JP2010046266A - 歯列矯正用接着材 - Google Patents

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静香 安間
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Abstract

【課題】歯列矯正部材を用いた一連の歯列矯正治療において、切削性に優れ、糸引の少ない歯列矯正用接着材を提供する。
【解決手段】疎水化されたヒュームドシリカ(A1)を10〜50質量%と平均粒径が0.5μm以上である不定形充填材(A2)を50〜90質量%とからなる充填材(A)を100〜250質量部と、酸性基を含有する単量体を含まない重合性単量体(B)を100質量部と、光重合開始剤(C)を0.01〜10質量部と、を含んでなることを特徴とする歯列矯正用接着材。
【選択図】なし

Description

本発明は歯列矯正用に用いる接着材に関する。更に詳述すれば、本発明は、歯列矯正部材を無柱エナメル質に装着する歯科矯正治療等に用いる接着材に関する。
ブラケット等の歯列矯正部材を用いる歯列矯正治療においては、歯列矯正部材を歯面に装着する操作から治療が開始される。歯列矯正用部材を歯面に装着する際、一般に、歯列矯正部材の基部に歯列矯正用接着材と呼ばれるものを塗布した後、矯正部材の基部を矯正されるべき歯面に圧接する。矯正部材を歯面に圧接すると、矯正部材の基部周縁の歯面上に余剰の接着材が溢れ出る(以下余剰接着材という)。この余剰接着材の硬化物が、治療期間中にう蝕の原因となることを防ぎ、また治療後に矯正部材を撤去する際に歯質に余分な負担をかけないために、矯正部材を歯面に圧接した後、速やかにこの硬化前の余剰接着材を除去する必要がある。
一方、歯列が改善され治療が終了した際には、ブラケット等の歯列矯正部材を歯面から撤去する必要がある。また、治療中に思いがけず歯列矯正部材が歯面より脱落する場合がある。このような場合、しばしば歯面に接着材の硬化物が貼付いたまま残存する。
この様な問題を回避するため、通常矯正部材を歯面に圧接した後、余剰接着材が硬化する前にこれを歯面から除去することが行われている。余剰接着材の除去は、従来短針等の専用器具を用いて行われている。しかし、従来の歯列矯正用接着材は、短針等の専用器具で余剰接着材を除く際に、接着材自体が連続する糸状に伸びる、所謂糸引きと呼ばれる現象が起こる。この糸引きと呼ばれる現象は余剰接着材の除去を困難にし、臨床上において術者に対する負担になっている。
この糸引きと呼ばれる現象は、ペースト状の接着材の性状、特に充填材の形状や充填率の高さ、重合性単量体の成分が及ぼす影響に拠るところが大きい(以下、この糸引きと呼ばれる現象について、糸引きと呼ばれる現象が大きい場合は「キレ性が悪い」、糸引きが小さい場合または糸引きと呼ばれる現象が無い場合は「キレ性が良い」と表現する。)。
他方、上述の歯面に残存した接着材硬化物はバーやエンジン等の専用器具で切削することにより撤去されるが、従来の接着材は充填材の充填率(接着材全質量に対する充填材の配合率(質量%))が高いために接着材硬化物が硬くて歯面から撤去し難く、この硬化物の撤去は術者の負担となっていた。さらに、接着材硬化物が硬くて撤去し難いので、場合によっては歯面を傷付けたり、歯質の破損を招いたりすることがある(以下、残存接着材硬化物の切削による撤去のし易さを、撤去が容易な場合は「切削性が良い」、撤去が困難な場合は「切削性が悪い」と表現する)。
これまでに、充填材としてヒュームドシリカを配合した歯列矯正用接着材が提案されている(特許文献1)。しかし該発明は、その使用前後で色彩を変化させることを目的として発明されたもので、この接着材は、ヒュームドシリカの含有量が実質的に少量である。従って、接着材のキレ性を向上させるためには必然的にヒュームドシリカ以外の硬度の高い充填材の充填率を高める必要があるが、この場合は切削性が悪くなり、本発明の目的とするキレ性が良く、しかも切削性がよい接着材は得られていない。
一方、同じくヒュームドシリカを充填材として使用する歯列矯正用接着材に関する発明として、特許文献2が提案されている。該発明は、酸成分を必須成分としており、実際に酸性基含有重合性単量体を組成物中に配合している。しかし、酸性分を配合すると接着材のキレ性は悪くなる。さらにヒュームドシリカの添加量も少量であることから他の充填材の充填率を上げざるを得ず、やはり本発明の目的とするキレ性が良く、しかも切削性がよい接着材は得られていない。
特表2004−510796号公報 (特許請求の範囲) 特表2005−529637号公報 (特許請求の範囲)
本発明が解決しようとする課題は、歯列矯正部材を用いる一連の歯列矯正治療に使用する場合、キレ性や切削性等に関する操作性に優れた歯列矯正用接着材を提供することにある。
本発明者らは、上記技術課題を克服すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のヒュームドシリカ、特定粒径の不定形充填材、酸性基を含有する単量体を含まない重合性単量体、及び光重合開始剤を特定質量割合とする歯列矯正用接着材を使用すれば、一連の歯列矯正治療において操作性に優れる歯列矯正部材用接着材が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
上記目的を達成する本発明は、以下に記載のものである。
〔1〕 疎水化されたヒュームドシリカ(A1)を10〜50質量%と平均粒径が0.5μm以上である不定形充填材(A2)を50〜90質量%とからなる充填材(A)を100〜240質量部と、酸性基を含有する単量体を含まない重合性単量体(B)を100質量部と、光重合開始剤(C)を0.01〜10質量部と、を含んでなることを特徴とする歯列矯正用接着材。
〔2〕 前記酸性基を含有する単量体を含まない重合性単量体(B)が、下記式(1)
−X−H …………(1)
〔式(1)中、Xは窒素N、リンP、酸素O、硫黄Sより選ばれる元素である。〕
で示される基を有する重合性単量体(B1)を5〜30質量%含んでなる上記歯列矯正用接着材。
本発明の歯列矯正用接着材は、酸性成分を含まないのでキレ性が良く、歯列矯正部材を歯面に圧接した後、余剰接着材を除去する際に、術者は操作性良く余剰接着材を除去できる。
また、本発明の歯列矯正用接着材は疎水化されたヒュームドシリカと不定形充填材とを所定の割合で配合しているので、切削性が高い。
従って、本発明の歯列矯正用接着材は、歯牙のような生体硬組織と歯列矯正部材とを接着させるのに好適に使用することができ、従来行われていた一連の歯列矯正治療をより簡便に行うことができる。
本発明の接着材の最大の特徴は、歯列矯正部材を歯面に装着する際に余剰接着材の除去作業における、キレ性の向上と、治療終了時の部材撤去の際の残存する接着材の硬化体の切削性の向上を両立させている点にある。
これらの特徴を両立させるために、本接着材においては、充填材(A)(以下「(A)成分」ともいう)、酸性基を含有する単量体を含まない重合性単量体(B)(以下「(B)成分」ともいう)、及び光重合開始剤(C)(以下「(C)成分」ともいう)を、所定の割合で接着材組成物中に配合している。
充填材(A)は、疎水化されたヒュームドシリカ(A1)成分と、平均粒径が0.5μm以上である不定形充填材(A2)成分とからなる。
本接着材は、(A)成分と、(B)成分とを必須としてこれらを組み合わせているため、従来の接着材のように一連の歯列矯正治療におけるキレ性の悪さや切削性の悪さ等の操作性の不具合を伴うことなく、治療に用いることができる。
疎水化されたヒュームドシリカ(A1)
(A1)成分である疎水化されたヒュームドシリカは、一般に乾式シリカや煙霧質シリカと呼ばれる非晶質のシリカがシランカップリング剤に代表される表面処理剤で疎水化されたものである。疎水化により、重合性単量体とのなじみを良くし、機械的強度や耐水性を向上させている。本発明では、斯様な性状の疎水化されたヒュームドシリカを、充填材(A)中において一定以上の割合で含有させることにより、全体として該充填材(A)の充填率を過度に高めることなく、接着材のキレ性を高度に保持することを可能にしている。ヒュームドシリカの疎水化の方法は公知の方法で行えばよい。
シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが好適に用いられる。
(A1)成分の1次粒径は、0.5〜30nmであることが好ましく、1〜20nmであることがより好ましい。
(A1)成分のBET法により測定された比表面積は、50〜400m/gであることが好ましく、100〜300m/gであることがより好ましい。
(A1)成分の嵩密度は、20〜150g/Lであることが好ましく、30〜100g/Lであることがより好ましい。ここで、(A1)成分の嵩密度は、200mlのシリンダー(内径30mm)に8分目ほど(A1)成分を入れ30回タッピングを行い、20分間静置し、その後の質量と体積との比の値を言う。
ヒュームドシリカの疎水化の程度は、修飾疎水度で表示される。修飾疎水度は、シリカ系粒子0.1gを完全に懸濁し得る5mLの水を含むメタノール水溶液の中で、最もメタノール含有率が低い水溶液におけるメタノールの体積%濃度として定義される。
ヒュームドシリカの修飾疎水度は、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。
(A)成分である充填材中に占める(A1)疎水化されたヒュームドシリカの割合は、10〜50質量%であり、好ましくは15〜40質量%である。
(A1)成分は、A2成分と比較して大幅に嵩密度が小さく(嵩高く)、強度が小さい。従って、(A1)成分が10質量%より少ない場合、接着材のキレ性を保つためにA2成分をより多く配合することになり、その結果、硬化体の切削性は悪くなり、好ましくない。
(A1)成分が50質量%より多い場合は、得られる硬化体の強度が低下するため、好ましくない。
不定形充填材(A2)
本発明の(A)成分中の(A2)成分は不定形充填材であり、不定形であるため、球形粒子であるような場合よりもキレ性が向上する。ここで、不定形充填材とは、一定形状に揃わない、角を持つ形状の充填材であり、通常は、粉砕フィラーが該当する。かかる不定形充填材としては、無機系フィラー、有機系フィラー、複合体フィラー等がある。
無機系フィラーとしては、石英、クリストバライト、トリジマイト、スティショバイト、コーサイト等の結晶質シリカ;非晶質シリカ;非晶質シリカを基材とし、Al23、B23、TiO2、ZrO2、BaO、La23、SrO2、CaO、P25などの非晶質金属酸化物を含有する、セラミックスおよびガラス類が例示される。ガラス類としては、ランタンガラス、バリウムガラス、アルミノシリケートガラス、ストロンチウムガラス、ソーダガラス、リチウムボロシリケートガラス、亜鉛ガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、バイオガラスが好ましい。これらの外、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、酸化チタン、酸化イットリウム、ジルコニア、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化イッテルビウムも好ましい。
有機系フィラーとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、多官能メタクリレートの重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴムが例示される。
無機系フィラーと有機系フィラーとの複合体フィラーとしては、有機系フィラーに上記無機系フィラーを分散させたもの、上記無機系フィラーを種々の重合性単量体にてコーティングしたものが例示される。
無機系フィラーは、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で疎水化することで重合性単量体とのなじみを良くし、機械的強度や耐水性を向上させることができる。疎水化の方法は前記のように公知の方法で行えばよく、シランカップリング剤も前記と同様のものを用いることが出来る。
(A2)成分の中でも、切削性の良好さからより好ましくは非晶質の無機系フィラーであり、特に、非晶質シリカ;非晶質シリカを基材とし、Al23、B23、TiO2、ZrO2、BaO、La23、SrO2、CaO、P25などの非晶質金属酸化物を含有する、セラミックスおよびガラス類が最適である。また、上記非晶質の無機系フィラーが分散する有機無機複合フィラーも好適である。
である。
(A2)成分の平均粒径は0.5〜200μmが好ましく、0.7〜100μmがより好ましく、1〜50μmが最も好ましい範囲である。ここで、(A2)成分の平均粒径は、レーザー散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した値を言う。平均粒径とは、粒径−体積積算分布において、積算分布の値が50%となる粒径である値を言う。平均粒径が0.5μm未満であると組成物の硬化体強度が低下するため好ましくない。平均粒径が200μm以上であると硬化体強度が高くなりすぎるため好ましくない。
(A)成分である充填材中に占める(A2)成分の割合は、50〜90質量%であり、好ましくは60〜85質量%である。(A2)成分が50質量%未満の場合は、キレ性が低下し硬化体強度も低下する。(A2)成分が90質量%を超える場合は、組成物の充填率が高くなって、切削性の低下を招く。
(A)成分の充填材は、(A1)成分と(A2)成分とから選ばれる各成分を1種ずつ配合してもよく、複数種類を組み合わせて配合してもよい。その配合量は、(B)成分の酸性基を含有するものを含まない重合性単量体100質量部に対して、100〜250質量部の範囲であり、好ましくは120〜230質量部の範囲である。100質量部未満では、キレ性が低下し、強度向上効果も十分に得られず、250質量部を超えると充填材量が過剰となり切削性の低下を招く。
酸性基を含有する単量体を含まない重合性単量体(B)
本発明において、(B)成分である酸性基を含有する単量体を含まない重合性単量体は、分子中に少なくとも一つの重合性不飽和基を持ち、且つ、分子中に酸性基(スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸残基等)を含まない重合性単量体(酸性基非含有重合性単量体)からなり、酸性基を有する重合性単量体(酸性基含有重合性単量体)は実質的に含有しない重合性単量体成分である。このように重合性単量体成分として、酸性基非含有重合性単量体を用いることにより、接着材のキレ性をより向上させることができる。
(B)成分の有する重合性不飽和基としては、例えば、アクリルオキシ基、メタクリルオキシ基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ビニル基、アリル基、エチニル基、スチリル基等を挙げることができる。これらのうち、特にアクリルオキシ基、メタクリルオキシ基が好ましい。
このような酸性基非含有重合性単量体としては、公知の化合物を何等制限無く使用できる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート系単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート系単量体等を挙げることができる。
更に、上記(メタ)アクリレート系単量体以外の重合性単量体を混合して重合することも可能である。これらの他の重合性単量体を例示すると、スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等のスチレン、α−メチルスチレン誘導体;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート等のアリル化合物等を挙げることができる。これらの重合性単量体は単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
上記その他の(B)成分として使用できる重合性単量体の中でも好適なものはアクリレート系モノマー、メタアクリレート系モノマーである。
本発明において、(B)成分である酸性基を含有するものを含まない重合性単量体は、下記式(2)で示される官能基を有する重合性単量体(B1)を配合するのが好ましい。

−X−H …………(1)

式(1)中、Xは窒素N、リンP、酸素O、硫黄Sより選ばれる元素である。
この式(1)で示される官能基は、分子内または分子外の陽子受容体(他の極性基の原子)と水素結合を形成して、本接着材の粘度を高める作用を有する。そのため、該式(1)で示される官能基を有する重合性単量体(B1)を一定割合で配合すると、接着材の垂れ防止作用が向上して、歯面への塗布性が向上するため好ましい。ただし、余り過剰に配合すると、粘度が高まりすぎて接着材のキレ性の低下を招く虞もあるため、上述した(B1)成分は、(B)成分中5〜30質量%含有することが好ましく、7〜27質量%含有することがより好ましく、10〜25質量%含有することが特に好ましい。
なお、上記(B1)成分において、式(2)で示される官能基のXが窒素N又は酸素Oである場合には、接着材の重合活性をより高める効果も発揮される。したがって、これらの(B1)成分を配合させることは、接着材の接着強度を高める観点からも、より好ましい。
上述の(B1)成分として好適に使用できる化合物の具体例を示すと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート((メタ)アクリレートはメチルアクリレート及びメチルメタアクリレートを指す。以下も同様に表記する。)、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,2−エタンジチオールモノ(メタ)アクリレート、1,2,3−プロパントリチオールモノ(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ウレタンモノ(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート系単量体;2,2−ビス[(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピロキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス{4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}プロパン、1,2,3−プロパントリオールジ(メタ)アクリレート、1,2,3−プロパントリチオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ビス((メタ)アクリルエチルオキシカルボニルアミノ)2,2,4−トリエチルヘキサン、1,6−ビス((メタ)アクリルエチルオキシカルボニルアミノ)2,4,4−トリエチルヘキサン等の多官能(メタ)アクリレート系単量体;N−(ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(ジエチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
上記(B1)成分として使用できる重合性単量体の中でも好適なものはアクリレート系モノマー、メタアクリレート系モノマーである。
光重合開始剤(C)
本発明の歯列矯正用接着材に使用する(C)成分の光重合開始剤としては、化合物そのものが光照射によって分解しラジカル種を生成する化合物や、これに重合促進剤を加えた系からなる公知の光重合開始剤系が挙げられる。
化合物そのものが光照射にともない分解して、重合可能なラジカル種を生成する化合物としては、カンファーキノン、ベンジル、α−ナフチル、アセトナフテン、ナフトキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン等のα−ジケトン類、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン類、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン等のα−アミノアセトフェノン類、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4 ,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,4−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(o−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(p−ブトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ビフェニリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s −トリアジン、2−[2−{N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−エチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−{N,N−ジアリルアミノ}エトキシ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のトリハロメチル基置換s−トリアジン化合物、ジフェニルヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−メトキシフェニル)ヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、p−イソプロピルフェニル−p−メチルフェニルヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニル)ヨードニウム、p−tert−ブチルフェニルフェニルヨードニウム、p−メトキシフェニルフェニルヨードニウム、p−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウム、p−フェノキシフェニルフェニルヨードニウム等のカチオンと、クロリド、ブロミド、ベンゼンスルホナート、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート等のアニオンからなる塩等のアリールヨードニウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド等のアシルフォスフィンオキシド誘導体等が好適に使用され、その他、特許文献・特開2005−213231号公報に記載の公知のラジカル種を生成する化合物が何ら制限なく使用できる。
重合促進剤としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル、N,N−ジメチルアンスラニックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、p−ジメチルアミノスチルベン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等の第三級アミン類、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類、ドデシルメルカプタン、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等のメルカプト化合物を挙げることができ、その他、特許文献・特開2005−213231号公報に記載の公知の重合促進剤が何ら制限なく使用できる。
その他、特許文献・特開2005−213231号公報に記載の光重合を促進する化合物が、何ら制限なく使用できる。
上記光重合開始剤の配合量は、好ましくは、本発明の(B)成分である重合性単量体100質量部に対して、0.01〜10質量部で、好ましくは0.1〜5質量部である。光重合開始剤の配合量が0.01質量部より少ないと、硬化性が著しく低下する。光重合開始剤の量が10質量部より多いと、硬化体の強度が低下する。
本発明の歯列矯正用接着材には、その他の任意成分としてさらに重合禁止剤を配合してもよい。重合禁止剤は公知のものを制限なく配合できる。重合禁止剤の配合量は、(B)成分である重合性単量体100質量部に対して0.001〜5質量部で、0.01〜3質量部が好ましい。重合禁止剤の配合量が、(B)成分100質量部に対して5質量部を超えると、接着材の硬化の際に硬化不良を起こす。
また、本発明の歯列矯正用接着材には、その他の任意成分として紫外線吸収剤、染料、帯電防止剤、顔料、香料等の各種添加剤を必要に応じて選択して配合できる。
以上説明した各成分からなる本発明の歯列矯正用接着材は、(A)〜(C)成分を1剤として提供されることが好ましい。
本発明の歯列矯正用接着材は、使用に際しては、公知の術式に基づいて使用されれば良い。
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中に示した、略称、略号、及びキレ性試験、切削性試験、垂れ性試験及び表面硬度測定方法等は以下に記載する。
(1)略称及び略号
[重合性単量体]
〔酸性基非含有重合性単量体(B)〕
D−2.6E;ビスフェノールAポリエトキシメタクリレート
3G;トリエチレングリコールジメタクリレート
<式(1)で示される基を有するもの(B1)>
Bis−GMA;2,2−ビス[(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピロキシ)フェニル]プロパン
UDMA;1,6−ビス((メタ)アクリルエチルオキシカルボニルアミノ)2,2,4−トリエチルヘキサン
〔酸性基含有重合性単量体〕
PM;2−メタクリロイロキシエチルジハイドロジェンホスフェート(PM1)とビス(2−メタクリロイロキシエチル)ハイドロジェンホスフェート(PM2)の混合物
MAC−10;11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸
[光重合開始剤(C)]
CQ;カンファーキノン
DMBE;4−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル
MDEOA;N−メチルジエタノールアミン
TAZ;2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
[重合禁止剤]
BHT;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
[ヒュームドシリカ(A1)]
FS1;疎水化されたヒュームドシリカ(モノメチルトリクロロシランで疎水化処理、1次粒径15nm、比表面積120m/g、嵩密度50g/L、修飾疎水度47%、レオロシールMT−10、トクヤマ製)
FS2;疎水化されたヒュームドシリカ(トクヤマ製親水性ヒュームドシリカQS−102をジメチルジクロロシランで疎水化処理、1次粒径12nm、比表面積180m/g、嵩密度50g/L、修飾疎水度55%)
FS3;疎水化されたヒュームドシリカ(トクヤマ製親水性ヒュームドシリカQS−30をジメチルジクロロシランおよびヘキサメチルジシラザンで疎水化処理、1次粒径7nm、比表面積200m/g、嵩密度70g/L、修飾疎水度62%)
[その他のヒュームドシリカ]
FS4;疎水化未処理ヒュームドシリカ(1次粒径12nm、比表面積200m/g、嵩密度50g/L、修飾疎水度0%、レオロシールQS−102、トクヤマ製)
[不定形充填材(A2)]
(非晶質のもの)
FA;シリカ−ジルコニアフィラー、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン疎水化処理物(平均粒径4μm)
FB;バリウムガラス、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン疎水化処理物(平均粒径5μm)
FC;フルオロアルミノシリケートグラス(平均粒径3μm)
フルオロアルミノシリケートガラス粉末(トクソーアイオノマー、 トクヤマデンタル社製)を湿式の連続型ボールミル(ニューマイミル、三井鉱山社製)を用いて平均粒径3μmまで粉砕し、その後粉末1gに対して、20gの5.0N塩酸でフィラー表面を20分間処理し、FCを得た。
(結晶質のもの)
FD;石英、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン疎水化処理物(平均粒径5μm)
[球状充填材(非晶質)]
FE;シリカ−ジルコニアフィラー、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン疎水化処理物(平均粒径0.4μm)
(2)歯列矯正用接着材のキレ性試験
屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去し、歯頚部を切断した試験片を、常温硬化樹脂(株式会社ナノファクター製)を用いて20mmφのアルミリングに樹脂包埋した。該試験片表面を♯600の耐水性研磨紙を用いて研磨した。金属製矯正用ブラケット(中切歯用、デンツプライ三金製)の接着基部(面積、10.5mm)に歯列矯正用接着材を塗布し、これを上記牛歯研磨表面に圧接した。接着面からはみ出した余剰接着材をピンセットの先端で除去した。この除去した際のキレ性の良さについて、非常に良いものを◎、良いものを○、糸引きが激しいものを×の3段階評価した。
(3)歯列矯正用接着材の切削性試験
屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去し、歯頚部を切断した試験片を、常温硬化樹脂(株式会社ナノファクター製)を用いて20mmφのアルミリングに樹脂包埋した。該試験片表面を♯600の耐水性研磨紙を用いて研磨した。該牛歯研磨表面に歯列矯正用接着材0.1gを塗布し、ハロゲン光照射器(トクソーパワーライト、トクヤマ社製)を使用して10秒間光照射した。該硬化物を、歯科技工用マイクロエンジンを用い、カーバイドバー、シリコーンポイントを使用して切削した。この切削した際の切削性の良さを、非常に良いもの(切削感が軽いもの)を◎、良いもの(切削感が許容のもの)を○、悪いもの(切削感が硬く、手が痛くなるもの)を×として3段階評価した。
(4)歯列矯正用接着材の垂れ性試験
歯列矯正用接着材をスライドグラス上の始線に0.03±0.0005g添加した。該スライドグラスを37℃、湿度100%の条件下で10分間、直立に保持した。10分後、接着材の始線からの移動距離を測定し垂れ性距離とし、垂れ性距離が0mmのものを◎、垂れ性距離が0.01〜0.1mmのものを○、垂れ性距離が0.1mmより大きいものを×として、3段階評価した。
(5)表面硬度測定(Hv)
φ7mm×1mmの孔を形成したポリアセタール製モールドに歯列矯正用接着材を填入し、ポリエステルフィルムで挟んで圧接し、ハロゲン光照射器(パワーライト、トクヤマ社製)で表面を10秒間光照射した。微小硬度計(MHT−1型、松沢精機製)を用いて、100g30秒の荷重条件でできたくぼみの対角線長さ(d)を測定し、表面硬度を求めた。硬度は下記式を用いて求めた。

Hv=1854.37×100g/d

[実施例1]
(製造例1)
重合性単量体として、酸性基非含有重合性単量体(B)である、7.0gのD−2.6E、3.0gの3Gを混合し、(C)成分として0.02gのCQ、0.03gのDMBEを添加し、更に0.01gのBHTを添加した。均一になるまで撹拌し、マトリックスモノマーを調製した。撹拌終了後、(A1)成分として4.6gのFS2と、(A2)成分として18.44gのFAとを秤量し、メノウ製乳鉢内で混合し混合充填材を得た。該混合充填材に前記マトリックスモノマーを徐々に添加して混合することにより、歯列矯正用接着材中の充填材の充填率が69.5質量%の歯列矯正用接着材を得た。
該歯列矯正用接着材を用いて、キレ性、切削性、垂れ性、表面硬度を評価した。接着材の組成を表1に、評価結果を表4に示す。
実施例1の製造方法に準じて、実施例2〜23の歯列矯正用接着材を製造し、キレ性、切削性、垂れ性、表面硬度を評価した。接着材の組成を表1および表2に、評価結果を表4に示す。
[比較例1]
(製造例2)
実施例1(製造例1)の製造方法に準じて歯列矯正用接着材の製造を行なった。酸性基含有重合性単量体として1.0gのPM、(B)成分として6.0gのD−2.6E、3.0gの3Gを混合し、(C)成分として0.02gのCQ、0.03gのDMBEを添加し、更に0.01gのBHTを添加し、均一になるまで撹拌してマトリックスモノマーを調製した。撹拌終了後、(A1)成分として3.84gのFS2、(A2)成分として15.37gのFAを秤量し、メノウ製乳鉢内で混合して混合充填材を得た。該混合充填材に前記マトリックスモノマーを徐々に添加し、混合することで充填率65.6質量%の歯列矯正用接着材を得た。
該歯列矯正用接着材を用いて、キレ性、切削性、垂れ性、表面硬度を評価した。接着材の組成を表3に、評価結果を表5に示す。
同じく実施例1の製造方法に準じて、比較例2〜9の歯列矯正用接着材を製造し、キレ性、切削性、垂れ性、表面硬度を評価した。接着材の組成を表3に、評価結果を表5に示す。
表5において、比較例1〜3は、酸性基含有重合性単量体を含むので、酸性基含有重合性単量体を含まない実施例1〜3と比較し、接着材のキレ性が悪い。
比較例4は、疎水化されていないヒュームドシリカを使用しているので、キレ性が悪い。
比較例5、6は、ヒュームドシリカを配合していないので、比較例5は切削性が悪く、比較例6はキレ性が悪い。
比較例7は、平均粒径が0.5μm以上である不定形充填材を含まず、代わりに形状が球状である充填材FEを配合しているので、キレ性が悪い。
比較例8、9は、充填材(A1):(A2)の量比が、本発明の範囲を逸脱しているので、比較例8は切削性が悪く、比較例9はキレ性が悪い。
表4および表5に示した結果から明らかなように、本発明の歯列矯正用接着材は、キレ性、切削性、垂れ性が良好であった。
Figure 2010046266
Figure 2010046266
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Figure 2010046266
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Claims (2)

  1. 疎水化されたヒュームドシリカ(A1)を10〜50質量%と平均粒径が0.5μm以上である不定形充填材(A2)を50〜90質量%とからなる充填材(A)を100〜250質量部と、
    酸性基を含有する単量体を含まない重合性単量体(B)を100質量部と、
    光重合開始剤(C)を0.01〜10質量部と、
    を含んでなることを特徴とする歯列矯正用接着材。
  2. 酸性基を含有する単量体を含まない重合性単量体(B)が、下記式(1)
    −X−H …………(1)
    〔式(1)中、Xは窒素N、リンP、酸素O、硫黄Sより選ばれる元素である。〕
    で示される基を有する重合性単量体(B1)を5〜30質量%含んでなる請求項1に記載の歯列矯正用接着材。
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