御され、(a)前記信号振幅が前記基準値より大きい期間は前記位相差検出信号の現在の値に対応する除算信号を前記規格化位相差信号として出力し、(b)前記信号振幅が前記基準値より小さくなると前記除算信号をサンプルホールドして前記規格化位相差信号を出力するサンプルホールド回路とを含む請求項1記載の無線送信装置。
  3. 前記規格化器は、前記信号振幅と前記基準値とを比較して比較結果信号を得る比較器と、前記比較結果信号により制御され、(a)前記信号振幅が前記基準値より大きい期間は前記位相差検出信号の現在の値を前記規格化位相差信号として出力し、(b)前記信号振幅が前記基準値より小さくなると前記位相差検出信号をサンプルホールドして前記規格化位相差信号を出力するサンプルホールド回路とを含む請求項1記載の無線送信装置。
  4. 前記規格化器は、前記信号振幅を第1の基準値と比較して第1の比較結果信号を得る第1の比較器と、前記信号振幅を前記第1の基準値より大きい第2の基準値と比較して第2の比較結果信号を得る第2の比較器と、前記第1の比較結果信号及び前記第2の比較結果信号により制御され、(a)前記信号振幅が前記第1の基準値より大きくかつ前記第2の基準値より小さい期間は前記位相差検出信号の現在の値を前記規格化位相差信号として出力し、(b)前記信号振幅が前記第1の基準値より小さいかまたは前記第2の基準値より大きくなると前記位相差検出信号をサンプルホールドして前記規格化位相差信号を出力するサンプルホールド回路とを含む請求項1記載の無線送信装置。
  5. 前記信号振幅は、前記入力I/Q信号のベクトルの大きさである請求項1記載の無線送信装置。
  6. 前記信号振幅は、前記帰還I/Q信号のベクトルの大きさである請求項1記載の無線送信装置。
  7. 前記直交変調器の前段に設けられた、前記合成I/Q信号を増幅する利得可変のベースバンド増幅器と;
    前記ベースバンド増幅器に対して、前記スイッチがオフのとき第1の利得を設定し、前記スイッチがオフからオンに転じたとき前記第1の利得より高い第2の利得を設定する利得設定部と;をさらに具備する請求項1記載の無線送信装置。
  8. カーテシアンループを用いた無線送信装置において、
    送信すべき入力I/Q信号と帰還I/Q信号とを合成して合成I/Q信号を生成する合成器と;
    前記合成I/Q信号を直交変調して直交変調信号を生成する直交変調器と;
    前記直交変調信号を増幅して送信RF信号を出力する電力増幅器と;
    前記送信RF信号から分岐されたフィードバックRF信号に対しローカル信号を用いて直交復調を行って前記帰還I/Q信号を生成する直交復調器と;
    前記合成器への前記帰還I/Q信号の入力をオン/オフするためのスイッチと;
    前記送信RF信号の少なくとも一つの電力を設定可能な電力設定部と;
    前記スイッチがオフの期間に、前記入力I/Q信号と前記帰還I/Q信号との間の振幅差を検出して振幅差検出信号を生成する振幅差検出器と;
    前記スイッチがオフの期間に、前記入力I/Q信号と前記帰還I/Q信号との間の位相差を検出して位相差検出信号を生成する位相差検出器と;
    前記位相差検出信号を前記信号振幅で規格化して規格化位相差信号を生成するために、前記信号振幅に従って遮断周波数が変化するように構成された低域通過フィルタを含み、該低域通過フィルタによって前記位相差検出信号をフィルタリングして前記規格化位相差信号を生成する規格化器と;
    前記振幅差検出信号及び前記規格化位相差信号を受け、前記スイッチがオフの期間に、前記電力が設定された状態の下で前記振幅差を最小化する振幅制御信号及び前記位相差を最小化する位相制御信号を生成する制御信号生成器と;
    前記振幅制御信号及び前記位相制御信号を記憶するメモリと;
    前記スイッチがオンの期間に、前記メモリに記憶されている振幅制御信号に従って前記フィードバックRF信号の振幅を調整する振幅調整器と;
    前記スイッチがオンの期間に、前記メモリに記憶されている位相制御信号に従って前記ローカル信号の位相を調整する位相調整器;及び
    前記カーテシアンループに対して、前記スイッチがオフのとき第1のループ利得を設定し、前記スイッチがオフからオンに転じたとき前記第1のループ利得より高い第2のループ利得を設定する利得設定部を具備する無線送信装置。
  9. 前記低域通過フィルタは、前記信号振幅が大きくなるに従って前記遮断周波数が上昇するように構成される請求項8記載の無線送信装置。
  10. 前記低域通過フィルタは、前記信号振幅が大きくなるに従って抵抗値が単調に減少するように制御される可変抵抗器と、前記可変抵抗器と接続されるキャパシタとを含む請求項8記載の無線送信装置。
  11. 前記低域通過フィルタは、前記信号振幅が基準値に近づくに従って前記遮断周波数が上昇するように構成される請求項8記載の無線送信装置。
  12. 前記低域通過フィルタは、前記信号振幅が大きくなるに従って抵抗値が単調に減少するように制御される第1の可変抵抗器と、該第1の可変抵抗器と直列に接続され、前記信号振幅が小さくなるに従って抵抗値が単調に増加するように制御される第2の可変抵抗器と、前記第1の可変抵抗器と前記第2の可変抵抗器との直列回路と接続されるキャパシタとを含む請求項8記載の無線送信装置。
  13. 前記信号振幅は、前記入力I/Q信号のベクトルの大きさである請求項8記載の無線送信装置。
  14. 前記信号振幅は、前記帰還I/Q信号のベクトルの大きさである請求項8記載の無線送信装置。
  15. 前記直交変調器の前段に設けられた、前記合成I/Q信号を増幅する利得可変のベースバンド増幅器と;
    前記ベースバンド増幅器に対して、前記スイッチがオフのとき第1の利得を設定し、前記スイッチがオフからオンに転じたとき前記第1の利得より高い第2の利得を設定する利得設定部と;をさらに具備する請求項8記載の無線送信装置。
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