JP2010189345A - レジン硬化物製歯科補綴物表面処理用プライマー組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)酸性基含有重合性単量体を5質量%以上含む重合性単量体成分、(B)多価金属イオン、好適には、多価金属イオン溶出性フィラーからの溶出により存在している
(C)揮発性有機溶媒、
(D)水、及び
(E)ヒュームドシリカ
を含有していることを特徴とするレジン硬化物製歯科補綴物表面処理用プライマー組成物。
【選択図】 なし
Description
(A)酸性基含有重合性単量体を5質量%以上含む重合性単量体成分;
(B)多価金属イオン;
(C)揮発性有機溶媒;
(D)水;
(E)ヒュームドシリカ
を含有していることを特徴とするレジン硬化物製歯科補綴物表面処理用プライマー組成物が提供される。
α≧20・X …(I)
式中、αは、前記揮発性有機溶媒(C)の前記重合性単量体成分(A)100質量部当りの配合量であり、
Xは、前記重合性単量体成分(A)1g当りの多価金属イオン(B)の量(meq)を示す数である、
で表される条件を満足するような量で含有していること。
<重合性単量体成分(A)>
本発明において、重合性単量体成分(A)(以下、単に「単量体成分」と呼ぶ)は、このレジン硬化物や接着材として使用されるレジンセメントに対する接着性を付与するために使用される成分であるが、特にレジン硬化物やレジンセメントに対する浸透性を高めるため、重合性単量体成分(A)中の5質量%以上は、酸性基含有重合性単量体(A1)であることが必要である。即ち、酸性基含有重合性単量体(A1)の量が少ない場合には、このプライマー組成物は、レジン硬化物やレジンセメントに対して十分な浸透性を示さず、レジン硬化物製の補綴物にレジンセメントを強固に接着させることが困難となってしまうからである。
酸性基含有重合性単量体(A1):
本発明において、酸性基含有重合性単量体(A1)は、1分子中に少なくとも1つの酸性基と少なくとも1つの重合性不飽和基を持つ化合物であれば特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。
酸性基を含有していない重合性単量体(A2):
単量体(A1)と併用され得る酸性基を含有していない重合性単量体(A2)は、酸性基を含有しておらず且つ分子中に少なくとも一つの重合性不飽和基を有しているという条件を満足している限り、公知の化合物を何等制限無く使用できる。かかる重合性単量体が有している重合性不飽和基としては、前述した単量体(A1)で例示したものと同様のものを挙げることができるが、特にアクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基が好ましい。
1.モノ(メタ)アクリレート系単量体;
メチル(メタ)アクリレート、
エチル(メタ)アクリレート、
グリシジル(メタ)アクリレート、
2−シアノメチル(メタ)アクリレート、
ベンジル(メタ)アクリレート、
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
アリル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
グリシジル(メタ)アクリレート、
3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
グリセリルモノ(メタ)アクリレート、
2−(メタ)アクリルオキシエチルアセチルアセテート等。
2.多官能(メタ)アクリレート系単量体;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、
2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]プロパン、
2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、
2,2’−ビス{4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]フェニル}プロパン、
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、
ウレタン(メタ)アクリレート、
エポキシ(メタ)アクリレート等。
<多価金属イオン(B)>
本発明のプライマー組成物は、成分(B)として多価金属イオンを含有していることが重要である。即ち、多価金属イオンは、酸性基含有重合性単量体の重合物をレジン硬化物である補綴物やレジンセメント中の硬化物成分に対してイオン架橋させるものであり、このようなイオン架橋と重合硬化との相乗効果、特に、該イオン架橋物の作用により、レジンセメントと補綴物との親和性が高められ、レジン硬化物(補綴物)中へのレンジセメントの浸透性が高められることにより高い接着強度を確保することができるのである。
アルミニウム;4〜30%、特に7〜20%
アルカリ土類金属;5〜36%、特に8〜28%
アルカリ金属;0〜10%、特に0〜10%
リン;0.2〜16%、特に0.5〜8%
フッ素;2〜40%、特に4〜40%
酸素;残量
また、上記のアルカリ土類金属中のカルシウムの一部又は全部を、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムで置き換えたものも好適である。さらに、上記のアルカリ金属はナトリウムが最も一般的であるが、その一部または全部をリチウム、カリウム等で置き換えたものも好適である。更に必要に応じて、上記アルミニウムの一部をチタン、イットリウム、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、ランタン等で置き換えたガラスを多価金属フィラーとして使用することも可能である。
<揮発性有機溶媒(C)>
本発明において、揮発性有機溶媒(C)は、各種成分を均一に分散させるために使用される。このような有機溶媒(C)は、前述した単量体成分(A)100質量部当り30〜150質量部の範囲で配合されるのが好ましい。即ち、有機溶媒(C)の配合量が30質量部未満では、このプライマー組成物の均一性が十分でなくなる虞があり、さらに、レジン硬化物(補綴物)への浸透性が低下し、十分な接着力が得られなくなる。
他方、その配合量が150質量部を越えると、補綴物の接着面にプライマー組成物を塗布した後に有機溶媒を除去することが困難となり、また有機溶媒を除去するために過度のエアブローが必要となってしまい、過度のエアブローにより接着成分までもが除去されてしまい、接着成分の濃度の低下によって接着強度の低下が生じるおそれがある。
α≧20・X …(I)
式中、αは、前記水溶性有機溶媒(C)の前記重合性単量体成分(A)100質量部当りの配合量であり、
Xは、前記多価金属イオンの前記重合性単量体成分(A)1g当りの量(meq)を示す数である、
で表される条件を満足するような量で配合されていることが好適である。
α≧25・X …(II)
式中、α及びXは、式(I)で示した通り、
を満足しているのがよい。
<水(D)>
本発明において、成分(D)の水は、各種成分を均一に分散させるための溶媒としての機能を有すると同時に、酸性基含有重合性単量体(A1)と多価金属イオン(B)とのイオン結合の促進の為に必要である。この水は、貯蔵安定性及び医療用成分に有害な不純物を実質的に含まない蒸留水や脱イオン水が好適に使用される。
<ヒュームドシリカ(E)>
本発明においてヒュームドシリカ(E)とは、火炎加水分解法によって製造された非晶質シリカであり、煙霧質シリカとも別名されるものである。具体的には、四塩化ケイ素を酸水素炎中で高温加水分解させることで製造することができる。該方法によって製造されたシリカは、透過型電子顕微鏡で測定した任意の100粒の平均1次粒径が5〜100nm程度であり、緩やかな3次凝集構造をしている。そして、この凝集構造と上記イオン架橋物が水を介して複雑に混合することで、レジンセメントとレジン硬化物との親和性が高められ、レジン硬化物(補綴物)中へのレンジセメントの浸透性が高められるため、本発明のプライマー組成物では、高い接着強度が得られる。一方、シリカ以外の他の無機充填材はもちろんのこと、同じシリカであっても、湿式法、ゾルゲル法、火炎溶融法等の他の製造方法で得られたものは、ヒュームドシリカのようにプライマー組成物中において、緩やかな3次凝集構造が形成され難く、また、粗大な2次凝集粒子を形成する等して、これらのみを用いたのでは、前記ヒュームドシリカを用いる本発明のような優れた接着強度に関する効果は得られない。
<光重合開始剤(F)>
本発明のプライマー組成物は、レジンセメントとの接着性をさらに向上させるために、この組成物に光重合開始剤(F)を配合することができる。このような光重合開始剤(F)としては、そのもの自身が光照射によってラジカル種を生成する化合物や、このような化合物に重合促進剤を加えた混合物が使用される。
カンファーキノン、ベンジル、α−ナフチル、アセトナフテン、
ナフトキノン、1,4−フェナントレンキノン、
3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン等。
2,4−ジエチルチオキサントン等。
2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、
2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、
2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、
2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、
2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン−1、
2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン等。
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、
ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等。
N,N−ジメチルアニリン、
N,N−ジエチルアニリン、
N,N−ジ−n−ブチルアニリン、
N,N−ジベンジルアニリン、
N,N−ジメチル−p−トルイジン、
N,N−ジエチル−p−トルイジン、
N,N−ジメチル−m−トルイジン、
p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、
m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、
p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、
p−ジメチルアミノアセトフェノン、
p−ジメチルアミノ安息香酸、
p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、
p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル、
N,N−ジメチルアンスラニックアシッドメチルエステル、
N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、
N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、
p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、
p−ジメチルアミノスチルベン、
N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、
4−ジメチルアミノピリジン、
N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、
N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、
トリブチルアミン、
トリプロピルアミン、
トリエチルアミン、
N−メチルジエタノールアミン、
N−エチルジエタノールアミン、
N,N−ジメチルヘキシルアミン、
N,N−ジメチルドデシルアミン、
N,N−ジメチルステアリルアミン、
N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、
2,2'−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等。
<その他の配合剤>
本発明のプライマー組成物には、その性能を低下させない範囲で、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の高分子化合物などの有機増粘材を添加することが可能である。
<プライマー組成物の施用>
本発明のプライマー組成物は、例えば、多価金属イオン(B)、揮発性有機溶媒(C)及び水(D)の配合量が前述した所定の範囲内に調整されているものは、多価金属イオンによるゲル化が有効に抑制され、保存安定性に優れているため、各成分が一括で混合され、1液の状態、即ち、ワンパッケージの形態で密封容器に保存され、使用時に容器から所定量を取り出して所定部位に施用される。即ち、使用に際して、各成分を混合する面倒な操作は必要でなく、歯科医師などの労力を軽減し、しかも、安定して一定の接着強度を確保することができる。尚、各成分の配合量比が所定の範囲外である場合には、保存安定性が損なわれるため、例えば酸性基含有重合性単量体成分(A1)と多価金属イオン成分(B)とを別個のパーケージで保存し、他の成分は、(A1)或いは(B)が収容された何れかのパッケージ、或いは適当な量比で両方のパッケージに混合されて保存され、使用時に各成分が混合されることとなる。
<硬化レジン製補綴物>
本発明において、上述したプライマー組成物により処理されるレジン硬化物製補綴物は、樹脂成分を硬化して形成されるものであれば、特に制限されず、それ自体公知の歯科用硬化性組成物を硬化して得られるものであってよい。例えば、このような硬化組成物は、一般に、ラジカル重合性単量体と無機フィラーを主成分として含むものである。
<レジンセメント>
歯の修復部位に補綴物を接着固定するために用いるレジンセメントは、歯科用接着材として公知であり、例えば、特開平5−170618号公報、特開平6−16520号公報、特開平8−319209号公報、特開平9−3109号公報、特開2002−161013号公報、特開2003−96122号公報等に記載されているペースト状の硬化性組成物であり、光照射、加熱等により硬化させることにより、補綴物と歯質或いは補綴物同士の接着に使用される。
<プライマーキット>
既に述べたように、各成分の使用量が所定割合に調整された本発明のプライマー組成物では、これを、所定の密封容器に収容してワンパッケージの形態で、レジン硬化物製補綴物のプライマーとして使用されるが、酸性基含有重合性単量体を含有しているため、その他の補綴物に対してもある程度の接着性を示す(該単量体が補綴物中の金属原子と水素結合を形成するからである)。従って、他の補綴物に対して効果的な接着性成分を添加することにより、他の補綴物に対するプライマー、例えば、卑金属合金製補綴物、貴金属合金製補綴物、或いはセラミックス製補綴物のプライマーとしての使用も可能である。
R1は、水素原子またはメチル基であり、
R2は、炭素数1〜12のアルキレン基、−CH2−C6H4−CH2基、−(CH2)p−Si(CH3)2−(CH2)q−基(但し、p及びqは1〜5の整数)であり、
Z1は、−O−CO−基、−OCH2−基または−OCH2−C6H4−基であり、
Z2は、−O−CO−基、−C6H4−基または結合手(基R2と不飽和炭素とが直接結合していること)であり、
Yは、−S−、−O−または−N(R’)−である(但し、R’は、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である)。
<重合性単量体成分(A)>
[酸性基含有重合性単量体(A1)]
PM:2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェートとビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェートとの2:1の混合物
MDP:10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
MAC−10:11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸
4−META:4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸
[酸性基を含有しない重合性単量体(A2)]
D26E:2,2′−ビス(4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル)プロパン
BisGMA:2,2′−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
AAEM:2−メタクリルオキシエチルアセチルアセテート
[多価金属フィラー]
MF1:製造例1で得た多価金属フィラー
(平均粒径:0.5μm、24時間溶出イオン量:10meq/g−フィラー)
MF2:製造例2で得た多価金属フィラー
(平均粒径:0.5μm、24時間溶出イオン量:25meq/g−フィラー)
MF3:製造例3で得た多価金属フィラー
(平均粒径:0.5μm、24時間溶出イオン量:50meq/g−フィラー)
[多価金属のアルコキシド等]
アルミニウムトリイソプロポキシド:Al(O−iPr)3
アルミニウムヒドロキシド:Al(OH)3
ランタントリイソプロポキシド:La(O−i−Pr)3
ランタンヒドロキシド:La(OH)3
スカンジウムトリイソプロポキシド:Sc(O−i−Pr)3
イッテルビウムトリイソプロポキシド:Yb(O−i−Pr)3
マグネシウムヒドロキシド:Mg(OH)2
カルシウムヒドロキシド:Ca(OH)2
バリウムヒドロキシド:Ba(OH)2
チタニウムテトライソプロポキシド:Ti(O−i−Pr)4
ジルコニウムテトライソプロポキシドZr(O−i−Pr)4
バナジウム(III)テトラキスアセチルアセトナト:V(acac)3
クロミウム(III)トリイソプロポキシド:Cr(O−i−Pr)3
マンガン(III)テトラキスアセチルアセトナト:Mn(acac)3
鉄(III)エトキシド:Fe(OEt)3
コバルト(III)テトラキスアセチルアセトナト:Co(acac)3
ニッケル(II)テトラキスアセチルアセトナト:Ni(acac)2
銅(II)エトキシド:Cu(OEt)2
亜鉛ビス(2−メトキシエトキシド):Zn(OCH2CH2OMe)2
エチルアルコール:Et−OH
イソプロピルアルコール:IPA
アセトン
<ヒュームドシリカ(E)>
FS1:平均1次粒径18nm、比表面積220m2/g、シラノール基数5個/nm2
FS2:平均1次粒径18nm、比表面積120m2/g、メチルトリクロロシラン処理、シラノール基数1.2個/nm2
FS3:平均1次粒径18nm、比表面積200m2/g、ジメチルシラン及びジクロロヘキサメチルジシラザン処理、シラノール基数1個/nm2
FS4:平均1次粒径40nm、比表面積50m2/g、メチルトリクロロシラン処理、シラノール基数1.3個/nm2
<その他シリカ粒子>
MS:溶融シリカ、平均1次粒径0.4μm、比表面積8m2/g、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン処理、シラノール基数2個/nm2
SS:ゾルゲルシリカ、平均1次粒径60nm、比表面積70m2/g、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン処理、シラノール基数3個/nm2
PS:沈降シリカ、30nm、比表面積180m2/g、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン処理、シラノール基数>5個/nm2
CQ:カンファーキノン
DMBE:p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
<重合禁止剤>
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
<その他の配合剤>
[硫黄系単量体]
MTU−6:6−メタクリロイルオキシヘキシル−2−チオウラシル−5−カルボキシレート
[シランカップリング剤]
MPS:3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
<レジン硬化物製補綴物に対する接着性>
市販の歯科用レジンとしてトクヤマデンタル製「パールエステ」を用意し、この歯科用レジンを、10×10×3mmのポリテトラフルオロエチレン製モールドに充填し、透明ポリプロピレンフィルムを圧接して酸素を遮断した状態で光重合及び加熱重合(100℃×15分)を連続して行い、レジン硬化体を作製した。
<歯科用合金製補綴物に対する接着性>
卑金属合金製の被着体としてトクヤマデンタル製歯科用コバルト−クロム合金「ワクローム」(10×10×3mm)、及び貴金属合金製の被着体としてトクヤマデンタル製歯科用金−銀−パラジウム合金「金パラ12」(10×10×3mm)を用意した。
<セラミックス製補綴物に対する接着性>
セラミックス製の被着体としてトクヤマデンタル製歯科用陶材「セラエステ」(10×10×3mm)を用意した。
<多価金属イオン量の測定>
試料のプライマー組成物を、調製直後から24時間攪拌し、この後、100mlのサンプル管に試料のプライマー組成物を計り取り、IPAを用いて1容量%に希釈した。
<保存安定性の評価>
プライマー組成物を調製後、37℃のインキュベーター内で3ヶ月間保存した後、この組成物を用いて、上記した接着強度測定方法と同様の方法を用いてレジン硬化物に対する接着強度を測定し、37℃保存前の組成物の接着強度(初期接着強度)と比較した。また、該保存品の析出物の有無、およびゲル化状態を目視にて観察し、下記評価基準に従って保存安定性を評価した。
<評価基準>
1 ; 析出物なし、ゲル化なし
2 ; 僅かに析出物あり、ゲル化なし
3 ; 析出物あり、ゲル化なし
4 ; 析出物あり、一部ゲル化
5 ; 全体がゲル化
下記処方1(プライマーA):
酸性基含有重合性単量体(A1):2.5gのPM
重合性単量体(A2):3.0gのBisGMA、2.0gの3G、2.5gのHEMA
揮発性有機溶媒(C):3.0gのイソプロパノール(IPA)
ヒュームドシリカ(E):1.0gのFS2
その他の成分:0.003gのBHT(重合禁止剤)
下記処方2(プライマーB):
多価金属イオン(B)供給源:0.21gのアルミニウムトリイソプロポキシド
揮発性有機溶媒(C):7.0gのイソプロパノール(IPA)
水(D):2.0gの蒸留水
に従い、それぞれ上記各成分を攪拌混合し、2液型プライマー組成物を調製した。使用直前に上記2液を等質量ずつ採取、混合して均一溶液とする態様とし、このプライマー組成物について、多価金属イオン(Alイオン)濃度、レジン硬化物製の補綴物に対する接着強度、及び保存安定性(接着強度のみ)を測定し、その結果を表1に示した。
<実施例2〜6、比較例1〜2>
処方を、表1のように変更した以外は、実施例1と全く同様にして2液型プライマー組成物を調製し、且つ同様にしてプライマー組成物の評価を行い、その結果を表1に示した。
下記処方:
酸性基含有重合性単量体(A1):2.5gのPM
重合性単量体(A2):3.0gのBisGMA、2.0gの3G、2.5gのHEMA
多価金属イオン(B)供給源:0.28gのアルミニウムトリイソプロポキシド
揮発性有機溶媒(C):4.0gのイソプロパノール(IPA)
水(D):1.5gの蒸留水
ヒュームドシリカ(E):1.0gのFS2
その他の成分:0.003gのBHT(重合禁止剤)
に従い、上記各成分を攪拌混合し、1液型プライマー組成物を調製した。なお、このプライマー組成物について、多価金属イオン(Alイオン)濃度、レジン硬化物製の補綴物に対する接着強度、及び保存安定性を測定し、その結果を表3に示した。
<実施例8〜28>
処方を、表2のように変更した以外は、実施例7と全く同様にしてプライマー組成物を調製し、且つ同様にしてプライマー組成物の評価を行い、その結果を表3に示した。
<比較例3>
多価金属イオン(B)供給源を全く配合しなかった以外は、実施例7と同様にしてプライマー組成物を調製し、且つ同様にしてプライマー組成物の評価を行い、その結果を表5に示した。
<比較例4〜9>
処方を、表4のように変更した以外は、実施例7と全く同様にしてプライマー組成物を調製し、且つ同様にしてプライマー組成物の評価を行い、その結果を表5に示した。
フルオロアルミノシリケートガラス粉末(トクソーアイオノマー、トクヤマデンタル社製)を、湿式の連続型ボールミル(ニューマイミル、三井鉱山社製)を用いて平均粒径0.5μmまで粉砕し、得られた粉末1gに対して、20gの
5.0N塩酸を使用し、粒子表面を40分間処理して多価金属フィラー(多価金属イオン溶出性フィラー)MF1を得た。
<製造例2>:多価金属フィラーMF2の製造
5.0N塩酸での処理時間を20分間とした以外は製造例1と全く同様にして、多価金属フィラーMF2を得た。ICP発光分光分析の結果、この多価金属フィラーMF2の24時間溶出イオン量は25meq/g−フィラーであった。
<製造例3>:多価金属フィラーMF3の製造
塩酸での処理を全く行わなかった以外は製造例1(或いは製造例2)と全く同様にして、多価金属フィラーMF3を得た。ICP発光分光分析の結果、この多価金属フィラーMF3の24時間溶出イオン量は50meq/g−フィラーであった。
<実施例29>
下記処方:
酸性基含有重合性単量体(A1):3.0gのPM
重合性単量体(A2):2.4gのBisGMA、1.6gの3G、3.0gのHEMA
多価金属イオン(B)供給源:製造例1で調製された多価金属イオン溶出性フィラーMF1(0.38g)
揮発性有機溶媒(C):8.5gのイソプロパノール(IPA)
水(D):2.0gの蒸留水
ヒュームドシリカ(E):1.0gのFS2
その他の成分:0.003gのBHT(重合禁止剤)
に従い、上記各成分を攪拌混合し、1液型プライマー組成物を調製した。このプライマー組成物について、多価金属イオン濃度、レジン硬化物製の補綴物に対する接着強度、及び保存安定性を測定し、その結果を表7に示した。
<実施例30〜40>
処方を、表6のように変更した以外は、実施例29と全く同様にしてプライマー組成物を調製し、且つ同様にしてプライマー組成物の評価を行い、その結果を表7に示した。
硫黄系単量体としてMTU−6を用意し、これを有機溶媒(IPA)に溶解させ、MTU−6が1質量%の適合性拡張プライマー助剤を調製した。
<応用実験例2>
シランカップリング剤(MPS)を使用し、これを有機溶媒(IPA)に溶解させ、MPSが4質量%の適合性拡張プライマー助剤を調製した。
<応用実験例3>
硫黄系単量体としてMTU−6を、シランカップリング剤としてMPSを用意し、これを有機溶媒(IPA)に溶解させ、MTU−6およびMPSがそれぞれ1質量%、4質量%の適合性拡張プライマー助剤を調製した。
Claims (8)
- (A)酸性基含有重合性単量体を5質量%以上含む重合性単量体成分;
(B)多価金属イオン;
(C)揮発性有機溶媒;
(D)水;
(E)ヒュームドシリカ
を含有していることを特徴とするレジン硬化物製歯科補綴物表面処理用プライマー組成物。 - 前記多価金属イオン(B)の含有量が、前記重合性単量体成分(A)1g当り0.2〜7.0meqとなるような量であり、
前記揮発性有機溶媒(C)を、前記重合性単量体成分(A)100質量部当り30〜150質量部の範囲で含有しており、
前記水(D)を、前記重合性単量体成分(A)100質量部当り3〜30質量部の量で含有しており、
前記ヒュームドシリカ(E)は前記重合性単量体成分(A)100質量部当り0.5〜20質量部の量で配合していると共に、
前記各成分を混合して1液としてワンパッケージで保存される請求項1に記載のプライマー組成物。 - 前記揮発性有機溶媒(C)を、下記式(I):
α≧20・X …(I)
式中、αは、前記揮発性有機溶媒(C)の前記重合性単量体成分(A)100質量部当りの配合量であり、
Xは、前記重合性単量体成分(A)1g当りの多価金属イオン(B)の量(meq)を示す数である、
で表される条件を満足するような量で含有している請求項2に記載のプライマー組成物。 - 前記多価金属イオン(B)が、多価金属イオン溶出性フィラーからの溶出により存在している請求項1〜3のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
- 前記多価金属イオン溶出性フィラーは、該フィラー0.1gを10重量%マレイン酸水溶液10mlに加えて23℃で24時間保持したときの多価金属イオン溶出量が5.0〜500meq/g−フィラーを示すものである請求項1〜4のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
- 前記重合性単量体成分(A)中の酸性基含有重合性単量体が、リン酸基を含有する重合性単量体である請求項1〜5のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
- さらに(F)光重合開始剤を含有している請求項1〜6のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のプライマー組成物が収容されたパッケージと、硫黄原子含有重合性単量体及び/又はシランカップリング剤並びに揮発性有機溶媒とからなる適合性拡張用プライマー助剤が収容されたパッケージとからなり、前記硫黄原子含有重合性単量体が、互変異性によりメルカプト基を生じるラジカル重合性化合物、ラジカル重合性ジスルフィド化合物及びラジカル重合性チオエーテル化合物からなる群より選択された少なくとも1種である歯科補綴物用プライマーキット。
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