図2を用いてインバータ装置140や142あるいはインバータ装置43の電気回路構成を説明する。尚、図2に示す実施形態では、インバータ装置140や142あるいはインバータ装置43をそれぞれ個別に構成する場合を例に挙げて説明する。インバータ装置140や142あるいはインバータ装置43は同様の構成で同様の作用を為し、同様の機能を有しているので、ここでは、代表例としてインバータ装置140の説明を行う。
本実施形態に係るインバータ200は、インバータ装置140とコンデンサモジュール500とを備え、インバータ装置140はインバータ回路144と制御部170とを有している。また、インバータ回路144は、上アームとして動作するIGBT328(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)及びダイオード156と、下アームとして動作するIGBT330及びダイオード166と、からなる上下アーム直列回路150を複数有し(図2の例では3つの上下アーム直列回路150,150,150)、それぞれの上下アーム直列回路150の中点部分(中間電極169)から交流端子159を通してモータジェネレータ192への交流電力線(交流バスバー)186と接続する構成である。また、制御部170はインバータ回路144を駆動制御するドライバ回路174と、ドライバ回路174へ信号線176を介して制御信号を供給する制御回路172と、を有している。
上アームと下アームのIGBT328や330は、スイッチング用パワー半導体素子であり、制御部170から出力された駆動信号を受けて動作し、バッテリ136から供給された直流電力を三相交流電力に変換する。この変換された電力はモータジェネレータ192の電機子巻線に供給される。
インバータ回路144は3相ブリッジ回路により構成されており、3相分の上下アーム直列回路150,150,150がそれぞれ、バッテリ136の正極側と負極側に電気的に接続されている直流正極端子314と直流負極端子316の間に電気的に並列に接続されている。
本実施形態では、スイッチング用パワー半導体素子としてIGBT328や330を用いることを例示している。IGBT328や330は、コレクタ電極153,163,エミッタ電極(信号用エミッタ電極端子155,165),ゲート電極(ゲート電極端子154,164)を備えている。IGBT328,330のコレクタ電極153,163とエミッタ電極との間にはダイオード156,166が図示するように電気的に接続されている。ダイオード156,166は、カソード電極及びアノード電極の2つの電極を備えており、IGBT328,330のエミッタ電極からコレクタ電極に向かう方向が順方向となるように、カソード電極がIGBT328,330のコレクタ電極に、アノード電極がIGBT328,330のエミッタ電極にそれぞれ電気的に接続されている。スイッチング用パワー半導体素子としてはMOSFET(金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ)を用いてもよい、この場合はダイオード156やダイオード166は不要となる。
上下アーム直列回路150は、モータジェネレータ192の電機子巻線の各相巻線に対応して3相分設けられている。3つの上下アーム直列回路150,150,150はそれぞれ、IGBT328のエミッタ電極とIGBT330のコレクタ電極163を接続する中間電極169,交流端子159を介してモータジェネレータ192へのU相,V相,W相を形成している。上下アーム直列回路同士は電気的に並列接続されている。上アームのIGBT328のコレクタ電極153は正極端子(P端子)157を介してコンデンサモジュール500の正極側コンデンサ電極に、下アームのIGBT330のエミッタ電極は負極端子(N端子)158を介してコンデンサモジュール500の負極側コンデンサ電極にそれぞれ電気的に接続(直流バスバーで接続)されている。各アームの中点部分(上アームのIGBT328のエミッタ電極と下アームのIGBT330のコレクタ電極との接続部分)にあたる中間電極169は、モータジェネレータ192の電機子巻線の対応する相巻線に交流コネクタ188を介して電気的に接続されている。
コンデンサモジュール500は、IGBT328,330のスイッチング動作によって生じる直流電圧の変動を抑制する平滑回路を構成するためのものである。コンデンサモジュール500の正極側コンデンサ電極にはバッテリ136の正極側が、コンデンサモジュール500の負極側コンデンサ電極にはバッテリ136の負極側がそれぞれ直流コネクタ138を介して電気的に接続されている。これにより、コンデンサモジュール500は、上アームIGBT328のコレクタ電極153とバッテリ136の正極側との間と、下アームIGBT330のエミッタ電極とバッテリ136の負極側との間で接続され、バッテリ136と上下アーム直列回路150に対して電気的に並列接続される。
制御部170はIGBT328,330を作動させるためのものであり、他の制御装置やセンサなどからの入力情報に基づいて、IGBT328,330のスイッチングタイミングを制御するためのタイミング信号を生成する制御回路172と、制御回路172から出力されたタイミング信号に基づいて、IGBT328,330をスイッチング動作させるためのドライブ信号を生成するドライブ回路174とを備えている。
制御回路172は、IGBT328,330のスイッチングタイミングを演算処理するためのマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と記述する)を備えている。マイコンには入力情報として、モータジェネレータ192に対して要求される目標トルク値,上下アーム直列回路150からモータジェネレータ192の電機子巻線に供給される電流値、及びモータジェネレータ192の回転子の磁極位置が入力されている。目標トルク値は、不図示の上位の制御装置から出力された指令信号に基づくものである。電流値は、電流センサ180から出力された検出信号に基づいて検出されたものである。磁極位置は、モータジェネレータ192に設けられた回転磁極センサ(不図示)から出力された検出信号に基づいて検出されたものである。本実施形態では3相の電流値を検出する場合を例に挙げて説明するが、2相分の電流値を検出するようにしても構わない。
制御回路172内のマイコンは、目標トルク値に基づいてモータジェネレータ192のd,q軸の電流指令値を演算し、この演算されたd,q軸の電流指令値と、検出されたd,q軸の電流値との差分に基づいてd,q軸の電圧指令値を演算し、この演算されたd,q軸の電圧指令値を、検出された磁極位置に基づいてU相,V相,W相の電圧指令値に変換する。そして、マイコンは、U相,V相,W相の電圧指令値に基づく基本波(正弦波)と搬送波(三角波)との比較に基づいてパルス状の変調波を生成し、この生成された変調波をPWM(パルス幅変調)信号としてドライバ回路174に出力する。
ドライバ回路174は、下アームを駆動する場合、PWM信号を増幅し、これをドライブ信号として、対応する下アームのIGBT330のゲート電極に、上アームを駆動する場合、PWM信号の基準電位のレベルを上アームの基準電位のレベルにシフトしてからPWM信号を増幅し、これをドライブ信号として、対応する上アームのIGBT328のゲート電極にそれぞれ出力する。これにより、各IGBT328,330は、入力されたドライブ信号に基づいてスイッチング動作する。
また、制御部170は、異常検知(過電流,過電圧,過温度など)を行い、上下アーム直列回路150を保護している。このため、制御部170にはセンシング情報が入力されている。例えば各アームの信号用エミッタ電極端子155,165からは各IGBT328,330のエミッタ電極に流れる電流の情報が、対応する駆動部(IC)に入力されている。これにより、各駆動部(IC)は過電流検知を行い、過電流が検知された場合には対応するIGBT328,330のスイッチング動作を停止させ、対応するIGBT328,330を過電流から保護する。上下アーム直列回路150に設けられた温度センサ(不図示)からは上下アーム直列回路150の温度の情報がマイコンに入力されている。また、マイコンには上下アーム直列回路150の直流正極側の電圧の情報が入力されている。マイコンは、それらの情報に基づいて過温度検知及び過電圧検知を行い、過温度或いは過電圧が検知された場合には全てのIGBT328,330のスイッチング動作を停止させ、上下アーム直列回路150(引いては、この回路150を含む半導体モジュール)を過温度或いは過電圧から保護する。
インバータ回路144の上下アームのIGBT328,330の導通および遮断動作が一定の順で切り替わり、この切り替わり時のモータジェネレータ192の固定子巻線の電流は、ダイオード156,166によって作られる回路を流れる。
上下アーム直列回路150は、図示するように、Positive端子(P端子,正極端子)157,Negative端子(N端子158,負極端子),上下アームの中間電極169からの交流端子159,上アームの信号用端子(信号用エミッタ電極端子)155,上アームのゲート電極端子154,下アームの信号用端子(信号用エミッタ電極端子)165,下アームのゲート端子電極164、を備えている。また、インバータ200は、入力側に直流コネクタ138を有し、出力側に交流コネクタ188を有して、それぞれのコネクタ138と188を通してバッテリ136とモータジェネレータ192にそれぞれ接続される。また、モータジェネレータへ出力する3相交流の各相の出力を発生する回路として、各相に2つの上下アーム直列回路を並列接続する回路構成のインバータであってもよい。
図9は、本発明の実施形態に係る電力変換装置の全体構成を各構成要素に分解した斜視図である。
図9に示すように、筐体12の中ほどに冷却水流路19が設けられ、該冷却水流路19の上部には流れの方向に並んで2組の開口400と402が形成されている。前記2組の開口400と402がそれぞれパワーモジュール300で塞がれる様に2個のパワーモジュール300が前記冷却水流路19の上面に固定されている。各パワーモジュール300には放熱のためのフィン305が設けられており、各パワーモジュール300のフィン305はそれぞれ前記冷却水流路19の開口400と402から冷却水の流れの中に突出している。
前記冷却水流路19の下側にはアルミ鋳造を行いやすくするための開口404が形成されており、前記開口404はカバー420で塞がれている。また前記冷却水流路19の下側には補機用のインバータ装置43が取り付けられている。前記補機用のインバータ装置43は、図2に示すインバータ回路144と同様の回路が内蔵されており、前記インバータ回路144を構成しているパワー半導体素子を内蔵したパワーモジュールを有している。補機用のインバータ装置43は前記内蔵している前記パワーモジュールの放熱金属面が前記冷却水流路19の下面に対向するようにして、前記冷却水流路19の下面に固定されている。また、パワーモジュール300と筐体12との間には、シールをするためのOリング80が設けられ、さらにカバー420と筐体12との間にもOリング82が設けられる。本実施形態ではシール材をOリングとしているが、Oリングの代わりに樹脂材・液状シール・パッキンなどを代用しても良く、特に液状シールを用いた場合には電力変換装置200の組立性を向上させることができる。
さらに前記冷却水流路19の下部に放熱作用を為す下部ケース16が設けられ、前記下部ケース16にはコンデンサモジュール500が、コンデンサモジュール500の金属材からなるケースの放熱面が前記下部ケース16の面に対向するようにして前記下部ケース16の面に固定されている。この構造により冷却水流路19の上面と下面とを利用して効率良く冷却することができ、電力変換装置全体の小型化に繋がる。
冷却水入出口配管13,14からの冷却水が冷却水流路19を流れることによって、併設されている2個のパワーモジュール300が有する放熱フィンが冷却され、前記2個のパワーモジュール300全体が冷却される。冷却水流路19の下面に設けられた補機用のインバータ装置43も同時に冷却する。
さらに冷却水流路19が設けられている筐体12が冷却されることにより、筐体12の下部に設けられた下部ケース16が冷却され、この冷却によりコンデンサモジュール500の熱が下部ケース16および筐体12を介して冷却水に熱的伝導され、コンデンサモジュール500が冷却される。
パワーモジュール300の上方には、該パワーモジュール300とコンデンサモジュール500とを電気的に接続するための積層導体板700が配置される。この積層導体板700は、2つのパワーモジュール300に跨って、2つのパワーモジュール300の幅方向に幅広に構成されている。さらに、積層導体板700は、コンデンサモジュール500の正極側端子と接続される正極側導体板702と、負極側端子と接続される負極側導体板704と、該正極側端子と該負極側端子と間に配置される絶縁部材によって構成される。
これにより積層導体板700の積層面積を広げることができるので、パワーモジュール300からコンデンサモジュール500までの寄生インダクタンスの低減を図ることができる。また、一つの積層導体板700を2つのパワーモジュール300に載置した後、積層導体板700とパワーモジュール300とコンデンサモジュール500との電気的な接続を行うことができるので、パワーモジュール300を2つ備える電力変換装置であっても、その組立工数を抑えることができる。
積層導体板700の上方には制御回路基板20と駆動回路基板22とが配置され、駆動回路基板22には図2に示すドライバ回路174が搭載され、制御回路基板20には図2に示すCPUを有する制御回路172が搭載される。また、駆動回路基板22と制御回路基板20の間には金属ベース板11が配置され、金属ベース板11は両基板22,20に搭載される回路群の電磁シールドの機能を奏すると共に駆動回路基板22と制御回路基板20とが発生する熱を逃がし、冷却する作用を有している。このように筐体19の中央部に冷却水流路19を設け、その一方の側に車両駆動用のパワーモジュール300を配置し、また他方の側に補機用のパワーモジュール43を配置することで、少ない空間で効率良く冷却でき、電力変換装置全体の小型化が可能となる。また筐体中央部の冷却水流路19の主構造を筐体12と一体にアルミ材の鋳造で作ることにより、冷却水流路19は冷却効果に加え機械的強度を強くする効果がある。またアルミ鋳造で作ることで筐体12と冷却水流路19とが一体構造となり、熱伝導が良くなり冷却効率が向上する。
駆動回路基板22には、金属ベース板11を通り抜けて、制御回路基板20の回路群との接続を行う基板間コネクタ23が設けられている。また、制御回路基板20には外部との電気的接続を行うコネクタ21が設けられている。コネクタ21により電力変換装置の外の、例えばバッテリ136として車に搭載されているリチウム電池モジュールとの信号の伝送が行われ、リチウム電池モジュールから電池の状態を表す信号やリチウム電池の充電状態などの信号が送られてくる。前記制御回路基板20に保持されている制御回路172との信号の授受を行うために前記基板間コネクタ23が設けられており、図示を省略しているが図2に示す信号線176が設けられ、この信号線176と基板間コネクタ23を介して制御回路基板20からインバータ回路のスイッチングタイミングの信号が駆動回路基板22に伝達され、駆動回路基板22で駆動信号であるゲート駆動信号を発生し、パワーモジュールのゲート電極にそれぞれ印加される。
筐体12の上部と下部には開口が形成され、これら開口はそれぞれ上部ケース10と下部ケース16が例えばネジなどで筐体12に固定されることにより塞がれる。筐体12の中央に冷却水流路19が設けられ、前記冷却水流路19にパワーモジュール300やカバー420を固定する。このようにして冷却水流路19を完成させ、水路の水漏れ試験を行う。水漏れ試験に合格した場合に、次に前記筐体12の上部と下部の開口から基板やコンデンサモジュール500を取り付ける作業を行うことができる。このように中央に冷却水流路19配置し、次に前記筐体12の上部と下部の開口から必要な部品を固定する作業が行える構造を為しており、生産性が向上する。また冷却水流路19を最初に完成させ、水漏れ試験の後その他の部品を取り付けることが可能となり、生産性と信頼性の両方が向上する。
図3は、インバータ200の図9に示されたA−A断面図である。筐体12の断面における上下方向の中央部には筐体12と一体にアルミダイキャストで作られた冷却水流路19(図3の点線部)が設けられ、冷却水流路19の上面側に形成された開口にパワーモジュール300(図3の一点鎖線部)が設置されている。図3の紙面に対して左側が冷却水の行き側の往路19aであり、紙面に対して右側が水路の折り返し側の復路19bである。往路19aおよび復路19bは、上述のとおりそれぞれ開口が設けられ、前記開口は、パワーモジュール300の放熱のための金属ベース304により往路19aおよび復路19bの両方に跨るように塞がれ、前記金属ベース304に設けられた放熱のためのフィン305が冷却水の流れのなかに前記開口から突出する。また、冷却水流路19の下面側には補機用のインバータ装置43が固定されている。
略中央が屈曲した板状の交流電力線186は、その一端がパワーモジュール300の交流端子159と接続され、その他端が、インバータ200内部から突出して交流コネクタを形成している。正極側コンデンサ端子504及び負極側コンデンサ端子506は、貫通孔406(図3の2点鎖線部)を介して、正極側導体板702及び負極側導体板704にそれぞれ電気的及び機械的に接続される。筐体12の略中央を長方形の長辺方向に往復する冷却水流路19が配置され、前記冷却水の流れ方向と略垂直の方向に、交流コネクタ188と正極側コンデンサ端子504及び負極側コンデンサ端子506が配置される。そのため電気配線が整然と配置され、インバータ200の小型化に繋がっている。積層導体板700の正極側導体板702及び負極側導体板704、さらに交流側電力線186がパワーモジュール300の外に突出して接続端子を形成しているため構造がたいへん簡単で、また他の接続導体が使用されていないため小型化になっている。この構造により生産性が向上し、信頼性も向上する。
さらに前記貫通孔406は前記冷却水流路19とは筐体12内部の枠体で隔絶しており、かつ正極側導体板702及び負極側導体板704と正極側コンデンサ端子506及び負極側コンデンサ端子504との接続部が該貫通孔406内に存在するため、信頼性が向上する。
発熱量の大きいパワーモジュール300を冷却水流路19の一方の面に固定すると共にパワーモジュール300のフィン305が冷却水流路19の開口から水路内に突出するようにして効率良く冷却し、次に放熱量の大きい補機用インバータ装置43を冷却水流路19の他方の面で冷却し、さらに次に発熱量が大きいコンデンサモジュール500を筐体12および下部ケース16を介して冷却する構造としている。このように放熱量の多さにあわせた冷却構造としているので、冷却効率や信頼性が向上すると共に、インバータ200をより小型化することができる。
さらに補機用インバータ装置43を冷却水流路19のコンデンサモジュール500側面に固定しているので、補機用インバータ装置43の平滑用コンデンサとしてコンデンサモジュール500を使用でき、この場合配線距離が短くなる効果がある。また配線距離が短いことからインダクタンスを小さくできる効果がある。
パワーモジュール300の上方には、ドライバ回路174を実装したゲートドライブ回路基板22が配置され、さらにゲートドライブ回路基板22の上方には放熱および電磁シールドの効果を高める金属ベース板11を介在させて制御回路基板20が配置されている。なお制御回路基板20には図2に示した制御回路172が搭載されている。上部ケース10を筐体12に固定することによって、本実施形態に係るインバータ200が構成される。
上述のように、制御回路基板20とパワーモジュール300との間にゲートドライブ回路基板22を配置しているので、制御回路基板20からインバータ回路の動作タイミングがゲートドライブ回路基板22に伝えられ、それに基づいてゲートドライブ回路基板22でゲート信号が作られ、パワーモジュール300のゲートにそれぞれ印加される。このように電気的な接続関係に沿って制御回路基板20やゲートドライブ回路基板22を配置しているので、電気配線が簡素化でき、インバータ200の小型化に繋がる。また、ゲートドライブ回路基板22は、制御回路基板20に対して、パワーモジュール300やコンデンサモジュール500よりも近い距離に配置される。そのためゲートドライブ回路基板22からゲートドライブ回路基板20までの配線距離は、他の部品(パワーモジュール300など)と制御回路基板20との配線距離よりも短くなる。よって直流正極側接続端子部512から伝わる電磁ノイズやIGBT328,330のスイッチング動作による電磁ノイズが、ゲートドライブ回路基板22からゲートドライブ回路基板20までの配線に侵入することを抑えることができる。
冷却水流路19の一方の面にパワーモジュール300を固定し、他方の面に補機用インバータ装置43を固定することで、冷却水流路19でパワーモジュール300と補機用インバータ装置43を同時に冷却する。この場合、パワーモジュール300は放熱のためのフィンが冷却水流路19の冷却水と直接、接するのでより冷却効果が大きい。さらに冷却水流路19で筐体12を冷却し、筐体12に下部ケース16や金属ベース板11を固定することで下部ケース16や金属ベース板11を介して冷却する。下部ケース16にはコンデンサモジュール500の金属ケースが固定されるので下部ケース16と筐体12を介してコンデンサモジュール500が冷却される。さらに金属ベース板11を介して制御回路基板20やゲートドライブ回路基板22を冷却する。さらに、下部ケース16も熱伝導性の良い材料でできていて、コンデンサモジュール500からの発熱を受け、筐体19に熱を伝導し、冷却水流路19の冷却水で放熱される。また、冷却水流路19の下部カバー15側である他方の側には、車内用エアコン,オイルポンプ,他用途のポンプ用として用いる、比較的小容量の補機用インバータ装置43を設置する。この補機用インバータ装置43からの発熱は、前記筐体12の中間枠体を通して冷却水流路19の冷却水で放熱される。このように中央に冷却水流路19を設け、一方に金属ベース板11を設け、他方に下部ケース16を設けることで、インバータ200を構成するのに必要な部品を発熱量に応じ、効率良く冷却することができる。またインバータ200の内部に部品が整然と配置される。
インバータの放熱機能を果たす放熱体は、第1に冷却水流路19であるが、この他にも金属ベース板11がその機能を奏している(放熱機能を果たすために金属ベース板11を設けている)。金属ベース板11は、電磁シールド機能を果たすとともに、制御回路基板20やゲートドライブ回路基板22からの熱を受けて、筐体12に熱を伝導し、冷却水流路19の冷却水で放熱される。
このように、本実施形態に係るインバータは、パワーモジュール300,制御回路基板20,ゲートドライブ回路基板22,コンデンサモジュール500,補機用インバータ装置43,冷却水流路19などの装置が積層された構造になっている。インバータの小型化・薄型化のためには、これらの装置の薄型化が必要である。このうち回路基板装置の厚さはプリント基板とそれに搭載されている部品の高さで決まる。ICやトランジスタ,チップ抵抗,チップ容量などほとんどの部品の厚さは数mmと小さいので、基板装置の大半の部
分の厚さは他の装置と比べて非常に薄い。ところが、トランスは搭載される数は少ないものの、高さは数10mmあり、基板上最大の部品になっている事が多い。つまり、大抵の場
合、トランスが最終的な基板装置の厚さを決めてしまう。ゲートドライブ回路基板22の上にはゲートドライブ回路の電源回路のトランス1301,1302があり、ゲートドライブ回路基板の厚さを律則している。
モータ駆動用インバータのゲートドライブ回路基板における電源回路について図面を使って説明する。図4は、モータ駆動用インバータのゲートドライブ回路基板における電源回路950の例を示す回路図である。本回路は、トランス901,トランス1次側回路951,トランス2次側回路952,フィードバック回路953,スタートアップ回路954から構成され、フライバック方式の動作をする。
トランス2次側回路952は、U,V,W相の上下アーム分の計6個ある。トランス1次側回路951は、前記フィードバック回路953の電圧出力が15.5Vになるようにトランスの1次側電流を制御する。トランス2次側回路952は、トランスの2次側電流を整流し、直流電圧を出力する。フィードバック回路953は、前記トランス2次側回路952のダミー回路であり、同様の直流電圧を出力するが、トランス1次側回路951に対してフィードバック信号を出力している。また、フィードバック回路953は、トランス1次側回路951の電源にもなっている。
スタートアップ回路954は、電源回路950の起動時において、フィードバック回路953の電圧出力が現れるまでの間、トランス1次側回路951の電源となる回路である。
トランス1次側回路951は、第1の電源切り替えダイオード925,PWMIC電源抵抗926,PWMIC927,ICパスコンデンサ928,IC電源ツェナーダイオード929,ゲート抵抗930,FETプルダウン抵抗931,トランス駆動FET932,トランス電流測定抵抗933,フィルタ抵抗934,フィルタ容量935,発振抵抗936,発振容量937,VREFパスコンデンサ938,エラーアンプ抵抗939,エラーアンプ容量940,トランスパスコンデンサ941から構成されている。
第1の電源切り替えダイオード925は、フィードバック回路953の出力電圧がスタートアップ回路954の出力電圧より高くなった場合にオンし、電源をフィードバック回路953の出力からスタートアップ回路954の出力へ切り替える。PWMIC電源抵抗926は、PWMIC927の電源電流を流れすぎないように制御する。
PWMIC927は、フィードバック回路953の出力とトランス901の1次側電流を監視することによって、トランス駆動FET932をPWM制御する。ICパスコンデンサ928及びIC電源ツェナーダイオード929は、PWMIC927の電源を安定化する。ゲート抵抗930は、PWMIC927の出力電流を流れすぎないように制限する。
FETプルダウン抵抗931は、PWMIC927の故障で出力がハイインピーダンス(断線)状態になった場合にトランス駆動FET932の入力をGNDに落とし、回路が不安定になるのを防ぐために設けられている。トランス駆動FET932は、PWMIC927からのPWMパルスに応じてトランス901の1次側に電流を流す。トランス電流測定抵抗933はトランス901の1次側電流を電圧に変換する。フィルタ抵抗934及びフィルタ容量935は、フィルタとして機能し、トランス電流測定抵抗933の電圧に乗っているノイズを除去してPWMIC927に送る。
発振抵抗936,発振容量937及びVREFパスコンデンサ938は、PWMIC927に内蔵されている発振回路の外付け部品であり、PWMパルスの発振周波数を設定する。エラーアンプ抵抗939及びエラーアンプ容量940は、PWMIC927に内蔵されているアンプの外付け部品であり、フィードバック回路953からのフィードバック信号を増幅してPWMIC927に取り込む際の増幅率を設定する。トランスパスコンデンサ941は、トランス901の1次側電流用のパスコンデンサである。
トランス2次側回路952は、整流ダイオード916,平滑コンデンサ917,ブリーダ抵抗918,絶縁電源出力端子904,絶縁電源基準端子905から構成されている。
整流ダイオード916は、トランス901の2次側電流の片側方向の電流だけ通して、平滑コンデンサ917に充電する。平滑コンデンサ917は、整流ダイオード916を流れる電流を充電し、絶縁電源出力端子904,絶縁電源基準端子905間に出力電圧を発生させる。ブリーダ抵抗918は、電源回路950の負荷がゼロの時でもPWMパルスを間欠させず、出力電圧を安定化させるために設けられているダミーの小さい負荷である。
フィードバック回路953は、整流ダイオード919,平滑コンデンサ920,ブリーダ抵抗921,分圧抵抗922及び923,パスコンデンサ924から構成されている。
整流ダイオード919,平滑コンデンサ920,ブリーダ抵抗921は、トランス2次側回路952のそれらと同様である。分圧抵抗922及び923は、フィードバック回路953の出力電圧VFB902を分圧してフィードバック信号を発生させている。分圧抵抗922及び923による分圧比は、フィードバック回路953の出力電圧が目標電圧である15.5Vになったときに、分圧電圧すなわちフィードバック信号電圧がPWMIC927の電圧基準値と等しくなるように設定されている。
スタートアップ回路954は、降圧抵抗942,ツェナーダイオード943,安定化容量944,高圧FET945,第2の切り替えダイオード946,出力安定化容量947,高圧端子948,高圧基準端子949から構成される。高圧端子948,高圧基準端子949は、モータ駆動用の高電圧バッテリに接続される。降圧抵抗942とツェナーダイオード943は、高圧FET945のゲートにツェナー電圧を与える。本実施形態におけるツェナー電圧は10V程度であり、フィードバック回路953の出力電圧より低い電圧とする。安定化容量944は、ツェナー電圧を安定化させる。高圧FET945は、高圧端子948からトランス1次側回路951へ電源電圧を供給する。また、高圧FET945は、トランス1次側回路951の電源電圧が前記ツェナー電圧から高圧FET945のゲート閾値電圧Vgs(th)及び第2の切り替えダイオード946の順方向電圧VFを引いた値Vstartupより低い場合はオンとなる。また、高圧FET945は、トランス1次側回路951の電源電圧が前記ツェナー電圧から高圧FET945のゲート閾値電圧Vgs(th)及び第2の切り替えダイオード946の順方向電圧VFを引いた値Vstartupより高い時オフとなる。そのため、トランス1次側回路951の電源電圧はVstartupで安定化する。第2の切り替えダイオード946は、トランス1次側回路951の電源電圧がVs
tartupより高い時オフとなる。出力安定化容量947はトランス1次側回路951の電源電圧を安定化する容量である。
図5は、ゲートドライブ回路基板における概略レイアウトと上記電源回路の結線を示す図である。ゲートドライブ基板1007の上に電源回路950,U相の上アームを駆動するUPゲートドライブ回路1001,V相の上アームを駆動するVPゲートドライブ回路1002,W相の上アームを駆動するWPゲートドライブ回路1003,U相の下アームを駆動するUNゲートドライブ回路1004,V相の下アームを駆動するVNゲートドライブ回路1005,W相の下アームを駆動するWNゲートドライブ回路1006が、ある一定以上の絶縁距離をおいて配置されている。そして電源回路950からUPゲートドライブ回路1001,VPゲートドライブ回路1002,WPゲートドライブ回路1003,UNゲートドライブ回路1004,VNゲートドライブ回路1005,WNゲートドライブ回路1006に対してそれぞれに対応する出力が結線されている。
次に従来のモータ駆動用インバータのゲートドライブ回路基板における電源回路用トランスについて図面を使って説明する。
図6は、従来のトランスの例を示す断面図である。トランスはボビン1101,絶縁テープ1102,端子ピン1103,コア1104,1次巻線a1105,1次巻線b1106,フィードバック巻線1107,WN2次巻線1108,WP2次巻線1109,VN2次巻線1110,VP2次巻線1111,UN2次巻線1112,UP2次巻線1113から構成される。
ボビン1101は、電線をコイル状に巻く中空の絶縁性のケースである。コイルを巻く軸は基板に水平になっている。コア11041は、磁性体でできた物体で、上記ボビンのコイルの芯となる中空の部分に置かれ、コイル内部に蓄える磁束密度を増加させる。上記ボビンの周りを1次巻線及びフィードバック巻線を含む7つの2次巻線が積層して巻かれている。一番内側には1次巻線a1105が巻かれる。その外側に絶縁テープ1102が巻かれ、さらにその外側にフィードバック巻線1107が巻かれている。そして同様にそれぞれ絶縁テープを挟んで、WN2次巻線1108,WP2次巻線1109,VN2次巻線1110,VP2次巻線1111,UN2次巻線1112,UP2次巻線1113,1次巻線b1106と積層して巻かれている。最外周には絶縁テープ1102が巻かれている。各巻線の両端はそれぞれに対応する端子ピン1103に接続されている。
このようにモータ駆動用インバータのゲートドライブ回路基板における電源回路用トランスはU,V,W相の上下アーム計6回路分の絶縁出力を有するため、コイルは1次側,フィードバック巻線合わせて8つのコイルをボビン(水平軸)の周囲に積層して巻くので、トランスの高さは増大する傾向にある。
それゆえトランスは、基板上で最も高さが大きい部品となって基板の高さを律則し、インバータ本体の小型化・薄型化を阻害しているという問題があった。また車載の場合、振動に対する影響が重要になるが、トランスの高さが高いと基板に対してトランスの重心が高くなり、振動に対して基板との接合強度が弱くなるという問題があった。また基板の高さを増大させないためにトランスを複数に分けると、コストが高くなるという問題があった。
上記問題を鑑み、本実施形態の電源トランスは、低背,高耐振動性,低コストのトランスを提供する。また、小型化・薄型化を可能となった電力変換装置を提供する。
本実施形態によるトランスについて図面を使って説明する。図7は、本実施形態のトランスの例を示す断面図である。トランスは、ボビン1201,絶縁テープ1202,端子ピン1203,巻軸となるコア1204,1次巻線a1205,1次巻線b1206,フィードバック巻線1207,WN2次巻線1208,WP2次巻線1209,VN2次巻線1210,VP2次巻線1211,UN2次巻線1212,UP2次巻線1213、及び絶縁部材1214から構成される。ボビン1201の周りを1次巻線及びフィードバック巻線を含む7つの2次巻線が巻かれている。
1次巻線a1205が、コア1204に最も近くに巻かれる。図示された1次巻線a1205は、1次巻線の半分を示す。1次巻線a1205の外側に絶縁テープ1202が巻かれ、さらにその外側にフィードバック巻線1207が巻かれている。そして絶縁テープ1202を挟んで、フィードバック巻線1207の外側の左側の層にWN2次巻線1208が、そして、右側の層にWP2次巻線1209が、略同じ高さとなるように、絶縁部材1214を介して巻かれている。WN2次巻線1208とWP2次巻線1209との間は絶縁部材1214で仕切られて絶縁が保たれている。
同様に、VN2次巻線1210は、絶縁テープを挟んでWN2次巻線1208の外側に巻かれている。UN2次巻線1212は、絶縁テープを挟んでWP2次巻線1209の外側に巻かれている。VN2次巻線1210とUN2次巻線1212との間は、絶縁部材1214で仕切られて絶縁が保たれている。
さらに同様に、VP2次巻線1211は、絶縁テープを挟んでVN2次巻線1210の外側に巻かれている。UP2次巻線1213は、絶縁テープを挟んでUN2次巻線1212の外側に巻かれている。VP2次巻線1211とUP2次巻線1213との間は、絶縁部材1214で仕切られて絶縁が保たれている。
また、VP2次巻線1211とUP2次巻線1213の外側には、1次巻線b1206が巻かれている。図示された1次巻線b1206は、1次巻線の残り半分であり、つまり1次巻線a1205と1次巻線b1206によって1次巻線が構成される。最外周には絶縁テープ1202が巻かれている。
各巻線の両端は、それぞれに対応する端子ピン1203に接続されている。なお、図において1次巻線a1205,1次巻線b1206,フィードバック巻線1207に関しては2次巻線と位置を揃える事を考慮して、2次巻線と同様に2列に分かれて配置されているが、分けて配置されなくとも良い。その場合、巻線は磁界の均一化のために、ボビンの2次巻線の巻線される範囲を包含するようにかつ均一に巻く事が望ましい。
以上説明した構成により、トランスにおいてU,V,W相の上下アームに対応する計6コイルを1層につき2つずつ2列に割り当て、合わせて3層使って巻かれているので、従来トランスより3層分高さが低減される。
したがって、従来と同機能であるにも関わらず、低背のトランスを構成する事ができる。またトランスが低背になるのでトランスの重心が下がり、耐振動性が向上する。またトランスを複数に分けることもないので、低コストで電源回路を実現できる。インバータの小型化が可能になる。
図1は本実施形態による第2のトランスの例を示す断面図である。トランスはボビン801,絶縁テープ802,端子ピン803,コア804,1次巻線a805,1次巻線b806,フィードバック巻線807,WN2次巻線808,WP2次巻線809,VN2次巻線810,VP2次巻線811,UN2次巻線812,UP2次巻線813から構成される。
一番内側には1次巻線a805が巻かれる。これは1次巻線の半分である。その外側に絶縁テープ802が巻かれ、さらにその外側にフィードバック巻線807が巻かれている。そして絶縁テープを挟んで、その外側の層では左側にWN2次巻線808が、そして右側にはWP2次巻線809が1層に左右2列に分かれて巻かれている。さらに同様に絶縁テープを挟んでその外側の層では左側にVN2次巻線810が、そして右側にはVP2次巻線811が巻かれている。その外側も絶縁テープを挟んでその外側の層では左側にUN2次巻線812が、そして右側にはUP2次巻線813が巻かれている。さらにその外側に1次巻線b806が巻かれている。1次巻線b806は、1次巻線の残り半分である。
最外周には絶縁テープ802が巻かれている。各巻線の両端はそれぞれに対応する端子ピン803に接続されている。上記第1のトランスと同様に同一の層に配置される2つの2次巻線の間には絶縁部材814が置かれ、互いの絶縁が保たれている。なお、図において1次巻線a805,1次巻線b806,フィードバック巻線807に関しては巻線構造の対称性を考えて2次巻線と同様に2列に分かれて配置されているが、分けて配置されなくとも良い。その場合、巻線は磁界の均一化のために、ボビンの2次巻線の巻線される範囲を包含するようにかつ均一に巻く事が望ましい。
図8は、実施例1のトランス例と、実施例2のトランス例を使った電源回路において、U,V,Wのいずれか一つの相のみに負荷をかけた場合の当該出力の電圧をグラフ化したものである。例えばUPはU相のみ(UP及びUN)に負荷をかけた場合の出力電圧がマークされている。横軸は、負荷をかけた出力で縦軸が出力電圧である。グラフのケースAは実施例1のトランス例を使った場合であり、ケースBは実施例2のトランス例を使った場合である。ケースBは負荷をかける相を変えても電圧がほとんど変わらないのに対し、ケースAではU相とV相の出力電圧が2V近く落ち、不安定になっている。
ここで実施例2のトランス例(ケースB)は、UN巻線とUP巻線,VN巻線とVP巻線,WN巻線とWP巻線のペアは、トランスの左右分かれて配置されているのに対し、第1のトランス例(ケースA)ではUN巻線とUP巻線のペアはいずれも右側に偏って配置され、VN巻線とVP巻線はいずれも左側に偏って配置されている。
つまり、対アームに対応する巻線両方がトランス内の左右どちらかの同じ側に配置されていると、単独の相のみに負荷をかけた場合、相によって出力電圧が不安定になる場合が発生するおそれがある。原因はトランス内での2次巻線に鎖交する磁界の分布が左右どちらかに偏って不安定になり、出力電圧に影響すると推定される。
上記問題を鑑み本実施形態の課題は、上記本発明のトランスを用いた電源回路において、単独の相のみに負荷をかけた場合でも、相によって出力電圧が不安定にならない低背の電源回路を提供する事である。またインバータ本体の小型化・薄型化を可能にする事である。
基板上のトランスと各アームの結線において、UN巻線とUP巻線,VN巻線とVP巻線,WN巻線とWP巻線のペアを、トランスの左右分かれて配置されている巻線に割り当てる。
これにより、第2のトランス例(ケースB)と同様にUN巻線とUP巻線,VN巻線とVP巻線,WN巻線とWP巻線のペアが、トランス内の左右に分かれて配置され、単独の相のみに負荷がかかった場合でも、2次巻線に鎖交する磁界が左右に分散しどちらかに偏る事がないので出力電圧が安定する。
上記本実施形態のトランスを用いた電源回路において、単独の相のみに負荷をかけた場合でも、相によって出力電圧が不安定にならない電源回路を提供できる。低背のゲートドライブ回路基板を提供でき、インバータの小型化・薄型化が可能になる。
なお、トランスの出力電圧変動が、図8に示された13.7V〜15.7V程度であれば、制御性に影響がない場合には、実施例1のトランスを用いることもできる。