JP5626416B2 - 錫めっき鋼板 - Google Patents

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本発明は、DI缶、食缶、飲料缶などに使用される錫めっき鋼板、特に、クロム(Cr)を含まない化成処理皮膜を表面に有する錫めっき鋼板およびその製造方法に関する。
缶用表面処理鋼板としては、従来から「ぶりき」と称される錫めっき鋼板が広く用いられている。このような錫めっき鋼板では、通常、重クロム酸などの6価のクロム化合物を含有する水溶液中に鋼板を浸漬する、もしくはこの溶液中で電解するなどのクロメート処理によって錫めっき表面にクロメート皮膜が形成される。これは、クロメート皮膜の形成によって長期保管時などで起こりやすい錫めっき表面の酸化を防止し、外観の劣化(黄変)を抑制するとともに、塗装して使用する際には、錫(Sn)の酸化膜の成長による凝集破壊を防止し、塗料などの有機樹脂との密着性(以後、単に塗料密着性と呼ぶ。)を確保するためである。
一方、昨今の環境問題を踏まえて、Crの使用を規制する動きが各分野で進行しており、缶用錫めっき鋼板においてもクロメート処理に替わる化成処理技術がいくつか提案されている。例えば、特許文献1には、りん酸系溶液中で錫めっき鋼板を陰極として直流電解することにより化成処理皮膜を形成する錫めっき鋼板の表面処理法が開示されている。特許文献2には、りん酸イオン、塩素酸塩および臭素酸塩の1種または2種以上、錫イオンを含有するpH3〜6の化成処理液が開示されている。特許文献3には、りん酸カルシウム、りん酸マグネシウム、りん酸アルミニウムの1種または2種以上を皮膜厚みとして15μg/cm2以下塗布するぶりきの表面処理法が開示されている。特許文献4には、鋼板面に、鉄(Fe)-ニッケル(Ni)拡散層、Ni層、Ni-Sn合金層、非合金化Sn層を順次形成し、さらにりん(P)換算で1〜100mg/m2のりん酸皮膜層を設けた容器用表面処理鋼板が開示されている。
しかし、特許文献1〜4に記載された化成処理皮膜では、従来のクロメート皮膜に比べ、錫めっき表面の酸化に起因する外観の劣化や塗料密着性の低下を抑制できない。
これに対し、特許文献5には、錫めっきを施した後、錫イオンとりん酸イオンを含有する化成処理液中に浸漬し、または化成処理液中で陰極電解し、次いで、60〜200℃に加熱して化成処理皮膜を形成することにより、錫めっき表面の酸化に起因する外観の劣化や塗料密着性の低下を従来のクロメート皮膜と同等以上に抑制できる錫めっき鋼板の製造方法が開示されている。
特公昭55-24516号公報 特公昭58-41352号公報 特開昭49-28539号公報 特開2005-29808号公報 特開2007-239091号公報
しかしながら、特許文献5に記載の方法では、化成処理後に加熱設備が必要であり、化成処理コストが高いという問題がある。
本発明は、Crを用いず、錫めっき表面の酸化に起因する外観の劣化や塗料密着性の低下を抑制でき、しかも安価に化成処理が可能な錫めっき鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、Crを用いず、錫めっき表面の酸化に起因する外観の劣化や塗料密着性の低下を抑制でき、しかも安価に化成処理が可能な錫めっき鋼板について鋭意研究を重ねた結果、鋼板表面にSnを含むめっき層を有し、Snを含むめっき層上にPとSnを含む第1の化成処理皮膜を有し、第1の化成処理皮膜上にPとアルミニウム(Al)を含む第2の化成処理皮膜を有する錫めっき鋼板とすれば、化成処理後に加熱することなく外観の劣化や塗料密着性の低下を抑制できることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、鋼板の少なくとも片面に、Snの付着量が片面あたり0.05〜20g/m2であるSnを含むめっき層を有し、前記Snを含むめっき層の上にPとSnを含み、Pの付着量が片面当り0.3〜10mg/m2である第1の化成処理皮膜を有し、前記第1の化成処理皮膜の上にPとAlを含み、Pの付着量が片面当り1.2〜10mg/m2、Alの付着量が片面あたり0.24〜8.7mg/m2である第2の化成処理皮膜を有することを特徴とする錫めっき鋼板を提供する。
本発明の錫めっき鋼板は、鋼板の少なくとも片面に、Snの付着量が片面あたり0.05〜20g/m2となるようにSnを含むめっき層を形成した後、4価の錫イオンとりん酸イオンを含有する化成処理液中で浸漬処理を施し、あるいは該化成処理液中で陰極電解処理を施し、次いで、第1りん酸アルミニウム5〜200g/Lを含み、pHが1.5〜2.4である化成処理液中で浸漬処理を施し、あるいは該化成処理液中で陰極電解処理を施した後、乾燥することを特徴とする錫めっき鋼板の製造方法により製造できる。
本発明の製造方法では、乾燥を60℃未満の温度で行うことが好ましい。
本発明により、Crを用いず、錫めっき表面の酸化に起因する外観の劣化や塗料密着性の低下を抑制でき、しかも特別な加熱設備も不要で、安価に化成処理が可能な錫めっき鋼板を製造できるようになった。また、本発明の錫めっき鋼板の化成処理皮膜は、現状のクロメート処理の場合と同様に、300m/分以上の高速のライン速度で形成できる。
本発明の錫めっき鋼板は、低炭素鋼や極低炭素鋼などを用いた一般的な缶用の冷延鋼板の少なくとも片面に、Snを含むめっき層と、PとSnを含む第1の化成処理皮膜と、PとAlを含む第2の化成処理皮膜とを順次有する錫めっき鋼板である。以下に、その詳細について説明する。
1) Snを含むめっき層
まず、鋼板の少なくとも片面には、耐食性を付与するために、Snを含むめっき層を有する。このとき、Snの付着量は片面あたり0.05〜20g/m2とする必要がある。これは、Snの付着量が0.05g/m2未満だと耐食性が劣り、20g/m2を超えるとめっき層が厚くなり、コスト高を招くためである。ここで、Snの付着量は、電量法または蛍光X線により表面分析して測定することができる。
Snを含むめっき層としては、特に限定することはないが、Sn層からなるめっき層(以下、Sn層と記す。)、Fe-Sn層にSn層を積層した2層構造のめっき層(以下、Fe-Sn層/Sn層と記す。)、Fe-Sn-Ni層にSn層を積層した2層構造のめっき層(以下、Fe-Sn-Ni層/Sn層と記す。)、Fe-Ni層にFe-Sn-Ni層とSn層を順次積層した3層構造のめっき層(以下、Fe-Ni層/Fe-Sn-Ni層/Sn層と記す。)などのめっき層が好ましい。
なお、本発明におけるSnを含むめっき層は連続しためっき層であってもよいし、不連続の島状のめっき層であってもよい。
こうしたSnを含むめっき層は、周知の方法で形成できる。例えば、通常のフェノールスルフォン酸錫めっき浴、メタンスルフォン酸錫めっき浴、あるいはハロゲン系錫めっき浴を用い、片面あたり付着量が2.8g/m2となるようにSnを電気めっきした後、Snの融点231.9℃以上の温度でリフロー処理を行ってFe-Sn層/Sn層のめっき層を形成させ、リフロー処理後に表面に生成したSn酸化膜を除去するため、10〜15g/Lの炭酸ナトリウム水溶液中で1〜3A/dm2の陰極電解処理後、水洗する方法で形成できる。また、上記のSnを含むめっき層のうちNiを含むめっき層は、錫めっき前にニッケルめっきを行い、必要に応じて焼鈍処理を施したり、あるいは錫めっき後にリフロー処理などを施して形成することができる。
2) 第1の化成処理皮膜
次に、上記したSnを含むめっき層の上には、PとSnを含む第1の化成処理皮膜を有する。これは、現状のクロメート処理の場合と同様に、300m/分以上の高速のライン速度で効率よく化成処理皮膜を形成するために、以下に詳述するように4価の錫イオンとりん酸イオンを含有する化成処理液を用いるためである。このとき、化成処理皮膜のPの付着量は片面当り0.3〜10mg/m2とする必要がある。これは、Pの付着量が0.3mg/m2未満だと、皮膜の被覆性が十分でなくなり、錫めっき表面の酸化を抑制する効果が不十分となり、10mg/m2を超えると、皮膜自体の凝集破壊が起きやすくなり、外観が劣化したり、塗料密着性が低下しやすくなるためである。
こうした第1の化成処理皮膜は、4価の錫イオンとりん酸イオンを含有する化成処理液中で浸漬処理を施し、あるいは該化成処理液中で陰極電解処理を施すことによって形成できる。この浸漬処理または陰極電解処理の後、水洗を行ってもよい。ここで、4価の錫イオンとりん酸イオンを含有する化成処理液を用いるのは、上述したように、300m/分以上の高速のライン速度で化成処理皮膜を形成するためである。すなわち、4価の錫イオンは溶解度が高く、2価の錫イオンの場合より多くの錫イオンの添加が可能であり、しかも4価の錫イオンは錫めっき表面の溶解に伴う放出電子により錫めっき表面付近では2価の錫イオンに還元されるため、錫めっき表面近傍では高濃度の2価の錫イオンが生成されて、反応が促進されることになる。さらに、陰極電解処理を施すと4価の錫イオンの2価の錫イオンへの還元が促進されるとともに、プロトンの還元反応も助長され、錫めっき表面近傍のpHが上昇し、不溶性りん酸第2錫やりん酸第3錫の沈殿析出が促進されるため、反応がより促進されることになる。したがって、4価の錫イオンとりん酸イオンを含有する化成処理液を用いれば、短時間で効率よく化成処理皮膜が形成されることになる。
4価の錫イオンとりん酸イオンを含有する化成処理液としては、0.5〜5g/Lの塩化第2錫・5水和物と1〜80g/Lのオルトりん酸を含む水溶液を挙げられる。
3) 第2の化成処理皮膜
最後に、上記した第1の化成処理皮膜の上には、PとAlを含む第2の化成処理皮膜を有する。これは、このPとAlを含む化成処理皮膜を形成すれば、化成処理後に積極的に加熱せずに低温で乾燥させる程度でも外観の劣化や塗料密着性の低下を従来のクロメート皮膜と同等以上に抑制できるためである。この理由は必ずしも明確ではないが、化成処理皮膜中にAlが導入されたことにより、下層の錫めっき層の酸化に対してより強固なバリア性を有する緻密なりん酸塩の化成処理皮膜が形成されるためと考えられる。このとき、化成処理皮膜のPの付着量は片面当り1.2〜10mg/m2とし、Alの付着量は片面当り0.24〜8.7mg/m2とする必要がある。これは、Pの付着量が1.2mg/m2未満であったり、Alの付着量が0.24mg/m2未満であると、錫めっき表面の酸化を抑制する効果が不十分となり、外観が劣化したり、経時後の塗料密着性が低下し、Pの付着量が10mg/m2超えると、皮膜自体の凝集破壊が起き、塗料密着性が低下しやすくなるためである。なお、Alの付着量の上限である8.7mg/m2は、皮膜の全量が第3りん酸アルムニウムになった場合に化学量論的に導き出される値であり、Pの付着量が10mg/m2未満の場合は、この値を超えることはない。ここで、化成処理皮膜のPの付着量やAlの付着量は蛍光X線により表面分析して測定することができる。
こうした第2の化成処理皮膜は、第1りん酸アルミニウム5〜200g/Lを含み、pHが1.5〜2.4である化成処理液中で浸漬処理を施し、あるいは該化成処理液中で陰極電解処理を施し、乾燥することによって形成できる。この浸漬処理または陰極電解処理の後、水洗し、その後乾燥してもよい。このとき、第1りん酸アルミニウム5〜200g/Lを含み、pHが1.5〜2.4である化成処理液を用いるのは、次の理由による。すなわち、第1りん酸アルミニウムが5g/L未満では皮膜中のAlの付着量が十分でなく、錫めっき層の酸化に対する強固なバリア性が得られず、200g/Lを超えると化成処理液の安定性が損なわれ、処理液中に沈殿物が形成され、錫めっき鋼板の表面に付着し、外観の劣化や塗料密着性の低下を引き起こす。また、化成処理液のpHが1.5未満だと、皮膜の析出が困難になり、処理時間を数10秒まで極端に長く施しても十分な付着量を確保できず、2.4を超えると皮膜の析出が急激に起こり、付着量の制御が困難になる。乾燥は、60℃未満の温度で行うことが好ましい。これは、本発明の製造方法により形成した化成処理皮膜は、乾燥温度が60℃未満でも十分に錫めっき層の酸化を抑制でき、特別な加熱設備が不要なためである。本発明において、乾燥温度は到達板温とする。
なお、Pの付着量1.2〜10mg/m2に短時間で到達できるようにするには、第1りん酸アルミニウムを60〜120g/Lとすることが好ましい。また、高速のライン速度でPの付着量を1.2〜10mg/m2にするには、浸漬処理よりも陰極電解処理の方が好ましく、陰極電解により水素ガスを発生させて錫めっき表面と処理液の界面近傍のプロトンを消費し、pHを強制的に上げることがより好ましい。さらに、化成処理液には、次に述べるpHの調整のためや反応速度を上げるために、オルトりん酸を1〜20g/L含有させることができる。
化成処理液のpHの調整は、りん酸、硫酸や水酸化ナトリウムなどの酸やアルカリを添加することにより可能である。また、この化成処理液には、その他、FeCl2、NiCl2、FeSO4、NiSO4、塩素酸ナトリウム、亜硝酸塩などの促進剤、フッ素イオンなどのエッチング剤、ラウリル硫酸ナトリウム、アセチレングリコールなどの界面活性剤を適宜添加することもできる。また、化成処理液の温度は70℃以上にすることが望ましい。これは、70℃以上にすると温度の上昇にともない付着速度が増大し、より高速のライン速度で処理が可能になるためである。しかしながら、温度が高すぎると処理液からの水分の蒸発速度が大きくなり、処理液の組成が経時的に変動するため、処理液の温度は85℃以下であることが好ましい。
特許文献5に記載されているように、錫イオンとりん酸イオンを含有する化成処理液中で浸漬処理や陰極電解処理を施して単層の化成処理皮膜を形成する場合は、化成処理後に60〜200℃に加熱する必要があった。しかし、本発明の錫めっき鋼板の場合のように、錫イオンとりん酸イオンを含有する化成処理液を用いて形成した第1の化成処理皮膜の上に、さらに第1りん酸アルミニウムを含有する化成処理液中で浸漬処理を施し、あるいは該化成処理液中で陰極電解処理を施して第2の化成処理皮膜を形成すれば、化成処理後に積極的に加熱する必要がないので、加熱設備も不要で、安価に化成処理が可能である。
上述したように、現状のクロメート処理は、通常、300m/分以上のライン速度で行われており、非常に生産性が高いことを鑑みると、クロメート処理に代わる新しい化成処理も少なくとも現状のライン速度で処理できることが望ましい。これは、処理時間が長くなると処理タンクのサイズを大きくしたり、タンク数を増やす必要があり、設備コストやその維持コストの増大を招くためである。設備改造を行わず、300m/分以上のライン速度で化成処理を行うには、現状のクロメート処理と同じく処理時間は合計で2.0秒以下にすることが好ましい。さらに、好ましくは1秒以下である。上記した本発明の化成処理液中で浸漬処理あるいは陰極電解処理を施せば、現状の300m/分以上のライン速度に対応可能である。また、陰極電解処理時の電流密度は10A/dm2以下とすることが好ましいが、これは、10A/dm2超では電流密度の変動に対する付着量変動幅が大きくなるため、安定した付着量確保が難しくなるためである。なお、化成処理皮膜を形成するには、浸漬処理や陰極電解処理の他に、塗布や陽極電解処理による方法もあるが、前者では表面の反応ムラが生じやすいため、均一な外観が得られにくく、また、後者では皮膜が粉状に析出しやすいため、外観の劣化や塗料密着性の劣化が生じやすいため、これらの方法は不適である。
素材の鋼板として、
鋼板A:板厚0.2mmの低炭素冷延鋼板
鋼板B:板厚0.2mmの低炭素冷延鋼板の両面に、ワット浴を用いて片面当り100mg/m2の付着量でニッケルめっき層を形成後、10vol.%H2+90%vol.%N2雰囲気中で700℃で焼鈍してニッケルめっきを拡散浸透させた鋼板
を使用し、市販の錫めっき浴を用い、表3に示す片面当りのSnの付着量でSn層を形成後、Snの融点以上でリフロー処理を施し、鋼板AにはFe-Sn層/Sn層のSnを含むめっき層を、また、鋼板BにはFe-Ni層/Fe-Ni-Sn層/Sn層のSnを含むめっき層を形成した。次に、リフロー処理後に表面に生成したSnの酸化膜を除去するため、浴温50℃、10g/Lの炭酸ナトリウム水溶液中で1A/dm2の陰極電解処理を施した。その後、水洗し、表1、2に示すオルトりん酸の量、塩化第2錫・5水和物の量および温度の化成処理液を用い、表1、2に示す時間の浸漬処理あるいは電流密度と時間の陰極電解処理を施した後、リンガーロールで絞り、水洗し、次いで、表1、2に示すオルトりん酸の量、第1りん酸アルミニウムの量、pHおよび温度の化成処理液を用い、表1、2に示す時間の浸漬処理あるいは電流密度と時間の陰極電解処理を施した後、リンガーロールで絞り、水洗した後、一般的なブロアを用いて室温で乾燥あるいは70℃の熱風乾燥を行い、第1の化成処理皮膜と第2の化成処理皮膜を有する錫めっき鋼板の試料No.1〜22を作製した。このとき、表1、2に示す化成処理液のpHは、酸またはアルカリで調整した。
そして、各層や皮膜を形成後、上記の方法で、Snを含むめっき層のSnの付着量、第1の化成処理皮膜のPの付着量、第2の化成処理皮膜のPの付着量およびAlの付着量を測定した。また、作製した錫めっき鋼板に対して、以下の方法で、作製直後の外観、長期保管後のSnの酸化膜量と外観、塗料密着性、および耐食性を評価した。
作製直後の外観:作製直後の錫めっき鋼板の外観を目視観察して次のように評価し、○または◎であれば外観が良好であるとした。
◎: 表面に粉状の析出物が存在せず、金属光沢が保たれた美麗な外観
○: 表面に粉状の析出物が存在せず、若干白味がかっているものの、美麗な外観
△: 表面に局所的に粉状析出物が存在している、やや白味がかった不均一な外観
×: 表面に多量の粉状析出物が存在する、白味がかった外観
長期保管後のSnの酸化膜量と外観:錫めっき鋼板を60℃、相対湿度70%の環境下で10日間保管し、外観を目視観察するとともに、表面に形成されたSnの酸化膜量を、1/1000NのHBr溶液の電解液中で電流密度25μA/cm2で電解し、電気化学的還元に要した電気量を求めて次のように評価し、○または◎であれば長期保管後のSnの酸化膜量が少なく、外観も良好であるとした。
◎: 還元電気量2mC/cm2未満、外観優(クロメート処理材より良好)
○: 還元電気量2mC/cm2以上3mC/cm2未満、外観良(クロメート処理材同等)
△: 還元電気量3mC/cm2以上5mC/cm2未満、外観やや黄色み
×: 還元電気量5mC/cm2以上、外観はっきりとわかる黄色み
塗料密着性:作製直後の錫めっき鋼板に、付着量50mg/dm2となるようにエポキシフェノール系塗料を塗布後、210℃で10分間の焼付を行った。次いで、塗布・焼付を行った2枚の錫めっき鋼板を、塗装面がナイロン接着フィルムを挟んで向かい合わせになるように積層し、圧力2.94×105Pa、温度190℃、圧着時間30秒間の圧着条件下で貼り合わせた後、これを5mm幅の試験片に分割し、この試験片を引張試験機を用いて引き剥がし、強度測定を行って次のように評価し、○または◎であれば塗料密着性が良好であるとした。また、錫めっき鋼板を室温環境で6ヶ月間保管後にも同様の塗料密着性の評価を行った。
◎: 19.6N(2kgf)以上(溶接缶用クロメート処理材同等)
○: 3.92N(0.4kgf)以上19.6N未満(クロメート処理材同等)
△: 1.96N(0.2kgf)以上3.92N未満
×: 1.96N(0.2kgf)未満
耐食性:錫めっき鋼板に、付着量50mg/dm2となるようにエポキシフェノール系塗料を塗布した後、210℃で10分間の焼付を行った。次いで、市販のトマトジュースに60℃で10日間浸漬し、塗膜の剥離、錆の発生の有無を目視で評価し、○または◎であれば耐食性が良好であるとした。
◎: 塗膜剥離、錆の発生なし
○: 塗膜剥離なし、ごくわずか点状の錆の発生(クロメート処理材同等)
△: 塗膜剥離なし、微小な錆の発生
×: 塗膜剥離あり、錆発生あり
結果を表3に示す。本発明の錫めっき鋼板である試料No.1〜17では、いずれも製造直後および長期保管後の外観が良好であり、長期保管後のSnの酸化膜量も少なく、塗料密着性および耐食性に優れていることがわかる。

Claims (1)

  1. 鋼板の少なくとも片面に、Snの付着量が片面あたり0.05〜20g/mであるSnを含むめっき層を有し、前記Snを含むめっき層の上に、PとSnを含み、Pの付着量が片面当り0.3〜10mg/mである第1の化成処理皮膜を有し、前記第1の化成処理皮膜の上に、PとAlを含み、Pの付着量が片面当り1.2〜10mg/m、Alの付着量が片面あたり0.24〜8.7mg/mであり、60℃未満で乾燥が行われた、第2の化成処理皮膜を有することを特徴とする錫めっき鋼板。
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