JP2010185559A - 歯車変速機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】歯車変速機Mは、係合クラッチ32および同期機構Sを備える。同期機構Sは、変速歯車12bに回転可能に支持される摩擦リング50と、摩擦リング50と変速歯車12bとの間で摩擦力を発生させるバネ61とを備える。摩擦リング50は、変速時にシフタ22が軸方向に移動して係合クラッチ32の歯車側係合部38およびシフタ側係合部39が互いに当接する前に、シフタ側係合部39が周方向で当接する先行係合部52を有する。摩擦リング50は、バネ61が発生する摩擦力により変速歯車12bおよびシフタ22の回転速度を同期化する。その後、シフタ22はさらに軸方向に移動して、歯車側係合部38およびシフタ側係合部39を周方向で互いに当接させる。
【選択図】図3
Description
しかしながら、係合クラッチの係合部同士が当接する直前での変速歯車の回転速度とシフタの回転速度とが異なるため、歯車側係合部とシフタ側係合部との当接の際に、衝撃および該衝撃に起因する衝撃音が発生する。そこで、この衝撃および衝撃音を低減するために、歯車側係合部とシフタ側係合部との当接に先だって、変速歯車およびシフタの回転速度を同期化する(すなわち、変速歯車とシフタとの回転速度差を小さくする)同期機構を備える歯車変速機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、シンクロナイザリングと変速歯車との間での摩擦力を発生させるためには、シフタがシンクロナイザリングを変速歯車に対して軸方向に付勢するので、シフタに加える操作力を大きくする必要がある。このため、シフタの操作が運転者により行われるマニュアル式の変速操作装置では、変速操作の軽快性が低下する。また、シフタの操作を行う電動モータなどのアクチュエータを備える変速操作装置では、該アクチュエータにより大きな操作力を発生させる必要があって、アクチュエータの大型化を招来する。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の歯車変速機において、前記摩擦回転体(50)および前記第1回転体(12b)の接触面(51a,42a)は、前記回転軸(4)の回転中心線(L2)を中心軸線とするテーパ面であり、前記摩擦力発生部材(60)は、前記テーパ面が先細となる方向に前記摩擦回転体(50)を付勢する付勢部材(61)を有するものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の歯車変速機において、周方向での前記先行係合部(52)の形成角度(θ2)は、周方向での前記第1係合部(38)の形成角度(θ1)よりも小さいものである。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の歯車変速機において、前記変速操作装置(26)は、制御装置(7)により制御されて前記シフタ(22)を軸方向に操作するアクチュエータ(27)を備え、前記制御装置(7)は、前記第2係合部(39)と前記先行係合部(52)とが当接する位置で、前記シフタ(22)の軸方向での移動を減速または一旦停止するものである。
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の歯車変速機において、前記摩擦回転体(50)の少なくとも一部は、軸方向で前記第1係合部(38)と同じ位置にあるものである。
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項記載の歯車変速機において、前記先行係合部(52)は、前記第1係合部(38)の最小軸方向幅(W4)の1/3以下の突出量(W3)で、前記第1係合部(38)に対して軸方向に突出しているものである。
そして、変速歯車およびシフタの回転速度の同期化のための摩擦力は、軸方向でのシフタの移動とは無関係に、シフタとは別個の部材である摩擦力発生部材により発生するので、該摩擦力を発生させるために摩擦回転体をシフタで軸方向に移動させる必要がない。この結果、同期機構を備えた歯車変速機において、係合クラッチが非接続状態にある変速開始から接続完了状態までのシフタの軸方向移動量を小さくすることができて、変速が迅速化される。
また、同期化のための摩擦力を発生させるために、シフタにより摩擦回転体を軸方向に付勢する必要がないので、変速操作装置によるシフタの操作力を軽減できる。この結果、変速操作装置がシフタを操作するアクチュエータを備える自動式の変速操作装置における該アクチュエータの小型化が可能になり、またマニュアル式の変速操作装置における変速操作の軽快性が向上する。
請求項2記載の事項によれば、テーパ面からなる接触面にて第1回転体と接触する摩擦回転体が、第1回転体のテーパ面からなる接触面に対して付勢部材により付勢されているので、第1回転体および摩擦回転体の熱膨張や接触面での摩耗等の経年変化が発生したとしても、接触面での接触状態を維持できる。この結果、簡単な構造により、摩耗などの経年変化や温度変化に対して、同期機構の同期化機能を確保できる。
請求項3記載の事項によれば、先行係合部の形成角度が第1係合部の形成角度よりも小さい分だけ、周方向で先行係合部が形成されていない角度範囲を、周方向で第1係合部が形成されていない角度範囲よりも大きくできるので、第2係合部と先行係合部とが当接する機会が、第2係合部と第1係合部とが当接する機会よりも多くなり、変速歯車とシフタとの同期化の機会が多くなって、変速の迅速化が可能になる。
請求項4記載の事項によれば、シフタが移動して、第2係合部と先行係合部との当接後で、歯車側係合部とシフタ側係合部との当接の前に、シフタが減速または停止する分だけ、変速歯車とシフタとの回転速度の同期化の時間を長く取ることができる。この結果、変速歯車とシフタとの回転速度差が一層小さい状態で歯車側係合部とシフタ側係合部とを当接させることができるので、変速時の衝撃および衝撃音を一層低減できる。
請求項5記載の事項によれば、第1回転体において摩擦回転体および第1係合部が軸方向で同じ位置にあるので、第1係合部に対して摩擦回転体を軸方向でコンパクトに配置できる。この結果、同期機構が設けられた変速歯車またはシフタを軸方向で小型化でき、またシフタの軸方向移動量を小さくできるので、変速の迅速化ができ、さらに軸方向でシフタと変速歯車を近接して配置できるので、歯車変速機を軸方向で小型化できる。
請求項6記載の事項によれば、先行係合部が第1係合部に対して軸方向に突出する突出量を小さくすることができるので、請求項5記載の発明と同様の効果が奏される。
図1を参照すると、本発明が適用された歯車変速機Mは、常時噛合式の歯車変速機であり、該変速機Mに入力される動力を発生する動力発生装置としての内燃機関Eと共に、機械である車両としての自動二輪車に搭載される。
変速機ケース(図示されず)に軸受5を介して回転可能に支持されるメイン軸3およびカウンタ軸4は、内燃機関Eにより回転駆動される回転軸であり、その回転中心線L1,L2が互いに平行となるように配置される。
メイン軸3は、第1変速クラッチ2aを介してクランク軸1からの動力が入力される第1メイン軸3aと、第2変速クラッチ2bを介してクランク軸1からの動力が入力される第2メイン軸3bとから構成される。第2メイン軸3bは、第1メイン軸3aと同軸に配置されて、第1メイン軸3aの外周に相対回転可能に支持される。
カウンタ軸4の動力は、該カウンタ軸4に設けられてカウンタ軸4と一体に回転する出力回転体としての出力歯車6を有する減速機構を介して、自動二輪車の駆動輪である後輪に伝達される。
なお、別の例として、変速クラッチおよびメイン軸はそれぞれ1つであってもよい。
第1〜第6変速歯車対11〜16は、最大変速比としての第1変速比から、最小変速比としての第6変速比まで、同一のメイン軸3の回転速度に対してカウンタ軸4の回転速度が順次大きくなる変速比をそれぞれ確立する。
なお、変速時には、第1,第2変速クラッチ2a,2bが、それぞれ第1,第2メイン軸3a,3bに対するクランク軸1の動力の伝達を遮断する。
一方、第1〜第4変速歯車11b〜14bは、カウンタ軸4に相対回転可能に設けられ、第5,第6変速歯車15b,16bは、カウンタ軸4と一体に回転するように設けられる。
変速操作装置26が備える複数のシフトフォーク29(図1には、第1,第2シフタ21,22をそれぞれ操作するシフトフォーク29が模式的に示されている。)が係合する係合部としての環状溝25が設けられた各シフタ21〜24は、シフトフォーク29により駆動されて軸方向に平行に移動する。
第1シフタ21は第5変速歯車15bに、第2シフタ22は第6変速歯車16bに、第3シフタ23は第3変速歯車13aに、第4シフタ24は第4変速歯車14aに、それぞれ一体成形により一体に設けられて、各変速歯車15b,16b,13a,14aが各シフタ21,22,23,24を兼ねる。
電動モータ27は、シフトドラム28の回転位置としての位置を検出する位置検出手段8と、車速および内燃機関Eの機関運転状態を含む運転状態を検出する運転状態検出手段9からの検出信号が入力される制御装置7により制御される。
制御装置7は、各検出手段8,9により検出されるシフトドラム28の回転位置、車速および機関運転状態に基づいて、第1,第2変速クラッチ2a,2bを制御する一方、電動モータ27の作動を制御することにより、シフトドラム28の回転位置を設定し、したがってシフトフォーク29の位置を設定する。
各シフタ21,22,21,22,23,24に一体成形された各シフタ側係合部39は、シフタ21,22,21,22,23,24の、軸方向で変速歯車11b,16b,13b,14b,15a,16aに対向する面において、軸方向に突出する凸部である。
一方、係合クラッチ31〜36が非接続状態(以下、「非接続状態」という。)にあるとき、すなわち各歯車側係合部38と各シフタ側係合部39とが周方向で互いに当接していない状態にあるとき、通常、変速歯車11b,16b,13b,14b,15a,16aとシフタ21,22,21,22,23,24とは異なる回転速度となる。
同期機構Sの全体は、変速歯車12bに設けられた凹部40内に配置される。シフタ22とは別個の部材である摩擦力発生部材60は、摩擦リング50を軸方向に付勢する付勢部材としてのバネ61を有する。
また、第2係合クラッチ32以外の、前記第1所定数が第2係合クラッチと同数または異なる数である係合クラッチ31,33〜36においても、各基準面P1,P2に相当する基準面は周方向に等間隔または等角度で配置されている。このように、このように、基準面P1は、歯車側係合群における歯車側係合部38の周方向での配置を定める面であり、基準面P2は、シフタ側係合群におけるシフタ側係合部39の周方向での配置を定める面である。
ここで、内周面42aは、外周面51aおよび底壁44の底面44aと共に変速歯車12bまたは凹部40の壁面であり、また外周面51aは、内周面51bと共に摩擦リング50の周面である。そして、該周面51a,51bと、摩擦リング50の軸方向で底面44aと対面する軸方向端面50aは、いずれも摩擦リング50の表面である。
このため、第2係合クラッチ32の非接続状態で、摩擦リング50は前記摩擦力により変速歯車12bと一体に回転および停止する。
また、各先行係合部52の一部、この実施形態ではその過半は、軸方向で歯車側係合部38と重なる位置、換言すれば軸方向での位置で、歯車側係合部38と同じ位置にある。
このため、周方向で先行係合部52が形成されていない角度であるスペース角度θ6は、周方向で歯車側係合部38が形成されていない角度であるスペース角度θ5よりも大きい。
スペース角度θ6,θ5は、軸方向に移動するシフタ22のシフタ側係合部39が変速歯車12bにおいて軸方向に進入することが可能な角度であり、大きい値であるほど、シフタ側係合部39と先行係合部52または歯車側係合部38との当接または係合の機会が多くなり、したがってシフタ側係合部39と先行係合部52または歯車側係合部38との当接または係合がし易くなる。この実施形態では、間隔角度θ3がスペース角度θ5であり、間隔角度θ4がスペース角度θ6である。
ここで、前記所定時間は、変速の迅速化を妨げない範囲の値であることを前提に、シフタ22と変速歯車12bとの回転速度差を小さくする観点から設定される。そして、該所定時間は、例えば、変速比や機関回転速度に応じて、変速時の変速比の変化が大きいほど、または変速開始時の機関回転速度が大きいほど、長く設定されてもよい。
その後、シフタ22がさらに歯車側係合部38に近づく方向に移動して、シフタ側係合部39と先行係合部52とが周方向で当接する一方で歯車側係合部38とシフタ側係合部39とが周方向で当接していない同期化過程(例えば、図3にシフタ側係合部39が一点鎖線で示され、また図4に示される状態。)では、摩擦リング50は、カウンタ軸4と一体に回転しているシフタ22と一体に回転すると共に、変速歯車12bに対しては外周面51aが内周面42aに摺接しながら相対回転する。このとき、バネ61の付勢により発生する摩擦リング50と変速歯車12bとの間の前記摩擦力により、第2変速クラッチ32が切断状態にある第2メイン軸3bの入力側変速歯車12aと噛合する出力側変速歯車12bの回転速度が低下して、第1変速比での回転速度で回転していたシフタ22の回転速度に近づき、変速歯車12bおよびシフタ22の回転速度を同期化する。それゆえ、外周面51aおよび内周面42aは、内周面42aを有する変速歯車12bの回転速度を低下させるブレーキ面である。
このように、摩擦リング50と変速歯車12b(または凹部40)との間に、変速歯車12bおよびシフタ22の回転速度を同期化する摩擦力を発生させるために、シフタ側係合部39が摩擦リング50を軸方向に移動させる必要がない。
なお、前記同期化過程において変速歯車12bおよびシフタ22の回転速度が完全に同期したとき(すなわち、回転速度が一致したとき)には、シフタ側係合部39と歯車側係合部38とが軸方向で当接して変速に時間がかかる場合または変速ができない場合があり得るが、その場合には、シフタ側係合部39と歯車側係合部38とが軸方向で当接した状態にあることを、例えば変速に要する時間、またはメイン軸3およびカウンタ軸4の回転速度の検出を通じて検出して、変速操作をやり直すことにより対応できる。
第2係合クラッチ32が、歯車側係合部38およびシフタ側係合部39が互いに周方向で当接している接続完了状態にあるとき、変速歯車12bおよびシフタ22が一体に回転することにより変速歯車12bで規定される変速比が確立される車両用歯車変速機Mにおいて、同期機構Sは、変速歯車12bと接触した状態で該変速歯車12bに対して回転可能に支持される摩擦リング50と、摩擦リング50と変速歯車12bとの間で摩擦力を発生させるバネ61とを備え、摩擦リング50は、変速時に変速操作装置26により操作されたシフタ22が軸方向に移動して第2係合クラッチ32の歯車側係合部38およびシフタ側係合部39が互いに当接する前に、シフタ側係合部39が周方向で当接する先行係合部52を有し、摩擦リング50は、シフタ側係合部39と先行係合部52との当接前にバネ61が発生する前記摩擦力により変速歯車12bと一体に回転すると共に、シフタ側係合部39と先行係合部52との当接時に、変速歯車12bに対して相対回転しながら、バネ61が発生する前記摩擦力により変速歯車12bおよびシフタ22の回転速度を同期化し、シフタ22は、シフタ側係合部39および先行係合部52が当接した後、さらに軸方向に移動して、歯車側係合部38およびシフタ側係合部39を周方向で互いに当接させる。
この構造により、変速時に、変速操作装置26により駆動されたシフタ22が軸方向に移動して、シフタ側係合部39と先行係合部52とが当接することで、摩擦リング50と変速歯車12bとの間で作用する摩擦力により、変速歯車12bおよびシフタ22の回転速度が同期化されて、両者の回転速度差が小さくなった後に、シフタ22がさらに軸方向に移動することにより、係合クラッチ32の歯車側係合部38とシフタ側係合部39とが互いに当接して係合クラッチ32が接続完了状態になるので、変速時の衝撃が緩和されて、該衝撃および衝撃音が低減する。
そして、変速歯車12bおよびシフタ22の回転速度の同期化のための前記摩擦力は、軸方向でのシフタ22の移動とは無関係に、シフタ22とは別個の部材であるバネ61により発生するので、該摩擦力を発生させるために摩擦リング50をシフタ22で軸方向に移動させる必要がない。この結果、同期機構Sを備えた歯車変速機Mにおいて、係合クラッチ32が非接続状態にある変速開始から接続完了状態までのシフタ22の軸方向移動量を小さくすることができて、変速が迅速化される。
また、同期化のための摩擦力を発生させるために、シフタ22により摩擦リング50を軸方向に付勢する必要がないので、変速操作装置26によるシフタ22の操作力を軽減できる。この結果、変速操作装置26がシフタ22を操作する電動モータ27を備える自動式の変速操作装置26における該電動モータ27の小型化が可能になる。
また、摩擦リング50の先行係合部52および該先行係合部52と係合するシフタ側係合部39には、従来技術のシフタ22およびシンクロナイザリングに形成されているチャンファを形成する必要がないので、コストを削減できる。
さらに、歯車側係合部38およびシフタ側係合部39は、変速歯車12bおよびシフタ22が同期化された後に周方向で互いに当接するので、係合クラッチ32が接続完了状態の状態で、周方向でのシフタ側係合部39の形成角度θ7とスペース角度θ5との差により形成される歯車側係合部38とシフタ側係合部39との間の周方向遊びを減少させることが可能になるので、係合クラッチ32が接続完了状態にあるときのカウンタ軸4の回転変動に起因する歯車側係合部38とシフタ側係合部39との衝撃および衝撃音を低減できる。
このような各構成により、同期機構Sが設けられた変速歯車12bを軸方向で小型化でき、またシフタ22の軸方向移動量を小さくできるので、変速の迅速化ができ、さらに軸方向でシフタ22と変速歯車12bを近接して配置できるので、歯車変速機Mを軸方向で小型化できる。
前記第1回転体がシフタ22、前記第2回転体が変速歯車12bであってもよく、したがって同期機構Sは、前記実施形態では変速歯車12bに設けられたが、シフタ22に設けられてもよい。
変速歯車12bおよびシフタ22の回転速度の同期化のために、図3に二点鎖線で示されるように、シフタ側係合部39に凸部39aが設けられ、該凸部39aが先行係合部52に当接してもよい。この場合、軸方向での凸部39aの突出量を大きくすることにより、先行係合部52は、軸方向に突出する凸部で構成されることなく、本体51に対して軸方向でシフタ側係合部39に向かって突出しないよいうに形成されてよく、さらには凹部により構成されてもよい。
制御装置7は、シフタ側係合部39と先行係合部52との当接直後に、前記実施形態では、電動モータ27の回転を一旦停止したが、電動モータ27の回転を減速して、シフタ22が軸方向へ移動するときの速度を減速し、所定時間経過後に電動モータ27の回転を増速して、例えば減速前の速度に戻すことにより、係合クラッチ32が接続完了状態になるまで、シフタ22を軸方向に移動させてもよく、この場合にも、シフタ22が減速する前記所定時間の分だけ、減速しないときに比べて変速歯車12bとシフタ22との回転速度の同期化の時間を長く取ることができるので、シフタ22の移動を一旦停止する場合と同様の作用・効果が奏される。
変速操作装置26は、電動モータ27などのアクチュエータを備えることなく、操作者としての運転者により操作されるマニュアル式の変速操作装置26でもよく、その場合には、シフタ22の操作力の軽減により、変速操作の軽快性が向上する。
摩擦リング50は、凹部40内において、外周壁42と接触することなく、摩擦リング50の軸方向端面50aが底壁44の底面44aと接触して、該軸方向端面50aおよび該底面44aとの間で摩擦力が発生するように配置されてもよい。また、摩擦リング50は、外周壁42と接触することなく、歯車側係合部38よりも径方向内方に配置されて、摩擦リング50の内周面が内周壁43の外周面と接触して、該内周面および外周面との間で摩擦力が発生するように配置されてもよい。これらの場合、軸方向端面、底面、内周面および外周面は、いずれも接触面を構成する。
バネ61は皿バネ以外のバネであってもよく、また付勢部材はバネ以外の弾性部材であってもよい。
摩擦力発生部材は、遠心ウエイトを備え、メイン軸またはカウンタ軸の回転速度に応じて変化する付勢力で摩擦リングを付勢するものであってもよい。
歯車変速機が備える前記設定数の係合クラッチのうちで、1以上の一部の係合クラッチまたは全ての係合クラッチが、同期機構Sを有していてもよい。
M…歯車変速機、E…内燃機関、L1,L2…回転中心線、S…同期機構、W3…突出量、θ1,θ2…形成角度。
Claims (6)
- 回転軸に設けられた変速歯車と、前記回転軸に軸方向に移動可能に設けられると共に変速操作装置により操作されるシフタと、前記変速歯車に設けられた歯車側係合部と前記シフタに設けられたシフタ側係合部とを有する係合クラッチと、変速時に前記変速歯車および前記シフタの回転速度を同期化する同期機構とを備え、
前記係合クラッチが、前記歯車側係合部および前記シフタ側係合部が互いに周方向で当接している接続完了状態にあるとき、前記変速歯車および前記シフタが一体に回転することにより前記変速歯車で規定される変速比が確立される歯車変速機において、
前記変速歯車および前記シフタのうちの一方を第1回転体とする共に他方を第2回転体とし、かつ、前記歯車側係合部および前記シフタ側係合部のうちの一方を前記第1回転体の第1係合部とすると共に他方を前記第2回転体の第2係合部とするとき、
前記同期機構は、前記第1回転体と接触した状態で前記第1回転体に対して回転可能に支持される摩擦回転体と、前記摩擦回転体と前記第1回転体との間で摩擦力を発生させる摩擦力発生部材とを備え、
前記摩擦回転体は、変速時に前記変速操作装置により操作された前記シフタが軸方向に移動して前記第1係合部および前記第2係合部が互いに当接する前に、前記第2係合部が周方向で当接する先行係合部を有し、
前記摩擦回転体は、前記第2係合部と前記先行係合部との当接前に前記摩擦力発生部材が発生する前記摩擦力により前記第1回転体と一体に回転すると共に、前記第2係合部と前記先行係合部との当接時に、前記第1回転体に対して相対回転しながら、前記摩擦力発生部材が発生する前記摩擦力により前記第1回転体および前記第2回転体の回転速度を同期化し、
前記シフタは、前記第2係合部および前記先行係合部が当接した後、さらに軸方向に移動して、前記第1係合部および前記第2係合部を周方向で互いに当接させることを特徴とする歯車変速機。 - 請求項1記載の歯車変速機において、
前記摩擦回転体および前記第1回転体の接触面は、前記回転軸の回転中心線を中心軸線とするテーパ面であり、
前記摩擦力発生部材は、前記テーパ面が先細となる方向に前記摩擦回転体を付勢する付勢部材を有することを特徴とする歯車変速機。 - 請求項1または2記載の歯車変速機において、
周方向での前記先行係合部の形成角度は、周方向での前記第1係合部の形成角度よりも小さいことを特徴とする歯車変速機。 - 請求項1から3のいずれか1項記載の歯車変速機において、
前記変速操作装置は、制御装置により制御されて前記シフタを軸方向に操作するアクチュエータを備え、
前記制御装置は、前記第2係合部と前記先行係合部とが当接する位置で、前記シフタの軸方向での移動を減速または一旦停止することを特徴とする歯車変速機。 - 請求項1から4のいずれか1項記載の歯車変速機において、
前記摩擦回転体の少なくとも一部は、軸方向で前記第1係合部と同じ位置にあることを特徴とする歯車変速機。 - 請求項1から5のいずれか1項記載の歯車変速機において、
前記先行係合部は、前記第1係合部の最小軸方向幅の1/3以下の突出量で、前記第1係合部に対して軸方向に突出していることを特徴とする歯車変速機。
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