JP7354749B2 - 分析チップの検査方法、検査装置及び分析チップの製造方法 - Google Patents

分析チップの検査方法、検査装置及び分析チップの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7354749B2
JP7354749B2 JP2019186962A JP2019186962A JP7354749B2 JP 7354749 B2 JP7354749 B2 JP 7354749B2 JP 2019186962 A JP2019186962 A JP 2019186962A JP 2019186962 A JP2019186962 A JP 2019186962A JP 7354749 B2 JP7354749 B2 JP 7354749B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
image
spot
substance
carrier
deliquescent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019186962A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021061757A (ja
Inventor
邦久 薙野
健太郎 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2019186962A priority Critical patent/JP7354749B2/ja
Publication of JP2021061757A publication Critical patent/JP2021061757A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7354749B2 publication Critical patent/JP7354749B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

本発明は、分析チップの検査方法、検査装置及び分析チップの製造方法に関する。
各種生物の遺伝情報解析の研究が始められている。ヒト遺伝子をはじめとして、多数の遺伝子とその塩基配列、また遺伝子配列にコードされる蛋白質及びこれら蛋白質から二次的に作られる糖鎖に関する情報が急速に明らかにされつつある。配列が明らかにされた遺伝子、蛋白質、糖鎖などの高分子体の機能は、各種の方法で調べることができる。主なものとして、核酸は、ノーザンブロッティング、あるいはサザンブロッティングのような、各種の核酸/核酸間の相補性を利用して、各種遺伝子とその生体機能発現との関係を調べることができる。蛋白質は、ウエスタンブロッティングに代表される蛋白質/蛋白質間の反応を利用し蛋白質の機能及び発現について調べることができる。
多数の遺伝子発現を一度に解析する手法として、DNAマイクロアレイ法(分析チップ法)がある。この方法は、核酸/核酸間ハイブリダイゼーション反応に基づく核酸検出・定量法である点で原理的には上記の従来の方法と同じである。この分析チップ法は、蛋白質/蛋白質間あるいは糖鎖/糖鎖間や糖鎖/蛋白質間の特異的な反応に基づく蛋白質や糖鎖検出・定量に応用が可能である。この技術は、ガラスの平面基板や凹凸パターンが形成された樹脂基板上に、多数のDNA断片や蛋白質、糖鎖が高密度に整列固定化されたものが用いられている。分析チップ法の具体的使用法としては、例えば、研究対象細胞の発現遺伝子等を蛍光色素等で標識したサンプルを、基板に形成された凸部上でハイブリダイゼーションさせ、互いに相補的な核酸(DNAあるいはRNA)同士を結合させ、その箇所を高解像度蛍光検出装置(スキャナー)で高速に読みとる方法が代表的である。また、電気化学反応に基づく電流値等の応答を検出する方法もある。このようして、サンプル中のそれぞれの遺伝子量を迅速に推定できる。また、分析チップの応用分野は、発現遺伝子の量を推定する遺伝子発現解析のみならず、遺伝子の一塩基置換(Single Nucleotide Polymorphism:SNP)を検出する手段としても使用されている。
分析チップを作製方法は、代表的にスポッティング法があげられる。代表的には、予め合成したDNAを含む溶液(スポット液)を、ステンレス等の金属製のピン(針)で基板上の凸部先端面に点着し塗布する(スポットする)方法や、インクジェット法で凸部先端面に塗布する方法がある。基板には、通常数百から数万種のDNAが、マトリックスアレイ状に形成された凸部に塗布される。金属製のピンを用いた場合に、ピン先が基板に接触しないことや、インクジェット法の場合に、ノズルがゴミ詰まり等で塞がってしまうことにより、スポット不良(スポット抜け)が生じうる。製造現場では、スポット不良が生じた分析チップを見逃さず、また、過検出なく不良を適切に検出し、スポット不良の分析チップを排除して品質を担保する必要がある。特許文献1~3には、分析チップにおける品質検査方法が開示されている。
特開2007-71777号公報 特開2005-10138号公報 特開2003-130875号公報
特許文献1~3では、実際のスポット部分以外の場所に塗布したDNA溶液を紫外線照射して観察して、インクジェットノズルの異常の有無を確認することや、スポット液に蛍光分子や染料を加えることが開示されている。しかしながら、特許文献1~3には、以下(1)、(2)のような問題がある。
(1)実際のスポット部分を観察していないことから間接的な検査であり確実性に欠けること
(2)蛍光分子や染料をスポット溶液に添加するとそれらが発する蛍光がハイブリダイゼーション後の検出時のノイズとなること
また、特許文献1~3のほか、スポット液が乾燥した状態で、析出した無機塩成分等の結晶を撮像し、その画像を処理して品質を検査することも知られている。しかしながら、スポット液が乾燥する時の温湿度の微妙な条件で塩の結晶成長の方向や大きさが変化するため、結晶の状態により塩の観察が困難となる場合があった。また、凸部の上面にスポット液を塗布した際に凸部上面の端に結晶が集中し、実際には凸部上面に選択結合性物質が固定化されているにも関わらず、不良と誤判定される場合もあった。
このため、基板上のDNAに代表される選択結合性物質の検出の際のノイズを生じることなく、そのスポット不良(スポット抜け)を確実に検査することが求められる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、チップの各スポット部分に塗布されるスポット液の良否を確実に判定することができる分析チップの検査方法、検査装置及び分析チップの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明にかかる分析チップの検査方法は、選択結合性物質及び潮解性物質を含む化合物の混合試薬を担体表面の必要な領域に配列に塗布し、前記選択結合性物質を固定化した分析チップの検査方法であって、担体表面上の選択結合性物質の固定化領域に、担体の表面温度における潮解性物質の飽和水溶液の平衡水蒸気圧よりも高い水蒸気圧の空気を供給し、前記潮解性物質を潮解させる潮解ステップと、画像を取得する画像取得手段によって潮解性物質が潮解した前記固定化領域を含む画像を得る画像取得ステップと、前記画像取得手段にて取得した前記画像から前記混合試薬が前記必要な領域に存在するか否かを判定する判定ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる分析チップの検査方法は、上記の発明において、前記判定ステップは、前記画像を輝度に対して設定される第1の閾値に基づいて二値化し、二値化した画像から、一方の値の画素数を第1の計数値として計数し、前記第1の計数値と、該第1の計数値に対して設定される第2の閾値とを比較して、前記混合試薬が前記必要な領域に存在するか否かを判定する、ことを特徴とする。
また、本発明にかかる分析チップの検査方法は、上記の発明において、前記判定ステップは、前記第1の閾値よりも小さい第3の閾値に基づいて前記画像を二値化し、前記固定化領域の間の一方の値の画素数を第2の計数値として計数し、前記第2の計数値と、該第2の計数値に対して設定される第4の閾値とを比較して、前記混合試薬が前記固定化領域の間に存在するか否かを判定する、ことを特徴とする。
また、本発明にかかる分析チップの検査方法は、上記の発明において、前記潮解性物質は、塩類である、ことを特徴とする。
また、本発明にかかる分析チップの検査方法は、上記の発明において、前記選択結合性物質は、DNA、RNA又はタンパク質である、ことを特徴とする。
また、本発明にかかる分析チップの検査装置は、選択結合性物質及び潮解性物質を含む化合物の混合試薬を担体表面の必要な領域に配列に塗布し、前記選択結合性物質を固定化した分析チップの検査装置であって、担体表面上の選択結合性物質の固定化領域に、担体の表面温度における潮解性物質の飽和水溶液の平衡水蒸気圧よりも高い水蒸気圧の空気を供給して、前記担体表面を加湿する加湿ユニットと、画像を取得する画像取得手段によって、前記固定化領域を含む、加湿された空気が供給された前記担体表面の画像を得る画像取得ユニットと、前記画像取得手段にて取得した前記画像から前記混合試薬が前記必要な領域に存在するか否かを判定する解析ユニットと、を備えることを特徴とする。
また、本発明にかかる分析チップの製造方法は、選択結合性物質及び潮解性物質を含む化合物の混合試薬を担体表面の必要な領域に配列に塗布する塗布ステップと、前記混合試薬中の前記選択結合性物質を前記担体表面の必要な領域に固定する固定ステップと、前記混合試薬が前記必要な領域に存在するか否かを判定する検査ステップと、を含み、前記検査ステップは、担体表面上の選択結合性物質の固定化領域に、担体の表面温度における潮解性物質の飽和水溶液の平衡水蒸気圧よりも高い水蒸気圧の空気を供給し、前記潮解性物質を潮解させる潮解ステップと、画像を取得する画像取得手段によって潮解性物質が潮解した前記固定化領域を含む画像を得る画像取得ステップと、前記画像取得手段にて取得した前記画像から前記混合試薬が前記必要な領域に存在するか否かを判定する判定ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、製造時の基板上のDNAに代表される選択結合性物質のスポット検査の際、使用時のノイズを生じることなく、そのスポット不良を、過検出も見逃しもなく確実に検査することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の一実施の形態にかかる分析チップを模式的に示す平面図である。 図2は、図1に示す分析チップのA-A線断面図である。 図3は、本発明の一実施の形態にかかる分析チップの製造方法を説明するフローチャートである。 図4は、本発明の一実施の形態にかかる分析チップのスポット検査装置の構成を示す図である。 図5は、本発明の一実施の形態にかかる分析チップの製造方法におけるスポット検査について説明するフローチャートである。 図6は、画像の二値化によって得られる、正常に塗布されたスポット液の像の一例を示す図である。 図7は、画像の二値化によって得られる、塗布抜けした場合のスポット液の像の一例を示す図である。 図8は、画像の二値化によって得られる、塗布漏れした場合のスポット液の像の一例を示す図である。 図9は、取得された基板画像のうちの一部の凸部群(A)を切り出した画像を示す図である。 図10は、図9に示す凸部群(A)の二値化画像を示す図である。 図11は、図10に示す二値化画像の各スポットにおける白色部分のピクセル数(白ピクセル数)を示すグラフである。 図12は、図10に示す二値化画像における、スポット液が正常に塗布された良スポットと、スポット液が適切に塗布されなかった不良スポットとにおける白ピクセル数を示すグラフである。 図13は、実施例2における凸部群(A)の二値化画像を示す図である。 図14は、比較例にかかる分析チップのスポット検査装置の構成を例示する図である。 図15は、比較例1における凸部群(A)の基板画像を示す図である。 図16は、比較例1における凸部群(A)の二値化画像を示す図である。 図17は、図16に示す二値化画像の各スポットにおける白ピクセル数を示すグラフである。 図18は、図16に示す二値化画像における、スポット液が正常に塗布された良スポットと、スポット液が適切に塗布されなかった不良スポットとにおける白ピクセル数を示すグラフである。 図19は、比較例2における凸部群(B)の基板画像を示す図である。 図20は、実施例3における凸部群(C)の二値化画像を示す図である。 図21は、比較例3における凸部群(C)の二値化画像を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面とともに詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
本発明が対象とする分析チップは、DNAやタンパク質、糖鎖などの選択制結合物質と潮解性の物質を含む試薬(以降スポット液と呼ぶ)をガラスやプラスチックに代表される担体表面に塗布して固定化したものである。
本発明にかかる分析チップは、検体を当該分析チップの反応部に滴下し、被検物質の存在の有無や量、性状等を測定するために用いる。具体的には、担体表面に固定化された選択結合性物質と被検物質との反応により、被検物質の有無や量等を測定する、バイオチップが挙げられる。より具体的には、核酸を担体表面に固定化した分析チップ、抗体に代表されるタンパク質を担体表面に固定化したタンパク質チップ、糖鎖を担体表面に固定化した糖鎖チップ、及び細胞を担体表面に固定化した細胞チップ等が挙げられる。
(実施の形態)
本発明の実施の形態にかかる分析チップについて、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態にかかる分析チップを模式的に示す平面図である。図2は、図1に示す分析チップのA-A線断面図である。図1及び図2示す分析チップ1は、複数の凹凸部11を有する基板10を備える。基板10は、上述した担体に相当する。基板10は、主面の外縁が矩形をなす平板である。ここで、主面とは、平板を構成する6つの面のうち、面積が最も大きい面のことをいう。基板10の材質は、一般的なスライドガラスや同等の大きさのプラスチックの平滑板が好ましく用いられる。また、基板10は、観察時(撮像時)において基板10からの光の反射を抑制するために、表面が、黒色等、光を吸収する色や素材であることが好ましい。
基板10の一方の主面には、複数(図1の例では四つ)の凹凸部11が形成される。凹凸部11には、複数(図1の例では32個)の凸部群12が形成される。凸部群12には、凹凸部11の底面から凸状に突出する複数(図1の例では100個)の凸部13が形成される。ここで凸部13は、被検物質と選択結合性物質とが特異的に結合する場所(又は領域)である。凸部13の上面は、平面をなし、その上面には選択結合性物質を含むスポット液(混合試薬)が塗布される。選択結合性物質は、スポット液中において、凸部13の上面に固定されている。以下、スポット液が塗布された凸部13の上面を、スポットということがある。また、凸部13の上面にスポット液を塗布することを、スポットするということがある。なお、凸部13の上面は、スポット液中の選択結合性物質の固定化領域に相当し、スポット液が塗布されるのに必要な領域である。
本発明における選択結合性物質とは、被検物質と直接的又は間接的に、選択的に結合しうる各種の物質を意味する。被検物質に結合しうる選択結合性物質の代表的な例としては、核酸、タンパク質、ペプチド、糖類、脂質を挙げることができる。
選択結合性物質のうち、核酸としては、DNAやRNAが挙げられ、PNA、LNAでもよい。DNAとしては、染色体DNA、ウイルスDNA、細菌、カビ等のDNA、RNAを逆転写したcDNA、それらの一部である断片等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、RNAとしては、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、スモールRNA、マイクロRNA、それらの一部である断片等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、核酸には、化学的に合成されたDNA又はRNA等も含まれる。特定の塩基配列を有する一本鎖核酸は、該塩基配列又はその一部と相補的な塩基配列を有する一本鎖核酸と選択的にハイブリダイズして結合するので、本発明で言う選択結合性物質に該当する。核酸は、生細胞等天然物由来のものであってもよいし、核酸合成装置により合成されたものであってもよい。生細胞からのDNA又はRNAの調製は、公知の方法、例えばDNAの抽出については、Blinらの方法(Blin et al.,Nucleic Acids Res.3:2303(1976))等により、また、RNAの抽出については、Favaloroらの方法(Favaloro et al.,Methods Enzymol.65:718(1980))等により行うことができる。固定化される核酸としては、鎖状若しくは環状のプラスミドDNAや染色体DNA、これらを制限酵素により若しくは化学的に切断したDNA断片、試験管内で酵素等により合成されたDNA、又は化学合成したオリゴヌクレオチド等を用いることもできる。
タンパク質としては、抗体及びFabフラグメントやF(ab´)2フラグメントのような、抗体の抗原結合性断片、並びに種々の抗原を挙げることができる。抗体やその抗原結合性断片は、対応する抗原と選択的に結合し、抗原は対応する抗体と選択的に結合するので、「選択結合性物質」に該当する。
糖類としては、各種単糖、オリゴ糖、多糖等の糖鎖を挙げることができる。
脂質としては、単純脂質の他、複合脂質であってもよい。
さらに、上記核酸、タンパク質、糖類、脂質以外の抗原性を有する物質を固定化することもできる。また、選択結合性物質として、担体の表面に細胞を固定化してもよい。
これらの選択結合性物質のうち特に好ましいものとして、DNA、RNA、タンパク質、ペプチド、糖、糖鎖、脂質を挙げることができる。
スポット液は、選択結合性物質の他に潮解性を有する物質を含む。潮解性を有する物質は数々あるが、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、亜硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、尿素、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、リン酸等が挙げられる。このうち、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、尿素は選択結合性物質に悪影響を与えず毒性も少ないこと、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)はカルボキシル基とアミノ基の縮合剤であることから、好ましく用いることができる。
スポット液としてEDCと塩化ナトリウムとを混合した溶液は、好ましく用いることができる。EDCの濃度としては10mM~200mMであるが、好ましくは50~100mMである。塩化ナトリウムの溶液の好ましい範囲としては、40~120mMである。
スポット液には、その他バッファー調整用の塩類を含むこともできる。その例としては、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液を用いることができる。
凸部群12の数は、例えば2個、4個、8個等の任意の数に設定することができる。また、凸部群12に設けられる複数の凸部13は、マトリックス状に配置される。凸部13にスポット液を塗布する際、マイクロタイタープレート等に検体を入れておき、例えば4連、6連、8連、12連といったマルチピペットを用いて各凸部13に検体を分注する場合は、凸部13の数はマルチピペットの連数の倍数であること、例えば4の倍数、6の倍数、8の倍数、12の倍数であることが好ましい。
また、凹凸部11は、基板10の大きさに応じて複数個配置される。
なお、分析チップ1は、使用時には図示しないカバー等によって基板10全体、又は凹凸部11が封止される。この際に使用されるカバーは、ガラス、各種のポリマー(例えばポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリオレフィン)、シリコーン等、いずれの材質でもよい。
続いて、分析チップ1の使用方法の一例について説明する。まず、検体から採取したサンプルから遺伝子を抽出する。その後、抽出した遺伝子(被検物質)に蛍光標識を結合させる。蛍光標識が結合したサンプルと、DNAチップ上のスポット液(選択結合性物質)とを反応させる。反応処理では、例えば32℃で数時間、攪拌処理することによって、サンプル中の被検物質と、凸部13の先端面に固定化されている選択結合性物質とを反応させる。撹拌処理では、回転、振動等、又はこれらの組合せで分析チップ1を移動させることによりサンプルを撹拌させたり、分析チップ1を覆うカバー内に封入された撹拌用のビーズを用いて撹拌させたりする。
分析チップ1を攪拌させる撹拌装置は、水平円運動の回転数と回転半径との組合せで1×g以上の遠心加速度を与えることができるものであれば特に限定されない。市販品では、プレートシェーカーを好適に用いることができ、例えば「BioShake5000 elm」、「BioShake 3000-T elm」、「BioShake 3000 elm」(以上、Q Instruments社製)、「モノシェーク」、「テレシェーク」、「テレシェーク1536」(以上、Thermo Scientific製)、「MS3 ベーシック」、「MS3 デジタル」、「VXR basic Vibrax」(登録商標)、「VORTEX 3」(以上、IKA社製)、「マイクロプレートシェーカーN-704」(日伸理化製)、「プレートシェーカーKM-M01」(カジックス製)、「プレートミキサーP-10」(十慈フィールド製)等が挙げられる。
本発明で用いられる被検物質を含む溶液(サンプル)として、血液、血清、血漿、尿、便、髄液、唾液、各種組織液等の体液や、各種飲食物並びにそれらの希釈物等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いられる被検物質としては、測定すべき核酸(標的核酸)、例えば、病原菌やウイルス等の遺伝子や、遺伝病の原因遺伝子等並びにその一部分、抗原性を有する各種生体成分、病原菌やウイルス等に対する抗体等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。例えば、被検物質が核酸の場合はハイブリダイゼーション、タンパク質の場合は抗原抗体反応である。
本発明で用いられるサンプルは、被検物質の有無や量、性状等が確認できる溶液であることが好ましい。具体的には、血液、組織、及び細胞等から回収、抽出、及び精製した核酸、抗体、あるいは糖鎖等を含む溶液が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
被検物質となる核酸は、血液や細胞から抽出した核酸を蛍光物質等で標識してもよいし、該核酸を鋳型とし、PCR等の核酸増幅法によって増幅したものであってもよい。核酸増幅産物を被検物質とする場合には、蛍光物質等で標識したヌクレオシド三リン酸の存在下で増幅を行うことにより、増幅核酸を標識することが可能である。また、被検物質が抗原又は抗体の場合には、被検物質である抗原や抗体を常法により直接標識してもよいし、被検物質である抗原又は抗体を選択結合性物質と結合させた後、担体を洗浄し、該抗原又は抗体と抗原抗体反応する標識した抗体又は抗原を反応させ、担体に結合した標識を測定することもできる。また、増幅されていない核酸を被検物質とする場合は、例えばアルカリホスファターゼにより核酸の5’末端のリン酸基を除去して蛍光物質を標識した被検物質を選択結合性物質と反応させ、結合した標識を測定する方法や、選択結合性物質(捕捉プローブ)により被検物質を捕捉した後、被検物質に蛍光物質等で標識した検出プローブを結合させ、検出プローブの標識を測定する方法(サンドイッチハイブリダイゼーション法)が好適に用いられる。
分析チップ1は、反応処理後、洗浄処理を行って、選択結合性物質とは未反応の被検物質を分析チップ1から除去する。洗浄処理後、チップやスライドグラス専用の一般的な遠心機を用いて、分析チップ1を遠心乾燥させる。
洗浄及び乾燥処理を終えた分析チップ1は、高解像度蛍光検出装置等を用いて画像を読み込み、シグナル強度(蛍光強度)を数値化する。好適に用いられる高解像度蛍光検出装置として、3D-Gene(登録商標) Scanner(東レ)、SureScanマイクロアレイスキャナー(アジレント・テクノロジー)、GenePix(Filgen)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
続いて、分析チップ1の製造方法について、図3~図8を参照して説明する。図3は、本発明の一実施の形態にかかる分析チップの製造方法を説明するフローチャートである。。
分析チップ1の製造にあたり、まず、基板10を準備した後、基板10の表面処理を実施する(ステップS101)。表面処理では、基板10に対し、選択結合性物質が固定化できるように、基板表面に官能基を生成する。例えば、加水分解処理により、基板表面にカルボキシル基を生成する。
表面処理後、各凸部13(スポット)にスポット液を塗布する(ステップS102)。例えば、複数のピンを用いて、凸部の上面にスポット液を塗布する。具体的には、ピンの先端にスポット液を付着させ、付着したスポット液を凸部13の上面に接触させて塗布する。
各凸部13にスポット液を塗布後、架橋反応処理を実施する(ステップS103)。架橋反応によって、凸部13の上面に生成された官能基と選択結合性物質とが架橋して、スポットに選択結合性物質が固定される。
架橋反応処理後、各スポットにおけるスポット液の塗布状態について検査(スポット検査)する(ステップS104)。スポット検査については後述する。
スポット検査後、スポット検査において凸部13の上面にスポット液が適切に塗布されていると判定された分析チップ1に対し、洗浄後に組み立て処理を行う(ステップS105)。組み立て処理では、必要に応じ分析チップ1にカバーを接着し、カバー内にビーズを充填する。
組み立て処理後、出荷処理を実施する(ステップS106)。出荷処理では、製品の包装や、製品検査を実施する。出荷処理を経て、分析チップ1は出荷される。
ここで、上述した製造方法におけるスポット検査(ステップS104)について説明する。図4は、本発明の一実施の形態にかかる分析チップのスポット検査装置の構成を示す図である。
図4に示すスポット検査装置100は、凸部13を含む基板10の画像を取得する画像取得ユニット110と、画像取得ユニット110が取得した画像を解析する解析ユニット120と、画像取得する際に分析チップ1に加湿した空気を供給する加湿ユニット130とを備える。スポット検査装置100は、図示しない制御部の制御のもとで各部が駆動する。
画像取得ユニット110は、光源部111と、光源用電源112と、鏡筒113と、撮像部114とを有する。
光源部111は、LEDや、レーザ光源、ハロゲンランプ等を用いて構成される。光源部111は、光源用電源112から供給される電力によって照明光を発する。光源部111が出射した照明光は、鏡筒113に入射する。
鏡筒113は、対物レンズ、リレーレンズ等が設けられ、光源部111から供給される照明光を分析チップ1に向けて出射するとともに、分析チップ1からの光を取り込んで、撮像部114に導光する。
撮像部114は、鏡筒113に導光された光を受光して、電気信号に変換する。撮像部114は、変換した電気信号を、解析ユニット120に出力する。撮像部114は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、光電子増倍管(photomultiplier tube:PMT)等を用いて構成される。
解析ユニット120は、撮像部114が生成した電気信号に基づいて、分析チップ1の画像を生成したり、この画像を二値化して、スポットにおけるスポット液の塗布状況を判定したりする。解析ユニット120は、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサ、GPU(Graphics Processing Unit)等の専用プロセッサ、FPGA(field-programmable gate array)等のプログラマブルロジックデバイスや、ディスプレイ、入力手段(例えばキーボード)等を用いて構成される。
加湿ユニット130は、ボトル131と、ウォーターバス132と、エアーポンプ133と、送気チューブ134と、加湿チューブ135と、温度計136とを有する。
ボトル131は、水131aと、エアーストーン131bとを収容する。
ウォーターバス132は、設定温度に調整された液体と、ボトル131とを収容する。
エアーポンプ133と送気チューブ134との間には、エアーポンプ133から出力される気体の流量を計測する流量計133aと、エアーポンプ133から出力される気体の流量を調整する流量調整弁133bとが設けられる。
加湿ユニット130では、ウォーターバス132によってボトル131内の水131aの温度が調整される。また、加湿ユニット130では、エアーポンプ133から送気チューブ134を経て水131a内に空気が送り込まれる。送気チューブ134のボトル131側の端部は、エアーストーン131b近傍に配置され、送気チューブ134から放出される空気は、エアーストーン131bに取り込まれる。エアーストーン131bに空気が取り込まれると、エアーストーン131bから微小な泡が排出され、この泡が加湿された空気としてボトル131内を上昇し、加湿チューブ135に流れ込む。加湿チューブ135は、先端が分析チップ1に向けて配置され、チューブ内を通った空気が分析チップ1の各凹凸部11(凸部13)に供給される。この際、ユーザは、温度計136によって水131aの温度を確認できる。
ここで、先に述べたとおり、ピン先端が凸部13に触れず凸部上面にスポット溶液が塗布されない場合のほか、凸部13に塗布されたにもかかわらず、その後の処理により、スポット液が凸部13の上面からこぼれ落ちる場合がある。これらの現象が生じているか否かの検査を実施することが必要である。その検査のため、一般的にスポット液が乾燥した状態で、析出した無機塩成分等の結晶を撮像し、その画像を処理することが行われている。しかしながら、上述したように、スポット液が乾燥する時の温湿度の微妙な条件で塩の結晶成長の方向や大きさが変化するため、結晶の状態により塩の観察が困難となることがある。また、凸部13の上面にスポット液を塗布した際に凸部13上面の端に結晶が集中し、実際には凸部13上面に選択結合性物質が固定化されているにも関わらず、不良と誤判定される場合もある。
そこで、本発明ではスポット溶液に含まれる潮解性物質の潮解作用により、スポット液を液体とした状態で画像を取得する。そうすると、液体のスポット液を撮影するため、塩の結晶のように方向性の問題が生じることはない。また、凸部13上面の端に寄った析出物も潮解して液体になり、凸部13上面で均一となるため、片寄りによるスポット不良の過検出が生じることもない。
潮解性物質を潮解させるためには、担体の表面温度における潮解性物質の飽和水溶液の平衡水蒸気圧よりも高い水蒸気圧の空気を担体表面上の選択結合性物質の固定化領域、即ちスポット溶液が塗布された領域に供給すればよい。例えば塩化ナトリウム(NaCl)の場合、水蒸気圧は20℃、湿度75%RHに該当する。この蒸気圧の空気を供給する方法としては、実施例で示すような水をくぐらせた空気を担体に吹き付ける方法(加湿ユニット130を用いる方法)、装置全体をカバーで覆いその中に加湿機能、又は、加湿及び除湿機能があるエアコンにて調製、管理された温湿度の空気を送り込む方法がある。
図5は、本発明の一実施の形態にかかる分析チップの製造方法におけるスポット検査について説明するフローチャートである。スポット検査では、まず、基板10のスポット液が塗布された領域に加湿した空気を供給する(ステップS201)。上述した加湿ユニット130によって、基板10のスポット液が塗布された領域に加湿した空気を供給する。ここで、加湿した空気(加湿ユニット130によって基板10に共通される空気)は、担体の表面温度における潮解性物質の飽和水溶液の平衡水蒸気圧よりも高い水蒸気圧の空気である。
加湿した空気を供給後、もしくは供給を維持しながら、画像取得ユニット110によって基板10の画像を取得する(ステップS202)。撮像部114は、撮像した画像データを解析ユニット120に出力する。
解析ユニット120は、画像データを取得すると、基板画像を生成し、この基板画像を二値化する(ステップS203)。解析ユニット120は、基板画像の輝度に対し、予め設定されている第1の閾値を境界として二値化した二値化画像を生成する。この二値化画像には、一方の値に白色、他方の値に黒色が割り当てられる。
解析ユニット120は、二値化画像をもとに、スポットを数値化する(ステップS204)。解析ユニット120は、各スポットの領域をそれぞれ抽出し、各スポットにおける白色が割り当てられた画素の数(白ピクセル数)をそれぞれ計数する。
その後、解析ユニット120は、計数された白ピクセル数と、予め設定されている第2の閾値とに基づいて、各スポットの良否判定を行う(ステップS205)。解析ユニット120は、白ピクセル数が閾値未満であれば、対象の凸部13は、スポット液が適切に塗布された良スポット(OK)であると判定する。一方、解析ユニット120は、白ピクセル数が閾値以上であれば、凸部13が、スポット液が適切に塗布されていない不良スポット(NG)であると判定する。解析ユニット120は、各スポットについて良否判定を行う。解析ユニット120は、すべてのスポットについて良否判定を行った後、ステップS106に移行する。
ここで、スポットの良否による二値化画像の差異について、図6~図8を参照して説明する。図6は、画像の二値化によって得られる、正常に塗布されたスポット液の像の一例を示す図である。図7は、画像の二値化によって得られる、塗布抜けした場合のスポット液の像の一例を示す図である。図8は、画像の二値化によって得られる、塗布漏れした場合のスポット液の像の一例を示す図である。
スポット液が適切に塗布されている場合、加湿した空気によってスポット液が凸部13の先端面に広がる。具体的には、スポット液中の潮解性物質が潮解して、凸部13の先端面に広がる。これにより、得られる二値化像は、二値化像G11のように、ほとんどが黒色となり、白ピクセル数が小さくなる(図6参照)。
これに対し、スポット液が適切に塗布されず、塗布抜けしている場合、スポット液が凸部13の先端面には存在しない。これにより、得られる二値化像は、二値化像G12のように、ほとんどが白色となり、白ピクセル数が大きくなる(図7参照)。
また、スポット液が塗布されたものの、一部が凸部13から漏れ落ちている場合、スポット液が凸部13の先端面には一部のみが存在し、残りが凸部13の下方(凹凸部11の底部)に存在する(図8参照)。これにより、得られる二値化像は、二値化像G13のように、適切にスポット液が塗布されている場合(図6参照)よりも白ピクセル数が大きくなり、領域G14のように、スポットの周囲が黒くなる(図8参照)。
本実施の形態では、スポット液が適切に塗布されていると判定する白ピクセル数(第2の閾値)を、二値化像G13の白ピクセル数に基づいて設定する。
図5に戻り、解析ユニット120は、NGと判定されたスポットがあれば(ステップS206:Yes)、ステップS207に移行する。これに対し、解析ユニット120は、NGと判定されたスポットがなければ(ステップS206:No)、ステップS211に移行する。
ステップS207において、解析ユニット120は、基板画像を再び二値化する。ステップS207では、解析ユニット120は、第3の閾値によって基板画像を二値化する。第3の閾値は、第1の閾値よりも輝度値の値を小さくして、スポット間(凹凸部11の底部)に落ちているスポット液が識別できる値に設定される。
ステップS208において、解析ユニット120は、スポット間にスポット液が存在するか否かを判断する。解析ユニット120は、例えば、スポット間の白ピクセル数を計数し、このスポット間の計数値と、予め設定されている第4の閾値とを比較して、スポット間にスポット液が存在するか否かを判断する。第4の閾値は、スポット間(凹凸部11の底部)にスポット液が落ちていない場合の、スポット間の白ピクセル数に基づいて設定される。解析ユニット120は、白ピクセル数が第4の閾値以上の場合(ステップS208:Yes)、スポット間にスポット液があると判断し、ステップS209に移行する。一方、解析ユニット120は、白ピクセル数が第4の閾値未満の場合(ステップS208:No)、スポット間にスポット液はないと判断し、ステップS210に移行する。
ステップS209において、解析ユニット120は、当該分析チップ1が、スポット液塗布後NGとして判定する。スポット液塗布後NGは、凸部13に塗布されたにもかかわらず、その後の処理により、スポット液が凸部13の上面からこぼれ落ちた場合に相当する。
ステップS210において、解析ユニット120は、当該分析チップ1が、スポット液塗布前NGとして判定する。スポット液塗布前NGは、ピン先端が凸部13に触れず凸部上面にスポット溶液が塗布されていない場合に相当する。
また、ステップS211において、解析ユニット120は、当該分析チップ1が良品であると判定する。
以上の処理によって、分析チップ1におけるスポット検査が実施される。解析ユニット120は、当該分析チップ1の判定結果(OK、スポット液塗布前NG、スポット液塗布後NG)を記録又はディスプレイに表示するようにしてもよい。
上述した実施の形態では、スポット液塗布後の分析チップ1に、加湿した空気を供給した状態にして基板画像を撮像し、二値化することによってスポット液が適切に塗布されたか否かを判定するようにした。本実施の形態によれば、製造時の基板上のDNAに代表される選択結合性物質のスポット検査の際、使用時のノイズを生じることなく、そのスポット不良を、過検出も見逃しもなく確実に検査することができる。
なお、上述した実施の形態では、解析ユニット120がスポット液の塗布状態を判定する例を説明したが、ディスプレイに基板画像や二値化画像を表示して、ユーザが目視で判定するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、基板10上に形成された凸部13にスポット液が塗布される構成を例に説明したが、凸部13が形成されない基板の所定の領域にスポット液が塗布される構成に対して、上述したスポット検査を適用することができる。
以下、実施例によって、さらに本発明の詳細を説明する。なお、本実施例により本発明が限定して解釈されるわけではない。
<基板(担体)>
基板10に対応する基板を作製した。基板の外形は75.0×25.4×1.0(mm)であり、基板表面には、4か所の凹凸部(凹凸部11に相当)が存在する。各凹凸部には、4×8の凸部群(凸部群12に相当)が存在している。各凸部群には10×10=100個の凸部(凸部13に相当)が存在し、基板全体では、4×4×8×10×10=12800個の凸部がある。各部位のサイズ及び距離を示す数値は、いずれも単位mmによる表示である。基板材料は、カーボンブラックを含有したポリメチルメタクリレート(PMMA)である。本基板の凸部上面に選択結合性物質(核酸)などを固定化する。
<基板の表面処理>
10Nの水酸化ナトリウム水溶液に基板を65℃で12時間浸漬した。次いで、純水、0.1N HCl水溶液、純水の順で洗浄した。このようにして、基板表面のPMMAの側鎖を加水分解して、カルボキシル基を生成した。
<DNA溶液の調製>
5’末端がアミノ化されている60merのDNA(選択結合性物質に相当)を合成し、下表1に示す組成のスポット液を調製した。
Figure 0007354749000001
なお、EDCは1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、NaClは塩化ナトリウム、DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを示す。
<DNA溶液の塗布及びDNAの固定化>
表1の溶液をスポッティング用ロボットで基板の12800個の凸部の上面全部に塗布した。塗布作業の終了後、顕微鏡で基板を観察したところ、塗布後のスポット液は凸部上面で乾燥していた(温湿度23℃、50%RH)。次いで、基板と少量の水とを密閉したプラスチック容器に入れ、37℃のオーブンに入れ20時間放置した。この間、密閉したプラスチック容器内の湿度は100%RHとなっているため、スポット液は潮解性があるEDC及びNaClの作用により液体となる。この状態において、DNAの5’末端アミノ基と、基板表面のカルボキシル基との縮合反応(架橋反応)が進行し、DNAが基板に固定化される。この際、凸部上面のスポット液の量が多すぎる場合や、凸部に形状の欠陥がある場合、スポット液が凸部の上面からこぼれ落ち、隣の凸部上面のスポット液と混合してしまい不良となる。
37℃で20時間経過後、密閉したプラスチック容器(37℃、100%RH)から23℃、50%RHの雰囲気下に取り出したところ、凸部上面のスポット液は速やかに乾燥した。
(実施例1)
実施例1では、図4に例示するような、加湿ユニット130を有するスポット検査装置100を用いてスポット検査を行った。
上述した方法で作製した基板を固定し、基板を青色LED照明で照射し、テレセントリックレンズ(光学倍率2倍、WD66.7)を装着したCMOSイメージセンサ(解像度2M、2048×1088pixel)にての画像を取得した。取得した画像はパーソナルコンピュータに保存した。
加湿装置(加湿ユニット:図4参照)として容量が2000mlのボトルを準備しそのボトルのフタに直径5mmの穴を2箇所開け、さらに直径6mmの穴を1箇所開けた。フタに開けた直径5mmの穴に750mmのシリコンチューブ(内径3×外径5mm)と、700mmのシリコンチューブ(内径3×外径5mm)とをそれぞれ挿入し、750mmのシリコンチューブにはボトルの内側に入る端面に100mm長のエアーストーンを接続した。直径6mmの穴には温度計の先端が内側となるように挿入した。
ボトルに1200mL(底面から約100mm)の水を注入し、フタを閉めた際にエアーストーンが完全にボトル底へ沈むようシリコンチューブ長を調整した。700mmのシリコンチューブ端面は水に触れないよう水面から約40mm離れた位置に調整した。温度計は測温部が水に触れるように長さを調整した。
700mmのシリコンチューブのボトル外にある端部に1.5Wのエアーポンプを接続し、ボトルとポンプとの間の適当な位置に流量調整弁及び流量計を設置した。
これによって、ポンプを稼働させた後に流量調整弁で流量を調整した空気がボトル内の水底に近いエアーストーンから微少な泡として排出され加湿された空気となり、その後700mmのシリコンチューブから吐出することで局所的に目的の場所へ加湿した空気を供給できる加湿装置(加湿ユニット)となった。
次に、40℃に設定したウォーターバスにボトルを入れボトル内の水温が40℃になるまで静置した。流量調整弁にて空気流量を1L/minに調整し、加湿装置の吐出側チューブと基板との距離を約20mm、角度約45度で吹き付けるようチューブを固定し同時に画像を取得した。このとき吐出チューブからは高湿度の空気が吐出され基板表面のスポット液に含まれる潮解性物質が潮解していることが観察できた。
図9は、取得された基板画像のうちの一部の凸部群(A)を切り出した画像を示す図である。図10は、当該基板画像のデータを二値化して得られた二値化画像のうち、図9に示す凸部群(A)の二値化画像を示す図である。基板画像及び二値化画像では、スポットの位置を示す番号が付されている。例えば、最も左上のスポットは1(0,1)で表され、最も右下のスポットは100(9,10)で表される。図10に示す二値化画像から、スポット番号59、60、79、80、89、90、99、100において、スポット液が適切に塗布されていないことが分かった。
図11は、図10に示す二値化画像の各スポットにおける白色部分のピクセル数(白ピクセル数)を示すグラフである。図11は、図10に示す二値化画像から各スポットの白ピクセル数を計数した結果を示している。図11から分かるように、上記の不良スポットのスポット番号と、その他の良スポットのスポット番号とでは、白ピクセル数の大きさがはっきりと分かれていた。良スポットの白ピクセル数の平均値が195であったのに対し、不良スポットの白ピクセル数の平均値は708であった。
図12は、図10に示す二値化画像における、スポット液が正常に塗布された良スポットと、スポット液が適切に塗布されなかった不良スポットとにおける白ピクセル数を示すグラフである。図12は、良スポット及び不良スポットにおける、各白ピクセル数の平均値と、標準偏差の3倍エラーバーを重畳したグラフである。図12に示すように、良スポットと不良スポットとのエラーバーが重ならず、3倍の標準偏差でスポットの良/不良が完全に区別できる結果となった。これはスポット溶液に高湿度の空気を供給し潮解性物質を潮解することで、スポット溶液が塗布できた凸部上面の数値のバラツキが小さく安定した値を示すようになったためだと考えられる。これによりコンピュータを用いても正確に判断できることが示された。
(実施例2)
実施例2では、実施例1において取得した凸部群(A)の画像(図9参照)を用い、基板の凹凸部(凹凸部11:図1参照)の底面が観察できるように、実施例1よりも二値化に係る閾値を小さく設定して二値化した。図13は、その基板画像の凸部群(A)の二値化画像を示す図である。
図13では、スポット番号59と60との間、79と80との間、及び89と90と99と100との間の凹凸部底面にスポット液の痕跡が確認できた。この結果から、実施例1においてこれらのスポットにスポット液が適切に塗布されていなかったのは、スポット液が塗布された後に凸部からこぼれ落ちたことが原因であると推定された。
(比較例1)
比較例1では、加湿ユニットを有さないスポット検査装置を用いてスポット検査を行った。図14は、スポット検査装置200の構成を例示する図である。図14に示すスポット検査装置200は、上述したスポット検査装置100において、加湿ユニット130を有しない点で異なり、これ以外の構成は同じである。
図15は、取得された基板画像のうち、実施例1と同じ凸部群(A)の画像を切り出した画像を示す図である。図16は、当該基板画像のデータを二値化して得られた二値化画像のうち、図15に示す凸部群(A)の二値化画像を示す図である。図9に示す基板画像と、図15に示す基板画像とは、加湿したか否かによる差異となる。このため、比較例1においても、スポット番号59、60、79、80、89、90、99、100が不良スポットとなる。
図17は、図16に示す二値化画像の各スポットにおける白色部分のピクセル数(白ピクセル数)を示すグラフである。図17は、図16に示す二値化画像から各スポットの白ピクセル数を計数した結果を示している。図17から分かるように、実施例1の場合と比べて、良スポットのスポット番号の白ピクセル数のばらつきが大きくなった。良スポットの白ピクセル数の平均値は416であり、不良スポットの白ピクセル数の平均値は698であった。
図18は、図16に示す二値化画像における、スポット液が正常に塗布された良スポットと、スポット液が適切に塗布されなかった不良スポットとにおける白ピクセル数を示すグラフである。図18は、良スポット及び不良スポットにおける、各白ピクセル数の平均値と、標準偏差の3倍エラーバーを重畳したグラフである。図18に示すように、良スポットと不良スポットとのエラーバーが重なり、3倍の標準偏差にてスポットの良/不良が区別できない結果となった。この結果は、誤判定が0.1%以上生じ得ることを示す。この場合、分析チップ1枚につき10個以上の誤判定スポットが含まれることとなり許容できないと思われる。
(比較例2)
比較例2では、比較例1で取得された基板画像のうち、比較例1(凸部群(B))とは異なる凸部群(B)の画像を切り出した画像を用い、この他は比較例1と同様にしてスポット検査を行った。図19は、当該基板画像を示す図である。スポット番号2、43及び44は、注意深く観察するとNaClの結晶が僅かながら観察されたが、他の凸部上面と比べ色調が薄かったため、目視での検査やコンピュータを用いた画像検査においてスポット溶液が塗布されていないと誤った判断をする可能性がある状態であった。取得した基板画像を十分拡大し観察することで結晶の存在を確認できる場合もあるが、基板1枚に存在する凸部の数が12800個であることを考えると、高頻度で発生した場合には現実的な検査方法にならない。
(実施例3)
実施例3では、実施例1で取得された基板画像のうち、実施例1とは異なる凸部群(C)の画像を切り出した画像を用い、この他は実施例1と同様にしてスポット検査を行った。図20は、当該基板画像のデータを二値化して得られた二値化画像を示す図である。図20に示す二値化画像のとおり、基板画像が、NaCl結晶が潮解した状態で撮像されているため、より正確にスポット液の有無を判定することが可能な画像となっていることが分かった。比較例3で述べるように、例えば、スポット番号78においては、スポット液が塗布されていると正しく判定された。
(比較例3)
比較例3では、比較例1で取得された基板画像のうち、比較例1(凸部群(A))とは異なる凸部群(C)(実施例3と同じ凸部群)の画像を切り出した画像を用い、この他は比較例1と同様にして、加湿ユニットを有さないスポット検査装置を用いてスポット検査を行った。図21は、当該基板画像のデータを二値化して得られた二値化画像のうち、凸部群(C)の二値化画像を示す図である。図21に示す二値化画像からは、スポット番号78において凸部上面に結晶が見られずスポット液が塗布されていないと判定された。一方、上記の実施例3(図20参照)では、同じスポット番号78にはスポット液が塗布されていると判定されており、両結果が一致しなかった。そこで、この基板を使用して実際にハイブリダイゼーションを実施し蛍光観察したところ、スポット番号78には蛍光が観察され、スポット番号78にはスポット液が塗布されていたことが確認された。すなわち、スポット液の有無について、実施例3では正しく判定されたが、比較例3においては誤判定されたことが明らかになった。
本発明の分析チップの検査方法、検査装置及び分析チップの製造方法は、チップの各スポットに塗布されるスポット液の良否を確実に判定することが可能である。従って、本発明は、分析チップの良否判定を正確にできることから、産業上非常に有用である。
1 分析チップ
10 基板
11 凹凸部
12 凸部群
13 凸部
100 スポット検査装置(加湿ユニットあり)
110 画像取得ユニット
120 解析ユニット
130 加湿ユニット
200 スポット検査装置(加湿ユニットなし)

Claims (7)

  1. 選択結合性物質及び潮解性物質を含む化合物の混合試薬を担体表面の必要な領域に配列に塗布し、前記選択結合性物質を固定化した分析チップの検査方法であって、
    担体表面上の選択結合性物質の固定化領域に、担体の表面温度における潮解性物質の飽和水溶液の平衡水蒸気圧よりも高い水蒸気圧の空気を供給し、前記潮解性物質を潮解させる潮解ステップと、
    画像を取得する画像取得手段によって潮解性物質が潮解した前記固定化領域を含む画像を得る画像取得ステップと、
    前記画像取得手段にて取得した前記画像から前記混合試薬が前記必要な領域に存在するか否かを判定する判定ステップと、
    を含むことを特徴とする分析チップの検査方法。
  2. 前記判定ステップは、
    前記画像を輝度に対して設定される第1の閾値に基づいて二値化し、
    二値化した画像から、一方の値の画素数を第1の計数値として計数し、
    前記第1の計数値と、該第1の計数値に対して設定される第2の閾値とを比較して、前記混合試薬が前記必要な領域に存在するか否かを判定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の分析チップの検査方法。
  3. 前記判定ステップは、
    前記第1の閾値よりも小さい第3の閾値に基づいて前記画像を二値化し、
    前記固定化領域の間の一方の値の画素数を第2の計数値として計数し、
    前記第2の計数値と、該第2の計数値に対して設定される第4の閾値とを比較して、前記混合試薬が前記固定化領域の間に存在するか否かを判定する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の分析チップの検査方法。
  4. 前記潮解性物質は、塩類である、
    ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の分析チップの検査方法。
  5. 前記選択結合性物質は、DNA、RNA又はタンパク質である、
    ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の分析チップの検査方法。
  6. 選択結合性物質及び潮解性物質を含む化合物の混合試薬を担体表面の必要な領域に配列に塗布し、前記選択結合性物質を固定化した分析チップの検査装置であって、
    担体表面上の選択結合性物質の固定化領域に、担体の表面温度における潮解性物質の飽和水溶液の平衡水蒸気圧よりも高い水蒸気圧の空気を供給する加湿ユニットと、
    画像を取得する画像取得手段によって、前記固定化領域を含む、加湿された空気が供給された前記担体表面の画像を得る画像取得ユニットと、
    前記画像取得手段にて取得した前記画像から前記混合試薬が前記必要な領域に存在するか否かを判定する解析ユニットと、
    を備えることを特徴とする分析チップの検査装置。
  7. 選択結合性物質及び潮解性物質を含む化合物の混合試薬を担体表面の必要な領域に配列に塗布する塗布ステップと、
    前記混合試薬中の前記選択結合性物質を前記担体表面の必要な領域に固定する固定ステップと、
    前記混合試薬が前記必要な領域に存在するか否かを判定する検査ステップと、
    を含み、
    前記検査ステップは、
    担体表面上の選択結合性物質の固定化領域に、担体の表面温度における潮解性物質の飽和水溶液の平衡水蒸気圧よりも高い水蒸気圧の空気を供給し、前記潮解性物質を潮解させる潮解ステップと、
    画像を取得する画像取得手段によって潮解性物質が潮解した前記固定化領域を含む画像を得る画像取得ステップと、
    前記画像取得手段にて取得した前記画像から前記混合試薬が前記必要な領域に存在するか否かを判定する判定ステップと、
    を含むことを特徴とする分析チップの製造方法。
JP2019186962A 2019-10-10 2019-10-10 分析チップの検査方法、検査装置及び分析チップの製造方法 Active JP7354749B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019186962A JP7354749B2 (ja) 2019-10-10 2019-10-10 分析チップの検査方法、検査装置及び分析チップの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019186962A JP7354749B2 (ja) 2019-10-10 2019-10-10 分析チップの検査方法、検査装置及び分析チップの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021061757A JP2021061757A (ja) 2021-04-22
JP7354749B2 true JP7354749B2 (ja) 2023-10-03

Family

ID=75486019

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019186962A Active JP7354749B2 (ja) 2019-10-10 2019-10-10 分析チップの検査方法、検査装置及び分析チップの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7354749B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20050227358A1 (en) 2004-04-01 2005-10-13 Mcentee John F Methods of determining a quality of an array substrate
US20070072213A1 (en) 2005-09-27 2007-03-29 The University Of Chicago Method and apparatus for implementing non-destructive quality control of substrates and printed biological microarrays, and for implementing quality control and visualizing gel-based microarrays prepared by dispensing gel-forming composition on solid surfaces

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20050227358A1 (en) 2004-04-01 2005-10-13 Mcentee John F Methods of determining a quality of an array substrate
US20070072213A1 (en) 2005-09-27 2007-03-29 The University Of Chicago Method and apparatus for implementing non-destructive quality control of substrates and printed biological microarrays, and for implementing quality control and visualizing gel-based microarrays prepared by dispensing gel-forming composition on solid surfaces

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021061757A (ja) 2021-04-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2135626B1 (en) Strip for multiparametrics assays
WO2007029616A1 (ja) 各種物質保持体、各種物質保持体処理装置、およびその処理方法
KR20180031612A (ko) 반응과 분석을 포함한 단일 진단칩의 고감도 신속진단방법
JP2007534936A (ja) 標的分子とプローブ分子の間の相互作用を分析する装置
JP2004354164A (ja) 微粒子を用いた検体の検査方法及びその検査システム
JP5504587B2 (ja) 分析用チップ
WO2004023117A1 (ja) 生化学的検査用画像処理方法
JP6737177B2 (ja) 分析用チップ
JP7354749B2 (ja) 分析チップの検査方法、検査装置及び分析チップの製造方法
WO2015147004A1 (ja) 分析用チップ
JP2010513862A (ja) バイオアッセイ用基板並びにそのような基板を作製する方法及び装置
JP2007285828A (ja) 検体溶液の撹拌方法
JP5092405B2 (ja) 選択結合性物質固定化担体
JP2007304094A (ja) 分析チップ
US20050227358A1 (en) Methods of determining a quality of an array substrate
JP2009186220A (ja) バイオアレイの検出方法
WO2021162028A1 (ja) バイオチップの製造方法
JP2010210308A (ja) マイクロアレイ用基板およびマイクロアレイ
KR101168166B1 (ko) 생체물질 검출용 소자
JP2003344401A (ja) 生体関連物質の検査方法
JP6187259B2 (ja) 溶液の攪拌方法
JP5145752B2 (ja) 分析チップ
WO2021085454A1 (ja) バイオチップの製造方法
JP2006078413A (ja) プレート及び前記プレートを用いた検査方法
US20240044798A1 (en) Flow cell for analysis of nucleic acid and device for analysis of nucleic acid

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220920

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230728

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230822

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230904

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7354749

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151