ここで、建物内のデッドスペースに重量物である蓄電池を収納させることが検討されている。この観点から上記先行技術を観ると、スキップフロア構造にすることで形成された収納スペースに蓄電池を収納させることが考えられる。
しかしながら、この先行技術に開示された収納スペース(即ち、スキップフロア部の上方に配置された収納スペース)に蓄電池を収納させると、蓄電池から放熱された排熱が収納スペース内に篭ってしまう。このため、蓄電池の性能が低下する可能性がある。
本発明は上記事実を考慮し、床下スペースに蓄電池を収納した場合において蓄電池の性能を良好に維持することができる建物を得ることが目的である。
請求項1記載の本発明に係る建物は、下方に通気スペースを有する床部と、この床部上に設けられ、蓄電池を収納可能な蓄電池収納室と、前記床部に設けられ、通気スペースから蓄電池収納室へ通気する通気口と、この通気口の形成位置又はその近傍に設けられ、当該通気口を介した通気量を変更する通気量変更手段と、を有している。
請求項2記載の本発明に係る建物は、請求項1記載の発明において、前記床部はスキップフロアとされていると共に、前記通気スペースは当該スキップフロアの直下に設けられかつ外部と直接繋がった非居室スペースとされている、ことを特徴としている。
請求項3記載の本発明に係る建物は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記床部の下方にはガレージが配置されており、当該ガレージ内のスペースが前記通気スペースとされている、ことを特徴としている。
請求項4記載の本発明に係る建物は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記通気量変更手段は、平面視で前記通気口と重なる位置に配置されると共に前記床部を構成し、かつ前記蓄電池が載置される蓄電池載置部と、前記蓄電池載置部又は前記通気口の周縁部或いは両者に設けられ、平面視で見た場合の通気口の通気面積を増減させる通気面積増減手段と、を含んで構成されている、ことを特徴としている。
請求項5記載の本発明に係る建物は、請求項4記載の発明において、前記蓄電池載置部は、複数の要素に分割されていると共に、前記通気面積増減手段は、すべての要素を最大限離間させたときに通気面積が最大になり、かつすべての要素を最大限接近させたときに通気面積が最小になるように隣合う要素同士を接近及び離間する方向へ所定ストロークだけスライド可能に連結する連結手段によって構成されている、ことを特徴としている。
請求項6記載の本発明に係る建物は、請求項5記載の発明において、前記通気面積が最大のときには、前記蓄電池載置部の外縁部が前記通気口の周縁部又はその近傍に配置された受部に架け渡され、前記通気面積が最小のときには、前記蓄電池載置部の外縁部と前記通気口の周縁部との間に所定幅の外縁部隙間が形成される、ことを特徴としている。
請求項7記載の本発明に係る建物は、請求項4記載の発明において、前記蓄電池載置部の外縁部と前記通気口の周縁部との間には所定幅の外縁部隙間が予め形成されており、前記通気面積増減手段は、当該外縁部隙間の全開位置と当該外縁部隙間の全閉位置との間を移動可能な開閉体を備えた開閉手段によって構成されている、ことを特徴としている。
請求項8記載の本発明に係る建物は、請求項6又は請求項7記載の発明において、前記蓄電池収納室又は前記通気スペースには、前記床部を昇降させる昇降装置が配設されている、ことを特徴としている。
請求項9記載の本発明に係る建物は、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の発明において、前記蓄電池収納室内に設けられ、蓄電池収納室内の気温を検出する蓄電池収納室内気温検出手段と、前記通気スペース内に設けられ、通気スペース内の気温を検出する通気スペース内気温検出手段と、通気スペース内の空気を給気して蓄電池収納室内の空気を排気する給排気手段と、蓄電池収納室内に設けられ、作動することにより蓄電池収納室内の気温を増減させる空調手段と、蓄電池収納室内気温検出手段及び通気スペース内気温検出手段による検出結果に基づいて、前記蓄電池収納室内の気温が所定の基準温度範囲に入るように前記給排気手段及び前記空調手段の少なくとも一方を作動させる制御手段と、を備えている、ことを特徴としている。
請求項10記載の本発明に係る建物は、請求項9記載の発明において、前記蓄電池収納室内気温検出手段によって検出された蓄電池収納室内の気温が、前記所定の基準温度範囲の上限よりも高くかつ第1の所定温以下の第1の高温領域にある場合には、前記給排気手段のみを作動させ、前記蓄電池収納室内気温検出手段によって検出された蓄電池収納室内の気温が、前記第1の高温領域の上限よりも高くかつ前記第1の所定温度よりも更に高い第2の所定温度以下の第2の高温領域にある場合には、前記給排気手段に加えて前記空調手段を作動させる、ことを特徴としている。
請求項1記載の本発明によれば、蓄電池が収納される蓄電池収納室の床部の下方には通気スペースが存在しており、蓄電池収納室は床部に設けられた通気口を介して通気されている。
ここで、本発明では、通気口の形成位置又はその近傍に通気量変更手段が設けられており、通気口を介した通気量を変更することができる。このため、例えば、夏季等において蓄電池収納室内の気温が高くかつ蓄電池からの排熱が蓄電池収納室内に篭っているような場合には、通気量変更手段によって通気量を増加させることにより、相対的に蓄電池収納室内よりも気温が低い通気スペース内の空気が、通気口を介して蓄電池収納室内へより多く供給される。このため、蓄電池収納室内の気温が下げられ、蓄電池が過度な高温環境下で保管されるのを防止することができる。
請求項2記載の本発明によれば、床部はスキップフロアとされているので、スキップフロア上のスペースを例えば収納スペースとして利用した場合に形成されたデッドスペースを蓄電池収納室として利用することができる。
また、スキップフロアの直下に外部と直接繋がった非居室スペースが設けられているので、外部からの給気経路を容易に確保することができるだけでなく、通気スペースをメンテナンス作業に使っても居住者の生活の妨げになることはない。
請求項3記載の本発明によれば、床部の下方にはガレージが配置されており、ガレージ内のスペースが通気スペースとされるので、通気スペースを蓄電池収納室内の通気用に用いるだけでなく、ガレージとしての価値(インナガレージ)を付加することができる。すなわち、一つのスペースを複数の目的で使用することができる。
請求項4記載の本発明によれば、平面視で通気口と重なる位置に床部を構成する蓄電池載置部が配置されており、この蓄電池載置部上に蓄電池が載置される。
ここで、蓄電池収納室内に蓄電池の排熱が篭り、蓄電池収納室内の気温が過度に上昇したような場合には、通気面積増減手段によって平面視で見た場合の通気口の通気面積を増加させればよい。通気口の通気面積が増加すると、それに応じて通気量が増加し、通気スペース内の空気が蓄電池収納室内へより多く取り込まれる。これにより、蓄電池の温度上昇が抑制される。
一方、外気温が低い場合等において現状の通気面積では蓄電池の温度が低くなり過ぎるような場合には、通気面積増減手段によって平面視で見た場合の通気口の通気面積を減少させればよい。通気口の通気面積が減少すると、それに応じて通気量が減少し、通気スペースから蓄電池収納室内へ取り込まれる空気の量がより少なくなる。これにより、蓄電池の温度低下が抑制される。
請求項5記載の本発明によれば、蓄電池載置部は複数の要素に分割されており、隣合う要素同士は連結手段によって連結されている。
ここで、すべての要素を最大限離間させると、通気口の通気面積が最大になる。逆に、すべての要素を最大限接近させると、通気口の通気面積が最小になる。
このように本発明では、蓄電池載置部を複数の要素に分割すると共に、連結手段によって接近及び離間する方向へスライド可能に連結することで通気口の通気面積を増減させるようにしたので、構造がコンパクトになる。
請求項6記載の本発明によれば、蓄電池を蓄電池載置部に載置して保管する場合には、
蓄電池載置部を構成するすべての要素を最大限離間させればよい。これにより、蓄電池載置部の外縁部が通気口の周縁部又はその近傍に架け渡されるので、特別な支持手段がなくても、蓄電池載置部を通気口のエリアに保持することができる。また、このときには、通気面積が最大になるので、蓄電池から放出された排熱が蓄電池収納室内に篭ることはない。
一方、蓄電池載置部を構成するすべての要素を最大限接近させると、通気面積が最小となる。このため、冬季等において外気温が低過ぎるような場合には、このモードで蓄電池を保管すると、蓄電池の過度な温度低下を防ぐことができる。
請求項7記載の本発明によれば、蓄電池載置部の外縁部と通気口の周縁部との間には所定幅の外縁部隙間が予め形成されており、開閉手段によって開閉体を外縁部隙間の全開位置に位置させれば、通気口の開口面積が最大になる。逆に、開閉手段によって開閉体を外縁部隙間の全閉位置に位置させれば、通気口の開口面積が最小になる。すなわち、本発明によれば、開閉体の開度によって通気口を通した通気量を変えることができる。
請求項8記載の本発明によれば、メンテナンス時等において蓄電池を蓄電池収納室から取り出す場合には、まず蓄電池載置部の外縁部と通気口の周縁部との間に外縁部隙間が形成された状態にする。この状態で、昇降装置を使って蓄電池載置台ごと通気スペースまで降ろせばよい。
請求項9記載の本発明によれば、蓄電池収納室内気温検出手段によって蓄電池収納室内の気温が検出されると共に、通気スペース内気温検出手段によって通気スペース内の気温が検出される。
制御手段では、検出された蓄電池収納室内の気温及び通気スペース内の気温に基づいて、給排気手段及び空調手段の少なくとも一方を作動させる。これにより、蓄電池収納室の気温が所定の基準温度範囲内にある状態が維持される。
請求項10記載の本発明によれば、蓄電池収納室内気温検出手段によって検出された蓄電池収納室内の気温が、所定の基準温度範囲の上限よりも高くかつ第1の所定温度以下の第1の高温領域にある場合には、制御手段によって給排気手段のみが作動される。
さらに、蓄電池収納室内気温検出手段によって検出された蓄電池収納室内の気温が、第1の高温領域の上限よりも高くかつ第1の所定温度よりも更に高い第2の所定温度以下の第2の高温領域にある場合には、給排気手段に加えて空調手段が作動される。
このように本発明では、高温領域を二つに分け、相対的に低い第1の高温領域に蓄電池収納室内の気温があるときは、給排気手段だけを作動させて、第1段階の蓄電池冷却モードとし、相対的に第1の高温領域よりも高い温度の第2の高温領域に蓄電池収納室内の気温があるときは、給排気手段と空調手段の双方を作動させて、第2段階の蓄電池冷却モードとするようにしたので、より適切な温度管理を行うことができる。
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る建物は、床下スペースに蓄電池を収納した場合において蓄電池の性能を良好に維持することができるという優れた効果を有する。
請求項2記載の本発明に係る建物は、建物内のデッドスペースの有効利用を図ることができると共に、メンテナンス時の作業スペースを容易に確保することができるという優れた効果を有する。
請求項3記載の本発明に係る建物は、建物が付随的に備えるスペースを効率良く使用することができるという優れた効果を有する。
請求項4記載の本発明に係る建物は、蓄電池の温度が過度に上昇又は低下するのを抑制することができるという優れた効果を有する。
請求項5記載の本発明に係る建物は、蓄電池収納室内の収納スペースを犠牲にすることなく装置を設置することができるという優れた効果を有する。
請求項6記載の本発明に係る建物は、特別な支持手段を用いることなく蓄電池載置部を通気口に保持することができるので、構造の簡素化を図ることができるという優れた効果を有する。
請求項7記載の本発明に係る建物は、蓄電池収納室内の温度環境に応じて適切な通気量にすることができるという優れた効果を有する。
請求項8記載の本発明に係る建物は、蓄電池載置部を通気口を通して通気スペースに降ろすことができるので、メンテナンス作業が非常にやり易くなり、メンテナンス性を向上させることができるという優れた効果を有する。
請求項9記載の本発明に係る建物は、人手に依らなくても、蓄電池の性能を良好に維持することができるという優れた効果を有する。
請求項10記載の本発明に係る建物は、蓄電池収納室内の気温がかなり高温になっても蓄電池の性能を良好に維持することができるという優れた効果を有する。
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図13を用いて、本発明に係る建物の第1実施形態について説明する。
図1には、本実施形態に係る蓄電池収納庫を備えた住宅の立面図が示されている。この図に示されるように、建物としての住宅10は、居室スペースである一階部分12及び二階部分14の他に、インナガレージ16及びスキップ空間18を備えている。なお、本実施形態の住宅10は鉄骨軸組構造の建物として構成されている。
より具体的には、住宅10における一階部分12の角部には、スキップフロア20が配設されている。スキップフロア20は床の高さを半階分ずらして設けられた床のことであり、本実施形態では、一階部分12の角部の高さ方向中間部に水平に設けられている。このスキップフロア20が設けられたことにより、スキップフロア20の下方には連通スペースとしてのインナガレージ16が形成されていると共に、スキップフロア20の上方にはスキップ空間18が形成されている。
スキップ空間18は、スキップフロア20と一階天井部22と外壁24と内壁26とで囲まれた空間として構成されている。また、スキップ空間18は間仕切り壁28によって二分されている。二分された一方(一階部分12の居室スペース30側)のスペースがスキップ収納部34とされており、他方(外壁24側)のスペースが蓄電池収納庫32とされている。
スキップ収納部34には、複数の収納棚36等が収納されている。一方、蓄電池収納庫32の蓄電池収納室38内には、重量物である蓄電池40(図7参照)が収納されている。
なお、蓄電池40は、商用電力系統、太陽電池等の独立電源、或いは自動車の燃料電池の余剰電力等から受電して蓄電し、蓄電池44で溜めた電力を、住宅10で使用するエアコン、照明装置、プラグインハイブリッド車、自然冷媒ヒートポンプ給湯器等の負荷に給電するようになっている。つまり、この建物用蓄電システムは、蓄電池40を使い、住宅10で使用する電気を蓄電及び給電する省エネ技術の一種である。例えば、この建物用蓄電システムを用いた場合、昼間はソーラーシステムで得られた電力等を蓄電池40に蓄えると共に夜間は料金が安い深夜電力を蓄電池40に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電池40で蓄電した電力を放電して利用するといった使い方ができる。
また、蓄電池収納庫32内に収納される蓄電池40としては、例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン蓄電池といった蓄電池が適用可能であるが、ニッケルカドミウム蓄電池等の他の蓄電池であってもよい。
次に、図2〜図6を用いて、蓄電池収納室38の床部42(図1においてスキップフロア20の左側部分)の構成について詳細に説明する。
図2〜図4には、蓄電池収納室38の床部42の平面図が状態を変えて示されている。これらの図に示されるように、スキップフロア20の所定位置には、蓄電池収納室38とインナガレージ16とを連通する平面視で正方形状の通気口48が形成されている。通気口48の周縁部には、4本の鉄骨梁44が配置されている。これらの鉄骨梁44の上フランジ44Aに床部42を構成する蓄電池載置部46が載置されている。
蓄電池載置部46は、平面視で各々正方形状に形成された多数の蓄電池台50と、これらの蓄電池台50を相互に連結する多数の連結部材52と、によって構成されている。なお、本実施形態では、蓄電池台50を6行6列に配置して合計36個の蓄電池台50で蓄電池載置部46を構成しているが、使用個数は蓄電池収納室38の通気口48の大きさによって適宜変更される。
図5(A)、(B)に示されるように、各蓄電池台50は所定の厚さを有しており、4つの外周側面には連結手段としての円柱状の連結孔54が形成されている。連結孔54は、蓄電池台50の外周側面に露出された小径の軸挿通孔54Aと、蓄電池台50の内部に形成されると共に軸挿通孔54Aと連通された大径の連結部挿通孔54Bと、によって構成されている。
隣接する蓄電池台50同士は、各々円盤状に形成された一対の連結部52Aとこれらの連結部52Aを繋ぐ軸部52Bとによって構成されたダンベル形状の連結手段としての連結部材52によって相互に連結されている。連結部52Aの外径は連結部挿通孔54Bの内径より若干小さく設定されており、又連結部52Aの厚さは連結部挿通孔54Bの深さの半分に設定されている。また、連結部材52の軸部52Bの外径は軸挿通孔54Aの内径より若干小さく設定されており、又軸部52Bの軸長は連結部52Aの厚さの4倍に設定されている。従って、連結部52Aが連結部挿通孔54B内に収容され、軸部52Bが軸挿通孔54A内に収容されて隣接する蓄電池台50が相互に連結された状態では、各々連結部52Aの厚さ(図5(A)の寸法a)分だけスライド可能となっている。
図2に示される状態が蓄電池載置部46の各蓄電池台50がフルストロークして最大限離間した状態である。この状態では、隣接する蓄電池台50間に平面視で十字状の所定幅の通気路58が複数個規則的に形成されている。さらに、蓄電池載置部46の外縁側の蓄電池台50と通気口48の周縁部との間には、通気路58よりも狭幅の隙間60が規則的に形成されている。この状態のときに、蓄電池載置部46による通気面積が最大になっている。
一方、図4に示される状態が蓄電池収納室38の各蓄電池台50が最大限接近した状態である。この状態では、隣接する蓄電池台50間には通気路58は形成されず、外縁側の蓄電池台50と通気口48の周縁部との間に所定幅の外縁部隙間62が形成されている。従って、蓄電池載置部46が縮小されたときにも通気口48が完全に閉塞される訳ではない。この状態のときに、蓄電池載置部46による通気面積が最小になっている。
図6(A)、(B)に示されるように、上述した蓄電池載置部46の下方には、平面視で方形枠状に構成された金属製の支持フレーム64が配設されている。支持フレーム64は通気口48の内側に鉄骨梁44に接触しないように配置されている。支持フレーム64の下方には、支持フレーム64と同様の方形枠状に構成された下地材66が取り付けられている。下地材66の下端部には、インナガレージ16の天井面と面一に配置される天井板68が配設されている。なお、天井板68は鉄骨梁44の下フランジ44Bよりも下方に配置されるため、下地材66は支持フレーム64と天井板68との間を繋ぐスペーサとしての役割を担っている。天井板68は、通気性を確保するためにグレーチング等によって構成されている。
次に、図7及び図8を用いて、昇降機70の構成について説明する。
上述した蓄電池収納室38内には、蓄電池40のメンテナンス時に蓄電池40を吊り降ろすための昇降機70が設置されている。
昇降機70は、蓄電池収納室38の天井(一階天井部22)に設置された架台72と、この架台72の下面に平行に配置された左右一対のシャフト74と、各シャフト74に固定された一対のプーリ76と、各プーリ76に巻き掛けられたワイヤロープ78と、各ワイヤロープ78の下端部に固定された連結具80と、を含んで構成されている。
シャフト74の軸方向両端部は、架台72に固定されたブラケット82にベアリング等によって回転自在に軸支されている。そして、シャフト74には、軸方向に所定距離離間して前後一対(図7の紙面上で手前奥一対)のプーリ76がスプライン嵌合等により固定されている。このため、シャフト74に固定された前後一対のプーリ76は、シャフト74と一体に同期して回転するようになっている。
また、左右一対のシャフト74の軸方向の一方の端部近傍には、図示しないスプロケットがそれぞれ固定されており、双方のスプロケットには駆動力伝達用のチェーンが巻き掛けられている。さらに、一方のシャフト74の軸方向の端部には、入力ギヤが固定されている。入力ギヤは、図示しないウインチの出力ギヤと減速機構を介して噛み合っている。従って、ウインチが正転又は逆転すると、その駆動力が出力ギヤ、減速機構を介して入力ギヤに伝達され、チェーンを介して左右のシャフト74がその軸線回りに同期して回転するようになっている。
プーリ76の軸部外周には螺旋溝が形成されており、ワイヤロープ78の一端部はプーリ76の軸部の螺旋溝の始端に係止されている。従って、プーリ76が正転するとワイヤロープ78はプーリ76に巻き取られ、プーリ76が逆転するとワイヤロープ78はプーリ76から引き出されるようになっている。
図8に示されるように、ワイヤロープ78の下端部には、連結具80が係止されている。連結具80は、扁平な中空円柱形状に形成された連結体84と、連結体84の内部に挿入される係止具86と、によって構成されている。係止具86は、円錐駒を上下逆向きにした形状をしており、その軸芯部にワイヤロープ78の下端部が挿通され抜け止めされている。連結体84の底壁部には、係止具86よりも大径とされて係止具86を挿入可能な大径孔87が形成されている。一方、連結体84の頂壁部には係止具86よりも小径とされかつワイヤロープ78の外径よりも大径とされた係止孔88が形成されている。組付けに際しては、ワイヤロープ78の下端部を連結体84の係止孔88から挿入して大径孔87を貫通させた後、当該下端部に係止具86を固定し、ワイヤロープ78を引くことにより係止具86が係止孔88に遊嵌された状態で係止されるようになっている。その後、連結体84が支持フレーム64内に挿入されて図示しないボルト等によって締結固定されている。
一方、上述した蓄電池載置部46の四隅に配置された各4個の蓄電池台50の中心側には、ワイヤロープ78の下端部を挿通させるための凹部90が形成されている。すなわち、図4及び図8図示状態の蓄電池載置部46のときに、蓄電池台50とワイヤロープ78との干渉を避けるための凹部90が4個の蓄電池台50の中心側にそれぞれ形成されている。そして、図4及び図8図示状態とされたときには、4個の蓄電池台50が集まることで一つの円孔が形成されるようになっている。
逆に、図2図示状態の蓄電池載置部46のときには、4個の蓄電池台50は互いに離間する方向へスライドするので、4つの凹部90は放射方向へ離間し、その後、再び図2図示状態から図3図示状態(途中の状態)を経て図4図示状態に戻す際には、ワイヤロープ78が蓄電池台50に押されて偏心するが、係止孔88がワイヤロープ78の外径よりも大径に形成されているので、偏心挙動を許容するようになっている。
次に、図9を用いて、蓄電池収納庫32の制御システムの概要について説明する。
図9には、蓄電池収納庫32の制御システムの模式図が示されている。この図に示されるように、蓄電池収納庫32の蓄電池収納室38内の所定位置には、蓄電池収納室38内の気温を検出する蓄電池収納室内気温検出手段としての内気温検出センサ92が設けられている。内気温検出センサ92は、コントローラ94に接続されており、その検出結果を制御手段としてのコントローラ94に常時出力している。なお、コントローラ94は蓄電池収納室38内の所定位置に設けられている。
また、インナガレージ16内の所定位置には、インナガレージ16内の気温を検出する通気スペース内気温検出手段としての外気温検出センサ96が設けられている。外気温検出センサ96はコントローラ94に接続されており、その検出結果をコントローラ94に常時出力している。
さらに、一階天井部22には、給排気手段としての排気口及びファン98が配設されている。ファン98は蓄電池収納室38内の空気を吸引して一階天井部22と二階床部42との間の隙間から屋外へ排気するようになっている。ファン98はコントローラ94に接続されており、その作動が制御されている。
また、蓄電池収納室38の所定位置には、空調手段としてのエアコン100が配設されている。エアコン100はコントローラ94に接続されており、その作動が制御されている。
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
本実施形態に係る蓄電池収納庫32では、蓄電池載置部46の各蓄電池台50上に蓄電池40が載置されて保管される。
ここで、夏季等においては、外気温が高くなることもさることながら、蓄電池収納室38内に収納された蓄電池40から放出される排熱が篭り易い。このため、蓄電池収納室38内の気温は外気温よりも高くなる。このように蓄電池収納室38内の気温が過度に上昇したような場合には、図2に示されるように、蓄電池載置部46は全開状態とされる。具体的には、隣接する蓄電池台50同士が互いに離間する方向へスライドされることで、複数の蓄電池台50間に複数個の通気路58が形成されると共に外縁に配置された蓄電池台50と通気口48の外周部との間に隙間60が形成される。すなわち、通気口48の通気量が増加される。
これにより、インナガレージ16内の相対的に低い温度の空気が、複数個の通気路58及び外縁部隙間62を通って蓄電池収納室38内に流入され、蓄電池収納室38内が相対的に冷却される。その結果、蓄電池40の温度上昇が抑制される。
一方、冬季等において、外気温が低い場合等には、現状の通気面積では蓄電池40の温度が低くなり過ぎるため、相対的に高い温度の空気がインナガレージ16側から蓄電池収納室38内へ極力入らないようにしなければならない。このような場合には、蓄電池載置部46の開閉モードを図4に示される全閉状態とすればよい。この場合、図4に示されるように、隣接する蓄電池台50は中心側へ寄せられていき、隣接する蓄電池台50間に形成されていた通気路58が閉塞され、外縁側の蓄電池台50と通気口48の周縁部との間に所定幅の外縁隙間60が形成される。この状態のときに、蓄電池載置部46による通気面積は最小になるので、その分、通気量も減少する。これにより、蓄電池40の温度低下が抑制される。
以上は手動で蓄電池載置部46の開口面積を変更する場合であるが、本実施形態では制御システムを備えているので、次にこの点について詳細に説明する。
内気温検出センサ92によって蓄電池収納室38内の内気温が検出されており、その検出結果は常時コントローラ94に出力されている。また、外気温検出センサ96によってインナガレージ16内の外気温が検出されており、その検出結果は常時コントローラ94に出力されている。
夏季等の場合、一例として以下のように制御される。なお、夏季等においては、予め蓄電池載置部46が予め手動で図2に示される全開状態にされているものとする。
今仮に、内気温検出センサ92によって検出された内気温(t)が所定の基準温度範囲(10℃≦t≦30℃)の上限である30℃よりも高く、かつ第1の所定温度(例えば、40℃)以下であった場合(以下、この温度領域を「第1の高温領域」と称す。)には、コントローラ94によってファン98のみが作動される。ファン98が作動すると、インナガレージ16内の空気が吸引されて、一階天井部22と二階床部23との隙間から屋外へ排気される。このため、インナガレージ16内の相対的に低い温度の空気が通気口48及び蓄電池載置部46の通気路58及び隙間60を通って蓄電池収納室38内へ給気される。これにより、蓄電池収納室38内の気温が下げられると共に蓄電池40自体の温度も低下される。その結果、過度に高温になって蓄電池40の性能が低下する状態が解消され、蓄電池収納室38内の気温tは、前記所定の基準温度範囲内になる。蓄電池収納室38内の気温tが所定の基準温度範囲内に入ると、コントローラ94によってファン98の作動が自動的に停止される。
一方、内気温検出センサ92によって検出された内気温(t)が第1の高温領域の上限である40℃よりも高く第2の所定温度(例えば、60℃)以下の場合(以下、この温度領域を「第2の高温領域」と称す。)には、コントローラ94によってファン98に加えてエアコン100が作動される。これにより、ファン98による冷却作用とエアコン100による冷却作用の双方が得られるので、蓄電池収納室38内の気温が効果的に下げられ、第2の高温領域から第1の高温領域へとクールダウンされる。第1の高温領域まで蓄電池収納室38内の気温が下がった場合には、コントローラ94によって自動的にエアコン100の作動が停止され、ファン98のみの作動となる。そして、基準温度範囲まで蓄電池収納室38内の気温が下がった場合には、コントローラ94によって自動的にファン98が停止される。
なお、冬季等の場合には、予め手動にて蓄電池載置部46の通気状態が図4に示される全閉状態とされる。これにより、インナガレージ16内の外気によって蓄電池収納室38内の空気が過冷却されるのを防止するようになっている。
上記の如く用いられる本実施形態に係る蓄電池収納庫32及びこれを備えた住宅10の効果を以下に列挙する。
(1)本実施形態に係る蓄電池収納庫32では、蓄電池載置部46を全開状態(図2図示状態)又は全閉状態(図4図示状態)(或いは半開状態(一例として図3図示状態))に選択的に変更することで、インナガレージ16から蓄電池収納室38への通気量を変更することができる。このため、蓄電池収納室38内の気温を適切な温度環境下で保管することができる。その結果、本実施形態によれば、床下スペースであるスキップ空間18に蓄電池40を収納した場合において蓄電池40の性能を良好に維持することができる。
(2)本実施形態に係る住宅10では、蓄電池収納室38の床部42はスキップフロアとしたので、スキップフロア20上のスペースを例えば収納スペースとして利用した場合に形成されたデッドスペースを蓄電池収納室38として利用することができる。また、スキップフロア20の直下に外部と直接繋がった非居室スペースであるインナガレージ16が設けられているので、外部からの給気経路を容易に確保することができるだけでなく、通気スペース(インナガレージ16)をメンテナンス作業に使っても居住者の生活の妨げになることはない。その結果、本実施形態によれば、住宅10内のデッドスペースの有効利用を図ることができると共に、メンテナンス時の作業スペースを容易に確保することができる。
(3)本実施形態に係る住宅10では、前記のように床部42の下方にインナガレージ16が配置されており、インナガレージ16内のスペースが通気スペースとされるので、通気スペースを蓄電池収納室38内の通気用に用いるだけでなく、ガレージとしての価値(インナガレージ)を付加することができる。すなわち、一つのスペースを複数の目的で使用することができる。よって、住宅10が付随的に備えるスペースを効率良く使用することができる。
(4)本実施形態に係る蓄電池収納庫32では、拡縮可能に構成された蓄電池載置部46を備えているので、上述したように通気口48の通気面積を増加させて通気量を増加させることも、逆に通気口48の通気面積を減少させて通気量を減少させることもできる。このため、蓄電池40の温度が過度に上昇又は低下するのを抑制することができ、蓄電池40の性能を良好に維持することができる。
(5)また、複数個に分割された蓄電池台50を連結部材52で所定ストロークの範囲内でスライド可能に連結し、すべての蓄電池台50を最大限離間させると、通気口48の通気面積が最大となり、逆にすべての蓄電池台50を最大限接近させると、通気口48の通気面積が最小になるようにしたので、構造が非常にコンパクトになる。すなわち、同一平面内での拡縮動作で通気モードを切り換えることができるので、部材の挙動が同一平面内にないもので通気モードを切り換える構造に比し、設置スペースをとらない。このため、蓄電池収納室38内の蓄電池40の収納スペースを犠牲にすることなく装置を設置することができる。別の見方をすれば、蓄電池収納室38内の蓄電池収納スペースを最大限確保することができる。
(6)さらに、上記蓄電池載置部46は通気面積が最大のときには外縁部に配置された蓄電池台50が通気口48の周縁部を規定する鉄骨梁44に架け渡されるので、特別な支持手段がなくても、蓄電池載置部46を通気口48のエリアに保持することができる。従って、特別な支持手段を廃止できるという観点からも構造の簡素化を図ることができる。
(7)また、本実施形態に係る蓄電池収納庫32では、内気温検出センサ92及び外気温検出センサ96、ファン98、エアコン100を備え、コントローラ94によってその作動を制御することにより、蓄電池収納室38内の気温が所定の基準温度範囲に入るようにファン98及びエアコン100を作動させるようにしたので、人手に依らなくても、蓄電池40の性能を良好に維持することができる。
(8)さらに、内気温検出センサ92によって検出された蓄電池収納室38の気温が、蓄電池40の性能を良好に維持することができる所定の基準温度範囲の上限よりも高くかつ第1の所定温以下の第1の高温領域にある場合には、ファン98のみを作動させ、当該蓄電池収納室38内の気温が、第1の高温領域の上限よりも高くかつ第1の所定温度よりも更に高い第2の所定温度以下の第2の高温領域にある場合には、ファン98に加えてエアコン100を作動させるようにしたので、即ち、高温領域を二つに分け、相対的に低い第1の高温領域に蓄電池収納室38内の気温があるときは、ファン98だけを作動させて、第1段階の蓄電池冷却モードとし、相対的に第1の高温領域よりも高い温度の第2の高温領域に蓄電池収納室38内の気温があるときは、ファン98とエアコン100の双方を作動させて、第2段階の蓄電池冷却モードとするようにしたので、より適切な温度管理を行うことができる。その結果、本実施形態によれば、蓄電池収納室38内の気温がかなり高温になっても蓄電池40の性能を良好に維持することができる。
(9)また、本実施形態では、昇降機70を備えているので、メンテナンス時等において蓄電池40を蓄電池収納室38から取り出す場合には、蓄電池載置部46を図4図示状態にして蓄電池載置部46の外縁部と通気口48の周縁部との間に外縁部隙間62を形成すれば、昇降機70を使って蓄電池台50ごとインナガレージ16まで降ろすことができる。従って、メンテナンス作業が非常にやり易くなり、メンテナンス性を向上させることができる。
(10)さらに、本実施形態では、蓄電池載置部46を鉄骨梁44を回避して上下に昇降させることができるので、スキップ空間18のスキップフロア20の全体を上下に昇降させる必要がない。このため、例えば、図10に示されるように、平面視で見た場合に4つの架構面110、112、114、116で構成された広さを有するスキップ空間118の場合に、図11で示されるように、1つ分の架構面110に対して蓄電池収納庫32を設け、残り3個の架構面112、114、116から成るスキップ空間120については、任意の目的で使用することができる。従って、3つの架構面112、114、116のうち一つをスキップ収納部として使い、残りの2つ分を居室スペースとして使ったり、他の用途に用いるといったことが可能となる。よって、プラン対応力を向上させることができる。
その一方で、図12及び図13に示されるように、4つの架構面110、112、114、116のすべてを蓄電池収納庫32として利用してもよい。
〔第2実施形態〕
以下、図14を用いて、本発明に係る建物の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図14に示されるように、この第2実施形態では、上下連結部材130を用いて、蓄電池載置部を高さ方向に複数段に連結した多層構造とした点に特徴がある。
具体的には、前述した第1実施形態で説明した蓄電池載置部46を高さ方向に所定の間隔で複数段に配置し、四隅に配置される蓄電池台50が上下連結部材130で串刺し状に連結されている。上下連結部材130による連結後の状態では、下段側の蓄電池台50に蓄電池40が載置されたときに、上段側の蓄電池台50との間に所定の隙間132が形成されている。なお、上下連結部材130の配置箇所は任意であるが、荷重を支える観点からバランスの良い点が選定される。
(作用・効果)
上記構成によれば、蓄電池40を多数段に配置された蓄電池載置部46に積層状態で収納することができるので、蓄電池40の収納量が格段に向上する。また、蓄電池40を多数段に積層して収納した場合にも、上下段の間には所定の隙間132が形成されているので、通気性を確保することができる。従って、蓄電池40の温度上昇を抑制することができる。
〔第3実施形態〕
以下、図15を用いて、本発明に係る建物の第3実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図15に示されるように、この第3実施形態では、昇降機140をガイドレール方式にした点に特徴がある。
具体的には、蓄電池収納室38からインナガレージ16に亘ってガイドレール142が立設されている。なお、ガイドレール142は、図15の紙面手前側及び奥側に一対設けられている。各ガイドレール142には、連結具144が摺動可能に支持されている。
すなわち、ガイドレール142は例えば水平断面形状がコ字状に形成されており、連結具144の基端部は当該ガイドレール142の内側に嵌合されている。さらに、ガイドレール142の内側には図示しない送りねじがガイドレール142の全長に亘って立設されており、この送りねじに連結具144の基端部が螺合されている。送りねじの上端部又は下端部には図示しない駆動モータが減速機構を介して接続されている。また、連結具144の先端部は、支持フレーム64に固定されている。従って、支持フレーム64は、連結具144を介して一対のガイドレール142に片持ち支持されている。
(作用・効果)
上記構成によっても、前述した第1実施形態で説明した昇降機70と同様に蓄電池40を昇降させることができる。具体的には、駆動モータが回転すると、送りねじがその軸線回りに回転される。これにより、ガイドレール142の内側に基端部が嵌合された連結具144は送りねじに沿って上昇又は下降される。連結具144がガイドレール142に沿って移動すると、それに伴って支持フレーム64が上昇又は下降し、これにより蓄電池40を昇降させることができる。
〔第4実施形態〕
以下、図16及び図17を用いて、本発明に係る建物の第4実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図16及び図17に示されるように、この第4実施形態では、通気口48を開閉する開閉手段としての開閉機構150に特徴がある。
具体的に説明すると、この第4実施形態では、蓄電池載置部152が第1実施形態で説明した蓄電池載置部46よりも小さく形成されている。また、この蓄電池載置部152は非分割の方形部材として構成されている。この蓄電池載置部152と鉄骨梁44との間には、所定幅の外縁部隙間154が形成されている。
また、上記蓄電池載置部152の四辺には、各々プレート状に形成された合計4枚の開閉体156が設けられている。各開閉体156の幅方向寸法は、蓄電池載置部152の辺長よりも若干短く設定されている。また、開閉体156は、蓄電池載置部152の周縁部に形成されたスリット158(図17参照)内に進退可能に収納されている。スリット158の深さは開閉体156を収容可能な深さに設定されており、又開閉体156がスリット158から進出された状態では、外縁部隙間154が四隅を除いて閉止するようになっている。
さらに、4枚の開閉体156のうち、対向する2枚の開閉体156の両端部には、方形プレート状の補助開閉体160がヒンジ162によって回転可能に支持されている。なお、ヒンジ162の回転角は180度に規制されている。また、補助開閉体160が設けられた開閉体156を収容するスリット(図17では図示省略)は補助開閉体160の厚さも含めた溝高さに設定されている。
また、図示は省略するが、各開閉体156にはラックバーが取り付けられている。対向する2枚の開閉体156のラックバーは平面視でオーバーラップするように長さが設定されており、そのオーバーラップ部に1個のピニオンが噛み合い状態で配置されている。従って、1個のモータに対して1個のピニオンと2本のラックバーが一組になって、対向する2枚の開閉体156をスライドさせるようになっている。蓄電池載置部152内には、この駆動機構が2組設けられている。
さらに、蓄電池載置部152の任意の角部には、受信アンテナ164が配設されている。
(作用・効果)
上記構成によれば、リモコンの開ボタンを押すと、リモコンから開信号が送信され、受信アンテナ164で受信される。受信アンテナ164で受信されると、モータ駆動回路が起動し、モータが正転される。モータが正転すると、減速機構を介してピニオンが所定回転数だけ減速回転される。これにより、ピニオンと噛み合うラックバーがその長手方向へ移動し、それに伴って4枚の開閉体156が鉄骨梁44側へ進出される。その結果、外縁部隙間154が四隅を除いて閉止される。なお、外縁部隙間154の四隅をも閉止したい場合には、手動にて補助開閉体160をヒンジ162回りに回転させて広げるようにする。その結果、外縁部隙間154が閉止され、通気量が減少される。このモードは冬季等において、外気温が非常に低い場合に好適である。
一方、リモコンの閉ボタンを押すと、リモコンから閉信号が送信され、受信アンテナ164で受信される。これにより、モータ駆動回路が起動し、モータが逆転される。モータが逆転駆動すると、減速機構及びピニオンを介してラックバーが反対方向へ移動される。このため、開閉体156がスリット158内へ格納される。なお、補助開閉体160を広げていた場合には、先に手動にて補助開閉体160をヒンジ162回りに回転させて、開閉体156に重ねてから、リモコン操作を行う。その結果、外縁部隙間154が開放され、通気量が増加される。このモードは夏季等において、外気温が高く蓄電池40からの排熱も篭り易い場合に好適である。
このように本実施形態においても、通気量を増減させることができるので、蓄電池収納室38内の温度環境に応じて適切な通気量にすることができる。
なお、上記構成においては、補助開閉体160を設けたが、外縁部隙間154の大半を開閉できればよいという場合には、補助開閉体160を省略してもよい。その場合には、リモコンによる完全な遠隔操作が可能になる。
また、補助開閉体160を四分円形状にすれば、捩じりコイルスプリング等の付勢手段を使って開閉体156が蓄電池載置部152から進出すると、付勢力で自動的に支軸回りに回転して補助開閉体160の位置に延び出し、開閉体156が退避されると、蓄電池載置部152のスリット158の入口に押されて付勢力に抗してスリット158内へ格納されるようにすることもできる。
さらに、上記構成では、蓄電池載置部152側に開閉手段を設けたが、これに限らず、鉄骨梁44側に設けてもよいし、蓄電池載置部152側と鉄骨梁44側の両方に開閉手段を振り分けて設けてもよい。
〔上記実施形態の補足説明〕
(1)上述した実施形態では、鉄骨軸組構造の住宅10に対して本発明を適用したが、これに限らず、他の構造の建物に対して本発明を適用してもよい。例えば、図1に記載されたインナガレージ16と同一構造のインナガレージを設置するのであれば、スチールハウス等でも可能である。また、単にスキップフロアを備えた建物ということであれば、ユニット建物でもよい。
(2)上述した実施形態では、スキップフロア20を有する住宅10において二階部分14の床下スペースであるスキップ空間18に蓄電池収納庫32を設けたが、これに限らず、一階部分12の床下スペースや小屋裏部屋の床下等に蓄電池収納庫を設けるようにしてもよい。この場合の例としては、例えば、一階の下に地階を備えた建物において、地階の一角に上下二段に隔成されたエリアを有している場合に、上段側のスペースを蓄電池収納庫とし、下段側のスペースを通気スペースとする場合等が挙げられる。
(3)上述した第1実施形態では、蓄電池載置部46の開度が基本的には全開(図2図示状態)と全閉(図4図示状態)に選択的に変更される構成(半開(図3図示状態)にすることも可能ではある。)であったが、本発明における通気量変更手段の開度は必ずしも選択的に変更されるものである必要はなく、任意開度に変更することができるようにしてもよい。例えば、第4実施形態の開閉機構150の場合、リモコンの操作部をダイヤル式等にしてダイヤルの回転数に応じて開閉体156を開閉駆動するモータの回転数が変更されるようにすれば、無段階に開度を変更することができる。
(4)上述した第1実施形態では、蓄電池載置部46が通気口48の形成位置近傍である真上に配設されていたが、これに限らず、蓄電池載置部46を通気口48の内側に配設してもよい。
(5)上述した第1実施形態では、蓄電池載置部46の外縁部に位置する蓄電池台50を通気口48の周縁部に相当する鉄骨梁46に載置したが、これに限らず、通気口の周縁部近傍に配置された受部に載置するようにしてもよい。
(6)上述した第1実施形態では、所定の基準温度範囲を10℃〜30℃に設定したが、温度範囲の設定は蓄電池の仕様や蓄電池収納庫内の熱環境(排熱が篭り易いか否か等)によって適宜変更される。第1の所定温度及び第2の所定温度についても同様である。
また、制御の仕方についても、第1実施形態で説明した制御以外の方法を採ってもよい。例えば、蓄電池収納室内の気温と外気温との差が10℃未満の場合にはファンのみを作動させ、10度以上の場合にはエアコンを作動させることで、基準温度範囲内に入るように制御するようにしてもよい。また、第1実施形態の制御において、第2の高温領域のときには、エアコンのみを作動させるようにしてもよい。請求項9記載の発明には、このような制御態様も含まれる。