JP2010180452A - 缶用めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機皮膜密着性、耐食性に優れた缶用めっき鋼板、及び、その製造方法を提供する。
【解決手段】錫付着量が0.5〜6g/m2であり、実質的にFe-Sn合金層を有していない錫めっき鋼板であって、錫めっき層の上層として、還元に要する電気量として1.0mC/cm2以下の酸化錫と、P量として1.0〜5.0mg/m2のリン酸錫とを含む層を有することを特徴とする缶用めっき鋼板。その製造方法は、鋼板を電気錫めっき後、液温30〜50℃、pH1.5〜3.5のナトリウムイオンを含むリン酸系水溶液中で、2〜30A/dm2、0.1〜2秒の陰極電解処理、次いで1秒以内に0.2〜5A/dm2、0.1〜2秒の陽極電解処理を施し、さらに1〜30A/dm2、0.1〜2秒の陰極電解処理を施すことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、飲料缶、食缶等に使用される、有機皮膜密着性、耐食性に優れた缶用めっき鋼板及びその製造方法に関する。
従来、缶用材料として使用されてきた表面処理鋼板は、ブリキやLTS、TNS等の錫めっき鋼板、ニッケルめっき鋼板(TFS-NT)、電解クロムめっき鋼板(TFS-CT)が主なものである。通常、これらの鋼板のめっき表面には化成処理が施され、それによって塗料や樹脂フィルムとの密着性を確保している。
現在、商品化されている缶用表面処理鋼板の化成処理の殆どは、重クロム酸塩又はクロム酸を主成分とする水溶液を用いた、浸漬処理又は陰極電解処理である。例外として、特許文献1及び2に開示されているブリキのリン酸塩水溶液中での陰陽極電解処理が知られているが、用途は内面を無塗装のまま使用する粉乳用缶に限定されている。この陰陽極電解処理が粉乳用缶以外の飲料缶、食缶に使用されない主たる理由は、塗料や樹脂フィルムのような有機皮膜との密着性が不十分であるためである。
一方、重クロム酸塩又はクロム酸を主成分とする水溶液を用いた、浸漬処理又は陰極電解処理によって得られたクロム(III)酸化膜は、有機皮膜の密着性を向上させる効果が大きく、これに代わる化成処理は、種々検討されているものの、実用化には至っていないのが現状である。例えば、特許文献3には、フィチン酸又はフィチン酸塩溶液中で陽極処理する方法が開示されている。
近年は、錫めっき層上に、シランカップリング剤を使用した皮膜を施す技術が多く開示されている。例えば、特許文献4には、錫めっき鋼板のSn層又はFe-Sn合金層上に、シランカップリング剤塗布層を設けた鋼板及び缶が開示されており、特許文献5には、錫めっき層上に、下層としてP、Snを含有する化成皮膜、上層としてシランカップリング層を有する錫めっき鋼板が開示されている。また、特許文献5に類似した技術として、特許文献6乃至15が開示されている。
特開昭52-68832号公報 特開昭52-75626号公報 特開昭52-92837号公報 特開2002-285354号公報 特開2001-316851号公報 特開2002-275643号公報 特開2002-206191号公報 特開2002-275657号公報 特開2002-339081号公報 特開2003-3281号公報 特開2003-175564号公報 特開2003-183853号公報 特開2003-239084号公報 特開2003-253466号公報 特開2004-68063号公報
しかしながら、前記特許文献1及び2に記載された化成皮膜はいずれも塗装缶用めっき鋼板として用いるに必要な有機皮膜密着性、耐食性等の性能を備えているとは言い難く、また、特許文献3乃至15に記載された技術は高価な薬剤を使用するために従来技術に比べて製造コストが非常に高く、工業的に実用化するのは困難と考えられる。
そこで、本発明は、低コストであるリン酸塩溶液を用いた化成処理によって有機皮膜密着性、耐食性に優れた缶用めっき鋼板、及び、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意検討し、極めて良好な有機皮膜密着性が得られる錫めっき鋼板の層構造と、低コストでそれを実現する方法を構築して本発明に至ったものである。
即ち、本発明の主旨は下記のとおりである。
(1) 錫付着量が0.5〜6g/m2であり、実質的にFe-Sn合金層を有していない錫めっき鋼板であって、錫めっき層の上層として、還元に要する電気量が1.0mC/cm2以下である酸化錫と、P量として1.0〜5.0mg/m2のリン酸錫とを含む層を有することを特徴とする缶用めっき鋼板。
(2) 鋼板を電気錫めっき後、液温30〜50℃、pH1.5〜3.5のナトリウムイオンを含むリン酸系水溶液中で、2〜30A/dm2、0.1〜2秒の陰極電解処理、次いで1秒以内に0.2〜5A/dm2、0.1〜2秒の陽極電解処理を施し、さらに1〜30A/dm2、0.1〜2秒の陰極電解処理を施すことを特徴とする缶用めっき鋼板の製造方法。
本発明により、極めて良好な有機皮膜密着性、耐食性を具備した缶用めっき鋼板及びその低コストな製造方法を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する鋼板には、特に制限を設ける必要はない。従来から缶用鋼板に使用されているアルミキルド鋼や低炭素鋼等の成分系の鋼板が問題なく使用できる。また、鋼板の厚みや調質度は、使用目的に適したグレードを選択すればよい。
本発明の主たる構成は、錫付着量が0.5〜6g/m2であり、実質的にFe-Sn合金層を有していない錫めっき鋼板であって、錫めっき層の上層として、還元に要する電気量として1.0mC/cm2以下の酸化錫と、P量として1.0〜5.0mg/m2のリン酸錫とを含む層を有することを特徴とする缶用めっき鋼板である。
本発明は、錫付着量が0.5〜6g/m2であり、実質的にFe-Sn合金層を有していない錫めっき鋼板を対象とし、その表面の皮膜を規定している。Fe-Sn合金層は、電気錫めっき後に錫の加熱溶融処理(リフロー処理)を施すことで生じるものである。Fe-Sn合金層は展延性に乏しく、プレス成形などの加工によって割れやすく、その部分が腐食の起点となる。ここで、実質的にFe-Sn合金層を有していないとは、Snとしておよそ0.05g/ m2以下であることを指している。
錫付着量は0.5〜6g/m2に限定する。0.5g/m2未満では鋼板面を被覆しきれず、露出部分ができてしまうため、外観が優れず、耐酸性溶液溶解性の確保が困難である。一方、6g/m2を超えると塗料密着性が劣化するし、経済的にも不利である。
電気めっきした錫は金属錫であるが、めっき直後に表面に付着した液膜を介して空気に触れるし、めっき液や洗浄水中の溶存酸素によっても酸化され、表面は薄い酸化錫で覆われる。めっき後に加熱溶融処理を施さなければ、酸化錫(IV)が主であると言われており、これ自体は有機皮膜の密着性に寄与するものであるが、水溶液に浸漬した状態や湿潤環境下では、酸化錫が成長して凝集破壊しやすくなるため、予め酸化錫層の成長を防ぐ表面状態にしておくことが必要である。リン酸錫を含む表面皮膜とするのはこのためであって、適当な皮膜量のリン酸錫で覆われた部分は、酸化錫の成長が十分に抑制される。
酸化錫量は、還元に要する電気量として1.0mC/cm2以下であることが必要である。酸化錫層の還元に要する電気量は、錫めっき鋼板を、炭酸ガスや窒素ガスのバブリング等の手段によって溶存酸素を除去した0.001mol/Lの臭化水素酸水溶液中で0.05mA/cm2の定電流で陰極電解し、得られる電位-時間曲線から求めることができる。
酸化錫層が還元に要する電気量として、1.0mC/cm2を超える場合、金属錫上の酸化錫の占める面積比が高いため、湿潤環境下において酸化錫が成長し、凝集破壊しやすくなるため、有機皮膜の密着性が劣る。
電気めっきによって形成した錫めっき層には微細なピンホール状の欠陥が存在することはやむを得ないが、実質的には金属錫で覆われていることが必要である。鋼板面の露出部分が大きいと、酸性溶液に対する耐溶解性が低下するという問題が生じるためである。これはリン酸鉄の酸性溶液に対する溶解性が高い為である。耐酸性溶液溶解性を確保するためには、リン酸錫で被覆された表面であることが望ましい。
リン酸錫の付着量は、P量として1.0〜5.0mg/m2であることが必要である。P量は、予め作成した検量線を用いて、蛍光X線強度から測定することができる。P量は1.0mg/m2未満でも、有機皮膜の一次密着性は確保可能であるが、湿潤環境で経時後の密着性は確保できない。一方、P量として5.0mg/m2を超えるリン酸錫は、凝集破壊し易くなるため、有機皮膜の一次密着性、湿潤環境で経時後の密着性共に確保できない。有機皮膜の一次密着性、湿潤環境で経時後の密着性を安定して確保するという観点からより好ましいリン酸塩の付着量は、P量として1.9〜3.3mg/ m2である。
次に、湿潤環境で経時後も有機皮膜の密着性に優れた缶用めっき鋼板の製造方法について詳述する。
鋼板のめっき前処理の方法及び用いる錫めっき浴については、本発明では特に規定しないが、前処理として電解アルカリ脱脂及び希硫酸酸洗を施した後、光沢添加剤を含むフェノールスルホン酸浴、硫酸浴等の酸性錫めっき浴で電気錫めっきを施すと、良好な錫めっきが得られる。錫めっき後の鋼板を、水又は錫めっき液が希釈された液の入った槽で洗浄した後、以下に述べる方法で化成処理を施す。
液温30〜50℃、pH1.5〜3.5のナトリウムイオンを含むリン酸系水溶液中で、陰極電流密度2〜30A/dm2、0.1〜2秒の陰極電解処理、次いで1秒以内に陽極電流密度0.2〜5A/dm2、0.1〜2秒の陽極電解処理を施し、さらに陰極電流密度0.2〜30A/dm2、0.1〜2秒の陰極電解処理を施す。pH1.5〜3.5のナトリウムイオンを含むリン酸系水溶液におけるリン酸の化学種は、主としてリン酸とリン酸二水素イオンであり、微量のリン酸水素イオンも存在する。リン酸の化学種の濃度はリン酸イオン換算で20〜50g/Lが適当である。より好ましい濃度範囲は20〜30g/Lである。20g/L未満では、鋼板近傍のリン酸の化学種の濃度が低いために、リン酸塩皮膜が形成されにくい。一方30g/Lを超えても性能の向上はほとんど認められない。50g/Lを超えると、沈殿が生じやすくなるので避けたほうがよい。
前記リン酸系水溶液のリン酸の化学種とpHとを、前記の範囲に調整するために、水素イオン以外のカチオン成分が必要である。カチオン成分を添加せずにリン酸水溶液を用いると、pHが低くなることでリン酸塩の生成量が多くなるために、一次および湿潤環境経時後の塗料密着性が不良になりやすい。また、処理液によって錫めっき面がエッチングされて、外観不良となりやすくなる。カチオンは、水溶液に溶解し、処理後の水洗によって鋼板から除去できるカチオンであることが必要で、さらに経済性を考慮すると、ナトリウムイオンが好ましい。好ましいナトリウムイオン濃度は、リン酸イオン濃度と水素イオン濃度のバランスをとるためにほぼ一義的に定まり、3〜10g/Lの範囲である。
初めの陰極電解処理は、錫めっき鋼板の表面に生じた酸化錫を、金属に還元する工程である。酸化錫が多く残存すると、次いで施される陽極電解処理でのリン酸錫皮膜形成の妨げになる。陰極電流密度は2A/dm2より低いと、酸化錫の還元が十分にできない。一方、陰極電流密度を30A/dm2より高くしても、陰極表面で発生する水素ガスの量が多くなるばかりである。電解時間は0.1秒より短いと、酸化錫の還元が十分にできない。一方、電解時間は2秒までに酸化錫は十分に還元されるため、これより長くしても生産性を低下させるばかりで、性能の向上は認められない。
陽極電解処理は、鋼板表面の錫をゆっくりと酸化溶解し、処理液中のリン酸イオンと結合させることでリン酸錫やリン酸鉄を付与する工程であり、前記陰極処理後、1秒以内に行う。これより長い時間をおくと、錫が再び酸化してしまう。可能であれば、陰極電解処理後に行う陽極電解処理は、同一処理層内で同一溶液にて施すことが望ましい。これは、陰極処理後の鋼板を大気にさらさない方が、表面が再び酸化するのを効果的に防止することができるからである。陽極電解処理の陽極電流密度は0.2〜5A/dm2、電解時間は0.1〜2秒が適当である。0.2A/dm2未満、あるいは0.1秒未満では、錫の溶解速度が遅く、リン酸錫の生成が不十分である。一方、5A/dm2超えると錫の溶解速度が速すぎて、生成するリン酸錫層が疎で脆くなる。電解時間が2秒を超えると、生産性を低下させるし、リン酸塩層が厚くなって、かえって脆い皮膜となってしまう。
陽極電解処理では、副反応として酸化錫も生成する。過剰な酸化錫は有機皮膜の密着性を阻害する要因であるから、これを還元するために再度陰極電解処理を施す。電解条件は陰極電流密度1〜30A/dm2、電解時間は0.1〜2秒である。1A/dm2より低いと酸化錫の還元が不十分である。一方、30A/dm2より高くしても、陰極表面で発生する水素ガスの量が多くなるばかりである。電解時間は0.1秒より短いと、酸化錫の還元が十分にできない。一方、電解時間は2秒までに酸化錫は十分に還元されるため、これより長くしても生産性を低下させるばかりで、性能の向上は認められない。
以下、実施例によって、本発明をさらに詳細に説明する。
低炭素冷延鋼帯(鋼種MR、調質度T-5、表面仕上げRのSPB(ブリキ原板):JIS G 3303)を連続焼鈍、次いで、調質圧延して得た板厚0.18mm、調質度T-5CAの鋼帯を使用した。めっき前処理として、10mass%水酸化ナトリウム溶液中で電解脱脂した後、5mass%希硫酸で酸洗した。
次いで、フェロスタン浴を用いて電気錫めっきを施した。錫イオンを20g/L、フェノールスルホン酸イオンを75g/L、界面活性剤を5g/L含む43℃のめっき液中で、陰極電流密度20A/dm2で陰極電解した。陽極には、白金めっきしたチタンを用いた。錫めっきの付着量は、電解時間で調節した。
引き続き、該錫めっき鋼板を全リン酸濃度をリン酸換算で35g/L、ナトリウムイオンを4g/L含む液温45℃の処理液中で陰極電解処理、次いで、同一溶液中で陽極電解処理を施した。陰極―陽極電解処理後、さらに同一溶液中で陰極電解処理を施した。
Pの付着量は、蛍光X線強度から、予め作成した検量線を使って算出した。Sn付着量は、1mol/Lの希塩酸中で錫めっき鋼板を陽極とする電解剥離法により求めた。なお、Pがリン酸錫として存在することは、AES(オージェ電子分光分析)による微小領域におけるSn、P、Oの比率と、XPS(X線光電子分光分析)によるSn、P、Oの結合状態の解析によって確認した。
酸化錫量は、窒素バブリングによって脱気した0.001mol/Lの臭化水素酸水溶液中で、0.05mA/cm2の定電流陰極電解し、得られた電位-時間曲線から、還元に要する電気量として求めた。
上記処理材について、以下に示す(A)〜(D)の各項目について評価試験を実施した。
(A) 塗料一次密着性
評価材に、エポキシ・フェノール系塗料を60mg/dm2塗布し、210℃で10分間の焼き付けを行った。さらに、190℃で15分間、230℃で90秒間の追い焼きを行った。この塗装板から、5mm×100mmの大きさの試料を切り出した。2枚の同一水準の試料を、塗装面が向かい合わせになるようにし、間に厚さ100μmのフィルム状のナイロン接着剤を挟んだ。これを、つかみ代を残して、ホットプレスで200℃で60秒間予熱した後、2.9×105Paの圧力をかけて200℃で50秒間圧着し、引張試験片とした。つかみ部をそれぞれ90゜の角度で曲げてT字状とし、引張試験機のチャックでつかんで引っ張り、剥離強度を測定して、塗料一次密着性を評価した。試験片幅5mm当たりの測定強度が、68N以上を◎、49N以上68N未満を○、29N以上49N未満を△、29N未満を×とした。
(B) 湿潤環境経時後の塗料密着性
評価材を50℃、相対湿度85%の恒温恒湿器中で7日間経時した。次に、前記(A)と同様の方法で、塗装、焼付け、ナイロン接着剤を挟んで圧着を施し、試験片を作製した。つかみ部をそれぞれ90゜の角度で曲げてT字状とし、引張試験機のチャックでつかんで引っ張り、剥離強度を測定して、塗料密着性を評価した。試験片幅5mm当たりの測定強度が、42N以上を◎、34N以上42N未満を○、25N以上34N未満を△、25N未満を×とした。
(C) 耐食性
評価材の缶内面に相当する面の塩化物イオンを含む酸性溶液中における耐食性を評価するため、UCC(アンダーカッティング・コロージョン)試験を行った。エポキシ・フェノール系塗料を50mg/dm2塗布し、205℃で10分間の焼き付けを行った。さらに180℃で10分間の追い焼きを行った。この塗装板から、50mm×50mmの大きさの試料を切り出した。塗膜にカッターで地鉄に達するまでクロスカットを入れ、端面と裏面を塗料でシールした後、1.5%クエン酸と1.5%塩化ナトリウムからなる55℃の試験液中に、大気開放下で96時間浸漬した。水洗・乾燥後、速やかにスクラッチ部及び平面部をテープで剥離(ニチバンNo.405(24mm幅)を貼った後、テープを上方に急激に剥離)して、クロスカット部近傍の腐食状況、クロスカット部のピッティング腐食及び平面部の塗膜剥離状況を観察して、耐食性を評価した。テープによる剥離も腐食も認められないものを◎(非常に良好)、スクラッチ部から0.2mm未満のテープ剥離又は目視で認められない僅かな腐食の一方又は両方が認められたものを○(良好)、スクラッチ部から0.2mm以上0.5mm以下のテープ剥離又は目視で認められる小さい腐食の一方又は両方が認められたものを△(やや不良)、0.5mmを超えるテープ剥離が生じたものを×(不良)とした。
(D) 外観
評価材の化成処理のままの外観を、次のように評価した。光沢は、鋼板の圧延方向で鏡面光沢度GS60°を測定した。色調は、目視により着色の有無を判定した。GS60°が400以上で、着色のない非常に良好な外観であるものを◎、GS60°が350以上400未満で、着色のない良好な外観であるものを○、GS60°が300以上350未満のもの、および/またはわずかな着色が見られるものを△、GS60°が300未満のもの、および/または着色が見られるものを×とした。
以上の性能評価結果から、総合評価を◎(非常に良好)、○(良好)、△(やや不良)、×(不良)の4段階に分類し、◎、○を合格レベルとした。
上記に記載しなかった試験条件、及び、評価結果を、表1、2に示した。
Figure 2010180452
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表1に示したように、本発明の実施例1〜83は、全ての評価項目(A)〜(D)及び総合評価で、◎又は○であり、求められる性能を満足した。
これに対して比較例1〜12は、表2に示すように、下記のとおり満足な性能が得られなかった。
比較例1は、リン酸塩溶液中で陰極電解処理、陽極電解処理のみを施し、2回目の陰極電解処理を施さなかった例である。酸化錫量が多く、湿潤環境経時後の塗料密着性が不良で、耐食性もやや不良であった。
比較例2は、リン酸塩溶液中で陰極電解処理のみを施し、陽極電解処理、2回目の陰極電解処理を施さなかった例である。リン酸塩の生成量が少なく、酸化錫量が多かったため、一次塗料密着性がやや不良で、湿潤環境経時後の塗料密着性、耐食性が不良であった。
比較例3は、リン酸塩溶液中での電解処理を施さなかった例である。リン酸塩は生成せず、酸化錫量が多かったため、一次、湿潤環境経時後の塗料密着性、耐食性がともに不良であった。
比較例4は、リン酸塩溶液中で陰極電解処理、陽極電解処理、陰極電解処理を施したが、2回目の陰極電解処理の陰極電流密度が低く、電解時間も短かった例である。酸化錫量が多く、湿潤環境経時後の塗料密着性がやや不良であった。
比較例5は、リン酸塩溶液中で陰極電解処理、陽極電解処理、陰極電解処理を施したが、1回目の陰極電解処理の陰極電流密度が低く、電解時間も短かった例である。酸化錫が多く残存している状態で陽極電解処理が行われたため、リン酸塩の生成量が少なく、湿潤環境経時後の塗料密着性がやや不良で、耐食性も不良であった。
比較例6は、リン酸塩溶液中で陰極電解処理、陽極電解処理、陰極電解処理を施したが、陽極電解処理の陽極電流密度が低く、電解時間も短かった例である。リン酸塩の生成量が少なく、湿潤環境経時後の塗料密着性がやや不良で、耐食性も不良であった。
比較例7は、リン酸塩溶液中で陰極電解処理、陽極電解処理、陰極電解処理を施したが、陽極電解処理の陽極電流密度が高かった例である。リン酸塩の生成量が多く、塗料密着性が不良で、耐食性もやや不良であった。
比較例8は、リン酸塩溶液中で陰極電解処理、陽極電解処理、陰極電解処理を施したが、処理液のpHが1.2と低かった例である。リン酸塩の生成量が多く、一次塗料密着性がやや不良、湿潤環境経時後の塗料密着性が不良で、耐食性もやや不良であった。また、処理液によって錫めっき面が一部溶解し、外観がやや不良になった。
比較例9は、リン酸塩溶液中で陰極電解処理、陽極電解処理、陰極電解処理を施したが、処理液のpHが4.1と高かった例である。リン酸塩の生成量が少なく、湿潤環境経時後の塗料密着性、耐食性が不良であった。
比較例10は、錫めっき量が少なく、金属錫面積率が低かった例である。酸性の試験液が鋼板と塗膜の界面に浸入し、耐食性が不良であった。また、錫めっき特有の光沢外観が得られなかった。
比較例11は、全面金属錫で覆われた例である。一次塗料密着性がやや不良で、湿潤環境経時後の塗料密着性が不良であった。
比較例12は、リン酸系処理液にカチオンを添加せず、リン酸水溶液を用いた例である。pH調整ができず、pH1.3と低かったため、リン酸塩の生成量が多く、一次塗料密着性がやや不良、湿潤環境経時後の塗料密着性が不良で、耐食性もやや不良であった。また、処理液によって錫めっき面がエッチングされて、外観がやや不良になった。
本発明によれば、低コストであるリン酸塩溶液を用いた化成処理によって有機皮膜密着性、耐食性に優れた缶用めっき鋼板、及び、その製造方法が提供される。

Claims (2)

  1. 錫付着量が0.5〜6g/m2であり、実質的にFe-Sn合金層を有していない錫めっき鋼板であって、錫めっき層の上層として、還元に要する電気量が1.0mC/cm2以下である酸化錫と、P量として1.0〜5.0mg/m2のリン酸錫とを含む層を有することを特徴とする缶用めっき鋼板。
  2. 鋼板を電気錫めっき後、液温30〜50℃、pH1.5〜3.5のナトリウムイオンを含むリン酸系水溶液中で、2〜30A/dm2、0.1〜2秒の陰極電解処理、次いで1秒以内に0.2〜5A/dm2、0.1〜2秒の陽極電解処理を施し、さらに1〜30A/dm2、0.1〜2秒の陰極電解処理を施すことを特徴とする缶用めっき鋼板の製造方法。
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