JP2010188403A - 形状凍結性に優れたアルミニウム合金板材のプレス成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
しわ押さえ荷重を付与しながらハット型断面形状に曲げ加工するアルミニウム合金板材のプレス成形において、形状凍結不良(スプリングバック)を低減させて良好な形状凍結性を実現するためのプレス成形方法を提供する。
【解決手段】
しわ押さえ荷重を付与しながらハット型断面形状に曲げ加工するアルミニウム合金板材のプレス成形方法において、パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積をfとするとき、成形開始時点から全ストロークの90%位置に到るまでの間はパンチ荷重PをfのA%以下(但し、A≦45)に制御すると共に、全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。)においてパンチ荷重PをfのB%(但し、77≦B≦90、かつ、(B/A)≧2)にまで高めるように制御するものであることを特徴とするアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
【選択図】図6

Description

本発明は、アルミニウム合金板材のプレス成形方法に係わり、特に、しわ押さえ荷重を付与しながらハット型断面形状に曲げ加工するアルミニウム合金板材のプレス成形においてパンチ荷重が所定範囲内となるようにしわ押さえ荷重及び加工速度を制御することによってスプリングバックを低減させて良好な形状凍結性を実現するためのプレス成形方法に関する。
近年、車体軽量化のために自動車部品にアルミニウム合金板材が適用されつつあるが、アルミニウム合金板材を自動車部品に成形する際に発生する形状凍結不良(スプリングバック)が問題になっている。この形状凍結不良は、最終製品の外観品質(部品間の建付け隙間の均一性の問題を含む。)を著しく損なうばかりでなく、成形後に行われる組立作業において溶接不良の原因ともなる。このため、プレス成形時の形状凍結不良の改善が切望されている。
曲げ加工で観察される形状凍結不良であるスプリングバックは、曲げ加工時に金型内のワークに生じた残留応力が除荷時に弾性回復変形するために生ずる現象で、成形終了時点での残留応力が板厚方向に不均一に分布することが原因である。
ハット型断面形状の部品をU字型の曲げ加工用金型を用いて成形した際に、型から開放するとワークのスプリングバックにより、角度変化、壁反りを生じる。この問題を解決するため、特許文献1にはプレス成形時のしわ押さえ力(本願に言う「しわ押さえ荷重」に相当する。)及びポンチ速度(本願に言う「加工速度」に相当する。)を調節することによって寸法精度の高い(スプリングバックの小さい)成形品を得る成形方法が開示されている。
特開2006−61980号公報
特許文献1には、しわ押さえ力及びポンチ速度を調節することにより寸法精度を向上させる(スプリングバックを低減させる)発明が開示されている。しかし、本願発明者等は実験を重ね鋭意検討した結果、特許文献1に示されているように単にしわ押さえ力及びポンチ速度のみに着目して、それらをストロークの途中で変化させたとしても、スプリングバックを抑制できない場合があることを見出した。即ち、潤滑剤として用いる防錆油或いはプレス油等の特質(粘度、組成など)等にも着目して、それらを考慮した検討が必要であることが分かった。
而して、本願発明者等は、しわ押さえ荷重を付与しながらハット型断面形状に曲げ加工するアルミニウム合金板材のプレス成形において、スプリングバックの発生がパンチ荷重と密接に関連していることを洞見し、その知見に基づき、プレス成形時のパンチ荷重が所定範囲内となるようにしわ押さえ荷重及び加工速度等を調整制御することによってこそスプリングバックを低減させて良好な形状凍結性を確保することが可能になることを明らかにし、本発明をなしたものである。
即ち、スプリングバックを低減させるためには、曲げ加工の過程において発生した板厚方向の応力差を減少させることが効果的であるが、それは、特に成形ストロークの終盤においてワークに対して引張応力を負荷することによって実現させることが出来る。そして、ワークに対して引張応力を発生させるべく直接対応しているのはパンチ荷重であるから、従って、この目的を達成するためにはパンチ荷重を用いて検討することこそが理に適っているといえるのである。
次に、パンチ荷重は、単にしわ押さえ荷重(特許文献1でいう「しわ押さえ力」。)及び加工速度(特許文献1でいう「ポンチ速度」。)だけで決定されるものではなく、アルミニウム合金板材の材料特性はもちろん、潤滑剤(防錆油、プレス油等)の特質(粘度、組成、その他)などにも依存して、それらが総合的に反映されて決定されるものであることを、以下に説明する。
しわ押さえ荷重を付与しながらハット型断面形状に曲げ加工するアルミニウム合金板材のプレス成形では、フランジ部においてワークの塑性変形抵抗荷重としわ押さえによる摩擦荷重が、また、ダイ肩部においてワークの塑性変形抵抗荷重と曲げ曲げ戻し抵抗荷重と摩擦荷重が発生している。それらの荷重が側壁部のワークを伝播し、そして、ワークとパンチ肩部が接している部分を介してパンチに伝わる。合算されたそれらの荷重がパンチ荷重となる。言い換えれば、パンチ荷重は、上記各部位で発生している荷重が側壁部のワークを伝播して、そして、ワークとパンチ肩部が接している部分を介してパンチが受けた荷重である。
上記した各種荷重の中で、しわ押さえによる摩擦荷重について見ると、これは金型とワークとの間の摩擦係数としわ押さえ荷重との積である。その摩擦係数は、金型内のワークの摺動速度(即ち、これは加工速度(特許文献1でいう「ポンチ速度」。)に比例する。)に依存すると共に、しかし、それだけでなく、潤滑剤に用いている防錆油又はプレス油等の粘度、組成などにも大きく依存するのである。例えば、同じしわ押さえ荷重且つ同じ加工速度でも、高粘度のプレス油では摩擦係数が低くて摩擦荷重が小さいが、低粘度の防錆油では摩擦係数が高くて摩擦荷重が大きくなる。従って、同じしわ押さえ荷重且つ同じ加工速度でも、高粘度のプレス油ではパンチ荷重が小さいが、低粘度の防錆油ではパンチ荷重が大きいということになるのである。
即ち、パンチ荷重は、単にしわ押さえ荷重(特許文献1でいう「しわ押さえ力」。)及び加工速度(特許文献1でいう「ポンチ速度」。)だけで決定されるものではなく、アルミニウム合金板材の材料特性はもちろん、潤滑剤(防錆油、プレス油等)の特質(粘度、組成、その他)などにも依存して、それらが総合的に反映されて決定されるのである。
即ち、以上に詳細に説明したように、しわ押さえ荷重を付与しながらハット型断面形状に曲げ加工するアルミニウム合金板材のプレス成形においてスプリングバックを抑制するには、パンチ荷重に着目してそれを制御することこそが重要なのである。換言すれば、パンチ荷重に影響を及ぼす因子の中で、しわ押さえ荷重(特許文献1でいう「しわ押さえ力」。)及び加工速度(特許文献1でいう「ポンチ速度」。)のみを考慮したのでは不十分で、他にもパンチ荷重に影響を及ぼす因子として、アルミニウム合金板材の材料特性はもちろん、潤滑剤(防錆油、プレス油等)の特質(粘度、組成、その他)なども考慮に入れる必要が有るのである。
具体的には、本発明は次の通りである。
(1)しわ押さえ荷重を付与しながらハット型断面形状に曲げ加工するアルミニウム合金板材のプレス成形方法において、パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積をfとするとき、成形開始時点から全ストロークの90%位置に到るまでの間はパンチ荷重PをfのA%以下(但し、A≦45)に制御すると共に、全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。)においてパンチ荷重PをfのB%(但し、77≦B≦90、かつ、(B/A)≧2)にまで高めるように制御するものであることを特徴とするアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
(2)成形開始時点から全ストロークの90%位置に到るまでの間はパンチ荷重PをfのA%以下(但し、A≦30)に制御すると共に、全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。)においてパンチ荷重PをfのB%(但し、77≦B≦90、かつ、(B/A)≧3)にまで高めるように制御するものであることを特徴とする前記(1)に記載のアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
(3)パンチ荷重を所定の値に制御する手段がしわ押さえ荷重及び加工速度の調整制御であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
(4)パンチ荷重測定手段でパンチ荷重を測定し、それが所定の値になるように測定したパンチ荷重に基づきしわ押さえ荷重及び加工速度を調整制御することを特徴とする前記(3)に記載のアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
(5)パンチ荷重測定手段がパンチ内に設置されているものであることを特徴とする前記(4)に記載のアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
(6)加工速度の調整制御がサーボ駆動にて実現されるものであることを特徴とする前記(3)乃至前記(5)のいずれかの項に記載のアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
(7)しわ押さえ荷重の調整制御がサーボ駆動にて実現されるものであることを特徴とする前記(3)乃至前記(6)のいずれかの項に記載のアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
(8)金型とアルミニウム合金板材との潤滑剤として防錆油若しくはプレス油又はその双方を使用していることを特徴とする前記(1)乃至前記(7)のいずれかの項に記載のアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
(9)ワークに用いるアルミニウム合金板材が5000系アルミニウム合金又は6000系アルミニウム合金であることを特徴とする前記(1)乃至前記(8)のいずれかの項に記載のアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
本発明法により、しわ押さえ荷重を付与しながらハット型断面形状に曲げ加工するアルミニウム合金板材のプレス成形において、スプリングバックを低減させて良好な形状凍結性を確保することができる。
実施例及び比較例のプレス成形に用いたプレス機械の概要構成を示す模式図である。 プレス成形におけるハット型断面を示す。 パンチ荷重測定装置の構成を示す模式図である。 実施例1の本発明例1及び比較例1に係るしわ押さえ荷重を示すグラフである。 実施例1の本発明例1及び比較例1に係る加工速度を示すグラフである。 実施例1の本発明例1に係るパンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値P/fを示すグラフである。 実施例1の比較例1に係るパンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値P/fを示すグラフである。 実施例1で成形したパネルの外観を示す写真である。 実施例2の本発明例2に係る加工速度を示すグラフである。 実施例2の本発明例2に係るパンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値P/fを示すグラフである。 実施例2で成形したパネルの外観を示す写真である。 実施例3の本発明例3に係るパンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値P/fを示すグラフである。 実施例3の比較例2に係るパンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値P/fを示すグラフである。 実施例3で成形したパネルの外観を示す写真である。 実施例4の本発明例4に係るパンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値P/fを示すグラフである。 実施例4で成形したパネルの外観を示す写真である。 比較例の比較例3〜8に係るしわ押さえ荷重を示すグラフである。 比較例の比較例3〜5に係るパンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値P/fを示すグラフである。 比較例の比較例6〜8に係るパンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値P/fを示すグラフである。 比較例3〜5で成形したパネルの外観を示す写真である。 比較例6〜8で成形したパネルの外観を示す写真である。
前記した通り、スプリングバックを低減させるためには、曲げ加工の過程において発生した板厚方向の応力差を減少させることが効果的であるが、それは、パンチ荷重を増してワークに引張応力を負荷することによって実現させることが出来る。
パンチ荷重を増し始める時期については、曲げ加工の進行がほぼ完了したと見なせる成形ストロークの終盤であることが好ましい。何故ならば、せっかく引張応力を負荷して板厚方向の応力差を減少させ得たとしても、その後において更に曲げ加工が進行するならばワークには再び板厚方向の応力差が発生して来てしまうからである。従って、曲げ加工の進行を極力完了させるべく可能な限り遅い段階までパンチ荷重を低く保っておくことが望ましい。なお、後に説明するように、出来るだけ遅い段階までパンチ荷重を低く保っておくことは、片寄れ防止の観点からも好ましい。
しかし、パンチ荷重を増し始める起点が遅くなり過ぎると、ストロークの終点、即ち成形終了時点に到っても、パンチ荷重を所定の値にまで高めることが出来なくなってしまう。
パンチ荷重は、上に説明した事情から理解できるように厳密にどの時点から増し始めなければならないというものではないが、おおよそ全ストロークの90%程度に到った時点から増し始めるのが良い。パンチ荷重を増し始める起点は出来るだけ成形ストロークの後段階に持って来て、かつ、成形終了時点にはパンチ荷重を確実に所定値にまで高め得るという、上記した相反する2つの命題を勘案しつつ検討した結果、パンチ荷重を増し始める時期は全ストロークの90%位置を超えた時点とすれば良いことが分かった。
増大させるべきパンチ荷重の大きさについては、検討の結果、パンチ荷重Pをfの77%以上にすることにより、スプリングバックを著しく低減できて目的を果たせることが分かった。
但し、増大させた後のパンチ荷重Pをfの90%以上にしても、スプリングバックの抑制効果はそれ以上には向上せず、むしろパンチ肩部での極端な板厚減少が生じる可能性が高くなる。
従って、成形ストロークの終盤(全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。))において、スプリングバック低減の目的でワークに引張応力を負荷するためにパンチ荷重PをfのB%にまで高めるというときの、Bの値については、77≦B≦90となるように制御することが好ましい。
ここで重要なことは、上記したパンチ荷重の増大のさせ方としては、それを増大させるべき成形ストロークの終盤におけるその時点まではパンチ荷重はなるべく低く保っておいて、その時点に到った時に一挙にそれを高めるようなやり方とすることが肝要である。即ち、その時点まではパンチ荷重をなるべく低く保つことにより曲げ加工が出来るだけスムーズに進むようにして、曲げ加工の進行は極力その時までに完了させるようにしておくことが望ましい。何故ならば、上にパンチ荷重を増し始める時期について説明した箇所でも述べた通り、せっかく引張応力を負荷して板厚方向の応力差を減少させ得たとしても、その後において更に曲げ加工が進行するならばワークには再び板厚方向の応力差が発生して来てしまうからである。一たびパンチ荷重を増大させて、ワークに引張応力を負荷したならば、その後においてはもはや曲げ加工の進行は無いようにすることが好ましい。
そこで、成形ストロークの終盤(全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。))においてパンチ荷重を増大させるとき、成形開始時点から全ストロークの90%位置に到るまでの間のパンチ荷重PをfのA%以下に制御すると共に、全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。)においてパンチ荷重PをfのB%(但し、77≦B≦90。)にまで高めるとすれば、(B/A)≧2、好ましくは(B/A)≧3となし得る程に、A〜B間には大きさの差が存在することが望ましい。
前記したところ(段落0028)に従ってBを77〜90に制御しようとすれば、(B/A)≧2となすためには、Aは高々45、即ちA≦45としなければならず、また、(B/A)≧3となすためには、Aは高々30、即ちA≦30としなければならない。
ところで、ハット型断面形状の部品をU字型の曲げ加工用金型を用いてプレス成形する場合、パンチ荷重が大きくなることは、フランジ部での摩擦荷重が大きくなることであり、このことは、金型の両側にある左右のフランジ部摩擦荷重の間に不均衡が生じて来てしまう蓋然性が高くなることを意味する。即ち、ワークの流入が非対称になり、ワークがずれながら成形される現象(以後『片寄れ』という。)が生じ易くなってくる。
いったん片寄れが生じるとその非対称性はその後の加工で更に増幅されていくので、特にストロークの早い段階で生じた片寄れほど、その弊害は大きい。従って、特にストロークの早い段階でのパンチ荷重はなるべく低く抑えることが望ましい。パンチ荷重がfの30%を超えると片寄れが生じ易くなり、パンチ荷重がfの50%を超えると片寄れが生じる頻度は極めて高くなる。従って、片寄れ防止の点からは、パンチ荷重をfの50%以下、好ましくはfの30%以下に制御することが望ましい。
この値は、上述したスプリングバック低減のための要請である(B/A)≧2、好ましくは(B/A)≧3を満足するために必要となって来た条件(A≦45、好ましくはA≦30)ともほぼ重なっている。
片寄れ防止の点のみから言えばパンチ荷重を低くしたままでも差し支えは無いのであるが、しかし、成形終了時までずっとパンチ荷重を低く保ち続けた場合には、ワークへの引張応力の負荷を実現させることが出来ないので、ワークに発生している残留応力の板厚方向の不均一性が解消されないままとなり、スプリングバックが引き起こされるようになってしまうことについては、上に述べた通りである。
また、スプリングバック低減の目的で成形ストロークの終盤においてパンチ荷重を増大させる方法としては、一挙にそれを高めるようなやり方とすることが肝要であることを前に述べた。このやり方は、片寄れ防止の点からも好ましく、金型の両側にあるフランジ部のしわ押さえ荷重を左右同時に増してワークの流入を左右同時に抑制させた上で、一挙にパンチ荷重を増大させるというやり方が望ましい。何故ならば、このときパンチ荷重を少しずつ高めると片寄れが生じ易いからである。
である。
本発明では、流入抵抗を負担しているパンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積fに対するパンチ荷重の割合を制御するので、パンチ下部にロードセルを設ける等して、パンチ荷重を計測できるようにすることが必要である。
アルミニウム合金板材のプレス成形においては、潤滑剤に防錆油或いはプレス油等を用いている場合、しわ押さえ荷重を増加させる或いは加工速度を低下させることによりパンチ荷重を増加させることが出来る。
これらを実現するためには、応答性に優れているサーボ駆動にて成形中の加工速度としわ押さえ荷重を可変制御することが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
■本発明例1
用いたプレス機械は図1に示すようなリンク機構をサーボモーターで制御するリンクサーボプレスであり、サーボモーターを駆動源とするサーボダイクッションが付随している。ダイを取り付けたスライドを上死点から下降させて、クッションパッドに接続されたブランクホルダーとダイとでワークの一部を狭持することによりワークにしわ押え荷重を発生させた後、スライド及びクッションパッドを同時に下降させることによりワークのしわ押え荷重を保持しつつワークの下方位置に固定されたパンチと前記ダイとでワークの成形加工を行うが、この工程において成形中の加工速度としわ押さえ荷重を可変制御することができる。
成形試験は図2に示すような幅150mm、高さ80mmのハット型断面の曲げ成形にて行った。なお、高さ80mm部分のパンチとダイとのクリアランスは1.4mmである。また、図3に示すようにパンチ下部にパンチ荷重測定用のロードセルを設置して、プレス成形中のパンチ荷重を測定した。
なお、先に〔課題を解決するための手段〕のところで、「しわ押さえ荷重を付与しながらハット型断面形状に曲げ加工するアルミニウム合金板材のプレス成形では、フランジ部においてワークの塑性変形抵抗荷重としわ押さえによる摩擦荷重が、また、ダイ肩部においてワークの塑性変形抵抗荷重と曲げ曲げ戻し抵抗荷重と摩擦荷重が発生している。それらの荷重が側壁部のワークを伝播し、そして、ワークとパンチ肩部が接している部分を介してパンチに伝わる。合算されたそれらの荷重がパンチ荷重となる。言い換えれば、パンチ荷重は、上記各部位で発生している荷重が側壁部のワークを伝播して、そして、ワークとパンチ肩部が接している部分を介してパンチが受けた荷重である。」と述べた。
ここで、これに関して付言しておく。上記の「側壁部」は、前記ハット型断面の「高さ80mm部分」がこれに相当するが、其処のパンチとダイとのクリアランスは前記した通り1.4mmである。従って、板厚1mmのアルミニウム合金板材をプレス成形するときには、アルミニウム合金板材と金型との間には0.4mmもの隙間余裕が存在することから、この「高さ80mm部分」に由来する摩擦荷重は殆んど発生しないと考えられる。よって、前記ロードセルを用いて測定されるパンチ荷重は、前記フランジ部と前記ダイ肩部において発生した諸荷重の和になっているといえる。即ち、先に〔課題を解決するための手段〕において「フランジ部においてワークの塑性変形抵抗荷重としわ押さえによる摩擦荷重が、また、ダイ肩部においてワークの塑性変形抵抗荷重と曲げ曲げ戻し抵抗荷重と摩擦荷重が発生している。それらの荷重が側壁部のワークを伝播し、そして、ワークとパンチ肩部が接している部分を介してパンチに伝わる。」と述べた通りであるといえる。
表1に本発明例1の成形試験のワークとして用いた6000系アルミニウム合金板材の特性を示す。
成形試験片の形状は、板厚1mm、板幅100mm、板長350mmの短冊形状である。
本発明例1の潤滑剤として用いたスギムラ化学工業(株)製の防錆油プレトンR−303Pの仕様を表2に示す。(なお、便宜上、表2には、後に説明する比較例1で用いた潤滑剤であるスギムラ化学工業(株)製の防錆油プレトンRS−962の仕様も同時に示してある。)
図4に示すしわ押さえ荷重制御パターン、図5に示す速度制御パターンでプレス成形を行った。
しわ押さえ荷重は、成形高さ75mm(即ち、全ストロークの94%。)までは50kN一定とし、成形高さ75mm以降では350kNに制御した。成形速度については、開始時は約110mm/sとし、その後は速度を常に低下させつつ成形を行なった。
成形中のパンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値P/fをパーセンテージ表示で図6に示す。
成形高さ75mm(即ち、全ストロークの94%。)までは、P/fが30%以下となるように制御し、成形高さ75mm以降には、しわ押さえ荷重を350kNに調整制御することによって、成形終了時のP/fは84%となるように制御した。
成形開始時点から全ストロークの90%位置(即ち、成形高さ72mm)に到るまでの間のパンチ荷重Pはfの19%以下となっている。即ち、請求項1に記載したAは、この場合「19」である。
また、全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。)においてパンチ荷重Pはfの84%まで高められている。即ち、請求項1に記載したBは、この場合「84」であるから、77≦B≦90なる条件を満たしている。
また、(B/A)=4.4である。
この成形試験の結果は、次に述べる比較例1の場合と比較しながら後に詳細に説明するが、良好な形状凍結性を示した。
■比較例1
上記本発明例1で用いたプレトンR−303Pの代りに、潤滑剤としてスギムラ化学工業(株)製の防錆油プレトンRS−962を用いたこと以外は、前記本発明例1と全く同じ条件(プレス機械、ハット型断面形状、ワークとして用いたアルミニウム合金板材(6000系アルミニウム合金)、成形試験片形状、図4のしわ押さえ荷重制御パターン、図5の速度制御パターン、など。)で成形試験を行なった。
プレトンRS−962の仕様は既に表2に示しておいた。なお、プレトンRS−962は精製鉱物油に防錆添加剤と潤滑添加剤を添加しており、防錆油とプレス油の中間的な油である。
成形中のパンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値P/fをパーセンテージ表示で図7に示す。
前記本発明例1と同じしわ押さえ荷重制御パターン及び同じ速度制御パターンで制御したにも拘らず、用いた潤滑剤が異なることから成形終了時のP/fは40%であった。なお、成形高さ75mm(即ち、全ストロークの94%。)までのP/fは30%以下となっている。
成形開始時点から全ストロークの90%位置(即ち、成形高さ72mm)に到るまでの間のパンチ荷重Pはfの9%以下となっている。即ち、請求項1に記載したAは、この場合「9」である。
また、全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。)においてパンチ荷重Pはfの40%まで高められている。即ち、請求項1に記載したBは、この場合「40」であるから、77≦B≦90なる条件を満たしていない。
なお、(B/A)=4.4である。
この成形試験の結果は、下に詳細に説明するが、スプリングバックが大きかった。
■本発明例1と比較例1の形状凍結性の比較
表3に本発明例1と比較例1における形状凍結性の比較を示す。
スプリングバックを定量的に評価するために、ワークのパンチ底面から高さ65mmの位置における成形幅Wを実測し、設計幅W0からのずれの割合(W−W0)/W0を幅開き率と定義して形状凍結性の指標とした。
また、図8に成形パネルの外観を示す。
本発明例1のハット型曲げ成形では幅開き率が小さくて形状凍結性が良好であるのに対して、比較例1では幅開き率が大きかった。なお、本発明例1及び比較例1共に片寄れは生じていなかった。
このように、しわ押さえ荷重を付与しながらハット型断面形状に曲げ加工するアルミニウム合金板材のプレス成形方法において、同一のしわ押さえ荷重(特許文献1でいう「しわ押さえ力」。)及び同一の加工速度(特許文献1でいう「ポンチ速度」。)という条件で加工したにも拘らず、形状凍結性が良好であったり劣悪であったりする場合が有る。
同一の加工条件で加工したにも拘らず、本発明例1では形状凍結性が良好であったのに、比較例1ではそれが劣悪となってしまったのは、潤滑剤が異なったことに基づく。
■しわ押さえ荷重を特許文献1の記載様式に換算
ここで、本発明例1及び比較例1のしわ押さえ荷重を特許文献1の「しわ押さえ力」に係る記載様式に換算してみる。
特許文献1の〔0 0 2 8〕によれば、しわ押さえ力を板断面積で除した値を「張力換算とした値」としている。
まず、本発明例1及び比較例1における、成形高さ75mm(即ち、全ストロークの94%。)までのしわ押さえ荷重50kN(一定)については、次のようである。
板断面積は、板厚1mm、板幅100mmであり、ハット型断面の曲げ成形の場合、金型の両側2箇所にワークがあるので、
板断面積=2箇所×板厚1mm×板幅100mm=200mm
である。従って、特許文献1に記載の「しわ押さえ力を張力換算した値」に相当する値としては、しわ押さえ荷重50×10Nを板断面積200mmで除して250[N/mm=MPa]になる。これは、ワークの抗張力TS(本願の「引張強度TS」に相当する。256MPa)の『98%』である。
また、本発明例1及び比較例1における、成形高さ75mm(即ち、全ストロークの94%。)以降のしわ押さえ荷重350kNを、上に述べた方法に準じて特許文献1に記載の「しわ押さえ力を張力換算した値」に直すと、1750MPaとなる。これは、ワークの抗張力TS(256MPa)の『684%』である。
■特許文献1が好ましいとしている条件との関連
ところで、成形開始時の「しわ押さえ力」について、特許文献1は、5%以上が好ましいとしている。(〔請求項1〕及び〔0016〕)
本発明例1及び比較例1の成形開始時のしわ押さえ荷重は、上に計算した通り金属薄板の抗張力(TS)の『98%』であるから、これを満たす。
一方、成形終了時の「しわ押さえ力」については、特許文献1は、50%以上が好ましいとしている。(〔請求項4〕(・・・増加した後のしわ押さえ力を張力換算で前記抗張力(TS)の50%以上とし、・・・)及び〔0058〕。)
本発明例1及び比較例1の成形終了時のしわ押さえ荷重は、上に計算した通り金属薄板の抗張力(TS)の『684%』であるから、これを満たす。
また、「ポンチ速度」について、特許文献1は、成形開始時は500mm/sec以下が好ましく、ストロークの途中で0.5〜50mm/secまで下げることが好ましいと記載している(請求項1及び請求項4)。
本発明例1及び比較例1における、成形開始時の加工速度は、図5の速度制御パターンから分かる通り、約110mm/sである。
また、本発明例1及び比較例1においては、速度を常に低下させつつ成形を行なっているので特許文献1のように或る値まで一挙に下げるというやり方ではないが、図5の速度制御パターンから分かる通り、成形高さ66mm(即ち、全ストロークの83%。)以降において加工速度は50mm/s以下になっている。
即ち、本発明例1及び比較例1の加工速度は、特許文献1が好ましいとしている「ポンチ速度」の条件を満たしている。
即ち、潤滑剤が異なる以外には全く同一の条件で加工した本発明例1も比較例1も、しわ押さえ荷重(特許文献1でいう「しわ押さえ力」。)及び加工速度(特許文献1でいう「ポンチ速度」。)の双方につき、特許文献1が好ましいとしている条件は満たしている。
それにも拘らず、一方(本発明例1)は形状凍結性が良好であるものの、他方(比較例1)はそれが劣悪となってしまっているのである。比較例1で形状凍結性が劣る(即ち、幅開き率が大きい。)のは、実は、成形終了時のP/f(即ち、パンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値。)が40%と、本発明の範囲(77%〜90%)から外れているからである。
◎即ち、特許文献1が好ましいとする範囲の中にあっても、本発明の範囲から外れてしまうものは形状凍結性が劣悪となってしまうのである。
さて、先に説明したように(〔 〕)、特許文献1は、成形終了時の「しわ押さえ力」についてその下限を50%とすることが好ましいとしている。
その上限については、特許文献1は、請求項の中では特に規定はしていないものの、「発明の詳細な説明」の〔0024〕〜〔0028〕において、「・・・・特に成形後期、・・・・しわ押さえ力を上げると共に・・・・、ポンチ肩が金属薄板と接触する際にしわ押さえ力を上げ、・・・・上記(4)記載のプレス成形におけるしわ押さえ力と速度の調整例を図4に示す。これは上記(1)に係る発明のしわ押さえ力をどの程度上げ、ポンチ速度をどの程度下げれば最良の効果が得られるかを示すものである。適正なしわ押さえ力F1は板断面積で除して張力換算とした値で金属薄板の抗張力(TS)の50%以上であれば十分な効果が得られる。上限は特に定めないが、縦壁部での破断を抑えるためには前記抗張力(TS)の120%以下とすることが好ましい。」と記載して、上限を「120%」とすることが好ましいとしている。
ところが、本発明例1の結果(しわ押さえ荷重がTSの『684%』)から明らかなように、特許文献1が推奨する上記上限値(TSの『120%』)よりは遥かに大きな値のしわ押さえ荷重の範囲であっても、ハット型曲げ成形において十分に良好な形状凍結性を確保することが可能なのである。本発明例1で形状凍結性が良好である(即ち、幅開き率が小さい。)のは、成形終了時のP/fを84%と、本発明の範囲内(77%〜90%)となるように制御したからである。
◎即ち、特許文献1が好ましくないとする範囲であっても、本発明の範囲の中になっていれば良好な形状凍結性を得ることが可能なのである。
以上に説明したところを纏めると次の通りである。しわ押さえ荷重(特許文献1でいう「しわ押さえ力」。)及び加工速度(特許文献1でいう「ポンチ速度」。)が特許文献1の推奨範囲内にあっても、パンチ荷重が本発明の範囲から外れてしまうものは形状凍結性が劣悪となってしまうし、逆に、それらが特許文献1の推奨範囲外であっても、パンチ荷重が本発明の範囲内になっていれば良好な形状凍結性を得ることが可能なのである。
即ち、しわ押さえ荷重を付与しながらハット型断面形状に曲げ加工するアルミニウム合金板材のプレス成形において、スプリングバックを低減させて良好な形状凍結性を実現するためには、本発明の『パンチ荷重』という判定基準を用いる方が、特許文献1が提案している判定基準(しわ押さえ力、ポンチ速度)を用いるよりも、より正確かつ適切であるということが出来るのである。
■本発明例2
前記比較例1とほぼ同様の条件(プレス機械、ハット型断面形状、ワークとして用いたアルミニウム合金板材(6000系アルミニウム合金)、成形試験片形状、図4のしわ押さえ荷重制御パターン、など。)にて、ハット型断面の曲げ成形試験を行った。潤滑剤も比較例1と同様にプレトンRS−962を用いた。
但し、速度制御パターンについては、成形終了時のパンチ荷重をfの77%〜90%の範囲内に制御することが出来るように、成形高さ74mm(即ち、全ストロークの93%。)以降には速度が5mm/s以下となるように急減速させた。本発明例2における速度制御パターンを図9に示す。
図10に成形中のパンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値P/fをパーセンテージ表示で示す。成形高さ75mm(即ち、全ストロークの94%。)までのP/fは30%以下、成形終了時のP/fは83%となっている。
成形開始時点から全ストロークの90%位置(即ち、成形高さ72mm)に到るまでの間のパンチ荷重Pはfの23%以下となっている。即ち、請求項1に記載したAは、この場合「23」である。
また、全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。)においてパンチ荷重Pはfの83%まで高められている。即ち、請求項1に記載したBは、この場合「83」であるから、77≦B≦90なる条件を満たしている。
また、(B/A)=3.6である。
表4に本発明例2における形状凍結性を示す。(W−W0)/W0の意味は、前記実施例1の場合と同様である。
また、図11に成形パネルの外観を示す。
本発明例2のハット型曲げ成形では、幅開き率が低減されて形状凍結性は良好で、また、片寄れも生じていなかった。
■本発明例2と前記比較例1との関連
実施例1のところで述べたように、同一の加工条件で加工したにも拘らず、前記本発明例1では形状凍結性が良好であったのに、前記比較例1ではそれが劣悪となってしまったのは、潤滑剤が異なったことに基づくものであった。
それに対して、本発明例2では、前記比較例1と全く同じ潤滑剤を用いたにも拘らず、形状凍結性を向上させることが出来た。これは、『しわ押さえ荷重』(特許文献1でいう「しわ押さえ力」。)及び『加工速度』(特許文献1でいう「ポンチ速度」。)という視点にのみ拘泥することなく、新たに『パンチ荷重』という視点に着目し、その観点から逆に『しわ押さえ荷重』及び『加工速度』を制御するように変更したからである。
即ち、しわ押さえ荷重を付与しながらハット型断面形状に曲げ加工するアルミニウム合金板材のプレス成形において、スプリングバックを低減させて良好な形状凍結性を実現するためには、本発明の『パンチ荷重』という判定基準を用いる方が、特許文献1が提案している判定基準(しわ押さえ力、ポンチ速度)を用いるよりも、より正確かつ適切であるということが出来るのである。
■本発明例3
ワークとして用いたアルミニウム合金板材が表5に示す5000系アルミニウム合金板材であること以外は本発明例1と全く同様の条件(プレス機械、ハット型断面形状、成形試験片形状、潤滑剤プレトンR−303P、図4のしわ押さえ荷重制御パターン、図5の速度制御パターン、など。)にて、ハット型断面の曲げ成形試験を行なった。
成形中のパンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値P/fをパーセンテージ表示で図12に示す。
成形高さ75mm(即ち、全ストロークの94%。)までのP/fは30%以下とし、成形高さ75mm以降にはしわ押さえ荷重を350kNに制御することによって成形終了時のP/fは77%とした。
成形開始時点から全ストロークの90%位置(即ち、成形高さ72mm)に到るまでの間のパンチ荷重Pはfの20%以下となっている。即ち、請求項1に記載したAは、この場合「20」である。
また、全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。)においてパンチ荷重Pはfの77%まで高められている。即ち、請求項1に記載したBは、この場合「77」であるから、77≦B≦90なる条件を満たしている。
また、(B/A)=3.9である。
この成形試験の結果は、次に述べる比較例2の場合と比較しながら後に詳細に説明するが、良好な形状凍結性を示した。
■比較例2
上記本発明例3で用いたプレトンR−303Pの代りに、潤滑剤としてスギムラ化学工業(株)製の防錆油プレトンRS−962を用いた以外は、前記本発明例3と全く同じ条件(プレス機械、ハット型断面形状、ワークとして用いたアルミニウム合金板材(5000系アルミニウム合金)、成形試験片形状、図4のしわ押さえ荷重制御パターン、図5の速度制御パターン、など。)で成形試験を行なった。
成形中のパンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値P/fをパーセンテージ表示で図13に示す。
前記本発明例3と同じしわ押さえ荷重制御パターン及び同じ速度制御パターンで制御したにも拘らず、用いた潤滑剤が異なることから成形終了時のP/fは33%であった。なお、成形高さ75mm(即ち、全ストロークの94%。)までのP/fは30%以下となっている。
成形開始時点から全ストロークの90%位置(即ち、成形高さ72mm)に到るまでの間のパンチ荷重Pはfの10%以下となっている。即ち、請求項1に記載したAは、この場合「10」である。
また、全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。)においてパンチ荷重Pはfの33%まで高められている。即ち、請求項1に記載したBは、この場合「33」であるから、77≦B≦90なる条件を満たしていない。
なお、(B/A)=3.3である。
この成形試験の結果は、下に詳細に説明するが、スプリングバックが大きかった。
■本発明例3と比較例2の形状凍結性の比較
表6に本発明例3と比較例2における形状凍結性の比較を示す。(W−W0)/W0の意味は、前記実施例1の場合と同様である。
また、図14に成形パネルの外観を示す。
本発明例3のハット型曲げ成形では幅開き率が小さくて形状凍結性が良好であるのに対して、比較例2では幅開き率が大きかった。なお、本発明例3及び比較例2共に片寄れは生じていなかった。
このように、しわ押さえ荷重を付与しながらハット型断面形状に曲げ加工するアルミニウム合金板材のプレス成形方法において、同一のしわ押さえ荷重(特許文献1でいう「しわ押さえ力」。)及び同一の加工速度(特許文献1でいう「ポンチ速度」。)という条件で加工したにも拘らず、形状凍結性が良好であったり劣悪であったりする場合が有る。
同一の加工条件で加工したにも拘らず、本発明例3では形状凍結性が良好であったのに、比較例2ではそれが劣悪となってしまったのは、潤滑剤が異なったことに基づく。
先に、実施例1で6000系アルミニウム合金板材について確認した現象は、本5000系アルミニウム合金板材についても同様に生じていることが確認されたといえる。
■しわ押さえ荷重を特許文献1の記載様式に換算
ここで、本発明例3及び比較例2のしわ押さえ荷重を特許文献1の「しわ押さえ力」に係る記載様式に換算してみる。
本発明例3のしわ押さえ荷重制御パターンは前記本発明例1と全く同一であるから、本発明例1において述べたところがほぼそのまま準用される。但し、ワークとして用いたアルミニウム合金板材が6000系アルミニウム合金から5000系アルミニウム合金に変わっていることにより、ワークの抗張力TS(本願の「引張強度TS」に相当する。)が256MPaから272MPaに変わっている。
即ち、本発明例3及び比較例2における、成形高さ75mm(即ち、全ストロークの94%。)までのしわ押さえ荷重50kN(一定)については、特許文献1に記載の「しわ押さえ力を張力換算した値」に相当する値は250MPaとなる。これは、ワークの抗張力TS(本願の「引張強度TS」に相当する。)272MPaの『92%』である。
また、本発明例3及び比較例2における、成形高さ75mm(即ち、全ストロークの94%。)以降のしわ押さえ荷重350kNについては、特許文献1に記載の「しわ押さえ力を張力換算した値」に相当する値は1750MPaとなる。これは、ワークの抗張力TS(本願の「引張強度TS」に相当する。)272MPaの『643%』である。
■特許文献1が好ましいとしている条件との関連
ところで、特許文献1は、成形開始時の「しわ押さえ力」について、前述した通り5%以上が好ましいとしている。
本発明例3及び比較例2の成形開始時のしわ押さえ荷重は、上に計算した通り金属薄板の抗張力(TS)の『92%』であるから、これを満たす。
一方、成形終了時の「しわ押さえ力」については、特許文献1は、前述した通り50%以上が好ましいとしている。
本発明例3及び比較例2の成形終了時のしわ押さえ荷重は、上に計算した通り金属薄板の抗張力(TS)の『643%』であるから、これを満たす。
また、「ポンチ速度」について、特許文献1は、前述した通り、成形開始時は500mm/sec以下が好ましく、ストロークの途中で0.5〜50mm/secまで下げることが好ましいと記載している(請求項1及び請求項4)。
本発明例3及び比較例2における、成形開始時の加工速度は、図5の速度制御パターンから分かる通り、約110mm/sである。
また、本発明例3及び比較例2においては、速度を常に低下させつつ成形を行なっているので特許文献1のように或る値まで一挙に下げるというやり方ではないが、図5の速度制御パターンから分かる通り、成形高さ66mm(即ち、全ストロークの83%。)以降において加工速度は50mm/s以下になっている。
即ち、本発明例3及び比較例2の加工速度は、特許文献1が好ましいとしている「ポンチ速度」の条件を満たしている。
即ち、潤滑剤が異なる以外には全く同一の条件で加工した本発明例3も比較例2も、しわ押さえ荷重(特許文献1でいう「しわ押さえ力」。)及び加工速度(特許文献1でいう「ポンチ速度」。)の双方につき、特許文献1が好ましいとしている条件は満たしている。
それにも拘らず、一方(本発明例3)は形状凍結性が良好であるものの、他方(比較例2)はそれが劣悪となってしまっているのである。比較例2で形状凍結性が劣る(即ち、幅開き率が大きい。)のは、実は、成形終了時のP/f(即ち、パンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値。)が33%と、本発明の範囲(77%〜90%)から外れているからである。
◎即ち、特許文献1が好ましいとする範囲の中にあっても、本発明から外れてしまうものは形状凍結性が劣悪となってしまうのである。
さて、特許文献1は、前述した通り、成形終了時の「しわ押さえ力」の上限について、請求項の中では特に規定はしていないものの、「発明の詳細な説明」においてそれを「120%」とすることが好ましいとしている。
ところが、本発明例3の結果(しわ押さえ荷重がTSの『643%』)から明らかなように、特許文献1が推奨する上記上限値(TSの『120%』)よりは遥かに大きな値のしわ押さえ荷重の範囲であっても、ハット型曲げ成形において十分に良好な形状凍結性を確保することが可能なのである。本発明例1で形状凍結性が良好である(即ち、幅開き率が小さい。)のは、成形終了時のP/fを77%と、本発明の範囲内(77%〜90%)となるように制御したからである。
◎即ち、特許文献1が好ましくないとする範囲であっても、本発明の範囲になっていれば良好な形状凍結性を得ることが可能なのである。
このように、実施例1(本発明例1と比較例1)において確認された状況は、対象とするアルミニウム合金板材を変えた本実施例3(本発明例3と比較例2)についても同様であることが確認された。
即ち、しわ押さえ荷重(特許文献1でいう「しわ押さえ力」。)及び加工速度(特許文献1でいう「ポンチ速度」。)が特許文献1の推奨範囲内にあっても、パンチ荷重が本発明の範囲から外れてしまうものは形状凍結性が劣悪となってしまうし、逆に、それらが特許文献1の推奨範囲外であっても、パンチ荷重が本発明の範囲内になっていれば良好な形状凍結性を得ることが可能なのである。
即ち、しわ押さえ荷重を付与しながらハット型断面形状に曲げ加工するアルミニウム合金板材のプレス成形において、スプリングバックを低減させて良好な形状凍結性を実現するためには、本発明の『パンチ荷重』という判定基準を用いる方が、特許文献1が提案している判定基準(しわ押さえ力、ポンチ速度)を用いるよりも、より正確かつ適切であるということが出来るのである。
■本発明例4
前記比較例2とほぼ同様の条件(プレス機械、ハット型断面形状、ワークとして用いたアルミニウム合金板材(5000系アルミニウム合金)、成形試験片形状、図4のしわ押さえ荷重制御パターン、など。)にて、ハット型断面の曲げ成形試験を行った。潤滑剤も比較例2と同様にプレトンRS−962を用いた。
但し、速度制御パターンについては、成形終了時のパンチ荷重をfの77%〜90%の範囲内に制御することが出来るように、成形高さ74mm(即ち、全ストロークの93%。)以降には速度が5mm/s以下となるように急減速させた。本発明例4における速度制御パターンを図9に示す。
図15に成形中のパンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値P/fをパーセンテージ表示で示す。成形高さ75mm(即ち、全ストロークの94%。)までのP/fは30%以下、成形終了時のP/fは78%となっている。
成形開始時点から全ストロークの90%位置(即ち、成形高さ72mm)に到るまでの間のパンチ荷重Pはfの20%以下となっている。即ち、請求項1に記載したAは、この場合「20」である。
また、全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。)においてパンチ荷重Pはfの78%まで高められている。即ち、請求項1に記載したBは、この場合「78」であるから、77≦B≦90なる条件を満たしている。
また、(B/A)=3.9である。
表7に本発明例4における形状凍結性を示す。(W−W0)/W0の意味は、前記実施例1の場合と同様である。
また、図16に成形パネルの外観を示す。
本発明例4のハット型曲げ成形では、幅開き率が低減されて形状凍結性は良好で、また、片寄れも生じていなかった。
■本発明例4と前記比較例2との関連
実施例3のところで述べたように、同一の加工条件で加工したにも拘らず、前記本発明例3では形状凍結性が良好であったのに、前記比較例2ではそれが劣悪となってしまったのは、潤滑剤が異なったことに基づくものであった。
それに対して、本発明例4では、前記比較例2と全く同じ潤滑剤を用いたにも拘らず、形状凍結性を向上させることが出来た。これは、『しわ押さえ荷重』(特許文献1でいう「しわ押さえ力」。)及び『加工速度』(特許文献1でいう「ポンチ速度」。)という視点にのみ拘泥することなく、新たに『パンチ荷重』という視点に着目し、その観点から逆に『しわ押さえ荷重』及び『加工速度』を制御するように変更したからである。
即ち、しわ押さえ荷重を付与しながらハット型断面形状に曲げ加工するアルミニウム合金板材のプレス成形において、スプリングバックを低減させて良好な形状凍結性を実現するためには、本発明の『パンチ荷重』という判定基準を用いる方が、特許文献1が提案している判定基準(しわ押さえ力、ポンチ速度)を用いるよりも、より正確かつ適切であるということが出来るのである。
■比較例3〜5
しわ押さえ荷重制御パターンを変更したこと以外は、前記の本発明例1と全く同様の条件(プレス機械、ハット型断面形状、ワークとして用いたアルミニウム合金板材(6000系アルミニウム合金)、成形試験片形状、潤滑剤プレトンR−303P、図5の速度制御パターン、など。)にて、ハット型断面の曲げ成形試験を行った。
しわ押さえ荷重は図17に示す通りそれぞれ50kN(比較例3)、100kN(比較例4)、150kN(比較例5)の一定にした。
成形中のパンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値P/fをパーセンテージ表示で図18に示す。
<比較例3>
成形開始時点から全ストロークの90%位置(即ち、成形高さ72mm)に到るまでの間のパンチ荷重Pはfの21%以下となっている。即ち、請求項1に記載したAは、この場合「21」である。
また、全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。)においてパンチ荷重Pはfの28%まで高められている。即ち、請求項1に記載したBは、この場合「28」であるから、77≦B≦90なる条件を満たしていない。
なお、(B/A)=1.3である。
<比較例4>
図18から、比較例3と同様にして調べてみると、A=42、B=53(即ち、77≦B≦90なる条件を満たしていない。)、(B/A)=1.3である。
<比較例5>
図18から、比較例3と同様にして調べてみると、A=59、B=73(即ち、77≦B≦90なる条件を満たしていない。)、(B/A)=1.2である。
比較例3では、P/fは、成形終了時も含めて30%以下であった。
比較例4では、成形高さ約25mm(即ち、全ストロークの31%。)においてP/fが30%を越えてしまった。
また、比較例5では、成形高さ約15mm(即ち、全ストロークの18%。)においてP/fが30%を越えてしまった。
表8に形状凍結性を示す。(W−W0)/W0の意味は、前記実施例1の場合と同様である。
また、図20に成形パネルの外観を示す。
比較例3〜5の全てにおいて、何れも幅開き率の低減が不十分であり、また、比較例5では片寄れも生じていた。
■比較例6〜8
しわ押さえ荷重制御パターンを変更したこと以外は、前記の本発明例3と、全く同様の条件(プレス機械、ハット型断面形状、ワークとして用いたアルミニウム合金板材(5000系アルミニウム合金)、成形試験片形状、潤滑剤プレトンR−303P、図5の速度制御パターン、など。)にて、ハット型断面の曲げ成形試験を行った。
しわ押さえ荷重は図17に示す通りそれぞれ50kN(比較例6)、100kN(比較例7)、150kN(比較例8)の一定にした。
成形中のパンチ荷重Pをf(パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積)で除した値P/fをパーセンテージ表示で図19に示す。
<比較例6>
成形開始時点から全ストロークの90%位置(即ち、成形高さ72mm)に到るまでの間のパンチ荷重Pはfの20%以下となっている。即ち、請求項1に記載したAは、この場合「20」である。
また、全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。)においてパンチ荷重Pはfの28%まで高められている。即ち、請求項1に記載したBは、この場合「28」であるから、77≦B≦90なる条件を満たしていない。
なお、(B/A)=1.4である。
<比較例7>
図19から、比較例6と同様にして調べてみると、A=40、B=55(即ち、77≦B≦90なる条件を満たしていない。)、(B/A)=1.4である。
<比較例8>
図19から、比較例6と同様にして調べてみると、A=57、B=75(即ち、77≦B≦90なる条件を満たしていない。)、(B/A)=1.3である。
比較例6では、P/fは30%以下であった。
比較例7では、成形高さ約50mm(即ち、全ストロークの63%。)においてP/fが30%を越えてしまった。
また、比較例8では、成形高さ約18mm(即ち、全ストロークの23%。)においてP/fが30%を越えてしまった。
表9に形状凍結性を示す。(W−W0)/W0の意味は、前記実施例1の場合と同様である。
また、図21に成形パネルの外観を示す。
比較例6〜8の全てにおいて、何れも幅開き率の低減が不十分であり、また、比較例8では片寄れも生じていた。
以上に説明した通り、全ストロークに渡ってしわ押さえ荷重を一定に保った比較例3〜5及び比較例6〜8においては、いずれも形状凍結性は良好でなかった。
これは、全ストロークに渡ってしわ押さえ荷重を一定に保った場合には、本発明の「全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。)においてパンチ荷重PをfのB%(但し、77≦B≦90)にまで高めるように制御する」との条件(請求項1)を満たすことは不可能だったからである。
また、比較例5及び比較例8では片寄れが生じたが、これらの実験例では、ストロークの極めて早い段階(比較例5:全ストロークの18%、比較例8:全ストロークの23%)からパンチ荷重がfの30%を越えてしまっていた。
1...ワーク、2...パンチ、3...ダイ、4...ブランクホルダー、5...スライド、6...プランジャ、
7...リンク機構、8...キャリア、9...ボールナット、11...ボールねじ、12...従動側プーリー、
13...タイミングベルト、14...駆動側プーリー、15...サーボモーター、16...制御部、
17...記憶部、18...ボルスタ、19...クッションピン、20...クッションパッド、21...油圧室、
22...圧力センサ、23...ボールナット、24...ボールねじ、25...大プーリー、
26...パルスコーダ、27...タイミングベルト、28...小プーリー、29...サーボモーター、
30...制御部、31...記憶部、32...リニアスケール

Claims (9)

  1. しわ押さえ荷重を付与しながらハット型断面形状に曲げ加工するアルミニウム合金板材のプレス成形方法において、パンチ肩部のワークの断面積A0とワークの引張強度TSの積をfとするとき、成形開始時点から全ストロークの90%位置に到るまでの間はパンチ荷重PをfのA%以下(但し、A≦45)に制御すると共に、全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。)においてパンチ荷重PをfのB%(但し、77≦B≦90、かつ、(B/A)≧2)にまで高めるように制御するものであることを特徴とするアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
  2. 成形開始時点から全ストロークの90%位置に到るまでの間はパンチ荷重PをfのA%以下(但し、A≦30)に制御すると共に、全ストロークの90%位置を超えた時点から成形終了時点に到るまでの間(成形終了時点を含む。)においてパンチ荷重PをfのB%(但し、77≦B≦90、かつ、(B/A)≧3)にまで高めるように制御するものであることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
  3. パンチ荷重を所定の値に制御する手段がしわ押さえ荷重及び加工速度の調整制御であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
  4. パンチ荷重測定手段でパンチ荷重を測定し、それが所定の値になるように測定したパンチ荷重に基づきしわ押さえ荷重及び加工速度を調整制御することを特徴とする請求項3に記載のアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
  5. パンチ荷重測定手段がパンチ内に設置されているものであることを特徴とする請求項4に記載のアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
  6. 加工速度の調整制御がサーボ駆動にて実現されるものであることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかの項に記載のアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
  7. しわ押さえ荷重の調整制御がサーボ駆動にて実現されるものであることを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかの項に記載のアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
  8. 金型とアルミニウム合金板材との潤滑剤として防錆油若しくはプレス油又はその双方を使用していることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかの項に記載のアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
  9. ワークに用いるアルミニウム合金板材が5000系アルミニウム合金又は6000系アルミニウム合金であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかの項に記載のアルミニウム合金板材のプレス成形方法。
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