JP2010183138A - 音叉型水晶振動片の製造方法 - Google Patents

音叉型水晶振動片の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小型で安定した周波数特性を有する音叉型水晶振動片の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の音叉型水晶振動子の製造方法は、基部と基部から互いに平行に延出された一対の音叉腕とを有する振動片本体と、音叉腕の両主面に形成された励振電極と、音叉腕の両側面に形成された駆動電極とを有し、音叉腕の両主面に音叉腕の長さ方向に延びる溝が形成された水晶振動片の製造方法であって、水晶基板を加工して前記振動片本体を作製する工程(S5)と、振動片本体の音叉腕の溝が形成される領域にレーザーを照射することで水晶とは組織構造の異なる変質層を形成する工程(S7)と、変質層が形成された領域をエッチングして溝を形成する工程(S8)と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、音叉型水晶振動片の製造方法に関するものである。
従来より、水晶振動子が様々な電子機器の発振回路に周波数制御素子として採用されている。特に、小型で壊れにくく、正確に振動する省電力の水晶振動子として音叉型振動子が用いられている。このような音叉型振動子は、クロック源として時計を含む各種電子機器に発振回路とともに内蔵され、印加された電圧に伴って、逆圧電現象により振動する。
近年では、各種電子機器の小型化に対応すべく音叉型振動子の小型化の要求が高まってきている。しかしながら、音叉型振動子(振動片)を小型化していった場合、Q値が著しく低下するという課題が存在する。
そこで、例えば振動片の一対の振動腕部の両主面に溝を設けて、熱弾性によるQ値の低下を抑える構造が提案されている(特許文献1、2)。
実開平2−32229号公報 特開2002−280870号公報
しかしながら、振動片をさらに小型化した場合には以下のような問題が生じる。例えば、振動片に対する形成が非常に困難になる。従来はエッチング液を用いてエッチングを行っていたため、小型化された振動片に狭小な溝を形成しようとすると、水晶の異方性により溝の形状がいびつになったり水晶の深さ方向にエッチングが進まないなどの問題が生じて、所望形状の溝を形成することができないことがあった。
また、振動片の小型化が進むと、もはや溝を形成しただけではQ値の低下を抑えることができない。Q値が大きいほど振動片の発振が安定することから、より小型化した場合においても適正なQ値が得られる構造が求められている。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、小型で安定した周波数特性を有する音叉型水晶振動片の製造方法を提供することを目的としている。
本発明の音叉型水晶振動片の製造方法は、上記課題を解決するために、基部と基部から互いに平行に延出された一対の振動腕部とを有する振動片本体と、振動腕部の両主面に形成された励振電極と、振動腕部の両側面に形成された駆動電極とを有し、振動腕部の両主面に振動腕部の長さ方向に延びる溝が形成された水晶振動片の製造方法であって、水晶基板を加工して振動片本体を作製する工程と、振動片本体の振動腕部の溝が形成される領域にレーザーを照射することで水晶とは組織構造の異なる変質層を形成する工程と、変質層が形成された領域をエッチングして溝を形成する工程と、を有する。
本発明によれば、振動片本体の振動腕部の溝が形成される領域に水晶とは組織構造の異なる変質層を形成した後、変質層をエッチングして溝を形成している。この方法によれば、変質層を形成することで水晶の方位性の影響を受けることなく微細加工が可能になるので所望形状の溝を形成することが可能である。また、水晶をエッチングする場合よりも速くエッチングすることができる。変質部を有する振動片は、振動に伴い水晶内部での熱の流れを制御することが可能となり安定した発振周波数を得ることができる。これにより、小型で高信頼性の音叉型水晶振動片を形成することができる。
本発明の音叉型水晶振動片の製造方法は、上記課題を解決するために、基部と基部から互いに平行に延出された一対の振動腕部とを有する振動片本体と、振動腕部の両主面に形成された励振電極と、振動腕部の両側面に形成された駆動電極とを有し、振動腕部の両主面に振動腕部の長さ方向に延びる溝が形成された水晶振動片の製造方法であって、振動片本体の基材である水晶基板における振動腕部の溝が形成される領域にレーザーを照射することで水晶とは組織構造の異なる変質層を形成する工程と、水晶基板を加工して振動片本体を作製する工程と、変質層が形成された領域をエッチングして溝を形成する工程とを有する。
本発明によれば、振動片本体の振動腕部の溝が形成される領域に水晶とは組織構造の異なる変質層を形成した後、変質層をエッチングして溝を形成している。この方法によれば、変質層を形成することで水晶の結晶の異方性の影響を受けることなく微細加工が可能になるので所望形状の溝を形成することが可能である。また、水晶をエッチングする場合よりも速くエッチングすることができる。また、水晶基板を個片化する前に予め変質層を形成すれば、複数の振動片に対応する変質層を一度に形成することができる。
また、溝を形成する工程において、変質層が形成された領域を部分的に残すことにより振動腕部に変質部を形成することが好ましい。
本発明によれば、溝の形成と同時に変質部を形成することが可能であるため製造効率がよい。変質部を有する振動片は、振動に伴い水晶内部での熱の流れを制御することが可能となり安定した発振周波数を得ることが可能であるため、小型で高信頼性の音叉型水晶振動片を形成することができる。
また、変質層を形成する工程において、振動腕部を厚さ方向に貫通する変質層を形成することが好ましい。
本発明によれば、溝および変質部に対応する領域にそれぞれ同時に変質層を形成することが可能である。また、変質部に対応する領域にのみ変質層を形成することも可能である。
また、変質層を形成する工程において、振動部の両主面に変質層をそれぞれ形成することが好ましい。
本発明によれば、溝の深さに対応した領域に変質層を形成することが可能となる。これにより、変質層のエッチング時間の管理が容易となって所定深さの溝を確実に形成することが可能である。また、振動腕部の変質部に対応する領域に、その厚さ方向に貫通する変質層を形成しておくことで、溝の形成と同時に変質部が形成されることとなる。
また、振動腕部の両主面側からレーザーを照射することが好ましい。
本発明によれば、溝および変質部に対応する領域だけにレーザーを照射することができるので、必要な箇所のみに変質層を形成することが可能である。これにより、水晶基板の厚さ方向に単結晶層を残すことができるので、変質層のエッチング量の管理が容易になり、所定の深さの溝を確実且つ容易に形成することが可能である。
また、変質層を形成する工程において、レーザーの焦点深度を異ならせることで、深さの異なる変質層を形成することが好ましい。
本発明によれば、水晶基板の一面側から所望の箇所に変質層を形成することが可能となる。
また、水晶基板の振動片本体を縁取る領域にレーザーを照射することで、水晶基板に水晶とは組織構造の異なる外形変質層を形成する工程と、外形変質層をエッチングすることで振動片本体を形成する工程とを有することが好ましい。
本発明によれば、振動片本体の外形形成を効率よく行える。
また、変質層の形成工程と外形変質層の形成工程とを同時に実行することが好ましい。
本発明によれば、製造工程数を削減することができるので、製造時間が短縮される。
また、レーザーが、フェムト秒パルスレーザーであることが好ましい。
本発明によれば、透過性を有する水晶基板に対して変質層を確実に形成することができる。また、変質層(レーザー照射領域)の周囲に損傷を及ぼすおそれがない。また、少なくともアモルファス、多結晶、水晶、空洞などが入り混じった状態の変質部を形成することができる。
また、レーザーの出力を、300nJ以上500mJ未満とすることが好ましい。
本発明によれば、変質層分を目視で確認できるので、変質層を所定領域に確実且つ容易に形成することができる。また、レーザー照射後、水晶基板に亀裂が入ることを防止できる。
第1実施形態に係る音叉型水晶振動片の製造フロー図。 第1実施形態に係る音叉型水晶振動片の製造工程図。 第1実施形態に係る音叉型水晶振動片の製造工程図。 第1実施形態に係る音叉型水晶振動片の製造工程図。 第1実施形態に係る音叉型水晶振動片の製造工程図。 水晶基板に対するレーザー照射工程図。 加工装置の概略構成を示す模式図。 実施例1の音叉型水晶振動片を示す概略構成図。 第2実施形態に係る音叉型水晶振動片の製造工程図。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
(音叉型水晶振動片の製造方法)
本実施の形態に係る音叉型水晶振動片1の製造方法について、図1は、第1実施形態の音叉型水晶振動片の製造フロー図、図2〜図6に示す工程図、および図7に示す加工装置20を参照して説明する。なお、図8は、本実施の形態に係る音叉型水晶振動片の製造方法によって得られた音叉型水晶振動片の概略構成図である。
本実施形態の製造方法に用いる加工装置20は、図7に示すように、レーザー光源23、光学系、多軸ステージ28を基本として構成されており、レーザー光源23から発せられたレーザー光がハーフミラー26等を経て対物レンズ27に入射され、水晶基板30に照射されるものである。
先ず、図2(a)に示すような水晶基板30を用意する。水晶基板30は、水晶ブロックからウェハ状に切り出されて研磨された水晶片からなる。そして、水晶基板30の表裏に蒸着やスパッタ等によりCr膜およびAu膜をこの順で積層させることによって保護膜31を形成する(S1)。例えば、Cr膜を100Å、Au膜を500Åで形成する。
次に、図2(b)に示すように保護膜31の表面上にフォトレジストを塗布してレジスト膜Reを形成し、図2(c)に示すように、フォトリソグラフィーによって振動片の外形に沿ってパターン形成されたレジストマスク32Aを形成する(S2)。フォトレジストは、例えばスプレースピンコーターによって霧状に噴霧して塗布される。
そして、図2(d)に示すようにレジストマスク32Aを介してAu膜およびCr膜の順でエッチングを行い、保護膜31を部分的に除去する(S3)。その後、水晶基板30上からレジストマスク32Aを剥離除去する。
次に、図3(e)に示すように、再度、水晶基板30の表面にフォトレジストを塗布し、図3(f)に示すように溝パターンに対応したレジストマスク32Bを形成する(S4)。同時に、振動片の外形に沿った抜き取り部分のフォトレジストも除去し、水晶基板30を部分的に露出させる。
次に、図3(g)に示すように水晶を溶解するエッチング液を用いて水晶基板30を音叉型水晶振動片1の外形形状にエッチングすることによって、基部110および音叉腕121,122を有する振動片本体102を得る(S5)。このとき、保護膜31によって覆われた部分はエッチングされずに残る。
その後、図3(h)に示すように、溝パターンに対応する部分の保護膜31をエッチングによって除去して水晶基板30を露出させる(S6)。この状態の水晶基板30を上述した加工装置20の多軸ステージ28上にセットする。
次に、加工装置20の多軸ステージ28上に載置した水晶基板30の所定領域に対して図4(i)に示すようにフェムト秒レーザー照射を行い、レーザー照射部分の結晶内部に変質層150を形成する(図6(a):S7)。変質層150は、照射されたレーザー光の熱エネルギーによって水晶基板30の水晶結晶の相転移などが生じて形成される。
ここで、フェムト秒レーザーとは、パルス幅がフェムト秒(fs:10−15秒)台のパルスレーザーであって、極めて短時間に高エネルギーが照射部位に集中するためその周囲に熱伝導が生じる前に加工が進行し、集光領域のみの加工が誘起される。このため、照射部位の周辺には影響が殆ど及ばない。また、フェムト秒レーザーを使用することで、水晶のような透明部材に対しても集光照射が可能である。
本実施形態では、フェムト秒レーザーとして、波長800nm、パルス幅130fs、周波数5kHzのチタン−サファイヤレーザーを使用する。レーザー光線の集光スポット径は0.5〜1μm程度、レーザー彫刻深さは5μm程度である。ここで、レーザー彫刻深さとは、水晶基板30の厚み方向に形成される変質領域の長さのことである。
また、レーザー出力は150nJ〜450nJ、好ましくは200nJ〜400nJであって、本実施形態では300nJに設定する。なお、レーザー出力を100nJとした場合には変質部分を目視で確認することができないが、出力を300nJにすることで変質部分を目視で確認することが可能となる。また、出力を500nJまで高めた場合には変質部分を目視で確認できるものの、多軸ステージ28の移動方向に亀裂が入ってしまう。
水晶基板30に対するレーザー光の照射位置の走査は、水晶基板30を載置した多軸ステージ28を移動させることによって行う。この多軸ステージ28は、X方向、Y方向、Z方向のいずれにも移動できるように構成されている。この多軸ステージ28は、ドライバ9を介してコンピューター装置10によって制御されて移動する。すなわち、コンピューター装置10は、多軸ステージ28を所定のプログラムに従って駆動させることにより、水晶基板30において、レーザー光の集光点が任意の予定された軌跡上を走査される。
さらに、多軸ステージ28の上方には、多軸ステージ28上に載置される水晶基板30のアライメントの整合をとるためのCCDカメラ21が備えられており、このCCDカメラ21の映像に基づいて水晶基板30に対するレーザー光の照射位置等を定めることとする。
本実施形態では、多軸ステージ28を例えば一方向に移動させることで、水晶基板30に対してその音叉腕121,122の延在方向に沿った直線状の変質層150を形成する(図6(b))。このとき、上述したように多軸ステージ28の移動速度を毎秒2.5mm、レーザー光の照射間隔を5kHzとすることで隣り合う照射ラインの間隔、所謂スポット間隔を0.5μmにし、照射ライン同士が繋がるように加工する。
さらに、板厚100μmの水晶基板30の厚み方向に焦点距離を5μmずつ変えて、図4(i)及び図6(b)に示すように水晶基板30の厚み方向全体に変質層150を形成する。このように、本実施形態においては、溝141,142に対応する水晶基板30の厚み方向全体にレーザーを照射することによって変質層150を形成している。
次に、図4(j)に示すようにエッチング液を用いて所定時間エッチングを行うことで変質層150の一部を除去し、所定の深さの溝141,142を形成する(S8)。変質層150は、水晶の結晶性が変化してその結晶構造が粗な状態であるため、エッチング液が変質部分の結晶を素早く溶かすことになる。これにより、変質層150の一部が除去されて各音叉腕121,122にそれぞれ溝141,142が形成される。処理には、フッ酸水溶液とフッ化アンモニウム溶液との混合液からなるエッチング液を用い、エッチング時間を調整することによって所定深さの溝141,142を形成することが可能である。ここでは、フッ酸水溶液とフッ化アンモニウム溶液との混合液からなるエッチング液を25℃に加熱してエッチングを行った。
なお、図6(c)に示すように、残留させた変質層150の一部によって溝141,142の底壁が構成され、振動片のQ値の低下を防ぐための変質部151,152が形成される。本工程において、溝141,142と変質部151,152とを同時に形成する。
そして、各音叉腕121,122に溝141,142を形成した後、図4(k)に示すように、振動片本体102上からレジストマスク32Bおよび保護膜31を剥離する(S9)。
次に、図4(l)に示すように水晶基板30の表面全体に、スパッタ等によりCr膜およびAu膜をこの順で成膜して電極膜33を形成する(S10)。Cr膜およびAu膜の膜厚は、上記保護膜31における条件と同様である。続けて、図5(m)に示すようにフォトレジストを電極膜33上の全面に塗布し、フォトリソグラフィーによってレジスト膜Reをパターン化することで、図5(n)に示すような電極パターンに対応したレジストマスク32Cを形成する(S11)。このレジストマスク32Cを介して電極膜33のエッチングを行うことにより、図5(o)に示すように振動片本体102上に複数の電極(基部電極125a,電極125b、励振電極123a,124aおよび駆動電極123b、124b)を形成する(S12)。
その後、図5(p)に示すように振動片本体102上からレジストマスク32Cを除去することによって(S13)、内部に変質部151,152を備えた音叉型水晶振動片1が得られる。
本実施形態の製造方法では、水晶基板30に対してフェムト秒レーザー照射を行うことによって、図8に示す音叉型水晶振動片1の溝141,142の形成のためにエッチングする部分と、変質部151,152となる部分とに変質層150を同時に形成している。水晶基板30に対してフェムト秒レーザーを照射すると、レーザーが照射された部分が局所的に溶解して再結晶化した非結晶状態、すなわちアモルファスおよび多結晶、水晶などが混在した状態となる部分であって、微小な空洞や穴ができたりして水晶の結晶性が変化している状態を指す。つまり、変質層150は、空隙や単結晶が一部に含まれるなどして水晶とは異なる組織構造を有している。
レーザー照射により多結晶化が進むと、熱伝導率が低下するのと同時に熱膨張係数も低下することが予想される。一般的に、アモルファスの熱伝導率および熱膨張係数が単結晶より当然に低いことは明らかである。このため、多結晶化およびアモルファス化が進むと熱伝導率および熱膨張係数が低下するというのは、単結晶との差異を明確に示すものであると言える。そこで、アモルファスの特性、すなわち本実施形態における変質部151,152の特性を調べた結果を表1に示し、単結晶との違いを明らかにする。
Figure 2010183138
表1には、レーザーが照射されたことによって水晶の結晶性が変化した本実施形態における変質部と単結晶層(水晶単結晶)とにおける熱膨張係数(ppm/K)、弾性率(N/m)、密度(g/cm)、熱容量(J/Kg)、および熱伝導率(W/mK)の評価が示されている。
表1に示すように、変質層150と単結晶層(水晶単結晶)との比較において、弾性率、密度および熱容量に大きな違いは見受けられないが、熱膨張係数、熱伝導率に関しては単結晶層に比べて変質層150の値が大幅に低下しており物性が大きく変化している。単結晶層の熱膨張数が13.7ppm/Kであるのに対して、変質層150の熱膨張係数は0.56ppm/K程度である。一方、単結晶層の熱伝導率が10W/mKであるのに対して、変質層150の熱伝導率は1.4W/mKである。このことから、本実施形態における変質層150は、レーザーが照射されたことによって水晶の結晶構造が変質してアモルファス化したものと考えられる。
このような変質層150では水晶の異方性がなくなってしまうため、水晶自体をエッチングする場合に比べてエッチングレートが速くなる。このため、溝141,12に対応する領域にレーザーを照射してその部分における水晶を変質させることによって、エッチング処理にかかる時間を大幅に短縮することができる。また、溝141,142の形成と同時に変質部151,152を形成することができ、同じプロセスで行うことが可能になるので製造効率がよい。
なお、本実施形態においてはフェムト秒レーザーを用いている。これにより、透明な水晶基板に変質層150を必要な箇所に必要な数だけ確実且つ容易に形成することが可能である。
また、変質層150はレーザースポット照射を連続的に行うことによって形成されることから、たとえ一部に非変質部分が含まれていてもその領域は非常に微小であるためQ値改善の妨げにはならない。
また、レジスト膜、Au膜およびCu膜をフォトリソあるいはエッチングによって除去するのではなく、レーザーによって除去するようにしてもよい。
また、溝141,142や変質部151,152の形成領域だけでなく、水晶基板30を振動片の外形に沿ってエッチングする前工程として振動片の外形に沿った抜き取り部分にレーザーを照射して外形変質層を形成しても良い。これにより、外形形成におけるエッチング処理を効率よく行うことが可能である。この場合、外形変質層と同時に変質層150を形成すればより製造効率が向上する。
(実施例1)
図8は、本発明に係る音叉型水晶振動片の製造方法によって得られた音叉型水晶振動片を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B’断面図である。
図8(a)に示すように、音叉型水晶振動片1は、基部110と、この基部110から図において上方(y方向)に延出するようにして一対の音叉腕121,122とを備えた振動片本体102を有している。音叉型水晶振動片1は、例えば32、768kHzで発振する小型振動片となっており、図8(b)に示すように、全体の厚みTが約100μm、音叉腕121,122の幅Wが約20μm、長さLが約700μmとなっている。音叉腕121,122には、幅W1が10μm、深さtが45μmの溝141,142がそれぞれ形成されており、これら溝141,142の底部略全体に変質部151,152が形成されている。
音叉腕121,122には、図8(a),(b)に示すように励振電極123a,123a,124a,124a、駆動電極123b,123b,124b,124bが設けられており、基部110側には基部電極125a,125aが設けられている。また、音叉型水晶振動片1には、給電を行うための電極125bも形成されている。
そして、各音叉腕121,122において、励振電極123a,124bに印加される励振電圧が同位相となり、駆動電極123b、124aに印加される駆動電圧が励振電極123a,124bとは逆位相となるよう負図示の駆動回路に結線される。
このような構成の音叉型水晶振動片1は、各音叉腕121,122の両主面と両側面との間で生じる互いに逆向きの電界によって屈曲振動を生じ、最終的に、音叉振動を生じることになる。例えば、音叉腕121において、中央部から両側面に向かうx方向の電界が印加されることにより、図8(b)において右側の部分がy方向に伸びるとすると左側部分が収縮し、音叉腕122と対向する方向に変位する。
一方、音叉腕122において、両側面から中央部に向かう方向にx方向の電界が印加されることにより、図8(b)において左側の部分がy方向に伸びるとすると右側部分が収縮し、他方の音叉腕121と対向する方向に変位する。また、電界をそれぞれ上記の場合と逆にする電圧が電極123a,124a,123b,124bに印加されることにより、音叉腕121,122は離間する方向に振動し、一対の音叉腕121,122は互いに逆向きの水平方向に振動して、音叉振動を生じることになる。
音叉型水晶振動片は、各音叉腕121,122にそれぞれ変質部151,152が設けられていることから、小型化に伴うQ値の低下を大幅に改善できる。すなわち、レーザー照射によって変質を加えられた変質部151,152は結晶構造が崩れて粗な状態となるため、熱の伝導が遮断されるとともに熱膨張係数が小さくなる(表1)。このように、内部に変質部151,152を形成することで水晶内部に生じる熱の流れを抑制し、熱膨張を抑える効果があることから熱弾性損失の影響を抑制することができる。したがって、変質部151,152を有した音叉型水晶振動片1は、Q値が改善されて発振周波数が安定し、小型で高精度なものとなる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の音叉型水晶振動片の製造方法について説明する。図9は、本実施形態における音叉型水晶振動片の製造工程を示す図である。以下の説明では、先の実施形態と異なる構造について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、図1〜図8と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
先の実施形態では、図9(a)に示すような水晶基板30の溝141,142および変質部151,152に対応する領域の厚さ方向全体にレーザーを照射することにより変質層150を形成した。しかしながら、変質部分のエッチングレートは非常に早く、所望とする溝深さを得るためにエッチング量を管理するのはとても困難である。
そこで本実施形態においては、余分なエッチングが行われるのを抑制してエッチング工程を効率よく行えるようにするために、溝141,142および変質部151,152に対応する領域のみにレーザーを照射し、それ以外の領域にはレーザー照射を行わないようにした。具体的には、図9(a)に示すように、水晶基板30の第1領域A1及び第2領域A2に対して表裏からそれぞれレーザーを照射することによって変質層170を形成した。
図1(a)〜図3(h)に示す工程S1〜S6を終えた後、図9(b)に示すように、水晶基板30の表面10a側から第1領域A1と第2領域A2とでレーザー光の焦点深度を変化させながらレーザーを照射する。具体的には、音叉腕121,122のうち基部110側の第1領域A1に対しては水晶基板30の厚さ方向全体にレーザーを照射し、またそれ以外の第2領域A2に対してはレーザーの焦点深度を浅くすることで所定の溝深さに対応した範囲にレーザーを照射する。
次に、図9(c)に示すように、水晶基板30を裏返して裏面10b側からレーザーを照射する。第1領域A1には既にレーザーが照射されているため、残りの第2領域A2に対して表面10a側と同様に、溝の深さに対応した照点深度でレーザーを照射する。これにより、第1領域A1および第2領域A2とで厚みの異なる変質層170が形成される。
次に、この変質層170に対し、レジストマスクおよび保護膜を介して所定時間エッチング処理を行うことによって、図9(d)に示すような溝141,142を形成する。このとき、第2領域A2の変質層170が除去された時点でエッチングを終了し、第1領域A1における板厚中央の変質層170を部分的に残すことで、音叉腕121,122の基部110側に変質部161,162が形成される。
この後に続く電極の形成工程においては、先の実施形態と同様であるため説明を省略する。
本実施形態の製造方法によれば、エッチングによって除去する領域に変質層170を形成することによって変質層170とそれ以外の領域(非変質部分)とのエッチングレートを異ならせているため、変質層170に対するエッチング量を管理することが容易になり、所定の深さの溝141,142を形成することができる。つまり、エッチング液が非変質部分(水晶)に達したとしても、多結晶あるいはアモルファス化された変質層170に比べるとエッチングされる量は少なく、エッチング処理による他領域への影響を最小限に抑えられる。これにより、余分なエッチングが行われるのを抑制することができて、所定の深さの溝141,42を確実且つ容易に形成することが可能となる。
また、先の実施形態では、音叉型水晶振動片の長さ方向全体に亘って変質部151,152を形成したが、本実施形態のように、少なくとも、音叉腕121,122において最も振動応力がかかる領域、すなわち各音叉腕121,122の基部110側の領域に変質部161,162を形成することによって、小型化に伴うQ値の低下を最小限に抑えることが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもなく、上記各実施形態を組み合わせても良い。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、第2実施形態においては、水晶基板30の表面10aおよび裏面10bのそれぞれからレーザーを照射するとしたが、2ビームのレーザー集光位置等を調整するなど、条件によっては片面側からのレーザー照射によって変質層170を形成することも可能である。これにより、水晶基板30を裏返すなどの手間が省けるので効率が良い。
また、先の実施形態においては、振動片本体102の外形エッチングを行った後にレーザーを照射して変質層150,170を形成する工程順となっているが、外形形成前に変質層150,170を形成してもよい。
1…音叉型水晶振動片、121,122…音叉腕(振動腕部)、141,142…溝、150,170…変質層、151,152,161,162…変質部、102…振動片本体、125a…基部電極、125b…電極、123a,124a…励振電極、123b、124b…駆動電極、A1…第1領域、A2…第2領域

Claims (11)

  1. 基部と前記基部から互いに平行に延出された一対の振動腕部とを有する振動片本体と、前記振動腕部の両主面に形成された励振電極と、前記振動腕部の両側面に形成された駆動電極とを有し、前記振動腕部の両主面に前記振動腕部の長さ方向に延びる溝が形成された水晶振動片の製造方法であって、
    水晶基板を加工して前記振動片本体を作製する工程と、
    前記振動片本体の振動腕部の前記溝が形成される領域にレーザーを照射することで水晶とは組織構造の異なる変質層を形成する工程と、
    前記変質層が形成された領域をエッチングして前記溝を形成する工程と、を有する
    ことを特徴とする音叉型水晶振動片の製造方法。
  2. 基部と前記基部から互いに平行に延出された一対の振動腕部とを有する振動片本体と、前記振動腕部の両主面に形成された励振電極と、前記振動腕部の両側面に形成された駆動電極とを有し、前記振動腕部の両主面に前記振動腕部の長さ方向に延びる溝が形成された水晶振動片の製造方法であって、
    前記振動片本体の基材である水晶基板における前記振動腕部の前記溝が形成される領域にレーザーを照射することで水晶とは組織構造の異なる変質層を形成する工程と、
    前記水晶基板を加工して前記振動片本体を作製する工程と、
    前記変質層が形成された領域をエッチングして前記溝を形成する工程と
    を有することを特徴とする音叉型水晶振動片の製造方法。
  3. 前記溝を形成する工程において、
    前記変質層が形成された領域を部分的に残すことにより前記振動腕部に変質部を形成する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の音叉型水晶振動片の製造方法。
  4. 前記変質層を形成する工程において、
    前記振動腕部を厚さ方向に貫通する前記変質層を形成する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の音叉型水晶振動片の製造方法。
  5. 前記変質層を形成する工程において、
    前記振動部の両主面に前記変質層をそれぞれ形成する
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の音叉型水晶振動片の製造方法。
  6. 前記振動腕部の両主面側から前記レーザーを照射する
    ことを特徴とする請求項4記載の音叉型水晶振動片の製造方法。
  7. 前記変質層を形成する工程において、
    前記レーザーの焦点深度を異ならせることで、深さの異なる前記変質層を形成する
    ことを特徴とする請求項4記載の音叉型水晶振動片の製造方法。
  8. 前記水晶基板の前記振動片本体を縁取る領域にレーザーを照射することで、前記水晶基板に水晶とは組織構造の異なる外形変質層を形成する工程と、
    前記外形変質層をエッチングすることで前記振動片本体を形成する工程と、を有する
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の音叉型水晶振動片の製造方法。
  9. 前記変質層の形成工程と前記外形変質層の形成工程とを同時に実行する
    ことを特徴とする請求項7記載の音叉型水晶振動片の製造方法。
  10. 前記レーザーが、フェムト秒パルスレーザーである
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の音叉型水晶振動片の製造方法。
  11. 前記レーザーの出力を、300nJ以上500mJ未満とする
    ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の音叉型水晶振動片の製造方法。
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