JP2010185129A - ZnO蒸着材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ZnO原料粉末に添加される、希土類元素群から選ばれた1種の元素を含む希土類元素酸化物の偏析を抑制し、組成均一性に優れたZnO蒸着材を製造するとともに、膜組成が均一なZnO膜が得られるZnO蒸着材を製造する。
【解決手段】ZnO粉末11と、希土類元素群から選ばれた1種の元素を含む希土類元素酸化物粉末12との混合粉末を用い、メカニカルアロイング処理することにより得られた平均粒径0.05〜2μmの複合粉末13から第1造粒粉末14を作製し、或いはこの複合粉末13を仮焼、解砕して固溶体化を促進した複合仮焼粉末18から第2造粒粉末19を作製し、成形、焼結を経て、希土類元素を含むZnO焼結体からなるZnO蒸着材16又は22を作製する。
【選択図】図5

Description

本発明は、例えば太陽電池などに用いられる透明導電膜や、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、タッチパネル装置の透明圧電センサーの透明電極、また表示装置を構成するアクティブマトリックス駆動装置、帯電防止導電膜コーティング、ガスセンサー、電磁遮蔽パネル、圧電デバイス、光電変換装置、発光装置、薄膜型二次電池などに用いられる導電膜を成膜するために用いられるZnO蒸着材の製造方法に関するものである。
近年、太陽電池などの光電変換装置などを製造する場合には、透明導電膜が不可欠である。従来の透明導電膜としては、ITO膜(錫をドープしたインジウム酸化物膜)が知られている。ITO膜は、透明性に優れ、低抵抗であるという利点を有する。
一方、太陽電池や液晶表示装置等にあっては、その低コスト化が求められている。しかし、インジウムが高価なことから、ITO膜を透明導電膜として用いると、その太陽電池も必然的に高価なものになってしまう難点があった。また、太陽電池などを製造する場合などには、透明導電膜上にアモルファスシリコンをプラズマCVD法により成膜することになるが、その際に、透明導電膜がITO膜であると、プラズマCVD時の水素プラズマにより、ITO膜が劣化するという問題点もあった。
これらの点を解消するために、一層安価に作製することのできるAl、B、Si、Ge、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Smなどの導電活性元素をドープした酸化亜鉛系膜を太陽電池等の透明導電膜として使用することが提案され、この酸化亜鉛系膜を蒸着により形成するための酸化亜鉛系蒸着材が開示されている(例えば、特許文献1参照。)
特開2008−088544号公報(請求項1、明細書[0005]〜[0008])
上記特許文献1に示されたZnO蒸着材は、図7に示すようにZnO粉末1と導電性を向上するための添加物粉末2とを混合して原料混合粉末3とし、この粉末から成形体5を得た後、ZnO蒸着材となる焼結体6を作製している。ここでZnO粉末1と導電性を向上するための添加物粉末2との混合が不十分であると、添加物2が偏析することがあり、添加物粉末の凝集体4が僅かな比率で存在する。このような添加物粉末の分布が不均一な原料混合粉末3を用いて成形体5を作製し、この成形体5により作製した焼結体6では、その焼結組織中には添加物が偏析した部分7が存在することになる。組成分布が不均一な焼結体6を電子ビーム蒸着やプラズマ蒸着などの蒸着材に用いて成膜を行うと、膜組成が一定にならず、膜の組成制御が困難になる。また、膜中の添加元素濃度が低くなる問題も発生する。更に、添加物が偏析すると蒸発が不安定となってスプラッシュが発生する。スプラッシュが発生した場合の膜組織は不均一となり、それに伴い膜の比抵抗も上昇することになる。
本発明の目的は、ZnO原料粉末に添加される、希土類元素を1種含む希土類元素酸化物の偏析を抑制し、組成均一性に優れたZnO蒸着材の製造方法を提供することにある。本発明の別の目的は、膜組成が均一なZnO膜が得られるZnO蒸着材の製造方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、純度が98%以上のZnO粉末と純度が98%以上の希土類元素酸化物粉末とから複合粉末を作製し、この複合粉末から作製する第1造粒粉末をペレット状、タブレット状又は板状に成形した後、この成形体を焼結して、上記希土類元素を0.1〜15質量%含むZnO蒸着材を製造する方法であって、上記希土類元素酸化物粉末が希土類元素群から選ばれた1種の元素を含み、上記ZnO粉末と上記希土類元素酸化物粉末とを混合粉砕するメカニカルアロイング処理により平均粒径0.05〜2μmの複合粉末を作製する工程と、上記複合粉末により第1造粒粉末を作製する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の第2の観点は、純度が98%以上のZnO粉末と純度が98%以上の希土類元素酸化物粉末とから複合粉末を作製し、この複合粉末から作製する第2造粒粉末をペレット状、タブレット状又は板状に成形した後、この成形体を焼結して、上記希土類元素を0.1〜15質量%含むZnO蒸着材を製造する方法であって、上記希土類元素酸化物粉末が希土類元素群から選ばれた1種の元素を含み、上記ZnO粉末と上記希土類元素酸化物粉末とを混合粉砕するメカニカルアロイング処理により平均粒径0.05〜2μmの複合粉末を作製する工程と、上記複合粉末を大気、窒素ガス、還元性ガス、不活性ガス又は真空の雰囲気中、800〜1200℃で仮焼することにより複合仮焼体を得る工程と、上記複合仮焼体を解砕して複合仮焼粉末を作製する工程と、上記複合仮焼粉末により第2造粒粉末を作製する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更に希土類元素群から選ばれた1種の元素がSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm又はSmであることを特徴とする。
本発明の第4の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更にZnO粉末の平均粒径が0.1〜10μmであり、希土類元素酸化物粉末の平均粒径が0.05〜5μmであることを特徴とする。
本発明の第5の観点は、第1ないし第4の観点の方法で製造されたZnO蒸着材をターゲット材として真空成膜法により形成されたZnO膜である。
本発明の第1ないし第4の観点の方法によれば、ZnO粉末と希土類元素酸化物粉末とを混合粉砕するメカニカルアロイング処理により平均粒径0.05〜2μmの複合粉末を作製し、これを用いてZnO焼結体を作製することで、希土類元素の分散性が向上し、その偏析が抑制され組成均一性に優れたZnO焼結体であるZnO蒸着材が得られる。即ち、本発明により作製する複合粉末は、ZnOと希土類元素酸化物がナノメーターのレベルで複合化されるため、希土類元素の分散性はきわめて良好であり、この複合粉末を用いて作製するZnO焼結体の希土類元素の分散性は向上する。更に、この複合粉末を仮焼、解砕して作製する複合仮焼粉末を用いて作製するZnO焼結体は、ZnOと希土類元素酸化物との擬似固溶体の形成が促進されるため、組成均一性が更に向上した焼結体が得られる。また、本発明の第3の観点の方法によれば、成膜されるZnO膜が広い温度範囲にわたって良好な導電性を有するといった効果がある。とりわけCeは、高い導電率が得られる。本発明の第5の観点の蒸着材を用いると、安定した蒸着が可能となり、膜組成が均一で、成膜時の膜組成変化も少なく、所望の導電性及び可視光透過性を有するZnO膜が得られる。この素材は、透明導電膜の形成用に限らず、ガスセンサー、電磁遮蔽パネル、圧電デバイスなどの導電膜の形成用としても用いることが可能である。
本発明第1及び第2の実施形態における、各工程を示す図である。 本発明第1及び第2の実施形態における、複合粉末の微視的な構造を示す模式図である。 本発明第1の実施形態における、第1造粒粉末の微視的な構造を示す模式図である。 本発明第2の実施形態における、第2造粒粉末の微視的な構造を示す模式図である。 本発明第1の実施形態における、第1造粒粉末から焼結体までの微視的な構造を示す模式図である。 本発明第2の実施形態における、第2造粒粉末から焼結体までの微視的な構造を示す模式図である。 従来の方法における、原料混合粉末からZnO焼結体までの微視的な構造を示す模式図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
A.第1の実施形態
<メカニカルアロイング処理による複合粉末の作製工程>
一般的に、メカニカルアロイングとは機械的混合法と呼ばれ、硬球の回転運動により金属粉末或いはセラミックス粉末を練り合わせるように粉砕と圧着を繰り返す方法である。その装置としては、ボールミル、遊星ボールミル、アトライタ、ビーズミル等の高エネルギー混合粉砕装置などが挙げられる。金属粉末を用いる場合、酸化防止のために装置内部を真空とするもの、水素を充填するもの、冷却機構を有するものなどがある。これらの混合粉砕装置により、金属粉末或いはセラミックス粉末の混合粉末を、数十ナノメーターレベルにまで微粉砕する。このレベルまで微細化すると、固溶体化、化合物形成又はアモルファス化等が促進され、通常の溶解法や粉末冶金法では熱力学的に不可能な合金や非晶質合金の粉末を作製することができる。これは、強度の変形によって導入された格子欠陥が準安定物質の作製をもたらすためと考えられている。メカニカルアロイングは金属粉末への適用が多く知られているが、窒化物、炭化物又は酸化物にも適用されている。また、金属粉末と窒化物、炭化物又は酸化物粉末等を混合する場合、金属マトリックスに窒化物、炭化物又は酸化物の粉末を微細に分散させた合金粉末を製造する方法にも用いられる。
次いで、本発明のメカニカルアロイング処理による複合粉末の作製例として、遊星ボールミルを用いたZnO粉末と希土類元素酸化物粉末との複合粉末の作製工程について説明する。遊星ボールミルとは、回転する円盤の上でボールミル容器が自転されるため、高エネルギーの混合粉砕が可能な装置である。図1に示すように、所定量の純度98%以上のZnO粉末11と、純度98%以上の、希土類元素群から選ばれた1種の元素を含む希土類元素酸化物粉末12を遊星ボールミル装置に充填し、運転することによりメカニカルアロイング処理を行い複合粉末13を作製する。好ましくは、純度99.9%以上のZnO粉末と、純度99.9%以上の希土類元素酸化物粉末を用いる。
混合粉砕は乾式、湿式ともに可能であるが、湿式の方が粉体凝集による容器壁面やボールへの粉体付着が少ないなどの利点があり、好ましい。湿式混合粉砕する場合、用いる分散媒としてはエタノール、n−へキサンなどが好ましい。また、粉砕添加剤として、界面活性剤、ステアリン酸等を添加しても良い。容器内の雰囲気は大気であるが、窒素又は不活性ガス等を充填しても良い。
ZnO粉末11と希土類元素酸化物粉末12との配合比率は、ZnOと希土類元素酸化物との合計質量を100質量%として、希土類元素を0.1〜15質量%含む比率になるようにする。希土類元素が上記下限値未満であると膜の導電性向上のために必要な希土類元素の濃度が確保できなくなり、上記上限値を越えるとZnO導電膜として基本的な性能が得られなくなるためである。好ましい希土類元素の含有量は3〜6質量%である。なお、ZnO粉末11と希土類元素酸化物粉末12とを混合粉砕して作製された複合粉末13の組成を上記範囲に制御することにより、ZnO蒸着材16に含まれる希土類元素の含有量を0.1〜15質量%の範囲に制御することができる。
原料のZnO粉末11の平均粒径は0.1〜10μm、好ましくは0.1〜5μmである。下限値未満であると粉末の凝集が著しくなり、上限値を越えると希土類元素酸化物との擬似固溶体を形成する効果が十分に得られないといった問題が生じる。更に好ましくは0.2〜2μmである。希土類元素酸化物粉末12の平均粒径は0.05〜5μm、好ましくは0.1〜5μmである。下限値未満であると粉末の凝集が著しくなり、上限値を越えると擬似固溶体を形成する効果が十分に得られないといった問題が生じる。更に好ましくは0.1〜0.5μmである。
複合粉末13の粒度制御は、ポット容積、粉末投入量、ボール量、ボール径、円盤回転速度、分散媒の種類、分散媒投入量、運転時間等を制御することにより行う。
本実施形態では、円盤回転速度は500〜1000rpmである。ボールミル容器は、容積0.2〜0.5Lのステンレス製の円筒型ポットを用いる。また、メノー製、ジルコニア製の容器を用いることもできる。ボールは直径が10〜30mmφの安定化ZrO2ボールなどを用いる。ボール径が小さくなるほど微粉砕が可能であるが、ボールの摩耗によるコンタミネーション量も増加する。好ましいボール径は15〜20mmφである。ボールの投入量は、ボールミル容器の容積の1/5〜1/3である。投入原料が50〜100gである場合、混合粉砕時間は0.2〜1時間で行う。下限値未満であると粉砕が不十分であり、上限値を越えると過粉砕による凝集およびボールやポット内壁への付着が発生し易くなる。好ましくは0.4〜0.6時間である。
上記の条件で混合粉砕して作製する複合粉末13の平均粒径は0.05〜2μmである。下限値未満であると粉末の凝集が著しくなり、上限値を越えると希土類元素酸化物との擬似固溶体を形成する効果が十分に得られないといった問題が生じる。好ましくは0.1〜1μm、更に好ましくは0.1〜0.5μmである。
これらの粉末の平均粒径は、レーザー回折・散乱法(マイクロトラック法)に従い、日機装社製(FRA型)を用い、分散媒としてヘキサメタりん酸Naを使用し、1回の測定時間を30秒として3回測定した値を平均化して求める。
微粉砕が数十ナノメートルレベルになるまで進行すると、図2に示すように、球状であるZnO粉末11と希土類元素酸化物粉末12は扁平異型形状に塑性変形し、これが積層した、金属元素のような完全な層状を呈しない、準ラメラ構造の複合粉末13になる。
<複合粉末の造粒工程>
図1に示すように、上記複合粉末13と有機溶媒とバインダとを混合して、濃度が30〜75質量%のスラリーを調製する。好ましい濃度は40〜65質量%である。スラリーの濃度を30〜75質量%に限定したのは、75質量%を越えると上記スラリーが非水系であるため、安定した混合造粒が難しい問題点があり、30質量%未満では均一な組織を有する緻密なZnO焼結体が得られないからである。複合粉末13の平均粒径は0.05〜2μmの範囲内にあることが好ましい。複合粉末の平均粒径を上記範囲内に規定したのは、下限値未満であると粉末が細かすぎて凝集するため、粉末のハンドリングが悪くなる問題があり、上限値を越えると、微細構造の制御が難しく、緻密なペレットが得られない問題があるからである。
有機溶媒としてはエタノールやプロパノール等を用いることが好まく、バインダとしてはポリエチレングリコールやポリビニルブチラール等が好ましい。バインダの添加量は0.2〜5.0質量%であることが好ましい。また、複合粉末13とバインダと有機溶媒との湿式混合は、湿式ボールミル又は撹拌ミルにより行われる。湿式ボールミルでは、ZrO2製ボールを用いる場合には、直径5〜10mmの多数のZrO2製ボールを用いて8〜24時間、好ましくは20〜24時間湿式混合される。撹拌ミルでは、直径1〜3mmのZrO2製ボールを用いて0.5〜1時間湿式混合される。次に上記スラリーを噴霧乾燥して平均粒径が50〜250μm、好ましくは100〜200μmの第1造粒粉末14(図3)を得る。上記噴霧乾燥はスプレードライヤを用いて行われることが好ましい。
図3に示すように、上記第1造粒粉末14は、ZnO粉末11と希土類元素酸化物粉末12とが扁平形状に塑性変形し積層して作製されるラメラ構造の複合粉末13の複数個が、バインダにより結合され集合したものである。
<成形工程>
図1に示すように、この第1造粒粉末14を所定の型に入れて所定の圧力で成形し、成形体15を作製する。所定の型は一軸プレス装置又は冷間静水圧成形装置(CIP(Cold Isostatic Press)成形装置)が用いられる。また、タブレットマシンやブリケットマシン等を用いてもよい。一軸プレス装置では、第1造粒粉末14を750〜2000kg/cm2(73.5〜196.1MPa)、好ましくは1000〜1500kg/cm2(98.1〜147.1MPa)の圧力で一軸加圧成形し、CIP成形装置では、第1造粒粉末14を1000〜3000kg/cm2(98.0〜294.2MPa)、好ましくは1500〜2000kg/cm2(147.1〜196.1MPa)の圧力でCIP成形する。圧力を上記範囲に限定したのは、成形体15の密度を高めるとともに焼結後の変形を防止し、後加工を不要にするためである。
<焼結工程>
図1に示すように、上記成形体15を所定の温度で焼結し、ZnO焼結体(ZnO蒸着材)16を作製する。焼結は大気、不活性ガス、真空又は還元ガス雰囲気中で行う。好ましい雰囲気は大気、還元ガス雰囲気である。焼結温度1000℃以上で焼結する。焼結温度が1000℃未満であると、十分な焼結性が得られないからである。好ましくは、1200〜1400℃で2〜5時間である。これにより相対密度が90%以上のペレットが得られる。上記焼結は大気圧下で行うが、ホットプレス(HP)焼結や熱間静水圧プレス(HIP、Hot Isostatic Press)焼結のように加圧焼結を行う場合には、不活性ガス、真空又は還元ガス雰囲気中で1000℃以上の温度で1〜5時間行うことが好ましい。また、一軸プレスにより板状の焼結体としても良い。
図5は、第1造粒粉末14、成形体15、ZnO焼結体16の微視的な構造を模式的に示した図である。図5に示すように、複合粉末13はZnO粉末と希土類元素酸化物粉末とが扁平異型形状に積層して作製される準ラメラ構造であるため、この造粒粉末、成形体及びZnO焼結体中では、希土類元素酸化物が均一に分散している。従って、図7に示すように、ZnO粉末と希土類元素酸化物粉末の混合粉末を原料として作製したZnO焼結体に見られるような希土類元素酸化物が偏析した部分が存在しない。このようにして、組成均一性に優れたZnO焼結体(ZnO蒸着材)16を得ることができる。
<成膜工程>
得られたZnO焼結体(ZnO蒸着材)16を蒸着源として、真空成膜法により基板表面にZnO膜を形成する。上記ZnO膜を形成するための真空成膜法としては、電子ビーム蒸着法、反応性プラズマ蒸着法、イオンプレーティング法又はスパッタリング法などが挙げられる。
希土類添加元素が3価又は4価であって、これがZnO膜中に添加された場合、2価であるZnに対して過剰のキャリア電子を発生させるため、広い温度範囲にわたってZnO膜の導電率を向上させることができる。
B.第2の実施形態
<メカニカルアロイング処理による複合粉末の作製工程>
第1の実施形態と同様に、所定量の純度98%以上のZnO粉末11と、純度98%以上の希土類元素酸化物粉末12を遊星ボールミル砕装置に充填し、運転することによりメカニカルアロイング処理を行い複合粉末13を作製する。好ましくは、純度99.9%以上のZnO粉末と、純度99.9%以上の希土類元素酸化物粉末を用いる。その詳細は、第1の実施形態に準ずる。
<複合粉末の仮焼工程>
図1に示すように、メカニカルアロイング処理により作製した複合粉末13の仮焼を行い、複合仮焼体17を作製する。仮焼は大気、窒素ガス、還元性ガス、不活性ガス又は真空の雰囲気中で行う。好ましい雰囲気は大気、還元ガス雰囲気である。仮焼温度は800〜1200℃である。仮焼温度が800℃未満であると、十分な焼結性が得られないからであり、また1200℃を越えるとZnOが蒸発してしまい、組成成分が変化してしまうからである。好ましい仮焼時間は2〜5時間である。仮焼に用いる坩堝はアルミナ系、マグネシア系又はジルコニア系坩堝などを用いる。好ましくはマグネシアを用いる。仮焼の目的は、ZnO粒子と希土類元素酸化物粒子との界面で反応を起こし、ZnOと希土類元素酸化物との擬似固溶体を形成することである。これにより、ZnOマトリックスに対する希土類元素の分散性が向上する効果が期待できる。また、その反応性は焼結温度により制御することが可能である。
<複合仮焼体を解砕する工程>
図1に示すように、上記仮焼により得られた複合仮焼体17を機械的に解砕し、複合仮焼粉末18を作製する。解砕装置には、ジョークラッシャ、ロールクラッシャ、ハンマークラッシャ、ディスククラッシャ、スタンプミル、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、ジェットミル等を用いる。好ましくは、ハンマークラッシャを用いる。これは、比較的不純物の混入が低く、プロセスが簡素だからである。平均粒径が0.05〜5μm、好ましくは0.1〜5μmの範囲に入るまで解砕する。この範囲に複合仮焼粉末18の平均粒径を制御したのは、下限値未満では粉末の凝集が著しくなってハンドリングが難しくなり、上限値を越えると焼結性が悪化するからである。特に好ましくは0.1〜2μm、更に好ましくは0.2〜2μmである。
図4に示すように、複合仮焼粉末18は、ZnOと希土類元素酸化物との間で擬似固溶体20が形成され、希土類元素の分散性が向上している。
<複合仮焼粉末の造粒工程>
図1に示すように、複合仮焼粉末18より第2造粒粉末19(図4)を作製する。その詳細は、第1の実施形態の複合粉末13の造粒工程に準ずる。
<成形工程>
図1に示すように、第2造粒粉末19を成形し、成形体21を作製する。その詳細は、第1の実施形態の成形工程に準ずる。
<焼結工程>
図1に示すように、上記成形体21を所定の温度で焼結し、ZnO焼結体(ZnO蒸着材)22を作製する。焼結は大気、不活性ガス、真空又は還元ガス雰囲気中で行う。好ましい雰囲気は大気、不活性ガス、真空又は還元ガス雰囲気である。焼結温度1000℃以上で焼結する。焼結温度が1000℃未満であると、十分な焼結性が得られないためこの温度条件とした。好ましくは、1200〜1400℃で2〜5時間である。これにより相対密度が90%以上のペレットが得られる。上記焼結は大気圧下で行うが、ホットプレス(HP)焼結や熱間静水圧プレス(HIP、Hot Isostatic Press)焼結のように加圧焼結を行う場合には、不活性ガス、真空又は還元ガス雰囲気中で1000℃以上の温度で1〜5時間行うことが好ましい。また、一軸プレスにより板状の焼結体としても良い。
図6は、第2造粒粉末19、成形体21、ZnO焼結体22の微視的な構造を模式的に示した図である。図6に示すように、複合仮焼粉末18では、ZnOと希土類元素酸化物とが擬似固溶体20を形成しているため、この造粒粉末、成形体及びZnO焼結体中では、希土類元素酸化物が均一に分散している。従って、図7に示すように、ZnO粉末と希土類元素酸化物粉末の混合粉末を原料として作製したZnO焼結体に見られるような希土類元素酸化物が偏析した部分が存在しない。このようにして、組成均一性に優れたZnO焼結体(ZnO蒸着材)22を得ることができる。
<成膜工程>
第2の実施形態により作製したZnO焼結体(ZnO蒸着材)22を蒸着源とするZnO膜を作製する。その詳細は、第1の実施形態の成膜工程に準ずる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、平均粒径2.0μmで純度99.7%のZnO粉末と、平均粒径2.5μmで純度99.5%のCeO2粉末とを所定量ずつ計量し、これらの粉末を遊星ボールミル装置に充填し、この装置を運転することにより、上記粉末を混合粉砕するメカニカルアロイング処理を行って複合粉末を作製した。この混合粉砕は湿式混合で行い、分散媒としてエタノールを添加し、粉砕添加剤として界面活性剤を添加した。なお、容器内の雰囲気は大気とした。上記メカニカルアロイング処理を行って作製された複合粉末の平均粒径は0.5μmであった。ここで、上記複合粉末の組成について、ZnO粉末とCeO2粉末(希土類元素酸化物粉末)との合計質量を100質量%としたとき、Ce(希土類元素)の含有割合が2質量%になるように制御した。
次に、上記複合粉末に有機溶媒とバインダとを添加して混合して、濃度が50質量%のスラリーを調製した。有機溶媒としてはエタノールを用い、バインダとしてはポリビニルブチラールを用いた。また、バインダの添加量は0.5質量%であった。複合粉末と有機溶媒とバインダとの湿式混合は、撹拌ミルにより行った。上記スラリーを、スプレードライヤを用いて噴霧乾燥し、平均粒径200μmの第1造粒粉末を得た。この第1造粒粉末を一軸プレス装置(理研精機社製、型式名:CD型)を用いて、圧力1000kg/cm2(98MPa)にて一軸加圧成形することにより成形体を作製した。更に、大気焼成炉を用いて上記成形体を大気雰囲気中、1200℃の温度で5時間焼結することにより、ZnO蒸着材(ZnO焼結体)を得た。このZnO蒸着体を実施例1とした。
<実施例2>
次の表1に示すように、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例2とした。
<実施例3>
次の表1に示すように、Ce(希土類元素)の含有割合を10質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例3とした。
<実施例4>
次の表1に示すように、Ce(希土類元素)の含有割合を15質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例4とした。
<実施例5>
先ず、実施例1と同様にして、ZnO粉末とCeO2粉末とを所定量ずつ計量し、これらの粉末を遊星ボールミル装置に充填し、メカニカルアロイング処理を行って平均粒径0.5μmの複合粉末を作製した。ここで、上記複合粉末の組成について、ZnO粉末とCeO2粉末(希土類元素酸化物粉末)との合計質量を100質量%としたとき、Ce(希土類元素)の含有割合が2質量%になるように制御した。次いで、上記複合粉末の仮焼を行って複合仮焼体を作製した。仮焼は大気中で行い、仮焼温度は1000℃であり、仮焼時間は3時間であった。上記複合仮焼体を機械的に解砕し、複合仮焼粉末を作製した。解砕装置としてはハンマークラッシャを用い、この解砕装置を用いて平均粒径0.4μmの複合仮焼粉末を作製した。次に、実施例1と同様にして、上記複合仮焼粉末に有機溶媒とバインダとを添加して混合して、スラリーを調製し、このスラリーを、スプレードライヤを用いて噴霧乾燥し、平均粒径200μmの第2造粒粉末を得た。更に、実施例1と同様にして、第2造粒粉末を一軸プレス装置を用いて一軸加圧成形することにより成形体を作製し、大気焼成炉を用いてこの成形体を焼結することにより、ZnO蒸着体を得た。このZnO蒸着体を実施例5とした。
<実施例6>
次の表1に示すように、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%としたこと以外は、実施例5と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例6とした。
<実施例7>
次の表1に示すように、Ce(希土類元素)の含有割合を10質量%としたこと以外は、実施例5と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例7とした。
<実施例8>
次の表1に示すように、Ce(希土類元素)の含有割合を15質量%としたこと以外は、実施例5と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例8とした。
<実施例9>
次の表1に示すように、平均粒径10.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのCeO2粉末とを用い、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が1μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例9とした。
<実施例10>
次の表1に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径5μmのCeO2粉末とを用い、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.8μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例10とした。
<実施例11>
次の表1に示すように、平均粒径10.0μmのZnO粉末と平均粒径5μmのCeO2粉末とを用い、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が1.5μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例11とした。
<実施例12>
次の表1に示すように、平均粒径10.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのCeO2粉末とを用い、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.5μmであり、粉砕処理後の複合仮焼粉末の平均粒径が0.6μmであったこと以外は、実施例5と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例12とした。
<実施例13>
次の表1に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径5μmのCeO2粉末とを用い、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.5μmであり、粉砕処理後の複合仮焼粉末の平均粒径が0.5μmであったこと以外は、実施例5と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例13とした。
<実施例14>
次の表1に示すように、平均粒径10.0μmのZnO粉末と平均粒径5μmのCeO2粉末とを用い、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.5μmであり、粉砕処理後の複合仮焼粉末の平均粒径が1μmであったこと以外は、実施例5と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例14とした。
<実施例15>
次の表1に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのSc23粉末とを用い、Sc(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.5μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例15とした。
<実施例16>
次の表1に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのY23粉末とを用い、Y(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.5μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例16とした。
<実施例17>
次の表1に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのLa23粉末とを用い、La(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.5μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例17とした。
<実施例18>
次の表1に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのPr611粉末とを用い、Pr(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.5μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例18とした。
<実施例19>
次の表1に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのNd23粉末とを用い、Nd(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.5μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例19とした。
<実施例20>
次の表1に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのPm23粉末とを用い、Pm(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.5μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例20とした。
<実施例21>
次の表1に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのSm23粉末とを用い、Sm(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.5μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を実施例21とした。
<比較例1>
次の表2に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と、平均粒径2.5μmのCeO2粉末とを用い、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例1とした。
<比較例2>
次の表2に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのCeO2粉末とを用い、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.02μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例2とした。
<比較例3>
次の表2に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのCeO2粉末とを用い、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.02μmであり、粉砕処理後の複合仮焼粉末の平均粒径が0.02μmであったこと以外は、実施例5と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例3とした。
<比較例4>
次の表2に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのCeO2粉末とを用い、Ce(希土類元素)の含有割合を30質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.5μmであり、粉砕処理後の複合仮焼粉末の平均粒径が0.4μmであったこと以外は、実施例5と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例4とした。
<比較例5>
次の表2に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのCeO2粉末とを用い、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が4μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例5とした。
<比較例6>
次の表2に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのCeO2粉末とを用い、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が4μmであり、粉砕処理後の複合仮焼粉末の平均粒径が3μmであったこと以外は、実施例5と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例6とした。
<比較例7>
次の表2に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径10μmのCeO2粉末とを用い、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が5μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例7とした。
<比較例8>
次の表2に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径10μmのCeO2粉末とを用い、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が5μmであり、粉砕処理後の複合仮焼粉末の平均粒径が4μmであったこと以外は、実施例5と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例8とした。
<比較例9>
次の表2に示すように、平均粒径25.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのCeO2粉末とを用い、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が8μmであったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例9とした。
<比較例10>
次の表2に示すように、平均粒径25.0μmのZnO粉末と平均粒径10μmのCeO2粉末とを用い、Ce(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が10μmであり、粉砕処理後の複合仮焼粉末の平均粒径が6μmであったこと以外は、実施例5と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例10とした。
<比較例11>
次の表2に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのSc23粉末とを用い、Sc(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例11とした。
<比較例12>
次の表2に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのY23粉末とを用い、Y(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例12とした。
<比較例13>
次の表2に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのLa23粉末とを用い、La(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例13とした。
<比較例14>
次の表2に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのPr611粉末とを用い、Pr(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例14とした。
<比較例15>
次の表2に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのNd23粉末とを用い、Nd(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例15とした。
<比較例16>
次の表2に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのPm23粉末とを用い、Pm(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例16とした。
<比較例17>
次の表2に示すように、平均粒径2.0μmのZnO粉末と平均粒径2.5μmのSm23粉末とを用い、Sm(希土類元素)の含有割合を5質量%とし、メカニカルアロイング処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてZnO蒸着体を作製した。このZnO蒸着体を比較例17とした。
<比較試験及び評価>
実施例1〜21及び比較例1〜17で得られたZnO蒸着材を用いて、ガラス基板の上に、電子ビーム蒸着法により、所定の膜厚のZnO膜を形成した。成膜条件は、到達真空度が1.0×10-4Paであり、酸素ガス分圧が1.0×10-2Paであり、基板温度が200℃であり、成膜速度が0.5nm/秒であった。形成されたZnO膜について、それぞれ膜厚、透過率及び比抵抗を評価した。これらの結果を次の表1及び表2に示す。
膜厚は、ULVAC社製のDektak6M型接触式膜厚計で測定した。透過率は、測定器として株式会社日立製作所社製の分光光度計U−4000を用い、380〜780nmの可視光波長域について、成膜後の基板を測定光に対して垂直に設置して測定した。また、比抵抗は、三菱化学社製のロレスタ(HP型、MCP−T410、プローブは直列1.5mmピッチ)を用い、雰囲気が25℃の所謂常温において定電流印加による4端子4探針法により測定した。体積抵抗の測定可能範囲は1.0×10-6〜1.0×108Ω・cmである。
Figure 2010185129
Figure 2010185129
表1及び表2から明らかなように、実施例2及び15〜21と比較例1及び11〜17を比較すると、メカニカルアロイング処理を行わずに希土類元素酸化物粉末を変更(8種類)した比較例1及び11〜17では、比抵抗が8.5×10-4〜12.4×10-4Ωcmと大きかったのに対し、メカニカルアロイング処理を行う(処理後の複合粉末の平均粒径0.5μm)とともに希土類元素酸化物粉末を変更(8種類)した実施例2及び15〜21では、比抵抗が6.1×10-4〜9.0×10-4Ωcmと小さくなった。
実施例2と比較例2及び5を比較すると、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.02μm及び4μmであった比較例2及び5では、比抵抗が8.6×10-4及び9.3×10-4Ωcmと大きかったのに対し、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.5μm(0.05〜2μmの範囲内)であった実施例2では、比抵抗が6.2×10-4Ωcmと小さくなった。
実施例5〜8と比較例4を比較すると、CeO2の含有量が30質量%と多すぎる比較例4では、比抵抗が70.4×10-4Ωcmと大きかったのに対し、CeO2の含有量が0.1〜15質量%の範囲内である実施例5〜8では比抵抗が5.8×10-4〜7.3×10-4Ωcmと小さくなった。
実施例6と比較例3及び6を比較すると、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.02μmと小さく、粉砕処理後の複合仮焼粉末の平均粒径が0.02μmと小さい比較例3では、比抵抗が8.9×10-4Ωcmと大きく、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が4μmと大きい比較例6では、比抵抗が9.1×10-4Ωcmと大きかったのに対し、メカニカルアロイング処理後の複合粉末の平均粒径が0.5μm(0.05〜2μmの範囲内)であり、粉砕処理後の複合仮焼粉末の平均粒径が0.4μm(0.05〜5μmの範囲内)であった実施例6では、比抵抗が6.0×10-4Ωcmと小さくなった。
実施例1〜4と比較例4を比較すると、比抵抗が58.4×10-4Ωcmと大きく、CeO2粉末が30質量%と多い比較例4では、70.4×10-4Ωcmと大きかったのに対し、CeO2粉末が0.1〜15質量%の範囲内である実施例1〜4では、比抵抗が6.0×10-4〜7.4×10-4Ωcmと小さくなった。
実施例9〜14と比較例9及び10を比較すると、ZnO粉末の平均粒径が25.0μmと大きい比較例9では、比抵抗が10.7×10-4Ωcmと大きく、ZnO粉末の平均粒径が25.0μmと大きくCeO2粉末の平均粒径が10μmと大きい比較例10では、比抵抗が10.3×10-4Ωcmと大きかったのに対し、ZnO粉末の平均粒径が0.1〜10.0μmの範囲内であってCeO2粉末の平均粒径が0.05〜5μmの範囲内である実施例9〜14では、比抵抗が6.5×10-4〜7.1×10-4Ωcmと小さくなった。
11 ZnO粉末
12 希土類元素群から選ばれた1種の元素を含む希土類元素酸化物粉末
13 複合粉末
14 第1造粒粉末
15 成形体
16 ZnO焼結体(ZnO蒸着材)
17 複合仮焼体
18 複合仮焼粉末
19 第2造粒粉末
20 ZnOと希土類元素酸化物との擬似固溶体
21 成形体
22 ZnO焼結体(ZnO蒸着材)

Claims (5)

  1. 純度が98%以上のZnO粉末と純度が98%以上の希土類元素酸化物粉末とから複合粉末を作製し、前記複合粉末から作製する第1造粒粉末をペレット状、タブレット状又は板状に成形した後、この成形体を焼結して、前記希土類元素を0.1〜15質量%含むZnO蒸着材を製造する方法であって、
    前記希土類元素酸化物粉末が希土類元素群から選ばれた1種の元素を含み、
    前記ZnO粉末と前記希土類元素酸化物粉末とを混合粉砕するメカニカルアロイング処理により平均粒径0.05〜2μmの複合粉末を作製する工程と、
    前記複合粉末により第1造粒粉末を作製する工程と
    を含むことを特徴とするZnO蒸着材の製造方法。
  2. 純度が98%以上のZnO粉末と純度が98%以上の希土類元素酸化物粉末とから複合粉末を作製し、前記複合粉末から作製する第2造粒粉末をペレット状、タブレット状又は板状に成形した後、この成形体を焼結して、前記希土類元素を0.1〜15質量%含むZnO蒸着材を製造する方法であって、
    前記希土類元素酸化物粉末が希土類元素群から選ばれた1種の元素を含み、
    前記ZnO粉末と前記希土類元素酸化物粉末とを混合粉砕するメカニカルアロイング処理により平均粒径0.05〜2μmの複合粉末を作製する工程と、
    前記複合粉末を大気、窒素ガス、還元性ガス、不活性ガス又は真空の雰囲気中、800〜1200℃で仮焼することにより複合仮焼体を得る工程と、
    前記複合仮焼体を解砕して複合仮焼粉末を作製する工程と、
    前記複合仮焼粉末により第2造粒粉末を作製する工程と
    を含むことを特徴とするZnO蒸着材の製造方法。
  3. 希土類元素群から選ばれた1種の元素がSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm又はSmである請求項1又は2記載のZnO蒸着材の製造方法。
  4. ZnO粉末の平均粒径が0.1〜10μmであり、希土類元素酸化物粉末の平均粒径が0.05〜5μmである請求項1又は2記載のZnO蒸着材の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法で製造されたZnO蒸着材をターゲット材として真空成膜法により形成されたZnO膜。
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