JP2010188264A - 吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】静電ヘッドと、ピエゾヘッドとにより大きさの異なる液滴をターゲットに塗布できる装置を提供する。
【解決手段】吐出装置1は、静電ヘッド20と、ピエゾヘッド30とを搭載したヘッドブロック10と、ヘッドブロック10とターゲット2との間隔を制御するギャップ制御機構16とを含む。静電ヘッド20により液を吐出するときは、ヘッドブロック10をターゲット2に近づけて静電ヘッド20のノズル先端21とターゲット2との間に適正なギャップを設定し、ピエゾヘッド30により液を吐出するときは、ヘッドブロック10をターゲット2から後退させて、ピエゾヘッド30のノズル先端31とターゲット2との間に適正なギャップを設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、液状物質を吐出する機能を含む装置に関するものである。
特許文献1には、十分に微小な液滴の吐出が可能であると共に、液滴径が比較的大きい液滴を吐出することが可能な液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出方法を提供することが記載されている。そのため、特許文献1の液体吐出ヘッドに、複数の小ノズル及び大ノズルが形成されたノズルプレートと、小ノズル及び大ノズルの各々に連通し吐出口から吐出される液体を貯蔵するキャビティと、キャビティに連通した液体の流路と、液体と基材との間に静電電圧を印加して静電吸引力を発生させる静電電圧電源と、キャビティの容積を変化させることによって液体に圧力を発生させる駆動電圧電源と、小ノズルから液体を吐出させる際は、静電電圧電源及び駆動電圧電源の制御により液体を電界集中吐出させ、大ノズルから液体を吐出させる際は、駆動電圧電源の制御により液体を圧電吐出させる制御手段とを設けることが記載されている。
なお、特許文献1において、「電界集中吐出」とは、液滴が形成されない程度のメニスカスに強い集中電界強度による静電力を作用させ、メニスカスを引きちぎって液滴化し飛翔させる方式であると記載されている。「圧電吐出」とは、液体に圧力を発生させることにより、液体の一部を分離させて液滴を形成すると共にその液滴を飛翔させる方式をいうと記載されている。また、「静電アシスト吐出」とは、液体に圧力を発生させることにより液体を一部分離して液滴を形成し、その液滴に静電力を作用させて飛翔させる方式をいうと記載されている。
また、特許文献2には、プリンタ、FAX等の出力部に使用されるインクジェット記録装置において、階調記録を高速に行うことのできるようにすることが記載されている。そのため、インクを収容する圧力室にはインクを吐出する吐出口が設けられ、また、吐出口に対向する位置には対向電極が配置される一方、圧力室に圧力を印加するための圧力印加手段と、対向電極とインクとの間に静電力を発生させる静電力発生手段とを有し、吐出口と対向電極との間に挿入された記録媒体にインクを吐出するときは、圧力印加手段によって圧力室に圧力を印加すると共に、静電力発生手段により静電力を発生させるようにしたインクジェット記録装置において、静電力発生手段による静電力によらずに圧力印加手段で印加される圧力のみでインクを吐出可能な高圧力範囲と、圧力印加手段による圧力に加えて静電力発生手段による静電力によってインクを吐出する低圧力範囲とに圧力を切り換える圧力切換手段が設けられていることが記載されている。
特開2007−230179号公報 特開平10−315464号公報
静電力によってインクを吐出することと、圧力を加えることによりインクを吐出することとの2つの吐出方式により、微細な描画を可能とし、かつ、広い範囲の吐出を効率よく行うために、描画パターンに応じて液滴径の大きさを変化させて液滴の吐出を行うことが検討されている。これら2つの吐出方式を1つのヘッドで実現するためにはさらに解決すべき問題がある。
本発明の態様の1つは、静電力を用いてノズルの先端より液状物質を吐出するための電極と、ノズルまたは他のノズルの内部圧力の変動を用いてノズルまたは他のノズルの先端より液状物質を吐出するためのアクチュエータとを含む吐出ヘッドと、吐出ヘッドのノズルから吐出された液状物質が到達するターゲットと吐出ヘッドとを相対的に第1の方向に動かし、ターゲットとノズルの先端とのギャップを制御するためのギャップ制御機構とを有する装置である。ギャップ制御機構は、静電力を用いて液状物質を吐出することが選択されるとギャップを第1の値にセットし、内部圧力の変動を用いて液状物質を吐出することが選択されるとギャップを、第1の値より大きな第2の値にセットするための機構である。
静電力を用いてノズル先端より液状物質を吐出する方式は、多くの場合、ノズル先端からジェット流がターゲットに達し、ターゲットに液状物質の一部が移動して液滴になることである。ノズルの内部圧力の変動を用いてノズルの先端より液状物質を吐出する方式も、多くの場合、ノズル先端から液柱が空中に放出され、液柱が液自身の表面張力により液滴となってターゲットに着弾することである。したがって、静電力を用いてノズル先端より液状物質を吐出する方式(以下では、静電方式)では、吐出のために印加する電圧を下げるためにも、また、ジェット流がターゲットに到達するようにするためのノズル先端とターゲットとの距離(ギャップ)は小さいことが望ましい。一方、ノズルの内部圧力の変動を用いてノズルの先端より液状物質を吐出する方式(以下では、圧力変動方式)では、液柱がノズル先端とターゲットとの間に形成されると液滴の大きさが制御不能になる可能性がある。したがって、ノズル先端とターゲットとの間には、静電方式よりも大きな距離であって、最小限の距離(ギャップ)を確保する必要がある。
本発明の装置は、ギャップ制御機構により、静電方式と、圧力変動方式とに対して適切なギャップを設定できる。したがって、本発明の装置は、静電方式および圧力変動方式を備えた吐出ヘッドを用いて、要求に応じていずれかの方式による液状物質の吐出に適した準備が整う。
この装置は、ギャップが第1の値にセットされたときのノズルの先端を観察するためのカメラをさらに有することが望ましい。静電方式においては、ノズルの先端とターゲットとの距離(ギャップ)が数10μm程度と近く、ノズルの先端の位置から予想されるターゲットの位置がターゲット上に液滴が形成される位置とほとんど一致する。このため、ノズルの先端をカメラにより観察することにより静電方式の着滴点を確認できる。一方、圧力変動方式では、ノズルの先端とターゲットとのギャップは大きくなるが、ターゲットに着滴する量も増える。このため、カメラにより着滴した液滴の未乾燥な部分を確認することにより着滴点を捉えることができる。したがって、このカメラによる観測に基づいて、静電方式の着滴点と、圧力変動方式の着滴点とのオフセットを解析でき、ターゲットに対し、それぞれの方式により、いっそう高い精度で所定の位置に液状物質を着滴できる。
カメラは、ギャップ制御機構とは非連動であることが望ましい。カメラのフォーカスをほぼ一定に保ち、静電方式の着滴点と、圧力変動方式の着滴点とを観察できる。
ノズルはキャピラリータイプであることが望ましい。カメラにより静電方式の着滴点を精度良く捉えることができる。
この装置は、吐出ヘッドおよび/またはターゲットを第1の方向とは異なる第2の方向に相対的に移動するための移動機構と、カメラによりターゲットに対するギャップが第1の値にセットされたときの(静電方式での)ノズルの先端の位置と、ギャップが第2の値にセットされたときの(圧力変動方式での)ターゲットへの着滴とを観察し、ギャップが第1の値にセットされたときの着滴位置と、ギャップが第2の値にセットされたときの着滴位置とのオフセットを求める機能とを有することが望ましい。静電方式の着滴位置と、圧力変動方式の着滴位置とのオフセット(差分)を測定し、それぞれの着滴位置の互換性を再設定できる。
吐出ヘッドは、静電力を用いて液状物質を吐出するための第1のノズルと、第1のノズルとは異なる第2のノズル内の圧力変動により液状物質を吐出するための第2のノズルとを含むことが望ましい。単一のノズルで静電方式と、圧力変動方式とを行うことも可能である。静電方式の第1のノズルと、圧力変動方式の第2のノズルとを1つの吐出ヘッドに搭載することにより、それぞれの方式のメリット、たとえば、吐出量の差を、さらに享受することができる。さらに、それぞれのノズルによる着滴点を精度よく制御できるので、単一のノズルに匹敵する精度でターゲットの所定の位置に液状物質をぞれぞれの方式により着滴できる。
静電方式の第1のノズルはキャピラリータイプであることが望ましい。着滴点をカメラにより精度よく捉えやすい。
第2のノズルの先端は、ターゲットに対して、第1のノズルの先端より後退しており、第1のノズルの先端と第2のノズルの先端との距離hは、以下の式(A)を満たすことが望ましい。ギャップを制御する際に双方のノズル先端とターゲットとの干渉を未然に防止できる。
0<h<G2m ・・・(A)
ただし、G2mは、第2の値の最小値である。
吐出ヘッドは、静電力を用いて液状物質を吐出可能であるとともに、ノズル内の圧力変動により液状物質を吐出可能な第3のノズルを、1または複数個含んでいてもよい。
本発明の態様の他の1つは、静電力を用いてノズルの先端より液状物質を吐出するための電極、および、ノズルまたは他のノズルの内部圧力の変動を用いてノズルまたは他のノズルの先端より液状物質を吐出するためのアクチュエータを含む吐出ヘッドと、吐出ヘッドのノズルから吐出された液状物質が到達するターゲットと吐出ヘッドとを相対的に第1の方向に動かし、ターゲットとノズルの先端とのギャップを制御するギャップ制御機構とを有する装置を制御する方法である。この方法は、以下のステップを含む。
1.静電力を用いて液状物質を吐出することが選択されると、ギャップ制御機構により、ギャップを第1の値にセットすること。
2.内部圧力の変動を用いて液状物質を吐出することが選択されると、ギャップ制御機構により、ギャップを第1の値より大きな第2の値にセットすること。
ギャップが第1の値にセットされたノズルの先端を観察するためのカメラと、吐出ヘッドおよび/またはターゲットを第1の方向とは異なる第2の方向に相対的に移動するための移動機構とをさらに有する装置においては、この方法は、以下のステップを含むことが望ましい。
3.カメラによりターゲットに対するギャップが第1の値にセットされたときのノズルの先端の位置と、ギャップが第2の値にセットされたときのターゲットへの着滴とを観察し、ギャップが第1の値にセットされたときの着滴位置と、ギャップが第2の値にセットされたときの着滴位置とのオフセットを求めること。
本発明の実施形態の一例である吐出装置の概略構成を示すブロック図。 ヘッドブロックをターゲットに近づけた状態を示す図。 ヘッドブロックをターゲットから後退させた状態を示す図。 吐出装置の処理の概要を示すフローチャート。 吐出装置により形成された配線パターンを示す図であり、図5(a)は、拡大断面図、図5(b)は平面図。 着滴位置を確認する異なるシステムを示す図であり、図6(a)はヘッドブロックを下側から見た図、図6(b)はシステムの概略構成を示す図。 吐出装置の他の例の概略構成を示すブロック図。
図1に、本発明の実施形態の吐出装置の一例を示している。この吐出装置1は、フェムトリットルオーダーの液滴をターゲット2の狙った位置に吐出させる静電型インクジェットヘッド(静電ヘッド)20と、ピコリットルオーダーの液滴をターゲット2の狙った位置に吐出させるピエゾ型インクジェットヘッド(ピエゾヘッド)30とをそれぞれ独立して搭載した吐出ヘッド(吐出ヘッドブロック、ヘッドブロック)10を備えている。静電ヘッド20は、静電力を用いてノズル22の先端21よりタンク25に収納された液状物質25Lを吐出するための電極23を備えている。タンク25に収納された液状物質25Lは、パイプ24を介してノズル22に供給され、ノズルの先端21に導かれる。ノズル22の典型的なものはガラス管である。ノズル22は、樹脂製、セラミック製などであってもよい。また、静電ヘッド20は、タンク25を省略し、ノズル22に予めセットされた液状物質25Lを吐出するための電極23を備えているタイプであってもよい。
また、ピエゾヘッド30は、ノズル32の内部圧力の変動を用いてノズル32の先端31よりタンク35に収納された液状物質35Lを吐出するためのピエゾアクチュエータ(圧電素子)33を備えている。タンク35に収納された液状物質35Lは、パイプ34を介してノズル32に供給され、ノズルの先端31に導かれる。ノズル32は樹脂、セラミックまたはガラス板の積層構造であってもよく、樹脂管、セラミック管またはガラス管であってもよい。ノズル32は、ピエゾアクチュエータ33の伸縮により内容積の変動する圧力室(キャビティ)を備えている。ピエゾヘッド30においても、タンク35を省略することが可能である。
液状物質25Lおよび35Lは、液体に限らず、液体と微粒子との混合物、水溶液、溶剤、ナノ粒子液、UV硬化液、イオン流体、オイル、液晶、接着剤、試薬、細胞や遺伝子などの生物材料を含む物質などであってもよい。ターゲット2は、これらの液状物質25Lおよび35Lを塗布、印刷、分注、混合などするための媒体、容器、トレイなどである。
吐出装置1は、ターゲット2とヘッドブロック10とを第1の方向(Z方向)に動かしてノズルの先端21および31とターゲット2との距離(間隔、ギャップ)を制御するためのギャップ制御機構16と、ターゲット2をヘッドブロック10に対し、Z方向に対して垂直な方向(XY方向)に移動するための移動機構17とを備えている。ターゲット2および/または移動機構17は、静電ヘッド20の電極23と対をなす対向電極としての機能を備えており、静電ヘッド20の電極23に電位(パルス状または一定の)を印加することにより電極23とターゲット2との間に電界を形成し、静電吐出(静電吸引液滴形成)が可能となっている。
ギャップ制御機構16の一例はZ方向に移動可能なZステージであり、ボールねじなどの公知のアクチュエータを用いて実現できる。移動機構17の一例はXY移動テーブルである。移動機構17は、Y方向またはX方向にのみターゲット2を移動するための機構であってもよい。また、ギャップ制御機構16およびXY移動機構17とを1つのXYZ移動テーブルで実現することも可能である。
この吐出装置1は、移動機構17により吐出位置を決め、その位置に液状物質25Lおよび/または35Lを吐出して着滴することにより描画などの処理を実行できるインクジェットオンデマンド描画装置である。さらに、この吐出装置1は、ターゲット2に対する処理で要求される解像度あるいは液滴の径によりインクジェットヘッド20および30を使い分ける。さらに、使用されるインクジェットヘッド20および30により、ターゲット2に対し吐出ヘッド10を上下(前後)に動かして、ノズルヘッドの先端(ノズルの先端)21および31とターゲット2とのギャップを制御する。
吐出装置1は、さらに、静電ヘッド20の電極23へパルス的な電圧変動を加えて静電ヘッド20を制御するための静電ヘッドコントローラ13と、ピエゾヘッド30の圧電素子33に駆動パルス(多くの場合はパルス的な電圧変動)を供給してピエゾヘッド30を制御するためピエゾヘッドコントローラ12とを含む。吐出装置1は、また、XY移動テーブル17を制御するステージコントローラ18と、吐出装置1の全体的な制御を行うコントローラユニット40とを含む。コントローラユニット40は初期設定機能41と、描画機能42とを含む。
描画機能42は、ターゲット2に描画したい液滴のサイズによりトリガーセレクター14を制御し、コントローラ12または13が選択されるようにする。描画機能42は、さらに、静電ヘッド20が選択されると、ギャップ制御機構16により静電方式に適したギャップになるようにヘッドブロック10を上下に動かし、ステージコントローラ18により静電ヘッド20により描画される位置へターゲット2を移動する。また、描画機能42は、ピエゾヘッド30が選択されると、ギャップ制御機構16により圧力変動方式に適したギャップになるようにヘッドブロック10を上下に動かし、ステージコントローラ18によりピエゾヘッド30により描画される位置へターゲット2を移動する。ターゲット2の移動と、ヘッドブロック10の移動とが終了したことをトリガーセレクター14が認識すると、トリガーセレクター14から選択されたコントローラ12または13にトリガー信号が出力され、ターゲット2に対し、ヘッド20または30のいずれか一方から液状物質25Lまたは35Lが吐出される。
初期設定機能41は、後に詳しく説明するように、カメラ15を用いてノズル先端21の位置、着滴点などを観察し、静電ヘッド20により吐出された液の着滴点と、ピエゾヘッド30により吐出された液の着滴点とのオフセットを設定する。インクジェットヘッド20および30はユーザーが手で取り付け取り外しを行う。このため、数百μmのオーダーでは位置がずれる可能性がある。初期設定機能41は、パーソナルコンピュータ5の画面などのモニタにカメラ15により得られた液滴を写し、アプリケーション上でユーザーが液滴の画面の中心に移動させ、「補正」などの名称のボタンを押下することで、オフセット量(ずれ量)をアプリケーションに再認識(再設定)させる機能を含む。初期設定機能41および描画機能42をパーソナルコンピュータ5の資源を用いて実現することも可能である。
特許文献1において、「電界集中吐出」とは、液滴が形成されない程度のメニスカスに強い集中電界強度による静電力を作用させ、メニスカスを引きちぎって液滴化し飛翔させる方式であることが記載されている。しかしながら、たとえば、特開2006−58188号公報に開示されているように、静電力を用いてノズルの先端より液を吐出する方式(静電方式)の多くは、静電力の印加によりノズルの先端に円錐状のテーラーコーンが形成され、テーラーコーンの頂部から基板などのターゲットの表面に達するジェット流が生じ、液の一部がターゲットの上に移動して液滴になる。
また、特許文献1において、「圧電吐出」とは、液体に圧力を発生させることにより、液体の一部を分離させて液滴を形成すると共にその液滴を飛翔させる方式をいうと記載されている。しかしながら、たとえば、特開2005−201895に開示されているように、圧電素子(ピエゾ素子)あるいはバブルによる圧力変動を用いてノズルの先端から液を吐出する方式(圧力変動方式)の多くでは、ノズルから吐出される液は液柱として空中に放出される。液柱は空中にて液自身の表面張力と空気抵抗により徐々に複数の球に分離し、多くの場合、液の先頭にある「メイン滴」と最後尾の「サテライト滴」およびその中間に形成される複数の液滴に分離してターゲットに着弾する。
したがって、静電方式および圧力変動方式においても、多くの場合、ノズルの先端から球状の液滴が吐出されるわけではない。静電方式においては、ジェット流がノズル先端21とターゲット2との間に形成されることが望ましく、さらに、ノズル先端21とターゲット2とのギャップが広くなると静電力を得るために印加する電圧も増大する。したがって、静電方式で吐出するときのノズル先端21とターゲット2とのギャップ(ワーキングディスタンス)G1は15〜100μm程度である。また、ターゲット2に着滴したときのドット径は、20μm以下であることが多く、ほとんどの場合、瞬時に乾燥する。
一方、圧力変動方式では、液柱がターゲット2に到達することは好ましくなく、液柱が液滴に変わってからターゲット2に到達することが望ましい。したがって、圧力変動方式で吐出するときのノズル先端31とターゲット2とのギャップ(ワーキングディスタンス)G2は0.5mm〜2mm程度である。また、ターゲット2に着滴したときのドット径は、多くの場合、30μm程度以上であり、揮発性の液体であっても、ほとんどの場合、1秒程度あるいはそれ以上の間、着滴した液滴は、主に液滴の中心部が液状のままである。
このため、吐出装置1においては、ターゲット2に形成する液滴径により静電ヘッド20が選択されると、ギャップ制御機構16によりヘッドブロック10をターゲット2に近づけて液状物質25Lを吐出する。ピエゾヘッド30が選択されると、ギャップ制御機構16によりヘッドブロック10をターゲット2から離して液状物質35Lを吐出する。さらに、移動機構17により、ターゲット2のXY座標も静電ヘッド20が選択された場合と、ピエゾヘッド30が選択された場合とで変更する。この吐出装置1においては、ヘッドブロック10に物理的に異なるヘッド20および30が搭載されているので、ノズル先端21および31の位置が異なり、それぞれのノズル先端21および31から吐出される液の着滴点が異なるのが通常である。同一のノズル先端から液が吐出された場合であっても、静電方式と圧力変動方式とでは、ギャップが異なり、吐出方法も異なるので、ターゲット2の同じ位置に着滴するとは限られない。
吐出装置1においては、観察用のカメラ15を設け、ぞれぞれのノズル先端21および31から吐出された液の着滴点を確認できるようにしている。吐出装置1のカメラ15は、ターゲット2に対して高さ(Z方向)の位置が固定されており、Z方向についてはヘッドブロック10と独立しており、ギャップ制御機構16によりヘッドブロック10とは連動して動かない。一方、カメラ15は、移動機構17によるターゲット2の動きとも連動しておらず、XY方向において、ターゲット2に対しては、ヘッドブロック10と連動して移動する。カメラ15をヘッドブロック10とともにギャップ制御機構16により移動するように設けてもよいが、カメラ15の焦点調整と倍率調整を行う必要がある。したがって、精度よくノズル先端21の位置を確認したり、着滴位置を確認するためには高さが固定されていることが望ましい。
図2に、静電ヘッド20により吐出された液の着滴点29を確認する様子を示している。静電方式(静電インクジェット方式)で吐出させた液滴は、基板の表面などのターゲット2における着滴ドット径が20μm以下という非常に小さなものである。したがって、着滴(着液)したドットは非常に乾燥しやすく、特に揮発性の高い液材を使用した場合、着滴したドットをカメラ15で捉えようとしても、カメラ15の下までターゲット2を移動したり、カメラ15を介して着滴した状態を認識する間に液材が乾燥してしまう。このため、着滴点を精度よく認識することが難しい。
一方、この吐出装置1においては、静電ヘッド20のノズル先端21とターゲット2(この例では、対象物体2mの表面)とのギャップ(ワーキングディスタンス)G1は15〜100μmの範囲であり、ノズル先端21の直下が液滴29が着弾する位置(着滴位置)28としても、μm程度の精度の範囲ではほとんど誤差はない。したがって、静電ヘッド20のノズル先端21をカメラ15で写し出す(観察する)ことで、液滴を吐出させなくともカメラ15に対する静電ヘッド20による着滴位置28(ヘッド−カメラ間のオフセット補正値)を取得できる。
特に、吐出装置1に採用されている静電ヘッド20は、ガラス管などにより構成されるキャピラリータイプのノズル22を備えておりノズル先端21がカメラ15により識別しやすい。したがって、着滴位置28を精度よく認識できる。
図3に、ピエゾヘッド30により吐出された液の着滴点39を確認する様子を示している。ピエゾヘッド30については、多くの場合、着滴39のドット径が30μm以上となり、揮発性の高い液材を使用した場合でも、着弾した液滴39は1秒以上の間、基板などのターゲット2の上に乾燥せずに残っている。このため、ピエゾヘッド30で着滴したと予測される位置にカメラ15を移動させても十分に着滴39の位置(着滴位置)38を観察できる。ピエゾヘッド30の場合、ノズル先端31とターゲット2、すなわち、吐出対象の物体2mの表面までのギャップ(ワーキングディスタンス)G2は0.5mm以上となる。このため、場合によっては、着滴位置38を確認する処理では液滴吐出発数を2ドロップ以上に設定して着滴点39をさらに明瞭にしてもよい。これらの動作により、静電ヘッド20の着滴位置28と、ピエゾヘッド30の着滴位置38との差(オフセット)dを精度良く取得でき、予め設定されているオフセットdを、実際にターゲット2に着滴する位置に基づき再設定することが可能となる。
図3に示すように、静電ヘッド20のノズル先端21をターゲット2に近づけたときにピエゾヘッド30のノズル先端31がターゲット2と干渉しないように、ノズル先端31は、ノズル先端21よりターゲット2に対して後退した位置にセットする必要がある。さらに、この吐出装置1においては、ギャップ制御機構16により、ピエゾヘッド30のノズル先端31とターゲット2とのギャップG2をバリアブルに制御することが可能である。このため、ギャップG2を最小値G2mにセットしたときに、静電ヘッド20のノズル先端21がターゲット2と干渉しないようにする必要がある。したがって、静電ヘッド20のノズル先端21とピエゾヘッド30のノズル先端31との距離(オフセット)hは、以下の式(A)を満たすように設定される。典型的な最小値G2mは0.5mmである。
0<h<G2m ・・・(A)
着滴位置28および38のオフセットdを求める初期設定において、カメラ15の視野に静電ヘッド20のノズル先端21と、ピエゾヘッド30から吐出された液滴の着滴点39が捉えられていれば、静電ヘッド20の着滴位置28とピエゾヘッド30の着滴位置38とのオフセットを求めることができる。
CCDカメラ15を、所定の角度の範囲内(たとえば45度以内)で静電ヘッド20のノズル先端21がおおよそ映し出せる位置に設定し、移動テーブル(移動ステージ)17を微調整させながら、モニタに映し出されるカメラ15で撮像された画像の中心にノズル先端21が写し出される様に調整して着滴位置28を求めてもよい。ピエゾヘッド30の着滴位置38も、ピエゾヘッド30により液をターゲット2に吐出した後、ターゲット2の上の液滴が、モニタに映し出されるカメラ15の画像の中心に映し出されるように移動テーブル17を微調整することにより求めることができる。
この吐出装置1は、吐出可能な液滴サイズが大きく異なる2種類の方式のインクジェットヘッド20および30を1台の吐出ヘッド(ヘッドブロック)10に搭載し、各方式のヘッド20および30の吐出位置制御を正確に行うことで、2種類のヘッド20および30による塗り分けが可能なオンデマンドの描画装置である。ヘッドブロック10をZ軸方向へ動かすギャップ制御機構16は、コントローラユニット40またはパーソナルコンピュータ(PC)5のアプリケーションにて制御可能であり、また、マニュアルでもヘッドブロック10のZ軸方向の位置が調整できる。
この吐出装置1は、双方の方式のヘッド20および30を独立させて、共通のヘッドブロック10に搭載する。したがって、目的とする吐出量にマッチしたノズル径を有するヘッド20および30を複数のラインナップから選定・搭載でき、さらに、個々のヘッド20および30に対し独立でヘッド駆動条件を設定できる。したがって、この吐出装置1は、同一のインクジェットヘッド内にピエゾ方式および静電方式の双方が内蔵されているピエゾ・静電一体型ヘッドを搭載した装置に対して、各方式による吐出可能な液滴量の制限が緩やかである。このため、主にフェムトリットルオーダーの液滴を吐出するヘッド20、および主にピコリットルオーダーの液滴を吐出するヘッド30のそれぞれのノズル径や駆動条件を自在に設定および制御することにより、吐出量において自由度の高いオンデマンド描画装置を提供できる。さらに、それぞれのヘッド20および30の吐出位置決めを正確に行うことで、各ヘッド20および30の特徴を生かし、これまでインクジェット技術では難しいとされていたサイズの微細なドット形成やパターニングから、比較的大きなドット形成やパターニングまでを1台の装置で実現可能なオンデマンド描画装置を提供できる。
さらに、この吐出装置1では、ヘッド20および30から吐出する液材料についても、それぞれ独立にセットが可能になる。このため、同一材料をパターニングする処理以外、例えば、導電性材料による微細配線と絶縁性材料による広面積の塗り分けといった対応が容易に実現可能である。
図4に、吐出装置1のコントローラユニット40が行う主な制御動作をフローチャートにより示している。この制御動作は、PC5に搭載されたアプリケーションにより行われてもよい。ステップ61において、初期設定が必要であるか否かが判断される。ヘッド20または30を交換したとき、新しいジョブを開始するとき、適当な時間が経過したとき、新しいターゲット(ワークピース)2がセットされたとき、ユーザーが初期設定を選択したときなどが初期設定を行うことが望ましいタイミングの例である。
初期設定が必要であると判断されると、コントローラユニット40の初期設定機能41は、図2に示すように、ステップ62において、ギャップ制御機構16によりヘッドブロック(吐出ヘッド)10の高さ(Z軸方向の位置)を、ノズル先端21とターゲット2(対象物2mの表面)との距離(ギャップ)が所定の値G1となるように設定する。ギャップG1は、コントローラユニット40に予め設定されていてもよく、PC5から指定してもよい。さらに、ヘッドブロック10とターゲット2との相対的位置(XY方向の位置)を、移動機構17により静電ヘッド20により処理する位置にセットする。ステップ63において、カメラ15によりノズル先端21の位置を静電ヘッド20の着滴位置28として取得する。
次に、初期設定機能41は、図3に示すように、ステップ64において、ギャップ制御機構16によりヘッドブロック10の高さ(Z軸方向の位置)を、ノズル先端31とターゲット2(対象物2mの表面)との距離(ギャップ)を所定の値G2となるように設定する。ギャップG2は、コントローラユニット40に予め設定されていてもよく、PC5から指定してもよい。さらに、ヘッドブロック10とターゲット2との相対的位置(XY方向の位置)を、移動機構17によりピエゾヘッド30により処理する位置にセットする。このXY方向の位置は、静電ヘッド20により処理する位置に対して予め設定されたオフセットdを考慮した位置である。
ステップ65において、ピエゾヘッド30により吐出を行い、カメラ15により、吐出された液のターゲット2の上の着滴39を捉えて、着滴位置38を取得する。ピエゾヘッド30の吐出量は静電ヘッド20の吐出量に対して多いので、カメラ15によりターゲット2に着弾した液滴39を捉えることができ、着滴39の中心位置を把握することができる。
ステップ66において、予め設定されていたオフセットdを、上記のステップにより得られた着滴位置28および38の情報に基づき補正または再設定する。
初期設定が終了すると、ステップ67において、静電ヘッド20およびピエゾヘッド30のいずれかを吐出用のインクジェットヘッドとして選択する。静電力を用いて液状物質25Lを吐出するための静電ヘッド20が選択されると、ステップ71において、ギャップ制御機構16により静電ヘッド20のノズル先端21とターゲット2との距離(ギャップ)が静電方式用のギャップG1に設定される。ヘッドブロック10とターゲット2とのXY方向の相対的位置は、初期設定により設定されたオフセットdと、アプリケーションから要求される描画位置(着液対象座標)とに基づき、ノズル先端21の直下の着滴位置28となるように計算された位置に設定される。
ステップ72において、静電ヘッド20の駆動条件の設定および着滴座標条件の設定が整うと吐出を許可するトリガー信号が出力され、静電ヘッドコントローラ13は予め設定されたヘッド起動条件により液滴を吐出させる。
一方、ステップ67において、圧力変動を用いて液状物質35Lを吐出するためのピエゾヘッド30が選択されると、ステップ73において、ギャップ制御機構16によりピエゾヘッド30のノズル先端31とターゲット2との距離(ギャップ)が圧力変動方式用のギャップG2に設定される。ヘッドブロック10とターゲット2とのXY方向の相対的位置は、初期設定により設定されたオフセットdと、アプリケーションから要求される描画位置(着液対象座標)とに基づき、ヘッド30の着滴位置38となるように計算された位置に設定される。
ステップ74において、ピエゾヘッド30の駆動条件の設定および着滴座標条件の設定が整うと吐出を許可するトリガー信号が出力され、ピエゾヘッドコントローラ12は予め設定されたヘッド起動条件により液滴を吐出させる。
図5(a)および(b)に、吐出装置1を用いて形成した配線パターンの一例を示している。本提案の方法は、静電ヘッド20による静電式分注と、ピエゾヘッド30による圧力変動式のインクジェット(サーマル型でも良い)との長所を組み合わせ、微細なパターンを効率良く形成するものである。特に、低粘性の液材を用いて高精細なパターンを形成する際に有用と考えられる。パターンの作成は次にようにして行われる。
第1ステップ: パターン域と滴下域とを囲む壁の作製
静電式分注は、圧力変動を用いたインクジェットと比べ、高粘性の液材を微液滴化することが得意である。また、静電分注された液滴は、電界の集中する突起物に向かって飛んでいくため、必ず断線の無いラインを作製できる。樹脂材料の場合、数μm程度のラインを描くことができる。したがって、まず、静電ヘッド20により、平面基板の上に樹脂のラインを形成し、滴下域82とパターン域85とを囲む壁(バンク)86を構築する。
第2ステップ: 壁材の固化
UV硬化樹脂の場合はUV照射、熱硬化樹脂の場合は過熱して壁材86を固化させる。
第3ステップ: 滴下域に液材を塗布
圧力変動式のインクジェットは、静電式分注と比べ、低粘性の液材を多量に塗布することが得意である。そのため、このステップでは、液材を、壁により囲まれた滴下域82とパターン域85に流し込む量だけをインクジェットで滴下域82に塗布する。液材が毛細管現象で広がっていくときに時間を要するため、液材は蒸散性の低いものを選定することが好ましい(例えばテトラデカン)。
第4ステップ: 塗布された液材が滴下域82、さらに毛細管力でパターン域85にも広がり、微細なパターンが簡便に形成される。
図5(a)および(b)に示した配線パターン81は、上記の方法により製造されたものである。まず、この配線パターン81は、図5(a)に断面図で示すように、配線基板89の表面をターゲット2として、まず、静電ヘッド20から吐出された液滴29によりバンク86を形成する。バンク86を形成するのに適した液は、たとえば、粘度1000cps程度の紫外線硬化樹脂である。静電ヘッド20を用いることにより幅5μm程度のバンク86を幅10μm程度の配線用の隙間(パターン域)85を開けて形成できる。配線用の隙間85と連通するように直径または対角線の長さが30〜50μmの円形または四角形の着滴用の領域(滴下域)82をバンク86により囲うように形成する。バンク86の紫外線硬化樹脂に対して、UVランプにより紫外線を照射するなどの硬化処理を行う。
次に、ピエゾヘッド30により、着滴用の領域82に配線用の導電性の機能液を吐出する。着滴用の領域82にピエゾヘッド30により直径が数10μm程度の液滴を塗布することにより、着滴用の領域82から毛細管現象により導電性機能液が配線用の隙間85に広がり(流れ込み)、幅10μm程度の配線パターン81を形成することができる。
図6(a)および(b)に、静電ヘッド20の着滴位置とピエゾヘッド30の着滴位置とを確認するための異なる構成を示している。この例では、移動機構である移動テーブル17の端にアライメント調整エリアを設け、ターゲット2の代わりに着滴対象となる光透過型の校正スケール91と、反射ミラー92と、反射ミラー92を介して校正スケール91を裏側から観察できるように配置されたアライメント調整用のカメラ93とを設けている。カメラ93の画像を映し出すモニタには、ノズル先端および液滴の画像を正確に中心位置に設定するために十字線などを出しておくことが望ましい。
図6(a)にヘッドブロック10を下から見た様子を示すように、テーブル観察用カメラ15と、静電ヘッド20のノズル先端21と、ピエゾヘッド30のノズル先端31とはほぼ直線になるようにヘッドブロック10に搭載されている。まず、移動テーブル17を動かしてテーブル観察用カメラ15の中心位置を、校正スケール91を介して確認する。カメラ15に落射照明光の光源を設け、照明光が校正用スケール91の中心に来る様に移動テーブル17のXY軸を調整することができる。テーブル観察用カメラ15の位置をPC5のアプリケーション上などで記録する。次に、移動テーブル17を静電ヘッド20のノズル先端21に移動し、校正スケール91を介してノズル先端21の位置を確認し、テーブル観察用カメラ15との相対位置を補正する。ピエゾヘッド30についても同様の作業を繰り返す。校正スケール91がリプレースしたり、クリーニングできるタイプであれば、ピエゾヘッド30においては、実際に校正スケール91に液を吐出し、その着滴位置を確認することができる。
図7に、吐出装置の異なる例を示している。この吐出装置1は、同一のインクジェットヘッドにピエゾ方式および静電方式の双方が内蔵されているピエゾ・静電一体型ヘッド(一体型ヘッド)50を搭載したヘッドブロック10を備えている。一体型ヘッド50は、タンク55に収納された液55Lを静電方式で吐出するための電極23と、圧力変動により吐出するためのピエゾアクチュエータ33とを含む。ピエゾアクチュエータ33は、ノズル52の内部を加圧することにより液55Lを吐出する方式と、ノズル52の内部を負圧にした反動、いわゆる引き打ちで液55Lを吐出する方式とのいずれにも用いることができる。吐出装置1の他の構成について、上記に説明した吐出装置と共通する部分は同じ番号を付している。
この吐出装置1においても、一体型ヘッド50により静電方式で液55Lを吐出するときは、ギャップ制御機構16により、ヘッドブロック10をターゲット2に近づけて、ヘッド50のノズル先端51とターゲット2との間を静電方式に適したギャップG1に設定する。これにより、静電方式によりフェムトリットル程度の液滴がターゲット2に確実に形成できるようにする。また、一体型ヘッド50により圧力変動方式で液55Lを吐出するときは、ギャップ制御機構16により、ヘッドブロック10をターゲット2から後退させて、ヘッド50のノズル先端51とターゲット2との間を圧力変動方式に適したギャップG2に設定する。これにより、圧力変動方式よりピコリットル程度の液滴がターゲット2に確実に形成できるようにする。また、吐出装置1は、それぞれの方式で吐出したときの着滴位置を確認し、オフセットdを設定するためのカメラ15を備えている。
一体型ヘッド50は、静電方式により液を吐出することと、圧力変動方式により液を吐出することに加え、静電アシストまたは圧力変動アシスト方式により液を吐出することが可能である。圧力変動アシスト方式であれば、ノズル先端51にテーラーコーンに近い状態まで圧力変動により液面を盛り上げることにより、静電方式による吐出効率を向上できる。静電アシスト方式であれば、圧力変動のみではノズル先端51から分離されないような液柱であっても静電力によりターゲット2に向けて射出できる。これらの方式は、いずれも静電力が作用するので、基本的にはノズル先端51とターゲット2とのギャップは静電方式のギャップG1にセットすることが望ましい。しかしながら、それぞれに方式にさらに適したギャップの値が事前に判明していれば、この吐出装置1においては、ギャップ制御機構16により、それぞれの方式の選択に応じて、ノズル先端51とターゲット2とのギャップをバリアブルに制御することが可能である。
なお、以上の吐出装置1および吐出ヘッド(ヘッドブロック)10においては、静電ヘッド20およびピエゾヘッド30を各1セットずつ搭載しているか、または、一体型ヘッド50を1セットだけ搭載している例を示している。このような吐出装置1は、各ヘッドから吐出される液滴の着座あるいは着弾位置(着滴位置)を事前に確認することにより、高い位置精度で描画したり、分注したりすることが可能であり、高精細な処理が必要とされるアプリケーションに適している。また、高精細な処理が必要とされるシステムに吐出装置1を組み込むことが可能である。
また、圧力変動方式のヘッドとしてピエゾヘッド30を例に説明しているが、気泡によりノズル内を加圧するタイプなどの他のインクジェットヘッドを採用することも可能である。さらに、一体型ヘッドと、静電ヘッドまたはピエゾヘッドとをヘッドブロック10に搭載したり、一体型ヘッド、静電ヘッドおよびピエゾヘッドをヘッドブロック10に搭載したりすることも可能である。
吐出装置は、静電ヘッド20およびピエゾヘッド30を複数セット搭載したり、一体型ヘッド50を複数セット搭載することも可能である。この装置においても、静電方式で吐出するときは、吐出ヘッド(ヘッドブロック)をターゲットに近づけることにより、フェムトリットル程度の液滴をターゲットに吐出し、圧力変動方式で吐出するときは、吐出ヘッドをターゲットから後退させることにより、ピコリットル程度の液滴をターゲットに吐出するという処理を1つの吐出装置で実行できる。したがって、ターゲットを乗せ換えたりすることなく、異なる大きさの複数の液滴を1つの装置内で並列に塗布、描画または分注したりすることが可能となる。
1 吐出装置、 10 吐出ヘッド(ヘッドブロック)
20 静電ヘッド、 30 ピエゾヘッド

Claims (11)

  1. 静電力を用いてノズルの先端より液状物質を吐出するための電極と、前記ノズルまたは他のノズルの内部圧力の変動を用いて前記ノズルまたは前記他のノズルの先端より液状物質を吐出するためのアクチュエータとを含む吐出ヘッドと、
    前記吐出ヘッドのノズルから吐出された液状物質が到達するターゲットと前記吐出ヘッドとを相対的に第1の方向に動かし、前記ターゲットと前記ノズルの先端または前記他のノズルの先端とのギャップを制御するためのギャップ制御機構であって、前記静電力を用いて液状物質を吐出することが選択されると前記ギャップを第1の値にセットし、前記内部圧力の変動を用いて液状物質を吐出することが選択されると前記ギャップを、前記第1の値より大きな第2の値にセットするためのギャップ制御機構とを有する装置。
  2. 請求項1において、前記ギャップが前記第1の値にセットされたときの前記ノズルの先端を観察するためのカメラをさらに有する装置。
  3. 請求項2において、前記カメラは、前記ギャップ制御機構とは非連動である、装置。
  4. 請求項2または3において、前記ノズルはキャピラリータイプである、装置。
  5. 請求項2ないし4のいずれかにおいて、前記吐出ヘッドおよび/または前記ターゲットを前記第1の方向と異なる第2の方向に相対的に移動するための移動機構と、

    前記ターゲットに対する前記ギャップが前記第1の値にセットされたときの前記ノズルの先端の位置と、前記ギャップが前記第2の値にセットされたときの前記ターゲットへの着滴とを前記カメラにより観察し、前記ギャップが前記第1の値にセットされたときの着滴位置と、前記ギャップが前記第2の値にセットされたときの着滴位置とのオフセットを求める機能とをさらに有する、装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記吐出ヘッドは、前記静電力を用いて液状物質を吐出するための第1のノズルと、前記第1のノズルとは異なる第2のノズル内の圧力変動により液状物質を吐出するための第2のノズルとを含む、装置。
  7. 請求項6において、前記第1のノズルはキャピラリータイプである、装置。
  8. 請求項6または7において、前記第2のノズルの先端は、前記ターゲットに対して、前記第1のノズルの先端より後退しており、前記第1のノズルの先端と前記第2のノズルの先端との距離hは、以下の式を満たす、装置。
    0 < h < G2m
    ただし、G2mは、前記第2の値の最小値である。
  9. 請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記吐出ヘッドは、前記静電力を用いて液状物質を吐出可能であるとともに、ノズル内の圧力変動により液状物質を吐出可能な第3のノズルを含む、装置。
  10. 静電力を用いてノズルの先端より液状物質を吐出するための電極、および、前記ノズルまたは他のノズルの内部圧力の変動を用いて前記ノズルまたは前記他のノズルの先端より液状物質を吐出するためのアクチュエータを含む吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドのノズルから吐出された液状物質が到達するターゲットと前記吐出ヘッドとを相対的に第1の方向に動かし、前記ターゲットと前記ノズルの先端または前記他のノズルの先端とのギャップを制御するためのギャップ制御機構とを有する装置を制御する方法であって、
    前記静電力を用いて液状物質を吐出することが選択されると、前記ギャップ制御機構により、前記ギャップを第1の値にセットすることと、
    前記内部圧力の変動を用いて液状物質を吐出することが選択されると、前記ギャップ制御機構により、前記ギャップを前記第1の値より大きな第2の値にセットすることとを有する方法。
  11. 請求項10において、前記装置は、前記ギャップが前記第1の値にセットされた前記ノズルの先端を観察するためのカメラと、前記吐出ヘッドおよび/または前記ターゲットを前記第1の方向とは異なる第2の方向に相対的に移動するための移動機構とをさらに有し、
    当該方法は、前記カメラにより前記ターゲットに対する前記ギャップが前記第1の値にセットされたときの前記ノズルの先端の位置と、前記ギャップが前記第2の値にセットされたときの前記ターゲットへの着滴とを観察し、前記ギャップが前記第1の値にセットされたときの着滴位置と、前記ギャップが前記第2の値にセットされたときの着滴位置とのオフセットを求めることをさらに有する、方法。
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