JP2010190823A - マイクロアレイ用基板およびマイクロアレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】 ハイブリダイゼーションにおける信頼性と再現性を確保するとともに、サンプル溶液および試薬溶液の使用量を抑制し、かつ操作性にすぐれたマイクロアレイ用基板を提供すること。
【解決手段】検体捕獲部に検体となる溶液を接触させ、検出目的とする生物由来物を捕獲してその有無を判定するマイクロアレイの作製に用いるプラスチック製の基板であって、検体捕獲部は平面であり、検体捕獲部の外周全体をとりまく溝を有し、検体捕獲部、溝、及び溝の外周を含む所定位置にカバー設置範囲を有し、カバー設置範囲において、溝の外周でカバーと接触する面の溝底部からの高さをA、検体捕獲部の溝底部からの高さをBと場合、B<Aであり、カバー設置範囲にカバーを設置した場合に検体捕獲部とカバーとの間に一定の間隙を形成するマイクロアレイ用プラスチック基板。
【選択図】 図1
Description
また、このようなカバーガラスはカバーガラスに下駄の歯状にガラスを貼りあわせて作製される。ガラスは割れ易く薄いカバーガラスにガラスを貼りあわせる作業は大変な手間である。
しかし、この方法では基板本体とカバーガラスの両方に突起を設ける必要があり、基板側での突起は、スキャナーでの検出の際、スキャナーによっては、基板に設けられた突起が邪魔になり、検出が出来ないという不都合が出てくる可能性がある。また、特許文献1に記載されている方法では、基板専用のカバーが必要になり、カバーの作製又はカバーの調達におけるコストが嵩むこととなる。
即ち、本発明は、以下の通りである。
(1)生物由来物を捕獲する物質を基板表面の所定範囲に点着固定した検体捕獲部を形成し、検体捕獲部に検体となる溶液を接触させ、検出目的とする生物由来物を捕獲してその有無を判定するマイクロアレイの作製に用いるプラスチック製の基板であって、検体捕獲部(1)は平面であり、検体捕獲部(1)の外周全体をとりまく溝(2)を有し、検体捕獲部(1)、溝(2)、及び溝の外周を含む所定位置にカバー設置範囲(3)を有し、カバー設置範囲(3)において、溝(2)の外周でカバーと接触する面(4)の溝底部(5)からの高さをA、検体捕獲部(1)の溝底部(5)からの高さをBとした場合、B<Aであり、カバー設置範囲にカバーを設置した場合に検体捕獲部とカバーとの間に一定の間隙を形成することを特徴とするマイクロアレイ用プラスチック基板。
(2)C=A−Bとした場合、C≦B<Aである(1)記載のマイクロアレイ用プラスチック基板。
(3)Cが10〜200μm、かつB/Cが2〜10である(1)又は(2)記載のマイクロアレイ用プラスチック基板。
(4)カバー設置範囲(3)が、基板表面より一段低くすることにより設置され、カバーがその中に納まる(1)〜(3)いずれか記載のマイクロアレイ用プラスチック基板、
(5)(1)〜(4)いずれか記載のマイクロアレイ用プラスチック基板の検体捕獲部に、生体由来物又は生体由来物と親和性を有する化合物を固定化していることを特徴とするマイクロアレイ。
まず、本発明のマイクロアレイ用プラスチック基板に使用するプラスチックの材質であるが、DNAマイクロアレイをはじめとして、検体の検出方法には蛍光を用いることが主流となっているため、検出に蛍光を用いる場合には、自己蛍光を発しないものが好ましい。
また、DNAマイクロアレイによっては、操作過程で沸騰水中に浸漬するなどの加熱操作が必要なものもある。自己蛍光がなく耐熱性を有する樹脂としては、環状ポリオレフィンやETFEなどのフッ素樹脂が挙げられる。
また、近年はマイクロアレイにおいては、蛍光を用いず可視化で検出するタイプもあり、また、操作工程において高熱での加熱を必要としない検出方法もあり、そのような場合は、汎用性樹脂を用いることができる。汎用性樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、アクリル樹脂などが挙げられる。
図1は本発明のマイクロアレイ用プラスチック基板の第一の実施形態の構造を示す平面概略図である。図2は、図1のX−X’線切断部の端面の拡大模式図であり、図3は図1においてカバーで覆った際のX−X’線切断部の端面の拡大模式図である。
マイクロアレイ用プラスチック基板には、DNAや抗体などを固定する部位となる検体捕獲部(1)を有する。この検体捕獲部には検査対象となるサンプル溶液や検出用試薬が供給される部位となる。この検体捕獲部は平面であることが必要であり、基板表面と平行な面であることが好適である。面積や形状は特に制限はないが、DNAや抗体などの捕獲部物のスポット数や、スポットの大きさにより適宜設定される。ただし、後に被せるカバーに収まる必要がある。
検体捕獲部の外周全体には検体捕獲部から一段下がった溝(2)が検体捕獲部を完全に取り囲んだ形状で導入される。溝の幅は0.5mm〜3mmが好適である。さらに検体捕獲部、溝、及び溝の外周を含んだ範囲にカバー設置範囲(3)を設定する。カバー設置範囲内の溝の外側の部分はカバーと接触する面(4)となり、カバーと接触する面(4)の溝底部(5)からの高さAが検体捕獲部(1)の溝底部(5)からの高さBより大きくすることにより、図3のようにカバーと検体捕獲部との間に間隙(7)を形成することとなる。
この間隙(7)の大きさ(C=A−B)を適度に設定することにより、毛管現象により、検体捕獲部に供給されたサンプル液や試薬等の溶液は、優先的に検体捕獲部にとどまることになる。検体捕獲部への溶液供給量を定めておけば、確実に検体捕獲部のみに一様に溶液を行き渡すことが出来る。
間隙(7)の大きさCは10〜200μmが好適であり、下限値未満ではカバーの剛性やカバーの厚みの精度により、均一な溶液層の厚みの確保が困難になる。上限値を超えると必要な検体捕獲部全体へ供給するのに必要な溶液量が多くなり、必要以上のサンプル溶液と検出反応時の試薬量が必要となる。
また、溝の深さの確保も必要であり、溝の深さが浅いと、検体捕獲部に供給された溶液が溝の内に流入する、さらには溝を越えてカバーと接触する部位に達することとなり、所定の溶液量を検体捕獲部に供給しているにもかかわらず、検体捕獲部全体に溶液が伸展しないこととなる。検体捕獲部(1)の溝底部(5)からの高さBは、間隙(7)の大きさC以上であることが好ましい。更にBはCの2倍以上であることが好ましく、また基板の厚みと強度を考慮すると10倍以内に留めることが好ましい。
図4の基板は、カバー設置範囲(3)が、基板表面より一段低くなっており、カバーがその中に納まる構造となっている。この構造により、カバーを被せた際のカバーの固定をより確実にすることができ、カバーのズレを防止することが出来る。
図7のマイクロアレイ用プラスチック基板は、図4のマイクロアレイ用プラスチック基板にピンセット挿入部(8)と通気溝(9)を導入したものである。
図7に示す基板をデザインとし、射出成形用金型を作製し、ポリスチレン樹脂により射出成形により基板の成形品を得た。基板全体の大きさは、縦25mm、横75mm、厚さ1mmのスライドガラス形状であり、検体捕獲部(1)は平面であり、鏡面とし、大きさは縦10mm、横14mmである。検体捕獲部外周全体をとりまく溝(2)の幅は2.5mm〜3mm、カバーと接触する面(4)の溝底部(5)からの高さAは300μmであり検体捕獲部の溝底部(5)からの高さBは200μmで、カバーで覆うことにより検体捕獲部に形成される間隙Cは100μmであった。次に、検体捕獲部(1)へ、DNA鎖固定のための表面処理を行った。2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン‐ブチルメタクリレート‐p‐ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート共重合体(poly(MPC-co-BMA-coNPMA)(PMBN)溶液を調製し、本溶液を検体捕獲部にコートすることによりDNA鎖固定化のための処理を行った。
ポリスチレン樹脂により射出成形により基板の成形品を得た。基板全体の大きさは縦25mm、横75mm、厚さ1mmのスライドガラス形状であり、基板表面全体は一面で形成されているものである。基板表面にDNA鎖固定のための表面処理を行った。2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン‐ブチルメタクリレート‐p‐ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート共重合体(poly(MPC-co-BMA-coNPMA)(PMBN)溶液を調製し、本溶液を検体捕獲部にコートすることによりDNA鎖固定化のための処理を行った。
上記で作製したマイクロアレイ用プラスチック基板にDNAプローブを固定した。末端に5‘末端がアミノ基で修飾された、配列TGTAAACTCCCGGATTGCGCTCCCT(配列番号1)のDNAプローブ(25塩基)を0.25M炭酸バッファ(pH9.0)を用いて溶解し、10μMのDNAプローブ溶液を調製した。この溶液をピン方式スポッター(日立ソフトウェアエンジニアリング製MarksI)を用いて、500μm径のクロスカットピンで、それぞれの基板にスポットした。DNAプローブをスポットした後、アレイヤーによりピン方式でスポットし固定化した。実施例1のマイクロアレイ用プラスチック基板では、検体捕獲部(1)全体に30スポット固定化をおこない、一方の比較例1のマイクロアレイ用プラスチック基板では、基板の中央のたて10mm、横14mmの範囲に合計30点のスポット固定化を行った。DNAプローブの固定化の後、ブロッキング処理を行い、以下評価実験に供した。
上記性能評価用に作製したマイクロアレイを用いて、5‘末端にビオチンが導入された、配列AAGGCGGGAGGGAGCGCAATCCGGGAGTTTACAAA(配列番号2)の上記DNAプローブに相補配列を有する35塩基のDNA断片溶液を調製し、上記にて作製した各マイクロアレイのDNAプローブ固定化した検体捕獲部にDNA断片溶液を滴下し、ポリスチレン製のカバー(寸法:縦21mm、横30mm、厚さ0.7mm)を被せ、DNAプローブスポット部全体に溶液がいきわたらせた。その際に安定して溶液をいきわたらせるのに必要な溶液量は、実施例1のマイクロアレイ用プラスチック基板により作製したマイクロアレイでは22μlであったのに対し、比較例1のマイクロアレイ用プラスチック基板により作製したマイクロアレイでは、70μlであった。
上記にてハイブリダイゼーションを行った後、アルカリホスファターゼ標識したアビジン溶液をDNAプローブスポット部に供給し、上記と同様にポリスチレン製のカバーを被せてアビジン溶液をいきわたらせ放置した後、カバーを外し、洗浄用緩衝液で洗浄したのち、乾燥させた。次にBCIP/NBT溶液を供給し、上記と同様にポリスチレン製カバーで覆い放置し、発色反応を行い、各DNAプローブスポットにおける発色度合いを画像処理により数値化し、発色度合いのバラつきを比較した。実施例1のマイクロアレイ用プラスチック基板では、バラつきを示すCV値は8%〜12%であったが、比較例1のマイクロアレイ用プラスチック基板では、CV値は15%〜22%であった。
2 溝
3 カバー設置範囲
4 カバーと接触する面
5 溝底部
6 カバー
7 間隙
8 ピンセット挿入部
9 通気用溝
Claims (5)
- 生物由来物を捕獲する物質を基板表面の所定範囲に点着固定した検体捕獲部を形成し、検体捕獲部に検体となる溶液を接触させ、検出目的とする生物由来物を捕獲してその有無を判定するマイクロアレイの作製に用いるプラスチック製の基板であって、検体捕獲部(1)は平面であり、検体捕獲部(1)の外周全体をとりまく溝(2)を有し、検体捕獲部(1)、溝(2)、及び溝の外周を含む所定位置にカバー設置範囲(3)を有し、カバー設置範囲(3)において、溝(2)の外周でカバーと接触する面(4)の溝底部(5)からの高さをA、検体捕獲部(1)の溝底部(5)からの高さをBとした場合、B<Aであり、カバー設置範囲にカバーを設置した場合に検体捕獲部とカバーとの間に一定の間隙を形成することを特徴とするマイクロアレイ用プラスチック基板。
- C=A−Bとした場合、C≦B<Aである請求項1記載のマイクロアレイ用プラスチック基板。
- Cが10〜200μm、かつB/Cが2〜10である請求項1又は2記載のマイクロアレイ用プラスチック基板。
- カバー設置範囲(3)が、基板表面より一段低くすることにより設置され、カバーがその中に納まる請求項1〜3いずれか記載のマイクロアレイ用プラスチック基板。
- 請求項1〜4いずれか記載のマイクロアレイ用プラスチック基板の検体捕獲部に、生体由来物又は生体由来物と親和性を有する化合物を固定化していることを特徴とするマイクロアレイ。
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JP2009037547A JP2010190823A (ja) | 2009-02-20 | 2009-02-20 | マイクロアレイ用基板およびマイクロアレイ |
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JP2013195075A (ja) * | 2012-03-15 | 2013-09-30 | Toyo Kohan Co Ltd | バイオチップ用カバー、当該バイオチップ用カバーを備えるチップ装置、当該バイオチップ用カバーを用いた液体保持方法 |
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